平成30年2月16日  知事の記者発表

公開日 2018年05月18日

更新日 2018年05月18日

平成30年度当初予算(案)等の概要
第3期日本一の健康長寿県構想Ver.3
基金残高
平成30年度当初予算(案)
事業戦略等の策定・実行支援
防災対策基金の創設
高知版地域包括ケアシステム
住宅の耐震化
知事の給与カット
高知競馬の経営
自民党の憲法改正案
男性の育児休暇・育児休業の取得促進①
合区解消
地方交付税の減
旧陸軍歩兵第44連隊弾薬庫等の保存、活用
男性の育児休暇・育児休業の取得促進②
県債残高
はりまや町一宮線

配布資料
資料1:平成30年度当初予算(案)の概要[PDF:6MB]
資料2:平成30年度の組織改正等による体制強化の概要[PDF:446KB]
資料3:日本一の健康長寿県構想第3期Ver.3のポイント[PDF:2MB]


【動画】平成30年2月高知県議会定例会提出予定案件概要


【記者との質疑応答】

平成30年度当初予算(案)等の概要

(知事)
 県議会2月定例会を2月22日に招集いたします。今回提出する議案は平成30年度一般会計予算など、予算議案が41件、条例その他の議案が59件、合わせて100件となります。
 それぞれ内容についてご説明させていただきます。

(資料1「平成30年度当初予算(案)の概要」により説明)
(資料1の3ページを示しながら)
 こちらが一般会計当初予算のポイントです。当初予算は4,509億円、対前年度比1.8%減となります。これは、あとでご説明いたします土地開発公社への貸付の減と、公債費の償還分の減によるもので、これらの要因を除きますと、事実上プラスになります。さらに言いますと、実質的な当初予算ベースは4,676億円となります。これは、国の方で2月に大型の経済対策に伴う補正予算が組まれ、これを活用した分を合わせると4,676億円となり、プラス76億円、1.7%増となります。平成30年度中に、県経済に対して財政的刺激を与えるという観点からいえば、こちらの方が実態に即した数字になりまして、こういう形での積極型の予算は10年連続となります。
 予算の構成としては、5つの基本政策に沿って、経済の活性化、日本一の健康長寿県づくり、教育の充実、南海トラフ地震対策、さらにはインフラの充実と有効活用の一連の取り組みを行ってまいりますとともに、併せて、5つの基本政策に横断的に関わる政策として中山間対策、少子化対策と女性の活躍の場の拡大、文化芸術・スポーツの振興、これらの一連の施策群を、それぞれ予算計上させていただいています。

(資料1の4ページを示しながら)
 予算規模につきましては、先ほど申し上げましたように当初予算ベースで比較しますと1.8%減。さらに経済対策分を加えた実質的な当初予算ベースでは1.7%プラスとなります。

(資料1の5ページを示しながら)
 予算の比較ですが、実質的な当初予算ベースということで、当初予算に経済対策分を加えると、平成29年度に対して平成30年度は76億円のプラスになります。普通建設事業費につきましても、平成29年度は943億円だったものが、平成30年度は1,072億円で、プラスになります。
 ちなみに先ほども申し上げましたが、当初予算ベースで比較しましても、特殊要因を除く実質ベースでみると33億円の増になります。用地の先行取得対策費として、従前より土地開発公社に対して貸付を行っておりました分が59億円、今年度から剥落をいたします。さらに公債費につきまして、償還期日が来るものが減ずるということで、この両方を足すと116億円が今年度当初予算ベースと比べて剥落します。これを除くと4,476億と4,509億の比較となり、33億円の増となります。そういうことで、一見当初予算ベースでマイナスのように見えますが、実質的な中身を見ますと、30年度予算は、積極型の予算と言えるかと思います。

(資料1の6ページを示しながら)
 こちらは、当初予算の歳入・歳出の構成、さらに財源不足額への対応についてのポイントをまとめたものとなります。一般財源総額は6億円増、プラス0.2%となっていますが、今年度について非常に大きかったのは、実質的な地方交付税が減と書いてありますが、リーマンショック後に設けられた交付税の歳出特別枠が廃止になることです。これに最も恩恵を受けていたのが高知県のようなところで、その分が廃止された影響は非常に大きいと思います。
 ちなみに、歳入面では、皆さんのご協力をいただきまして、高知競馬の運営が大幅に改善されたことから、昭和57年度以来36年ぶりに設置団体への利益配分が実現されました。こちらは、3,000万円となります。
 歳出面におきましては、従来よりも積極的なスクラップ&ビルドに心がけました。事務事業の見直しを行ったのは199件、35.6億円の減で、これに対してビルドとして約37億円相当新たに事業をつくりまして、新陳代謝を図っています。
 歳入・歳出両面にわたる工夫ですが、重要施策の推進に当たって、それにふさわしい形での財源を確保するべく努力をいたしました。一つには国の有利な財源を活用することでして、地方創生関係の交付金の充当を見込んでいます。そしてもう一つは、土地開発公社につきまして、今回抜本的にスキームの整理を行いました。それに伴い、長年活用実績のなかった土地開発基金を防災目的の基金にリニューアルして、今後防災対策の加速化に活用しようと、この予算案に盛り込ませていただいております。
 これらの取り組みの結果、財源不足額は159億円となります。これに対してどのように対応するかですけれども、先ほど申し上げたことと重複しますけれども、今回の予算においては、二つの工夫をしています。
 一つは、28億円相当の防災対策基金を創設したことから、一定財政調整的基金の確保が図れるようになりました。併せてもう1点、県債残高の発行か基金の取り崩しか、常にこの二者選択を迫られますけれども、高知県の県債残高の水準は、財政の将来負担比率を見ても、全国で15番目に良い状況にあることも踏まえて、どちらかと言うと、今回は、県債の発行額を増加させて基金の取り崩しを抑制するという対応を取りました。
 県債発行額につきましては、2月補正予算で20億円追加発行しました。そして当初予算では、昨年度に比べて20億円増額して発行することになっています。それぞれほぼ対応するものがありまして、2月補正は、土砂災害対策を加速しなければならないということもあり、今年度において一般財源の負担が16億円強ぐらい増加するという一時的な増加要因があります。これにつきまして2月補正予算で県債発行により対応することとしました。こちらは単年度要因になろうかと思います。
 そして、当初予算で前年比プラス20億円県債発行したことにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、歳出特別枠の減に伴い一般財源が22億円減じたことへの対応となります。
 以上のような結果として、財政調整的基金の残高は183億円と去年よりはやや下がりましたけれども、9月時点におきます推計値よりはプラス68億円で、十分安定的な財政運営を行うに足りるだけの基金を確保できていると考えています。
 そして、県の実質的な県債残高ですが、約4,950億円と引き続き5,000億円を下回る水準ということでして、ほぼ同レベルを維持し続けていくことができる。かろうじて、そういう形での予算編成はできているのかなと考えているところです。

(資料1の7ページを示しながら)
 今回、事務事業のスクラップ&ビルドをかなり徹底しました。昨年は171件、18.4億円のスクラップでしたが、今回は199件、35.6億円のスクラップでして、これに伴い新たにビルドを行っていくという形で政策の進化を図っています。

