水のよごれ

公開日 2019年07月18日

水とよごれ

生き物は、水がないと生きていけません。砂漠に生えているサボテンも、水がまったくないと枯れてしまいます。サボテン
人の体は、一日2.5リットルほどの水を必要とします。
また、人が生活していくには台所、お風呂、洗たく、トイレなど、たくさんの水を使います。

台所炊事このように、水は人にとって必要なものですが、使ったあとにはよごれた水がたくさん出ます。
むかしは、日本にはきれいな水がたくさんあって、水をいくら使っても、だいじょうぶと思われていました。
また、川や海がよごれて環境(かんきょう)問題として取り上げられるようになるまで、使ったあとのよごれた水もそのまま川や海に流し続けていました。

これは家庭だけではなく、工場などからも、たくさんのよごれた水を出していました。
その結果、川や海がよごれて、変なにおいがしたり、魚が死んだり、病気になる人も出てきました。そこで、基準(きじゅん)をつくって、きれいな水を守っていくことになりました。
その後、よごれはすこしずつ減ってきていますが、皆さんの身近な川や海はきれいでしょうか。

いろいろなよごれ

ところで、水がよごれているというのは、どういうことをいうのでしょう。
みなさんは、どんな時に川がよごれていると感じますか。
「にごっている。」「ゴミが浮いている。」「油が浮いている。」「きたない虫がいる。」などいろいろありますね。
また、見た目は澄(す)んでいてきれいだけれど、飲んだらお腹が痛くなることもあるかもしれません。
よごれているか、きれいかを見分けるにはどうすればいいでしょう。

大きなゴミが浮いていたり、きたない虫がいるのも、水がよごれていると感じますが、目に見える大きなよごれでなく、水そのもののよごれを分けると、だいたい次の3つになります。

  1. SS(浮遊物質)BOD(生物化学的酸素要求量)などのよごれ
  2. 肥料の成分である窒素リン
  3. 有害物質や毒物

SS(エスエス)(浮遊物質(ふゆうぶっしつ))は水にとけていない小さなゴミのことで、たくさんあると水がにごって見えます。
BOD(ビーオーディー)は、有機性(ゆうきせい)のよごれを表すめやす(指標(しひょう))です。
動物や植物などの生き物の体をつくっている有機物(ゆうきぶつ)が、水にとけて流れだし、有機性のよごれになります。
家庭から出るよごれのほとんどは有機性のものです。

窒素(ちっそ)とリンは、肥料成分として有名ですが、肥料だけでなく、食べ物にもふくまれているので、台所からも出ます。
植物性プランクトンのえさ(栄養素)ですから、窒素とリンがたくさんあると、プランクトンが異常繁殖(いじょうはんしょく)して水が赤くにごったりすることがあります。

有害物質(ゆうがいぶっしつ)や毒物(どくぶつ)は、家庭から出ることはほとんどありませんが、化学薬品を使っている工場などからは少し出ることがあります。工場排水
このようなよごれが原因で川がきたなくなり、人間に害がおよぶこともあります。
それを防ぐために、工場などから外に流してはいけない濃度(のうど)の基準を決めて、それ以下の濃度の水でないと流してはいけないことにしています(排水基準(はいすいきじゅん)といいます。)。

環境を守っていくための基準

工場からの排水の基準とは別に、川、湖や沼そして海の環境を守るために、いろいろな物質についての基準(環境基準といいます。)が定められています。

環境基準(かんきょうきじゅん)は、湖

  • 有害物質など、人の健康に関わる物質などの基準(人の健康に係る環境基準)…水銀、カドミウムなど
  • 生活をしていくうえでの、環境に関する基準(生活環境に係る環境基準)…BODSSなど

の2つからできています。

BODSSは、よごれの指標としてよく利用されています。(湖沼(こしょう)と海ではBODのかわりにCOD(化学的酸素要求量)を使います。)
ここで少し注意してほしいのは、BODが低いからといって有害物質がないとはいえないということです。
BODで分かるのは有機性のよごれであり、有害物質を調べたわけではないからです。

BODとはどんなもの

それでは、よく使われるBODとはどんなものか、もう少しくわしく見てみましょう。

すでにお話ししましたが、BODは水にとけている有機物の量をあらわす指標です。
では、なぜ有機物の量を気にしなければいけないのでしょう?
有機物は、多くの生き物のえさになります。このことは決してわるいことではありません。
しかし、同時に酸素も消費(しょうひ)します。(人間の呼吸と同じです。)
有機物が多くふくまれる水は、生物の活動によって酸素が少なくなってゆき、ひどいときには、まったく酸素のない水になります。
こうなると、ほとんどの生き物は棲(す)むことが出来ませんし、硫化水素(りゅうかすいそ)をはじめとした有害な物質ができてくるなど、困ったことがいろいろとおきてしまいます。

そうならないようにするために、水中の有機物の量をしらべるわけですが、有機物とひとことで言っても、かぞえきれないほどの種類(しゅるい)があり、正確な量をしらべるのは、大変むずかしいことです。
そこで、有機物を水中の微生物(びせいぶつ:バクテリアやプランクトンなどの大変小さい生き物)に食べてもらい、その時に消費される酸素の量でよごれをあらわそうというのが、BODという検査方法です。

BODはmg/L(ミリグラムパーリットル)という単位であらわしますが、これは「水1L(リットル)にふくまれる有機物等を微生物が利用する場合に消費される酸素の量」のことです。(分子のmgは酸素の量です。)
つまり、BODの値(あたい)が大きければ有機物の多いよごれた水で、小さければきれいな水ということで、よごれのめやすとして使っています。

よごれはどこから

ところで、よごれはどこから出てくるのでしょう。工場などからの産業排水(さんぎょうはいすい)や台所や洗たくなど家庭からの生活排水(せいかつはいすい)等があります。生活排水
水がよごれる元として、産業排水が多いように思われますが、よごれの50%から70%が生活排水であり、汚れの大きな原因となっています。

次に、家庭から出る有機物の量をBODで見てみましょう。
グラフをみると、生活雑排水が約70%を占めており、中でも台所からが多いようです。
台所の半分がお風呂、そのまた半分が洗たくなどになっています。
なんとかよごれを減らすことはできないでしょうか。

一人一日あたりのBOD排出量グラフ

台所からのよごれ

家庭から出るよごれの40%が台所から出ています。台所排水
さて、皆さんおなじみの食品がどれだけ川をよごしているのでしょうか。
これらの食品を川にそのまま流した場合、魚がすめる水質のBOD値5mg/L以下にするためには、お風呂何杯の水が必要でしょうか。
下の表を見てみてください。おどろきです。

  yogore

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高知県 健康政策部 衛生環境研究所

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