令和2年6月25日 令和2年6月県議会での知事提案説明

公開日 2021年08月06日

令和2年6月25日 令和2年6月県議会での知事提案説明

1  県政運営の基本姿勢

2  国の動向など

3  6月補正予算

4  経済の活性化
  (1)新型コロナウイルス感染症による経済影響対策
  (2)産業振興計画の推進
   (地産の強化)
   (外商の強化)
   (成長を支える取り組みの強化)
  (3)観光振興の取り組み

5 日本一の健康長寿県づくりなど
  (1)新型コロナウイルス感染症対策
  (2)日本一の健康長寿県構想の推進
  (3)少子化対策の充実・強化

6 教育の充実
  (1)学校再開後の対応
  (2)全国高等学校総合文化祭

7 南海トラフ地震対策など

8 インフラの充実と有効活用

9 新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備

10 議案


 本日、議員の皆さまのご出席をいただき、令和2年6月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。ただ今提案いたしました議案の説明に先立ちまして、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員の皆さま並びに県民の皆さまのご理解とご協力をお願いしたいと考えております。

1 県政運営の基本姿勢
 県内におきましては、本年4月末以降、県民の皆さまのご協力により、新型コロナウイルスの新たな感染は確認されておりません。また、全国では一定数の感染は見られるものの、段階的に移動制限の緩和や経済活動の再開が進められているところです。
 このような状況を踏まえ、本県としては、引き続き感染防止対策に努めながら、この間、感染症の影響で遅れていた5つの基本政策と3つの横断的な政策に係る取り組みを鋭意進めてまいります。その際には「新しい生活様式」への対応など、感染拡大後の社会構造の変化も見据えた各政策のさらなる強化を図ってまいります。

 県政運営の基本姿勢であります「共感と前進」の実現に向け、県民の皆さまとの対話を行う県民座談会「濵田が参りました」についても、感染症の影響で延期をしておりましたが、今月1日の土佐市を皮切りにスタートいたしました。当日は地域の実情や県民の皆さまの率直なご意見を直接お聞きすることができ、私自身、大変勉強になったと感じております。
 このほか、県内の市町村長との信頼関係をより一層深めるため、順次皆さまと直接お会いして、県政などに関する意見交換をさせていただいております。
 今後もこうした機会をできるだけ多く設けるとともに、頂戴したご意見をしっかりと受け止め、県政運営に生かしてまいります。

2 国の動向など
 国においては今月12日、新型コロナウイルス感染症対策に関する第二次補正予算が成立しました。この中に含まれている地方創生臨時交付金については、本県が強く求めてきた総額の大幅な増額や、基金造成などが認められることとなり、本県が行う経済対策などへの大きな後押しになるものと高く評価をしております。
 今後の国の動きを見ますと、我が国の経済財政運営の指針となる「骨太の方針」の決定と、それを踏まえた来年度予算の概算要求が予定されておりますほか、中山間地域を数多く抱える本県にとって大きな影響を及ぼす、新たな過疎対策法の制定に向けた議論も進んでまいります。
 引き続き、国の施策が本県の取り組みの後押しとなるよう、全国知事会などとも連携しながら、時機を捉えた積極的な政策提言を行ってまいります。

3 6月補正予算
 今議会では、主に新型コロナウイルス感染症への対応を図るため、総額197億円余りの歳入歳出予算の補正を含む一般会計補正予算案を提出しております。
 このうち、「感染予防、感染拡大防止」に関しては、事態の長期化や次なる流行の波に対応するため、医療や福祉サービスの提供体制の強化を図ります。具体的には、医療機関や介護施設などが実施する感染拡大防止対策を支援するとともに、罹患リスクに直面している医療従事者や介護職員などに慰労金を給付することとしております。
 次に、「経済影響対策」に関しては、事業の継続と雇用の維持を図るとともに、本県経済のV字回復に向けた取り組みを本格的に展開します。
 具体的には、特に経営状況が厳しい事業者に対して雇用の維持に係る経費を支援するとともに、文化芸術団体の活動再開や、公立大学の授業料の減免についても支援いたします。
 加えて、学校給食を通じた地産地消の取り組みや、オンライン商談会の開催などによる外商活動を推進するほか、体験観光事業者への協力金の支給や、貸切バスの利用を促進する取り組みなどを行います。
 さらには、中山間地域の集落活動センターにアドバイザーを派遣し、「新しい生活様式」の実践、定着などを支援いたします。
 こうした取り組みに加え、引き続き、感染拡大防止や経済影響対策に機動的に対応するため、予備費を増額計上しております。
 その一方で、新型コロナウイルス感染症への対応にかかる財源やマンパワーを確保する観点から、既に中止又は延期が確定しているよさこい祭りやオリンピック・パラリンピックなどに関連する事業を見直し、予算を減額しております。

