公開日 2023年06月02日
土佐あかうしらしい肉(枝肉)の規格制度「TRB規格」 とは
食肉については流通価格が公正に保たれるため、食肉卸売市場や食肉センター等で1頭毎に格付(品質評価)が行われています。牛枝肉の格付は、公益社団法人日本食肉格付協会が農林水産省の承認を得て制定した「牛枝肉取引規格」により行われており、土佐あかうしについても同様です。この規格により、取引される牛枝肉は歩留基準と肉質基準の組み合わせにより「A5」から「C1」の15段階に評価されます。このうち、多くの地域で高級ブランド牛となる黒毛和種は、霜降り肉として「A5」「A4」の評価になりやすく、価格的にも高い単価で流通する一方、土佐あかうしは霜降り傾向が弱いことから枝肉評価は「A3」「A2」が中心となり、結果として、土佐あかうしらしい肉の美味しさと、格付結果、生産者の収入となる枝肉価格の間に乖離が生まれていました。
そこで、牛枝肉取引規格を活用しながら、土佐あかうしを評価するシェフや料理人、流通業者を中心に聞き取りを行い、求められる赤身肉の基準を、土佐和牛ブランド推進協議会で検討を重ね作り上げたのが、「TRB規格」(T=土佐あかうし、R=らしい、B=Beef (肉/枝肉))です。この「TRB規格」の評価基準をもとに、より良いものを「R5」、良いものを「R4」として判定し、TRB認定印とブランドマークが押印された枝肉だけが、赤身肉としての肉質を保証するブランド、Tosa Rouge Beef として流通することとなります。
TRB規格の導入にあたって
(左)格付A2 TRB認定R5 枝肉重量462.5kg ロース芯面積60㎠ (右)格付A3 TRB認定R4 枝肉重量519.5kg ロース芯面積59㎠
一般的に和牛で「A3」「A2」として流通する肉は、「A5」「A4」と比較し、霜降り傾向が弱く、その分赤身傾向が強くなりますが、赤身肉として見た場合、その肉質には大きなばらつきが見られます。その中で土佐あかうしを長年取り扱うシェフや料理人から話しを聞き、議論を重ねたところ、肉の味が濃いこと、余計な脂肪分(脂身)が少なく、赤身肉がしっかり充実して歩留まりが良いこと、が求められる肉質であることが解りました。
牛肉(赤身肉)の「味」の評価については、複雑な要素が絡み、数値化も難しいところですが、どういう牛であれば味が良い傾向にあるかを調査したところ、「若く出荷されるよりは、飼い込んだ牛のほうが美味しい」と、土佐あかうしを仕入れ、その都度味見をする精肉店や料理人達の間での共通の認識がありましたので、ワラや飼料をしっかりと食べ、じっくりと育った牛を評価することとしました。一方、飼育期間の延長は生産者にとって更なる飼料費の負担を伴うこと、また牛の事故のリスクも高まることから、これらの議論を踏まえ、TRB評価を行うのは、28か月齢以上の出荷(29か月齢以上を推奨)から、という結論となりました。
「TRB規格」評価基準について
牛枝肉取引規格においては、ロース芯の霜降り傾向や、ロース芯面積、皮下脂肪厚、肉の色、光沢などを測定、判定のうえ、総合的に枝肉が格付評価されます。この中で霜降りが弱いとして「A3」「A2」と評価された枝肉は、確かに赤身肉傾向ではありますが、これは積極的に良い赤身肉として評価された結果ではありません。このため、「A3」「A2」の土佐あかうしの枝肉について、出荷月齢、枝肉重量などの基準を満たしたうえで、更に質の高い赤身肉かどうかの再評価を行うものがTRB規格です。
牛枝肉取引規格で数値測定される部分のうち、ロース芯面積は、充実して大きければ、ステーキ肉として見ても見栄えがよく価値がありますし、皮下脂肪厚は、薄い方が余計な脂身が少なくロスのない肉となります。そのほか、バラ厚や歩留基準値にも基準を設け、TRB規格の評価項目として重視をしています。さらに、ロース芯の形や筋間脂肪の量、土佐あかうしの特徴である小サシ傾向なども評価の対象に加え、1次判定では13項目、2次判定では11項目の2段階判定方式を用いて「土佐あかうしらしい赤身肉」を再評価しています。これらの項目について一定基準をみたす枝肉は、より良いものを「R5」、良いものを「R4」として評価を行います。
その他の情報について
土佐あかうしの新たなブランド Tosa Rouge Beef については、こちら。
土佐あかうしについては、こちら。
【流通に関するお問い合わせ先】
土佐和牛ブランド推進協議会 事務局 JA高知県農畜産課 088-884-4400
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