8−4 労働条件の不利益変更について

公開日 2013年02月05日

更新日 2014年03月16日

【相談内容】 (香川県労働委員会)


 私は、医療福祉関係の施設に勤めています。今日、施設長から「経営状況が著しく悪化したので、賃金を10%カットしたい。」と言われました。月3万円程度の減額は、生計への影響も大きく、大変困ります。仕方ないのでしょうか。 


【お答え】


 賃金は、重要な労働条件の一つであり、労働契約、就業規則等により定められています。一度決まった労働条件については、労働条件が労働契約の当事者である労働者と使用者との合意により決定されるべきものであるため【労働契約法第3条】、その変更も合意することが必要であり、労働者の同意なく一方的に不利益に変更することはできません。【労働契約法第8条】一旦同意すると、後から取り消すのは難しいので、具体的な変更理由や代償措置があるかどうかなど詳しい説明を求め、納得するまで同意しないようにしてください。

 お尋ねの賃金カットが、就業規則の内容変更により行われる場合は、労働者の受ける不利益の程度、使用者側の労働条件変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして、それが合理的なものであり、かつ労働者に周知された時には、変更後の就業規則の定めるところになります。ただし、労働契約において就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分は除かれます。【労働契約法第9条・第10条】

 最高裁判所の判例には、賃金という重要な労働条件に関しては、変更は高度の必要性に基づいた合理的な内容のものでなければならないとしたものがあります。なお、労働協約がある場合、就業規則の定めは労働協約に反するものであってはなりません。【労働契約法第13条】このため、就業規則の変更による場合でも変更の必要性などについて使用者から十分に説明を求め、内容が合理的でないと思われる場合は、他の職員とも相談の上、使用者とよく話し合われることをお勧めします。話し合いがうまくいかない場合は、労働委員会には労使のトラブルの解決を援助する「あっせん」制度もありますので、ご相談ください。



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この記事に関するお問い合わせ

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