令和5年2月15日 知事の記者発表

公開日 2023年02月17日

1 令和5年度当初予算案について①
2 令和5年度当初予算案について②
3 令和5年度当初予算案について③
4 中山間地域対策について
5 令和5年度の南海トラフ対策、環境不動産について
6 再造林対策について①
7 再造林対策について②
8 大阪に開設予定のアンテナショップについて①
9 大阪に開設予定のアンテナショップについて②
10 大阪に開設予定のアンテナショップについて③
11 マスク着用について
12 関西圏との経済連携について
13 県職員等のマイナンバー活用について①
14 県職員等のマイナンバー活用について②
15 龍馬マラソンの警備契約について

知事説明資料[PDF:22MB]

  (司会)

 ただ今から、知事記者発表を始めさせていただきます。
 冒頭に知事から令和5年度、当初予算案の概要等について説明があります。

(知事)
 それでは、本日はまず私から当初予算など3点につきまして簡単にご報告します。
 まず1点目が令和5年度の当初予算案の概要についてです。
 県議会の2月定例会を2月21日に招集します。
 今回提出する議案は、令和5年度の一般会計予算などの予算議案が41件、条例その他議案が35件、合計76件です。
 特に当初予算案の概要について、以下、簡単にご説明したいと思います。
 まず、予算の重点取り組みについてです。
 1点目として、徹底して成果にこだわることを予算上も追求しました。
 そして、実質4,802億円規模の積極型の予算を計上しました。
 特に成果にこだわる分野として、関西との経済連携、アンテナショップなどもつくっていくこと。
 中山間対策として担い手対策などを強化すること。
 観光振興、「らんまん」を契機として、県外から大勢の方を呼び込む。
 健康長寿県づくり、糖尿病の重症化予防などといったところが代表例でして、こうした姿勢で予算編成に臨んだところです。
 そして、2つ目が当面の成果というよりは、先々の県勢浮揚を目指す場合に、従来から言っている時代の変化の潮流を示すデジタル化、グリーン化、グローバル化の3つのトレンドを先取りするような施策を  強化したいという中身で、それぞれデジタル化、グリーン化、グローバル化について、重点的に予算を配分したのが今回の予算編成の特色です。
 予算の規模ですが、形式的な一般会計の当初予算の規模で4,785億円、4,800億円を少し割っておりまして、前年比では0.7%の微減になっておりますけれども、実質的なベースとしては、物価高騰対策など、今年度の2月補正予算で先行して計上しますが、実際にお金を使うのは繰り越して令和5年度になる部分がございますので、この部分を足して考えますと前年比で微減、ほぼ横ばいになります。
 考え方としては、積極型の予算編成と言って良いと思います。
 実質的な予算でも前年比で減っているというご意見もあり得ようかと思いますが、職員の退職手当の見込み額が、今回の定年引き上げの影響もありまして41億円とかなり減ることを織り込んだ上でこの数字ですから、この影響を除いて考えれば、本当の実質で考えますと、前年比でも増と評価していただいて間違いはないというところが、ポイントの1点目です。
 2点目はデジタル化、グリーン化、グローバル化といった視点から施策を強化したこと。
 そして、当面のコロナ対策、物価高騰対策や「らんまん」の放送を契機とした観光振興、関西圏との経済連携等々、当面の重要課題に対しても成果志向型で積極的に予算計上したということです。
 そして、インフラの整備。
 これは防災・減災対策をはじめとして、力を入れてやっていくということ。
 それも実質的に前年比を上回る規模で計上しています。
 そして、今後の財政の持続可能性の確保という点にも意を払った点がポイントとなっております。
 実質的な予算規模、約17億円ですが、手続きとしては、今年度の2月補正予算に計上しますけれども、実際の支出は令和5年度になる部分を足して考えることと、退職手当が41億円減っていることを合わせて 考えますと、むしろ微増ぐらいの実質的なイメージで、積極型という説明をさせていただきたいということです。
 主な項目についての計上額です。
 デジタル化については約34億円、グリーン化については71億円、グローバル化の推進については13億円。
 人件費などは除きますけれども、事業費ベースでこのような数字を計上しました。
 これは予算編成の中でもシーリングの扱い上、重点的に予算配分を図っていくため「次世代施策推進枠」を設けまして、特に重点的に予算配分をしようとした結果、それぞれの項目について増額されているということです。
 そして、当面の対策としてコロナ、物価高、「らんまん」関係の観光振興、そして、関西圏との経済連携、中山間対策につきまして、(資料に金額)を計上しています。
 次が、従前からの5つの基本政策、そして3つの横断的な政策、この枠組も維持しておりますので、これについて、それぞれの基本政策、例えば経済の活性化であれば196億円ですとか、健康長寿県づくりは451億円。
 それぞれ(資料)に数字を計上しております。
 3つの横断的な政策についても、それぞれ積極的な予算編成を心がけた結果として、(資料に示した)数字になっています。
 次にインフラ整備、投資的経費の関係です。
 特に中心になりますのは防災・減災対策、これは国も前年度経済対策に掲げておりますけれども、いわゆる国土強靭化をすすめるための5カ年の加速化対策予算を、従来の当初予算とは別枠で補正予算で計上するという扱いをここのところしていただいております。
 そこの部分を含めて、国の補正予算ないし県の予算についても、補正予算で令和4年度に計上されますけれども、実質的にお金を使うのは令和5年度になるものがありますので、その部分を含めた実質的な投資的経費という考え方で数字を整理しますと、前年比で3%弱増、約1,200億円が現実に令和5年度に支出されるベースのお金として、インフラ整備のために確保されています。
 次は、財政のやりくりの工夫についてです。
 簡単に言いますと、国の有利な財源を中心として財源の確保を精一杯やる。
 歳出の方も絞っていく努力をする。
 スクラップ&ビルドのための努力をしていくことにより、財源不足をできるだけ圧縮する努力をしました。
 ただ、結果的に財源不足は164億円、前年よりもさらに20億円増え大変厳しい収支見通しになりました。
 これは主として、地方交付税の計上の考え方、国全体の地方の一般財源確保が実質的に前年比同額となる中で、全体としては地方税が増収になる見込みです。
 また、途中、細かいことはいろいろあるのですが、結論だけ言いますと、本県のように地方税の伸びが相対的に少ない地域は、どうしても一般財源の配分が手薄になる傾向があることを反映したものだと分析しております。
 これは昨年も、一昨年から比べますとかなり財源不足の規模が増えたのですが、令和5年度も去年ほどの増加ではありませんが、160億円程度の財源不足が見込まれます。