(資料1の8ページを示しながら)
 それぞれの柱ごとに、どういう施策を展開していこうとしているか、ポイントだけかいつまんでお話させていただきます。
 まず、産業振興計画は、現在第3期の計画を推進させていただいておりますが、これをこの度、 Ver.3にバージョンアップさせていきたいと考えています。今回、このVer.3にバージョンアップするに当たり、大きく構成及び施策を改変、強化しました。一つは、新たに施策群を付け加えることとしました。こちらにありますように、「成長の壁を乗り越えるための取り組み」を産業振興計画において強化します。いわゆる成長のためのボトルネックの解消を図ろうということです。その端的なものとして、現段階においては人手不足だろうと思います。人手不足という成長の壁、ボトルネックを乗り越えるために、働き方改革を推進する取り組み、さらには移住促進の取り組みなどと組み合わせて、いわゆる担い手を確保するための取り組みを一群のものとして強化しております。さらに、省力化・効率化に向けて一連の設備投資などにつきまして、施策を強化しようと試みているところです。
 ただ、ボトルネックの解消を行っていくだけでは、先々に向けた成長という観点からは不十分だと考えています。やはり先々の成長に向けてメインエンジンをさらに強化していくことが非常に大事だと考えておりまして、今回、特に継続的に新たな付加価値を生み出す仕組みを強化していく取り組みを意図的に仕掛けている部分がいくつかあります。例えば、自然体験型観光をポスト維新博として打ち出していくための準備を進めることは大きな施策群の塊そのものだと思っています。さらに、農業施策についても、今展開しています次世代農業の次々世代版、NEXT次世代型農業等の展開を図るなどという形で、さらに一群のものとして強化しようとしています。さらに、IT・コンテンツ関係の産業の集積を図るための取り組みも強化しようとしております。
 メインエンジンを強化する取り組みと、ボトルネックを解消するための取り組みをともに支えていくための取り組みとして、四つの施策群を盛り込んでいます。こちらは全く新しい施策群となります。と言いますか、今までも一部取り組んでおりましたけれども、これをより塊として大幅に対応強化をしようとしたものです。
 起業・新事業展開の促進を図るための取り組みは、今までのKOCHI STARTUP PARKの取り組みに加え、IT・コンテンツ関係の産業の集積を図るための取り組みを、特に人材育成面において大幅に強化することとしました。この起業・新事業展開の促進を図る取り組みは、そのまま付加価値を新たに生み出していく取り組みにつながるものであります。
 そして、3期から新しく加わった施策群ですが、地域産業クラスター等の形成を図る取り組みについては、現在19のクラスタープロジェクトを推進しており、引き続き展開していくことになります。このクラスターを形成していくことにより、地域地域に多様な職を創出することで、地域の担い手の確保につながり、若者を地域地域で残すことができる力を地域地域で強化していくことにつながると考えていますし、集積を生むことは省力化、効率化につながり、新たな付加価値を生み出すことにつながっていくものと考えています。
 さらに今回、施策群としてもともとあったものですけれども、人材育成・確保については全般的に対応を強化することとしました。例えば、IT・コンテンツ産業の集積のための施策を強化するために、IT・コンテンツアカデミーを新たに創設することとし、さらには文化面においても創造的、クリエイティブな人材育成のための取り組み、そして文化の取り組みを産業化していくための取り組みなどを後押ししていくための人材育成プログラムなども、新たに設けることとしました。さらに、農業担い手育成センター、農業大学校、それぞれにおいてプログラムを改編するとともに、新たに林業大学校を開設していくこととしています。
 そして、ボトルネックの解消にしても、さらなる付加価値の創出についても、さらには交易の範囲の拡大についても、事業戦略の策定をしっかりしていくことが極めて重要になっていくと考えています。事業戦略の策定と実行支援の強化については、一次産業、二次産業、三次産業全般について支援を強化したいと考えています。これまで、特にものづくり企業について、事業戦略の策定に大変力を入れていましたけれども、商工会・商工会議所の皆さまについても、さらに一次産業に関係する方についても、それぞれ事業戦略の策定支援の取り組みを強化しようとしているところです。
 後で申し上げますが、事業戦略の策定支援について、前後について非常に対応を強化しようとしています。一つは金融機関との連携を強化するということです。金融機関と連携して事業戦略を策定することを通じて、省力化の取り組みや、付加価値向上の取り組みのための設備投資などを、力強く支援していけるような取り組みができないかということを意図しています。特に民間活力の活用を意識したところでして、金融機関の皆さま方に、初めから事業戦略の策定と実行に関わっていただくことを通じて、先々にわたって民間主導で経済発展していける仕組みを仕込んでいければという思いを込めて取り組もうとしているところです。

(資料1の9ページを示しながら)
 高知県の経済の状況を見ていただきますと、従前より説明していますが、生産年齢人口が減少していく中において、全般的にさまざまな生産量が拡大し、実質GDPベースでも、昔の連年のマイナス成長から現在プラス成長に転ずるようになってきました。プラス成長、明確に拡大する経済に基調が変わってきていると考えています。

(資料1の10ページを示しながら)
 労働生産性などにつきましても、高知県は20年から平成26年度までの間でプラス13.2%も成長しており、全国がこの間1.7%減なのに対して言えば随分成長していますし、また賃金という観点からも、国がマイナス成長に対して、高知県はプラス成長ということで、随分高知県経済そのものの自力は付いてきていると考えています。
 しかしながら課題も多く、まだ労働生産性や現金給与総額は全国対比でいけば大体9割という状況に留まっていますし、人口の社会減についてもかつての半分ぐらいに減じたとは言いながらも、まだ1,700人、1,800人ぐらいの人口流出が続いているという状況です。成長の壁を乗り越えるための人手不足を解消していく取り組みをしっかりと行って、ボトルネックを解消し、これに加えて、先々に向けた成長に向けたメインエンジンを強化していくことで、将来に向けた成長をより確かならしめんとしていきたいと考えています。

(資料1の11ページを示しながら)
 ポスト維新博のための取り組みですが、まもなく、市町村向けの説明会なども実施させていただきながら、準備が本格化していくことになります。

(資料1の12ページを示しながら)
 さらに、先ほど申し上げました事業戦略づくりと民間活力の活用ということについて、事業戦略の策定支援は、特に産業振興センターで大変力を入れて取り組んでまいりました。現在100社の皆さんが事業戦略づくりに取り組んでおられますが、この取り組みを引き続き進めます。さらに商工会・商工会議所の皆さんとタイアップさせていただいて、商工会・商工会議所の方では経営計画という言い方をされますけれども、事実上事業戦略となります。この策定支援の取り組みを進めていきますが、当初からできる限り金融機関の皆さんに参加をしていただくようお願いしていきたいと考えています。このことを通じて、一連の計画策定等々で要件を満たしたものについては、国の支援制度を活用して、ものづくりについてのさまざまな補助金、特に設備投資についての補助金を活用できるようにし、さらに補助金を活用した残余の部分についても、もしくはその補助金を使用しなかった場合でも、民間金融機関の皆さまから融資していただき、それに対して県から利子補給するという制度を、一群のものとして組み上げたところです。これによって、事業戦略づくりを、地域地域において各事業者の皆さんに徹底していただき、それに対して金融機関からの融資が行われていくという一群の流れをつくり出していきたいと考えています。
 これらが本格化していって、本当の意味で金融機関から各事業体の皆さま方に本格的に融資が行われていくことになってこそ、本当の意味での経済の自立的成長というパスに乗っていくことになると考えているところです。

(資料1の13ページを示しながら)
 その他、新たな付加価値を生み出していくための取り組みがあります。

(資料1の14ページを示しながら)
 そして、交易の範囲を拡大していくための取り組みという観点からは、特に輸出の振興が非常に大きな焦点となります。交易の範囲を拡大していくことを通じて新たな付加価値が生まれ、さらに交易の範囲が拡大されていくという、良好循環をつくり出していくことは非常に大事だろうと考えています。

(資料1の15ページから17ページを示しながら)
 さらに、交易の範囲の拡大という観点から、一例を挙げれば、林業分野において、A材の需要拡大の取り組みを進めていくことを行っていきますし、移住施策については一連のバージョンアップを行い、さらにIT・コンテンツ関係につきましては、本格的な人材育成のための講座群を新たに設けることとしています。IT・コンテンツ関係の豊富な人材がいるので、企業の立地が進み、企業の立地が進むので、さらに人材が集まってきて、それがさらなる企業集積につながっていくという形で、IT・コンテンツ関係の企業集積、産業集積を高知県につくり出していきたいと考えています。

