令和元年度研究報告 第43号 令和2年3月

公開日 2020年03月26日

1 大型製材工場に対応した原木の供給と皆伐後の更新推進に関する研究(Ⅰ)

 - コンテナ苗生産のコスト分析と低コスト化への提案 -

 【藤本浩平、渡辺直史】

  コンテナ苗の育苗にかかるコストについて工程管理表を用いて費目・工程毎に算出した。現在、多くの生産者が行っている一年生毛苗をコンテナへ移植する方法と箱播きした芽生えをコンテナへ移植する方法では移植までの工程(以下「初期工程」)の割合が育苗コストの半分弱を占めていた。

 コンテナへの直接播種やプラグ苗を移植する方法を行い、コストを試算したところ、初期工程の労務およびコスト削減にはコンテナへの直接播種法が適していた。しかし、空きキャビティの発生や成長のばらつきにより得苗率が低くなった。

 

2 大型製材工場に対応した原木の供給と皆伐後の更新推進に関する研究(Ⅱ)

- 急傾斜地における一貫作業システム:コンテナ苗の運搬方法について -

 山﨑 真、渡辺直史、山﨑敏彦、藤本浩平

  皆伐から植栽までを一体的に行う一貫作業システムは、皆伐作業で使用する林業機械を造林にも活用することで作業の省力化・低コスト化を図るものである。高知県の皆伐施業では、架線系林業機械のうち、集材機を使った本格架線が多く使用されている。一貫作業システムでは、皆伐後、期間を空けずに植栽を行うため、植栽時期の選択肢が広いコンテナ苗が使用されるが、コンテナ苗は根鉢があるため、従来の裸苗より重量があり、人力による運搬では1回あたりの運搬本数が少なく、作業者の負担も大きくなる。そこで、架線による一貫作業システムでは、集材作業で使用した架線をコンテナ苗の運搬に活用することにより、作業の省力化・低コスト化を図る手法について検討を行った。

 本研究では広範囲の面的集材で利用されることが多いH型架線方式と、主に皆伐施業で採用されることが多いエンドレスタイラー方式の2種類の索張り方式で、作業に関する問題点の洗い出しと、作業時間を計測し、人力で運搬した場合との比較を行った。その結果、H型架線方式では、植栽地の任意の場所にコンテナ苗を運搬することが可能であり、苗木の運搬に適していると考えられる。しかし、植栽地内の小運搬のように短距離の運搬では人力運搬の方が効率が良いという結果になった。また、エンドレスタイラー方式では、主索下へのコンテナ苗の運搬には効率が良いが、横引きを行う場合には線下の高さや地形条件により運搬が困難であることが分かった。これらの結果を踏まえ、架線集材作業における一貫作業システムのコンテナ苗の運搬手法を提案した。

 

3 大型製材工場に対応した原木の供給と皆伐後の更新推進に関する研究(Ⅲ)

- 植栽地保管したコンテナ苗の活着と成長 -

 藤本浩平、渡辺直史、山﨑真、山﨑敏彦

  架線系一貫作業システムの導入に向け、伐採跡地に搬入したコンテナ苗が現地で保管可能か検証するために保管・植栽試験を行い、成長を追跡調査した。

 コンテナ苗を現地の枝条下で直射日光を避けて保管すると、1ヶ月間は枯死せず保管が可能であることがわかった。また、当日植栽したコンテナ苗より保管を行った苗の方が1ヶ月後の生存率が高かった。スギでは伐採直後の秋に植栽することで、通常の春植栽よりも成長が早く、1年早く下刈りを終了できることが示唆された。

[資料]

1 住宅における厚板の用途開発に関する研究

盛田貴雄、沖 公友

 従来、造作用として利用されてきた幅はぎパネルの構造利用について研究を行った。構造用材としての製造、品質管理(含水率、密度、材面品質、接着性能)を確立するとともに、幅はぎパネルによる壁(真壁、大壁、開口壁)、床の構造仕様を決定した。本研究で確立された幅はぎパネルの材料基準と構造仕様を満たせば、構造用材として利用可能なことが確認された。真壁、大壁については、本研究の結果を踏まえ、(一社)こうち健康・省エネ住宅推進協議会が取得した壁倍率の国土交通大臣認定により、壁倍率での取り扱いが可能となり、幅はぎパネルによる設計が容易となった。床、開口壁についても、本研究で明らかにした構造性能により幅はぎパネルによる構造設計が可能となった。

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