 この対策として、令和4年度の2月補正予算におきまして、年度途中で見込まれた収入増や歳出減などから出てくる財源はできるだけ留保して、基金の取り崩しを圧縮する努力をすること。
 そして、資金手当債ですね、行革推進債を発行することによって、基金の取り崩しをできるだけ圧縮する努力をしたということです。
 こうした結果、財政調整的に使っております基金の残高は、178億円です。
 一般的な目安といわれる標準財政規模の5%ラインが大体140億円ぐらいだと考えますので、その規模を確保しますとともに、最近の財源不足の規模は150億円程度ということからしますと、少なくても1年分の予算はいろいろ心配をしなくても組めるだけの残高を今の時点で確保しているということですし、今後のために、例年と同様、予算の執行の過程の中で、できるだけ基金の取り崩しをしないように、圧縮の努力をして、基金の残高の確保を目指していく方針で対応したいと考えています。
 基金の残高は、ここのところ少し減ってきておりますけれども、ここ2、3年、コロナ対策などの国の財源手当が割合充実していたということもありまして、ある程度の残高は確保できている一方で、毎年の財源不足は少し増えてきていることから、出入りが激しくなっております。
 いずれにしても、本年度130億円程度の、取り崩しをした後でも5度末で、まだ178億円の残高が見込まれる状況です。
 そして、県債の残高です。
 これは国土強靭化のための5カ年加速化対策分、補正予算の別枠で計上している分、これがまだ2カ年ほど残りますので、この間は県債の発行残高も増えていくことが見込まれますけれども、その後は収束していくと。
 残高としては減っていく見通しが立っています。
 次に、新型コロナウイルス感染症対応。
 最近、物価高の対応もこれでやるということになっておりますが、地方創生の臨時交付金。非常に地方の自由度が高く我々としては重宝している交付金です。
 これまで使ってきたものを除きまして、今回、実質的な当初予算は、令和4年度の補正計上で繰り越して令和5年度で使うものを含めた概念ですが、使える金額は24億円弱残っています。
 主な使途として、LPガスの料金。
 ガス料金については、都市ガスの料金については、国が直接、値上げ幅の抑制の手当を取られます。
 しかし、LPガスについては、地方で考えてくださいというのが国の方針で、約7億円を当初予算に計上して、実際に料金の軽減に使うのは令和5年度に入ってからというものなど、物価高の対策などに使っていくということ。
 そして、2月補正で従前からやっております、とさでん交通の路面電車の支援を今年度も行う中身に充当させていただくことにしました。
 主な施策について、時間の制約がございますので、施策の組み立ての柱と、特に新規の事業を中心にお話をしていきたいと思います。
 まず、デジタル化の推進についてです。
 デジタル化を通じ、県民の皆さんの暮らし、働き方、仕事のやり方が一変する社会を目指していくということでして、特に産業面で高付加価値化をしていく、構造転換をしていくというための予算。
 生活面で中山間地域を含めた県民生活の利便性の向上を図っていく予算。
 行政面でも、デジタル化で効率化を進めていくこと。
 こういった3本の柱で各分野でのデジタル化を進めようという予算を計上しております。
 産業関係では、特に1次産業のハウス園芸の高度化、スマート林業、マリンイノベーション等、商工業関係ではデジタルデータ収集基盤構築モデル事業として、数年をかけ、商店街への人出のデータを取り、それをお客様の入り込み、人出の推計、シミュレーションなどをしていくシステムを開発して、商売繁盛に結びつけていこうという取り組みを始めることにしました。
 生活面では、中山間地域のデジタル化による生活基盤の確保。
 そして、医療・福祉・教育分野などのデジタル化に加え、新しい事業として、公共交通の乗車記録にマイナンバーカードを活用して迅速化を図る、また、利便性向上を図るための取り組みを新たに行うことにしています。
 中土佐町で、今までは手書きだった福祉バスを利用した方々の乗車記録を、マイナンバーカードを使っていただくことで、乗車区間や誰が乗車されたかということをデータ的に処理をして、住民の皆さんの利便性を高めようということです。
 私自身は、これは先々、とさでん交通が「次世代ですか」をやっていただく際に、うまく使えれば、マイナンバーカードを料金の決済に使える可能性を実証するという意味でも、意味がある実証実験だと思っています。
 そして、行政に関して言いますと、県庁のワークスタイルを抜本的に変えていくことです。
 いわゆるフリーアドレス制とイメージをいただければ良いのですが、場所や紙にとらわれない働き方の実現について、モデル職場をつくって取り組むようなデジタル化の取り組みを始めることにしています。
 次がグリーン化の推進です。
 これはアクションプランに基づき進めていきます。
 特に新しいものとして、本県の自然を生かしたCO2削減の取り組みとして、1つは再造林対策の強化です。
 現状、本県の場合、森林を伐採した後の再造林をしている比率は4割程度にとどまっております。
 ここをしっかりと再造林しないと、CO2の吸収という意味では、伐採した分むしろCO2の吸収力が落ちてしまいます。
 このCO2の吸収減対策として、やはり再造林の比率をもっと高めていかないといけない背景もあり、こういった点について、再造林の基金などを新たに作って事業者を支援して、テコ入れを図っていく対策を県としても応援していこうという中身を、今回新たに提示しております。
 また新たに、県が木造の非住宅の建築物を環境不動産に認定し、都市計画上の容積率や不動産取得税の負担について優遇していく制度を、全国に先駆けて高知県でやってみようということです。
 こうしたことに必要な経費について計上しています。
 その他、太陽光発電導入への支援などの充実も図っていく中身もございます。
 グリーン化の関連産業の推進をして経済と環境の好循環を図っていくことに関しては、引き続き、グリーン化に対応した製品の開発を進めていく。
 オール高知での取り組みについても、県有施設などの省エネ化を引き続き精力的に続けていくといった中身を計上させていただいております。
 グローバル化につきましても、これは従来の3本の柱の取り組みをより強化していくことで、県産品の輸出拡大の支援体制を強化していく。
 タイ、ベトナムに現地のサポートデスクを設けていく。
 インバウンド観光につきましては、関西との連携で、大阪観光局などと連携したセールスプロモーションを進めていく。
 外国人材の受入対策も、こうした国々を対象に拡大していくといった中身を計上させていただいております。
 次に、当面の政策課題についてです。
 コロナ対策と物価高騰対策についてです。
 コロナ対策につきましては、5月以降、感染症5類への移行がありますけれども、その中でどういった形で公的支援をするかというのは、今政府で検討中ということです。