4 経済の活性化
 続いて、5つの基本政策の現状などに関し、まず、経済の活性化についてご説明申し上げます。

(1)新型コロナウイルス感染症による経済影響対策
 先月25日に全都道府県で緊急事態宣言が解除され、感染拡大防止対策を徹底しつつ、経済活動を本格的に再開させていく段階となっております。このため、本県としましては、第1の局面である「事業の継続と雇用の維持」の対策を引き続き実施しながら、今後は、「経済活動の回復」を図っていくという第2の局面、さらには「社会の構造変化への対応」を行っていくという第3の局面に一層の重点を置いた経済対策を展開してまいります。

 まず、「事業の継続と雇用の維持」については、数カ月にわたる売り上げの大幅な減少や固定費などの負担から、国の持続化給付金を受けてもなお、経営が厳しい事業者を対象に、社会保険料の負担に着目した本県独自の給付金を新たに創設することとしました。
 次に、「経済活動の回復」と「社会の構造変化への対応」については、まずは県内の消費拡大、需要喚起を図るため、先月末以来、県民の皆さまに地元での買い物や飲食、県内観光といった地産地消へのご協力をお願いしてまいりました。さらに、こうした活動を県全体の大きなうねりとしていくため、予備費の活用などにより、「食べて!遊んで!高知家応援プロジェクト」を今月15日からスタートさせたところです。
 具体的には、まず第1弾として、県産食材を用いた料理や県内観光地の写真をSNSに投稿いただいた方に、抽選で県産品や宿泊ギフト券のプレゼントを行うなど、食や観光の地産地消を誘発するための5つのキャンペーンを始めております。続いて第2弾として、直販所や飲食店と連携した農林水産物の販売拡大につなげるキャンペーンのほか、県内の量販店や飲食店などが行う地産地消イベントへの支援も計画しているところです。
 さらに、国内旅行が本格的に動き出す8月以降は、県外観光客による県産品の購入拡大にもつなげていきたいと考えており、引き続き関係者の皆さまのお知恵とご協力を賜りながら、本プロジェクトを進化させてまいります。
 一方、経済活動の本格的な回復を図るためには、こうした県内での取り組みに加え、県外における県産品の消費拡大や販路拡大にも取り組んでいく必要があります。このため、「高知家の魚応援の店」と連携したフェアの開催や、県外量販店での農産物の販売キャンペーンなどを進めてまいります。
あわせて、県内事業者のテレワーク導入や感染防止対策といった「新しい生活様式」に対応するための取り組みに対する支援を強化し、本県経済の早期回復につなげてまいります。

(2)産業振興計画の推進
 本年4月からスタートした第4期産業振興計画については、新型コロナウイルス感染症の影響により、県外での県産品の展示商談会や移住相談会などが中止又は延期となり、観光のイベントやプロモーションも自粛するなど、全体的に事業の進捗が遅れております。
 今月に入ってから徐々に全国的な経済活動が再開されており、今後は、オンラインによる商談会や相談会などの手法も取り入れ、本年度の目標達成に向けて少しでも遅れを取り戻せるよう注力してまいります。
 「地産の強化」、「外商の強化」、「成長を支える取り組みの強化」という3つの施策群からなる産業振興計画の取り組みを一層進化させ、県経済を再び成長軌道に乗せていくことができるよう精一杯努力いたします。

(地産の強化)
 まず、「地産の強化」に関しては、各産業分野において担い手不足を克服し生産性を高めるとともに、「新しい生活様式」への早急な対応を図るため、「デジタル技術と地場産業の融合」など、デジタル技術を生かした取り組みを一段と加速させてまいります。
 このうち水産業分野においては、水産物の生産、流通、販売にデジタル技術を活用する「高知マリンイノベーション」の取り組みを進めており、先日、オンラインで開催した運営協議会では、4つのプロジェクトチームの本年度の進め方について議論し、承認をいただいたところです。
 今後、AIを活用したメジカの漁場予測手法について検討を行い、来年度からシステムの開発に取り組むなど、大学や研究機関、関係団体と連携して各プロジェクトを進めます。
 また、複数の企業や大学などが有する技術やアイデアなどを組み合わせて新たな製品やサービスの開発につなげる「オープンイノベーションプラットフォーム」の取り組みについては、現在、様々な分野の課題の抽出を進めているところです。今後、抽出された課題の解決に向けたプロジェクトを立ち上げ、専門家のきめ細かな伴走支援により、IoTやAIなどのデジタル技術を活用した新たな製品開発につなげてまいります。

