令和4年度 地域の皆さんの活動(地域支援企画員からの報告)

公開日 2023年03月30日

更新日 2023年03月30日

地域のこだわり野菜を使った加工品開発の取り組み(四万十町/高幡ブロック)

1 これまでの取り組み

 四万十野菜合同会社(以下、「四万十野菜(同)」)は、平成28年から、高幡地域アクションプランNo.7「四万十町畑作振興プロジェクト」の事業実施主体として、町内で栽培されるこだわり野菜の生産や外商活動による販路拡大、野菜を使った商品開発等に取り組んでいます。
 そもそも四万十野菜(同)は、四万十町のよろずマーケット「しまんとハマヤ」の社員だった現代表(以下、「代表」)が「中山間地域が存続するためには地域の農業を守らなければいけない!」との想いから平成27年に創業されました。
 農業未経験者ばかりでスタートし、最初の頃は苦労も多かったようですが、徐々に技術も上がり美味しい野菜が作れるように。今では、全国の高質系スーパーやオーガニックショップなどへも販売するようになっています。

       (生姜の収穫風景)                    (サツマイモ(黄金千貫))

ppg-scaled-e1658158553440      黄金千貫

 

2 加工品開発に至った経緯

 こうして野菜の生産や販路拡大に取り組む中で、代表は、特に新規就農者や小規模な生産者が直接販売に取り組むことの難しさ、値段が市場や天候等に左右されるといった農業の厳しい現実を身をもって実感することになりました。一生産者としてこの状況をなんとかしたいと考えた結果が「加工事業を通して地域の生産者を育てる仕組み作り」です。
 これは、地域の野菜等を使った付加価値の高い商品を作り、できるだけ高い価格で原料を買い取ることで、生産者の所得アップや野菜そのものの認知度向上を狙います。
 さらに、加工品販売で開拓した販路や栽培技術を共有して地域の生産者と連携を図ることで、いっしょに農業をする仲間を増やしていくことも大きな目標です。

 

3 6次産業化の取り組み

 こうして、令和元年頃から自社の主力商品であり四万十町が日本一の産地でもある生姜を使った加工品開発が始まりました。令和2年からは6次産業化に取り組む方を対象としたセミナーに参加して有機生姜と地蜜を使ったコーディアル(※)やガリのレシピを完成させ、また、令和3年~4年には産業振興アドバイザー制度を活用しパッケージの作成や販売戦略づくりに取り組みました。平行して、コーディアルやガリのバリエーションを増やしたり、生姜を使った香辛料といった新商品の開発も実施。複数の専門家からアドバイスをもらいながら、商品の味、パッケージ、値段、コンセプト、ターゲット層などを長い時間かけて話し合い、すべて0から考えて決めていきました。
 令和4年には、加工品や野菜の販路開拓のため、将来的なECサイト開設も見込んで会社ホームページを改修。さらに、新事業チャレンジ支援事業費補助金の採択を受け、町内に加工場を整備しています。原料調達の関係で本格的な稼働が始まるのは令和5年5月頃からの予定ですが、いよいよ商品を製造できるところまでこぎ着けました。
  ※野菜やハーブ、フルーツをハチミツ等に漬け込んだシロップ

   (打ち合わせ風景)               (コーディアル)

打ち合わせ     ジンジャーハニー・シトラス(畑版②)

 

4 課題と今後の展望

 加工場の整備が終わり、令和5年度はいよいよ本格的な製造が開始されます。まずは製造ラインを軌道に乗せること、そして加工品の販路開拓を強化していくことが必要です。
 6次産業化の取り組みの原点である有機野菜の栽培に関しては、高南農業改良普及所(以下、「普及所」)等と連携したカラシナを使った生物くん蒸の実証実験が2年目に突入しています。実は、同じ場所で同じ作物を栽培し続けると病害が発生しやすくなってしまうのですが、有機栽培は土壌病害に対する農薬を使わないため、一度病害が出てしまうとその場所では病害の発生した作物は作れなくなります。そこで、通常は「輪作(※)」をして数年間違う作物を作るところを、カラシナを使って土壌を生物くん蒸することでこの期間が短くならないか検討しています。
  ※同じ土地に異なる種類の作物を交代に繰り返し栽培すること

 (カラシナを使った実証実験をしているほ場)

緑肥カラシナ(生物燻蒸シ)

 

5 地域支援企画員の活動内容

 この取り組みについては、四万十町や普及所、中国四国農政局などが参加する月1定例会にて進捗状況を聞きながら連携して支援を行っています。支援員からは、「2 6次産業化の取り組み」にもあるような産業振興アドバイザー事業の活用や各種補助金の情報提供・活用支援、商談会の紹介、関係各所へのサンプル品のお渡しといったサポートを実施しました。四万十野菜(同)においては、これらの様々な支援策を組み合わせて活用しながら積極的に取り組みを進めており、支援員としてもやりがいを感じられています。「情報提供」や「関係各所とのつなぎ・調整」というのは、支援員として最もスタンダードな業務のひとつですが、特に今回のような新しい事業では、自分の動き方如何で進み具合や方向性が変わることもあります。緊張する部分でもある反面、支援員の醍醐味でもあると感じているところですが、とにかく話を聞きながら、いっしょに解決策を探していくことを意識しています。
 四万十町には、今回紹介した四万十野菜(同)以外にも、多くの熱意ある事業者さんがいらっしゃいます。みなさんの前向きな取り組みが実現できるように、これからも支援を続けていきます。

 

この記事に関するお問い合わせ

 四万十町地域支援企画員 電話:0880-22-0531

この記事に関するお問い合わせ

高知県 産業振興推進部 産業政策課

所在地: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話: 企画調整担当 088-823-9333
成長戦略担当 088-823-9049
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ファックス: 088-823-9255
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