平成27年度 高知県雇用対策本部会議の概要

公開日 2016年04月05日

開催日:平成28年2月8日

 

■議題

1 雇用情勢について

2 高知県の経済情勢について

3 平成28年度雇用対策について

 (1)雇用対策の方針

 (2)雇用対策の取組について

 (3)高校生、大学生等の就職支援について

 (4)県と高知労働局との雇用対策協定について

【開会】

副本部長(商工労働部長))

 平成27年度、雇用対策本部会議を開催する。

【本部長あいさつ】

本部長(知事))

  高知県の有効求人倍率は、平成13年ぐらいから、全国がどんなに膨らんでも高知だけは、0.4倍から0.5倍ぐらいの間で低迷をしていた時期が10年。しかしながら、ここ5、6年は、この有効求人倍率が上昇に転じ、過去最高の1.05倍というレベルに達している。しかし、まだまだ課題が多く、正規の求人倍率については0.58倍に留まり、地域間の格差もあり、現在も2,000人ぐらいの方が県外へ流出しているという状況。大事なのは正規の職を多様な形で、一次産業から三次産業まで、かつ地域地域にいかにして作り出していくかという事。そのような形になって、若者が地域に定着していくような土壌ができあがると考えている。今日の雇用対策本部、しっかりとデータを分析をし、産業振興計画及び日本一の健康長寿県構想などなど合わせて、一連の施策について皆で確認し、今後の政策展開に活かしていきたい。

 

【議題1】雇用情勢について <資料1>

高知労働局長)

 高知県の置かれている少子高齢、人口減少に歯止めをかけるためには、定住者の増加が必要だと十分認識している。それには、性別、年齢、障害の有無を問わず働くことのできる良質な正社員雇用の確保・創出、そして求職者とのマッチング及びスキルアップが不可欠。雇用の確保・創出については、国や、高知県が進めている産業施策とベストミックスが大事。高知県の雇用失業情勢は、リーマンショック後の平成21年5月から7月の0.39倍をボトムとしたとき、平成24年10月の0.62倍まで3年3カ月かけて0.23ポイントの上昇。今回、1倍を超えた契機となった平成27年の3月は0.82倍、11月には過去最高の1.05倍、わずか8か月で0.23ポイント上昇。これは、県の効果的な産業振興計画の実施、国全体の緩やかな景気回復、企業努力によって有効求職者の減少を上回る有効求人数の増加が寄与したと分析している。ただ、総量は増えたが、ミスマッチもある。正社員になりたい人が多いけれども、正社員の求人が少ないというミスマッチ。もう一つは、例えば、事務職になりたいけれども事務職の求人が少ない、一方で、建設系では専門職は求人が多いけれども求職者が少ないというミスマッチがある。次に、県外流出の件で言えば、県内で就職したい高校生が、自分の望む職がないとなれば、不本意ながら県外に流出するという状況がここ数年前まであった。県と教育委員会と手を携えて求人開拓をした結果、各経済団体のご理解もあり、初めて高校生一人当たり2つの職を選べる状況になってきた。また、県内企業の大卒求人の意欲も高まっている。そのような中で、先ほどのような課題をふまえて、正社員実現加速プロジェクトに取り組んでいる。また、いろんな事情で非正規雇用を選ばれる方はいるので、待遇改善に取り組んでいる。それから、実践型地域雇用創造事業というパッケージ事業があり、対策が進んでいる。最後に、9ページの資料「求人・求職・就職バランスシート(正社員)」は、初めての公表資料である。県で施策を作られる時に参考にしていただきたい。私どもも、こういう物を使いながら対策を立てていきたい。

 

【議題2】高知県の経済情勢について <資料2>

産業振興推進部長)

