高知県気候変動適応センターの取組

公開日 2024年06月03日

更新日 2024年09月05日

 平成30年12月1日に施行された気候変動適応法の第13条において、“都道府県と市町村は、その区域における気候変動の影響と適応策などに関する情報の収集や整理、提供等を行う拠点としての機能を確保するよう努めること”とされています。
 これを受け、高知県では、平成31年4月1日、当高知県衛生環境研究所に「高知県気候変動適応センター」を設置しました。
 センターの主な取組を紹介します。

「気候変動による暑熱・健康等への影響に関する研究」結果

令和3~5年度、国立環境研究所及び全国の地方環境研究所との共同研究に参加し、暑熱環境に関する気象学的観測の実施、熱中症関連データの収集・分析等を実施しました。その結果から見えてきたこと等をお知らせします。

高知県の熱中症

 近年、熱中症による死亡者数が1,000人を超えるような深刻な状況が続いています。そのため、国は中期的な目標(2030年)として、熱中症死亡者数を現状から半減させることを目指しています。
 それでは、高知県の熱中症の状況はどうなっているでしょうか。

高知県の熱中症搬送者の状況は?

高知県の熱中症による人口10万人当たりの搬送者数は、2022年では全国7位、2021年から過去5年間でも3位から13位であり、非常に高い状況が続いています。
また、実際の搬送者数も全国と同様に増加傾向であり、2023年には526人となっています。

              高知県の熱中症搬送者数(2008~2023)

高知県の熱中症搬送者数(2008~2023)

熱中症の搬送者数は、65歳以上が過半数を占めています。また、全国では熱中症による死亡者は大半が高齢者です。高齢の方は暑さを感じにくいため、よりこまめにまた、時間を決めて水分補給を行うなど対策していきましょう。

        高知県の熱中症搬送者と死亡者数(2013~2022年)

地域別の熱中症搬送者数の状況は?

県内の地域別(消防区域別)に10万人当たりの熱中症搬送者数を見てみると、嶺北(本山町、大豊町、土佐町、大川村)や仁淀(いの町、日高村)、室戸(室戸市、東洋町)、南国(南国市)が多くなっています。
搬送者数の多い地域にお住まいの方は、特に気をつけましょう。

  高知県内の熱中症搬送者数分布状況(10万人当たり)(2013~2022)

     

「国土数値情報(行政区域データ)」(国土交通省)
(https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-N03-v3_0.html)を加工して作成

熱中症の発生場所は?

県内の発生場所は「住居」が最も高く、搬送者が多い地域ほど「住居」の割合が高い傾向にあります。
このことは、熱中症対策は屋外だけではなく、室内でも必要なことを裏付けています。
暑い日は、積極的にエアコンを利用して部屋の温度を下げましょう。

      高知県全域の搬送場所割合(2017~2022)

よさこい祭りと熱中症搬送者数

8月は熱中症搬送者が最も多い時期です。よさこい祭りの期間中、2011年から2019年の高知市の1日あたりの平均熱中症搬送者数は約7.8人と、8月の他の日の約5倍になっています。

高知市の1日あたり熱中症搬送者数(2011年~2019年)

若者も要注意!

よさこい祭りには、踊り子として若者がたくさん参加することから若者の搬送数が大きく増加します。
39歳以下の搬送者数は、よさこい期間は約9倍に増加するのです。

高知市の1日あたり年齢別熱中症搬送者数(2011年~2019年)

年齢別熱中症搬送者数

道路の熱さにも要注意!

よさこい期間は、道路や屋外での搬送者数も大きく増加します。
道路での搬送者は、よさこい期間以外の8月に対してよさこい期間は約11倍、同様に屋外(公衆出入り場所)では、約5倍に増えていました。
晴れていると日差しや道路からの照り返しもあるため、より暑くなります。
アスファルトの表面は60度近くなることもありますので、いつも以上に気をつけましょう。
特に、子どもは道路に近くなるため、周囲の人は子どもの体調に気をつけてあげましょう。

高知市の1日あたり搬送場所別熱中症搬送者数(2017年~2019年)
搬送場所別熱中症搬送者数

暑さ指数に注目しよう

近年、温暖化が進んだことにより、高知市の年平均気温は100年前より約1.5度も高くなっています。
中でも、真夏日や熱帯夜の日が非常に増えており、熱中症対策は必須となっています。
そんな熱中症と関わりの大きいものが暑さ指数です。

暑さ指数とは

暑さ指数(WBGT)とは、熱中症予防を目的につくられた指標で、①湿度、②日射・輻射など周辺の熱環境、③気温 の3つを取り入れています。
こちらから暑さ指数を見ることができるので、各地の状況をご覧ください。

WBGT測定地点

                            高知県の暑さ指数観測地点

「国土数値情報(行政区域データ)」(国土交通省)
(https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-N03-v3_0.html)を加工して作成

「暑さ指数」が高くなるとどうなるの?