(外商の強化)
 次に、「外商の強化」に関しては、地産外商公社の活動を契機とした昨年度の成約件数が9,896件、成約金額は対前年度比9.4パーセント増の46億3千8百万円となり、いずれも過去最高を更新いたしました。
 しかしながら、新型コロナウイルスの影響で国内外の展示商談会が相次いで中止や延期になり、飲食店向けの県産品の売り上げも大幅に減少するなど、県内の食品関係事業者は非常に大きな影響を受けております。
 このような厳しい状況にある事業者の外商活動をサポートするため、5月臨時会で議決いただいた補正予算により、インターネット上での販売サイトの構築などを支援する補助金を創設し、販売機会の確保に努めているところです。
 また、感染拡大が一定落ち着いてきてからも、国内外での外商活動に際しては、非対面で商談を行うなど、「新しい生活様式」に対応した取り組みが求められております。このため、県内事業者を対象に、オンラインでの商談を効果的に実施するための手法やノウハウを学ぶことのできる研修なども行ってまいります。
 さらに食料品などの輸出に関しても、海外での需要の減少や、展示商談会の延期などが生じており、感染症の影響下であってもプロモーションを効果的に行うことができるよう、県貿易協会において県産食材を紹介する多言語サイトの作成に取り組みます。

 他方、ものづくり分野においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、部品の調達遅延による生産量の減少をはじめ、見本市の中止や営業活動の自粛による影響が生じていることから、事業者の生産性向上と国内外での販路拡大をより一層支援してまいります。
 特に、防災関連産業に関しては、産学官民による防災製品開発ワーキンググループの活動を通じて、避難所における感染拡大防止に資する新たな製品の開発を積極的に進めるとともに、国内外の商社などとのオンラインによる商談機会の創出に取り組みます。

(成長を支える取り組みの強化)
 次に、「成長を支える取り組みの強化」についてご説明申し上げます。
 今般の感染拡大を機に、大都市部への過度な一極集中に伴うリスクが顕在化するとともに、ICTを活用したテレワークなど時間や場所にとらわれない働き方が広がっております。
 今後、こうした状況を背景に、地方での暮らしや仕事に対する関心が高まってくるものと期待しており、オンラインによる移住相談会を開催するなど、移住促進の取り組みをさらに強化します。あわせて、都市部から地方に移住してテレワークを実践する人材への支援や、シェアオフィスの整備に対する支援の拡充などを国に提言してまいります。

 また、大学生などの県内就職に関しては、感染症の影響から企業と学生とが直接面談できない状況が生じております。このため、SNSなどを通じた企業情報の発信を進めるとともに、企業向けにオンライン面接の実施に向けたセミナーを開催するなど、感染症の影響下であっても学生と企業の双方がスムーズに活動できるようサポートいたします。
 このほか、企業の求人数の減少などにより、一層厳しい状況にある就職氷河期世代に関しては、今月、官民一体で取り組みを推進するためのプラットフォームの設置に向けた準備会を開催したところです。今後、このプラットフォームにおいて事業計画の策定を進め、氷河期世代の就職や多様な社会参加の実現に向けた取り組みを強化してまいります。

 (3)観光振興の取り組み
 次に、観光分野では、感染症の事態収束を見据え、本県観光需要の早期回復を図ることを目指して、 このほど「高知県観光リカバリー戦略」を策定いたしました。
 この戦略の下、まず、今月15日からは、先ほどご説明いたしました「高知家応援プロジェクト」の一環として、県民の皆さまを対象としたモニターツアーの造成や、県内の宿泊施設で利用できる割引クーポンの発行など、県内観光の振興に向けたキャンペーンを実施しております。
 続いて、今月19日からは県をまたぐ観光が徐々に可能となったことを受け、近県向けのキャンペーンとして、中国・四国地方の方々を対象とした宿泊施設の割引クーポンの発行を開始したところです。さらに、来月10日からはクーポンの対象を全国に広げることとしております。
 あわせて、5月臨時会で予算を議決いただいた本県独自の交通費用助成についても、国の「Go To キャンペーン」の開始も見据えて速やかに実施できるよう準備を進めているところです。
 こうした中、来月18日には、いよいよ新しい県立足摺海洋館「SATOUMI」が開館する運びとなりました。これに合わせて、幡多エリアにおいて様々なイベントを開催するほか、8月以降も物部川地域や奥四万十地域といった広域エリア単位での誘客イベントなどを切れ目なく実施することとしております。
 また、感染症対策を行うとともに、県の策定した「体験プログラム安全管理ガイドライン」に沿って観光客のおもてなしに取り組んでいただける事業者への協力金を創設し、官民協働で早期に観光需要を取り戻すべく、関連の補正予算を今議会に提出しております。
 こうした一連の施策を組み合わせ、全国に向けてプロモーションを行い、より多くの県外観光客の皆さまに本県にお越しいただけるよう取り組んでまいります。

