平成30年7月18日  知事の定例記者会見

公開日 2018年11月16日

平成30年7月豪雨による災害について
豪雨災害に伴う行方不明者及び人定情報の提供に係る関係機関の連携について
各自治体による避難勧告や避難指示について
災害時の市町村への人的サポートについて
ビキニ被爆被害者の追跡調査等について
災害時おける自民党の宴会の開催について
人口減少を踏まえた自治体行政のあり方に関する有識者研究会の提言について
公職選挙法改正に係る国会審議について

配布資料:平成30年7月豪雨による災害について[PDF:1MB]

平成30年7月豪雨による災害について

(知事)
 この度の豪雨災害におきまして、全国でも多くの方がお亡くなりになり、本県でも3名の方がお亡くなりになりました。本当に心からお悔やみを申し上げたいと思います。また、ご遺族の皆様にも改めてお悔やみ申し上げたいと思います。大変多くの被害が発生しております。被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 県といたしまして、今後、復旧復興対策、そして次の台風などの災害にどう備えるかということについて、全力を挙げていかなければならないと考えているところです。今回の災害に伴い、応急対策や復旧復興対策、そして今後の対応について、まとめてありますので、こちらでご説明をさせていただきます。
(資料の1ページを示しながら)
 今回の豪雨災害、例えば本山町では総雨量が1,694ミリと平年の6~7月の2ヶ月間の降水量の2.4倍の雨量を観測しており、相当な雨量が降り続いたということです。また大雨特別警報が、高知県で初めて発表されました。総降水量全国上位10地点のうち本県が6地点あるということですから、いかに高知県において豪雨がすごかったのかということがお分かりいただけると思います。
 本県の災害対策本部関係、配備体制などにつきましては、こちらに時系列で記載させていただいているとおりです。これまでの応急対策として救助・救出のための取り組み、さらに河川、道路の応急復旧の取り組み、さらに被災地域への支援の取り組み、事業者支援の取り組み、情報発信、さまざまな取り組みを行ってきました。自衛隊の皆さんにも災害派遣要請をして、大変なご尽力をいただき、本当に感謝を申し上げたいと思います。
 人的被害につきましては、残念ながら死者3名ということであります。物的被害については、まだ調査中ではありますけれども、床上浸水222棟ということでありまして、大変多くの皆様が被害に遭われたということです。そして、累計で50地区1,003世帯、1,748名、これだけの孤立集落が発生しました。さらに避難状況については、7月8日には、1日で最大685人の方が避難をされました。そして、断水につきましては、累計で2,118戸が断水をしたということであります。
 現在は、応急対応の結果もあり、孤立集落は全部で4地区13世帯17人、避難者につきましては10人、断水は0というところまで改善しています。
(資料の2ページを示しながら)
 こちらが豪雨災害時における気象レーダーの映像になりますけれども、安芸市が大変なダメージを受けた時、こういう形で線状降水帯が長期間にわたってかかり続けています。大豊町立川の被災が起こった時の線状降水帯はこの位置にありました。概ね、この物部地区を中心に線状降水帯が移動して、高知県の東部上空に留まっている時期が、かなり長く続いたということです。
 また、7月8日の未明でありますけれども、大雨特別警報が発表される2時間前の気象レーダーの様子について、すでに宿毛で相当量の強い雨が降っており、大雨特別警報が発表された時点におきましては、強力な積乱雲が発生をしたということです。併せて、この時は東部におきましても、大変強い雨雲がかかっていた状況にあったということです。
(資料の3ページを示しながら)
 これに対して、今後の復旧復興対策についてです。まず、この孤立集落への対応を行っていくために、この県道2路線、孤立解消に向けた応急復旧工事を全力で実施中です。例えば、安芸の畑山において緊急車両は通行できるようになっていますけれども、まだ一般車両は通行できていない。そういうところに対し、早期に復旧作業を行うようにし、まだ完全に孤立している集落には、ヘリ等による物資搬送等を実施しています。また、避難者や被災者への支援と併せて復旧活動を全力で対応していくということでございます。
