令和5年度 地域の皆さんの活動(地域支援企画員からの報告)

公開日 2024年03月27日

更新日 2024年02月08日

「鍛冶屋創生塾」の取り組み(香美市/物部川ブロック)

1 鍛冶屋創生塾とは?これまでの動き

 鍛冶屋創生塾(以下、「創生塾」という。)は、令和元年10月に設立された土佐打刃物職人の後継者を育成するための学校です。これまでは、親方の元に弟子入りして特定の刃物の修行を積む方法が一般的でしたが、創生塾では、香美市を中心とした県内の多くの鍛冶職人から、包丁、鎌、鉈(なた)などの基礎から応用まで多彩な技術を学ぶことができる2年間のカリキュラムが組まれており、その課程の中で、自分が目指したい鍛冶職人像を見いだしていくことができます。
 設立と同時に入塾した1期生3名、令和3年度に入塾した2期生3名は無事卒塾し、5名は県内の事業所に、1名は創生塾の講師補助として就業し、それぞれが鍛冶職人としての一歩を進み始めています。中には既に自前の工房を構えて、独立目前のところまで来ている卒塾生もいます。

2 鍛冶屋創生塾3期生のコメント

令和5年度には、新たに3期生3名が入塾し、それぞれ目指したい鍛冶職人像を模索しながら熱心に研修を続けています。
〈3期生〉
Tさん(36歳) 出身地:四万十市
Yさん(25歳) 出身地:長岡郡大豊町
Iさん(20歳) 出身地:愛知県豊橋市


・創生塾に入塾しようと思ったきっかけは。
(Tさん)物心ついた頃、祖父に愛用の剣鉈(けんなた)を見せてもらった際、柄が鹿の角で造られ、刃は宝石のように輝き、当時の自分には宝物のように映った。その後、「一週間の鍛治工房での体験」に参加したことで更に刃物への興味が深まった。進路決定の際は、両親や周囲の意向もあり鍛冶職人への道を断念したが、結婚を機にこれからの人生を再考するようになった時に、創生塾の存在を知り、妻の後押しも得られたことから、鍛冶職人として新しい人生を歩むことを決心した。
(Yさん)以前から美術刀剣に携わりたいという思いがあり、鍛冶屋になる夢を叶えるべく修行場所を探していたところ、創生塾の存在を知った。創生塾は、研修を通して多様な種類の刃物のベテラン職人により、基礎から応用まで学べること、また、2年間の研修の後も独立に向けた支援が得られるところに魅力を感じて入塾した。
(Iさん)子供の頃から“鍛冶屋”に興味があり、やってみたいと思っていた。鍛冶屋についてSNS等で調べていくうちに創生塾にたどり着き、研修の内容や講師陣のことを知った時に『ここで学びたい』と思うようになった。

・どの刃物の職人になることを希望しているか。
(Tさん)剣鉈(けんなた)、包丁
(Yさん)鎌、包丁
(Iさん)斧、鍬(くわ)

・鍛冶職人として取り組みたいことは。
(Tさん)土佐打刃物の伝統技術を重んじながら、自由な発想を持って“ものづくり”にチャレンジし続けられる鍛冶職人を目指す。
(Yさん)男女・年齢を問わず、広く使ってもらえる、そして切れ味や使い勝手だけではなく、見ても満足してもらえるようなものを造り、土佐打刃物ブランドを更に世間に広めたい。
(Iさん)土佐打刃物の存在、良さを広く世間に知ってもらいたい。また“自由鍛造”の独自性を生かして新しいタイプの創造物を生み出して、土佐打刃物の可能性も見出していきたい。

 3期生は、1年近く創生塾施設内での研修に取り組んできたところで、今後1年間は、それぞれが鍛冶職人の元で1ヶ月間修行するインターンシップを含め、個々の状況に応じた研修を続けていきます。

 ①鋼、鉄づくり        ②沸かし           ③鍛接              

 ①鋼、鉄づくり ②沸かし ③鍛接

  ④荒研ぎ            ⑤焼入れ

 ④荒研ぎ ⑤焼入れ

3 土佐打刃物業界の現状

 職人の高齢化が進む中、創生塾の取り組みのように後継者育成に力を入れる一方、後継者が現れる前に廃業を決断する事業者も多く、今ある技術を次につなげられるかの瀬戸際の時期が来ているとも言えます。
 また、1本の刃物が市場に出るまでには、刃物に取り付ける柄を作る職人、刃物を作るのに必要な道具のメンテナンスを行う職人など、様々な技術を持った職人の協力が必要ですが、これらの職人も鍛冶職人と同様に後継者が見つからず、減少の一途をたどっています。

4 今後の動き

 土佐打刃物の技術が途絶えないよう、引き続き創生塾の取り組みを進め、後継者となる若者を育成していく必要があります。入塾者を確保するために、SNSでの広報活動や、工業高校等へのPR活動を行うとともに、来年度は初めてオープンキャンパスの開催を予定しています。
 土佐打刃物の普及促進にあたっては、創生塾の卒塾生が一人前の職人として活躍できる環境の整備と併せて、刃物製造に関連する職人の育成方法についても今後検討していく必要があります。

5 地域支援企画員の活動内容

 物部川地域本部では、「香美市の伝統産業(土佐打刃物、フラフ)の振興」として物部川地域アクションプランに位置づけており、香美市商工観光課や香美市商工会等とともに、香美市の伝統工芸品等の普及に取り組んでいます。創生塾のカリキュラムの進捗を適宜確認していくことに加え、毎年10月に開催され、県内の鍛冶屋が多数出店する「刃物まつり」の運営を支援するなど、土佐打刃物の普及に向けた様々な取り組みに関わらせていただいています。
 創生塾3期生を卒塾まで見守りつつ、4期生、5期生と繋いでいけるよう、土佐打刃物の後継者育成、普及促進に向けた取り組みを今後も様々な面から支援していきます。

この記事に関するお問い合わせ

香美市地域支援企画員 電話:0887-57-0015

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