12−2 配置転換

公開日 2011年10月28日

更新日 2014年03月16日

【相談内容】 (徳島県労働委員会)


 私は、入社以来30年間一度も配転命令を受けたことがありませんでしたが、このたび会社本店から新しくできた支店へ異動するよう内示されました。新しい支店への通勤には車で1時間半近く要し、体調に不安を抱える自分にとって長時間の運転は難しく、さりとて家庭の事情から別居することもできません。
   この配転命令を拒否することはできるでしょうか。


【お答え】 


    あなたの場合、30年間配転命令を受けたことがなく、また遠方への配転ということでとまどいを感じられていることと思います。配置転換(以下「配転」という。)とは、労働者の職務内容または勤務地が相当長期間にわたって変更されるもので、一般的に配転命令の拒否は業務命令違反として懲戒処分の対象となります。
    この配転命令の有効性については、就業規則や労働協約に配転命令権の根拠があり、配転命令がその配転命令権の範囲内であること、そしてその命令が権利の濫用に当たらないことが必要となります。例えば労働契約で職種や勤務地が限定されている場合は、その限定された範囲を超えて、住居の変更を伴うような配転命令を発することはできません。
    また、配転命令が権利の濫用となる場合の判断基準について、最高裁判所の判例では(1)業務上の必要性が存しない場合、(2)配転命令が不当な動機や目的をもって行われた場合、(3)労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく越えた不利益を負わせるものであるとき、との考え方が示されています。(東亜ペイント事件最二小判昭61.7.14)
    このように、配転命令といえども権利の濫用がある場合には無効となります。そこで、まず会社に対し(1)あなたに対する配転命令の業務上の必要性、(2)あなたが配転対象者として選ばれた理由、(3)あなたの配転後の労働条件等について説明を求めてみてはいかがでしょうか。
    また一方、あなたからは、配転について、就業規則や労働協約上、どのように定められているか確認した上で、体調不良や家庭の事情など、配転命令に応じられない理由を会社に伝えるなど、会社と十分な話し合いを行うようにしてください。
   そしてもし、会社の説明に納得できず、権利の濫用と思われるような場合、労働委員会には、個々の労働者と使用者とのトラブル解決のための「あっせん制度」もございますので、ご相談ください。



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