(資料の4ページを示しながら)
 そして、今後気を付けなければならないと思っていることは、次の台風と大雨にどう備えるかということです。私も先週の木曜日や、この週末に、それぞれ被災した土地へ赴き、被災状況を確認して来ました。本当に県土の至るところで満身創痍と言いますか、相当なダメージを受けている状況だと考えております。何とか今回の豪雨災害では被害を免れたところでも、次の台風が来たときには大変大きなダメージを受ける可能性がありますので、あらかじめ徹底して備えておくということが大事であると考えています。
 まず、河川などの治水対策という観点から、県管理河川におきまして、巡視による被害状況の調査・点検を実施して、周辺、人家等、影響がある箇所におきましては、土嚢等による応急対策を実施する必要があると考えています。さらに、安芸川の堤防で被災した箇所においては、堤防の応急的な復旧工事とともに、瀬替工と言いますが、川の流れを変える、水の流れを変える工事を現在、実施しております。また、河川内に流木があって、これがビーバーのダムみたいなものをつくり、被害を増大させたりしている例があります。早急に流木を撤去したり、堆積土砂を撤去したり、優先順位をつけて取り組みなどを行っているところです。
 併せて、土嚢、資機材等のあらかじめの確保や海岸漂着物を除去する対策などの対応も実施していきます。
 また、道路など交通網につきましても、土砂崩れの発生箇所など、被災した交通網の応急復旧ということが大変重要だと考えています。橋梁とか擁壁などの危険箇所を点検し、異常箇所については早急の対応をしなければなりませんが、次回の異常気象時においては、道路の通行規制を早期の段階でかなり厳しく適応させていただきたいと考えております。どういう基準で行うかについては、早急に検討しておりますけれども、通常の規制基準よりも少ない雨量で規制を実施するということになります。
 あと、がけ崩れなど土砂災害の対策ということであります。現在、被災している箇所について、2次災害を防止するための対策を行っていかなくてはなりません。緊急点検を行いまして、危ないと判断した場合には住民の皆様にあらかじめ早期の避難を促すなどの対応をしなければならないと考えています。
 また、被災していない箇所でも、特に雨が多く降った地域でよく確認してみると、ダメージを受けている場所もあると予想されます。市町村と連携して、目視で確認し、住民の皆様にあらかじめ注意喚起を実施するなどの対応も非常に重要だ考えておるところです。
(資料の5ページを示しながら)
 あと産業、農林、漁業それぞれの分野においても、大変多く被災しています。復旧復興対策自体にも力を入れていかなければなりませんが、例えば農業用の用排水路が埋まってしまっているのであれば、そういった場所からの洪水を防止するため、あらかじめ土砂を撤去しておくなど被害防止のための対応を、あらかじめ取っておくことも必要だと考えています。
 そして、間もなく県民の皆様に大雨、浸水、土砂災害から命を守るための分かりやすい啓発チラシを送らせていただきたいと考えているところです。例えば、大雨のときには河川には近寄らないなどの原則があります。そういうものを分かりやすい形で住民の皆様にもう一度お伝えさせていただきたいと考えております。
 そして、その他でありますけれども、私どもとして以上のような形で次の大雨、台風に備えるための対策を行っていこうとしておりますけれども、県内の市町村の皆様にもそれぞれの管内の災害リスクを把握するようにお願いをしていきたいと考えています。併せて、次回、台風や豪雨災害が発生したときには、今回被災した市町村については、大雨の初期の段階において、県からリエゾンを派遣するという対応も行っておこうと考えております。併せて避難所となるところのあらかじめの準備、さらに備蓄品の準備など、こういう対応についても、それぞれあらかじめ実施をしておこうと考えています。
 お手元にもこの資料、お配りさせていただいておりますけれども、とにかく次の台風が来たとき、次の豪雨が来たとき、非常に危険だと思っています。あらかじめこれにどう備えていくか、非常に重要なポイントでありますから、今回の豪雨に対する復旧復興の取り組みを行っていきながら、次の台風や大雨に備えるための対応というのを、ダブルトラックで全力で進めていこうと考えているところです。

