高知県公文書開示審査会答申第154号

公開日 2009年02月27日

更新日 2014年03月16日

高知県公文書開示審査会答申第154号

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諮問第154号


第1 審査会の結論

 教育委員会は、「平成19年度全国学力・学習状況調査【小学校】実施マニュアル」及び「平成19年度全国学力・学習状況調査【中学校】実施マニュアル」について部分開示とした決定を取り消し、次の項目に関する別紙に掲げる情報を除き開示すべきである。
(1) コールセンターの電話番号
(2) ジュラルミンケース配送の場合における問題冊子・解答(回答)用紙等の配送日及び配送地域
(3) 問題冊子・解答(回答)用紙等の受取の際の受取方法及び解答(回答)用紙等の回収の際の回収方法
(4) 問題冊子・解答(回答)用紙等の配送時間・回収時間の記載
(5) 児童質問紙及び生徒質問紙の調査時間
(6) 問題冊子・解答(回答)用紙等の「配送・回収連絡FAX」のFAX日
(7) 配送業者名
(8) ジュラルミンケースの開錠詳細

第2 異議申立ての趣旨

 本件異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成19年3月19日付けで高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「全国学力・学習状況調査における小中学校実施マニュアル」の開示請求に対し、教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成19年3月27日付けで行った「平成19年度全国学力・学習状況調査【小学校】実施マニュアル」及び「平成19年度全国学力・学習状況調査【中学校】実施マニュアル」(以下「本件公文書」という。)の部分開示決定を取り消し、開示するとの決定を求めるというものである。

第3 実施機関の部分開示決定理由等

 実施機関が、決定理由説明書及び意見陳述で主張している部分開示決定理由等の主な内容は、次のように要約できる。
1 全国学力・学習状況調査について
 平成19年4月24日に実施された全国学力・学習状況調査(以下「本調査」という。)は、文部科学省が学校の設置管理者(市町村教育委員会、学校法人等)の協力を得て実施した調査である。県教育委員会の関わりは、市町村教育委員会との連絡調整、本調査に関する学校への指導・指示・助言等、本調査を円滑に実施するためにサポートするものであり、このことは、平成19年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領に定められている。
 各教育委員会等は、本調査に協力することにより、調査結果が文部科学省から提供され、その調査結果を分析・活用し、教育委員会や学校における効果的な取組や課題を明らかにして、学習改善に生かすことが期待されるものである。
2 条例第6条第1項第6号ウ該当性について
(1)  前述のとおり、実施機関は、調査に関して主体的に関わっているのではなく、文部科学省の実施する当該調査に協力しているものであることから、その実施に当たっての実施マニュアルの開示・非開示の判断は、文部科学省の意向を無視して行うべきものではなく、その指示に従って対応すべきものと考えている。
 平成19年2月21日に文部科学省から送信されてきた「実施マニュアルの取扱いについて」と題する電子メール(以下「取扱注意メール」という。)では、「実施マニュアルについては、…保護者や報道関係者等広く一般に積極的に広報するものではありませんので、取扱いに御注意いただきたい…と指示しており、これが条例第6条第1項第6号ウの「公表してはならない旨が明示されているもの」に該当しないとして開示することとなれば、「県と国等との協力関係又は信頼関係が著しく損なわれる」こととなる。
 そして、取扱注意メール中に「(文部科学省では、議員に対して目次のコピーのみで対応することとしております。)」との例示が示されており、この例示に従って、本件開示請求に当たっては、表紙と目次のみを開示することにしたものである。
(2)  しかし、平成19年8月24日の当審査会における意見陳述後、文部科学省に問い合わせたところ、本件公文書をやむを得ず公表するに当たって非開示とする場合の基準(以下「非開示基準」という。)が示された。
 そこで、文部科学省が示した非開示基準に従い、本件部分開示決定で非開示としていた部分を見直し、本件公文書のうち、【1】コールセンターの電話番号及び【2】物流のセキュリティに関する情報(ジュラルミンケース配送の場合における問題冊子・解答(回答)用紙等の配送日及び配送地域、問題冊子・解答(回答)用紙等の受取の際の受取方法及び解答(回答)用紙等の回収の際の回収方法、問題冊子・解答(回答)用紙等の配送時間・回収時間の記載、児童質問紙及び生徒質問紙の調査時間、問題冊子・解答(回答)用紙等の「配送・回収連絡FAX」のFAX日、配送業者名並びにジュラルミンケースの開錠詳細)については非開示とするが、それ以外はすべて開示することにした。

