使用者相談Q&A(令和元年9月12日更新)

公開日 2019年09月12日

 この「使用者相談Q&A」のコーナーでは、日ごろ高知県労働委員会に寄せられている使用者からの労働相談の中で代表的な質問について取り上げ、対応策などを回答しています。
 ただし、ここで記載している質問・回答は、あくまで一般的な内容のものです。より具体的な内容についてのご相談は、高知県労働委員会にご相談ください。
  
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■ 質問一覧 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

1-1 会社の経営状況から、賃金カットを考えています。従業員の同意がなくても就業規則を変更することで実施できますか。

 お答え
 一度決まった労働条件を変更する場合には、原則として従業員の同意が必要となります。
 同意を得るためには、必要性や従業員の被る不利益の程度を明確に説明し、理解を得るよう努力しなければなりません。
 可能であれば代替措置として他の労働条件を有利にする提案も良いでしょう。
 従業員の同意がとれたら、書面で記録に残すと後のトラブルを防げます。
        同意が得られなかった場合、就業規則の変更により、会社の判断で労働条件を変更することも可能です。
        しかしながら、そのためには、変更後の就業規則を従業員に周知させ、その変更内容が合理的であることが必要です。戻る
 

1-2 従業員が営業中に、接触事故により会社の車を破損してしまいました。修理代金の一部を従業員の給料から差し引こうと考えていますが、問題ないでしょうか。

お答え

 従業員が業務中のミスにより、会社又は第三者に損害を与えた場合、従業員に故意や過失があれば、不法行為又は債務不履行として、損害賠償責任が発生するのが原則ですが、業務を遂行する過程で通常発生する事が予測されるミス(軽微な過失)の場合は、「損害の公平な分担」という信義則上の基本理念から、損害賠償責任を認めることは難しいと言われています。
 また、労働基準法では、原則として賃金はその全額を支払わなければならないとされており、損害賠償を請求できる場合でも、賃金から全部又は一部を一方的に天引きすることは違法です。
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1-3 当社は、残業代は毎月固定額を支給する定額残業制を採用していますが、残業時間が多かった社員から残業代の請求がありました。支払う必要があるのでしょうか。

お答え

 残業代を固定額で支給する場合、その固定額が実際の残業時間に基づく労働基準法に定められた割増賃金を上回れば問題ありませんが、下回れば同法に違反することになります。このため、定額残業制を採用していても、固定額を上回る残業代については、その差額分を支払う必要があります。なお、定額残業制を行うには、実際の残業時間に基づく法定の割増賃金の額が固定額を上回る場合は、その差額を支払うことを就業規則等に定めたうえで、定額残業代部分について他の賃金と明確に区分し、何時間分の残業代に相当するかを明確にしなければなりません。戻る

 
 

1-4 会社の業績が悪化し、夏の賞与(ボーナス)を支給することができなくなってしまいました。毎年2回、夏季と冬季に必ず支給していたため、従業員からは賞与がないと困るとの声が上がっています。支給しなければならないでしょうか。

お答え
 賞与の支給は法律上義務付けられているものではありません。しかし、就業規則や労働契約等に「賞与は年2回支給する」というように定められている場合には、使用者に賞与の支給義務が生じますので、原則として賞与を支給しなければなりません。
 一方、「賞与は、会社の業績を考慮し支給する」というように定められている場合、賞与を支給するかどうかは、会社の業績によることとなりますので、会社の業績がこれまでよりも悪化した場合には、賞与を支給しなくても違法とはならない可能性があります。戻る

 


1-5 会社は、10時開店ですが、毎日9時30分から朝礼と清掃を行っています。朝礼では、当日の業務分担等を話し合っており、清掃は各従業員の担当場所が決まっています。雇用契約書では朝礼や清掃への出席を義務付けておらず、勤務開始時間は10時としていますので、朝礼や清掃時間分の賃金は支払っていませんでした。賃金を支払う必要があるのでしょうか。

 お答え
 始業時間前に行う朝礼や清掃についても、その時間が労働時間に該当する場合は、賃金を支払う必要があります。労働時間に該当するかどうかは、労働契約等の定めによって決まるものではなく、労働者が使用者の指揮監督下にあると評価できるかどうかにより客観的に定まるものとされています。契約上は出席を義務付けていなくても、出席を余儀なくされている事情が認められれば、使用者の指揮監督下に置かれたものとして労働時間と判断され、賃金を支払う必要があります。戻る

 


1-6 当社では、一定の年数以上勤務した従業員が退職する場合に限り退職金を支給していますが、問題ないでしょうか。また、退職金の支給が事業主に義務付けられる場合があると聞いたのですが、それはどのような場合でしょうか。

お答え 退職金は法律上、支給しなければならないものではありませんので、一定の者にのみ支給することもできます。ただし、一定の基準により退職金を支給するということであれば、退職金について就業規則で定める必要があります。
 一方、就業規則や労働協約等に支給条件が明確に定められていれば、事業主に退職金の支給義務が生じます。また、就業規則等に定めがなくても、明確な基準に基づき退職金が支給されており、慣行として確立していれば支給義務が生じます。
 支給義務がある場合に退職金を支払わないと、労働基準法違反となりますので、ご注意ください。 戻る

 


1-7 子供が大きな病気にかかった社員が、「治療費がかさんだため給料を30万円前払いしてもらいたい」と申し出てきました。応じなければならないでしょうか。

お答え 労働者から出産、疾病、災害等の非常の場合の費用に充てるために給料の前払いの請求があれば、使用者は支給日前でも既に働いた分は支払う必要があります。この「非常の場合」には、労働者の収入によって生計を維持する者の疾病も含まれます。したがって、仮に給料が月末締めの翌月払いの場合、支給日前に請求があれば、前月分とその月に既に働いた分の給料額を、支給日以後に請求があれば、その月に既に働いた分の給料額を支払うこととなります。
 なお、既に働いた分の給料額が請求額より少なければ、働いていない分まで前払いするかどうかは会社の判断になります。身分的拘束や労働の強制を防止するため、働くことを条件に金銭を前貸しして給料と相殺することは禁止されていますが、真に労働者の便宜のためであれば、前払いは可能ですので、社員の事情を考慮し、可能な範囲での対応を検討されてはいかがでしょうか。

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1-8 急な受注があり、36協定に基づいて法定休日に出勤してもらいました。事後に休日の振替をすれば、休日労働に対する割増賃金を支払わなくてもよいでしょうか。