 

豪雨災害に伴う行方不明者及び人定情報の提供に係る関係機関の連携について

(福田・読売新聞記者)
 豪雨災害での行方不明者に関する対応について、県と県警、市町村の連携についてお聞きします。
 香南市で男性が行方不明となった事案では、男性と思われるご遺体が見つかったという情報が県に入ったのは、発見された段階ではなく、本人の鑑定で特定された段階だったため、朝から翌日の午後までは各機関では捜索が続いていたように認識しておりますが、今回の連絡のタイミングや連携態勢を振り返り、どう評価されているのでしょうか。

(知事)
 今回、香南市での行方不明者の特定に関して、県警との連絡態勢がどうであったかということについては、こういう順番です。
 まず、四万十市で遺体が発見された。そしてそれをDNA鑑定に付すことになった。その段階で県に対して連絡がありました。そして行方不明者と確定され、家族に連絡が行われ、そのあと捜査関係機関に連絡が行われたという流れで、今回、連絡が行われてきたということであります。こういう形で県警、県、市、それぞれ連携を取って対応をしてきたと考えています。
 四万十市でご遺体が発見された段階で、各、他の捜査機関にお話をしていなかったので、ずっと捜索が続いていたのではないかというご指摘ですけれども、DNA鑑定されて確定されるまでの間は、もしかしたら違う方かもしれないわけでありまして、その間、捜索が継続されていたということは当然、妥当なことであったと、私どもとしては考えています。大変、残念なことでありましたけれども、今回、四万十市でご遺体が発見されたあと、本当に多くの関係者の皆さんが大変なご尽力をしていただいたというふうに考えているところです。

(福田・読売新聞記者)
 行方不明の被害に遭われた方は人定情報について、見つかってご本人と特定されたあとも、どの機関が人定情報について発表されるかというのが定まっておらず、報道の取材に対して、その後、警察、行政での対応が分かれました。災害のようなどこのどなたが亡くなったというようなことは、故人を弔い、生きた記録を伝えるため、また災害被害状況を正確に報道するためにも、非常に重要な情報と考えますので、公的な機関に責任を持って発表をして欲しいと思いますが、今後の連携態勢や報道対応についての見直しはなされるのでしょうか。

(知事)
 今回の死亡者の人定情報の取扱いが報道のとおり、警察署によって対応が分かれたということであれば、これは反省点としてしっかりと受け止めなければならないと考えております。
 人的被害の数については、これまでも県が一元的に集約して、マスコミなどに情報提供を行っているところであり、改めて市町村に徹底していきたいと思います。
 併せて、ご指摘の死亡者の氏名などの人定情報についても、基本的には県から発表させていただくということになると考えています。ただし、これは県や市町村の個人情報保護条例に基づいて、ご家族、ご遺族の同意が得られた範囲で提供させていただくということが大原則だと考えています。やはり死亡者の情報であっても、ご家族、ご遺族の皆様の心情に配慮しなければならないということは当然だと考えておりますので、そういう対応をさせていただきたいと考えています。
 ただ、個人情報保護条例では、原則として個人情報を提供してはならないとしていますけれども、例外として生命等の保護のため、緊急かつやむを得ないと認められるときは提供できるというふうに規定をされています。これは条例第10条の規定になりますが、安否不明者が非常に多い大災害の場合、例えば南海トラフ地震だとか、そういう場合が想定されるわけでありますけれども、そういう場合には、安否不明者の氏名を公表をさせていただくということが必要になる場合も出てくると考えています。捜索活動のために、公表することの必要性が高く求められる場面も出てくるでしょうし、家族の思いにお応えするという観点からも,必要性が出てくる場合もあると思います。そういう場合につきましては氏名等の公表を行うことになると考えています。具体的にどういう手順で対応していくかについては、もう一段、検討を深めていく必要があると考えています。

(福田・読売新聞記者)
 個人情報保護法というのは、2005年に実施してからも、また2017年に改正法が施行してからも引き続き、報道機関への適用というのは、規制、適用外となっていますが、その点については個人情報保護法に基づいた、ご家族の同意などを得た場合に、少し認識にずれがないかお聞きします。

(知事)
 県として発表するということになれば、それはもちろん個人情報保護条例に配慮しなければならないというのは当然だと思います。何と言っても、さっきおっしゃったのは故人を弔い、生きた記録を伝えるため重要な情報だという話ですけど、それにあたってご遺族の感情というのも当然大事な点ではないかというふうに思います。ただ、先程も申し上げましたように、大規模災害のときに、それぞれのご家族のご意向を聞くことが現実的にできるのかと疑問を感じます。さらに言えば、安否不明者が非常に多いときに、捜索機関の能力、物理的いわゆるマンパワーが限られているという状況の中で非常に効率的な対応をしなければならないというとき、そのときにはどうなんだと。やはり、安否情報を速やかに公表することによって、より効果的、効率的な捜索ができるようにするということも大事ではないかと思います。そういう意味において安否不明者が多い場合においては、積極的に公表させていただくとか、そういう対応を考えなければならないと思っています。
 今回、非常に貴重な報道もしていただきましたので、その報道の内容も踏まえて、今後、その点における対応というのをどうするか考えさせていただきたいと思っています。

