令和5年4月3日 新規採用者辞令交付式における知事挨拶

公開日 2023年04月05日

(令和5年4月3日 (月曜日) 正庁ホール)

 

皆さん高知県へのご奉職誠におめでとうございます。
 本日の新規採用辞令交付対象職員は172名でありまして、近年では最大規模となっております。そして、採用の区分は32区分となっておりまして、今回こうして様々な経験や職種の職員が、新しい県職員の仲間としてお迎えができることを心より嬉しく思っております。ただいま宣誓をいただいた内容について、改めて噛みしめていただいて、初心を忘れずに、県民の皆さまの利益を第一に行動していくことを肝に銘じていただきたいと思います。ただいま宣誓いただいた内容は、全体の奉仕者として誠実かつ公正に職務を執行することを誓うというものでございました。県民の皆さま全体に奉仕をしていく、このことが県職員としての原点であります。この初心をいつまでも忘れずに、胸に抱いて職務に精励していただきたいと思います。
 そして、県職員としての心構え、仕事への向き合い方についてであります。県職員である前にまず社会人であるということであります。本日から初めて社会人の仲間入りをする方も多いと存じますけれども、社会人として、例えばあいさつや時間厳守といった基本的なルールやマナーをしっかりと徹底していただくということが第一に必要であります。そして第二に、県庁の職員であるということは、組織人として活動をするということであります。皆さんお一人おひとりの言動が、県民の皆さまにとっては、これは県の方針なんだ、あるいは県の判断なんだ、と受け止められることになります。その意味で、皆さんお一人おひとりだけの判断だけでなく、職場の先輩方あるいは同僚の方々と、いわゆる「ホウ・レン・ソウ」と言いますが、報告・連絡・相談といったコミュニケーションを欠かすことなく、組織として活動していく、組織の一員であるという点を心に留めておいていただきたいと思います。
 その上で、第三に、公務員としてのルール・マナーということであります。地方自治やあるいは会計制度などに関する基本的な知識あるいは基本的なスキルといったものをできるだけ早く身に付けていただいて、いわば一人前の戦力として県庁に貢献できるように努力いただければと思います。
 この際、私が常に県民の皆さまに申し上げております、県政運営の基本姿勢についてお話させていただければと思います。それは、「共感」と「前進」の2つのキーワードを掲げております。意味するところは、県民の皆さまとの対話を通じて、県民の皆さまの共感をいただけるような県政運営をしていきたいということ、そして、課題山積の高知県でありますけれども、課題の解決に向けて、一歩でも二歩でも前進をしていく、そうした県政でありたいということであります。そして、私は職員の皆さんには節目ごとに、この「共感」と「前進」の県政を成し遂げるために必要な5つのキーワードをご紹介しております。簡単にご説明します。
 まず、県民の皆さまの共感を得るための県政運営のために、私は2つのキーワードを大事にしております。1つは「透明性(アカウンタビリティ)」ということと、もう1つは「想像力(イマジネーション)」ということであります。「透明性」に関して申しますと、これは、いわば県庁が都合が悪いときほど、しっかりと県庁の考えを県民の皆さまに説明しなければならない、県民の皆さまに理解を求めれなければならない、そして県民の皆さまの声に耳を傾けないといけないということであります。そうした県庁が逆境にあるときこそ、県民の皆さまに信頼をいただくということが大事であります。そういう意味で、この「透明性」は非常に大事にしていただきたいと思います。もう少し前向きなキーワードが「想像力(イマジネーション)」でありまして、それは県民の皆さまが今県政に対して、何を求めているか、そうしたことについて想像力を働かせて、先手先手を打てる行政であってもらいたいということであります。そうすることで、我々県民の気持ちをよくわかってくれているという、県民の皆さまの共感が生まれてくるということではないかと思っています。
