県民の皆さまからのご意見

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受付日

2020-06-18 22:10

担当所属

保健体育課

性教育について

県民の声

・学校教育の保健体育の中で、児童・生徒に対し、正しい避妊方法(コンドームやピルの具体的な使用方法など)の性教育をしてください。
・(質問1)県内の学校教育の中で、児童・生徒へ正しい避妊方法の性教育は実施されているか。
・(質問2)県内の児童・生徒の堕胎率は、全国平均より高いと認識している。今後、学校教育の中で、堕胎率低下のため、具体的にどのような取り組みを進めていくか。

高知県からの回答

〈質問1〉
 県内の学校教育の中で、児童・生徒へ、正しい避妊方法(コンドームやピルの具体的な使用方法など)の性教育は実施されていますか?

 全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学省では、学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めています。これを「学習指導要領」といい、小学校、中学校、高等学校等ごとに、それぞれの教科等の目標や大まかな教育内容を定めています。

ご質問にある避妊方法に関する教育は、高等学校の学習指導要領保健体育編に示されている「生涯を通じる健康」という学習内容の中の「生涯の各段階における健康 結婚生活と健康」という項目で、受精、妊娠、出産とそれに伴う健康課題について、また家族計画の意義や人工妊娠中絶の心身への影響などについて理解できるようにすることが示されており、入学年次及びその次の年次のいずれかで学習をするように定められています。
 この学習内容を取り扱う教科書には、コンドームと低用量ピルの使用方法と留意点、性感染症に対する予防効果、副作用、処方箋の有無や価格等についての説明が、写真入りで掲載されています。生徒はこのような教科書を参考にしながら、性感染症の予防を含め、学習をしています。

 また、小学校の学習指導要領体育編における性に関する科学的知識を取り扱う内容は、第4学年の「体の発育・発達 思春期の体の変化」の項目で、思春期には体つきに変化が起こることや初経、精通、変声、発毛が起こり、また、異性への関心も芽生えることについて理解できるようにするとされています。
 中学校の学習指導要領保健体育編における性に関する科学的知識を取り扱う内容は、第1学年で取り扱う「生殖に関わる機能の成熟」という内容で、2次性徴により射精や月経が見られ、妊娠が可能となることや、身体的な成熟に伴う性的な発達に対応し、個人差はあるものの性衝動が生じたり、異性への関心などが高まったりすることなどから、異性の尊重、性情報への対処など性に関する適切な態度や行動の選択が必要となることを理解できるようにすることが示されています。
また、第3学年で取り扱う「感染症の予防 エイズ及び性感染症の予防」という内容では、HIVへの感染を予防するためには、その主な感染経路は性的接触であることから、感染を予防するためには性的接触をしないこと、コンドームを使うことなどが有効であることにも触れるようにする、とされています。

このように、小学校・中学校・高等学校と児童生徒の発達段階に応じた教育がなされるように定められ、各学校で教育が行われています。
また、児童生徒の身体的・精神的発達や性的成熟、性的指向・性自認には個人差があり、性に関する情報についてもその質や量の入手に差異があるため、これらの個人差
等に十分配慮し、実態に応じて、集団指導と個別指導を使い分けながら、相互に補完し合うように指導を進めています。

 さらに、性に関する指導を深めたい場合には、助産師や看護師といった専門家に外部講師を依頼し、より詳しく学習している学校もあります。


〈質問2〉
 県内の児童・生徒の堕胎率は、全国平均より高いと認識しています。今後学校教育の中で、堕胎率低下のため、どのような具体的な取り組みを進めていきますか?

平成30年度の高知県における女性人口千人当たりの10代の人工妊娠中絶実施率は5.4%(全国4.7%)と全国値を0.7%上回っています。
10代の妊娠は、例えば社会や学校での孤立、困難を抱えた家庭環境、家庭に居場所がないことなどの要因が大きく関与していると考えられており、妊娠によって学業を中断せざるを得なくなったりと、人工妊娠中絶が心身の健康にもたらす影響は計り知れず、時には人生に何らかの影響を及ぼすことも否定できないことから、解決すべき課題の一つとなっています。
このような現状を改善していくためには、性に関する正しい科学的知識を身に付けることはもちろん、自己や他者を尊重する態度を育み、望ましい人間関係を築くことができる資質や能力を育てること、心身の発育・発達や性に関する内容について理解し自らの健康を管理し改善することができる能力を育てること、責任を持って行動し、直面する性に関する問題に対して適切な意思決定や行動選択ができる資質や能力を育て、自他の心身を大切にできる心や態度を育むことが重要です。

そのため、科学的知識を理解させることだけを目指すのではなく、学校教育全体で取り組んでいる人間関係についての理解やコミュニケーション能力を育成することなどの基礎の上に、科学的知識を中心とした性教育を行い、「性」を「人生の教育」の一部として考え、子どもたちがよりよい生き方・豊かな人間関係を目指していけるよう、包括的に指導を進めていくことが求められています。

高知県教育委員会ではこのような考えに基づき、高知県の性に関する現状や課題と新しい学習指導要領で育成すべき資質・能力を踏まえ、学校における性に関する指導の内容や取組体制、配慮事項を整理し、小学校入学から高等学校卒業までを見越して系統立った性に関する指導の計画及び各指導項目の指導案を作成し、これまで以上に充実した性(生)に関する指導を展開していくため、現在平成21年に発行された性に関する指導の手引きの改訂作業を進めているところです。
この手引きは、令和2年度中に完成予定で、令和3年度から各学校において、児童生徒の実態や課題に応じて、関連教科や道徳科、総合的な学習(探求)の時間なども含めた学校の教育活動全体を通じて、全ての教職員が課題意識を持ち連携を図りながら、高知県の現状や課題に対応した性に関する教育の充実を推進していけるよう、研修会の開催などを通じた教員の指導力の向上も目指して取り組んでいます。


高知県教育委員会 保健体育課長  前田 義朗
担 当:廣田
電 話:088-821-4928
メール:310501@ken.pref.kochi.lg.jp

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保健体育課
電話:088-821-4928
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