病院紹介

過去の院長あいさつ

病院長

 新年のご挨拶:2023年初頭

 新年あけましておめでとうございます。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中で、3年間が瞬く間に過ぎました。残念ながら、感染の波は我々の予想を遥かに超え、幾重にも繰り返すとともに、その度に大きくなっています。現在は第8波感染者爆発のため死亡者が増え続け、高知県全ての医療機関が混迷を極めています。今年中にコロナとの共存に一定の方向性が見出せることを願いながら、幡多地域の患者さんのために、当院も医療を止めずに誠心誠意努力して参ります。

 患者さんの高齢化は急速に進んでいます。高齢者は多臓器に疾患を持つこと、認知症や社会環境問題を抱えていること、また治療に対する反応も個人差が大きく、合併症も発生しやすいなどの特徴があります。従って、高齢患者さんの多くの問題を解決するためには、多職種からなるチーム医療が欠かせません。このチーム医療を推進する原動力は、医療従事者が情報を十分共有した上で、効率よく働くことです。2024年度から「医師の働き方改革」が本格化しますが、医師だけでなく病院職員全体の働き方を改革し、一人一人が進歩しながら、多様性のある高齢患者さんへの医療を守りたいと思います。 

 高齢化は、幡多地域全体の医療構造を変えています。高齢者が住み慣れた土地でいつまでも暮らせるように、「病院で完結する医療」から一歩踏み出し、「幡多地域全体で完結する医療」を目指して、多くの医療機関はお互いの連携を強化しています。また、高齢患者さんは病状が安定すると「介護や生活に繋がる医療(ケアや社会資源の活用)」が必要ですがその一方、病状が不安定になれば病院に戻ることを余儀なくされます。不安定な病状すなわち急性期をサポートすることが当院の役割と認識していますので、今後も救急・高度医療に努めて参ります。

 これまでと同様、病院理念である「幡多地域で完結する良質な医療の提供」を基本に、医療安全、医療倫理、感染管理の3つを大切にしながら診療を行いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 皆様にとって良き年になりますよう祈念しまして、私からの年頭のご挨拶といたします。どうぞ本年もあたたかいご支援とご助言を心よりお願い申し上げます。

令和5年1月20日

病院長 矢部敏和

新年のご挨拶:2022年初頭

新年のご挨拶:2022年初頭

 新年明けましておめでとうございます。

 昨年は医療現場での制限が多い中、地域の皆様の多大なるご協力をいただき、心より御礼申し上げます。

 昨年もコロナに振り回された1年でした。4月の第4波、7月の第5波を受けながら、8月には緊急事態宣言の中「東京オリンピック・パラリンピック」が開催されました。現在はマスク着用、手指消毒、3密回避の新しい生活スタイルを行うことで、以前の日常に近い行動ができています。目前まで押し寄せた第6波が小さな波で終わり、その後はコロナが収束していくことを切に願っております。

 幡多地域の人口は毎年1000人以上減少していますが、患者さんの数は今後10年間増加し続け、高齢化も加速します。現時点でも、心不全患者さんの半数は85歳以上です。高齢者は多くの合併疾患を持つため、複数の科で対応することが多くなります。また入院中に体力・気力が落ちないように、理学療法士によるリハビリや管理栄養士による栄養管理を行います。看護師や薬剤師は退院後を見据えた種々の指導を行います。自宅退院が難しければ、ソーシャルワーカーや退院支援職員がリハビリ先・転院先を相談します。このように、多くの医療スタッフが一人の患者さんに関わりながら、可能な限り元の生活に戻って頂くのが現代の医療です。

 我々もチームで連携をとりながら、患者さんの最善を尽くして努力しますので、患者さん・ご家族もまた、チームの一員としてご協力頂けるとありがたいです。

 医師の働き方改革は待ったなしです。これまで患者さんは、自分のことを一番わかってくれる主治医に全てお任せすることが当たり前でしたが、今後は医師もチーム医療の一員として当番制・交代制になっていきますので、検査や手術あるいは説明がそれぞれ違う医師になることも増えてきます。医師だけが過重労働にならないようご協力頂けると幸いです。もちろんチーム全員が、主治医(療にあたる療スタッフ)の役割を果たせるよう努力を重ねて参ります。

 これまでと同様、病院理念である「幡多地域で完結する良質な医療の提供」を基本に、医療安全、感染管理、医療倫理の3つを大切にしながら診療を行いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 皆様にとって良き年になりますよう祈念しまして、私からの年頭のご挨拶といたします。どうぞ本年もあたたかいご支援とご助言を心よりお願い申し上げます。

