◆◇◆ 小中学校課学校教育担当メールマガジン「パートナー」 ◆◇◆◇◆◇                             H23.8.31 第102号      県教育委員会HP http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/310000/      小中学校課HP  http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/310301/ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇        高知県教育委員会事務局 小中学校課学校教育担当 編集・発行 ------------------------------------------------------------------------  子どもたちにとって楽しみの夏休みもはや終わりになりました。始業式には、 様々な体験を通して、一回り大きくなった姿を見せてくれることでしょう。  それぞれの所属では、どのような夏を過ごされたでしょうか。研修や作業、あ るいは地域との交流など、様々な収穫があったことと思います。  2学期は様々な教育活動が展開される時期です。これからも「パートナー」を 通して、皆様の実践の一助になるよう、有意義な情報をお届けしていきたいと思 います。 ----------------------------------------------------------------------- 【メッセージ】「発達障害等に関する指針策定に向けて」                     田中 信一 特別支援教育課長        「最良の師との巡り会い」 片岡 博彦 文化財課長 【教育実践】  「不登校0を目指して   ~芸西村立芸西中学校の取り組みより~」(東部教育事務所) 【挑戦と成果】 (1)ポッシブル・ミッション(中学校学力向上推進チーム)    <高知県到達度把握調査(標準学力調査)の結果を踏まえて>  (2)「心を耕す」教育の総合的な推進    <①道徳の部屋> <②学校図書館の部屋> (3)ザ・チャレンジ!    <①理科の部屋> <②外国語の部屋> 【お知らせ】 「科学コミュニケーション連携推進事業 草の根プログラム 募集」 【銀杏だより】「キョウヨウへの第一歩」  永野 隆史 小中学校課長 ----------------------------------------------------------------------- 【メッセージ】 「発達障害等に関する指針策定に向けて」  「特別支援教育の理念と基本的な考え方が普及・定着することは、現在の学校 教育が抱えている様々な課題の解決や改革に大いに資すると考えられる」  この一文は、特別支援教育がスタートする2年前、平成17年12月に公表さ れた、「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」(中央教育審議 会答申)に書かれているものです。さらりと書かれていますが、学校が抱える諸 課題の解決の方向性を的確に示した言葉であり、私が常に心に留め、大切にして いるフレーズです。  現在学校は、学力問題、いじめ、不登校、中途退学、暴力行為などの多くの課 題を抱えています。その一つ一つの事例を詳しく見たとき、その背景に発達障害 が疑われるケースがとても多いことに気付きます。もちろんすべてを発達障害の せいにしてしまうことは短絡的過ぎますし、慎重に考えなければなりません。  高知県における、発達障害をはじめとした特別な教育的ニーズのある児童生徒 の在籍率は、平成22年度は、小学校で6.2%、中学校で5.1%、高等学校 で1.5%でした。これらの数値は年々増加しており、文部科学省が平成14年 に実施した全国実態調査により明らかになった、通常の学級に在籍する特別な教 育的支援を必要とする児童生徒の割合である6.3%に年々近付いています。  県教育委員会ではこうした現状を踏まえ、特別支援教育課が中心となり、関係 各課と協力して「発達障害等のある幼児児童生徒の指導及び支援の充実に関する 指針」の策定作業を進めており、まもなく公表できる予定です。  高知県では現在「日本一の健康長寿県構想」において、発達障害児・者へのラ イフステージに応じた支援体制を構築する計画が進行しています。現在策定して いる指針は、この「日本一の健康長寿県構想」で示された全体計画の中で教育が 担う部分について、県教育委員会として取り組む方向性と、具体的な取り組み内 容を示したものです。  基本方針の3つのキーワードは「分かる」「つなぐ」「自立する」です。