 高知県の経済情勢ということで、グラフを4つ掲げている。まず、左上をご覧いただいて、平成2年から本県は人口の自然減が始まっており、高齢化は全国に15年先行して進んでいる。その結果、高知県の年間商品販売額が、平成9年から19年までの10年間で2割減少し、県内市場がどんどん縮小している。平成14年頃というのは、全国がどんなに景気がよくても、本県はついていけていない状況。それが平成21年22年辺りを契機に右肩上がりとなり、全国の流れについていけるようになった。2ページ目に、求人倍率、11月に最高1.05倍を記録したが、どういう要因かを分析している。全体の人口が減る中で、生産年齢人口割合が平成20年の60%から、4.7%減少しているにも関わらず、各分野の産出額が増加している。3ページ。これは指数で表したものであるが、真ん中の黒い太い線が生産年齢人口で、平成12年から26年に向けて約2割減少している。あと、産業分野毎の生産額を同じように指数化しているが、平成21年ぐらいまで緩やかに右肩下がり、それが22年辺りを契機に上向き始めてきた。この産業振興計画がスタートしたのが実質的には平成22年であり、平成25年からはアベノミクスというような追い風もあったかと思う。2ページに戻って、これまでの県内で消費する地産地消ではなく、外商を進めていくという取り組みの結果、産出額が徐々に上昇に転じてきた。その結果、雇用保険被保険者数が増加し、雇用が新たに創出されていると考えられる。次は4ページ。ピンクの線が求職者数、グリーンの線が求人数の動向であるが、先ほどの労働局長の説明のとおり、求職が減り求人が増えていったことがご覧いただけると思う。2ページに戻って、完全失業率は2.7であり平成20年平均より2ポイント以上減少している。これは求職者が減り、求人数が増えた結果、求人倍率が上がったという事。右下の参考「社会増減の動向」については、6ページにあるように、平成18年19年20年ごろを平均すると4,000人以上の減少が続いていた。近年は、平均すると2,000人弱の減少に留まっている。参考までに5ページは、求人、求職者数の増減率を指数化したもの。平成18年から平成26年までは年度平均ですが、27年度は月別の数値である。26年度までを見ると、求人数は1.4倍、1.45倍ぐらいになっているが、ピンクの線の求職者数は0.9倍ぐらいに減ってきている。27年度4月以降の求人数は、26年度の年度平均を上回る数値結果になっている。総合して言えば、県経済全体として、あるいは雇用情勢全体として非常に良い方向に進みつつあると認識しているが、まだまだ課題がある。地域の格差であったり、様々な分野のミスマッチといったことを課題として持ちながら、3期の産業振興計画で掲げている、「地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県」を実現するために、このいい流れを確かなものにし、そしてより多くの成果を目指して、さらに取り組みを進めていきたい。

 

【議題3】平成28年度雇用対策について <資料3>

事務局)

 ◇雇用対策の方針(資料3 1ページ)

  県内の雇用情勢は、まだまだ課題はあるが、産業振興計画の具体化などにより改善基調にある。この改善しつつある雇用情勢をより確かなものにするため、今後も全庁一体となって雇用対策に取り組むことが必要。平成28年度の県の雇用対策の柱は、「働く場の確保・創出」と「人材の育成・確保」という2本柱で進めていく。取り組みとしては、地域地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県となるために、産業振興計画や日本一の健康長寿県構想などの取り組みを進めることによって、雇用対策の推進を図っていく。地産と外商をそれぞれ強化し、その成果を拡大再生産の好循環へと繋げていくための取り組みを更に強化することで、一次産業から三次産業までの多様な仕事を創出し、働く場の確保・創出が進み、雇用情勢が改善されることで、後継者や事業の中核となる人材、さらには一定の技能を持つ働き手が必要になるため移住施策とも連動した人材の確保・育成が重要となっている。このような施策の取り組みを進めていく上では、国や関係機関との連携が必要不可欠。そのため、平成26年7月に県と高知労働局とで雇用対策協定を締結し、国の雇用対策との連携強化を図っている。雇用情勢が改善基調とはいえ、まだまだ雇用の場の拡大が必要であるし、雇用形態や賃金など従業員の処遇の改善も十分とはいえない状況。今後、どれだけの働く場が生み出せるか、どれだけの正社員が生み出せるかという雇用の量と雇用の質の確保・拡大を実現させるイメージを持って、取り組みを進めていただきたい。 

 ◇雇用対策の取組について(資料3 2ページ)

  予算編成時に照会した各部局の雇用対策の取り組みのうち、新規、拡充など主なものをまとめたもので、各部局の取り組みを俯瞰するものとして作成。事業の実施にあたり、部局間、事業間での連携に活用していただきたい。

 ◇高校生、大学生等の就職支援について(資料3 3~5ページ)

      続いて、(3)高校生、大学生等の就職支援について。4ページ、5ページは、県内の新規高卒者と新規大卒者の県内外の就職者数及び求人数、県外就職率の推移。平成27年の欄は、平成27年3月の卒業生の平成27年6月末時点の状況。表にはないが、平成28年卒業生の昨年12月末現在の県内求人数は、前年同月に比べて20.3%の増で、同時期においては平成10年度以降の最高値。3ページは、県内求人が増えている中、高校生からU・Iターン希望者までの県内就職の促進を目指した取り組みの強化を図るため、様々な取り組みを体系化したもの。必要な情報を確実に届けるための仕組みの確立や県内企業の魅力の発信など、段階に応じた主な取り組みを記載している。民間就職支援会社や労働局、移住コンシェルジュ、事業承継・人材確保センターなどとも連携して、一人でも多くの方を県内就職へと繋げていきたい。大学生やU・Iターン希望者に、より多くの就職情報を提供するため、各分野での魅力ある就業の場の情報を雇用労働政策課に提供していただくなどにより、様々な分野の人材確保につながる仕組みとなるよう、各部局の皆さまと一緒に取り組んでいきたい。

 ◇県と高知労働局との雇用対策協定について(資料3 6~9ページ)