(資料1の18ページを示しながら)
 こちらに、事業戦略の策定・実行支援の取り組みについて詳しく書いています。冒頭申し上げましたようにボトルネックを解消するための取り組みの一つとして、働き方改革を進めていくことが非常に大事だと思っています。単なる啓発活動では実効性がない。この働き方改革について非常に大事なことは何か。やはり事業戦略の中に明確に働き方改革を織り込んでいくことで、持続可能かつ実効性ある形で働き方改革を進め、それが人材の確保につながって、さらに事業の発展にもつながる。社員の皆さまの幸せ、ワークライフバランスにもつながるという好循環をつくり出していくことが大事だと考えています。そういうことで、国の制度として新たにつくられる働き方改革推進支援センターと高知県産業振興センターがタイアップさせていただいて、産業振興センターが事業戦略づくりをお手伝いする。その対象に対して、働き方改革推進支援センターの方で、働き方改革、労働環境の改善という要素を事業戦略に入れ込んでいただきますように、一緒に働きかけをさせていただく形でタイアップさせていただきたいと考えています。明確に事業戦略に織り込む形で、働き方改革が推進されていくようにと考えています。

(資料1の19ページを示しながら)
 商工会・商工会議所に対しまして、経営計画の策定支援の取り組みを大幅に強化したいと考えております。経営支援コーディネーターを五つのブロックに配置させていただく。この川下に、先ほど申し上げました国の補助金の活用、さらには新たに設けた金融機関による融資、利子補給の仕組みも併せて対応させていただくという形で、セットさせていただいています。
 続きまして、日本一の健康長寿県構想ですが、こちらは今回Ver.3にバージョンアップしましたことは後でご説明します。

(資料1の21ページを示しながら)
 教育の充実と子育て支援の取り組みについて、こちらは今回の改定の内容、柱は5本となります。一つはチーム学校の構築のさらなる推進。そして、厳しい環境にある子どもたちへの対策などになり、チーム学校の構築のさらなる推進という観点からは、中学校について、教科の縦持ちを事実上全面実施することと、高知市教育委員会と連携した指導体制の構築をすることが大きなポイントになります。
 また、高等学校においても、学校支援チームを設けて、学校における学力進路希望を持つ生徒への指導などを充実できるような取り組みを強化いたします。働き方改革については、後で申し上げます。また、厳しい環境にある子どもたちへの支援など、一群の取り組みをそれぞれ強化しております。

(資料1の22ページを示しながら)
 先ほど申し上げましたように、小中学校の授業改善という点におきましては、縦持ちを通じて教科会、すなわち、日ごろより学校におけるOJT活動を充実させていく取り組みについて、一定規模の中学校で全て全面的に実施することになります。これにより、平成30年度の実施校は31校となります。
 さらに、高知市教育委員会への指導主事派遣です。県市の教育版の連携会議で合意させていただいた内容に基づいて、高知市教育委員会に6名の教員を派遣することを通じて、県市連携のもと、学力向上のための取り組みを強化していきたいと考えています。

(資料1の23ページを示しながら)
 また、高等学校におきましても、このチーム学校の取り組みを本格化していくことになります。各校において、学校経営計画に基づいて、学力向上プラン、さらには社会的自立のための進路支援プログラム、社会人になっていく子どもたちもたくさんいますので、こちらも非常に大事です。こちらの両方の取り組みをしっかり充実させていくべく、取り組んでまいりたいと考えていまして、高等学校課に学校支援チームを設けて、本格的にチーム学校の取り組みを高等学校に展開していくことになります。今回、これが一番大きな改定内容になろうかと考えています。

(資料1の24ページを示しながら)
 そして、多忙な教員の皆さまがたくさんお出でになるということです。子どもと向き合う時間をしっかり確保していくためにも、教員の働き方改革をしっかり進めていくことが大事だろうと考えていまして、まずは勤務時間の見える化をしっかりしていくシステムをつくっていくことが第一だと思います。併せて、部活のための取り組みなどについて、一定負担を軽減できないか。外部人材の皆さま方にお願いをしていきながら、負担を軽減する取り組みを進めていきたいと考えています。

(資料1の25ページを示しながら)
 南海トラフ地震対策について、当初予算ベースでは、大型の県有施設の耐震化工事が終わった結果、330億円から304億円と、やや減少していますけれども、2月補正における経済対策込みでは、ほぼ前年度並みの予算を確保しています。行動計画に位置づけられた取り組み数も前年に比べてプラス5となっており、引き続きハイペースで、南海トラフ地震対策進めてまいりたいと考えております。

(資料1の26ページを示しながら)
 特に今年度非常に力を入れなければならないのは、住宅の耐震化です。国の新たな補助メニューもしっかりと活用させていただきながら、住宅の耐震化の取り組みをさらに加速していきたいと考えています。

(資料1の27ページから28ページを示しながら)
 インフラの充実と有効活用について、道路、河川それぞれ治山、砂防、その他、それぞれの取り組みをしっかり進めていくことが大事だと考えておりまして、それぞれ、こちらに記載しております箇所について、インフラ整備を着実に推進してまいりたいと考えていますが、特に29年度補正予算と30年度当初予算においてポイントとなるのが土砂災害特別警戒区域の基礎調査の取り組みになります。

(資料1の29ページを示しながら)
 今まで啓発の意味も込めて、イエローゾーンの指定を強化してまいりましたが、今回本格的にレッドゾーンの指定に取り組んでいくこととなります。国の基準で31年度末までに調査を完了しようとなっていることもありまして、30年度に残余の約1万6,000カ所の内、1万カ所相当の予算を計上し、その翌年度に6,000カ所相当の予算を計上して調査を進めたいと考えています。
 実際には補正予算と当初予算でこういう割り振りになっていまして、先ほど申し上げました補正予算における起債の20億円の増額発行は、この8,500カ所相当分をしっかりこなしていくために、一時的に増額した経費に対応するものとなります。こちらをしっかり進めていくことは、台風災害から人命を守る、財産を守るとともに、併せて南海トラフ地震における山津波の対策という観点からも有効だろうと考えているところです。

(資料1の30ページを示しながら)
 中山間対策は、集落活動センターのための取り組み、さらには貨客混載のための取り組みなどにつきまして、大幅に対応を強化していきたいと考えています。

(資料1の31ページを示しながら)
 特に、集落活動センターの事業が一定軌道に乗られた皆さま方について、より本格的に地域の主要産業となることを目指して、経済活動を強化されることを応援していくための補助金を新たに設けることとしています。

(資料1の32ページを示しながら)
 少子化対策の充実・強化と女性の活躍の場の拡大という観点から、特に少子化対策では、男性の育児休暇、育児休業の取得促進を図る取り組みを本格実施していきたいと考えています。ご案内と思いますが、男性の育児休業、男性がどれだけ家事を手伝うかということが、第2子の出生割合に大きく影響を与えているという調査があります。男性の育児休暇、育児休業の取得を通じてワークライフバランスの取り組みを一層推進できないかと考えているところです。
 次にもう1点、担い手確保という観点からも、そして何と言いましても高知の女性の皆さま方の持てるお力を大いに生かしていただく、大いに発揮していただくという観点からも、女性の活躍の場の拡大の取り組みを強化していかなければならないと思っています。ファミリーサポートセンターについてさらに普及を図っていきますとともに、就職支援の取り組みとして実績を上げてきた高知家の女性しごと応援室の取り組みをさらに強化していくことを考えているところです。

(資料1の33ページを示しながら)
 文化芸術の振興の観点からは、文化人材育成プログラムを大幅に強化していくことを考えています。また、漫画につきましては、世界まんがセンバツの取り組みを春の一つのイベントとして実施していけないかということなども、今回の予算であげさせていただいているところです。