公表 後は、すぐに関係各課等によるワーキンググループを立ち上げ、指針に示された 取り組みをさらに具体化し、各課の施策や取り組みに反映する作業に取りかかる 計画です。  平成19年4月に特別支援教育がスタートして4年目。県全体として一貫した 支援体制を構築しようとする動きをさらに加速しましょう。発達障害のある幼児 児童生徒が、自分の良さや強みに気付き、自己肯定感を持ちながら社会的自立や 職業的自立ができるようになることを目指し、関係するすべての組織や皆さんの ご協力を是非ともお願いいたします。                【特別支援教育課長 田中 信一】 ----------------------------------------------------------------------- 「最良の師との巡り会い」  事情があってここ数年遠ざかっていましたが、この夏から鮎釣り(友釣り)を 再開しました。昔は今とは比較にならないくらい鮎がいたといわれますが、それ でも高知には春になると太平洋から沢山の稚鮎が遡上してくる「天然遡上の川」 が沢山あって、とても幸せなことだと思います。20代半ばのころ、職場の上司 に手ほどきを受けて以来30年以上、夏が来ればせっせと川に通っています。 「たださえ暑いときに、日陰のない河原で、長い竿を持って一日中・・・?」 と言う人もいます。確かに日差しは強烈ですし、結構重労働ですが、清冽な冷た い水に体を浸せば身も心も爽快で、暑さなど全く感じません。 よく、鮎の友釣りは難しいのでは?といわれます。確かに、生きた鮎を仕掛け に付けて泳がせ、流れの中にいる「縄張り鮎」を挑発してハリに引っかけるとい う、他の釣りにはない独特の釣法ですので、取っつきにくいかも知れません。9 m、10mの長い竿を使うという点も他の釣りでは見かけません。しかし、友釣 りは「一場所」「二おとり」「三に腕」といわれるように、良い場所で元気なお とり鮎を泳がしてさえいれば、勝手に向こうから掛かってくるといって概ね間違 いありません。  つまり、この釣りの基本は、縄張りに侵入して来るよそ者の鮎を追い払おうと する鮎の自然の行動パターンを逆手に取った釣りですので、場所の見極めや、お とり鮎の泳がせ方が最も大切だということなのです。  良く釣れる場所は川の形態によってあらかた決まりますが、その日その場所が 良く釣れるかどうかは、水量や鮎の食料である石に付いた苔の具合、季節や天候 さらに時間帯など、様々な条件によって変化します。ですから、「腕」のいい人 は、他の人と同じようにごく普通に釣っているように見えて、実は沢山の経験と 情報を駆使し、その時その川に合った最適の方法を探りながら最適の方法で釣っ ているのです。  私の師匠、手ほどきをしてくれた元上司は齢80に近づき、さすがに最近は川 に出なくなりましたが、それでも鮎のことがとても気になっている様子で、たま に釣った鮎を届けた時など話に熱が入り、いつまでも話が尽きません。  師匠はご自身の一人息子を含め、随分と沢山の人に友釣りを教えたようです。 しかし、ものになった(つまり釣りバカになった)のは私だけなのだそうです。 私も下手ながらこれまで何人かに教えたことがありますが、誰もものになって いません。教えていてもついつい自分の釣りの方に力が入って、教える事に手を 抜いてしまいがちです。しかし、師匠は、その時々の場所の見立て方、鮎の泳が せ方や仕掛けの工夫、釣った鮎の食べ方や川でのたき火の仕方に至るまで、一度 も怒ったり突き放したりすることなく実に根気よくかつ丁寧に教えてくれました。 確かに向き不向きもあって、師匠によれば「最初から見込みがあった。」とい うことらしいのですが、私からすれば、またとない最良の師に巡り会えたからこ そ、と思っています。                      【文化財課長 片岡 博彦】 ----------------------------------------------------------------------- 【教育実践】 「不登校0を目指して   ~芸西村立芸西中学校の取り組みより~」  本県の中学校においては、不登校の発生率が全国より高い状況にあります。特 に東部地域においては、高知県の発生率よりさらに高く、芸西村立芸西中学校も 平成21年度においては、東部地域同様のものがありました。しかし、平成22 年度を見ると大幅に下がっています。どのような取り組みをして、不登校の発生 率を減少させたのか、その秘訣を校長先生からお聞きしました。ここに少し紹介 させていただきます。  芸西中学校では、県内の小・中学校のほとんどが実施しているQ-U(楽しい 学校生活を送るためのアンケート)を活用し、学校生活における生徒個々の意欲 や満足感及び学級集団の状態をより細かく分析しています。