お答え 事後に休日の振替をしたり、代休を与えたりしても、休日に出勤させたことに変わりはありませんので、その休日が法定休日(労働基準法における毎週1日又は4週間を通じて4日以上与えることとされている休日)であれば、その日の労働に対しては、休日労働として割増賃金を支払う必要があります。
 一方、事前に休日の振替をした場合は、本来の休日は労働日となりますので、出勤させても休日労働としての割増賃金を支払う必要はありません。この場合、休日の振替は、労働契約上で特定されている休日を他の日に変更することになりますので、就業規則等における根拠規定が必要であり、規定がなければ労働者の個別の同意が必要となります。
 なお、事前の振替の場合でも、別の週に休日を振り替えることで、労働日となった本来の休日が属する週の労働時間が法定労働時間(原則、週40時間)を超えることになれば、その超えた時間分は時間外労働となり、割増賃金を支払う必要がありますので、注意が必要です。
 休日出勤が必要となった場合に備えて、休日の事前振替制度がなければ、就業規則の整備を検討されてはいかがでしょうか。戻る


1-9 当社では、賞与の支給日を毎年6・12月の1日とし、それぞれの査定期間を11月から翌年4月まで、5月から10月までとしています。11月中旬に自己都合退職した元従業員から、賞与の査定期間の5月から10月までは勤務していたので、賞与を支給してほしいと言われました。当社では長年、支給日に在籍している従業員にのみ賞与を支給することとしていますが、支給日前に退職した者にも支給しなければならないでしょうか。

お答え 賞与(ボーナス・一時金)は必ず支給するものではなく、就業規則や労働契約等に賞与の支給条件や時期、額についての定めが置かれている場合に、それに基づく支給義務が生じるもので、この支給条件等については、原則として労使間の合意で自由に定めることができます。また、賞与には査定期間の勤務に対する賃金の後払的性格や企業の成果・利益配分、労働者の貢献に対する報償といった性格があるだけでなく、現在・将来の勤務に対する報奨という性格もあります。
 したがって、会社の就業規則等に賞与の支給日に在籍している者のみに支給するという定め(一般的に「支給日在籍要件」といいます。)を置いている場合や、そのような取扱いが労使慣行として確立している場合には、支給日前に退職した者に賞与を支給しなくても差し支えないものと考えられますので、ご質問の内容からすると、この後者に当たると思われます。従業員に対して賞与の支給要件を明確にするためにも、支給日在籍要件について就業規則等に定めるようにしてはいかがでしょうか。  戻る


2-1 当初3か月は試用期間として正社員を採用しました。しかし、勤務態度が悪いため試用期間満了時に本採用を拒否しようと考えていますが、問題ないでしょうか。

 お答え
 試用期間とは、一般的に、労働者の能力等を評価して社員としての適格性を判断する期間とされていますが、試用期間中であっても労働者と使用者との間には労働契約が成立しています。
  このため、試用期間満了時に本採用を拒否するのも解雇になりますので、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当である必要があります。
試用期間の性質を考慮して、通常の解雇より広い範囲の解雇の自由が認められる可能性がありますが、勤務態度が悪いとしても、その程度や改善の見込みを考慮する必要があります。また、適切な指導をしていないといった事情があれば、解雇が認められない可能性もあります。戻る

 


2-2  無期雇用の従業員が、「明日で会社を辞める」と言って退職届を持って来ました。急に辞められると困るので、退職届は受け取らず、改めて話し合いをすることとしましたが、退職を認めないといけないでしょうか。

お答え 
 雇用期間に定めがない労働者から労働契約の解約(退職)の申し入れがあった場合、原則として解約申入れの日から起算して2週間経過したときに退職が成立します。また、就業規則等に「退職届は1か月前に提出すること」等の規定があれば、そちらの期間が優先される可能性もあります。このため、ご質問のように明日付けでの退職を認める必要はありませんが、退職の意思表示があった日から一定期間経過すると退職が成立します。
 退職を申し出るということは、相当の理由があると思われます。従業員に理由を聞き、会社として対応できることはないか話し合ってみてはどうでしょうか。戻る

 


2-3 従業員から退職届が提出され、勤務態度に問題もあったため、特に慰留もしませんでしたが、数日後、退職を撤回したいとの申出がありました。撤回を認めないといけないでしょうか。

お答え ご相談の件については、提出された退職届の内容等によって対応が変わってきますので、事案ごとに検討する必要があります。
 労働者の退職(労働契約の解除)には、労働者と使用者との合意による「依願退職(合意解約)」と、労働者の一方的意思表示による「辞職」とがあります。一般的に依願退職では「退職願」が、辞職では「退職届」が提出されますが、依願退職か辞職かは、書類の名称によって決まるわけではなく、書類の内容や作成の経緯、労働者の意思等によって決まります。
 依願退職の場合は、労働者が退職を申し入れ、使用者がこれを承諾することで労働契約が終了しますので、使用者の承諾の意思が労働者に到達するまでは退職の撤回が可能とされています。
 一方、辞職の場合は、労働者が辞職を使用者に申し入れた時点で労働契約の解除の告知の効力が生じ、労働契約に期間の定めがないときは、原則として2週間後に労働契約は終了し、期間の定めがあるときは、辞職にやむを得ない事由が必要ですが、直ちに労働契約は終了します。いずれも使用者に辞職を申し入れた時点で効力が生じますので、退職の撤回はできません。
 ご相談の件に限らず、退職の申出があった場合は、その時点で内容等をしっかり確認して対応することで、退職時のトラブルを防止しましょう。戻る

 


4-1 先日、上司からパワハラを受けていると社員から相談がありました。会社として何か責任を問われるのでしょうか。

お答え パワハラ(パワーハラスメント)については、加害者本人が不法行為に基づく損害賠償をするだけでなく、会社も使用者としての責任や従業員に対する安全配慮義務違反を問われて、被害者に対して損害賠償をしなければならない場合があります。
 このため、会社としては、パワハラの防止、解決に向けた早期発見、迅速適切な対応に努めるべきでしょう。具体的な取組として、防止のためには『会社トップによるメッセージの発出、対応ルール・方針の策定・周知、アンケート等による実態の把握、教育・研修など』、解決のためには『相談窓口や解決の場の設置、再発防止研修など』が考えられます。戻る

 


5-1 仕事が忙しく、従業員が年次有給休暇を取得できないので、買い取ることを考えています。法的に問題ないでしょうか。

お答え

 年次有給休暇制度の趣旨は、労働者の心身の疲労の回復を図るものであるため、年次有給休暇の買い取りは、この趣旨に反し、原則として認められません。ただし、法定日数を超えて付与された部分の日数や、退職等による未消化の日数、時効により消滅した日数の年次有給休暇を買い取ることは、上記の趣旨に反しないと考えられることから可能です。年次有給休暇の趣旨を踏まえて取得しやすい職場環境づくりを心がけましょう。