(資料1の34ページを示しながら)
 そしてスポーツの振興という観点ですが、大きく言いますと三つの塊があります。一つは県民の皆さま方のスポーツ参加の拡大を図っていくために、総合型スポーツクラブの皆さま方などのご協力をいただきながら、地域地域でスポーツを行っていくハブをしっかりつくり上げていきたいと思っています。そして、競技力の向上を図っていくための取り組みとして、子どものころから子どもたちがそれぞれの適正に応じたスポーツに出会う場をつくりたいと思います。さらに、特に有望選手を選抜していくシステムも新たにつくり、それに合わせて全高知チームとして、競技ごとに一定の競技力を持った有望選手の皆さま方が、常設のチームとして常に存在していく。そして、この全高知チームに県外からも特別強化コーチを招いて、非常にハイレベルな指導を行っていけるような体制をつくっていきたいと考えています。ちなみに、今日夕方に初めての全高知チームとして、ソフトボールとレスリングの全高知チームが立ち上がることになります。
 併せて、スポーツ医科学を有効活用することが極めて大事でして、スポーツ医科学の効果的活用のための拠点をつくりたいと考えています。
 そして、最後の塊になりますけれども、スポーツを通じた活力ある県づくりとしまして、スポーツツーリズムの推進と併せて地域スポーツハブの振興を図っていくことを通じて、潜在的なスポーツ需要に応えられる状況をつくることで、産業化にもつなげていくことができればと考えているところです。

(資料1の36ページを示しながら)
 以上が当初予算になりますが、併せて明治150年記念人材育成プログラムというものも実施していくことを予定しています。さまざまなフィールドワークなどや、薩長土肥の4県との交流などを通じ、11月11日を予定していますが、明治150年記念式典を実施し、その場で子どもたちに、自ら考えた志等々成果発表していただく機会を設けたいと考えているところです。

(資料1の38ページを示しながら)
 2月補正予算ですが、こちらにつきましてはこういうラインアップで対策を進めさせていただこうとしています。特に地方創生拠点整備交付金を活用して生産性革命に資する施設整備をしたいと考えており、一つは工業技術センターにおいて、低温実験室等を改修することで食品加工の支援体制を大幅に強化します。さらに、特に農業技術センターに新たな高軒高ハウスを新設して、IoT技術を活用した環境測定装置等を導入します。これによって、先ほど申し上げた次世代型の高知園芸システムのさらにNEXT版開発のスタートとしたいと考えています。
 また、JAグループさんが建設を予定している大規模直販所への支援、さらには、19のクラスタープロジェクトの一つですが、土佐清水市のメジカ産業クラスタープロジェクトの中核となる施設の整備や、さらには先ほど来申し上げております土砂災害特別警戒区域調査の大幅な加速化などの対策をとりたいと考えています。

(資料2「平成30年度の組織改正等による体制強化の概要」により説明)
(資料2の1ページから2ページを示しながら)
 こちらが組織改正の中身になりますが、こういう形で一連の体制強化を図っていくことになります。食肉センターの整備準備室を強化することとしています。さらに輸出振興室を設けることとしています。また、県立林業大学校の本格開校がいよいよ行われることになります。後で申し上げますが、日本一の健康長寿県構想に合わせて、地域包括ケア推進監を配置するなどの対応をすることとさせていただいているところです。

第3期日本一の健康長寿県構想Ver.3

(資料3「日本一の健康長寿県構想第3期Ver.3のポイント」により説明)
(資料3の1ページを示しながら)
 本日改定した日本一の健康長寿県構想の内容について、ご説明させていただきます。日本一の健康長寿県構想も本日第3期Ver.3にバージョンアップさせていただきました。五つの大目標ごとにそれぞれ改定をしています。

(資料3の2ページを示しながら)
 壮年期の死亡率改善という観点からは、ヘルシー・高知家・プロジェクトを充実させようということで、健康パスポートの取り組みをさらに充実させるとともに、血管病の重症化予防対策について、よりきめ細かい形で対応を進めていくことにしています。
 さらに大目標の2、地域地域で安心して住み続けられる県づくりという観点からは、高知版地域包括ケアシステムの構築を図りたいと考えています。地域地域であったかふれあいセンターや訪問看護、訪問介護など、それぞれ地域包括ケアシステムを構成する要素が育ってきていますので、それを一群のものとして、システム化していくための取り組みを強化していきたいと考えています。
 その中でも特に重要なのが、いわゆるゲートキーパーとしての役割となります。一つはかかりつけ医、さらにもう一つは地域包括支援センターの取り組み、この二つが非常に重要になってこようかと思いますけれども、かかりつけ医を養成していくための、一群のプログラムを強化することとしています。さらに療養病床から新たな介護医療院に向けての転換を支援していくこともQOL向上の観点から大事だと考えていまして、防災対策上の観点も加味して、こちらを応援していくような制度も新たに設けることとしています。
 QOL向上という観点からは、医薬品の適正使用等の推進も非常に重要になってまいります。高知家健康づくり支援薬局の大きなネットワークが高知県内にできてきています。この皆さま方にお願いをいたしまして、それぞれ患者の皆さま方に重複投薬の是正などの指導を行っていただくような仕組みを設けていきたいと考えているところです。

(資料3の3ページを示しながら)
 厳しい子どもたちへの支援という観点からは、高知版ネウボラを本格的に展開していきたいと考えておりまして、まずは高知市といの町において、取り組みを強化していきたいと考えています。これは事実上、二つのパーツに分かれることになります。母子保健を通じてリスクケースを発見し、虐待防止を行っていこうとする取り組み群と、もう一つは子育てについてのさまざまな不安解消を図っていくことを通じて、働きながら子育てしやすい環境づくりを行っていくための取り組みです。この二つの取り組みを塊として実施していきたいと考えていまして、後者につきましては、特に少子化対策という観点からも有効であろうと考えているところです。併せて、先ほども申し上げましたが、男性の育児休暇、育児休業の取得促進の取り組みも実施してまいります。
 最後、大目標の5についてです。一つは福祉機器の導入による負担軽減と業務効率化ですが、効率的な福祉の取り組み、介護職員の負担の軽減を図っていくために、非常に有用な機器の導入について、予算を従来1,600万円ぐらいでしたが、これを3,300万円ぐらいまで倍増させていきたいと考えています。こちらもいわゆる人手不足と言われる問題に対応するものでもあると考えているところです。そして、良好な職場環境の整備を行って、それにより人材確保を図っていくための取り組みです。先ほど、働き方改革、産業振興計画の方でもそのようなことを申し上げましたが、福祉の分野におきましても、人材確保をにらんで働き方改革をしっかり進めていくような取り組みを行っていきたいと考えていまして、そのための新たな認証制度の本格的実施を考えているところです。

(資料3の5ページを示しながら)
 こちらが、先ほど来申し上げております高知版地域包括ケアシステムの仕組みとなります。介護予防、生活支援サービスを行っていく段階から発病されて入院される段階があり、その後、どうしていくのか。入院を継続されるのか、在宅へ移っていかれるのか、ここのゲートキーパー機能が非常に重要になってまいります。それを担う、かかりつけ医を養成するための仕組みをしっかり行ってまいりたいと考えていますし、さらに入院から在宅生活への円滑な移行といったとき、どういうサービスを地域地域で受けることができるのか。そこをしっかりお勧めしていく機能も大事だと考えていまして、ここで地域包括支援センターのゲートキーパー機能も非常に重要になってまいります。
 あったかふれあいセンターができ、さらに訪問看護、訪問介護の取り組みなども一定進んできており、一つ一つの要素が一定充実してきていると思っています。あとはこれを一群の仕組み、流れとしてシステムとして、お互い連携して、川上・川中・川下へと良い流れができていくように、全体をシステム化することが非常に重要だと考えています。
 ゲートキーパーが特に肝になりますから、こちらの養成をしっかり行っていきますとともに、全体の関係者間でのシステムづくり、そのための地域包括ケア推進協議体を各地域に設置していきたいと考えていますし、その任務を担う地域包括ケア推進監を、各福祉保健所に配置をする取り組みなども行わせていただきたいと考えているところです。