(大野・高知新聞記者)
 最近のこういった大きな豪雨災害などの行方不明者のことで言うと、今回のように、高知県では、一度の災害で3名もの方が亡くなることがなかったと思います。今までは、県警の方が一義的にその行方不明者やご遺体の発見などの報道対応をされていたと記憶しております。これを先ほど、知事がおっしゃった県が発表する、対応するということは、関係機関との間においてやり方に変更があったということなのでしょうか。

(知事)
 そういうふうに、ルールが変更されたということです。要するに、過去の他県での大災害において、死亡者や行方不明者の数に、県警の発表と県で食い違いが出たことから、見直しが行われたということです。その対応の見直しが行われた後、いわゆる防災基本計画が修正されたとき、人定情報についてもこの見直しに併せて、本県における対応を決めたものです。

(大野・高知新聞記者)
 数だけではなく、人定情報についても県が行うということで整理がなされたということでしょうか。

(知事)
 そういうことです。
 ただ、今回は3名の方でありましたが、やはり行方不明者が多数にのぼる場合とか、もっと言いますと、捜索上、例えば同じ集落の中でも、こちら側は大丈夫なようで、あちら側が大変とかということが、人定情報を出すことによって分かる場合とか。さらには、人定情報を出すことによって、無事であられる方が手を挙げていただいて、それによって不明者の状況がよりクリアに確認できる場合とか、そういう場合が多々あろうかと思います。そういう場合については、積極的に公表させていただくという見直しをやはり考えなければならないだろうと思っていまして、そのやり方について、より詳細に検討させてもらいたいと思います。

(大野・高知新聞記者)
 行方不明者の安否情報ということを個人情報のこともありながらも、積極的に公表することのメリットというのはあろうかと思います。知事のおっしゃるとおりだと思うんですが、ただ、お亡くなりになった方というのは、そういう意味で言うと、ご遺族の承諾を得るとかっていうような手続きが必要になると思いますが、この点についてどのようにお考えですか。

(知事)
 お亡くなりになった方については、言わばその安否不明状態がある意味、安否不明ではなくなったということでありますから、亡くなった方についても、大変多数に上られる場合については、やはり公表するということを考えていかなければならないだろうと思っていますので、不明者の方だけに限定した話ではなくて、亡くなられた方と不明者の方、両方の方について、今回の新しい取扱いの中で、大規模の場合にはどう公表するかということについて検討させていただきたいと思います。

(大野・高知新聞記者)
 それは県警などの関係機関も含めてということですか。

(知事)
 もちろん、当然です。

(大野・高知新聞記者)
 地震などの災害時になると、被災者の数は桁が違ってきますけれども、その中で速やかに公表するということになると、現実的にかなり困難もつきまとうことが予想されますが、、それでも、それはやらなければならないということでしょうか。

(知事)
 やらなければならないことだと思います。おそらく一元化した方が良いと思います。
 多分ご存知と思いますけど、他県で大混乱が起こったことがありました。そういうこともあって、一元化ということになったわけであり、その趣旨に沿って我々としてもしっかりと対応を検討したいと思います。

 

各自治体による避難勧告や避難指示について

(小島・NHK記者)
 今回の災害での避難について、特別警報が5時50分に出ました。西部を中心にその日はかなり降りましたけど、避難勧告が大月町で11分前の5時39分に出たという事実、また安芸川のときも避難のタイミング、それぞれ自治体はいろいろな課題、問題を抱えたと思います。南海トラフでは事前の避難という考え方で、全県統一的になっているというお考えをもう示されていると思いますけれども、この今回の豪雨災害を教訓にもちろん避難勧告、避難指示というのは法律に基づいて自治体の長が出すものではありますが、知事として何か、全県的なものをこういうふうにやっていった方が良いというお考えはありますでしょうか。