 当面は令和4年度の予算までと同様ですが、当初予算段階では現状の制度が続くという想定のもとに10月分までの見込まれる経費を計上しています。
 現実は、政府の方針が来月の上旬には出てくるということですから、そういったものを踏まえて、今後、補正予算で対応を図っていくことになろうかと思います。
 また、介護事業所関係の支援の補助金を計上しております。
 物価高の対策につきましては、これは2月補正になりますけれども、LPガス料金の軽減対策。
 そして、新規のものとしては、飼料高騰対策として、畜産事業者の方々の、いわゆる構造転換をしていただくことに際しての取り組みの支援といったものを新たに計上します。
 いわゆるコロナのゼロゼロ融資の借換融資に対する保証料の支援は、12月補正で既にスタートしているものを、2月補正でも計上していくものを含め、令和5年度についても引き続き行っていくことにしております。
 そして、観光関係で、朝の連続ドラマ「らんまん」の放送を契機とした取り組みとして、県内全域を会場に見立てました観光博覧会「牧野博士の新休日」を開催しますので、この博覧会の事業費補助金、そして、これに関連した利便性向上等々の施策に要する経費を計上しております。
 3月25日に、いよいよ博覧会を開幕することになり、各地で大掛かりなイベントを仕掛け、盛り上げを図りたいと考えております。
 次に、関西圏との経済連携強化です。
 1点目はプロモーションの強化でして、著名人の方々にもご協力をいただいて、高知県の知名度、認知度を関西で上げていく事業。
 「らんまん」を契機として、神戸市も牧野博士のゆかりの地ということですから、連携した観光プロモーションをやっていくこと。
 外商活動に関しては、農業・水産業・林業・商工業の分野で見本市への出展などをしていく、あるいはフェアなどを行っていく、さらに取り組みを強化していくという内容。
 情報発信を強化するために、関西圏に新たなアンテナショップを設置する基本計画案を策定しましたので、これに基づき、令和6年春を目指しておりますけれど、高知県の新たなアンテナショップを大阪梅田の再開発ビルの中に開設するための経費などを計上しております。
 中山間対策です。
 中山間対策は、やはり今高齢化、あるいは人口減少が進みまして、地域の担い手を確保していくことが、何といっても求められていることですので、地域おこし協力隊の隊員を、向こう数年間で倍増していくという国の施策に対応した取り組みや、デジタルマーケティングの手法を使い、本県ゆかりの方々に効率よくアプローチしていくことで、移住の候補者を掘り起こしていくこと。
 空き家対策につきましても、さらなる充実をして移住者の方々の住み家を確保していくこと。
 医療・教育分野の支援の拡充についても中山間対策として行っていきたいということです。
 そして、地域の再興に向けた取り組みとして、特に新しいものとしては、地域の文化財の保全のための経費を新たに計上した他、集落活動センターがコロナで活動を停止していた部分を、再度始動する際の支援でしたり、こちらは人材づくり、人材確保にも関わりますけれども、いわゆる特定地域づくり事業協同組合の設立に向けた補助制度の新設といったりしたことで、中山間対策の成果を求めて強化していく中身になっております。
 経済の活性化関係では国もそうですが、いわゆるセットアップ、新規の創業による経済の活性化を進めていくための経費。
 連携テーマとして、ヘルスケア産業、アニメ産業の振興などにつきまして産学官民、特に民間の自主的な取り組みを県としてもバックアップしていく形で進めていくという点を、新たに計上しています。
 健康長寿県づくりに関しては、糖尿病の重症化予防対策の実証実験的な取り組みを行ってきた中で、透析に入るのを5年程度遅らせるようなプログラムの見通しが立ってまいりましたので、このプログラムを県内全域に広げていくための計画づくりなどもしていきたいと考えております。
 訪問看護のための総合支援センターも新たに整備していくこと。
 子育て支援に関しては、子育て経験者が支援していく形で、住民参加型の子育て支援策を充実していく点を新しい取り組みとして始めていきたいと考えております。
 教育の充実に関してです。
 1つは学力の向上関係、そしてもう一つは、デジタル技術の活用によりまして遠隔教育を進めていく。
 また、デジタル教育そのものは、学力向上のためにも大変大事だと考えています。
 不登校対策として、スクールソーシャルワーカーの活用なども進めていくこと。
 保・幼・小の連携を進めていく予算。
 そして、施設の整備がかなり高額(県立安芸中高校と安芸桜ケ丘高校の統合、清水高校の高台移転等の予算)になっていますが、従前の取り組みをさらに拡充していく予算を計上いたしております。
 南海トラフ地震対策です。
 特に命を守る対策の中で言いますと、高齢者、要配慮者の避難計画を策定する。
 そういった際にケアマネージャーのような専門職に関与していただくための支援制度をさらに充実していくことにしております。
 そして、命をつなぐ対策として、災害時の水の確保についての補助制度などを新設します。生活を立ち上げる対策については、いわゆる事前復興の取り組みを市町村で進めていただくための支援措置の充実を図ってまいります。
 インフラの整備に関しては、道路整備、河川の整備、砂防、港湾・海岸等、そして農業基盤の整備、それぞれの分野で、実質的なベースで見て前年を上回る規模の予算を確保いたします。
 少子化対策です。
 特に新しいものとしては、子育て応援パスポートのアプリを新たに入れていくこと。
 そして、女性活躍の推進のアクションプランを新たにつくりますけれども、これを推進していくために、新たにシンポジウムなども開催する予算を計上しております。
 文化芸術・スポーツです。
 特にスポーツの推進に関して言いますと、中学校の部活動の地域移行の推進といった政策課題も出ておりますので、地域におけるスポーツ環境の整備の支援をしていく取り組みを新たに展開しようという予算を計上しております。
 その他ですけれども、中山間地域におきまして、いわゆる移動交番車を活用して集落活動センターなどに移動交番を設置をしていくような事業。
 そして、部活動の連携支援に係るような事業を計上している他、引き続きの事業としまして、牧野植物園の磨き上げ。
 そして、佐川町におきます新たな産業廃棄物の最終処分場の整備。
 こういったものの所要の予算を計上して、事業の推進を図っていくことにしております。
 最後に、本年度の2月補正予算の概略についてご説明をしておきます。
 予算の規模としては補正額、減額補正ということになっておりますけれどもプラスで計上する主な歳出としてはコロナ対策で不足が見込まれる予算の積み増し。
 物価高騰対策では、LPガスの値上げの抑制に必要な経費。
 生活福祉資金特例貸付の返済を支援していくための取り組みなどを計上しております。
 予算全体のやりくりとしては、地方交付税の追加の交付などもございました。
