令和6年2月15日 知事の記者発表

公開日 2024年02月19日

1 令和6年度当初予算案の編成方針について
2 人口減少対策総合交付金の活用に向けた市町村支援について①
3 人口減少対策におけるインパクトのある施策について
4 人口減少対策の抜本強化について
5 目指す高知県像について
6 人口減少対策総合交付金の活用に向けた市町村支援について②
7 令和6年度当初予算における教育関連の予算について
8 能登半島地震の発生を受けての南海トラフ地震対策の強化について
9 能登半島地震の被災地調査と専門家からの県へのアドバイスについて
10 若者人口の増加や外国人材の受け入れ人材確保施策の狙いについて
11 一次産業における女性の担い手確保について
12 令和6年度の組織改正について①
13 国からの特定利用港湾指定についての説明内容と、これに関連する令和6年度予算について
14 令和6年度の組織改正について②
15 令和5年度の県政における取り組み成果と令和6年度への抱負について
16 令和6年度当初予算案における特別職報酬の独自カットの取りやめについて
17 令和6年度の予算編成において知事選挙が与えた影響について
 

 R6当初予算記者発表資料[PDF:7MB]

(司会)
 ただ今から、知事記者発表を始めさせていただきます。初めに知事から令和6年度当初予算案の概要等について説明があります。

(知事)
 本日は2月の定例県議会に提案をいたします来年度の当初予算案をはじめとした議案の関係、それから組織改正の関係、さらには共働き・共育て関係の県民運動の関係、さらには全国植樹祭の招致の関係、合わせて4点について、冒頭、私からご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、2月の定例県議会への提出議案、当初予算を含めました議案の内容です。県議会の2月定例会を2月21日に召集します。今回提出いたします議案は、令和6年度の一般会計予算など予算議案が41件、条例その他議案が44件、合計で85件ということになります。以下、特に当初予算案の概要について簡単にポイントを説明します。
 全体の予算規模は4,656億円、前年比で129億円ほど減になっておりますが、主たる原因は、コロナ対策関連の予算、全額国費で賄える予算が今年度は乗っていないということが主たる要因でして、それ以外では、実質的に前年並み程度ということでご理解いただければいいと思います。
 そして、予算編成の考え方として、県勢浮揚に必要な施策は着実に実行する。一方で、今後の財政運営を見据えて財政の持続可能性ということにも配慮する。そういう予算編成に努めてまいりました。ポイントの4点をまとめております。
 一つは、施策体系のバージョンアップです。昨年の知事選挙で、私は共感と前進の県政によりまして、デジタル化、グリーン化、グローバル化、こういった視点からの県政の進化を図っていくということを一つの柱として訴えてまいりました。これに沿った体系を整理すること。
 もう一つは、人口減少問題が今の県政の最大の政策課題であり、その克服を図っていくためには、「いきいきと仕事ができる高知」、「いきいきと生活ができる高知」、「安全・安心な高知」、この3つの目指すべき県の将来像の実現を図っていくことがポイントになるということを申し上げてまいりました。
 この3つの目指す県の将来像、これに沿って今までの5つの基本政策、3つの横断的政策課題、この体系をもう一度大ぐくりで整理をし直したことが、もう一つのポイントです。
 2点目が、人口減少対策の抜本強化ということでして、これは「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を今回、全面的に改定して、来年度から「高知県元気な未来創造戦略」を策定し、実行に移してまいります。この戦略に基づきまして施策の3本柱、一番中心になりますのは、若者の人口、34歳以下の人口の減少傾向に歯止めをかけて、これを増加に転じていこうということ。そして、出生数の増加を目指して、これに掛け合わせる要素として婚姻数の増加、出生率の向上、この3つの柱で人口減少対策を抜本的に強化する。そのために必要な諸施策を今回積極的に計上しました。
 3つ目が、災害に強い県土づくりです。今年の年初に、能登半島地震が発生しております。こういったものも踏まえまして、この教訓を踏まえた検証、より時間をかけて行うべきものもありますが、当面、急いで措置をする必要があるものを措置するということも含めまして、国の5ヵ年の国土強靭化の加速化対策、こういったものも活用して、インフラ整備の加速などの防災・減災対策の強化を行っていくところがポイントの一つです。