(知事)
 念のためにお話させていただきたいのですが、避難勧告、避難指示が出たときの避難というのは、避難所に行くという避難だけを指しているのではありません。よく誤解されていますけど、避難勧告を出したときには、前が川のようになっていたので逃げられない、そんな時に出しても意味がないじゃないかというような報道がありますけど、そんなことは全然ありません。避難についてのガイドラインがありますので、お配りをさせていただきますけど、避難勧告、避難指示が出たとき避難所に行けるなら避難所に行っていただいたらいい。しかし、行けない場合も当然あります。。むしろ、そういう行動を取ると危険な場合もあるので、その時にはこちらにありますように、危険な場合は家の2階に行くなどの屋内安全確保を取るなど、状況に応じて対応する。いわゆる典型的な垂直避難。これもその避難行動です。ですから、大雨の最中に避難指示を出すことに意味がないと言わんばかりのことは、それは違うと思います。大雨の最中であって、目の前が川のような状況になってでも、避難指示は出す。それによって多くの皆さんが例えば、寝ていた方が起きるとか、さらには崖から離れた部屋にいるようにするとか、さらに2階に上がれるのであれば2階に行かれるとか、そういう行動を取るだけでも安全度は格段に高ります。ですから、そういう行動を取ってくださいということで、この避難指示を出して対応する、避難勧告を出して対応するということだと思います。
 ですから、大雨特別警報が出た段階ではもうすでに大雨が降っていて、避難所に行けなかったのにおかしいじゃないかということは全くありません。そうではなくて、そういう状況でも積極的に避難指示、避難勧告は出すべきなのであって、それによって住民の皆さんに、安全確保のための対応を取っていただくということが大事だと思っています。
 さっき、冒頭に啓発ということをお話しましたけども、県民の皆さんにも改めて避難には二つあるんだということを、私どもとしても広報していかなければならないと思っているところです。
 その前提として、今までも、私どもとしてさまざまな災害が発生するたびに災害対応の状況についても検証し、見直しをするという不断の見直しを続けてきました。熊本地震が起こったときもその対応をし、そして大阪府北部の地震からも教訓を学び取ろうとしました。今回の豪雨災害についても、3点について、今後の対応について検証し、見直しを行っていく必要があるだろうと思っているところです。
 第1点目は、現在行っていることでありますが、大変な豪雨が起こって、しばらくしてまた次の豪雨がやってきたという場合、次の台風、豪雨への備えという話をさせていただきましたけれども、この場合にどういう対応をするのかということについて、今まさに現在進行形で検討しているところです。次の災害への対応を強化するため、どうしていくべきなのか、これを検証していかなければならないだろうと思っています。
 2点目が、今回は累積雨量が例えば魚梁瀬で1,800ミリを超えるというような状況でした。ですが、もしこれが例えば2,000ミリだったらどうか、2,200ミリだったらどうだったのかなど、より一層、雨が降り続いたらどうすべきだったのかということについて、やはり検証していくということは非常に大事だろうと思っているところです。
 そして3点目でありますけれども、今回の宿毛と大月町に当てはまることでありますけれど、累積雨量そのものはそれほど大きくない。しかしながら、いわゆる加速度が大きいと言いますか、1時間100ミリ以上の豪雨が発生した、そういう状況に対して、例えば発生の初期段階でどういう対応をすべきなのかということについて検証して、より良い対応ができるようにしていくということは大事であると思います。
 大雨特別警報が出た段階というのは、ある意味、大変な大雨が降っていましたという、降ってきましたということを警報でお伝えをすることになるわけであり、その警報が出た段階では、おそらくいろいろ災害も起こってしまっている可能性もあります。だから、被害が出る前の段階で、どういう対応が取れるのかということが非常に重要になってくると思います。今回、県から宿毛市、大月町に大雨が降り始めてから何度か連絡もして、それぞれ大月町、宿毛市においても全力でもって対応されたということだと思いますけれども、今後、こういう特に急激に雨が降り始め、そして一定続くであろうと見込まれた段階においてどう対応するかについて、より良い対応の在り方について検討することが大事だと思っています。

(小島・NHK記者)
 それは、地域は特定せずに県内の自治体全てに対してということですか。

(知事)
 県内全域でということです。今回、広島、岡山、愛媛に比べて死亡された方は少なかったわけでありますけれども、しかしながら、安芸川も破堤一歩手前でありました。そして実際に私も県内の被災地域をいろいろ回って思いましたけれども、他にも破堤しそうだった、または越水して後ろが洗掘されている、そういう堤防が他にもありました。もし破堤していたら、安芸市内全域がもう土砂で埋まって、大変な流速のもとで地域の皆さんが浸かってしまって大変なことになった。そういうことになりかねなかった。ある意味、紙一重ということだろうと思っていまして、そういうことを踏まえて、やはりもっと雨が降り続いたらどうかとか、例えば、日曜日に止んだのだけれども、水曜日ぐらいにまた降り始めたときはどうすべきだったのかとか、さらには、さっき言ったようなゲリラ豪雨的なものが3時間も4時間も続く、そういうことについてどう対応すべきなのか、こういうことについては検証してさらなる安全度を高めるための取り組みをしていかなければならないと思っています。
 とりあえず今は、次の台風豪雨に備える。そのための取り組みを全力で現在進行形として取り組んでいますけれども、少しその対応に一服感が出てきた段階で、さっき申し上げた点についての検証というのは、改めて行わせていただきたいと思います。