ただ、同校において は、アンケート結果から、第1次的支援を必要とする生徒(全体での指導ができ る生徒)、第2次的支援を必要とする生徒(全体での指導を行いつつ、個別に声 かけをすることが必要な生徒)、第3次的支援を必要とする生徒(チーム支援体 制を組んで支援をすることが必要な生徒)に分け、それぞれの段階に応じて、支 援の内容や教職員の組織、教職員個々の役割を示し、個別具体に長期欠席や不登 校等の解消に取り組んでいます。  さらに具体にお話をお伺いしました。  まず、アンケートの回答結果からヘルプシグナルを出している生徒には、早急 に面談を実施するとのこと。この中には、まだ十分に言葉にできない生徒もいま す。「私たちは、いつも君を見ている」「安心して相談してください」というサ インを送ることを心がけているとのことでした。そして、継続的に注意深く観察 するとともに声をかけていくことが重要であることを話していただきました。  また、第3次的支援が必要な生徒に対しては、日常的な家庭訪問を実施すると ともに、支援方法や具体的な取り組みを考えていく生徒支援委員会で、どのよう なチーム支援体制を取るべきかを考え、具体的な支援の方向性の決定がなされて います。その後、具体的な支援方法は何か、いつ、誰が、どのような形で、いつ まで支援を行うのか、という支援計画を立てチーム支援を実施しています。例え ば、別室登校の生徒に対しては、個々の生徒の時間割を作り、学習だけでなく家 庭状況に応じて調理方法を習得させるなど、細やかな支援を行うとともに、安心 して過ごせる学校内での居場所づくりのため、保健室の改装も行っているとのこ とでした。  第1次的・第2次的支援を必要とする生徒に対する支援では、まず生徒全体に 自分たちの学級について考えてもらうため、班長会を定例化しているとのこと。 また、行事への取り組みを通して仲間づくりとリーダーの育成をしたり、「構成 的グループエンカウンター」や「話を聴く」「アサーション的受け答え」を授業 の中に効果的に取り入れたりして、人間関係づくりのスキルを身に付けさせる等 の取り組みを行っていました。  このように全教職員が、各支援段階の生徒を把握し、その段階に応じた具体的 な支援を共通確認し、組織的に実施したことで、特に第3次的支援が必要だった 生徒の出席日数の増加という結果につながったとのことです。  最後に校長先生は、効果のあった取り組みを継続するとともに、生徒同士の学 びあいのある授業の創造など、第1次的・第2次的支援のさらなる充実の必要性 を述べられていました。   また、不健全な養育環境の早期発見と適切な子育てへの支援体制を用意するた め、保・幼・小・中・行政が連携する体制を持つことが重要との認識のもと、各 方面に働きかけ、「ひまわりの会」の発足に尽くされています。そして、保幼小 中15年間を連続した成長期間ととらえ、村全体で行う子育て教育へと発展させ ていこうとしているとのことです。  芸西村の子どもたちは、全員が明るく元気に学校に登校する、そんな思いを強 く持ち日々頑張っておられる校長先生をはじめ、学校教職員、関係機関の方々の 姿に心を強く打たれたことでした。                 【東部教育事務所  仙頭 瑞嘉】 ----------------------------------------------------------------------- 【挑戦と成果】 (1)ポッシブル・ミッション(中学校学力向上推進チーム) <高知県到達度把握調査(標準学力調査)の結果を踏まえて>  本年度、小学校6年生、中学校3年生において実施しました高知県到達度把握 調査の調査結果について、今までの全国学力・学習状況調査等の結果と照らして 、成果と課題、指導改善のポイントをまとめました。今後、他学年も含めた分析 を各学校にお届けしますので、全体で共通確認を行い、今後の取り組みの参考に してください。  また、各学校においてももう既に分析を行っていただいていることと思います が、様々な視点で分析を行い、ぜひ子どもたち一人一人の確かな学力につなげて いただきたいと思います。 〈分析の視点の一例〉 □出題された問題について、趣旨、意図、目的を把握し、指導方法を考える。 □結果について、要因等を分析する。  ・効果のあった取り組みを検証し、今後の取り組み、対策を考える。  ・設問別の解答状況などから、手立ての必要な児童生徒を確実に把握し、個々   への支援を考える。  ・期待正答率、達成率等を基に学習の定着状況を様々な視点で分析する。  ・自校の経年での変化について、要因を考察する。   (昨年度と比較した伸び率、強み・弱み等) ◆◆教科の調査結果の概要◆◆ ◇高知県の総合正答率 ・小学校   国語  71.0%(全国71.9%)《期待正答率69.8%》                 算数  74.5%(全国74.0%)《期待正答率70.9%》       ・中学校 国語  63.5%(全国67.5%)《期待正答率68.8%》 数学  57.8%(全国61.3%)《期待正答率62.6%》 ※全国の総合正答率は、平成23年7月29日現在最終値。 ■■国語の調査結果から■■ 【小学校国語】 〈概要〉 ・教科総合正答率は71.0%であり、全国平均71.9%とほぼ同じである。 ・領域別正答率及び観点別正答率については、「読む」では全国平均よりやや低  く、その他の領域・観点においては、全国平均とほぼ同じである。 〈成果と課題〉(◇成果 ◆課題) ◇今回出題された漢字の読みと書きについては、相当数の児童ができている。 ◇事象と感想を区別して書くことについては、相当数の児童ができている。 ◆文脈に沿って漢字を適切に使うことに課題がある。 ◆説明的な文章において、目的に応じて、文章の内容を的確に押さえながら読む  ことに課題がある。 〈小学校指導改善のポイント〉 ◆文脈に沿って漢字を適切に使うために   漢字に対する興味や関心を高め、漢字が果たしている役割や働きを押さえな  がら、文や文章の中で適切に漢字を使えるような指導をすることが大切です。  その際、児童が進んで漢字を使うような指導の工夫を考えることが大切です。 ◆説明的な文章の内容を読み取るために   説明的な文章を読む場合、筆者の論の展開に沿って文章全体の構成をとらえ  ることが必要です。そのためには、筆者がどのような判断や主張をしようとし  、どのような事実を挙げて理由や根拠としているのかなどを区別して押さえる  ことができるように指導することが大切です。 【中学校国語】 〈概要〉 ・教科総合正答率は63.5%であり、全国平均67.5%よりやや低い。 ・領域別正答率及び観点別正答率については、「書く」では全国平均より低く、  「話す・聞く」「読む」「言語事項」(知識・理解・技能)では全国平均より  やや低い。 ・観点別正答率の「関心・意欲・態度」は、全国平均より低い。 〈成果と課題〉(◇成果 ◆課題) ◇話合いの内容を聞き取ることは、相当数の生徒ができている。 ◆説明的な文章において、論理の展開の仕方を明確に理解し、要旨をとらえるこ  とに課題がある。 ◆資料が表している内容をとらえ、条件に即して書くことに課題があり、無解答  が特に多い。 ◆小学校で学習した漢字を書くことに課題がある。 〈中学校指導改善のポイント〉 ◆説明的な文章の論理の展開の仕方や要旨をとらえるために   文章の論述の過程には、書き手の意図があることに注意させるとともに、目  的意識をもって要約したり、要旨をとらえたりさせることが大切です。 ◆資料の内容をとらえ、条件に即して書くために   情報を読み取る力を付けるためには、文章として書かれたものだけでなく、  グラフ・図・写真などの資料にも触れ、そこに書かれている情報を的確に理解  したり、比較したり、関連付けたりして、自分なりの意見や感想をもたせるこ  とが大切です。   また、様々な資料から得られる情報を読み取る力を身に付けるためには、各  教科等の指導内容を相互に関連付けることが大切です。 ◆漢字の習熟を図るために   漢字は、一字一字を正確に読み書きできるようにするだけではなく、語や語  句として理解し、文脈に即して使えるようにすることが大切です。そのために  は、実際に漢字を読んだり、書いたりする機会を多くして習熟を図るようにさ  せることが必要です。 ■■算数・数学の調査結果から■■ 【小学校算数】 〈概要〉 ・教科総合正答率は74.5%であり、全国平均74.0%とほぼ同じである。 ・領域別正答率及び観点別正答率についても、すべての領域・観点において全国  平均とほぼ同じである。 〈成果と課題〉(◇成果 ◆課題) ◇最大公約数について理解し、それを求めることについては、全国平均を上回っ  ている。                                ◇小数を分数に直すことは、全国平均をやや上回っている。 ◆紙を数回折って切り、ひろげたときの形がわかることに課題がある。 ◆底辺と高さが等しければ、どんな三角形も面積が等しくなることを理解するこ  とに課題がある。 ◆帯グラフの割合を読んで人数を求めることに課題がある。 〈小学校指導改善のポイント〉 ◆図形についての観察や構成などを通して、平面図形についての理解を深めるこ  と ・正多角形については、円と組み合わせて作図したり、性質を調べたりする活動  を取り入れる。 ◆三角形、平行四辺形、ひし形及び台形の面積の求め方を考えること ・具体物を用いたり、言葉、数、式、図を用いたりして考え、説明する活動を取  り入れる。 ◆異種の2つの量の割合としてとらえられる数量について、その比べ方や表し方  を理解すること ・いろいろな場面において、問題文から何が比較量で何が基準量かをとらえる  ことができるような活動を取り入れる。 【中学校数学】 〈概要〉 ・教科総合正答率は57.8%であり、全国平均61.3%よりやや低い。 ・領域別正答率及び観点別正答率については、すべての領域・観点において全国  平均よりやや低い。 〈成果と課題〉(◇成果 ◆課題) ◇x、yの1次の等式をyについて解くことは全国平均よりやや低くなっている  が、これまでの学力調査と比べると改善傾向がみられる。 ◇x、yを含む式の値を求めることは全国平均とほぼ同じであり、これまでの学  力調査と比べると改善傾向がみられる。 ◆2つの直線の傾きを読み取り、その特徴を数学的に説明することに課題がある。    ◆証明を読んで、結論を導くことができる理由を平行線と角の関係から説明する  ことに課題がある。 ◆点の移動に伴って変化する面積を1次関数で表すことに課題がある。 〈中学校指導改善のポイント〉 ◆事柄の特徴を数学の用語を使って、的確に説明すること ・比較すべきものを明示したり、変化の様子を明確にしたりしながら、事柄の特  徴を的確に説明する場面を設定する。 ◆推論の過程を的確に証明として表現すること ・方針を参照しながら証明として書く順序を検討したり、実際に書いた証明を方  針と照らし合わせて、示すべきことが示されているかなどを確認したりする場  面を設定する。 ◆具体的な事象において、2つの数量の変化や対応の特徴をもとに、その関係を  式で表現すること ・xとyの関係を最初から「y=」として考えず、既習の知識にもとづいて関係  を式に表し、その上で式変形を行い、「y=」の形式に整えていくような場面  を設定する。 ◇◇今後の改善の方向性として◇◇  今回の調査結果で明らかとなった課題については、昨年度までに各調査等で取 り上げられた高知県の国語科、算数・数学科の課題とほぼ重なっています。各学 校でも、今までの各調査等の結果と照らし考察することで、2学期以降取り組む べきことがより明確になるのではないかと思います。調査結果を踏まえた意図的 な指導を行う際には、メルマガ第99号でも紹介しました以下の参考資料や全国 学力・学習状況調査問題等も効果的に活用していただき、今できることからぜひ 取り組んでいただきたいと思います。 〈参考資料〉 ・高知県国語学習シート(小学校編、中学校編) ・高知県国語指導改善資料集 ・単元テスト ・算数・数学シート ・算数・数学授業ガイドブック             【小中学校課 中学校学力向上推進チーム】 ----------------------------------------------------------------------- (2)「心を耕す」教育の総合的な推進    <①道徳の部屋> 「道徳研修講座」  県全体の道徳教育を推進するために、県教育委員会で行っている取り組みの一 つに「道徳研修講座」があります。これは、高知大学教育学部附属教育実践総合 センターの共催を得て行っている講座であり、専門的かつ実践的な内容の研修と なっています。  本年度は、7月28日(木)に、県教育センター分館で開催しました。今月は この講座について紹介します。 【趣旨】 道徳教育についての理解を深め、学校における道徳教育の充実に役立てる。 【内容】 Ⅰ 高知市立旭東小学校の実践発表        「学校の指導体制を確立した道徳教育の実践」  県教育委員会指定の道徳教育重点推進校である高知市立旭東小学校からは、詳 細な道徳教育の全体計画と道徳の時間の年間指導計画に基づいて学校が一体とな って道徳教育を推進している実践が発表されました。 Ⅱ 高知大学教育学部 田邊 重任 准教授の講話「心を耕す道徳教育」  田邊准教授からは、感動資料の授業において対話を深めるためには、わけや体 験の違いを語り合い、資料に描かれている気持ちを追求することが大切であると いうことについて具体的な講話をいただきました。 Ⅲ 演習「道徳の授業づくり」-資料分析を通して-  演習では、以下の4つの読み物資料についてグループに分かれて、資料分析、 道徳の時間の学習指導略案作成、模擬授業を行いました。 ・「ぼくのはなさいたけど」     【どうとく1 みんななかよく(東京書籍株式会社)】 ・「えんぴつびな」     【どうとく3年 きみがいちばんひかるとき(光村図書出版)】 ・「愛の日記」     【みんなのどうとく5年(株式会社 学研教育みらい)】 ・「美しい母の顔」     【中学生の道徳2 自分を考える(廣済堂あかつき株式会社)】  演習を行ったあとの参加者からの感想として、「資料分析においては、グルー プ内で多様な意見が聞かれ、資料を読み解く切り口が様々にあることが分かった。 