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5-2 先日、パート職員から、年次有給休暇は取れないのかと聞かれました。当社では、正職員に有給休暇は付与していますが、パートやアルバイト職員には年次有給休暇を付与していません。有給休暇を付与する必要があるのでしょうか。

 お答え
 パートやアルバイト職員でも、所定労働日数が週1日又は年48日以上であれば、6ヶ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した者には、年次有給休暇は付与されます。付与される日数は、1週間の所定労働日数が5日以上、又は1週間の所定労働時間が30時間以上であれば正職員と同様となり、これより少なければ、労働日数に応じて比例付与されます。
 パートやアルバイト職員にも、年次有給休暇が付与され得るということを理解し、その上で、具体的付与日数については、労働基準法施行規則第24条の3と照らし合わせるとよいでしょう。戻る

 


5-3 定年退職する職員から、「年次有給休暇を全て消化するため、明日から退職日まで出社しないので引き継ぎは行えない」と、年休の請求がありました。業務への支障を考え、年休取得を拒否してもよいでしょうか。

 お答え使用者には年休の時季変更権がありますが、他の時季に年休が与えられないのであれば行使することはできないため、年休請求を拒否することはできません。たとえ、就業規則に退職時に引き継ぎを行う義務が定められていたとしても、あくまでも就労義務の範囲内で引継義務を課すものであり、年休により就労義務が免除される場合にまで課すことはできません。
 年休を買い取る方法もありますが、使用者が一方的に買い取ることはできないため、年休請求の撤回と併せて説得することになります。
 このようなことにならないためにも、日頃から年休取得を促すことが重要です。戻る

 

 


5-4 当社で正社員として長年勤務し3月に定年退職した社員を、引き続き4月から再雇用しましたが、10月になって再雇用後6ヶ月たったということで、年次有給休暇の申出がありました。当社では、全社員に年次有給休暇を1月1日に付与しており、この社員は、年次有給休暇を3月末までに使い切って退職しましたが、新たに付与しなければならないでしょうか。

お答え 年次有給休暇は、継続勤務した期間に基づいて付与されます。この場合の継続勤務とは、勤務の実態に即して実質的に判断すべきものとされ、定年退職による退職者を引き続き再雇用している場合は、退職と再雇用との間に相当の期間があり、客観的に労働関係が断絶していると認められる場合を除いて継続勤務に当たります。今回のように、空白期間を置かず再雇用している場合は継続勤務となるため、既に1月1日に年次有給休暇を付与しており、再雇用から6ヶ月たった時点で新たに付与する必要はありません。
 トラブルにならないためにも、年次有給休暇のことなど再雇用後の労働条件を事前に周知しておきましょう。戻る

 


5-5 育児休業から復帰した社員が年次有給休暇を取得したいと申し出てきました。その社員は、年次有給休暇の付与の基準日前の1年間のうち、6ヶ月ほど育児休業のため出勤していませんでしたが、年次有給休暇を与えないといけないでしょうか。

 お答え年次有給休暇は、雇入れの日から6ヶ月継続して勤務した場合は、その間の全労働日(出勤を要する日の総日数)の8割以上を出勤したときに、その後は継続する勤務1年ごとに全労働日の8割以上を出勤したときに付与するものです。この出勤した日には、実際に出勤した日だけでなく、育児休業期間も含まれます。その他、産前産後休業期間、介護休業期間、業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間、年次有給休暇の取得日も出勤した日に含まれます。
 このため、育児休業期間を出勤した日として計算し、要件を満たすようであれば、勤続年数に応じた年次有給休暇を付与する必要があります。この社員が要件を満たすか、すぐに確認しましょう。戻る

 


5-6 社員から、就業時間中に「明日年休を取得したい」との申出がありましたが、急に休まれると人手が足りず、業務に支障が出ます。こういう場合に年休取得の申出に応じないといけないでしょうか。

 お答え年休の取得時季は、労働者に指定する権利(時季指定権)がありますが、これでは事業に大きな支障が生じることも考えられることから、使用者には時季を変更する権利(時季変更権)が認められています。
 この時季変更権の行使ができるのは、「請求された時季に年休を与えることが事業の正常な運営を妨げる蓋然性(おそれ)がある場合」とされており、具体的には(1)年休取得を申し出た労働者の当日の業務が、課、係等の事業の運営上不可欠であり、かつ、(2)代替要員の確保が容易でないと判断される場合となります。また、時季変更権を行使するためには、「他の時季」に年休が付与されることが前提となっていることから、要員不足などによって労働者の年休取得が直ちに事業の正常な運営の阻害をもたらす状況が恒常的となっている場合には、時季変更権の行使が認められなくなりますので、注意が必要です。
 しかしながら、ご相談の休暇日直前の申出のような代替要因の確保を行うための時間的余裕すら与えない時季指定権の行使に対しては、時季変更権の行使もやむを得ないものとされていますので、申出のあった年休取得には応じないこともできます。
 とはいえ、急病や家族の看病といった場合もありますので、労働者から休暇目的について申出があれば、その内容によっては時季変更権の行使を差し控えるなど、「働きやすい労働環境」の確保を念頭に置いた対応を検討されてはいかがでしょうか。戻る


5-7 法改正により、年休を取得させることが使用者の義務になったとのことです。当社では従業員の年次有給休暇の取得率が良くありません。取得率向上のためには、どういった方策があるのでしょうか。

お答え労働基準法が改正され、年休付与日数が10日以上の労働者に対し、最低5日の年休を取得させることが使用者に義務づけられましたが(平成31年4月1日施行)、このことに対応するだけでなく、より積極的な年休の取得率向上に取り組むため、「年休の計画的付与制度」を導入し、計画的に年休を取得させるようにしてはどうでしょうか。この制度では、年休のうち5日を超える部分について、①一斉付与方式②交代制付与方式③個人別付与方式などの方式により計画的に取得させることができます。
 導入にあたっては、就業規則の変更や労使協定の締結が必要となりますので、計画的付与の対象者や具体的な方法など詳細については、社会保険労務士や組合等とも十分な協議を行うようにしてください。
 年休取得率の向上により、従業員がほどよく休むことでその私生活は充実し、仕事に対するやる気も出て、作業効率も上がるという好循環が期待できます。また、このことは、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の実現だけでなく、企業イメージも高まり、優秀な人材の確保にもつながるなど、企業にとってもメリットが大きいと思われますので、ぜひ、ご検討ください。戻る


6-1 14時~19時に別会社で働いている者を、朝8時~12時勤務のパート職員として雇用することにしました。労働時間が通算9時間となり、法定労働時間を超えますが、問題ないでしょうか。