第4 異議申立人の主張

 異議申立人が異議申立書及び意見陳述で主張している異議申立ての主な内容は、次のように要約できる。
 条例第6条第1項第6号ウ該当性について
(1)  条例第6条第1項第6号ウは、「公表してはならない旨が明示されているもの等、県と国等との協力関係又は信頼関係が著しく損なわれるもの」を非開示とすることを定めているが、「明示されている」とは、「文書により開示してはならない情報を指示しているものをいい」、「抽象的なものは含みません。」(「情報公開事務の手引」)とされている。文部科学省の取扱注意メールでは、非開示を明示していないし、また、「公表してはならない旨の条件」も付されていない。よって、「目次」以外の全文を非開示とした決定は、条例に違反する。
(2)  取扱注意メールでは、「問題冊子の配送・回収の方法等関係者以外には知らせない物流関係の情報が記載されております。このため、保護者や報道関係者等広く一般に積極的に広報するものではありません」とある。「物流関係の情報」を開示することにより「学力・学習状況調査」の実施に支障が生じるのならば、「物流関係の情報」のみを非開示とするべきであり、他の部分も含めて非開示とするのは、条例の目的に反し、不当である。
(3)  取扱注意メールでは、「広く一般に積極的に広報するものではありません」とある。条例にのっとり開示請求した者に対し開示することは、「広く一般に積極的に広報する」には該当しない。よって、本件部分開示決定は不当である。
(4)  「調査の目的」など、むしろ「積極的に広報すべき」と推察される内容まで非開示とする決定は、条例に反し、違法である。
(5)  なお、本件部分開示決定で非開示とした部分を見直し、【1】コールセンターの電話番号及び【2】物流のセキュリティに関する情報のみを改めて非開示とするという実施機関の主張については、現時点で異議はない。