基金残高

(木田・時事通信記者)
 基金についてお聞きしたいのですが、知事はこれまで基金は不測の事態や公共施設の老朽化に備えたものであって、残高が増加していることをもって地方一般財源総額や交付税を削減することは認められないとおっしゃっていますが、今回の来年度の当初予算案の編成の全体の中で、基金がどのような役割を果たしているとご覧になっていらっしゃいますか。

(知事)
 基金には、時々の重要課題をしっかりこなしていくための財源確保という観点がありますが、さらにその財政負担をしっかり平準化していく役割も持っていると思っています。
 例えば、今回新たに創らせていただくことになった防災目的基金、昭和44年にでき50年かけて一定積み上がってきた基金を防災対策に充てるということです。来るべき南海トラフ地震に備え、そのときのダメージをできる限り軽減するように備えていくことであって、50年、100年スパンの仕事を今やっていこうとするものです。50年、100年スパンの仕事に対して、50年かけて備えてきた基金で対応していこうとするもので、いわゆる負担と効果が時期としても平準化していくことになると思います。
 基金を生かすということはこういうことだと思っていまして、長年にわたって積み重ねてきた負担を生かして、長年にわたって効果が生じる事業をある時期に集中して行っていこうということにつながるものだと考えています。負担の平準化と財源の確保、必要な事業を短期集中的に実施し効果を長期にならしめるという一連の流れを考えたときに非常に有効な対策だと考えているところです。
 多くの基金は、実際にはこのような形で積み立てられてきていると思います。長年にわたって貯めてきた財源負担でもって長年にわたって効果をもたらす庁舎整備という事業を実施するということは、時間的な負担の観点からも均衡していると思います。一時的な積み上がりでもって、瞬間のある一時点だけを取り出して財政状況が好転しているという見方はおかしいと思います。

平成30年度当初予算(案)

(竹村・テレビ高知記者)
 予算案全体の特徴についてお伺いしたいんですけれども、表紙の方にも「基本政策のさらなるバージョンアップ」とありますけれども、これは何かに特化したというわけではなく、五つの基本政策を全体的にバージョンアップさせる予算案という認識でよろしいでしょうか。

(知事)
 財政規律を保ちつつも県勢浮揚に向けた歩みを先々まで確かなものとしていこうということを意図した政策群を満載した予算案だと考えています。財政規律を維持すべくさまざまに工夫したということは言うまでもないことですけれども、もう1点、先ほど申し上げましたように、将来にわたって付加価値を意図的に生み出していく仕組みを重視しようとか、事業戦略づくりを重視しようとか、民間活力の導入ということを意図しようとか、こういう取り組みは、基本的には先々に向けて県勢浮揚がずっと続いていくということを何とか確保していきたいという意図で組み立てた政策群だと考えており、すべての分野において人材育成を非常に重視しています。先々の成長を確保し続けていくためにも人材育成は大事だということでそういう取り組みをしているわけでして、先々に向けて県勢浮揚の歩みをより確かなものとしたいという意図を非常に強く込めているところです。

事業戦略等の策定・実行支援

(小笠原・高知新聞記者)
 事業戦略の取り組みに関してですけれども、今までの経済政策は、基本的に何かの事業があってそれに対する補助とか、あるいは何らかのテーマがあってそれに対する事業計画を管理するという方策が多かったと思うんですけれども、今回実際の事業の事業主体に対して直接的にそこに手を入れるというか、そこにアプローチしていくという点で、そこで民間の活力を引き出すということなんでしょうけど、少しそういう意味でお金の使い方が今までと変わってきたのではないかという印象を持つんですが、どのようにお考えでしょうか。

(知事)
 第1期産業振興計画と第3期産業振興計画を比べると大きくその違いが分かると思います。ご指摘のように、特に第1期のときは、例えば補助金を直接投入するというような形で、比較的それぞれの経済主体、事業主体の取り組みを直接的に後押しさせていただくことが非常に多かったと思っています。
 これについては二つあって、一つは、非常に厳しい経済状況の中で、緊急対応的に、とにかく力を入れていかなければならないという側面があったということ、やはりそうでもしないと新しい挑戦になかなかつながっていかないということもあったと思います。
 もう一つは、産業振興計画を始めたときの空気感はいまだに忘れられませんが、地産外商をぜひ進めていくべきだという話をしたら、地産外商なんてできるわけないじゃないか、そんなことができないからみんな困っているんじゃないかということをよく言われたものでした。それでも何とか地産外商を進めていくために、相当、官として直接的に後押しさせていただくような仕組みが必要だと当時は考えたところでした。
 しかしながら、いまや随分様相は変わってきていて、例えば地産外商公社がお手伝いさせていただいている事業体の数も昔は30社ぐらいでしたが、いまや200社近くになっています。さらに言えば、地産外商の取り組みも食品加工の分野だけではなくさまざまな分野で進んでおり、例えばものづくりやそのほか一次産業全般は言うに及ばず、観光などについてもいろいろなところで観光商品づくり、旅行商品づくりの取り組みが行われるようになるなど、随分広がりを見せるようになってきました。
 昔と比べると、いろいろな形で地産外商の取り組みが民間主導で自立的に進んでいくようになってきたと思います。それを踏まえた、それにふさわしい政策的対応が大事だろうと思っているところでして、しっかりと作戦を立てて、その作戦実現のための特に肝となる部分について後押しさせていただくような取り組みを非常に重視しています。
 そういう意味において、昔とは随分様相は変わってきていると思っていて、我々は、直接的にという部分から、どちらかというと触媒的に機能するような形で対応させていただく要素がだんだん増えてきている感じなのかなと思っています。

(小笠原・高知新聞記者)
 そういう意味で少しステージが変わったということですか。

(知事)
 もちろんそうだと思います。特に2期から3期になるときに、少しそこのところを意図し始めたつもりで、事業戦略づくりの取り組みをスタートさせました。ただ、スタートさせたときは、本当にうまくいくのか分からないところがありました。しかしながら、実際やり始めてみて、極めて有効だし、関係の皆さんからも、こういう施策こそ大事なので絶対にやめないようにとお声をいただくこともありましたので、今回、それを様々な分野に本格的に波及をさせていきたいと考え、二次産業の分野だけでなく、三次産業や一次産業全般についても事業戦略づくりに取り組むこととしました。
 ちなみに、地域アクションプランはもともと事業戦略づくりの取り組みそのものだったんですけどね。ただ、地域アクションプランでも、昔は総合補助金の交付に重点が置かれていましたが、今はどちらかというとプランそのものをつくるところに重点が置かれているので、やはり違いは出てきているのだろうと思います。

(小笠原・高知新聞記者)
 まさしくそういうことなんでしょうけど、一方で、やっぱり行政が民間の戦略づくりを手伝っていくというのは結構踏み込んだ形だと思うんですが、先ほど非常に効果があるということでおっしゃっていたんですけど、何かそういうものが機能する高知県なりの背景とか事情とか、やっぱりなかなか高知県、ほかの県がちょっとそういうアプローチをしているのか分からないんですけれど、高知県的にはやはりこの方法が有効であるということでしょうか。