」「模擬授業を行い、児童役になってみることで、実際には、答えることが難し い発問もあるということが分かった。」といったことが出されていました。  資料分析や模擬授業などの実践的な研修を校内研修に取り入れている学校も多 くなっています。模擬授業は、児童生徒の立場になって授業を構想することがで きる有効な研修手法の一つです。校内研修でもぜひトライしてみませんか。    参加した先生方(約60名)は、資料と向き合い、子どもを見つめて、道徳の 授業づくりについて熱心に語り合う一日を過ごされていました。                    【小中学校課 森 有希】 ----------------------------------------------------------------------- <②学校図書館の部屋>  子どもたちは夏休みに豊かな読書体験ができたでしょうか。各校の学校図書館 の担当者は、この休業中に本と子どもを結びつけることができたでしょうか。2 学期のスタートに向けて、教材研究の一つのツールとして、学校図書館の利用は なされたでしょうか。  さる8月19日サンピアセリーズを会場にして、学校図書館活動推進事業連絡 協議会が開催されました。午前中は学校図書館推進校20名の学校図書館教育推 進教諭が集い、今までの取り組みの成果と課題、課題解決の方策を協議しました 。今回は特に「きっとある キミの心に ひびく本」の授業活用や取組成果の普 及啓発の方策について、協議を深めることができました。  午後の部は、学校図書館教育推進教諭、学校図書館担当者、高等学校の実習助 手、学校図書館支援員の方々を中心に「ガイドブックやリストブックを活用した 学校図書館活動について」それぞれの立場で成果や課題、解決法について話し合 いがなされました。協議の中では以下のような課題が出されていました。 ●学校図書館支援員が、学校、学年、学級担任との関わりのなかで、話し合う場  面が少ないこと。 ●教員の学校図書館の活用について意識の差があること。 ●教科の年間計画にどう関わるのか不十分であること。  さらに、グループ内で出された課題について各グループで協議を深め、以下の ような解決の方策を提案していました。 ○学校図書館担当や管理職が、リードして、学校図書館の会をもつこと。 ○教科等の進度に沿った図書館活用学習の作成と実践を行うこと。 (例:だれにでもすぐ使えるワークシートの作成・・・事典・図鑑・地図・年鑑    等の使い方が分かるワークシート) ○教職員向けの図書便りの発行を進め、取り組み等をアピールすること。 (例:利用の仕方・司書について・本の紹介など) ○調べ学習等において、小・中学校での取り組みが高等学校で生かされるという  意識を指導者自身がもつこと。  いかがでしょうか。それぞれの立場で考え、提案されたものの一部ですが、2 学期開始前の今このときに、今一度自校の状態を振り返るきっかけにしていただ きたいと考えます。                    【小中学校課 須内 康雄】 ----------------------------------------------------------------------- (3)ザ・チャレンジ! <①理科の部屋>  6月号でお知らせしました「高知CST養成プログラムキックオフ・シンポジ ウム」が、先月16日(土)に約200名の参加を得て盛大に開催されました。 その内容は、CST事業の説明はもちろんのこと、筑波大学の大髙教授を招いて の講演(演題:理科学力の課題と理科授業づくりの視点~国際的動向を踏まえて ~)や池教育次長による特別講演「高知県の教育の現状と課題」も行われました 。その後、高知大学、県教育委員会、企業、CST受講者の4名をパネリストに 迎えたディスカッションも行われました。  午後のみの開催でしたので、講演内容やパネルディスカッションをもっと聞き たかった、という感想も耳にしました。  CSTプログラムは現在、県内企業に出向いた先端技術の研修をしています。 また、2学期からは理科における研究授業の学習指導案づくりに入り、10月下 旬から11月上旬にかけて研究授業を実施する計画です。研究授業等の様子は後 日紹介させていただきます。  さて、本年度の理科教育推進プロジェクトにはいくつかの事業があります。そ の中のひとつである「高知県理科思考力問題集」がついに完成しました。  1学期には試行版の実施状況及び思考力問題集についてのアンケートを実施し ました。各学校の年間指導計画上、単元を終了していない学校などもありました が、県内全体の活用率は、小学校では93.6%、中学校では72.2%でした 。