お答え 労働時間は、異なる2つの会社で労働する場合も通算されます。このため、原則として、1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて労働をさせる場合には36協定を締結する必要があり、法定労働時間を超えて働かせた時間分について、割増賃金を支払う必要があります。これらの36協定の締結、割増賃金の支払いは、原則として時間的に後で労働契約を締結した使用者がすることとされていますので、後から労働契約を締結する貴社が行うことになります。また、労働契約を締結する際には、法定外の労働時間が含まれていることを契約上明らかにする必要もあります。戻る

 

 


6-2 終業時刻を過ぎても毎日会社に残って仕事をしている社員がいます。会社としては、早く帰ってもらいたいのですが、どうしたらよいでしょうか。

お答え まずは、その社員が担当している業務量等を確認し、業務量が多い等の理由により残業しているのであれば、業務量の調整等を行う必要があります。一方、そのような理由がないのであれば、会社に残っていることを放置していると、使用者が残業を黙認していたと判断されることもありますので、不必要な残業はしないようその理由も示して注意・指導等を行うことや退勤を命ずることも必要ですし、さらには、残業を禁止することも考えられます。
 労働者の心身の健康のためにも、長時間労働を行わないような職場環境づくりに努めましょう。戻る

 

 


6-3 年末で忙しいため社員に残業するよう言ったところ、「用事がある」と言って拒否されました。納期が迫っているので、残業してもらいたいのですが、残業を命じることはできるでしょうか。

お答え
 就業規則や労働契約等において時間外労働を命じることができる旨の定めがあり、いわゆる36協定を締結して労働基準監督署に届け出ていれば、業務命令として時間外労働をさせることができます。ただし、労働者が残業を行えないやむを得ない事由がある場合に、残業を命じることは問題となる可能性がありますので、社員に拒否する理由を確認する必要があるでしょう。やむを得ない事由がなく拒否しているのであれば、業務命令に従う義務があることを説明し、それでも残業に応じなければ注意・指導をしましょう。
 日頃から、労働者の体調や家庭環境等にも配慮できるように、業務のスケジュール管理に努めましょう。  戻る

 


6-4 現在4歳の子どもがいる有期雇用の男性契約社員がいます。その社員から育児のため、できるだけ残業時間を少なくしてほしいと言われました。何か対応しないといけないでしょうか。

お答え 事業主は、小学校就学前の子どもを育てる労働者から請求があった場合、1ヶ月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせてはいけません。これは正社員の他、有期雇用契約やパート、アルバイトの社員も同様です。また、配偶者が専業主婦(夫)である労働者も請求ができます。ただし、その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない者、1週間の所定労働日数が2日以下の者は請求ができません。
 なお、この請求は、事業の正常な運営を妨げる場合には拒むことができますが、労働者が請求どおりに時間外労働の制限を受けられるよう、事業主は通常考えられる相当の努力をすべきものとされています。単に時間外労働が事業の運営上必要であるという理由だけでは拒むことができませんので留意してください。戻る

 


6-5 事務担当の社員に、昼の休憩時間中、電話や来客があった場合に備えて職場にいるように指示しています。その社員から外出したいので別途休憩時間を与えてほしいと言われました。応じないといけないでしょうか。

お答え 事業主は、労働者に休憩時間を原則として自由に利用させなければなりません。事業主からの指示で、電話や来客対応のため職場にいるのであれば、その時間は手待時間(実際には業務を行っていなくても、いつでも事業主の指示に従って労働に従事できる状態にある時間)として労働時間とみなされます。したがって、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩時間を別途与える必要があります。
 休憩時間は一斉に付与することが原則ですが、労使協定を締結することにより、別々の時間に付与することができます。昼の休憩時間の電話対応等を当番制にし、休憩時間をずらして付与するなど、従業員にとって利便性のある休憩時間を確保されてはいかがでしょうか。戻る

 


6-6  家族が要介護と認定され、介護に必要な時間が有給休暇だけでは不足することが予想される従業員がいます。従業員には介護しながら仕事を続けてもらいたいので、勤務時間を短縮するような制度が必要ではないかと考えています。制度を創設する場合、どのような配慮が必要でしょうか。

お答え 育児・介護休業法で、事業主は「3年間以上連続して活用できる①短時間勤務、②フレックスタイム、③時差出勤、④介護サービスへの助成」のうち少なくともいずれか一つの制度を措置することと、①~③は3年間で2回以上利用できることが求められています。
 また、介護の状態や協力者の有無等により、従業員個々の負担は大きく異なるため、介護をしながら働くことが実質的に容易になるよう、その状況等に応じて勤務スタイルが広く選択できるような制度とすることも望まれています。
 例えば、①短時間勤務を措置する場合は、1日の所定労働時間や週又は月の所定労働日数の短縮、勤務しない日又は時間の請求を認めることなどによるものとされています。ただし、その勤務しなかった時間について賃金を支給しないことは差し支えありませんが、勤務しなかった時間を超えて働かなかったものと取り扱うことは、不利益取扱いとして禁止されていますし、通常と異なる賃金を支給する場合には、その計算方法や決定などについて就業規則等で定め、従業員に周知をする必要があります。
 制度の運用にあたっては、制度利用者の周囲の協力・支援体制を築くことが重要ですので、従業員全員に日頃から制度の意義・内容を説明するなど、制度利用の希望者が出た時にしっかり対応できるように準備をしておきましょう。戻る


6-7 働き方改革関連法によって、時間外労働の上限規制が導入されるとのことですが、これまでと比べてどういった点が変更されたのでしょうか。

お答え 所定労働時間(1日8時間・1週40時間)及び法定休日(毎週少なくとも1回)を超えて労働させるためには、36協定の締結が必要であることは、今回の働き方改革関連法の施行によっても変わりません。
●今回の改正によって、法律上、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができなくなります。
●臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、以下を守らなければなりません。
 ①時間外労働が年720時間以内 ②時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満 ③時間外労働と休日労働の合計について、 「2か月~6か月平均」が全て1月当たり80時間以内 ④時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月が限度
●上記に違反した場合には、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。
●大企業への施行は2019年4月からですが、中小企業への適用は2020年4月からとなります(その他、建設業、自動車運転の業務、医師については上限規制の適用が5年間猶予される等の特例があります。)。
 働き方改革関連法の施行により、時間外労働の上限規制のほか、年次有給休暇の年5日間の取得などが義務化されており、生産性の向上や人手不足への対応等がより一層重要になってきていますので、労務管理等の見直し・改善もご検討されてはいかがでしょうか。戻る