 ポイントの4点目が持続可能な財政運営でして、必要な施策は積極的に計上いたします一方で、将来の財政運営の安定性ということにも配慮をして、この持続可能性を確保するために必要な、基金の残高の確保をするといった点にも意を用いたところです。
 施策体系のバージョンアップは、ただ今申し上げたようなことでして、最重点施策として人口減少対策、この3つの新しい時代のトレンドの先取り、こういったところで施策体系を整理したということと併せまして、目指すべき3つの高知県像、これに沿って従来の5つの基本政策、3つの横断的な政策、この辺りを大ぐくりに目的として、仕事、生活、安全・安心、この3本の中で、改めて整理をし直したといったような中身になっています。
 そして、人口減少対策の強化です。目指す方向としては、特に若年人口が40年以上減少し続けている、このことが今の人口減少の大きな要因になっていると考えます。地域の活力を取り戻していくために、やはり若い人の人口を増やしていかないといけない。そのためには、今減少している傾向に、4、5年後までには何とか歯止めをかけて、増加に転じさせ、10年後までには今の水準まで戻していくことを目指す、これもかねて選挙期間中も私が訴えてまいった大きな目標です。
 このために、3つの目指すべき高知県像の実現、これが、そのまま人口減少対策ということですが、特にテクニカルに出生数の増加が象徴的に、今必要な施策の大きなポイントであるということも踏まえますと、「若年人口の増加」、ここを中心に進めながら「婚姻数の増加」、「出生率の増加」、これもそれぞれ数値目標を定めて、この3つの掛け合わせで出生数を増やしていく。令和4年は47件で最少という非常に厳しい状況が出ておりますので、この掛け合わせで出生数の増加、4,200人という目標、高い目標ですが掲げております。これが引いては、若年人口の増加にもつながっていくという形で好循環をもたらしていくと。そのために固定的な性別役割分担意識の解消などの条件整備も図っていこうと。
 そして具体的なこれを支える手段として、市町村と連携して人口減少対策に総合的に取り組んでいくために、人口減少対策総合交付金、市町村の自由度の高い、あるいは県と連携して、先駆的な施策を打っていくための総合交付金の枠、10億円を確保するという形で、今回、人口減少対策を最重点として講じていこうという枠組みをつくったところです。
 こちらは、災害に強い県土づくり、インフラ整備の予算規模です。令和4年度、5年度、6年度と書いておりますが、昨今は、当初予算に加えまして、国の補正予算で経済対策分として、国土強靭化の加速化対策分が上乗せをされるという形が、国の枠組みとして取られておりますので、これに沿いまして、当初予算の計上額プラス前年度の補正予算で計上して、当該年度に執行が想定されます補正予算による上積み分、これを合わせたところで実質的なインフラ整備の予算規模をまとめております。
 結果、前年比微減ということですが1,200億円から1,190億円余りということですから、実質的に概ね同水準を確保をした予算になっているとご理解いただければいいと思います。
 持続可能な財政運営に向けた配慮ということです。財源の確保、国の財源の活用はもとよりですが、歳出の中身も削減と書いておりますけれども、どちらかというと重点化でして、既存の予算を見直して、シーリングで見直す中で財源を生み出して、新しい人口減少対策に必要な予算の方に振り向けていくという、予算の組み換えの努力をしていくということ。そして、デジタル化などの効率化の施策も図っていく。
 結果、最終的な財源不足は138億円、前年比で26億円ほど減という数字になりまして、これに資金手当てのための地方債も活用することで、基金の取り崩しは108億円規模に抑えたということによりまして、前年同時期に当初予算編成後の年度末の財政調整的な基金の残高として見込んだのと、概ね同一水準が確保できるという意味で、先々の県財政の安定的な運営というこ とにも見通しを付ける、そうした形の予算にできたと考えております。
 これが基金の見通しでして、こうした形で今回108億円取り崩しますので、基金の残高は一旦減ることになりますが、この水準は昨年のこの時点で、令和5年度の年度末として見た水準と 概ね同水準を確保できております。昨年の秋9月に推計しましたシミュレーションを便宜上当てはめますと、当面財源不足は続きまして、基金の残高の減は見込まれますけれども、数年後 には、いわゆる税の増収などによって、この残高の目減り傾向から脱却をきそうだというところにございますので、そういった意味で、先々の財政運営に関して、一定の見通しは立てるこ とができる残高の基金は確保できている。