  平成26年7月、県と高知労働局双方の強みを最大限に活用し、共同で雇用対策を推進する雇用対策協定を締結した。共同で推進する事業計画を毎年度策定し、取り組みを進める事としている。平成27年度は6つの大項目を設け、そのうちの3つで目標を立てて取り組んでいる。資料8ページは、目標を立てた3つの項目の執行状況についてまとめたもので、先月運営協議会を開催し、その際に承認いただいた内容となっている。すでに目標を達成した項目もあり概ね順調だが、三つ目の項目「若年者に対する就労支援」については少し苦戦をしている。目標の③ジョブカフェこうちの就職件数は、昨年同時期を上回っているが、雇用情勢の改善等により来所者が減少している。引き続き、ハローワーク若年者相談コーナーと連携し、就労支援を行っていく。資料9ページは、平成28年度の事業計画の概要案。今後、この項目に沿った、県と労働局の取り組み内容の整理や目標の設定について共同で作業を進め、今年度中に平成28年度事業計画を策定する。

 

≪質疑等≫

教育長)

 公立高校の就職内定率は、12月末時点で昨年度85.8%、今年度87.6%であり、1.8%増加している。それから、県内企業への就職割合は62.0%で、昨年度より1.3%増えている状況である。そもそも卒業者数が減少しているが、産業振興計画等の成果もあり、製造業への就職者が増えている。続いて建設、卸・小売業に就職する割合が高い。分野によっては増減があるが、医療介護分野への就職者が一番減少している。

地域福祉部長)

 私の方から、福祉介護分野への人材確保の対策について。2025年、団塊の世代が後期高齢者になって超高齢化社会にどんどんなっていくが、求職者数が減っている。来年度から、新たな人材確保対策として、新規参入の促進と定着、並びに離職防止対策を強化していく。特に高校生、中山間地域に、そういう職場に関心がある方が多いので、来年度から大体150名程の初任者研修の受講枠を構えて、向こう10年間で新たな就職を確保していきたい。併せて、再就職フェアの開催や、掘り起こしにより、100名ほどの方の就業に繋げていきたいと考えている。あと人材の定着促進と離職防止の面では、福祉研修センターの研修体制の充実、介護ロボットの導入促進などによる、職場環境の改善により定着を促していく。

 

本部長(知事))

 産業振興の取り組みをしていく、それを非常に高いクオリティある雇用に転換をしていく。その良いパス回しが我々県庁と労働局の皆さんとの間でできているのではないかと思っている。産業振興計画が始まる前の平成18年度と比べて、求人数は1.6倍、求職者数は0.7倍で、求人が上がっていること、全体として経済の規模自体が人口減少にも関わらず拡大してきているということが大きな背景にある。また、客観的なデータに基づいた情勢認識に基づいて、これからの政策の取り組みというのをしっかり組み立てていかなければならないのだろうと考えている。大事なことは「働く場の確保・創出」をするということ。量的にしっかりとした求人数を引き続き確保し続けるとともに、質をいかに上げていくかということが大事だと考える次第。産業振興計画、地産外商の取り組みを更に強化し、拡大再生産に繋げていく。しかもその拡大再生産は、量的な拡大再生産に留まらず、質の拡大再生産ということも意識して全力で取り組んでいかなければならない。日本一の健康長寿県構想も同様であるが、関係部局の連携が大事。また、一部では深刻な人手不足という状況が出てきている点からいえば、この「働く場の確保・創出」に加えて、「人材の育成・確保」という観点も極めて大事。この人材の確保という観点から、高校生、大学生の県外流出の防止、U・Iターンの促進、もっと言えば移住促進の取り組みなどについて、更にパワーアップしていくということが極めて大事だし、ミスマッチに対応していくためにも、人材育成が極めて大事。以上のように、雇用をしっかりと量的に確保し、質を向上させるための施策を取るとともに、この人材の育成・確保のための取り組みを同時にしていく事が極めて重要だと考えている。この4月から全力で実行していきたい。

 

副本部長(商工労働部長))

 平成27年度雇用対策本部会議を終了する。

 

※ 「有効求人倍率」は、公表当時の数値。

※ 平成27年12月以前の数値は、新季節調整指数によって平成28年3月1日に改訂されている。

 

【資料1】雇用情勢について[PDF:2MB]

【資料2】高知県の経済情勢[PDF:2MB]

【資料3】平成28年度雇用対策について[PDF:2MB]

この記事に関するお問い合わせ

高知県 商工労働部 雇用労働政策課

所在地: 〒780-8570 高知県高知市丸ノ内1丁目2番20号
電話: 労政担当 088-823-9763
能力開発担当 088-823-9765
働き方改革担当 088-823-9764
就業支援担当 088-823-9766
ファックス: 088-823-9277
メール: 151301@ken.pref.kochi.lg.jp

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