令和4年1月4日
病院長 矢部敏和

新年度のご挨拶:2021年

新年度のご挨拶:2021年4月

 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、新年度が幕を開けしました。この1〜2年は大きな感染の波にならないことを願うばかりですが、高知県もいつ変異株という波に襲われるかもしれません。ワクチンが広く行き渡るように最大限の協力をしながら、幡多地域の医療が守られるように、頑張りたいと思います。

 今年度は、医師21名(うち研修医5名)、看護師14名、コメディカル11名の総勢46名の新採用・転入者がありました。若い息吹で、けんみん病院に新しい風を巻き起こしてくれることを期待しています。

 医師は高知大学からの若手医師あるいは研修医が主体であるため入れ替わりが激しいものの、その数は着実に増加しています。患者さんから、多くのことを学ばせてもらっていることを強く意識し、真摯に地域医療と向き合っていきましょう。また、看護師やコメディカルも多くの新採用があり、大変活気に溢れた年度始めとなりました。看護では、特定看護師・認定看護師の資格を取得し、より専門的に活動したい看護師が増加していることも心強く感じます。若いスタッフがやりがいを持って、楽しく仕事ができるように、病院はサポートしていきます。まだまだ経験不足のスタッフも多いですが、幡多けんみん病院は、医療安全の文化をとても大切にしている病院であることを忘れずに、スタッフ皆が患者さんと一緒になって、幡多地域で安全な医療が行われるよう努力していきましょう。

 昨年度はコロナ騒動のため地に足が着いていない1年でしたが、地域医療構想や医師の働き方改革は今年度も計画通り粛々と続いています。
 当院は昨年病床を削減したこともあり、今まで以上に地域と連携を図りながら、急性期医療を継続することが重要であると考えています。病状が安定すれば、近隣の医療機関に転院し、回復期リハビリを行った上で自宅退院を目指すことがますます加速されます。医師の働き方改革は、若手医師の増加に期待し、少しずつ時間外勤務を減らしたいと考えています。歯科衛生士、医師事務補助者、看護補助者の採用を進め、またAI問診の導入なども行いながら、医師や看護師のタスクシフトにも力を入れていきます。

 明るい日差しが差し込んでくることを大いに期待しながら、新年度も元気に乗り切りましょう。

令和3年4月12日
病院長 矢部敏和

新年度のご挨拶:2021年

新年のご挨拶:2021年初頭

 新年明けましておめでとうございます。

 皆様におかれましては、例年とは全く違う静かな年末年始を迎えられた事と思います。

 昨年は世界中がコロナショックに揺さぶられた1年でした。1月に日本国内で新型コロナウイルス感染症第1例目が検知され、2月末には高知県でも患者さんが報告されました。幡多地域では、4〜5月に第1波が到来し、7月には1例そして現在は第3波と言われる感染拡大により、12月5日から多くの患者さんが発生しております。第3波はまだ収束の目処が立たず、今年も上半期はコロナに振り回されそうですが、ワクチンが効果的に働いて、徐々に収束していく事を切に願っております。東京オリンピック・パラリンピックは1年延期されましたが、努力を重ねているアスリートのためにも、開催されるのであれば心から声援を送りたいです。

 昨年、けんみん病院開院以来初めてとなる一般病床33床の削減を行いました。人口減少に伴い患者さんが徐々に減り始めている中、急性期医療を継続しながらも、同時に安定的な病院運営を考えての決断です。コロナ診療を除けば、病院運営は順調に推移していますので、しばらくはこの体制を継続したいと考えています。

 人口減少による医療スタッフ不足は患者さんの減少以上に深刻な問題です。医師については、卒業後高知県で働く「地域枠」の医学生が徐々に増加していますが、現場で活躍できるようになるのは少し先のことです。また、メディアでコロナ病棟の過酷な現場が毎日のように報道されるのを見ると、看護師など医療スタッフを目指す若者が減らないか心配になります。高知県および高知大学などとこれまで以上に連携をとりながら、医療スタッフ確保に努めて参ります。

 診療活動において医療安全、感染対策、医療倫理の3つの概念の重要性が認識されつつあります。当院は、医療安全及び感染対策には早くから力を入れていますが、医療倫理に関してはまだまだ職員に浸透できていません。多様化・高齢化する患者さんの最善を考え、家族と一緒になって治療方針を考えていくうえでは、必須の概念ですので、今年は職員全員で学んでいきたいと思います。