 こうしたもので出てきた歳入の増、あるいは歳出の削減で浮いてきた財源をできるだけ温存して、財政調整基金の取り崩しを78億円縮減することにより、基金の残高を残して、令和5年度以降の財政に備えるやりくりを行うことにしています。
 2点目が関西圏のアンテナショップについてです。
 基本計画(案)をまとめました。
 今後、議会でご報告し、ご意見もいただいた上で、年度内には、この基本計画の最終的な計画を決定したいと考えております。
 従前お話してきたような中身から大きく変わったところはございませんけれども、特に物販、情報発信、そしてテストマーケティングなどでの商品の磨き上げ、こうした3つの機能を持たせることで、大阪梅田3丁目、大阪の中央郵便局跡地に建設されております再開発の商業ビルの2階に46坪程度のスペースを確保し、年間売上1.4億円程度の新しいアンテナショップを設置しようと。
 スケジュール的には令和6年春ぐらいに、このビルがオープンするということで建築が進んでおりますので、それに合わせて開設したいと考えているところです。
 この新しいアンテナショップに関して申しますと、このアドバイザーの会議の中でも、ぜひ、このアンテナショップのコンセプトを、まずしっかりと固めることが大事ではないかというご指摘もいただいておりました。
 そうしたご指摘もありまして、県内在住のこうしたことに非常にご経験のある専門家にも相談しまして、コンセプトを設定し、今後具体的な店名をどうするかといったような、さらに具体的な準備に駒を進めていこうということにしました。
 コンセプトは、「スーパー・ローカル・ショップ」として、これは、「ど田舎」「ルーラル」ということではなく、日本語で言えば「極上の田舎」という意味だということにしております。
 この、高知の海、山、川、畑に生きる食とカルチャーをリアルにお届けする。
 そして、一味違った、ひらがなでの「あんてなショップ」をコンセプトに具体的な組み立てをしていこうとしています。
 一言で言いますと、関西、大阪地域も大都市部ですから、大都市にはない「極上の田舎」高知から自然の恵みである、食とカルチャー、そして、高知の人がつくり出した食文化を中心とした高知の強みをじかに感じていただけるようなショップにしたいという気持ちを私としては込めて、このコンセプトで進んでいきたいというものです。
 3点目です。
 コロナに関しまして、県の対応ステージの引き下げを本日付けで行うことにしましたので、ご報告します。
 病床占有率の30%という警戒強化のラインを下回って、ここ2、3日推移しておりますし、70歳以上の高齢の方々の新規の感染者数、これは既に1週間ほど前から警戒強化のラインを下回り、オレンジの警戒のラインまで下がってきています。
 こうした対策の判断の要素となります指標の状況を踏まえ、本日付けで、県の対応ステージをひとつ下げ、警戒6段階のうち下から3番目のところに改める判断をしました。
 県民の皆様への具体的な対応のお願いです。
 引き続き発生届けの対象となった方、あるいは自己検査で陽性となった方につきましては、陽性者のフォローアップセンターへの届け出、登録をお願いする点は変わりませんけれども、こうした形で、感染者数も先月の後半になりまして明らかに減少傾向になってきました。
 また、救急医療にかかる負荷も、かつてに比べますと大分落ち着いてきたということですので、いわゆるオンライン診療の扱い、薬の配達といった、今まで警戒強化以上のレベルということで続けてきました措置につきましては、19日あるいは20日までをもって、一旦、休止するという扱いにしたいと思います。
 そして、県民の皆さんへのお願いです。
 会食につきまして、依然として変わらないところは、多人数で会食される場合については、感染防止の必要性が高いと思われる場合も多いと思いますので、こういう場合には参加者全員について、ワクチンの接種歴の確認か、事前の検査による陰性確認をした上で、実施していただくことをお勧めをしますと。
 ここは、変わらずやりますけれども、今まで、こういった扱いができない場合には、可能な範囲で規模縮小、あるいは時間短縮の検討をお願いしていました。
 こうした可能な範囲での規模縮小、あるいは時間短縮の検討をお願する要請については、昨日までをもって終了にしたいと思います。
 また、外出、移動につきましても、施設などに入っておられる高齢者の面会は極力控えてくださいといった形の要請については、昨日までで終了することにさせていただきました。
 あまり、大きなところで、具体的な要請の中味が変わることではないと思いますが、具体的な要請内容の見直しとしては、大きく言ってこの2点とご理解いただきたいと思います。
 国の新しい動きとして、今月10日に、今後のマスクの着用についての新しい方針が示されました。
 厚生労働省で、国としての知見を、あるいは専門的な見地からの検討を踏まえての方針ということですので、県としては、この方針にのっとって、県民の皆様にご協力をお願いしようということでご紹介させていただきます。
 見直しのタイミングですが、5類への見直しは5月の連休明けという方針が決まっておりますが、マスクの着用の見直しは、今から約1ヵ月ぐらいの準備期間をおいて、来月13日から見直すこと。
 その見直しのポイントは、マスクの着用をする、しないは個人の判断を基本としていくということが、1番のエッセンスです。
 個人の判断が基本ですから、言い換えますと、したくないと考える方は着用しなくてよいということですし、世界的な方向としても、大きな流れはそういうことだと思います。
 ただ、引き続き着用した方が良い場合、あるいは着用の効果があるのでお勧めですといったような場合がありますので、その点を踏まえて、個人で判断していただいて、着用していただくことは全く悪いことではない。それはむしろ、お勧めできる構造になっています。
 具体的には、周囲の方に感染を広めないためには、医療機関や高齢者施設に行く時には、マスクは着用する。
 あるいは、通勤ラッシュなど混雑した交通機関の中ではマスクを着用することが望ましいと思います。
 そして、自分自身が感染しないためという観点から言いますと、特に高齢の方、基礎疾患をお持ちの方、妊婦の方には、マスクの着用をしていただくと、自らを守るという意味で効果が期待できますよといったような情報が、国から併せて示されています。
 有り体に言えば、こういった局面で着用することは、お勧めができたり、あるいは、これはいいですよということが推奨できるということです。
 これを踏まえた上で、着用するかどうかは個人でご判断くださいと。
 言い換えますと、一律に今までのように、あらゆる方に、マスクの着用をお願いすることは、来月13日からやめ、個人の判断を基本としていく中身になっています。
 こうしたことで、県としても県民の皆さんに、広報、お知らせ、あるいは発信していく中で、県民の皆さんの中でいろんなご疑問やご質問などございました時には、しっかり、それを受け止めまして、必要があれば国に問い合わせをするなどして、県民の皆さんに、一層しっかりとご理解をいただけるよう協力をしてまいりたいと思っております。

