4ー4 カスタマーハラスメント

公開日 2025年04月21日

【相談内容】 (徳島県労働委員会)


 取引先からのカスハラについて会社に相談したが、「取引先との関係もあるので我慢してくれ」と言って何もしてくれません。このような状況が続くとつらいのですが、どうしたらいいでしょうか。

 

【お答え】


 近年、顧客や取引先からの暴力や悪質なクレーム等の著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題化しています。国の調査によりますと、「パワハラ」「セクハラ」に次いで、職場での相談件数が多くなるなど、労働者が安心して働く上での課題となっています。

 カスハラを明確に定義することはできませんが、企業の現場においては、次のようなものがカスハラであると考えられています。

<カスハラとは> 
 顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されているもの。
 要求内容の妥当性にかかわらず、手段・態様が不相当とされる可能性が高いものとしては、次のようなことが挙げられます。
・身体的な攻撃(暴行、傷害)、精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)
・威圧的な言動、土下座の要求、継続的(繰り返し)、執拗な言動
・拘束的な行動(不退去、居座り、監禁)
・差別的な言動、性的な言動
・従業員個人への攻撃・要求

 このようなカスハラに対し、厚生労働省は、事例ごとの対策を記したカスタマーハラスメント対策企業マニュアルを作成しています。
<カスタマーハラスメント対策企業マニュアル> 
◆カスハラ対策の基本的な枠組み
①会社の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
②従業員のための相談対応体制の整備(相談窓口の設置)
③カスハラへの対応方法、手順の策定
④社内対応ルールの従業員への教育・研修
◆カスハラが起こった際の対応
①事実関係の正確な確認と事案への対応
②従業員(被害者)への配慮の措置
③再発防止のための取組

 労働施策総合推進法等が改正され、令和4年4月1日から職場におけるパワハラ防止のために雇用管理上必要な措置(相談窓口の設置やその対応等)が全事業主へ義務づけられており、カスハラに対しても、望ましい取組として、相談体制の整備や被害者への配慮のための取組(メンタルヘルス不調への相談対応、行為者に対して1人で対応させない等)が挙げられています。

 ご相談者のケースでは、まずは会社に設置が義務づけられているハラスメントの相談窓口にご相談ください。それでも改善されないようなら、助言等の権限のある各都道府県労働局雇用環境・均等室へご相談ください。
 現在、カスハラ対策等の法整備は徐々に進んでおり、国もカスハラ対策の事業主への義務づけの方針を決定し、令和7年3月、国会へ法改正案が提出されました。体調を最優先に考え、困ったときは、早めに相談してください。
 

 

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この記事に関するお問い合わせ

高知県労働委員会事務局

所在地: 〒780-0850 高知県高知市丸ノ内2丁目4番1号(高知県庁北庁舎4階)
電話: 088-821-4645
ファックス: 088-821-4589
メール: 240101@ken.pref.kochi.lg.jp
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