暑さ指数が28を超えると熱中症の発生リスクが大きく増加します。激しい運動は中止しましょう。
また、暑さ指数が31を超えるとさらに危険です。運動は中止しましょう。
高齢者は、できるだけ外出を避けて、涼しい室内で過ごしましょう。
詳しくは、次の表を参考にしてください。

                    暑さ指数に応じた注意事項等

暑さ指数に応じた注意事項等引用:熱中症環境保健マニュアル 2022

高知県内の暑さ指数

2014年から2023年までの県内の5地点の状況をまとめました。

    高知県の各月の暑さ指数の最高値(2014~2023)

高知県の各月の暑さ指数の最高値

  高知県の各月の日最高暑さ指数の平均値(2014~2023)

高知県の各月の日最高暑さ指数の平均値

・5月には2地点で、6月には5地点とも暑さ指数28(厳重警戒)を超える日があり、5月でも暑い日には注意が  
 必要です。
・7月と8月は5地点とも暑さ指数の最高値が31(危険)を超える熱中症のハイリスク時期です。
・本山は中山間地域ですが、平地の高知より最高値は高く、平均値は同レベルとなっています。
・中村は常に他の地域より暑さ指数が高く、過酷な暑さとなっています。

暑さ指数と熱中症搬送者数の関係は?

下図を見ると、暑さ指数が高くなるにつれて、熱中症搬送リスクが高くなること、特に暑さ指数が約29を超えると急激に熱中症搬送者数が増加していることがわかります。
県内各地の暑さ指数はこちらから見ることできます。

  日ごとの各日最高暑さ指数と熱中症搬送者数(2011~2022)

「熱中症指数測定器(WBGT計)」の貸出し

 生活の場における熱中症リスクを確認していただくとともに、熱中症警報の発令や広報紙などによる注意喚起などの対策につなげていただくよう、令和5年7月から「熱中症指数測定器(WBGT計)」の貸出しを行っています。
 貸出しを希望される場合は、「高知県気候変動適応センター『熱中症指数測定器』貸出要項」を確認のうえ、「熱中症指数測定器貸出申請書」を提出ください。

  ■ 貸出対象:県内の市町村、学校、会社、団体等

  ■ 料金:無料

  ■ 貸出期間:1ヶ月以内

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  ■ 高知県気候変動適応センター『熱中症指数測定器』貸出要項[PDF:45.6KB]  

  ■ 熱中症指数測定器貸出申請書[DOCX:8KB]

 

 ★ 熱中症指数測定器の活用事例

啓発冊子「えほんでしろう!きこうのへんか」

 5歳から7歳くらいの幼児を対象とした啓発冊子です。(令和5年7月作成)
 小さな子どもたちにも地球の温暖化に伴う様々な気候の変化とそのために起きている困りごとを知ってもらい、その中で生きていくための知恵を学んで欲しいと作成しました。
 イラストを多用してストーリー性をもたせた“絵本"仕立てにし、音声付きのスライドショーでご覧いただける動画ツールも作成しました。スクリーンに映したり、タブレットやスマートフォンで見るなど、様々な使い方ができます。
 この冊子は、国立環境研究所が運営するWebサイト「A-PLAT」でも紹介されています。

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~ ストーリー ~
主人公は、5歳の男の子、こうちゃん。
両親と一緒によさこい祭りを見に行ったこうちゃんは、暑さのあまり熱中症になりかけてしまいます。
近くにあったオーテピア高知図書館で涼をとり、しっかりと水分補給して元気になったこうちゃんは、
熱中症が地球温暖化によるものと知り、図書館で両親とともに気候の変化とその影響や対策について
調べてみることにしました。

 PDF版[PDF:1MB]    映像版[MP4:62MB]

 ★ 保育所での活用事例

 ★ 小学校での活用事例

パンフレット「目で見る!高知の気候変動と適応図鑑」

 小学校高学年を対象としたパンフレットです。(令和4年3月作成)
 高知県の気候変動の状況と今後の予測、県内の産業分野の適応策を写真や図を使って分かりやすく紹介しています。小学校の授業や環境学習等にご活用ください。


  パンフレット表紙

 PDF版[PDF:44MB]

 ★ 小学校での活用事例

 ★ 地域での活用事例

パネルの貸出


 小学校高学年向けに作成した「目で見る!高知の気候変動と適応図鑑」をパネルにしました。
 環境関連のイベントや学校内での展示にぜひご活用ください。
 貸出しを希望される方は、088-821-4961(企画担当)までご連絡ください。

 パネル貸出し
 ★パネルは、A1サイズ(縦57㎝×横86㎝)とA3サイズ(縦30㎝×横42㎝)の2種類。
 ★1セット11枚。(展示スペースに応じて、4枚から11枚まで展示数を調整できます。)
 ★軽量ですので、マグネットや押しピン等で掲示できます。

パネル展

オーテピア高知図書館や環境イベント等に出展し、パネル展による啓発活動を行っています。
 

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【パネル展実績】

 

令和3年度

令和4年度 令和5年度 令和6年度

オーテピア

1回(8~9月)

2回(1月・3月)

1回(1月)  

1回(6月) 

県庁正庁ホール前          

1回(9月)     

1回(6月)     

1回(5~6月)

こうち環境博          

1回(8月)     

1回(7~8月)

1回(7月)    
潮江市民図書館    

1回(7~8月)

 
春野市民図書館    

1回(7~8月)

 

四万十町産業祭

  1回(11月)

    

 

龍馬デザイン・

ビューティ専門学校

 

 

1回(7月)  

この記事に関するお問い合わせ

高知県 健康政策部 衛生環境研究所

所在地: 〒780-0850 高知市丸ノ内2丁目4番1号 保健衛生総合庁舎
電話: 総務担当 088-821-4960
企画担当 088-821-4961
保健科学課 088-821-4963
生活科学課 088-821-4964
環境科学課 088-821-4697
ファックス: 088-821-4696
メール: 130120@ken.pref.kochi.lg.jp

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