 

災害時の市町村への人的サポートについて

(小島・NHK記者)
 町だとか自治体というのは防災担当の職員が専門家ではないところや非常に人手が少ない中で対応しているなどの現状があると思います。その点に関して、県のサポートなり、どういう仕組みをつくっていけばいいか。または、国に対しても今回の経験を基に何か言えることがあると思いますが、自治体の防災担当、防災課としての仕組みづくりも含めて、どういうふうにお考えですか。

(知事)
 南海トラフ地震対策を進めていくために、地域に防災監という制度を設けて、県職員をあらかじめ前方展開させていますけれども、特に危険な状況になりそうだという市町村に対しては、早い段階からこのリエゾンを派遣するという取り組みを行っていくということが大事であると思っています。今回も宿毛、大月について、緊急的に派遣をして、よりコミュニケーションを密にするといいますか、そういうことができたというのは良かったと思っています。それを次の台風が来そうだったら派遣しておきたいと思っております。高知県の対応として、今後もこういう対応をしていくことが非常に大事であると思っています。
 国にぜひお願いしたい点として言えば、やはり防災対応にマンパワーが要るということ、こちらを是非色々とご検討していただいて、手厚く応援していただくような対応というものをお願いしたいと思いますし、今回、非常に課題だと思ったのは、中小河川ですね。明らかに雨の量と言いますか、雨量が増えてきているなということを実感しています。私も知事にならせていただいて、毎年こういう台風対応とかしていますけど、実感として年々この雨量が増えてきているという思いを持っています。そういう中で、今まではもってきたけれども、段々ダメージを深く受けるようになってきた中小河川がたくさんある。おそらく全国にもあると思うんですよね。やはり改めて、全国的にこの中小河川に対する対応をどうするかということを、本格的に考えておく必要があるのではないかと思います。政策提言もさせていただきたいと思っております。

(小島・NHK記者)
 宿毛、大月は、特別警報が出る前に県の職員が役場に入っていたんですか。

(知事)
 特別警報が出る前にこちらから電話をして対応していました。例えば宿毛ですと3時ぐらいから雨が強くなり始めて、5時に市が避難指示を出すのですけど、5時11分に県の職員から市に電話をして、大月もそうですけど、電話をしてどういうふうに対応するかということについて、ずっとコミュニケーションを取らせていただていたということです。

(小島・NHK記者)
 人が張り付いていたわけではないのですか。

(知事)
 その段階では、まだ張り付いてません。2時間ぐらい前から急激に降り始めた状況でしたから。大月町についても、そうです。ですから、5時11分付近ぐらいに電話をすると。どういう対応をするのかということについて、いろいろとお話をさせていただいたということです。もっと言いますと、その前に例えば大月町でも7月8日の午前4時の段階で土砂災害警戒情報を発表されているんですね。その段階で県から町へ避難勧告等の発令をということは働きかけをさせていただいて、それで急きょ、大月町も災害本部を設置されたりして、大急ぎで対応されたということだと思います。さらにもう一回、5時11分から、10分前後ぐらいでもう1回電話をして、さらには大雨特別警報が出たときにもう1回注意喚起の電話をさせていただいたという対応をして、昼前になりますけれどもリエゾンを大月町に派遣をした。だから宿毛はもう少し早い7時ぐらいの段階でリエゾンを派遣させていただいたということです。
 これは全くお節介なんですけど、ただ、災害のときにはお節介が大事だと思っていまして、土砂災害警戒情報が出るともうほぼ自動的にその市町村に電話をして、避難勧告等の準備をしてください、出しましょうということをお話をする。多くの場合は、そんなことを言われなくても、もう準備してるよっていう場合が圧倒的に多いわけですけど、しかし災害時においては積極的にお節介をやろうということで働きかけをさせていただいています。それを今回もやったということです。
 今回のゲリラ豪雨みたいに降り始めて最初の1時間ぐらいの段階では、のち2時間続くかどうかというのは分かりませんので分かりませんが、2時間とか降り続くだろうという前提の下に、いろいろ初期段階で対応できるようにしていくということが非常に重要だと思いますから、今回、我々としても対応してきましたが、さらに良い対応の仕方は、改善できる点はないだろうかということの検証というのはしっかり行いたいと思います。

