尿路結石に対するレーザー結石破砕術を新たに開始しました

公開日 2020年09月24日

 幡多けんみん病院泌尿器科では今年の9月中旬より新たに結石破砕に使用するレーザーデバイスを導入しました。これまでは高知市内や愛媛県の医療施設に依頼していた尿路結石に対する手術を当院でも行うことが可能となりました。


〈尿路結石〉
 尿路結石とは、腎臓で作られる尿の通り道(腎盂~尿管~膀胱~尿道)にできる結石のことです。その結石が通り道の途中で通過できず、引っかかった状態になると背中や脇腹・下腹部の痛みを伴い場合によっては感染症を引き起こすことがあります。また長期にわたって尿の通過障害があると、腎臓の機能が少しずつ低下することがあります。
 尿路結石症診療ガイドラインでは、10mm満の尿管結石の多くは自然排石が期待されるため、こまめな飲水を促し時には排石促進剤の内服を併用して保存的加療を行うことが推奨されています。また10mm上の結石は自然排石の可能性は高くないことや症状発現後1ヵ月で結石の移動がない場合は積極的な治療介入を考慮するべきとされています。

〈治療方法〉
 結石に対する治療方法は、手術による破砕(リソクラストもしくはレーザー)と体外衝撃波による破砕との大きく分けて2種類の方法があります。

◇ESWL(体外衝撃波結石破砕術)
 体外衝撃波による破砕方法は、麻酔が必要なく外来治療が可能です。しかし、一定の破砕効果はあるものの、実際に破砕されているかの確認が困難なことや破砕後も尿管内に結石は残存しており自然に排石することを待つため再度引っかかるリスクや疼痛発作を繰り返す可能性があります。

◇TUL(経尿道的結石破砕術)
 手術による破砕方法は、全身麻酔(入院加療)が必要になります。尿管内へ尿管鏡という内視鏡カメラを挿入して結石を観察しながら砕石することができ、体外に結石を回収します。

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一部手術が不能な場合を除き、現在では結石を確実に回収できるといった観点から内視鏡手術が第一治療選択として広く普及しています。
これまで当院で行ってきたリソクラスト(金属製のデバイスを圧縮空気を用いて振動させ結石を破砕する方法)では、上部尿路や腎結石のように屈曲が必要になる状況では治療が困難でした。今回レーザーデバイスを導入することで軟性尿管鏡を用いた上部尿路結石や腎結石の手術加療が可能となり、当院での結石治療の幅が広がりました。