7-1 病気のため休職している社員が、就労可能との主治医の診断書を提出し復職を希望してきました。復職についてどう対応したらいいでしょうか。

お答え

 
 主治医の就労可能との診断書は尊重すべきですが、それだけに拘束されるものではありません。主治医や産業医にどのような業務であれば復職できるのかなどの意見を聞いたうえで使用者が就労可能か判断することになります。
 なお、社員が従前の業務では十分な労務提供ができない場合でも、回復の状況を考慮し、業務量の軽減や配置転換を行うことで、復職させることが必要な場合があります。
 また、治癒の判断など一連の手続きについては、就業規則に明文化しておくことが望ましいでしょう。戻る

 


7-2 長年勤めている社員の父親が急に倒れたため、介護休業を取得したいという申出がありました。会社にはそのような制度はありませんが、取得させる必要があるのでしょうか。

お答え
 父親など家族が負傷、疾病又は身体上・精神上の障害により2週間以上の期間にわたって常時介護を要するような状態になった労働者は、同一の事業主に継続して雇用された期間が1年以上であること等の要件を満たせば、会社に制度がない場合でも、介護のために家族1人当たり93日を限度として介護休業を取得できることが法律で決められています。また、社員の介護休業の申出を拒否することや、その申出や取得を理由に解雇その他の不利益な取扱いをすることは禁止されています。 なお、就業規則が会社にあれば、介護休業について記載する必要があります。戻る

 


7-3 社員の子供がノロウイルスに感染しました。社員へ感染していないという確証がないので、念のために自宅待機を命じたいのですが、できるでしょうか。 

お答え 感染症の疑いのある社員を就労させると、職場内で集団感染するおそれがあり、義務遂行上支障が生じるだけでなく、集団感染させたことについて安全配慮義務上の問題が生じる可能性があるため、その社員の自宅待機が必要になる場合があります。その場合、就業規則等で自宅待機を命じる旨の定めがあれば、その定めにより命じることができますし、そのような定めがなくても、単に集団感染を防ぐためであれば、自宅待機を命じても権利の濫用には当たらないと考えられます。
 いずれの場合でも、自宅待機を命じれば「会社の判断」で社員を休業させたことになりますので、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要が生じます。ただし、社員が年次有給休暇を取得するなど、自主的に休む場合は休業手当を支払う必要はありません。
 社員とのトラブルを避けるためにも、このような場合の対応は就業規則等でルールを明確にするようにしましょう。戻る


7-4 メンタルヘルス不調により休業している従業員がいますが、職場復帰の際に留意すべき事項等について教えてください。

お答え メンタルヘルス不調により休業した労働者の職場復帰を支援するための事業者向けの手引き(「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」)が厚生労働省から出されていますのでご参照ください。
 復帰支援にあたって、休業している従業員の円滑な職場復帰のためには、どういったことが必要であるかを常に考えておく必要があります。例えば、復帰する従業員との意思疎通を十分に行うとともにプライバシーにも配慮すること、主治医だけでなく産業医等の専門家の意見も参考にしながら職場復帰等の判断をすること、そして、復帰する職場内で周囲の従業員の理解を得て、職場全体としてのバックアップ体制を整えること等が挙げられます。
 また、復帰の前段階として試しに出社させ、軽易な作業等を行わせる場合は、賃金等の処遇や、災害が発生した場合の扱いについて、あらかじめ十分に検討し、一定のルールを定めておくことが望ましいです。
 復帰支援等のメンタルヘルス対策については、産業保健総合支援センター(高知・088-826-6155)に相談する方法もあります。
 従業員の健康状態には日頃から注意を払うとともに、従業員にとって常に働きやすい環境づくりを進めていきましょう。  戻る


7-5 子どもの病気看護のための休暇取得の申出には、年次有給休暇で対応していたところ、従業員から「看護休暇」取得の申出がなされた。どのように対応すべきか。

お答え

 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、事業主に申し出ることにより、1年に5日(子が2人以上の場合は10日)を限度として、病気やけがをした子の看護休暇を取得できるとされており、事業主はこの申出があったときは、これを拒むことはできません。看護以外にも子の予防接種や健康診断でも取得が認められます。 
 労働者が看護休暇を容易に取得できるようにするため、事業主は看護休暇の取扱のルールを整備する必要があります。また、就業規則では、付与要件(対象となる労働者の範囲等)、取得に必要な手続、期間、看護休暇中の賃金の取扱等についての記載が求められています。看護休暇の取得単位は、1日又は半日(所定労働時間の1/2)とされていますが、勤務の状況や子どもの症状など様々な状況に対応するためには、時間単位での休暇の取得を認めるなど弾力的な利用が可能となるような配慮も肝要です。 
 子育て支援の充実は、従業員の安心感や就業意欲など労働環境の向上につながりますので、自社の取扱を今一度見直してみてはいかがでしょうか。戻る


8-1 採用時に、口約束でしたがお互い納得していた賃金について、従業員から「聞いていた話と違う」と、突然言われました。

 お答え
 労働条件通知書の交付は会社の義務です。採用が決定した段階で早めに交付しましょう。
 従業員の同意書形式をとることも、トラブル防止の観点から望ましいと考えます。
 賃金は従業員にとって最も重要な労働条件です。曖昧に済まさず、早めに話し合いを持ちましょう。
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8-2 当社では、従業員に業務上必要な資格を取得させるため、会社の費用で各種研修を受講させています。しかし、せっかく研修を受講させても資格取得後、すぐに会社を辞めてしまう者もいます。
   このため、一定期間勤務しないで退職する場合は、会社が負担した受講料を全額返還する旨の誓約書を研修受講時に提出させるように考えています。このようなことは可能でしょうか。

お答え
 
 労働基準法では、使用者は労働者が労働契約に違反した場合に違約金を定めたり、損害賠償額を予定するような契約をしてはならないと規定しています。
 一般的に、その研修が業務命令によるもので、研修にかかる費用が使用者として当然に負担すべきものであるなどの場合、研修後一定期間を勤務しなければ研修費用の返還を求めることは、同条に違反すると判断される可能性が高いので注意が必要です。戻る
 
 

8-3 当社では、就業規則は鍵付きの戸棚に保管しており、従業員から申出があった場合にのみ見せるようにしていますが、問題ないでしょうか。

お答え 労働基準法において、事業主は作成した就業規則を、(1)常時各作業場の見やすい場所への掲示又は備付け、(2)書面を労働者へ交付、(3)各作業場で労働者が就業規則の内容を常時確認できるコンピューター等の設置、のいずれかの方法によって労働者に周知することが義務付けられています。
 ご相談いただいた方法では、周知義務を果たしたことにはなりませんので、上記のいずれかの方法をとることが必要です。なお、就業規則の作成義務は常時10人以上の労働者を使用する事業主に課せられていますが、常時10人未満の労働者を使用する事業主でも、就業規則を作成した場合は、この周知義務が生じます。 