 

ビキニ被爆被害者の追跡調査等について

(森岡・朝日新聞記者)
 ビキニ水爆に関することで元船員たちが訴えるということなんですけれども、支援者が健康対策課とか危機管理課にデータを探したりとか、聞き取り調査を求めていると思うんですけども、これから県としてはどのようにそこを対応していくのかということと、それからもう一点、核軍縮会議を高知県で開くという提案をしているかと思うんですが、そこについてはどう考えられているかということを伺いたいです。

(知事)
 ビキニの問題について、今、詳細な資料を持ち合わせていないのですが、いずれにせよ、これまでもできる限り被害者の皆さんに寄り添った対応をしてきたつもりでありまして、そういう姿勢でもって今後も対応していくということが大事だろうと思っております。それぞれの個別の情報についてどう対応するかというのは、今お答えできませんが、基本姿勢としてはそういうことだと思っています。
 それから、軍縮会議をどうするかという問題についても、その会議が果たしてどういう内容で、どう対応していくかということについて、少し検討させていただくということになると思います。今の段階で決まっている考えはありません。

 

災害時おける自民党の宴会の開催について

(中田・高知民報記者)
 政府の赤坂自民亭に関して、豪雨災害の中で、7月5日も高知県では災対本部も動き出している時期でしたけど、被災県の知事としてどう受け止められたのですか。

(知事)
 ひと言で言うと、災害対応というのはチームプレーです。だから、しっかりと災害対応について、総理官邸にしろ、内閣全体として様々な対応をする体制がしっかりできて、そちらが動き出しているということであれば、その他の政務、公務をこなされるということは十分あるということではないかと思っています。実際、今回、官邸の対応が遅かったので困ったということは、少なくとも高知県においては全くなくて、むしろ政府関係者の皆さんには大変、迅速にご対応いただいたと思ってますから、そういう意味においては、本県として報道されている一連の赤坂自民亭ですか、それによって我々として困ったことはないと思っています。

(中田・高知民報記者)
 高知県なら、大雨が降る予想がある中、あのような席はありますか。

(知事)
 実際のところは4日にしろ、5日にしろ、スケジュールを変えますよね。私は災対本部長でまさに実戦段階に入っているわけですから。当然のことながら、私自身が陣頭指揮を執らないといけない状況ですから、飲んだりはしない。ただ、より大きな大規模な政府全体ということになってくれば、また少し変わってくるんじゃないでしょうか。

 

人口減少を踏まえた自治体行政のあり方に関する有識者研究会の提言について

(大野・高知新聞記者)
 先日、有識者研究会が、人口減少や高齢化が進む自治体の行政の在り方について提言がありました。圏域で行政をやることを法制化したらどうかとの提言がありましたけれども、どう捉えて良いのか私も捉えきれていないところもあるんですが、小規模な自治体は、なかなか厳しくなる部分をどのようにケアするか、都道府県の役割という話もありますが、この提言の捉え方、受け止め方をお伺いしたいと思います。

(知事)
 ぜひ検討していただくべきテーマだと思います。非常に時機を得た形でこういうご検討をスタートしていただくということは、非常にありがたいことだと思います。検討にあたっては、小規模自治体と言っても置かれている状況が地方によって全然違いますので、地方の実態を踏まえた形で、もう少し言うと、地方の多様性というものを踏まえた形での検討が行われることを強く望みたいと思っています。
 今後20年、日本は厳しい時期が続きます。2020年から2040年ぐらいで言うと、高齢者の数はどんどん増えていく一方、生産年齢人口はどんどんと減っていく。そういう時期になりますので、非常に厳しい20年ということになると思いますが、これを乗り切っていくために、是非こういう検討はしっかり進めていただきたいと思います。その際は是非、地方の意見を良く聞いていただきたいと思います。

 

公職選挙法改正に係る国会審議について

(大野・高知新聞記者)
 公職選挙法改正案、まさに今、国会で衆議院で成立するようなタイミングですけれども、知事は前回の会見だったと思いますが、妥協案中の妥協案で、合区の固定化は避けるべきであるとのお考えでした。しかし、国会審議ではその案の党利党略性と言いますか、野党の方からすごく批判がありました。自分たちもすべて審議を見ているわけではないのですが、自民党の中でも国民の理解を得られにくいのではないか、定数を増やすということについて、自民党の処遇が動機ではないかというような批判もありましたけれども、熟議が尽くされたのか、国民の理解を得られるのかということについて、当該合区継続県の高知県は、どのようにご覧になったかお伺いします。