 また、一方で借金であります県債の残高、これは近年こういった傾向続いておりますが、下がいわゆる従来型の建設事業に伴います建設地方債、そして、上が臨時財政対策債といわれま す、いわゆる赤字地方債、地方交付税の総額が足りないために、地方で赤字地方債を出しておいて、償還は国が後々に面倒見ると、そういう約束になっている部分です。
 この臨時財政対策債の部分が、近年は圧縮されてきている、減少している、かつ健全化が進んでいるということがありまして、県債全体の残高も一点を打ってきている。そして、先々の 推計を見ましても、国土強靭化の5ヵ年の過疎化対策の、今の計画の終わった後について見れば、県債残高も減少していくことが見通せるといった形で、債務残高という点から見ても、財 政的な将来の財政運営の安定性というところについて、一定の見通しが立っていると言えると分析しております。
 こちらは、歳入として性質別の歳出入分類です。国のいわゆる重点支援交付金、臨時交付金、物価対策等への対応ということでございまして、最近の経済対策では、国が昨年秋から年末 にかけまして対策を打たれた中で、本県についても、臨時交付金35億円余りの枠の配分をいただいております。
 12月補正予算で約半分強の18億円余りを計上して使ったということになっておりますので、残る半分程度、今回は年度末近くの経済対策ということもありまして、令和6年度に繰り越し て使うこともオーケーという見通しが立っておりますので、今回の当初予算、あるいは2月補正で、残りの17億円ほどを活用して物価高騰対策等を講じていくということにしております。
 予算の主な中身について、特に新規の事業中心にいくつか拾ってご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、人口減少対策の関連予算です。3本柱がありまして、一つは、若者人口の減少を食い止めて増加につなげていく。このための、特にさまざまな施策がありますけれども、新しい特 徴的なものとして奨学金の返還を企業と共同で県、あるいは市町村が支援していく。このことによって県内定着を促していく。そういった新しい枠組みの制度をつくろうというための積立 金。そして女性の働きやすい環境の整備に向けまして、さまざまな施策を打っていこうと、中身が新しいものであります。
 婚姻数の増加、特に中山間地域で出会いの機会が少ないというご意見もいただきますので、中山間地域での出会いの機会の充実といった点に特に意を用いて、機会の拡大を図っていくこ とにしています。
 出生率の向上につきましては、例えば子育て応援の店におきますサービス提供、環境整備を支援するといった新しい取り組みなどを含めまして、子育て支援を厚くして、各カップルが持 たれますお子さんの数を増やしていくことの後押しをしたいということです。そして、全体を通じました課題として、「共働き・共育て」という固定的な性別役割分担意識の解消に向けた 県民運動を展開していこうということにしております。
 一つには、このことで女性の負担軽減をしていくことで、出生率の向上に直接的な効果があるのではないかということと、もう一つは、いわば男は仕事、女は家庭、育児、あるいは家事 といったような役割分担意識が敬遠されて、大都市から若い女性が帰ってくる、あるいは入ってくることの妨げになっているのではないかという可能性も意識しておりまして、こうした共 働き・共育ての推進をしていく。そして、そのエンジンとして、男性も育休を取っていくのが当たり前の世の中に、高知が先行してなっていくんだというところ、ここをぜひ運動の中心に 据えていきたいと思っています。このことを通じて出生率の向上の効果も期待ができるし、若年人口の増加についても後押しの効果を持たせたいという狙いで、後ほど詳細は、またご説明 を申し上げますが、その点もポイントの一つとなっていると考えています。
 中山間地域対策です。出生率が相対的に高い中山間地域で子育てをする環境をより整えていく、生活環境を整えていくことも今回の対策の中で、一体的に人口減少対策としてやっていこ  うと。その中で、いろいろありますけれども、特に1点だけ申し上げますと、「若者を増やす」ための対策として、中山間地域の中心的な産業であります一次産業、建設業こうしたところ にも若者、特に女性がより入りやすい、今ですと、どちらかといいますと、力仕事・男の仕事、そういうイメージがありましたところに、女性、あるいは、あまり熟練していない若者でも 十分に就業ができるという体制をつくることで、若者を増やす対策にもなるし、こうした産業の担い手不足を解消していく対策にもなる、一石二鳥だと思っておりますので、こういう対策 を特に力を入れてやっていきたいと思っております。