 令和5年度当初予算案について①
(井上・高知新聞社記者)
 当初予算の全体のことでお伺いします。
 重点取り組みやテーマは、基本的には、同じ枠組みの中で組み立てられたと思うのですけれど、例年以上に、来年度の予算で意識した部分はあるでしょうか。

(知事)
 一つは、私の任期の最終年度にもなりますので、できるだけ具体的な成果を県民の皆さんに実感していただける状態に1歩でも2歩でも近づきたいという思いがあり、そうした成果重視、成果志向ということから、特に観光であったり、関西圏、中山間等々といったテーマについては、特に意を払ったところがございます。
 あとは、当面、コロナ及び物価高騰対策が県民の皆さんの大きな関心だと思います。
 その点は、しっかりと対応することを前提にしながら、さらに先、コロナ後、あるいは物価高騰の長期化といったところもにらんだ構造転換、あるいは今後の県勢浮揚へ向けた、足腰の強化といったところにも戦略的にしっかり目を配りたいというのが、大きな点と考えていただきたいと思います。

 令和5年度当初予算案について②
(井上・高知新聞社記者)
 関連してですけど、成果重視とおっしゃいました。
 成果をどのように客観的に検証して、また県民に具体的に見せていくのかというところも課題になると思うのですけれど、その辺りはどのようにお考えでしょうか。

(知事)
 これは、それぞれの施策ごとにフェーズが違うところはありますけれども、あえて申し上げますと、1番あるべき姿は、それぞれについて、いわゆるKPI、成果指標を設けて、数値目標的なものを掲げて県民の皆さんにお示ししているわけですから、その中でしっかりと結果を出していくということが基本ではあると思います。
 その部分を、できるだけ分かりやすく県民の皆さんに発信したいということで、産振計画ですとか健康長寿県構想、いろいろなプログラムを本部会議を設けて実施しております。
 その際の数値目標に対する達成率をSランクからDランクまで5段階ぐらい付けたり、ものによっては〇、×、△ということを付けたりしております。
 予算とはちょっと別ですけれども、そういった記号化などもして、できるだけ一覧的に、どこでどう成果が上がっているか、あるいは、どこが遅れているかを分かりやすく知っていくというような工夫も行政の展開上やってまいったところですので、そういったレベルで結果が出てくるのが、本来あるべき一番の姿だと思います。
 ただ、取り組みの効果が出てくるのに、一定、時間がかかるというものも少なくありません。
 そうしたものに関しては、アンテナショップがある意味そうだと思いますけれども、できるだけ目に見える形で、そこの数字的な成果を出していくまでの途中の目標ではあるけれども、目に見える形で前へ進んでいっているということをより実感していただけるような取り組みなり、情報発信なりを強めていきたいと思っております。

 令和5年度当初予算案について③
(井上・高知新聞社記者)
 もう1点、最後にお伺いしたいのですけれど、予算の規模ですが、来年度は退職手当の減額であったり、コロナの経済影響対策の観光喚起事業が終了したりすることなどで、マイナスになることがスタートラインという中で積極的に予算を組んで、一方では財源不足額が、かなり過去の推移を見ても大きな額になっています。
 先ほど、知事もおっしゃられたように、高知県は、全国の景気の回復に追いつくスピード、税収の伸びが、緩やかだという点、それから、国のコロナ対応でこれまでは充実した手当てがありましたけれども、これもこの先、どのようになるか不透明さもある。
 財政健全化という側面から見ると歳出規模を抑えることも考えられたのかなと思うのですが、ここで、積極型を維持した思い、背景というのはどのようなお考えからなのでしょうか。

(知事)
 今、財政の持続性重視という立場に立てば、歳出費用はできるだけ少ない方が良いというのが、自明の理ですから、そうした方向での要請が全くなかった訳ではないのですけれども、今回、任期4年間の仕上 げの年に臨む、そして、私自身の思いとしては、自分の任期というよりは、5年10年先の県政もにらんで、ぜひ、将来に向けて後々見た時に、令和5年度が未来へ向けての弾みとなる年だったというような評価  をいただける年にしたいという思いが大変強いものとしてありました。
 もちろん、中長期の財政の持続可能性に意を払っていくことは、当然の前提としまして、いわゆるシーリング、スクラップ&ビルドの取り組みの中で出てきた財源を、財政の健全化に回すのではなく、特にデ  ジタル、グリーン、グローバルという、次世代のための施策に重点的に配分していくことを、やはり、この令和5年度で言えば、優先したいという思いの結果、形としては前年比で減ということにはなりますけ  れども、実質的な中味を見ていただければ、繰り越しの問題であったり、コロナの関係の、いわば臨時特殊要因というのを除いてみれば、相当な積極型の予算編成スタンスを続けていることになっていること  は、ご理解いただけると思います。
 先々の持続可能性という点については、指摘のあったとおりで、決して軽視してはいけないと思っております。
 景気のサイクルとの関係の歳入の見通しというのは、やはり、2、3年ぐらいの最低サイクルを見ていかないといけないということはあると思います。
 そういう意味で、財源不足は令和4年度に続いて150億円前後という形で、かなり大きな規模になっていることは事実ですから、令和6年度以降の財政運営ということを展望した場合には、このトレンドがど  うなっていくかというところを、大変注意深く見ていかないといけないと思います。
 施策の効果の上がり方との兼ね合いもありますけれども、やはり、財政健全化ないし財政の持続性確保というところを、より、その方向性いかんによっては、重視した対策も考えていかないといけない局面も  あり得るのではないかという予感はしています。

 中山間地域対策について
(山﨑・高知新聞社記者)
 中山間対策についてお伺いします。
 知事は常々、中山間対策は、県の最重要課題の一つだとおっしゃっておられます。
 先ほど、成果というお話もありましたけれども、任期最終年度になることもあり、これまで就任以降取り組んでこられた、中山間対策に対する成果と課題についての認識、受け止めがありましたらお聞かせください。
 あわせて、来年度、これまで以上に特に力を入れたいポイントなどがございましたらお聞かせください。

(知事)
 成果としては、数値目標的なものの達成状況ということで言えば、これは尾﨑県政からの引き継いでの取り組みの成果ということになりますが、やはり中山間対策を進めていく一番核になる取り組みは、集落活動センターの開設だと思っております。
 これが全体65カ所まで増えて、昨年度の集落実態調査の中でも多くの方々から、センターが出来て良くなったというお声をいただいているのが、一番代表的な成果と言えるのではないかと思います。
 ただ、そうは言いましても大きな流れとして、特に人口減少、少子高齢化が中山間地域で先行して進んでいるのは、厳然たる事実です。
 最近、中山間地域を訪れましても、一番切実に訴えがありますのは担い手対策、後継者対策だと思います。
 この点は令和4年度からは、特に移住者の住まいの確保が急がれる対策だということで、空き家対策の抜本強化ということで取り組みを始めたところです。
 特に令和5年度以降は、より直接的な、いわば人材確保ということから、地域おこし協力隊、これは国も全体として規模の倍増ということを掲げておりますから、県で雇用する協力隊員をどんどん増やしていくことも含めて、県としても協力隊員の倍増を目指す、あるいは、特定地域づくり事業協同組合をもっと多くの市町村でつくっていただいて、国の作った有利なスキームで大勢の方を雇用できるような取り組みを進めていくことを重点に進めていきたいと思っています。