(知事)
 県が各事業体の皆さま方の事業戦略づくり自体をお手伝いするのではなく、事業戦略づくりをいろいろ後押しできるような場をコーディネートする仕組みをつくって、実際には事業戦略づくりのアドバイスに長けた方が事業体の皆さんにアドバイスをされる。そういう場をさまざまな形で設けることで対応させていただいています。
 それでも踏み込んでいるということになるのかもしれませんが、二つあると思います。高知の場合は昔に比べれば、交易の範囲の拡大が急激に進んでいると思います。そうした中、新たなステージに立って、新たな対応をしていこうと考えておられる事業体の皆さまが多いという状況にありますので、その機会は大いに生かしていかなければならないと思います。例えば、お酒は輸出などについて本格的に考え始められていますし、防災関係のものづくりなども輸出を考えていこうとしている時期にあるということが一つです。
 もう一つは、「官から民へ」と昔よく言われましたが、世界の潮流は本当に官から民へなのか。例えばドイツや欧州の各国でも、インダストリー4.0の時代において、全体としての大きな戦略の方向づけについて官の果たしている役割は大きいと思います。民間が活力の主体で、それに刺激を与えるインセンティブづけをして誘導していくだけの施策というより、全体としていろいろな情報を総合して、官としてこういう分野はどうでしょうかという提案だったり、実現に向けてのプロセスとしてこういうものがあって、こういうバックアップできる場がありますよという一連の仕組みを設けて、産業育成をしていく取り組みがヨーロッパなどでは主流だと思います。
 高知のようにもともと経済が非常に厳しいところにおいて、そういう官民協働型の取り組みをしっかり進めていくことは、むしろこれから世の中全体として一つの流れになっていくとも思っています。日本政府もそういう方向にだんだん変わっていると思います。官から民へとだんだん言わなくなっているでしょう。そこはやはり違うのではないかなと思います。
 ただ、本当に小笠原記者のおっしゃるとおりで、経済の状況、ステージに応じて、我々も対応の仕方を変えないといけないと思うので、そういう意味においては今回ボトルネック対応型を強化したということもありますけど、例えば、(資料1の8ページにある)ポイント7やポイント8は少し地合が変わってきていることを踏まえての対応だと思っています。

防災対策基金の創設

(今村・読売新聞記者)
 防災対策基金について2点質問させていただきます。防災対策基金をつくるに当たって、土地開発公社の債務処理のスキームの一端で土地開発基金の歳入欠陥を補てんしたうえで廃止して、そこの残余金と運用益を充てると聞いておるのですけれども、なぜ今この防災対策基金というのをつくられようと、残余金があるにしても、なぜこれを防災対策基金にしようと思われたのかという、知事の意図をお聞きしたいのが1点。2点目が、この基金は財政調整基金の一部として位置づけるということですけれども、どういった使途を今のところ考えておられますかというところが2点目です。

(知事)
 一つは、土地開発公社の整理が今の段階が県民の皆さま方にとっての負担という観点からもベストだということは言うまでもないことだと考えています。そのうえで、土地の先行取得のためのもともとの基金の扱いをどうしていくかということがいろいろ考えられますが、先程来申し上げたように、この基金は造成して48年間経ちます。48年間かけて蓄積してきたこの資金の使途としてふさわしいのは超長期にわたって高知県に効果をもたらすものであり、かつ現在において最もニーズが増高しているものが非常にふさわしいのではないかと考えたところです。これにぴったり当てはまるのが防災だろうと思っています。
 いわゆる超長期の建設国債を発行する発想だと思います。100年に1回の大規模震災に備えていくためには、本来100年で負担を平準化していくことが最も望ましいと思います。現実的にそういう債券の発行というのはかなわないですけれども、こういう基金をうまく生かすことで、50年間かけて造成してきた基金を100年ごとの事象に対応するために、今まさに必要とされている事業に充てていくということは理にかなったことだと思っています。防災対策のためのニーズは多様にありますので、一定防災対策のために資するもの、取り組み全般に充てることができればと思っています。
 防災対策のために、特定目的のために限定した基金はあと二つありまして、一つは県有建築物の耐震化のための基金があります。こちらはかつて東京などにあった土地を売却してつくった基金で、これは県有建築物の耐震化をどんどん進めていく中でもう間もなくなくなろうとしています。その分、県有建築物の耐震化が概ね終わるぐらい進んできたと思っています。
 もう一つは職員の給与カットしたお金を積み立ててつくった「こころざし基金」があります。こちらは保育園や幼稚園の高台移転のために使わせていただいている基金でして、こちらもそろそろなくなっていく中で、これらの後継としてということもあります。まだまだ、避難所の確保のための耐震化のための取り組みや災害時の医療救護のための拠点施設の整備などやらなければならないことは膨大にあります。こういう仕事にも柔軟に充てていけるものとして使うことができればと考えています。

(今村・読売新聞記者)
 万が一起きたとき、いつ起きるか分からないわけで、近々に起きたときにですね、当座の対応のときのお金として、この基金が使われるということも当然県としてはあるということでしょうか。

(知事)
 もし起きるのが不幸にして比較的近くであれば、そういうことも当然考えられると思います。ただ、当面は特に南海トラフ地震対策を念頭に置いて、防災・減災のための取り組みを進めるために活用していくということになろうかと思います。

(今村・読売新聞記者)
 今のお話だと、ハードだけではなくてソフトの分も使うということでしょうか。

(知事)
 あり得ると思いますが、基本的にはハードだと思っています。

(今村・読売新聞記者)
 基本的にハード整備ということですか。

(知事)
 それが望ましいと思います。ハードを本格的に機能させるためにぜひともなければならないソフト事業もあるので、そういうものに活用することはあり得ると思いますが、先ほど建設国債の発想だと申し上げましたが、逆に言えば、建設国債の対象としてふさわしいような事業ということに一定限定はされていく方向だろうと思います。

高知版地域包括ケアシステム

(五十嵐・高知新聞記者)
 地域包括ケアなんですけど、全国的にも包括ケアに取り組んでいますけど、これをあえて高知版として、高知版たるゆえんはどこにあるのかお聞かせください。

(知事)
 中山間地域が非常に多いということを踏まえた対応をしなければならないということだと思っています。特に大きいのは福祉分野だと思います。あったかふれあいセンターという形で、地域での介護予防や生活支援サービスを行っていく場を意図的につくってきたのが典型的な高知特有の事情だと思いますし、さらには在宅医療や在宅介護、もっと言うと訪問看護や訪問介護などの取り組みについて、特に遠隔地に対しては特別な補助金を出すなどという仕組みを設けさせていただいて、こういうものの量を確保しようとしてきたことも中山間特有の事情だと思います。
 ただ、もう一つ、非常に大事なのは、ゲートキーパー機能を果たしていこうとするときに、高知は中山間が多いので、病気になるとそのまま高知市に出てきて高知市で入院することがどうしても多いという事情があります。そういう中において、ご本人の希望に応じてできる限り地域地域で住み続けられるようにしていくためにはどうするかということについて、このゲートキーパーの果たす役割は非常に大きいと思います。
 ご本人は、中山間でも訪問介護、訪問看護の仕組みが受けられることをご存知ない。しかしながら、そこをしっかりご説明をすることを通じて、そういった形で住み続けられるなら引き続き町、村にいようという形になっていくということが出てくると思います。そういう意味において、ゲートキーパーの役割は、その選択肢が一見少ないように見える中山間だからこそ非常に重要になってくるところはあると思います。
 ですから、中山間特有の取り組みとして、この地域包括ケアシステムという言い方だけではなくて、高知の中山間に特有のふさわしい対応をしっかり強化したという点において、この「高知版地域包括ケアシステム」という言い方をさせていただいたということです。
 もっと言うと、高知特有の事情で言えば、ここにドクターヘリの安定的運航確保を明確に書いているということは、典型的な高知の事情だと思います。ヘリポートを作って、ドクターヘリシステムを作るというのは、中山間が多くて道路事情が残念ながらまだ良くないということを典型的に踏まえたものだと思っています。

