令和3年度 地域の皆さんの活動(地域支援企画員からの報告)

公開日 2022年03月22日

四万十町十和地域における新たな産業振興の取り組み(四万十町/高幡ブロック)

 四万十町十和地域は、四万十川中流域に位置する地域です。四万十町の西部に位置する十和は、東西に流れる四万十川との強いつながりがあることから、環境保全の取り組みが盛んに行われています。
 十和地域は狭小かつ勾配のある条件不利地域で、高齢化率は50%を超えるなど働き手の不足が顕著となっています。その反面、地域内の協働性や地域外との交流が盛んなことから、移住者が多いことで知られています。移住者が核となり、地域と協働して進める、十和地域の豊かな自然を活かした地産外商の取り組みを2つご報告します。

 

1 四万十ヒノキと地域人材を活用した商品開発

≪これまでの取り組み≫

 四万十ヒノキといえば、ほんのりと染まった桜色の色合いと、爽やかな香りが特徴で、日本を代表する良質なヒノキのひとつです。四万十町十和地域では、地元の製材事業者と地域おこし協力隊OB(移住者)の協同による四万十ヒノキの商品づくりが行われています。令和2年度からの新たな支援制度である「産業振興アドバイザー(発掘支援型)」を活用して、年間数回の現地ヒアリング等や事業戦略作りを伴走型で支援し、地元の製材事業者を核とする「合同会社OUCHI企画」を立ち上げました。現在は、高幡地域のアクションプランに位置づけられ、サウナやタイニーハウス等の製造販売を主体とし、新たな商品開発を進めています。産業振興アドバイザーのヒアリングを行う中で、当初のサウナの薪ストーブは、県外の安価なものを使用しており、高級感や耐久性に課題があることが顕在化しました。また、一般的な薪ストーブは鋳物が使われているため、その重さから可搬性に乏しく、移動式サウナで活用できる軽量かつ耐久性に優れた薪ストーブが必要でした。そこで、地域支援企画員から「高知家のものづくりマッチング事業」の活用提案を行い、高知県産業振興センターと県内ステンレス事業者の協力で新たにサウナ用ストーブを開発し、オール高知県産アウトドアサウナの商品化に取り組みました。(産業振興推進総合支援事業費補助金:ステップアップ事業活用)

設置型サウナ 設置型サウナ内装 ステンレスストーブ 移動式サウナ タイニーハウス タイニーハウス内装 

≪今後の取り組み≫

 サウナ製品の販路拡大を行うため、県内外の展示会に参加するとともに、雑誌等の媒体を通じた知名度の向上を図っています。また、レーザープリンタを活用した端材の有効活用を図るとともに、既存商品のブラッシュアップに取り組んでいます。今後は、産業振興アドバイザーを活用して、新商品の開発とブランディングによる受注増を図り、地域の大工OBの活用などさらなる雇用を創出しながら、四万十ヒノキの地産外商を目指していきます。

展示会 ピンバッチ 折りたたみイス・テーブル

 

2 こだわり落花生の6次産業化 

 

≪これまでの取り組み≫

 四万十町十和地域で栽培される落花生、通称『四万十ジャンボ落花生』は無農薬無化学肥料で栽培され、高級スーパーやデパート、道の駅などで販売されています。高知県内ではふるさと祭りなどのイベントに出店することで商品の認知が広がり、じわじわとリピーターが増えつつあります。商品はジャンボ落花生のほか、レッド、マーブル、ブラックなどの色の落花生が栽培されていて、それぞれ味に特徴があるのだとか。また、一般的な「煎り落花生」に加え、「茹で落花生」も販売しています。通常の落花生よりも栽培が難しいため流通量は限られている上、無農薬無化学肥料栽培となると栽培はさらに難しくなります。そんな貴重な落花生でどうしても発生する規格外品を活用した加工商品の製造、販売にも取り組んでいます。

落花生 落花生圃場 落花生 パンフレット 商品

≪今後の取り組み≫

 規格外品を落花生ペーストなどに加工し、菓子や柿の種といった商品開発を進め、売上増加と地域雇用の拡大に繋げていくことが目標です。そのため、2次、3次加工商品づくりの計画の具体化に向けた支援、将来の加工場の整備なども視野に入れた地域アクションプランへの位置づけを目指して支援を継続していきます。また、関係機関と協力して栽培マニュアルの作成を行い、周辺農家との契約栽培による生産量の増加にも取り組み、移住者による地域おこしのモデルとなるよう支援していきます。

 

地域支援企画員の活動

 紹介した2つの事例は産業振興アドバイザー(発掘支援型)を活用した取り組みです。支援の結果、事業者の要望に添う形で展示会への出展や補助事業の活用が実現したときはとてもやりがいを感じます。また、地域支援企画員の醍醐味は自分の意思で予定を組み立てることが出来ることだと思います。私事ですが、第一子が生まれた際には、事前に調整は必要ですが、約1ヶ月間育児休業取得が出来たのは地域支援企画員であったことが大きいと感じます。育児休業の取得までには、他の地域支援企画員との連携・協力はもちろんのこと、役場や関係事業者との事前調整を丁寧に行いました。このことにより、事業者とより密に計画を立てることで、相互の状況理解が進み、仕事と家庭の両立に向けた最適な方法も見つけることが出来ました。
 今後も関係機関や事業者との連携を深め、四万十町十和地域の振興のため、第一次~第三次産業が一体となった取り組みを目指し、支援を行っていきます。

 

この記事に関するお問い合わせ

 四万十町地域支援企画員 電話:0889-29-4122

 

 

この記事に関するお問い合わせ

高知県 産業振興推進部 産業政策課

所在地: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話: 企画調整担当 088-823-9333
成長戦略担当 088-823-9049
地域産業担当 088-823-9334
ファックス: 088-823-9255
メール: 120801@ken.pref.kochi.lg.jp
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