漁業資源課

公開日 2009年03月17日

更新日 2014年03月16日

漁業資源課は、魚を捕る漁業について研究しています

 高知県の漁獲量は103,202トン(平成18年)で、漁師さんが獲った魚(海面漁業)の量は89,785トン(漁獲量の87.0%)と高知県の漁業にとって大切なものです。しかし、魚はいくらでも海にいるわけではありません。なにも考えないで獲れるだけ獲ってしまえば、いつかいなくなってしまうかもしれません。今だけでなく、将来もずっと新鮮でおいしい魚を獲り続けられるために、漁業資源課では次の3つを主に行っています。

1 漁師さんが獲っている魚の調査研究(重要水産業魚種の資源生態の研究)

   高知県で漁獲されている魚がどのように生活しているか、また、その状況がどのように変わっているか、を10年、20 年 という長い期間にわたって調べています。これらの情報は海にいる魚の量(資源量)や魚が増えたり減ったりすることの原因を知るための重要な手がかりとなります。 特に、「何才で何センチ?(年齢と成長)」、「いつ、どのくらいの卵を産む?(産卵)」「どこで生まれて、どこへ行く?(移動)」などを調べることは大切です。

  そのため、この研究では漁師さんが獲った魚だけでなく、海で卵や数ミリ程度の稚魚を捕って調べています。調べている魚はアジ、サバ類、イワシシラス(ドロメ)などなじみの深いものから、キンメダイのような深海魚まで十数種類にわたります。これらの魚のうち、高知県の外まで広く移動するような魚(マグロ、サバ、ブリ、アジ類、イワシ類)は、(独)水産総合研究センターや他都府県と一緒に調べています。

イワシ稚魚(いわゆるちりめんじゃこ、生だとドロメ)の種を分類しているところ。どのような種類が、どのくらいの大きさで、どのくらいの数いるかを調べているところ。熟練者でも時間のかかる作業です。


(2) 魚獲りやすくする方法・魚を捕る場所の調査(漁場整備に関する研究)

 漁業では、安定して魚を獲るだけでなく、効率よく魚を獲ることも大切です。高知県では、「魚礁」と呼ばれる魚が集まる場所を、人工的にたくさん作っています。魚礁にはいくつかの種類がありますが、カツオやマグロなどの浮遊物に集まる性質を利用した「浮魚礁」を主として設置しています。沖合には大きな浮魚礁(直径約8から10m)が12個設置されていて、「土佐黒潮牧場」と呼んでいます。
    そこで、どこに置いた浮魚礁で魚がよく獲れているか、ソナーなどの機械をどのように使えば効率よく獲れるか、新しい魚礁の設置予定場所の地形が設置に適しているかどうかなどを調べています。そしてその結果をもとに、たくさん魚を集めるためにどの場所に魚礁を設置したらいいか、どんな魚礁がいいかなどの検討をしていきます。

 


(3)黒潮を中心とした海の状況の調査と漁業との関連性の研究

  高知県の沖合には黒潮が流れています。黒潮の流れはいつでも同じではなく、速くなったり、遅くなったり、流れの中心が沖になったり岸寄りになったりします。また、海には黒潮以外にもいろいろな流れや動きがあり、これが獲れる魚の量に大きく影響します。水産試験場では、このような海の状況と魚のとれ具合の情報を随時収集しています。新しい情報は、漁海況速報としてとりまとめ毎週「漁海況情報ホームページ 火曜日夕方更新」、Fax送信(火曜日夕方 漁業関係機関に限る)と「高知新聞(木曜日版)」で広報しています。また、これらの海の状況、魚のとれ具合のデータをもとに年2回、イワシ類、マアジ、サバ類などの来遊予測を行っています。漁海況情報ホームページには、この来遊予測のほか、県内の主な漁業ごとの月別、魚種別の漁獲量を広報しています。
  現在、水産試験場の調査船「土佐海洋丸」はほぼ毎月、高知県周辺の海の調査(海洋観測)を行っています。高知県の海の様々な場所・深さでの水温、塩分、透明度、流れの方向や速さを調べたり、プランクトンネットで採った魚の卵や稚魚の量の調査などを行っています。この調査はこれまで30年以上続けられており、地味なものですがこの積み重ねがないとこれまでの海の変化や、過去と現在との違いを比べることができない貴重なものです。近年、地球温暖化の影響など環境の監視が重要視されるようになりました。海洋観測の継続は、ますます重要になってきます。                   

 なお、海洋観測の成果の一つとして長い間の海の水温変化の話をコラムに載せていますので、ご覧ください。

多層式塩分水温計(水深1000mまで、水温塩分を連続して測定できる機器)は、ワイヤーで降ろしながら塩分、水温を測っていきます。

プランクトンネットで、魚の卵、稚魚などを調べます。これは一度海中に沈めてから縦に引っ張る方式です。

    

現在、実施している事業については、事業概要をご覧ください。


調査船の役割について

    漁業資源課が行う研究の多くは、調査船の観測や調査の結果から得られた情報を使います。当場では、調査船によりその時代にあった調査を行ってきました。現在の調査船「土佐海洋丸」は、海洋観測を中心に活躍しています。
    最近は、人工衛星による水温などの海の表面に関する情報が、手に入れやすくなりました。しかし、海の中の情報や、そこに生息している生物の様子は、調査船でその場所まで行って調査しないとわかりません。調査船は、海と海の中の生き物の情報を得るために不可欠な道具です。

この記事に関するお問い合わせ

高知県 水産振興部 水産試験場

所在地: 〒785-0167 高知県須崎市浦ノ内灰方1153番23号
電話: 088-856-1175
ファックス: 088-856-1177
メール: 040409@ken.pref.kochi.lg.jp
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