(五十嵐・高知新聞記者)
 課題的なことでいうと、地域それぞれでまだ医療資源とかの差が結構あるかなと思いますが。

(知事)
 おっしゃるとおりです。

(五十嵐・高知新聞記者)
 この辺はどう考えていますか。

(知事)
 例えばかかりつけ医の賦存状況もそれぞれ違います。総合診療専門医の養成を支援する取り組み、例えば高知医療再生機構で一旦雇わせていただいて配置する仕組みを設けるなどで偏在解消に意図的に取り組もうとしています。また、中山間における地域の訪問看護・訪問介護サービスの確保などについて、こちらは○拡とか○新とか付いていませんけど、まだまだ充実させていかなければならない地域はすごく多いと思っています。
 何が足りていて何が足りないかを把握していくためにも、地域の現状はどうかということをしっかりと把握していくような仕組みも非常に重要になってくると思っています。それを実際に行うのが、地域包括ケア推進協議体になろうかと思います。これをしっかり機能させていくためにも、地域包括ケア推進監という形で地域産業振興監の福祉版のような形で地域地域に担当監を派遣していきたいと考えているところです。
 おっしゃるとおり、まず一番にしないといけないのは、地域の医療資源、福祉の資源の賦存量がどうなっているか過不足を把握し対応していくということかと思います。

住宅の耐震化

(大山・高知新聞記者)
 住宅耐震の件をまずお伺いしたいんですが、加速化させる中で予算化も進めていますし、国の新しい事業に対応した予算も組まれているかと思うんですが、これ年間2,000棟というところまで来ているかと思うんですが、場合によってはその業者数が足りないであったりというような新しい課題も出てくるかと思いますが、今後どのように対応していかれるのでしょうか。

(知事)
 それは大きなポイントだと思っています。供給能力の強化に一生懸命取り組んできて、こういう形で増えてきてはいるんですけれども、こちらはまだまだ分かりません。引き続き耐震化を促していく、いわゆる需要面を強化して増やしていくような取り組みをしっかり進めていくとともに、ご指摘のように供給面で二つ大きい仕事をし続けなければならないだろうと思っています。一つは、供給能力を強化するための登録事業者数増や研修などをやっていくことです。もう一つは、できる限り簡易で安価な工事を開発していくことも非常に大事だろうと思っています。
 この中にデータはないんですが、1戸毎の耐震化のための経費が平均で2〜3割ぐらいは減ってきていると思います。安価な工事がだんだん普及してきたからだと思いますが、スピードアップという観点からも個々人の負担軽減という観点からもこの取り組みはさらに進めなければならないと思っています。

知事の給与カット

(大山・高知新聞記者)
 知事の給料月額のカット率は、これまで20%から最大44%までということがあったと思います。平成30年度は10%に引き下げるということですが、まずなぜこの時期なのかというのと、それに対する知事の受け止めを教えてください。

(知事)
 これまで就任して以来、基本的には20%ということで給与カットをさせていただいてきました。理由は極めて厳しい経済状況と極めて厳しい財政事情ということであったと思っています。19年当時、もっと言うと20年当時と今を比べたときに、平成20年当時は高知県経済の底が見えない状況であり、また財政について、債権残高などを見ましても極めて厳しい状況でした。平成26年度の新たなデータも出てくる中において、かつてのように底が見えないという状況ではなく、むしろ経済としても拡大する方向に転じてきたということ、また財政状況についても一定の好転が見られるということなども踏まえて、カット率について緩和させていただこうと考えたところですが、引き続き高知県の経済は厳しいですし、また財政状況も予断を許さないということもありますので、引き続き10%はカットをさせていただきたいと考えたところです。

高知競馬の経営

(大山・高知新聞記者)
 説明の中でもありました高知競馬ですが、36年振りに利益を配分されるということで、知事が存続を決められて、10年前に決められたときからいうと売り上げも、28年度で過去最大になっていますし、今後もさらに伸びるかと思うんですが、今回設置者への利益配分、本来の目的である利益配分というのが行われることになったその受け止めと評価、あともう1点、今後の高知競馬に求める部分、経営の部分を含めてですが、教えてください。

(知事)
 私は平成19年の12月7日に就任させていただきましたが、その前日12月6日に県庁に来てくれと言われて、まだ12月6日は橋本知事が知事室においでになったので、総務部長室で協議をさせていただきました。そのお題が、高知競馬を存続するか存続しないかという話でした。何とかこの高知競馬は存続しなければならない、とにかくこの高知競馬を続けていこうという話をしたところでしたけど、その後も資金が足りなくなりそうになるなど厳しい状況が続く中でいろいろな賞金もカットしたり、給与もカットしたり、大変なご苦労を関係者の皆さんにはおかけしたと思っています。
 ただ、ナイターやインターネットでの販売などの一連の取り組みがヒットしていって、何といっても非常に充実したレースを行えるように関係の皆さんに大変なご尽力をいただいて、サービスの向上も図っていただいて、今があるということだと思っています。本当に関係者の皆さんのご努力には心から敬意を表したいと思います。
 またもう一つ、何といっても高知競馬を支えていただいているのは競馬ファンの皆さんでありまして、高知競馬にさまざまに投票いただいている全国の競馬ファンの皆さんにも心から感謝を申し上げたいと思います。本当に隔世の感があると思いますし、大変感慨深いことだと思います。
 今後の高知競馬に期待することですけれど、ぜひ県民の皆さま、それから全国の皆さまにとって愛される高知競馬であり続けてもらいたいと思いますし、また、そうなるように僕らも努力しなければならないと思っています。さらにこういうことを通じて、ぜひ財政的にも貢献できる高知競馬であり続けられればいいなと思います。

(大山・高知新聞記者)
 現状インターネット販売が多いので、薄利多売的な要素があると思うんですが、高知競馬の経営というのは、今もう安定してきているという受け止めなのか、まだまだ危ない面もあるというふうな感じなのでしょうか。

(知事)
 インターネットを通じた販売は、確かに薄利ですけど、これは高知競馬の一つの事業戦略だと思います。比較的西にあるという位置を生かして、さらにはナイターをうまく生かして、高知競馬しかやってない時間帯を幾つかつくり出して、その部分を全国あまねく広くネットで販売するという作戦で多くのファンを引きつけてきたのが高知競馬だと思います。去年12月31日に高知県知事賞をやりましたけど、実はあの日1日で一番売れたのは高知県知事賞ではありません。たしか最後のレースです。なぜそこが一番売れたか。その時間帯に全国で競馬をやっているのは高知競馬しかありませんでした。そのような作戦を展開しているわけでして、そういう意味において、インターネットを活用した販売は薄利かもしれませんが、高知競馬の一つの強みを生かす領域かと思います。

(大山・高知新聞記者)
 経営は安定しているという認識でよろしいですか。

(知事)
 ありがたいことに今の段階ではいい方向に向かっていると思います。ただ、本当にたゆまぬ工夫が求められるところかと思います。

自民党の憲法改正案

(木田・時事通信記者)
 自民党の憲法改正推進本部で昨日、参議院の合区解消に向けて、各都道府県から最低1人は議員を選出するとの規定を盛り込んだ憲法改正条文案が了承されました。この受け止めをお願いします。

(知事)
 いい方向に展開していただいていると思っているところです。合区解消は高知県にとって極めて大事なことだと思っていますし、もっと言えば日本全体にとっても大事なことだと思っているところです。合区解消を図って、これによって地方の声を国政にしっかり届けていくことが極めて大事だろうと思っています。
 よく陳情とか斡旋してもらうために議員がいないといけないという考えは古いと言われたりしますけど、そういう問題ではありません。さまざまな国政の制度づくりや政策づくりなどをするときに、地方の声を踏まえた対応をしていかないとどんどんどんどん都会中心の政策づくりばかりがされて、それによってもっともっと都会と地方との格差を広げてしまうことになりかねない。国土全体としてその力を生かし切るという観点からも、地方にしっかり配慮した対策、政策をとってもらう必要があって、そのためにも地方選出の議員をしっかり確保することは大事なことだと思っています。
 合区は今止めないといけない。今この三つをそのままにして、合区を今後も継続することになってしまっては、今後もう六つも七つも八つも九つもどんどん合区が増えていくことになります。今この段階で合区を止めることが大事だと思います。