 「くらしを支える」については、無医地区などによりますオンライン診療の拡大、「活力を生む」では、特に就活センターでしたり、伝統的な民俗芸能の保存・継承でしたり。「しごと を生み出す」につきましては、事業承継の奨励を図るような奨励給付金を新たに設ける。こういった施策を展開してまいるつもりです。
 そして、最大の目玉的なものは人口減少対策総合交付金です。県と市町村が目標を共有しまして、ベクトルを合わせて、そして具体的にどのような事業を行っていくかということは市町 村の自主制を尊重して、各地域の実情に合わせた人口減少対策、新しい対策を打っていくための枠として、今回10億円を計上しました。
 対象事業は、人口減少対策の大きな柱となる4つについてでして、単なる財源振替ですと、県民の皆さんからとって、何らサービスの内容が変わらないということでは、私どもとしては 意味がないと思っております。市町村に対して中身の自由度は尊重はしますけれども、新しい事業、あるいは今までの事業を拡充する事業に使っていただきたいと、そうすることで住民の  皆さんに新しい効果がもたらされていくことを期したいという考えに至っています。
 大きく分けて2つのパーツに分かれておりまして、4億円につきましては、基本配分型。これは人口の要因などによりまして、外形的な基準で全市町村に配分をいたします。このくらい のレンジの額が想定されていますが、これにつきましては、こうした人口減少対策に役立つと各市町村がお考えの新規拡充事業をやっていただくという前提で、どういう事業に充てていく かは、市町村のご判断に任せようという考え方にしております。
 今の物価対策とか、かつてのコロナ対策の、政府からの重点交付金と支援交付金などと同じようなイメージで使っていただければいいという感覚でおります。
 これに加えまして、それぞれの事業ごとに県も事業の中身をお聞かせいただいて、特に県と市町村が連携して、施策の拡充、新規施策の展開を図っていこうとするものが連携加算型の予 算、ここは当初4億円という線で検討しておりましたけれども、一つには、この基本配分型、4億円の予算を計上しますけれども、うち1億数千万円程度は、既存の事業を吸収して、この 交付金に衣替えをするという要素があります。
 そういった点もありまして、市町村長といろいろな意見交換をする中で、いわば期待していた点からすると、より連携加算型の支援も手厚くしてもらいたいというご意見もいただいたと   いうこと。そして、連携加算型も、元々我々が4億円の規模で想定していた時よりも、多くの市町村が参加をするという方向で準備をしていただけそうだということ。そういうことも考え まして、連携加算型は、各市町村の基本的な上限額を全市町村がこれにエントリーをされた場合でも、概ねさばける程度の枠は確保しておこうということで、最終的に2億円を上積みしま して6億円を計上するという判断をしました。中身はソフト施策の連携施策については原則3分の2。そして、市町村長とのやり取りの中で、特に住まいの確保などを含めて、ハード面の 事業の方がニーズが高いというご意見をかなりたくさんいただきましたので、ハード面、事業費もかなり大きくなりますので、交付率は原則2分の1ということにさせていただきますけれ ども、ハードの施策も市町村で必要と考えられる施策については、先駆的な施策、あるいは県の目標達成に高い効果が期待される施策については、支援の対象としていこうということで、 今回ハード面の施策を対象とすると。こういったことも合わせて考慮して、連携加算金については、6億円の枠を確保して、トータルで10億円という規模を確保しようということにしたと いうところです。
 デジタル化の推進につきましては、大きく3つポイントがあると思いますが、1つは情報通信技術の高度化によって、都市部との距離のハンディがなくなるということ。これを生かした 中で、特に最近では衛星通信を活用した情報インフラ整備についても、手掛けていくということ、そしてビッグデータをIoPなどで集めて、AIで解析をして、最適解を出していく。こう いったことにつきまして、新しい取り組みとしますと、商店街の人流をAIカメラで特定して、これを商店街のビジネスチャンスの拡大に使っていこうといったものなどについて、新たに 提議をしています。
 そして、3点目はドローン、GPSなども含めまして、現場、オフィスの作業を効率化・省力化していく。若者や女性にも、必ずしも今までの仕事に習熟をしてこられなかった若者、女 性、あるいは力仕事が苦手な方でも、こういった新しい技術を使って、公共事業などの現場に入っていただける。そのための助けとして、デジタル技術を使っていこうと。こういったよう な観点からの施策の充実を図っています。