 そして、前進をする県政のために必要なキーワードとして3つ挙げております。「使命(ミッション)」、「進化(エボリューション)」、そして「挑戦(チャレンジ)」ということであります。前進をしていくときに、どっちの方向に向かっていくのが前なのか、ということが大事であり、これを間違うと後退してしまいます。その意味で大事なのは「使命」であると思っています。皆さまお一人おひとりが、自分の仕事は何のためにやっているのか、このミッションというものを絶えず問い直していただきたい、自問自答していただきたい、その上で、時代の変化に合わせまして、仕事の中身を「進化」させていくということ、そして、そのためにリスクをとって「挑戦」をしていくということ、このことを是非心がけていただきたいと思います。役所の仕事はとかく前例踏襲に陥りがちというふうにお叱りを受けることがあります。時代は変化しておりますから、それに対応して進化をしていく、前例とか色んな意味での批判もあろうかと思いますが、それはそのリスクは背負って立つ、その覚悟でまずはやってみようと挑戦をしていく、このことがなくして、前進はないと思っています。皆さんも、まずは仕事のルールやマナーを覚えていただくということが大事でありますけれども、ある程度それができてきたかなと思った頃には、この「共感」と「前進」のための5つのキーワードを絶えず思い出していただければありがたいと思います。
 そして、当面の県政の課題についても、皆さんに知っていただきたいと思いまして、お話させていただきます。高知県政の今最大の課題は何か、これは一言で言えば、やはり人口減少だと思います。私が皆さんと同じ年頃、40年前になりますけれども、高知県の人口は80万人を超えておりました。今は67万人となっております。最大の理由は少子高齢化の進行であります。1年間に高知県内で残念ながら亡くなってしまう方が1万人おられます。これに対して、新しく産まれてくる子どもたちは年間4千人、差し引いて年間6千人が自然減という形で毎年減少しているという大変厳しい人口減少下に高知県は今あります。加えて、約千人から2千人の方が、進学や就職を機に県を離れてしまう社会減もあります。こうした人口減少の中で、何とか元気で豊かな高知県を維持し、またこの元気さ、豊かさを向上させたい、そのために日々県政に取り組んでいるところであります。
そのために3つの高知県のあるべき姿を挙げて、様々な政策を展開しています。
 まず第一に、いきいきと仕事ができる高知県でなければならない、若い方々に魅力のある仕事を提供できなければ人口増加は期待できない、ということであります。そのため、産業振興計画を掲げて、付加価値の高い、言い換えますと、高い給料が払える仕事をたくさん創っていく、このことをまず県としてはやっていくというところであります。
 第二の目指すべき姿が、いきいきと生活ができる高知県ということであります。高齢化が進んでおりますが、健康寿命を少しでも伸ばして、そして、社会の絆が色んなところで弱まっている中でありますけれども、地域共生社会を形作っていくということ、そして子育て支援や教育の充実を図っていくことで、若い世代をバックアップしていくということ、こうしていきいきと生活できる高知県をつくっていくことが、第二の目指すべき姿であります。
 そして第三が、安心安全な高知県、これは全ての基盤であります。南海トラフ地震対策や道路河川といったインフラ整備、こういったことを着実に進めていくということであります。
こうした大きな方向性の下で展開しております県政でありますが、今日から始まります令和5年度に関して申しますと、ここ数年間、コロナ禍に振り回された年月でございましたが、出口がやっと見えたところであると思います。このコロナからの脱出ということを打ち出していくために、県の経済をしっかりと回復させたい、そのために、本日放送が始まりました連続テレビ小説「らんまん」を最大限に活かして、観光の需要の回復を図っていく、そして、2年後の大阪・関西万博に向けて経済活力が高まっております大阪・関西との経済連携を強化して高知の経済を元気にしていくこと、そして、中山間地域の再興のためのビジョンを創っていく、こうしたことを今年度は重点的に取り組みたいと思っております。
 しかし、今後5年先、10年先の県政を浮揚させていくということを考えた場合には、さらに踏み込んで、時代の大きな流れでありますデジタル化であったり、グリーン化であったり、グローバル化であったり、こうした流れを先取りして、県政のあらゆる分野で、県の施策を進化させなければならないというふうに思っています。そうすることで、少しでも元気で豊かな、そして温かな高知県をつくって、これを次の世代に引き継いでいく、このことが私自身の大きな使命であると感じています。
 皆さんには是非、1日でも早く県庁職員としてのルールやマナーを身に付けていただいて、1日でも早く県政の様々な取組に加わっていただければありがたいと思います。そして、繰り返しになりますけれども、皆さんの県庁における仕事、このことの基本は、県民の皆さま全体への奉仕ということであります。皆さんの常日頃の仕事が、どう県民の皆さまに役立っているのか、このことを絶えず自問自答しながら、私どもと一緒に県勢浮揚のために戦っていただくということを強く期待しまして、私からのごあいさつとさせていただきます。皆さんよろしくお願いいたします。

 

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