公開日 2024年02月19日
更新日 2024年11月06日
春遠生活貯水池建設事業(春遠第1ダム、春遠第2ダム)は、高知県幡多郡大月町及び土佐清水市を流れる二級河川貝ノ川川の洪水調節、貝ノ川川沿岸の既得用水の補給等流水の正常な機能の維持と増進、及び大月町に対する新たな水道用水を確保するため、現在整備を進めています。
事業の概要
事業の目的
貝ノ川川流域が位置する高知県西南部は日本でも有数の多雨地帯であり、梅雨前線の停滞や台風の経路となることが多く、河川の流下能力不足と相まって、出水期にはたびたび氾濫しており、昭和54年9月(台風16号)、昭和55年8月(豪雨)等の洪水により被害を被ってきました。
近年においても平成13年9月の高知県西南部豪雨により、下流域の土佐清水市貝ノ川地区を中心に、全半壊家屋 48戸、床上浸水12戸、床下浸水52戸という大きな被害が発生し、市民生活、公共施設、市民財産に甚大な被害を与えました。
また、貝ノ川川は土佐清水市および大月町の農地に対する水源として広く利用されていますが、渇水期には河川水量の減少により、たびたび農業用水の不足に見舞われています。さらに、上流域の春遠地区等を含む大月町の簡易水道は、小河川の表流水が水源となっていますが、渇水期には需要に見合う給水が不可能となり、断水や取水制限が発生しています。特に平成8年の渇水は、1日18時間の断水が14日間発生し、給水車にて給水を行うことで対応しましたが、町民の生活に深刻な影響を与えました。
このように治水はもとより利水においても早急な対策が望まれており、春遠生活貯水池建設事業には大きな期待が寄せられています。
事業の主な経緯
春遠生活貯水池建設事業は、平成5年度に予備調査を開始し、平成6年度に建設事業に着手しました。
平成24年度に貝ノ川川河川整備方針・整備計画、平成25年度には春遠生活貯水池建設事業全体計画を策定。その後、左岸導水施設に接続する工事用兼管理用道路の荒廃に伴う予期せぬコスト増の懸念等の課題が判明したことから、令和元年度に全体計画の変更(1ダム+導水トンネル → 2ダム)を行いました。
令和4年度より、春遠第1ダムの本体建設工事に着手し、令和8年度の完成を目指しています。
時期 | できごと | 備考 |
平成5年4月 | 予備調査着手 | |
平成6年4月 | 建設事業採択・事業着手 | |
平成13年7月 |
補償基準妥結 | |
平成23年11月 |
「第19回今後の治水対策のあり方に関する有識者会議(ダム検証)」実施 | |
平成24年2月 | ダム検証実施 → 国土交通大臣より「補助金交付を継続」との対応方針を決定 | |
平成24年10月 | 「貝ノ川川水系河川整備基本方針」策定 | |
平成24年12月 | 「春遠生活貯水池建設事業に関する基本協定」締結 | |
平成24年12月 |
「貝ノ川川水系河川整備計画」策定 | |
平成26年3月 | 「春遠生活貯水池建設事業全体計画」策定 | |
平成30年9月 | 基本設計会議(第2ダム・ダム軸ダム形式)実施 | |
平成31年1月 | 「貝ノ川川水系河川整備計画」変更(2ダム1事業化に伴う変更) | |
令和元年7月 | 基本設計会議(環境部会)実施 | |
令和元年8月 |
「春遠生活貯水池建設事業全体計画」変更(2ダム1事業化に伴う変更) | |
令和2年10月 | 基本設計会議(第1ダム・本体実施設計)実施 | |
令和4年10月 |
春遠第1ダム本体工事本契約・着手 受注者:熊谷・須工ときわ・伊与田 特定建設工事共同企業体 |
|
令和6年5月 |
春遠第1ダム本体コンクリート打設開始 |
春遠第1ダム(本体建設中)
ダムの位置
高知県 幡多郡大月町 春遠
二級河川貝ノ川川水系1支家ノ谷川
ダムのはたらき
洪水調節
- 30年に1度発生する規模の洪水を防ぐことを目的としています。
- 春遠第1ダムに入ってくる流水 20m3/sのうち19m3/sを調節し、ダム下流へ1m3/sの放流を行うことで、春遠第2ダムと一体となって、下流沿岸の水害を軽減します。
流水の正常な機能の維持
- 10年に1度発生する規模の渇水に耐えることを目的としています。
- 魚など動植物の生育や、川らしい景観のための水面確保等に必要な流量(河川維持流量)として、春遠学橋基準点において年間を通して流量0.032m3/sを確保します。
- 既得かんがい用水の補給など、流水の正常な機能の維持と増進を図るため、春遠学橋地点において最大0.077m3/sを確保します。
水道用水
- 大月町の水不足解消を目的に、新たな水道水源として1日最大660m3を供給します。
ダムの諸元
型 式 |
重力式コンクリートダム |
堤 高 |
31.0 m |
堤 頂 長 |
112.0 m |
堤 体 積 |
27,500 m3 |
堤頂標高 |
EL.214.0 m |
堤 頂 幅 |
5.0m |
集水面積 | 0.84 km2 |
湛水面積 | 0.1 km2 |
設計最高水位 |
EL.212.3 m |
洪水時最高水位 |
EL.209.8 m |
平常時最高貯水位 |
EL.203.9 m |
最低水位 | EL.193.5 m |
総貯水容量 | 630,000 m3 |
有効貯水容量 | 600,000 m3 |
堆砂容量 |
30,000 m3 |
洪水調節容量 | 330,000 m3 |
利水容量 |
270,000 m3 |
建設状況
【着手前(令和4年3月)】
【現況(令和6年10月)】
※ 過去の施工状況は「こちら」
パンフレット
ダムカード・ダムへのアクセス
ダムカードの配布を行っています。詳細は「こちら」
春遠第2ダム(設計検討中)
ダムの位置
高知県 幡多郡大月町 春遠
二級河川貝ノ川川水系1支谷の奥川
ダムのはたらき
洪水調節
- 30年に1度発生する規模の洪水を防ぐことを目的としています。
- 春遠第2ダムに入ってくる流水 11m3/sのうち8m3/sを調節し、ダム下流へ3m3/sの放流を行うことで、春遠第1ダムと一体となって、下流沿岸の水害を軽減します。
ダムの諸元
型 式 |
重力式コンクリートダム |
堤 高 |
21.5 m |
堤 頂 長 |
96.0 m |
堤 体 積 |
9,300 m3 |
堤頂標高 |
EL.195.5 m |
堤 頂 幅 |
5.0 m |
集水面積 | 0.47 km2 |
湛水面積 | 0.1 km2 |
設計最高水位 |
EL.193.7 m |
洪水時最高水位 |
EL.192.2 m |
平常時最高貯水位 |
EL.179.0 m |
最低水位 | ー (治水専用ダムのため常時満水位と同値) |
総貯水容量 | 88,000 m3 |
有効貯水容量 | 84,000 m3 |
堆砂容量 |
4,000 m3 |
洪水調節容量 | 84,000 m3 |
利水容量 |
ー (治水専用) |
この記事に関するお問い合わせ
所在地 : |
〒788-0011 高知県宿毛市希望ヶ丘2番地 |
電話 : |
0880-63-9101 |
ファックス: |
0880-65-5031 |
メール : |
170111ken.pref.kochi.lg.jp |
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