 グリーン化のトレンドに関してですが、CO2の削減というのが脱炭素の一番肝になる部分です。高知らしい施策をしたいというのが一つの大きなポイントでして、特に林業振興、木材の 利用拡大を全国的に、全世界的に図っていくことで、高知の得意な林業を盛んにすることが、脱炭素の貢献にもなるし、また県経済の活性化にもつながっていく。そうした意味で、再造林 の推進などの林業振興策をしっかりやっていくということ。
そして、高知の降水量や日照量を生かして、再生可能エネルギーを使っていく。具体的には市町村レベルでいろいろなプロジェクトが進んでおりますから、こういったことも含めて、再生 可能エネルギーの導入を促進していく。省エネ関係では、特に今年度行っておりますご家庭におきます省エネ家電の購入の支援のキャンペーンこれを(国の臨時)交付金も活用いたしまし て、来年度も夏のエアコンの入用期をターゲットにして、エアコンとか冷蔵庫などの省エネ家電の購入の後押しをしていこうと、第2弾として新年度も行おうと予算も計上しておりますの と、道路照明を既存の照明からLED化をしていく。これを国の支援制度も活用して一斉にやっていくことで、電気代の先々の節電を図り脱炭素も進めていく。こういった施策も今回計上 しております。
 関連産業の育成ということに関して申しますと、従来のそうした製品の技術開発の拡充に加えまして、ポータルサイトの充実などを図っていくということを入れております。さらに、オ ール高知の取り組み、啓発の強化といったような予算も計上させていただきます。
 グローバル化の推進に関して言いますと、県産品の輸出の拡大、そしてインバウンド観光のところでは、特に高知龍馬空港の国際線ターミナルの整備を令和7年度に向けて行っていくこ   と。外国人材の受け入れ対策では、年初に訪問してベトナムのラムドン州、あるいはインドのタミルナド州とMOU、いわゆる人材の送り出しに向けた覚書を締結いたしました。こうした 形で、新しい送り出し国との関係を安定的にしっかりと築いていきたいということで、当地での送り出し機関で日本語を学んで、一定期間、今は3年ということで考えていますが、3年 間、県内で就労していただいた外国人材に対しまして、現地におきます日本語の授業料に相当する金額を給付していく制度を入れたいということで、今回、議会にご提案させていただくと いうことにしております。
 新しい体系に基づきます「いきいきと仕事ができる高知」の実現、これは経済の活性化ということで置き換えてもいいと思います。
 目標としては、1人当たりの県民所得の向上について数値目標を掲げまして、特に地産外商の強化、関西や海外にも打って出るということ。そして、イノベーション、デジタル化・グリ ーン化の流れを先取りして、新製品・新技術を開発していく。この2つを強化の大きな戦略の柱といたしまして、さまざまな施策を講じてまいりたいと考えています。
 このために、関西圏につきましては、アンテナショップを今年の夏には開設していく、その関連の経費。そして、その際には関西在住の高知県ゆかりの方々を巻き込んでいこう。そのた めの経費も計上させていただいています。
 そして、イノベーションに関して言いますと、IoP、デジタル化、そして、ヘルスケア関係、アニメ関係、こういった従来取り組んできた分ではありますが、これらについても新しい展 開を図っていくための予算を措置しています。
 観光関係です。特に新年度からは「どっぷり高知旅キャンペーン」新しいキャンペーンを4年間の予定で展開するということ。そして来年の朝ドラの「あんぱん」にゆかりが深い物部川地域での受け入れ関係の整備。こういったところを支援していく。こういった中身とインバウンド関係の予算が主なものになっています。
 物価高騰対策としましては、事業者の方々には省力化の設備の整備を図っていくための支援。そして、生活支援として、省エネ家電の購入キャンペーンを、今年の夏も、第2期のキャンペーンとしてやっていくための予算を計上しました他、私立学校の低所得世帯に対します小中学校専攻科の授業料支援、これも財源の目途がたちましたら前向きにということで申し上げておりましたが、(国の臨時)交付金が年度を繰り越して使えるという見通しが立ちましたので、令和6年度もこの補助金を措置をさせていただこうということで計上させていただいてます。
 一次産業におきます取り組みの強化。農業・林業・水産業、それぞれ今まで講じてきました生産性向上、あるいは新技術の導入といったところを支援することを中心に、あるいは担い手対策ということに意を払いながら、対策を講じることにいたしております。