 令和5年度の南海トラフ対策、環境不動産について
(古谷・読売新聞社記者)
 2点、お伺いします。
 1つは令和5年度の南海トラフ対策で特に力を入れていきたい部分をお伺いします。
 この中で、事前復興について、組織の改編を含めて事前復興室を設けるということですけれど、復興室を設けることの知事の思い。
 また、市町村によってなかなか進まないところもあるようですけれども、その部分についての知事の思いをお聞かせください。
 もう1点は環境不動産に対する思いをお伺いします。

(知事)
 まず、南海トラフ地震対策です。
 3つの局面について申しますと、当面の命を守ることに関しては、やはり一番気になっている部分が高齢者の方々などの要配慮者の避難の個別避難計画です。
 これが特に高知市で遅れがあって、なかなか思うように進んでいないこと。
 ここをてこ入れしないといけないことが1点です。
 この点は、新たに福祉専門職が関与していただくための支援制度も強化して、高知市と手を携えて対策の加速をしたいということで、今回の予算でも手当てをしたところです。
 また、命をつなぐということで言いますと給水です。
 水道の早期復旧ないし応急対策といった点も力を入れたいと考えて、今回予算上の手当てをした中身です。
 もう一つ、事前復興も全体のテーマとして、いよいよ本格的に市町村に取り組んでいただきたいということで、新たな補助制度なども設けて力を入れたということです。
 特に事前復興に関して言いますと、東日本大震災からもう10年以上がたって、特に避難路の確保ですとか、こういったものについてめどが立ってきた段階においては、さらに将来を先取りするような取り組みが求められている局面だと思いますから、この事前復興をできるだけ各市町村で前向きに捉えていただいて、町づくりを進めていただくことが大変大事な局面になっていると思っております。
 令和6年度中に沿岸の全市町村で計画作り、着手は少なくともしていただくことを目標に精力的に働き掛けをしていきたい。
 そのための組織面での整備も、今回していこうという判断をしたということです。
 それからもう一つ、環境不動産に関して言いますと、木材の利用促進を通じて、県の林業の振興を図っていくことは、脱炭素化への貢献と併せて、県の産業振興も図れるという意味で、一石二鳥の取り組みだと思います。
 その意味で、例えば経済同友会などとも連携して、全国の木材利用の取り組みを、高知県としてリードしてきたと自負しております。
 そうした取り組みをさらに進めるものとして、こうした環境不動産の仕組み、都市計画上あるいは税制上の優遇で木造の非住宅建築物の整備を促進することに関して、国にまず政策提言をしていたところです。
 これはなかなかいろいろ省庁に跨ることでもありまして、時間がかかりそうだということもございました。
 そうした中で本県は、例えば、森林環境税などについても全国に先駆けて、いわゆる地方の自主課税として行って全国的な流れを引き起こしたという良い実績もありますから、願わくば、この環境不動産の取り組みも高知県初でまず条例を制定して、高知県として出来る取り組みを始めて、まず一石を投じたいと。
 その上で、できれば全国、同じような各県で制度が導入される。
 そして、国としても腰を上げていただいて、全国的な国の制度として、より本格的な木材利用促進のための財政資金の投入であったり、都市計画上の優遇であったりということに大きく進んでいただくことの出来れば呼び水になるような施策にしたいという思いで、今回、県としての制度化に踏み切る判断をしました。

 再造林対策について①
(大山・高知新聞社記者)
 2点、お伺いしたいのですが、まず、再造林についてお伺いします。
 予算としては、山主の負担を軽減して、再造林をさらに促すという仕組みだと思うのですが、再造林自体これまで国、県の補助金も入ってますし、かなり山主の負担は少なかったと思うのです。
 それでも再造林が進んでない状況があって、今回、この予算には知事の思いも強く反映されているようですけれど、なぜ今、再造林を改めて強化する予算を打ち出されたのか、なぜ今というところを特に教えてください。

(知事)
 この点は、やはり再造林の強化が必要ではないかというのは、県議会でも複数の議員からご指摘があって、私自身答弁をしてきたという経過も、ここ数年間はあったということが背景にはなっております。
 そうした中で、特に脱炭素化を進めていくことを考えますと、CO₂の吸収源対策、よくよく考えてみても皆伐しただけでは仕方がないので、その後に再造林をしないと、かえってCO₂の吸収源対策としては、むしろ後退してしまいかねないという問題状況だというところが改めて今回、特に契機となりましたのは、そういった問題意識も含めて、仁淀川町などにおいて、基金を新たに設けて、より手厚い支援をして再造林を進めていこうという動きがあるということを、我々としても把握した中で、そうした構造の問題点を再認識し、できるだけ早く手を打ちたいという思いに至ったところが、このタイミングとなった大きな理由です。

 再造林対策について②
(大山・高知新聞社記者)
 先日のフォローアップ委員会でも林業の部会の方から、「再造林は大事で、やるけど、なかなかその先が見えないと進まない」という声もあったと思います。
 林業振興の面で言うと、どんなふうに再造林、木を使ってもらうという取り組みを進めていこうとお考えでしょうか。

(知事)
 今回は、当面は、事業費の本体に関しては、国、県、市町村も含めて公的な支援がかなり手厚い訳ですけれども、そういった支援スキームの外にある手数料の負担的なもの、ここが手薄で、この部分を基金などを作ることによって、関係者でこぞって支援していこうというところです。
 1つは、そこが加速の後押しの要因になるのではないかという点だと思いますし、もう1点は、そもそも再造林の対象となる皆伐をどのエリアでやっていくのかということに関して、今年あるいは来年度初めには稼働が予定されている森林クラウドを活用して、いわゆる伐採の適地をしっかり絞り込んでいくと。
 4割といわれる再造林率を上げていくためには、1つは分母である皆伐をするところで再造林がなかなか難しいような、例えば、急傾斜地を避けて、再造林がしやすい、植林がしやすい地域を選んでいくことも、ひとつの大きな対策だと思います。
 こういったことも併せて、全体として再造林率を高めていく取り組みをしていきたいと思っています。
 さらにその大きな背景としては、これ環境不動産の方に関わりますけれども、やはり木材の需要拡大ということで、林業に携わる方々が本来40年、50年、これもいわゆるエリートツリーなどで20年、30年で伐採ができる木に切り替えていく努力もあると思います。
 いずれにしても、非常に超長期の採算を追求しないといけない中で、その点について、不安感がある中ではなかなか林業の施業の拡大に踏み切りにくいという問題があると思いますから、そういった長期的な林業収支の改善につながるというマインドに持っていけるように、足元の木材利用の拡大を目に見える形で進めていくことが、中長期へ向けての大きな取り組みの一つではないかと思います。

