公開日 2021年06月30日
鏡ダムの洪水調節の仕組みと効果について
洪水調節
治水ダムや多目的ダムにおいて下流への洪水の放流量を調節(抑制)する防災操作のことで、ダム下流部における洪水被害の軽減を目的としています。
鏡ダムには3つのゲートがあり、このゲートの開く量を変えて下流へ流す水の量を調節しています。ダムへの流入量(*1)が洪水調節開始流量(300 m3/s)に達した後は、ゲート開度を一定に保ち放流します。
*1 流入量とはダム貯水池に流れ込む水の量
1.洪水に備える
1.制限水位方式
鏡ダムでは、台風や大雨の発生が多い洪水期に必要な洪水調節容量を確保するため、あらかじめ一定の貯水位まで下げておく、「制限水位方式」を取っています。
具体的には、7月と9月21日~30日までは貯水位を68m以下とし、8月1日~9月20日までは63m以下とする、2段階の制限水位を採用しています。事前にダム水位を下げてダムの洪水調節容量を作っておいて、洪水をダムに貯める準備をします。
2.予備放流方式
貯水位の高い時期に、天候の悪化や雨量予測から洪水が予想される場合には、意図的に水位を低下させて(*2)ダムの洪水調節容量を増やす予備放流を実施し、洪水に備えます。
*2 予備放流は、原則としてEL63mを最低水位として実施します。
【予備放流の実績(令和元年)】
○10月3日(台風18号) EL.75m ⇒ EL.67m
○10月24日(豪雨) EL.75m ⇒ EL.71m
2.鏡ダムにおける洪水調節の手順
Step1 ゲート放流の開始(ダムの洪水調節容量は維持)
普段は発電放流等により水道や工業用水の取水、魚などの生息環境の維持になど、下流に必要な水を放流しています。
雨が降り続き、ダム貯水池への流入量が 15 m3/s以上になれば、ダムの洪水調節容量を維持するため、ゲートからの放流を開始します。
貯水池からの放流量が増加し、下流に河川の水位の急激な上昇が起こる場合があるため、事前にダムからゲート放流開始の放送を行う他、スピーカーやサイレン、電光表示盤、警報車等で川からの避難を呼びかけますので、ご注意ください。
Step2 洪水調節(洪水調節容量を利用して、洪水を貯める)
さらに雨が降り続き、ダム貯水池への流入量が洪水調節開始流量(300 m3/s)に達すると、鏡ダムではゲート開度を一定に保ち洪水調節を開始します。ダムへの流入量の一部をダム貯水池に貯めて、下流へ流しても安全な水量をダムから流します。
ダムから下流へ流す水量は、貯水位の上昇によって徐々に増加していきます。
Step3 計画規模を超える洪水への対応
通常の洪水調節はStep2までの方法で行っていますが、更に計画規模を超えるような異常な洪水となり、洪水調節容量を使い切る見込みとなった場合には、ダムを越流することによる河川の急激な水位上昇を防ぐため、異常洪水時防災操作に移行します。
具体的にはゲートを一定開度で放流していた状態から徐々に開き、放流量を流入量に近づけていくことで、ダム貯水池の水位上昇を抑えます。
ダム下流では氾濫のおそれが生じますので、このような放流を実施する場合には、事前にダムから異常洪水時防災操作開始予定の放送を行う他、スピーカーやサイレン、電光表示盤、警報車等で避難を呼びかけます。
Step4 次の洪水に備える
大雨が止み、洪水がおさまるとダムに流入する水量が減少します。
貯水池は、洪水を調節して水をため込んだことで水位が上昇しているため、次の洪水に備えて、下流の河川状況を見ながらため込んだ水を放流します。水位の低下は洪水期・非洪水期で定めている水位を目標とし、ダム貯水池の容量を定められた洪水調節容量に戻します。
最近の鏡ダムの洪水調節効果
○令和元年10月3日の大雨時(台風18号)における鏡ダム洪水調節効果について(速報)
○平成30年9月30日の大雨時(台風24号)の鏡ダム洪水調節効果について(速報)
○平成30年7月7日の大雨時(梅雨前線)の鏡ダム洪水調節効果について(速報)
○平成30年7月6日~7日の大雨時(梅雨前線)の鏡ダム洪水調節効果について(速報)
○平成30年7月4日の大雨時(台風7号)の鏡ダム洪水調節効果について(速報)
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