 次に、日本一の健康長寿県づくり、きちんと生活ができる高知のカテゴリーの部分。ここにつきましては、健康寿命の延伸でありましたり、いわゆる地域包括ケアシステムでありましたり、子ども・子育て支援といったところをポイントとしてまいっておりますが、その中で、特に中山間地域の医療基盤、介護基盤、福祉サービスの基盤を強化していくという視点。
 そして、新しい柱としての取り組みは既に始めておりますが、困った時に地域で支え合います高知型地域共生社会の取り組みを強化していこうと、こういった中身を主なポイントとして、第5期の構想を進めようということにいたしております。
 具体的な施策としまして、健康寿命の延伸につきましては、例えばフレイル対策として、これは私自身、1期目から力を入れてまいりました、いわゆる透析の予防のことがあります。これをいよいよ全県展開していくという予算を計上しています。それから、医療・福祉介護サービス基盤の確立。地域包括システムといったことで進めてまいったものでありますが、特にオンライン診療の推進、あるいは中山間地域におけます、あったかふれあいセンターでの介護サービスの提供を始めるといった取り組みを、試行的に始めていくことでございまして、こういった、特に中山間地域の医療の基盤、あるいは介護の基盤の確保が、非常に危機にさらされているという危機感を前提にした強化の施策をポイントとしております。
 そして、こどもまんなか社会の実現につきましては、子育ての応援の店などのサービス強化の支援を図っていくということ。そして、高知型の地域共生社会の実現に向けましたPRの強化といった予算を計上させていただいています。
 「いきいきと生活ができる高知」の実現の、もう一つの柱が教育です。これも第3期の教育大綱を策定しておりますが、新しいポイントは特に目指す人間像といたしまして、昨今の価値観の多様化ということも踏まえまして、多様な個性や生き方を互いに尊重し、共存し合うと、こうした柱を新たに立てるということ。この中で、例えば不登校も、いわゆる問題行動ではない。一種の個性として認め尊重していく。そうした流れの中で、従来の学力・体力と合わせまして、今まで徳育と言ってまいりましたが、それをもう少しより実態を踏まえた表現で、豊かな心の育成という形で置き換えまして、不登校の生徒への支援などもやっていこうと、さらに強化していこうというような中身で取り組むことにしています。
 こうした中で学力の向上ということに関して申しますと、キャリアアップ事業、あるいは就学前の教育・保育の質の向上、保幼小の連携の強化、こういったところに意を用いております他、不登校対策では、より多様な教育機会を保障していこうというところに新たに取り組みたいと考えております。
 また、基盤整備ともいえますが、学校の先生の働き方改革、人材確保の対策、そして、いわゆる事務仕事などの生徒と向き合う以外の仕事を、支援員を配置して肩代わりをしていくというところをさらに拡充していく。そして、中山間地域の高等学校も含めまして、魅力化を図っていく、こういったところに力を入れたいと考えております。
 そして、「いきいきと生活ができる高知の実現」、文化芸術・スポーツの振興です。令和8年の「国民文化際」、「障害者芸術・文化祭」の開催に向けての準備、そして、中山間地域対策という観点も含めてですが、各地の民俗芸能の保存・継承、高知城についての耐震対策、これ文化庁のご示唆をいただいておりまして、取り組んでいこうということで開始いたします。
 また、スポーツの振興に関しましては、これは昨年から補正予算で設計費などを計上してまいりました、幡多地域の公認陸上競技場の確保という観点からの宿毛市への支援、こういった予算も計上しております。
 そして、安全・安心な高知の実現、3本目の大きな目指すべき高知県像ということで、これは特に南海トラフ地震対策のことについて、ご説明をしたいと思います。
 元々、東日本大震災直後は最大規模の地震を想定した場合には、県内で死者の最大規模が4万2,000人と見込まれる状況でした。今までの対策の中で、それが8,800人、8割減というところまでは既に見込める効果が上がってきている。今、第5期の対策を通じて、来年度末にはこれをさらに半減をさせようということで、このために必要になってくる住宅の耐震化や早期の避難の意識の向上を進めていくというのが今の取り組みの現状です。将来的にはこれを限りなくゼロに近づけていきたいということで、取り組んでまいりました。
 今回の能登半島の地震におきます特色を見ますと、特に本県と地理的に類似をした中山間地域、沿岸部で大きな被害が生じている。そして、建物倒壊あるいは道路の寸断といったところが、特徴的な孤立の地域の発生といったところが特徴的なポイントになっているということでして、これを踏まえまして、特に当面の各種の報道なども含めて、現時点での取り組み強化のポイントとして、住宅耐震化、自助の取り組みの強化、そして、もう少し時間をかけて新年度へ入って調査をし、教訓を踏まえて対策を強化するという、いわば二段構えで対応していこうということにしております。