 大阪に開設予定のアンテナショップについて①
(大山・高知新聞社記者)
 梅田のアンテナショップの件についてお伺いします。
 2点あるのですけれど、1点目がスーパー・ローカル・ショップというコンセプトが出されましたが、フォローアップ委員会でも、高知と分かりづらいという声もあったように思います。
 コンセプトやネーミングなど、知事がどうお考えているのか教えてください。

(知事)
 分かりにくいという話は、店名はまた別に公募をしますというお答えをしております。
 私自身は、スーパー・ローカル・ショップであって、農村という意味の言葉ではなくて、地元の身の回りという意味のローカルという言葉を使っていることに大きな意味を感じています。
 それは大都会のような分業化された、地に足の着かない、いわゆる空中戦の世界とは違う、そういう世界がある意味、大都市、大阪であったり、関西であったりというところだと思いますが、そうした地域で住まわれる方々がやはり自然が恋しい、潤いが欲しいというお気持ちを絶対お持ちだと思うので、そういったところから考えた時に、高知というのは自然に恵まれ、いわゆる身の丈に合ったサスティナブルな生活をしている側面が、大都市に比べると非常に強いところだと思います。
 今、SDGsが世界的な潮流であることも追い風だと思いますので、そうした中で、地に足の着いた自然由来の、潤いのある生活をしている高知の生活スタイルそのものを食や文化という具体的な形で売り込んでいく、そのための情報発信の拠点という意味で、スーパー・ローカル・ショップという打ち出しを前面に出していきたいと思っています。

 大阪に開設予定のアンテナショップについて②
(大山・高知新聞社記者)
 もう1点、アンテナショップに関連してなのですが、近鉄百貨店が今年の夏に、県と一緒にアンテナショップを出したいという思いを持っているようです。
 県として、実際、どういう状況なのかということと、今後どうしていくお考えか、梅田のアンテナショップとの兼ね合いも含めてお考えを教えてください。

(知事)
 アンテナショップの開設に先駆けて、大手の百貨店などの取り組みと連携をする形で、高知県のプロモーションを進めていきたいという事業も平行して進めていこうと、今回、予算の措置もしています。
 そういった流れの中で、近鉄百貨店から、あべのハルカスの近鉄百貨店の一画を、これはアンテナショップという報道もありましたけれども、県で考えているアンテナショップというよりは、どちらかというと、すでにある程度確立した売れ筋商品を売っていく売り場として、仮設で半年程度設けるというアイデアのご提案をいただいているという段階です。
 新年度の予算で計上しているプロモーションの一貫ですから、有力な候補だと思いますけれども、然るべき他の事業者の方々でどんなアイデアがあるのか、ないのかというとこの確認も含めて、手続きを取った上で、近鉄百貨店の提案も有力な選択肢として、今後検討していきたいという段階であると考えいただきたいと思います。

大阪に開設予定のアンテナショップについて③
(大山・高知新聞社記者)
 梅田のアンテナショップへの影響というのはないと理解して良いですか。

(知事)
 そこは、むしろ特に令和5年度の取り組みということで言いますと、県の新しいアンテナショップは、令和6年の開設ですから、そこへ向けて弾みをつけていく効果をむしろ狙っていると受け取っていただきたいと思います。

マスク着用について
(古川・NHK記者)
 マスク着用についてです。
 来月13日から個人の判断に委ねるということで、具体的に県として現時点で、周知方法として考えておられることがあるのかという点。
 卒業式を控える学校現場では、様々な意見が寄せられていると思いますし、全国知事会でも丁寧な説明を求めるという主張をされていたと思います。
 知事自身としても、個人の判断に委ねることに対して、どのように受け止めているのかお聞かせください。

(知事)
 前段の具体的な話としては、学校現場の卒業式に関しては、時を同じくして文部科学省から具体的な指針も示されましたので、これはもう速やかに、それにそった形での対応を促す通知を教育委員会から学校現場に流していただこうということで準備をしてもらっております。
 それ以外に関しては、今日のご報告も含めて、いろいろな機会に厚生労働省のお考えをベースにした県民への呼び掛けをやっていきたいと思っております。
 私自身の呼び掛けとしては、個人の判断だと言い切るだけでは、何の指針にもなっていないので、これではあまりにも不親切だという思いがあります。
 ただ、トータルの姿で厚労省の説明を聞けば、要は、大きな方向は、今後マスクをしない方向になることでしょうから、そういう中であっても、いわゆる同調圧力によって自分はマスクを着用したいという人を孤立させないというのでしょうか、そういう人を疎外すると言いますか、迫害することがあってはいけないというための言い方ではないかと私は受け止めています。
 そういう意味での個人の判断ということだろうと。
 世界的に見てもマスクはしない流れにいく、それが正常化だというのが非常にシンプルな捉え方だと思います。
 そこが今、高齢者だったり、あるいは医療機関、高齢者施設だったりすると、それは単純な話では必ずしもないですと。
 マスクをしないのが正常化だということではないと。
 そのことの言い換えとして、個人の判断という言い方をしているのではないかと受け止めていまして、そういう意味合いもあるのだということを、より丁寧に発信、説明ができる機会を捉えて、県民の皆さんにも伝えていければ良いなと思っております。

 関西圏との経済連携について
(安岡・高知新聞社記者)
 関西戦略についてです。
 令和7年度の大阪・関西万博の開催、令和6年度はアンテナショップのオープンがあります。
 県としても関西戦略室を設立して、令和5年度には大阪観光局との連携したプロモーションなどの予算も盛り込まれていると思います。
 現時点で、関西戦略を進めていく中で、どういったことが課題と認識されていて、令和5年度をどのような位置付けの年にしたいのか、お考えをお聞かせください。