活用した成果や改善点等の自由記述には、 ○思考力問題の正答率が66%であったことから、『調べたい条件だけを変え、  ほかの条件をそろえる』ということの理解が不十分であったことがわかったの  で、その後、授業でもう1度復習することができた。 ○基礎の確認については、単元のまとめとして基礎・基本の重要語句や公式を利  用しての計算等の定着に、思考力問題については、授業の展開での発問に利用  するのにそれぞれ適していると思います。また、グループ学習で教え合い等を  目的とする学習でも利用できると思いました。さらに、問題数や難易度も、本  校の生徒に適していると感じました。 という意見も見られました。  児童生徒が授業中によく考えて理解に至ったかどうかを把握するには、授業中 の発問も含めて、色々な問いかけをする必要があります。思考力問題はそのヒン トになることも目的として作成していますので、「このパターンもできるように なればよい」ということではなく、授業改善の一つの視点として是非活用してい ただければと思います。  「高知県理科思考力問題集」については、9月初旬に配付を予定していますの で、配付されましたら、積極的に活用していただき、理科担当教員連絡会等にお いて、活用・改善事例の活発な情報交換・協議ができることを期待しています。                   【小中学校課 玉野井 英二】 ----------------------------------------------------------------------- <②外国語の部屋>  6月21日に、英語パイロットスクールの指定校である土佐市立高岡中学校に おいて「英語パイロットスクール実践研究指定事業 公開授業及び講演会」を開 催しました。  午前中に、高岡中学校の2、3年生の公開授業、午後は、国立教育政策研究所 教育課程研究センター平木 裕教育課程調査官をお招きし、「新学習指導要領を 踏まえた指導と評価の工夫」と題した講演を行っていただきました。当日は県内 の英語科教員を中心に40名近くの参加があり、公開授業では、生徒が意欲的に 取り組む授業の様子やコミュニケーション活動、視聴覚教材の工夫等から多くの 先生が授業づくりのヒントを得ることができました。  また、研究協議では、新学習指導要領を踏まえた授業づくりの課題や対策につ いて、熱心な協議が交わされました。  平木調査官の講演では、小学校外国語活動の趣旨や、中学校外国科の改訂のポ イント、今後の授業改善の方向性、そして、学習評価の在り方について、具体的 な資料とともに分かりやすい説明をしていただきました。特に、学習評価につい ては、評価規準の設定の仕方や単元の評価計画の立案を具体的に示していただき 、大変内容の濃い時間となりました。参加された先生方からも、「単元の評価規 準や評価方法の設定の仕方、考え方が大変分かりやすく、今後そのように計画、 実践していくことができる内容でした。小・中・高を通しての系統だった指導の 流れがよく分かり、中学校はどう変わっていかなければいけないか考えさせられ ました。」等の意見が数多くありました。また、付けたい力を明確にしたうえで 単元計画を立てる重要性や学習指導案の書き方を再確認することができた先生も 多くいました。今後、多くの学校で新学習指導要領の趣旨を踏まえ、4領域を統 合した言語活動や、4技能の総合的な育成を目指した授業づくりが実践されるこ とが期待されます。  英語パイロットスクール実践研究指定事業では、指定校が年1回の公開授業を 行っています。今後の公開授業の日程は以下の通りですので、是非ご参加くださ い。申込みについては、各学校からの公開授業の案内文書に従って申込みくださ い。 ○四万十市立中村中学校  9月29日(木)            (案内発送済み 申込締め切り:9月20日(火)まで) ○須崎市立須崎中学校  11月18日(金)            (後日、地教委に案内が送付される予定)  ○安芸市立安芸中学校   1月19日(木)           (後日、地教委に案内が送付される予定)  なお、6月21日の平木調査官による講演の資料等を希望される場合は、担当 までご連絡ください。                    【小中学校課 南 佐代】 ------------------------------------------------------------------------ 【お知らせ】 <科学コミュニケーション連携推進事業 草の根プログラム 募集>  科学技術振興機構(JST)では、東日本大震災の被災者を対象とし、科学コ ミュニケーションを通じて被災地や避難所等にいる子どもたちや大人たちが科学 技術への興味・関心を深め楽しむ活動や、被災者である科学ボランティア等科学 コミュニケーション活動に携わる方々が実施する活動を支援します。 