(知事)
 ひと言で言うと、本格的な検討が行われていたけれども、残念ながら時間切れになってしまい、とりあえず緊急避難的な対応が取られたということだと思います。あくまで憲法改正も含めた議論も行われていたわけでありますから、私どもとしては、本格的な検討をしてスタートしたという思いでありましたが、前回の記者会見で申し上げましたけど、明らかに時間切れになってきた。実際、選挙まで、もうあと1年という時期になってしまいましたから、周知期間も含めれば、もうこの段階では緊急避難的な対応を取らざるを得なかったということだと思います。
 緊急避難的な対応も取らないという選択肢もある中において、緊急避難的な対応だけでも取っていただいたということはありがたいことだと思っています。しかしながらあくまでも緊急避難的な対応ですから、本当にその合区の固定化ということにならないように、合区解消に向けての本格的な検討というものもしっかり継続をしていただきたいと思います。この点は、私も大事であると考えており、先日も東京へ行き強く訴えさせていただいたところです。

(大野・高知新聞記者)
 自民党の手前勝手な案だというふうに思われませんか。

(知事)
 ルールはすべての政党に平等に適用されるわけですから。

(五十嵐・高知新聞記者)
 災害時の被害者の情報提供のことなりますが、今回の場合ですと、香南市の現場へ行きまして、まさに捜索がされていて、その状況がどうなのかっていうのを、報道機関としては、まず県民にお知らせしなければならないということで取材を進めます。被害者が1人で、現場も一つだったので、情報の錯綜はなかったのですが、結果的に、例えば複数、現場近くにいたりとかした場合に人定情報がしっかりしていないと、どこどこの誰さんはここで流された可能性があるとなった場合に、ものすごく錯綜する可能性があって、それをいち早く、かつなるべく正確に伝えていくためには、これまでどおり、捜索にあたっている県警が主体で情報提供すべきだと思いますが、その点どのようにお考えですか。

(知事)
 その総数として多くなくても、同該地域において複数あって、そういう場合についてどうするかということですか。

(五十嵐・高知新聞記者)
 そうです。

(知事)
 その点、ケースも含めて少し考えたいと思います。それは確かにあるかもしれない。捜索活動では、こっちの川の東側の方についてはもうやめて西側に集中しようとか、例えばそういうことにつながってくる可能性もありますしね。分かりました。
 ひと言で言うと、捜索上の要請上の重要な場合っていうのは有り得るっていうことだと思います。あくまで県で発表するというのは変わりませんが、県が発表する中において、どう対応するかということについて、そういうケースも含めて検討させていただければと思います。

(五十嵐・高知新聞記者)
 捜索を担っていない県が捜索状況についての説明をしっかりできるのか、という部分も結構重要だと思いまして、捜索を担っているのはあくまで県警や消防なので、その説明責任を警察や消防で実施すればよいと思いますが、その点についてお聞きします。

(知事)
 県と県警とが統一していなかったので、他県においては大混乱が生じたんです。それが生じないようにするための策なので、とりあえずは今、国としてそういうふうに統一しましょうという話になっているわけで、それに従って今後対応をさせていただくということになります。
 捜索情報については、どういうふうに対応するかということも、また考えますけど、基本的には今回のようなケースにおいては今、申し上げた対応をさせていただくということだと思います。県警がやった方が良いじゃないですかとのご意見ですが、県警がやられていて、他県で大災害のときに大混乱が生じたということでありますから、それに対応したルールということです。県で統一するというやり方でさせていただければと思います。
 こういう事態に対処するのは県警だけではないので、その他の機関もあります。そうすると誰かが統一しないといけない。その統一する人は誰ですかと言ったら、県がふさわしいということだと思います。

(五十嵐・高知新聞記者)
 規模にもよると思うのですが。

(知事)
 おっしゃるとおり、規模によります。ただ、そのトータルとしての規模は、少なくとも地域性がある場合ということが確かにあるかもしれないなと思いましたので、例えば同一の市、同一の河川流域で複数の方、そういう場合ですよね。

(五十嵐・高知新聞記者)
 そうですね。

(知事)
 そういうことは確かにあるのだろうと思いますので、そういうケースも含め、少し考えたいと思います。

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