管轄区域と概要

公開日 2022年05月30日

【管轄区域】

 

【概要】

 管内の畜産は、畜産農家の高齢化、飼料価格の高騰、畜産環境対策などの課題に直面しています。また、令和2年12月に高知県で初めて発生した高病原性鳥インフルエンザや、国内での発生が継続している豚熱及び近隣諸国において発生が継続しているアフリカ豚熱などの侵入防止強化策が求められており、畜産を取り巻く情勢は大きく変化しています。
 こうした変化に対応するため、家畜伝染病に対する防疫・衛生対策として畜産農家が守るべき「飼養衛生管理基準」の遵守指導や、万一発生した場合に備えた初動防疫体制の強化が必須となります。さらに、意欲ある担い手の規模拡大や新規就農への支援、また粗飼料確保の面では、耕畜連携で稲発酵粗飼料(WCS)の生産を拡大することによって、飼料コストの低減や家畜堆肥の活用なども積極的に進めています。
 新型コロナウィルス感染拡大の影響としては、令和2年の4月以降外食産業を中心とした和牛肉の取引減少に伴い枝肉価格が低下していましたが、同年10月以降は需要の回復などに伴い枝肉価格も回復しています。

1 酪農

 乳用牛は、管内11市町で飼育され、飼育戸数が28戸、飼育頭数が2,212頭で、昨年に比べて4戸減少し、頭数は前年比98.8%でした。
生乳の生産については、高品質で安全なものを求める消費者ニーズに対応するため、牛群検定成績を指標に乳量、乳成分の安定化を図りながら農場の衛生管理の徹底や暑熱対策など飼養環境の改善に取り組んでいます。
 また、飼料費節減のため耕種農家と連携して稲発酵粗飼料(WCS)の生産拡大にも積極的に取り組んでいます。併せて定期的な農家巡回により、生乳生産量や乳成分が安定するように飼養管理の指導に努めています。
 特徴のある取組みとしましては、シバ草地への放牧を主体とした全国でも数少ない山地酪農経営を営む南国市の酪農家は、特定の顧客をターゲットとした牛乳販売を行い、経営の安定化を図っています。佐川町では、県版HACCPを取得した地元の乳業メーカーと酪農家が提携し、「さかわの地乳」として生産・販売を行っています。
 酪農教育ファームの認証を受けた高知市の牧場では、小学生の酪農体験や生乳加工品の製造・販売も手がけ、スイーツも楽しめる開かれた牧場としての取組みも行っています。

 2 肉用牛

 肉用牛は、管内18市町村で飼育され、飼育戸数が104戸、飼育頭数が3,444頭と、昨年より3戸増加し、頭数も前年比102.2%と増加しました。
 嶺北地域(土佐町、本山町、大川村、大豊町)は、管内の肉用牛戸数及び頭数ともに50%以上を占め、県内における土佐あかうしの主産地となっています。
 昨年度、土佐あかうしの特徴を評価する独自の格付制度が創設されました。この格付けで「R5」、「R4」評価の枝肉は、料理人・シェフ向け赤身肉需要に特化した「TOSA ROUGE BEEF(トサ ルージュ ビーフ)」として流通し、より良い赤身肉を安定的に高価格評価することで経営安定にもつながります。「TOSA ROUGE BEEF」は優れた品質の土佐あかうしを担保するブランドとなることが期待されます。
 県では需要増加に応えるため、乳牛の腹を借りて土佐あかうしの受精卵を移植することにより、不足している肥育もと牛の供給を促進する土佐あかうし増頭対策事業に取り組んでいます。また、昨年からは4名が新たに土佐あかうしの飼育に取り組み始めています。

3 養豚

 豚は、管内5市町で飼育されており、飼育戸数が7戸、飼育頭数が2,622頭で、戸数は1戸減り、頭数も昨年の96.9%と減少しました。
 奈半利町の農家では、畜産試験場などと連携して開発された新たな銘柄豚「ゆず豚」を生産しており、県内の直販所等で販売されています。

4 養鶏

 採卵鶏は、管内8市町村で飼育され、飼育戸数が12戸、飼育羽数が232,600羽で、戸数は2戸減り、羽数は昨年比95.8 %でした。
 肉用鶏(ブロイラー)は、主に商社との契約飼育による経営が多く、管内4市町において飼育戸数が4戸、飼育羽数が81,600羽で、羽数は昨年比102.3 %でした。
 養鶏については、飼料価格の高騰が直ちに収益を圧迫するため、飼養管理技術の改善による鶏卵の生産性向上とともに、消費者ニーズに対応した鶏卵や鶏肉の高品質化を目指しています。

5 その他特産畜産物

 土佐ジローは、36戸の農家で、約15,500羽が飼育されています。大部分が小規模飼育で、卵を地元産直市などで販売しており、中山間地域における有望な現金収入品目の一つになっています。1,000羽以上の大規模飼育農家では、ホテル・レストラン・量販店・インターネット販売などを展開している他、加工品開発も行っています。昨年度は、1戸の農家で事業を活用して鶏舎を整備し、1名の新規就農者が飼育をはじめ、鳥インフルエンザ対策にも取り組んでいます。

 土佐はちきん地鶏は、3か所で飼育されています。大川村の農場では、今年度は年間50,000羽出荷を目標に、新たに整備した鶏舎や食鳥処理施設等の活用を図って生産体制の強化と食鳥処理技術の向上および販路拡大に取り組んでいます。室戸市の農場では高知市の合同会社と提携し、年間約10,000羽が出荷されています。

 南国市では、約1,500羽を飼育する「ごめんケンカシャモ」のブランド化を推進するため、地域アクションプランで、飼育、供給体制の強化を目指すとともに新たな加工品開発とPR活動に取り組んでいます。

 いの町・本川地区では、年間約3,000羽~4,000羽の特産の「本川キジ」を生産・販売しています。さらなる販路拡大を目指し地域アクションプランの活用により生産と販売の体制強化に取り組んでいます。

 芸西村及び高知市では、合鴨が飼育され、主として県外事業者との取引により、年間約6万羽が出荷され、一部は、県内外で「土佐鴨」の名称で居酒屋、ホテル等で料理の提供もされています。

この記事に関するお問い合わせ

高知県 農業振興部 中央家畜保健衛生所

所在地: 〒781-1102 高知県土佐市高岡町乙3229番地
電話: 088-852-7730
ファックス: 088-852-7733
メール: 160903@ken.pref.kochi.lg.jp
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