5 日本一の健康長寿県づくりなど
 次に、日本一の健康長寿県づくりの取り組みなどについてご説明申し上げます。

(1)新型コロナウイルス感染症対策
 まず、新型コロナウイルス感染症については、先ほど申し上げましたとおり、県内の感染状況は落ち着きを見せておりますが、依然として油断はできない状況にあります。次の感染拡大の波に備え、検査体制と医療提供体制を一段と強化してまいります。
 検査体制については、今月9日から、県の衛生環境研究所においても唾液によるPCR検査が実施できるようにいたしました。また、患者数が大幅に増加した場合でも円滑にPCR検査の検体採取が行えるよう、ドライブスルー方式による検体採取場を増設することとしております。
 あわせて、妊娠中の方については、新型コロナウイルスの症状がない場合であっても、本人が希望する場合には、医師と相談の上でPCR検査が実施できる体制を整えてまいります。
 また、医療提供体制については、これまでの取り組みにより、入院患者を受け入れるための病床として166床を確保しております。さらに、軽症者向けの宿泊療養施設についても、応募のあった中から4施設を選定し、受け入れ条件の調整などを行っているところです。
 今後は、感染が疑われる方への円滑な対応を強化するため、救急医療機関などにおける院内感染防止に向けた設備の整備や、診療体制の確保を支援してまいります。

(2)日本一の健康長寿県構想の推進
 本年3月に策定した第4期日本一の健康長寿県構想については、数値目標を明確に定めた3つの柱を立て、「県民の誰もが住み慣れた地域で、健やかで心豊かに安心して暮らし続けることのできる高知県」の実現を目指し、それぞれの取り組みをスタートさせております。
 まず、一つ目の柱の「健康寿命の延伸に向けた意識醸成と行動変容の促進」については、糖尿病性腎症患者の重症化予防対策の強化に向け、県内の専門医や医療機関の協力を得ながら、新たな予防プログラムづくりに着手したところです。
 また、こうした取り組みに関しては、血糖値の高い方が増加している要因の分析などを行うとともに、本年8月を目途に、これまでの生活習慣病対策や糖尿病重症化予防対策を検証する有識者会議を立ち上げることとしております。このようにPDCAサイクルをしっかりと回すことのできる体制を構築し、一連の施策を強化してまいります。
 二つ目の柱の「地域で支え合う医療・介護・福祉サービス提供体制の確立とネットワークの強化」については、高知版地域包括ケアシステムの構築に向けて、在宅療養体制の充実などに取り組んでおります。
 この4月には、県外の有識者や県内の関係団体による「高知県在宅療養推進懇談会」を設置したところです。今後、この懇談会において在宅療養に関する施策の検証などを行い、いただいたご意見を関連施策に反映するとともに、国への提言にも生かしてまいります。
 また、ひきこもりの方への支援の充実に向けては、家族会の方々にもご協力をいただき、相談対応や適切な支援機関へのつなぎを行う「ひきこもりピアサポートセンター」を本年4月に設置し、ご本人やご家族に寄り添った支援を進めております。あわせて、民生委員・児童委員の皆さまのご協力を得て、県内のひきこもりの実態把握を行っているところです。今後は、その結果を基に、社会参加を促進するための居場所づくりや、就労支援の取り組みをさらに強化してまいります。
 三つ目の柱の「子どもたちを守り育てる環境づくり」については、妊娠期から子育て期まで切れ目なく、総合的な支援を行う高知版ネウボラの取り組みを推進しているところです。
 本年度に入り、新たに7カ所で子育て世代包括支援センターが設置され、合わせて26市町村27カ所となるなど、住民に身近な場所で妊娠期から支援を行う体制の整備が進んできております。さらに、10月からは全ての市町村と分娩取扱医療機関において、医師や助産師が産後の心身の状況を確認する産婦健康診査を始めるなど、妊産婦のメンタルヘルス対策の強化にも取り組みます。
 また、発達障害のある子どもへの支援に関しては、現在、言語聴覚士などの専門職によるアセスメントの充実に向けて関係機関との調整を進めております。今後、本年秋頃から、こうした専門職の方を乳幼児健診に派遣し、より早い段階で適切な支援が受けられるよう体制を強化してまいります。