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8-4 採用予定者に内定通知を送付しましたが、その後、業績が悪化したため、採用が困難になりました。内定を取り消すことはできるでしょうか。

お答え 採用の内定については、一般的に、採用内定通知等で示した内定取消事由が生じたときは解約(内定の取消し)ができるという条件付きの労働契約が成立したものとされます。条件付きとはいえ、労働契約が成立していますので、内定の取消しは解雇に相当する取扱いを受けます。実際に内定の取消しができるのは、一般的に、内定取消事由として示された採用内定当時に知ることができないような事実があり、それを理由に内定を取り消すことが客観的に合理的で社会通念上相当である場合とされます。
 ご質問のような業績悪化を理由とする内定取消しの場合には、人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続の妥当性を総合的に判断するという整理解雇に相当する取扱いがされます。
 訴訟になれば、内定の取消しが無効とされる場合や、多額の損害賠償が認められる場合もありますので、弁護士等の専門家に相談されるなど慎重に検討されてはいかがでしょうか。なお、採用の内内定というものもありますが、一般的には、その段階では労働契約が成立していないとされているものの、取り消した場合に訴訟で損害賠償が認められた事例もあります。 戻る

 


8-5 当初、基本給とは別に営業手当を支給するとして社員の募集をしていましたが、予想していなかった突然の経営状況の悪化により、採用後の営業手当を支給することができなくなりました。現在は面接・選考の段階ですが、採用者と労働契約を締結する際に、このことを明示すればよいでしょうか。

お答え

 労働条件については、職業安定法では「募集」時等に、労働基準法では「労働契約の締結の際」に、それぞれ明示しなければならないとされていますが、職業安定法の改正で、平成30年1月1日からは、当初明示した労働条件の変更等が確定した場合には、労働契約の締結前に、その変更内容等を求職者等に対して明示することが新たに義務付けられました。この明示する変更内容等とは、(1)当初明示していた内容と異なる内容の労働条件、(2)当初明示した範囲内での労働条件の特定、(3)当初明示していた労働条件の削除、(4)当初明示していなかった労働条件の新たな追加が該当します。当初明示した労働条件については、そのまま労働契約の内容となることが期待されているものであり、安易に変更等を行ってはなりませんが、やむを得ず変更等する場合には、当初明示した内容と変更内容等とを対照することができる書面を交付するなどして求職者が変更内容等を十分に理解できるようにするとともに、労働契約を締結するかどうか考える時間が確保されるよう、可能な限り速やかに行わなければなりません。
 社員の募集を行う際には、よりよい人材を確保するためにも、労働条件の変更等が起きないよう、充分な検討をしておきましょう。戻る


8-6 退職予定社員が同業他社へ転職しないか心配なのですが、退職時に「同業者への転職をしない」という主旨の誓約書を求めることは可能でしょうか。

お答え 在職中の社員は、労働契約の付随的な義務として、競業避止義務を負いますが、退職後は雇用関係がありませんので、労働契約存続中のように一般的に競業避止義務が存在しません。また、退職後の職員に対しての競業避止義務は、憲法に定められる職業選択の自由を制限することとなり、その有効性が問題となります。
 そこで、社員に対して、退職後も競業避止義務を課す場合には、「必要性、退職前の社員の地位」を踏まえ、誓約書等に「競業避止義務の制限期間、職種、地域の範囲等」について、妥当な範囲内の制約内容を盛り込むほか、その制約に見合う「会社による代償措置」をとるなどの対応が求められ、これらを総合的に考慮し、合理的でない場合は無効となる場合があります。
 退職予定社員に気持ちよく応じてもらうためにも、在職中から周知をしておくことは効果的ですので、就業規則を点検し、「競業避止義務」に関する規定がなければ、規定を整備しましょう。戻る


8-7 労働時間7時間・昼休憩45分のパートの事務職員から、「子供を迎えに行く都合から、今後昼は休憩を取らずに働くので、早く帰らせて欲しい」との申し入れがありました。会社としての問題も業務の支障も特にありません。双方の合意があることですし、終業直前に昼休憩を取得したものと考えて、早く帰らせても問題ないでしょうか。

お答え

 労働基準法では、使用者は労働者に対し労働時間が6時間を超える場合は、少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を、労働時間の途中に与えなければならないとされていますので、「休憩を取らないことの合意」があったとしても、ご相談にありますような取扱いはできません。
 ご質問のケースでは、職員の方が、恒常的に早く帰ることを希望されていますので、1日の所定労働時間を6時間以内に変更したり、始業終業時刻を繰り上げることなどが考えられます。また、職員の中には、毎日ではないけれども早く帰りたい日や遅く出勤したい日がある方もおられると思います。そういった場合に、早出・遅出出勤やフレックスタイムなどの制度が導入されていれば、年休を使用しなくても、柔軟な対応ができるようになります。
 個々の職員のライフスタイルに応じた様々な働き方が可能な職場環境を作ることは、人材の確保や定着率向上にもつながりますので検討されてはいかがでしょうか。戻る


9-1 遅刻や欠勤を何度も繰り返す社員がいます。このような社員を懲戒解雇することに問題はないでしょうか。

お答え 
 遅刻や欠勤を行った社員には、まず、注意・指導を行い改善を促します。それでも改善されなければ、懲戒処分を検討することになります。一般的には、戒告などの軽い処分を行うことで改善の機会を与えながら、改善されなければ処分を重くしていくという手順が必要になり、最後の手段として懲戒解雇を検討することになります。処分は客観的に合理的な理由がなく、また、社会通念上相当なものでなければ、懲戒権の濫用となり無効となる場合がありますので、充分ご注意ください。なお、懲戒処分については、就業規則に「懲戒に関する規定」が必要です。 戻る

 

 


10-1 有期雇用の従業員を雇止めすることとなりました。その従業員に雇止めする理由を口頭で伝えたところ、理由を記載した文書の交付を求められました。改めて文書を交付する必要がありますか。

お答え 契約を3回以上更新している、又は雇入れの日から1年を超えて継続雇用している有期契約の労働者を雇止めする場合、契約更新しない旨を明示しているものを除いて、使用者は契約期間の満了する日の30日前までにその予告をする必要があります。また、その労働者から雇止めの理由についての証明書の請求があれば、使用者は遅滞なく交付する必要があります。
 このため、口頭で雇止め理由を伝えたとしても、上記の要件を満たす労働者から文書の交付を請求された場合は、改めて雇止めの理由を記載した文書を交付する必要があります。戻る

 

 