 コロナと共存しながらも、この新しい年がより良き年になりますよう祈念しまして私からの年頭のご挨拶といたします。

 どうぞ今年もあたたかいご支援とご助言を心よりお願い申し上げます。

令和3年1月4日
病院長 矢部敏和

新年のご挨拶:2020年初頭

新年のご挨拶:2020年初頭

 明けましておめでとうございます。

 皆さまには健やかに新年をお迎えのことと心からお喜び申し上げます。「平成最後の・・」から「令和最初の・・」という言葉に替わったのもつい最近のように思いますが、もう令和2年の幕開けです。今年はオリンピックイヤーであり、皆様とても楽しみにされていることと思います。

 さて、幡多地域の医療も今年から大きく変わりそうです。皆様ご存知のとおり、高知県では医師を含めた医療従事者の多くが高知市内に集中するため、ここ幡多地域では医療スタッフの不足が続いています。地域の方々が望まれている「幡多で完結する良質な医療」をこの先も提供し続けるには、病院・診療所や保健・福祉などの行政、介護施設が「One Team」となり、医療機能や役割の分担をさらに加速して行う必要があります。

 その中で、幡多けんみん病院は5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)5事業(救急医療、周産期医療、小児医療、へき地医療、災害医療)中心の医療を継続しながら、今後も急性期医療に力を入れて参ります。

 患者さんには、回復期あるいは慢性期になれば、幡多地域内の病院や診療所に転院していただく場合も多いかと思います。その後、機能回復できれば介護施設に戻る、あるいはかかりつけ医で外来診療を継続することになります。万が一病状が悪化しても、その時はけんみん病院が再度担当させていただきます。このような医療・介護の循環を行うことで、患者さんが元の生活に早く戻れるよう手助けをしたいと考えています。

 残念ながら、急性期から療養までの全てをひとつの医療機関で提供するには、人材も財源も足りないのが現状の医療です。幡多地域内で転院する場合、患者さんにご迷惑のかからないように、医療機関同士はより連携を強化していますので、ご安心ください。

 最後に、皆さまにとりまして幸多い年になりますよう祈念しまして年頭のご挨拶といたします。どうぞ今年もあたたかいご支援とご助言を心よりお願い申し上げます。

令和2年1月1日
病院長 矢部敏和

新院長挨拶:2019年4月

新院長挨拶:2019年4月

 平成31年(2019年)4月1日より高知県立幡多けんみん病院長に就任いたしました矢部敏和です。私は四万十市の出身ですので、故郷の幡多地域で医療に携われることを大変うれしく思います。これもひとえに、これまで出会った多くの患者さん、医療関係者のおかげであり、心より感謝しております。

 高知県立幡多けんみん病院は、平成11年(1999年)4月24日に診療を開始し、今年度から21年目になります。旧西南病院と旧宿毛病院の両県立病院が統合し、「幡多地域で完結できる、良質な医療の提供を目指す」を病院の基本理念として掲げ、職員全員で一丸となり取り組んで参りました。名実ともに“けんみん”の病院として親しまれ、安心して暮らすことのできる幡多地域のシンボルとなるように、今後とも日々努力して参りたいと思います。

 また、良質な医療の提供には、医療安全の精神が不可欠であり、病院全体に「安全文化」の風土が根づく必要があります。職員全員が、ある時は立ち止り、振り返りながら、過去の教訓を忘れることなく、そして前を向いて「患者さんのため」「地域の方のため」に、安全な医療に取り組む所存です。

 病院開設以来、地域に求められる医療の提供こそが自治体病院の使命であると考え、循環器疾患や脳血管疾患、外傷等の救命・救急医療、地域がん診療連携拠点病院としてのがん医療、産科・小児科医療などを推し進めて参りました。今後もこれらの医療は当院の果たす重要な役割であります。

 一方で、超高齢社会においては、当院に求められる医療も変化しているように感じます。以前の病院は、病気になると一時的に来る場所で、普段は縁のないところであったように思いますが、現在の病院は、定期的に通院する身近な場所で、日常生活にかけがえのないところです。こういう日々の暮らしを、医療という側面から支え続けることこそが、「地域で完結できる良質な医療」であると再認識し、かかりつけ医療機関や保健・福祉・介護施設などとの連携のもと、引き続き努力して参ります。そのためには、地域住民の方々のご理解・ご協力は必要不可欠でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。

平成31年4月1日
病院長 矢部敏和