第5 審査会の判断

1 本件公文書について
(1)  本件公文書は、平成19年4月24日に実施された全国学力・学習状況調査の小学校用及び中学校用の実施マニュアルであり、本調査の実施に先立ち、平成19年1月に文部科学省から都道府県・学校の設置管理者・学校等に送付されたものである。
 本調査は、文部科学省が学校の設置管理者の協力を得て、【1】全国的な義務教育の機会均等と水準向上のため、児童生徒の学力・学習状況を把握・分析することにより、教育の結果を検証し、改善を図ること、【2】各教育委員会、学校等が全国的な状況との関係において、自らの教育の結果を把握し、改善を図ることを目的として、小学校6年生と中学校3年生の全児童生徒を対象に実施した。
 各実施マニュアルとも、表紙、目次及び本文から構成され、本文は、1.調査の概要、2.調査の実施体制、3.学校における実施体制、4.調査の実施スケジュール、5.特別な配慮が必要な場合の対応、6.その他、7.Q&A、参考資料等の項目から成り立っている。
(2)  実施機関は、文部科学省初等中等教育局学力調査室(以下「学力調査室」という。)から各都道府県・指定都市教育委員会宛てに発信された取扱注意メールで示された指示に従い、本件公文書のうち表紙及び目次を除く部分については条例第6条第1項第6号ウに該当するとして、これを非開示とする本件部分開示決定を平成19年3月27日付けで行った。
 しかしながら、平成19年8月24日の当審査会での意見陳述後、実施機関が学力調査室に問い合わせた結果、本件公文書をやむを得ず公表する場合の非開示基準が新たに示された。これを受けて、実施機関は、平成19年10月9日の当審査会での意見陳述において、文部科学省より示された非開示基準に従い、本件部分開示決定で非開示とした部分を見直し、本件公文書のうち、【1】コールセンターの電話番号及び【2】物流のセキュリティに関する情報については非開示とするが、それ以外はすべて開示することにしたと主張している。
 また、異議申立人も、平成19年11月19日の当審査会での意見陳述において、実施機関が改めて非開示を主張する右【1】及び【2】の部分の非開示については、現時点で異議はないと主張している。
 それゆえ、右【1】及び【2】の部分の非開示については特に争われているものとは認められないが、念のため、当該部分の条例第6条第1項第6号ウ該当性について判断する。
2 条例第6条第1項第6号ウ該当性について
 条例第6条第1項第6号ウは、県又は国、独立行政法人等若しくは他の地方公共団体その他の公共団体の機関が行う事務事業に関する情報であって、開示することにより、法律又はこれに基づく政令の規定による主務大臣その他の国の機関が行う指示等により公表してはならない旨の条件が付されているもの等、県と国等との協力関係又は信頼関係が著しく損なわれるものに該当することが明らかなものについては非開示とすることを定めている。
 本調査は、文部科学省が、学校の設置管理者である都道府県教育委員会、市町村教育委員会、学校法人、国立大学法人等の協力を得て実施するものであり、本件公文書の取扱いに関しては、まず、平成19年2月21日付けの実施機関宛ての取扱注意メールにおいて、「実施マニュアルについては、問題冊子の配送・回収の方法等関係者以外には知らせない物流関係の情報が記載されております。このため、保護者や報道関係者等広く一般に積極的に広報するものではありませんので、取扱いに御注意いただきたいと考えております。(文部科学省では、議員に対して目次のコピーのみで対応することとしております。)」という指示があった。その後、実施機関からの問い合わせに対する平成19年9月5日付けの回答において、本件公文書を「広く一般に積極的に広報するものではない」ことは取扱注意メールで通知したとおりだとしながらも、やむを得ず公表する場合、非開示とすべき箇所として、【1】コールセンターの電話番号及び【2】物流のセキュリティに関わる箇所を具体的に指示する非開示基準が示されている。
 実施機関が改めて非開示を主張するのは、文部科学省により示された非開示基準に当たる部分であるため、これが本号ウに該当するか否かについて、以下検討する。
(1) コールセンターの電話番号
 コールセンターの電話番号は、本調査の実施において不測の事態が生じたときに問い合わせ等をするための関係者用の回線であり、一般には公表されていないものである。これを開示すると、関係者以外の者から電話がかかってくるなど、本調査の円滑な実施に支障が生じ、本調査の実施主体である文部科学省と県との協力関係が著しく損なわれることは明らかである。
(2) 物流のセキュリティに関する情報
 ジュラルミンケース配送地域では、通常の配送地域とは異なるスケジュールで問題冊子・解答(回答)用紙等が配送されるため、ジュラルミンケース配送の場合の配送日及び配送地域は、物流のセキュリティに関する情報に該当する。
 児童質問紙及び生徒質問紙の調査時間は、解答(回答)用紙等の回収時間を推測させるため物流のセキュリティに関する情報に該当する。
 「配送・回収連絡FAX」のFAX日は、問題冊子・解答(回答)用紙等の配送と回収の時間帯が記載されたFAXが届く日であり、物流のセキュリティに関する情報に該当する。
 問題冊子・解答(回答)用紙等の受取の際の受取方法及び解答(回答)用紙等の回収の際の回収方法、問題冊子・解答(回答)用紙等の配送時間・回収時間、配送業者名並びにジュラルミンケースの開錠詳細は、いずれも物流のセキュリティに関する情報に該当する。
 これらの情報を開示すると、本調査の円滑な実施に支障が生じ、本調査の実施主体である文部科学省と県との協力関係又は信頼関係が著しく損なわれることは明らかである。
 以上のとおり、【1】コールセンターの電話番号及び【2】物流のセキュリティに関する上記の情報は本号ウに該当し、これを非開示とすることは妥当であると認められる。

第6 結論

 当審査会は、本件部分開示決定について具体的に検討し、最終的には高知県公文書開示審査会規則第4条第3項の規定による多数決により、冒頭の「第1 審査会の結論」のとおり判断した。