10-2 平成25年4月1日に3年間の労働契約を締結し、平成28年8月1日に再度3年間の労働契約を締結した社員から、無期労働契約への転換の申込みがありました。1回目の契約満了後3ヶ月の期間が空いていますが、応じなければならないでしょうか。

お答え 平成25年4月1日以後に開始した有期労働契約が同一の事業主との間で2回以上締結されている場合は、契約期間が通算で5年を超えると、労働者が申込みをすれば事業主の承諾の有無にかかわらず無期労働契約に転換されます。
 前の契約の満了から次の契約の開始までに期間が空いていても、その期間が前の契約期間の1/2(1ヶ月未満の端数があれば1ヶ月に切り上げ、最長で6ヶ月)未満であれば契約期間は通算されます。
 契約期間が3年であり、2回目の契約の時点で通算の契約期間が5年を超えることから、この契約の初日から申込みを行うことができますので、この社員の申込みにより、現在の契約が満了する日の翌日から無期労働契約に転換されます。
 人材活用のためにも、会社の有期契約労働者の個々の契約を点検し、無期労働契約転換への対応を検討しましょう。戻る


10-3 勤務して1年になる有期雇用のパート職員(週5日・1日6時間勤務)から、定期健康診断について問い合わせがありました。特殊な作業に従事していない普通のパート職員にも定期健康診断を受診させなければならないでしょうか。

お答え  「労働安全衛生法」において、事業者には1週間の所定労働時間が同種の仕事をする労働者の4分の3以上で、無期または1年以上雇用(予定を含む)する労働者に定期健康診断を実施する義務があります。また、1週間の所定労働時間が2分の1以上の場合は、実施することが望ましいとされています。 
 ご質問のパート職員の1週間の所定労働時間は30時間ですので、法定労働時間の1週40時間から考えても、フルタイムの職員の4分の3以上にあたると思われますので、このパート職員にも定期健康診断を受けさせる必要があります。
 従業員の健康管理・健康づくりの推進は、生産性の向上や従業員の創造性の向上などの効果が得られるとともに、企業のリスクマネジメントにもつながります。健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践する「健康経営」に取り組まれてはいかがでしょうか。 戻る


10-4 働き方改革に伴い、「パートタイム労働法」が改正されたと聞きました。今回の改正により、どのようなことが事業主に求められるようになるのでしょうか。

お答え

 平成30年7月6日に「パートタイム労働法(通称)」が「パートタイム・有期雇用労働法(通称)」に改正されました。この法改正により、同法の保護対象が短時間労働者(パート社員)のみでなく、有期契約労働者(契約社員)にまで広がりますので、これまでパート社員の雇用に当たって事業主に課せられていた以下の義務が、契約社員の雇用に当たっても課せられることとなります。
①雇入れ時、特定事項(昇給・退職手当・賞与の有無、雇用管理の改善等に関する相談窓口)を文書の交付等により明示する義務
②雇入れ時、特定事項以外の労働条件を文書の交付等により明示する努力義務
③雇入れ時、待遇の内容などを説明する義務
④労働者に求められた際、待遇の決定に際しての考慮事項を説明する義務
 また、正規雇用労働者(正社員)とパート・契約社員との間に不合理な待遇の差を設けることが禁止され、労働者に求められた際には、待遇の差の内容とその理由を説明する義務も課せられます。
 上記の内容に取り組むことは、社内における多様な働き方の実現や魅力ある職場づくりにつながります。今一度、社内の制度を見直して、令和2年4月1日(中小企業は令和3年4月1日)の施行に備えておきましょう。戻る

 


11-1 当社の従業員が、個人加盟できる労働組合(合同労組)に加入し、その組合から賃金引き上げ等を要求事項とする団体交渉申入れがありました。その組合に加入している当社の従業員は1人だけですが、団体交渉申入れに応じないといけないでしょうか。

お答え

 使用者が、雇用する労働者の代表者との団体交渉を正当な理由なく拒否することは、労働組合法において不当労働行為として禁止されています。この「雇用する労働者の代表者」とは労働組合法上の労働組合とされ、合同労組も含まれます。団体交渉申入れがあった労働組合に従業員が1人しか加入していなくても、そのことを理由に団体交渉を拒否することはできません。

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11-2 先日、労働組合と団体交渉を行っていると「不誠実団交だ、労働委員会へ不当労働行為で申し立てる」と言われました。不当労働行為の申立てが行われたらどうなるのですか。

お答え 労働組合法は、使用者が、(1)労働組合員であること等を理由に解雇などの不利益な取扱いをすること、(2)団交を拒否することや不誠実な団交をすること、(3)組合の運営等に支配介入すること、などを不当労働行為として禁止しています。
 労働委員会は、不当労働行為があったとの申立てが行われたら、労使双方の主張、立証等に基づいてそのような事実があったかどうかを審査し、不当労働行為があると認めた場合は、それを救済する命令を発することとなります。不当労働行為の審査は、必要に応じて証人尋問を行うなど、裁判と類似の手続で行われます。 戻る

 


11-3  従業員を解雇したところ、後日、その解雇の撤回を求めて労働組合から団体交渉の申入れがありました。すでに当社の従業員ではないのですが、応じる必要があるのでしょうか。

お答え

 労働組合が要求する団体交渉の対象事項が「義務的団交事項」に該当する場合、労働組合法は、使用者が正当な理由なく当該団体交渉を拒否することを不当労働行為として禁止しています。この「義務的団交事項」とは、「組合員である労働者の労働条件その他の待遇や当該団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なもの」と表現されるように、賃金、労働時間、休日や休暇、組合員の配転、懲戒、解雇などの基準や手続等多くの事項が対象となります。
 ご質問のように、解雇や雇止めをされた労働者が、いわゆる合同労組に駆け込み加入し、解雇や雇止めの効力を争うために、会社に対して団体交渉の申入れをすることがあります。このような場合であっても、従業員であった期間中の賃金や解雇などを争っている場合には、使用者は団体交渉を拒否することはできません。
 なお、解雇や退職の時点から相当な期間が経過した後に団体交渉の申入れがなされた場合には、団体交渉を拒否することができるとされています。ただし、その期間等については、慎重な判断が求められるでしょう。戻る

 


11-4 労働組合から団体交渉の申入れがありましたが、団体交渉の場に弊社の顧問社会保険労務士を同席させても構わないでしょうか。

お答え 顧問社会保険労務士を会社の代理人とすることはできませんが、補佐人等として同席させることは構いません。
 平成18年に社会保険労務士法が改正され、それまで同法にあった社会保険労務士は業として労働争議に介入できない旨の規定が削除されました。このことによって、労働争議が発生し、又は発生するおそれがある状態において、社会保険労務士が、当事者一方の行う争議行為の対策の検討、決定等に関わること(具体的には、団体交渉への同席、労働組合の争議行為に対する使用者側の対策等)ができるようになりました。
 しかしながら、冒頭に述べたとおり社会保険労務士が使用者の代理人となって団体交渉に出席し、労働組合との交渉を行うことまでは認められておりませんので、ご注意ください。戻る