(3)少子化対策の充実・強化
 本県の合計特殊出生率については、昨年は1.47と、全国の平均である1.36を上回ったものの、2年連続で前年を下回る残念な結果となりました。このため、総合戦略に掲げた令和6年の出生率1.7という目標の達成に向け、県民の皆さまの出会い・結婚、妊娠・出産、子育てのライフステージに応じた取り組みをもう一段強化する必要があると考えております。
 県庁においては、子どもを産み育てやすい環境づくりに向け、率先して男性の育児休業取得に取り組むため、令和6年度末までに取得率を50パーセントとする高い目標を掲げております。私自身、「イクボス宣言」を行うとともに、直接部局長と面談して職員の育休取得を促しているところであり、今後も目標達成に向け先頭に立って取り組んでまいります。

6 教育の充実
 次に、教育の充実に関する取り組みについてご説明申し上げます。
 新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休業期間を経て、先月下旬から県内の各学校が再開し、子どもたちが元気に学校で学ぶ日常が戻ったことを私もうれしく思っております。今後は、各学校における「新しい生活様式」に沿った感染予防対策や、学習の遅れを補う取り組みなどをしっかりとサポートし、第2期教育大綱に基づき知、徳、体の調和がとれた子どもたちの「生きる力」を育むことを目指して施策を進めてまいります。

(1)学校再開後の対応
 現在、小中学校においては、長期にわたる臨時休業によって生じた学習の遅れを、いかにして取り戻すのかが喫緊の課題となっております。このため、夏季休業期間の短縮や学校行事の縮小などにより授業時間数の確保を図るとともに、各学校における放課後等学習支援員の追加配置などを支援することとしております。
 その上で、昨年度小学校に導入したメンター制を中学校にも広げ、若年教員の育成を進めます。さらに、公開授業や教材研究を通じて教員が授業づくりについて学ぶ講座を拡充するとともに、県内各地で学ぶことができるよう拠点校を27校から43校に増加することなどにより、教員の授業力向上を図ってまいります。
 県立学校においては、小中学校と同様、休業期間の短縮などにより授業時間数を確保するとともに、個々の生徒に対するきめ細かな指導をさらに充実させるため、学習支援員を増員することとしております。あわせて、感染予防対策として教室や体育館の換気を効率よく行うためのサーキュレーターの設置などを進めるほか、感染拡大が懸念される場合には教室を分散して授業が実施できるよう、プロジェクターなどの機器の整備を行います。
 さらに、再度の感染拡大への備えの観点からも、新たに教育大綱の柱として位置づけた教育のデジタル化を推進し、タブレットを活用したオンライン授業や家庭学習などを早急に実現したいと考えております。このため、各県立学校において日常的にICTを活用した授業を実践できる環境整備を進めます。

 以上のような取り組みと併せて、学校再開後の子どもたちの不安定な心に寄り添い、不登校の未然防止や早期対応につなげる取り組みも大変重要であります。このため、各学校ではアンケートやスクールカウンセラーによる面談などを通じて、子どもたちの悩みや不安などの把握に努めているところです。
中でも、小中学校においては、本年度から職務として位置付けた不登校担当教員が中心となり、3日連続の欠席などが見られた早期の段階で、家庭訪問や本人との面談を実施するなど、不登校の未然防止や早期対応に向けた組織的な取り組みを強化しております。
 引き続き、こうした取り組みを通じて、市町村や関係機関と緊密に連携し、子どもたちが安定した学校生活を送れるようサポートしてまいります。

(2)全国高等学校総合文化祭
 本県では初開催となる全国高等学校総合文化祭「2020こうち総文」につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、生徒の移動を伴わないインターネット上での開催とすることが先月決定されました。生徒たちの健康と安全を最優先に考えれば、このような形にならざるを得なかったものと理解をしております。
 来月31日から開かれる本文化祭では、全国の予選を勝ち抜いた約3千校、2万人の高校生の作品や演奏などを特設サイトに掲載するとともに、ウェブを通じた生徒同士の交流も予定されております。このほか、県内の生徒たちによる実施報告発表会も8月2日から高知市内で開催されることとなりました。こうした催しに多くの高校生が参加し、これまでの努力の成果を存分に発揮されることを心から期待しております。