(知事)
 今まで関西との経済連携については、連携強化の戦略を作ってすでに取り組みを始めています。
 そうした中で課題としては、数値目標の達成状況ということで端的に言いますと、例えば、水産物の量販店における高知フェア等での販売のように、それなりの成果が出ているものはありますけれども、全体として見ますとコロナ禍の影響もあって、飲食店向けの外商であったり、観光であったりしたものが当初目指したレベルからはかなり遅れている、達成できていないのが現実です。
 コロナ禍の影響もあって、目標達成に至ってない部分について、いよいよコロナも出口が見えてきた訳ですので、ここで挽回していく、V字回復していく、観光や食品の飲食店向けの需要などについて加速していくというところが大きな課題の一つだと思います。
 もうひとつは、令和3年度以降、取り組みをやってきた中で、我々が期待してた、想像していたよりも高知県の関西における認知度というのですか、知名度というものが必ずしも我々の期待ほどは高くないという現実が、やはりあるということは、認識して、そこを引き上げていくプロモーションを強化しないといけないと思っています。
 その意味で、もう昨年から特に、在大阪・関西の報道関係機関のプレスの方々への働き掛けを強化しておりますし、市町村長などとも一緒になって、あるいは県出身の著名人の方のお力も借りて、高知の存在感を関西で高めていくプロモーションの取り組みを強化していくことも並行してやっていかないといけないと思っております。
 令和5年度も、こうしたプロモーションを著名人の方にお願いしたりして、さらに強化したいと思っています。

 県職員等のマイナンバー活用について①
(中田・高知民報記者)
 県職員のマイナンバーカードの件です。
 今回提案されている話は部分的とは思いますが、これは将来的に、県職員がマイナンバーカードを常時持って仕事をするということへの布石なのかと。
 それから国家公務員や他の県でも同じようなことをやられていると思いますけれども、セキュリティー面で、警察や防衛省は、常時携帯ということは、紛失した時に非常に危ういということで、やめるべきという議論もあるように、国会で議論がありました。
 そこについてはどうなのか、高知県で例えば警察にも広げていくのか、そのあたりのお考えを伺います。

(知事)
 今回の手当ては、基本が、例えば休日とか、夜間に県庁に来られた時に今、手書きで登録して手続きをしているところを、マイナンバーカードがかなり普及してきたので、手書きではなく、カードの提示で電子的に登録ができることで、利便性の向上、ないしは仕事の効率を上げていくことを目的としてやっていくということです。
 今回の措置が直ちに、常時携帯を目的というところの一里塚だという捉え方、位置付けはしておりません。
 ただ、マイナンバーカードの普及がさらに進んでいく中で、利便性の向上や効率化の局面が今回、実施するものだけで終わりとも必ずしも考えてはおらず、場合によっては、私も国家公務員だった経験から言うと、これも役所によって違いますけれども、例えば、パソコンを立ち上げる時のセキュリティ対策として、マイナンバーカードを使うとか、今は県庁はそうしていませんけれども、昼間の入場もゲートを設け て、マイナンバーカードに職員証をのせて、それでセキュリティチェックもしていくような形で、結果的に、多くの方が常時携帯しているということを促すような効果はそれはあるのだと思います。
 そういった形で活用しているところも、現に国の機関ではあるわけですので、先々そういったものも必要であれば、また効果が期待できればやっていくと。
 どこまで広げていくかは、今具体的計画はありませんけれども、そういったことは視野には入っていると受け止めていただきたいと思います。
 警察等に関しては、これはどちらかといいますと、警察本部でどうお考えになるかというところが第一義的には判断の権限というのですか、あるところだと思います。
 いずれにしても、カードの常時携帯そのものを義務付けるというよりは、利便性を高めて効率化を図っていく中で、どこまで活用ができるか、すべきかということを考えていくと、アプローチについては、そ  ういうことなるのだと思います。

県職員等のマイナンバー活用について②
(中田・高知民報記者)
 利便性ということで言えば、通常のIDカードで良い気もしますけれど、要は、利便性ということであれば、マイナンバーカードが無ければ仕事ができないという状況にはしないということですね。

(知事)
 そこは、利便性、効率性を今、お話あったところに反論いたしますと、やはりそこはICカードが入って、かざして機械に読み取らせるだけで、濵田省司が何時に入ったと記録が自動で出来る訳ですから、そういう利便性はやはりICカードが入ったインフラがないと駄目だということだと思います。
 マイナンバーカードがほぼ全員に行き渡るような状況になっている時に、職員用に、また別にICカードを作るのは、これは非能率ないし経費の無駄使いと言われかねないと思います。
 あるものを活用するという意味で、利便性を追求した結果が、多くの方ができるだけ常時持っておいた方がいろいろ便利だということに、結果つながっていくことは、あり得るのではないかと思っております。

龍馬マラソンの警備契約について
(村上・高知新聞社記者)
 龍馬マラソンの警備のことについて、お伺いします。
 この前、アルソック高知が公募辞退を他者に求めたという話ですけれど、その件について実行委員長としての知事の受け止めと、あと当事者に話を聞くと、いろいろ食い違いもあるようですが、事実であれば問題があるような発言等々もしているやに、我々の取材では聞いています。
 その中で、知事がどこまで双方の訴えを聞いているのかということと、この公募型プロポーザルの内容やアルソックと契約をする判断というものに問題がないかどうかということについて、改めて知事のご認識をお伺いします。

(知事)
 問題の経過については、担当課から詳細に報告を受けております。
 方向性として、端的にいうと、今回、民事上の契約をする部分と競争法や刑事法の関係での法的な責任の問題は切り離して、タイミングとしても、私が報告を受けた時点で開催まで2週間とか、そんな段階でありましたから、全く白紙から手続きをやり直すというものでは、現実、警備ができないだろうと。
 やはり最優先は、龍馬マラソンをスムーズに実施することです。
 そう考えた時に、当面、今進んでいる契約の履行の問題と、法的な責任の問題を切り離す判断をしたというのが私自身の認識であります。
 その意味で言いますと、決して今回のアルソックの問題、ご自身がいわば自白されてきた訳ですから、いわゆる問題がないとは思っておりません。
 問題があるか無いと言えば、あると思います。ただ、ご自身が灰色だという言い方をしておられる。
 仕事まで辞退する気はないということですから、そういう意味で、現実に間もなくに迫った龍馬マラソンをスムーズにやることを優先して、法的な責任の問題は、これは恐らく一般的な談合問題などにしても、工事が済んだ後に発覚したような場合は、工事をやった契約自身を無効にする話にはならないと思います。
 事後に事実関係が確認されれば、課徴金だったり、要は排除命令であったりという、そちらの制度で事後的に責任追及がされることだと思います。
 そういうルートに乗せていくということで、今回は足りるのではないかと。
 逆に、そうしないと龍馬マラソンが予定どおりできないだろうということを背景に今回の判断をしたと受け止めていただければと思います。

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TEL:088-823-9046
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