 

 


12-1 従業員に他部署への配置転換を打診したのですが、経験がないからとして断られ、同意を得ることができませんでした。
   当社の就業規則には「会社は業務の都合により従業員に対し、職種及び職場の移動及び転勤を行うことができる」という規定がありますので、この規定に基づいて同意がないまま配置転換を命じることができるでしょうか。

お答え 会社は通常、業務上の必要に応じて、従業員の同意を前提とせずに配置転換を行い、一般的には配置転換命令の拒否は業務命令違反として懲戒処分の対象となります。しかし、就業規則に規定があるからといって、いつでも一方的に配置転換を命じられるわけではありません。例えば、契約の中で、その従業員の就業場所や職務内容について限定している場合は、従業員の同意を得る必要があります。また、労働契約の範囲内であっても、配置転換は従業員の職業上・生活上の利益に対する影響が大きいので、会社は従業員に対し、その理由や必要性について十分に説明することが求められます。
 
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12-2 60歳定年を迎える従業員から、定年後も雇用をしてほしいとの話がありました。会社の経営が厳しいため、雇用はできないと考えていますが断っても問題はないでしょうか。

お答え 高年齢者雇用安定法により、65歳未満の定年の定めをしている事業主は、65歳までの安定した雇用を確保するため、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の定めの廃止のいずれかの手段を取ることが求められています。
 このうち、継続雇用制度を導入する場合には、従来、労使協定で定めることができた継続雇用制度の対象となる高年齢者を事業主が限定できる仕組みは、平成25年4月1日から新たに導入できなくなっています。
 また、就業規則に定める解雇事由等に該当する場合、継続雇用しなくてもよいとされていますが、この場合、解雇と同様の厳しい基準が求められます。会社の経営が厳しいという理由だけで継続雇用しないのは、高年齢者雇用安定法に反するものとなるため、希望があれば継続雇用しなければなりません。戻る
 
 

12-3 「仕事が忙しいから」と言って、健康診断を受けない社員がいますが、どのように対応したらよいでしょう。

お答え
 会社には労働者に定期的な健康診断を実施する義務があり、労働者には健康診断を受診する義務があります。(労働安全衛生法)
 このため、健康診断を受けない社員に対しては健康診断を受診するよう指導しましょう。それでも受診しない社員に対しては、受診するよう職務上の命令を行い、それも拒否する場合には、懲戒処分を行うことも方法として考えられます。
 健康診断を受診しないままにしておいて、そのことにより社員の業務に起因する健康障害の発見が遅れた場合、会社は損害賠償を請求される可能性もあります。社員の健康を守り、業務が滞らないようにするためにも、健康診断を受診させましょう。戻る

 

12-4 先日当社で解雇した従業員から、労働委員会へ解雇撤回のあっせん申請を行う旨の連絡がありました。実際にあっせんの申請がされた場合、応じなければならないでしょうか。


お答え 労働委員会では、個々の労働者と事業主との間の労働関係についての紛争を解決するためのあっせんを行っております。あっせんへの参加は強制されるものではありませんが、労働委員会が行うあっせんでは、公益の立場、労働者の立場、使用者の立場それぞれを代表する専門的な知識を持ったあっせん員が、公平中立な立場から当事者双方の主張を整理し、お互いの歩み寄りを促すことで、紛争解決をお手伝いします。
 裁判のように法的な判断等をする場ではありませんので、事業主や労務担当責任者でも十分に対応できますし、当事者の意向に応じながら1~2ヶ月での終結を目途としていますので、早期解決が期待できます。
 紛争が長期化してしまうと、他の労働者や本業へも悪影響を与えるといった事態に繋がってしまうこともあります。使用者側からのあっせん申請も可能ですので、自主的解決が困難となった職場でのトラブルを解決する手段の一つとしてご活用ください。戻る


12-5 先日入社したばかりの従業員から、発達障害があることを伝えられました。会社としてもこの従業員をフォローしていきたいと考えていますが、どのようなことに留意すべきでしょうか。

お答え 障害者の雇用の促進等に関する法律では、障害者が職場で働くに当たっての合理的配慮の提供義務を定めております。
 「合理的配慮の提供」については、障害者一人一人の状態や職場の状況に応じて求められるものが異なってきますので、障害者と事業主とでよく話合った上で決めていくことが重要となります。発達障害には様々な障害の特性があり、必要な合理的配慮も異なりますので、例えば、本人・両親等の了解のもと、主治医とも面談して、障害の特性や必要な配慮等を確認した上で、体調や通院に配慮して出退勤時刻等を調整したり、業務指示やスケジュールを明確にするとともに、障害の特性に応じた作業手順についてマニュアルを作成するといった対応を行うことが考えられます。
 厚労省では、事業主が合理的配慮を提供する際に参考になる事例を障害類型別に収集した「合理的配慮指針事例集」をHPで公開するとともに、精神・発達障害についての基礎知識や、一緒に働くための必要な配慮などを短時間で学ぶことができる「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」を開講しています。これらを参考に、障害者と健常者が共に働きやすい環境を整備されてはいかがでしょうか。戻る


12-6 近頃、社員の不注意による社用車の自損事故が多発しています。緊張感を持って仕事をしてもらうためにも、事故で発生した損害を当事者である社員に負担してもらうことを考えているのですが、こういった規定を作っても構わないのでしょうか。

お答え

 労働基準法で、損害額等の如何にかかわらず、損害賠償として請求しうる一定額を予め定めておく契約は禁止されていますが、現実に労働者が会社に損害を与えた場合には、その損害賠償を請求することまでは禁止されていません。
 業務遂行中に労働者が損害を発生させた場合の賠償責任については、「業務遂行上発生することが予想されている経営リスクは会社が負担することが公平であるという基本理念」から、①労働者の帰責度合 ②労働者の地位・労働条件 ③損害発生に対する使用者の寄与度等から判断されます。裁判では、労働者に重大な過失がないケースでの請求は認められず、重過失があるケースでも労働者の責任は2分の1や4分の1に軽減される例が見られます。
 ご相談のような規定の創設にあたっては、これらのことを考慮する必要がありますので、弁護士等の専門家とも相談のうえ、規定する内容を慎重に検討し、社員に対してもきちんと説明しなければなりません。
 規定の整備だけでなく、交通安全教育もしっかり行い、事故が起きないような環境を作るなど、社員が安心して働ける職場にしましょう。戻る


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連絡先

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