7 南海トラフ地震対策など
 次に、南海トラフ地震対策をはじめとする災害対策についてご説明申し上げます。
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今後は「新しい生活様式」に対応するとともに、感染症の流行下で災害が発生することも想定して対策を進める必要があると考えております。
特に避難所については、災害時に多くの方が避難し、いわゆる「3密」の環境が生じる恐れがあることから、台風や洪水の発生が多くなる時期の前に、早急に感染症対策を進めなければなりません。
 このため、市町村に対し、災害発生時に可能な限り多くの避難所を開設することや、避難所内の衛生環境対策を実施することについて、地域別の説明会などを通じて早期の対応を求めてきたところです。
 さらに、避難所におけるマスクや消毒液、間仕切りといった資機材の整備のほか、避難者用の宿泊施設の確保などに取り組む市町村を支援するために、本年度の予備費を活用し、県の補助制度を拡充いたしました。
 今後は、市町村における対策の実施状況を踏まえながら、必要に応じて地域本部や福祉保健所による助言を行うなど、市町村と連携して避難所における感染症対策を徹底してまいります。
あわせて、南海トラフ地震に備え、避難所の確保を進めるとともに、本年度から新たな重点課題に位置付けた受援態勢の強化などのソフト対策や、住宅耐震化などのハード対策を着実に進めてまいります。

8 インフラの充実と有効活用
 次に、インフラの充実と有効活用についてご説明申し上げます。
 四国8の字ネットワークについては、来月5日に中村宿毛道路が全線開通する運びとなり、年度内には、高知東部自動車道の高知南国道路も全線開通を控えております。これにより、県西部と中央部とのアクセスが向上し、地産外商や観光振興の推進に大いに寄与するとともに、災害時における地域の防災力の向上につながるものと期待しております。さらに本年度は、阿南安芸自動車道の野根安倉道路が直轄権限代行事業として新規事業化されました。
 また、宿毛市及び四万十市の中筋川流域における治水などを目的に建設が進められてきた横瀬川ダムについては、着手から30年を経て工事が完了し、先月から運用が開始されたところです。
このように、県内のインフラ整備は着実に前進しておりますものの、浦戸湾の三重防護や中小河川の治水対策、中山間地域の道路整備などを含め、整備すべき箇所はまだ数多くあります。引き続き、地域の生活を守り、南海トラフ地震対策にも資するインフラ整備を全力で進めてまいります。
 特に本年度は、県経済の厳しい状況を踏まえ、景気の下支えとなるように、県工事の早期発注についてもしっかりと取り組んでまいります。

9 新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備
 次に、新たな管理型産業廃棄物最終処分場については、施設整備に向けた各種の調査や、長竹川の増水対策をはじめとする周辺安全対策の取り組みを進めております。
 このうち、建設予定地の地質調査では、地下に大きな空洞は確認されないとの結果が明らかとなり、専門家のご意見もお聞きした上で、施設整備には支障がないものと判断をいたしました。
 こうした県の判断や、施設への進入道路のルート案の絞り込み結果などについて整理した資料を、佐川町加茂地区の全戸にお配りしたところです。今後は、感染症防止対策を十分に講じた上で住民説明会を開催するとともに、いただいたご意見やご質問などへの回答を改めて文書でお配りし、住民の皆さまの不安解消に努めてまいります。
 また、先月28日には、公益財団法人エコサイクル高知の理事会において、財団が新たな施設の整備運営主体となることが承認されました。
 引き続き、財団とも連携し、加茂地区の皆さまはもとより、佐川町、佐川町議会、さらには、県内市町村や関係団体などの皆さまのご理解とご協力を賜りながら、着実かつ丁寧に事業を進めてまいります。

10 議案
 続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
 まず予算案は、令和2年度高知県一般会計補正予算の1件です。
 条例議案は、職員の給与に関する条例及び警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案など9件です。
 その他の議案は、市町村からの行政不服審査に係る事務の受託に関する議案など54件です。
 以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
 何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます

お問い合わせ

総合企画部 広報広聴課
TEL:088-823-9046
FAX:088-872-5494
Topへ