1 申請者  日本国内の個人、かつ被災者に対して科学コミュニケーション活動を企画・実 施する強い意志を有する者 2 活動の形式  個人が自らの特徴等を活かして実施する活動 3 支援内容・方法  経費は活動実施日1日につき2万円を支援。1企画につき5活動までを支援対 象。支援上限額10万円(税込)。全活動終了後、JSTから申請者本人へ支払 います。 4 応募期間  平成23年6月27日(月)~平成23年11月28日(月) 5 支援対象となる期間  平成23年7月26日(火)~平成24年2月29日(水) 6 問い合わせ先  独立行政法人科学技術振興機構 科学ネットワーク部 地域ネットワーク担当  〒102-8666  東京都千代田区四番町5-3 サイエンスプラザ  電 話:03-5214-7493  FAX:03-5214-8088  メール:kusanone@jst.go.jp                   【小中学校課 玉野井 英二】 ----------------------------------------------------------------------- 【銀杏だより】 「キョウヨウへの第一歩」  立秋を過ぎましたがまだ団扇は手元から離れません。  ここ数日、西庁舎と本庁舎を往復しなければならない用があり、急ぐ時は近道 のお城西側の小路を利用します。わずか数百メートルの路上であっても日差しは まだ厳しく、汗を拭うハンカチもすぐグシャグシャになります。残る暑さにしば らく我慢の日々です。  子どもの頃、夏の高校野球の優勝校が決まるころまでは、宿題に全く手を付け ていなかったのでいつもこの時期になると後悔していました。中でも読書感想文 は大の苦手で、月末ぎりぎりまで残して、慌てて市立図書館や本屋に駆け込み、 無理な選書をし、原稿用紙のマス目を埋めることができず苦しい思いをしていま した。  小学校中学年の児童が好んで読む本の中に、人気児童文学作家斉藤洋さんの「 ルドルフとイッパイアッテナ」という二匹の野良猫の話があります。3年前、G 小学校のKさん(当時3年生)は、読後、「キョウヨウへの第一歩」という題で 感想文(「第54回高知県青少年読書感想文集」収録)を書いています。  キョウヨウとは、野良猫の兄貴分イッパイアッテナがルドルフの言動を見ては 、「教養のある猫になれ」と諭す時に使う教養ということばの意なのです。  Kさんは、作品を読む中で、2匹の野良猫の会話に幾度となく出てくる「キョ ウヨウ」が気になって仕方ありません。  国語辞書を引き寄せます。 「教養-身についた広い知しきや、ゆたかな心。」  また、読み進めます。  イッパイアッテナは、飼い主から「ひとりでもちゃんと生きていけるように」 と、字を教わり、人間社会で暮らしていくうえでの文字を会得していました。ル ドルフはどこか教養のあるイッパイアッテナに惹かれて、兄貴と慕い、字を習い 、そればかりでなく人として、いや猫としての我慢強さや友達を大切にする心づ かいを教わっていきます。  Kさんは次のように気付きます。  「わたしには、二ひきのように友だちのために何かをがまんしたり、自分のこ とを後回しにすることは、当分できそうにない。わたしの心のうつわが、まだお ちょこぐらいの大きさしかないからかな?でもこの本を読んで、いつかわたしも 二ひきのような、教養のあるゆたかな心の持ち主になりたいと強く思った。」  まずは、ひとり立ちできる知識を身に付けるため一生懸命勉強をする。そして 、身に付けた知識は自分のためだけでなく、人との交わりの中で使っていく。  Kさんは本を読むことで自分を発見し、そのことを表現してくれました。    「キョウヨウへの第一歩」をKさんはしっかり踏みしめました。9歳の女の子 に先を越された感じです。本の中に、教室の中に、友だちの中にキョウヨウを見 付け、確かな学びの道を歩むKさんが見えます。Kさんの学びに意義と価値を付 加してくれた授業者にも感謝したいです。                      【小中学校課長 永野 隆史】 ----------------------------------------------------------------------- ◆「パートナー」の内容は自由に引用、転載してもかまいません。 ◆バックナンバーは小中学校課ホームページでも読むことができます。  http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/310301/   ◆ご意見・お問い合わせはこちらまで TEL 088-821-4638 FAX 088-821-4926 mail 310301@ken.pref.kochi.lg.jp 担当:西岡 / 発行責任者:寺村