第7 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、次のとおり。

年月日 処理内容
平成19年4月5日 ・ 実施機関から諮問を受けた。
平成19年4月19日 ・ 実施機関から決定理由説明書を受理した。
平成19年 8月24日
(平成19年度第4回第一小委員会)
・ 実施機関及び異議申立人から意見聴取を行った。
・ 諮問の審議を行った。
平成19年10月9日
(平成19年度第5回第一小委員会)
・ 実施機関から意見聴取を行った。
・ 諮問の審議を行った。
平成19年11月9日 ・ 実施機関から意見陳述書(修正再提出)を受理した。
平成19年11月19日
(平成19年度第6回第一小委員会)
・ 異議申立人から意見聴取を行った。
・ 諮問の審議を行った。
平成20年1月10日
(平成19年度第7回第一小委員会)
・ 諮問の審議を行った。
平成20年2月12日
(平成19年度第3回公文書開示審査会)
・ 諮問の審議を行った。
平成20年2月27日 ・ 答申を行った

別 紙平成19年度 全国学力・学習状況調査【小学校】実施マニュアル

ページ 非開示とする箇所 非開示とする情報
図の下段※印の注意書き 児童質問紙の調査時間の変更の取扱い
図中の※印の注意書き ジュラルミンケース配送地域への配送日
11 1行目及び二重線の枠内 問題用紙・解答(回答)用紙等の配送・回収日のFAX事前連絡日
11 二重線の枠内 コールセンターの電話番号
12 「(1)受取、確認、保管の流れ」 配送業者名及び問題用紙・解答(回答)用紙等の受取の際の受取方法
12 二重線の枠内 コールセンターの電話番号
13 点線及び二重線の枠内 ジュラルミンケース配送地域の学校の場合の配送日及びジュラルミンケースの開錠に関する部分
13 二重線の枠内 コールセンターの電話番号
21 図の下段※印の注意書き 児童質問紙の調査時間の変更の取扱い
27 点線の枠内 コールセンターの電話番号
35 「解答(回答)用紙等の回収」及び点線の枠内 配送業者名、解答(回答)用紙等の回収の際の回収方法
35 二重線の枠内 コールセンターの電話番号
45 「Q&A」 コールセンターの電話番号
46 「Q&A」の「調査実施前」 児童質問紙の調査時間の変更の取扱い
48~50 ジュラルミンケース配送地域一覧 ジュラルミンケース配送地域


平成19年度 全国学力・学習状況調査【中学校】実施マニュアル
ページ 非開示とする箇所 非開示とする情報
図の下段※印の注意書き 生徒質問紙の調査時間の変更の取扱い
図中の※印の注意書き ジュラルミンケース配送地域への配送日
10 ジュラルミンケース配送地域一覧 ジュラルミンケース配送地域
13 「問題冊子、解答(回答)用紙等の配送と回収等についての連絡」 問題冊子・解答(回答)用紙等の配送及び回収時間帯
13 点線の枠内 ジュラルミンケース配送地域の学校の場合の配送日、回収時間帯及びジュラルミンケースの開錠に関する部分
14 「問題冊子、解答(回答)用紙等の配送と回収等についての連絡」 問題冊子・解答(回答)用紙等の受取方法及び最終確認の時間帯
14 二重線の枠内 コールセンターの電話番号
15 点線及び二重線の枠内 ジュラルミンケース配送地域の学校の場合の配送日及びジュラルミンケースの開錠に関する部分
15 二重線の枠内 コールセンターの電話番号
24 図の下段※印の注意書き 生徒質問紙の調査時間の変更の取扱い
29 点線の枠内 コールセンターの電話番号
38 点線の枠内 ジュラルミンケースの返却方法
40 「解答(回答)用紙等の回収」及び二重線の枠内 配送業者名、解答(回答)用紙等の回収時間帯及び回収方法の詳細
40 二重線の枠内 コールセンターの電話番号
50 「確認票」の下段 コールセンターの電話番号
51 「Q&A」 コールセンターの電話番号
51 「Q&A」の「調査実施前」 問題冊子・解答(回答)用紙が学校に届かない場合の最終確認時間帯(ジュラルミンケース配送の場合は、日及び時間帯)
52 「Q&A」の「調査実施前」 生徒質問紙の調査時間の変更の取扱い
53 「Q&A」の「調査実施前」 回収物の準備ができそうにない場合の準備時間帯、配送業者が来ない場合の連絡時間帯

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公文書担当 088-823-9045
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ファックス: 法令、法人指導・行政不服審査、訴訟 088-823-9128
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