男性の育児休暇・育児休業の取得促進①

(木田・時事通信記者)
 予算に関して1点お聞きしたいんですけど、少子化対策の男性の育児休業・育児休暇の説明の部分で、先ほど知事は男性が手伝うことが大事だとおっしゃいましたけど、男性が育児にかかわる主体性という言葉は「手伝う」という表現では少し弱いのかなと感じたのですが、どういう意図で「手伝う」という言葉を使われたんでしょうか。

(知事)
 特にありません。主体的にかかわるという趣旨です。

合区解消

(大山・高知新聞記者)
 合区に関連してなんですが、自民党の方針は決まりましたが、自民党以外は、与党の公明党も含めて合区、憲法改正による合区解消に否定的な見解を示していますが、このことについて知事はどうお考えでしょうか。

(知事)
 この間も知事会の皆さんと一緒に合区解消について申し入れに行かせていただきました。自民党以外は否定的な見解を持たれている、選挙制度についてそれぞれの考えがあられることは確かだろうと思います。ですが、このまま合区がどんどん拡大していくことを通じて都市と地方の格差がもっと広がるようなこと、そういう基盤が硬直化、確定されてしまうようなことになってはいけないということは非常に大事なことだと思いますので、引き続き、各党の皆さんにこの問題意識は伝えていきたいと思っています。この点、多様な点から議論をされるんでしょうけれども、我々としてさらにこちらの議論はお願いしていきたいと思っています。

地方交付税の減

(大野・高知新聞記者)
 予算のことで、地方交付税について1点お伺いします。国の歳出特別枠の廃止というところで、これは財源確保に苦労されている地方にとっては厳しいところであるんですけど、一方、今年度まではそれが見込めるというところが、見込めるんだろうなという前提で構え、備えはできると思うんですけども、来年度以降ですね、これはどういうふうに見通されていますか。

(知事)
 今年の夏にかけて、財政再建についてのさまざまな議論が展開されていくので、非常に重要なポイントになってくるのだろうと思います。先ほど木田さんも言われましたように、基金が積み上がっているので、中央から地方に向けての歳出はもっともっと削減してもいいじゃないかという流れがあったりしますが、国の予算構造と地方の予算構造は根本的に違います。私も国の予算編成をやっていましたからよく分かりますけど、地方と国は根本的に違います。そういう違いをよくよく踏まえた議論をしていくことが非常に大事だろうと思っていまして、一般財源総額がどんどんどんどん減少していくようなそういう傾向になっていかないように、地方の実情を踏まえた対応となっていくように、しっかり我々として引き続き声を上げていかなければならないと思っています。
 国の財政構造改革に向けた議論をしっかり注視して、また、我々地方としてしっかり声を上げられるように対応していきたいと思います。

旧陸軍歩兵第44連隊弾薬庫等の保存、活用

(中田・高知民報記者)
 朝倉の44連隊ですが、いよいよ大詰めといいますか、その回答の期限も迫っていますけれども、何か方針として言えることはありますか。

(知事)
 この間、専門家の皆さま方に審議をいただいて、一定の価値のある財産だということをご答申いただいたところです。それを考えましたときに、何か検討できることはないかということで教育委員会の方で、さまざまな選択肢を考えているところです。その選択肢を踏まえて、私の方でも最終的にどうするか検討し、対応を考えていきたいと思います。今の段階ではそこまでです。

(中田・高知民報記者)
 2月議会で当然そういう投げかけがあると思うんですけども、その辺は一定答えられるということでしょうか。

(知事)
 2月の段階で答えられるかどうか分かりませんけど、さまざまな選択肢を今検討していることは確かです。

男性の育児休暇・育児休業の取得促進②

(木田・時事通信記者)
 先ほどの質問ですけど、インターネットの辞書を見ますと「手伝う」というのは人の仕事を助けるっていう定義になっていて、尾﨑知事のおっしゃった発言の意図として、育児は女性がやるものだという趣旨でおっしゃったわけではないということでよろしいでしょうか。

(知事)
 全く違います。むしろ主体的にかかわっていくことが非常に大事だと思っておりますので、そういう意味において、その主体的にかかわる契機として男性の育児休暇・育児休業の取得ということは極めて大事だろうと思っています。それをぜひ県庁全体もそうですけど、高知県のいろんな会社において進めていけるようにできればと思っているところでして、例えば宣言をするというようなことができないかということを考えているところです。あくまで主体的に考えるということが極めて大事だろうと思いますし、先入的な役割分担、そういう感覚を持つことはいけないと思います。

県債残高

(五十嵐・高知新聞記者)
 県債残高ですけど、ここ数年微増が続いていまして、この辺のご認識と、今後の方針をどのようにお考えでしょうか。

(知事)
 県債残高は、とにかく少なければいいというものでは決してありません。しっかり県債発行することによって負担の平準化を図ることも極めて大事なことであって、さっき申し上げたように例えば100年の効果をもたらすものについて、単年度の負担ですべて賄うということが本当に正しいのか。そういう場合もあるでしょうけども、できれば100年の効果をもたらすものは100年の負担の平準化によって賄っていくことが正しいということもあると思います。そういう意味において、県債発行を活用していくことは有効な手段だと思います。
 問題は、そのレベルがどれぐらいかということですけれど、一つの目安として、大体この5,000億円前後をずっと維持できるような形で進めていくことができれば、全国の中でも将来負担比率が低位という状況をキープし続けることができると思います。先々の見通しという観点からいけば、まだ粗い試算ですけど、基本的にはこの5,000億円前後は維持できていけるだろうと思っています。ちなみに、これだけ南海トラフ地震対策をやって、あれだけ防災対応の施設を作って対応していて、県債残高をどんどん増やさないで済んでいるのは相当の努力だと思います。普通ならこれだけ南海トラフ地震対策をやれば、債権残高はどんどんどんどん増えていくことになるだろうと思っていますけど、何とかいろいろなやりくりを工夫していくことで、5,000億円前後ぐらいの規模でキープできているということではないかと思います。

はりまや町一宮線

(大野・高知新聞記者)
 現在はりまや一宮線の議論が続いていますけど、当初の方にはないということで当然だと思うんですけども、デッドといいましょうか、年度内の判断というのに変わりはないでしょうか。

(知事)
 次回の協議会が20日ですから、またそこで議論されることになります。そこでの議論を待ちたいと思います。最終的にいつ決断するかについては、次回の協議会の結果を踏まえて考えたいと思っています。

(大野・高知新聞記者)
 整備を進めるということになれば、補正で対応というような形になるということでしょうか。

(知事)
 当初予算には計上していません。先々、次年度内に対応するということであれば、補正予算ということになると思います。

(大野・高知新聞記者)
 議論をどのようにご覧になってますでしょう。このもう大詰め、終盤になっていますけれども。

(知事)
 随分長い時間を掛けて様々な分野から検討をいただいてきていますが、関心の高い事項で、新たな問題提起もされています。その新たな問題提起もしっかり生かして議論をさらに深めていくことができればと思っているところでして、新たな問題提起をいただいた皆さまにも前回の協議会に出席していただきました。20日の次回の協議会にもご出席をいただくべく呼びかけていると聞いていますけれども、そういう形でしっかり議論を深めていただければと思います。

お問い合わせ

総合企画部 広報広聴課
TEL:088-823-9046
FAX:088-872-5494

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