 大きく3つに分けて、南海トラフ地震対策を講じてまいりました。それぞれの分野について、ポイントとして申しますと、「命を守る対策」、住宅の耐震化が一丁目一番地ということで進めてまいっておりまして、今回は資材単価の高騰なども踏まえて、住宅耐震化の助成の単価を引き上げるという形で、これはもう当初予算の段階で措置をしておこうということで今回計上をいたします。
 それから啓発の強化、自助の努力をやっていただくということですけれども、その一環として、特に今回、輪島市の市街地での大規模火災も見られました。この重点推進地区において、耐震ブレーカー、地震の揺れを感知してブレーカーが自動作動をして漏電火災を防止をする。こうした資機材については、東日本大震災後に既に配布をしているわけではございますが、その後10年ぐらい経っておりますので、新たな建物に配布する必要な予算を、今回、緊急措置として計上しております。
 そして、「命を守る」対策ということで、ボリューム的に大きいものとしましては、浦戸湾の三重防護対策、令和13年を目標に進めておりますのを、国の予算などを確保して23億円ほど、その他、堤防整備、要配慮者支援、こういったものをやっていきます。
 「命をつなぐ」対策としては、高所カメラの配信システムによって、早期に災害の状況の情報収集を図っていく。耐震性に欠けた防火水槽を撤去する、これは県独自の手当をしていこうということ。
 そして、防災拠点化施設を道の駅にも拡充をしていくと、こういった予算とともに命をつなぐ対策の中身として、いわゆる四国8の字ネットワーク高規格道路網の整備、緊急輸送道路にあたります橋梁の耐震化、こういった予算を投入をするということにしております。
 「生活を立ち上げる」対策としては、これもここ数年進めてまいっております事前復興のまちづくり計画の策定を沿岸市町村で行っていくための支援、これを引き続き計上いたします他、南海トラフ地震対策の強化のために、今回の能登半島地震、年度が改まりましたところで改めて能登半島地震の教訓について調査し、専門家の助言をいただいて、対策強化を図っていくための予算、これも今回計上させていただいております。
 そして、これは防災・減災に加えて、経済活性化などの目的も含めたところでの、いわゆるハード整備、インフラ整備の予算の全体像です。事業費的に大きいのは、やはり道路事業にな りますが、道路、河川、砂防、あるいは港湾・海岸等、農業基盤整備、造林関係、林野関係の予算などなど、それぞれについて全体としては、実質的に前年度とおおむね同水準の確保をし て、着実にインフラ整備を進めてまいる考えです。
 その他の事業としまして、工科大の新学群の新しい建物の整備、それから消防学校の寮の改修、それからこれは国の施策ですが、免許証とマイナンバーカードの一体化が行われます。これの準備に向けたシステム整備。
 そして、とさでん交通などへの支援、そして、公共交通の活性化といたしまして、空港連絡バスをクレジットカードのタッチで料金決済ができるようなシステムを入れていくことの支援、牧野植物園に関しましての修繕工事、さらには、今年度から始めております県庁のワークスタイル変革プロジェクトをさらに危機管理部にも広げていくといったような予算を計上させていただいているところです。
 2月補正予算についてです。金額的に大きいのはコロナ対策でして、一応令和4年度までと同じような状況になった場合には対応できる予算というのを計上しておりましたけれども、結果、多くの不用が見込まれますので、これについて減額するというのが金額的な大きなものです。
 その他、不用になりました予算を今回減額清算をするというものの他に、国の補正予算のからみで学校の情報機器の整備、情報端末などの整備のための基金を積み立てておく。介護職員の処遇改善の補助金、さらには、2月補正で対応するものとして、省エネ家電の夏の時期のエアコンなどにも対応できるような第2弾のキャンペーンの経費、こういったものなどを計上させていただいております。
 予算に関連しまして、ふるさと納税を活用しました学校支援制度を新たに設けることのご報告をしたいと思います。この類似の施策は今年度から始めておりますNPO法人などが公益的な事業をやる時に、ここにクラウドファンディングをすると、これと、ふるさと納税を組み合わせまして、ふるさと納税を活用していただくと非常に厚い税制の優遇がありますから、寄付をしていただいた方、実質2,000円の負担で1万円も2万円も寄付の効果が出せるということでして、今回のみそは県が間に入りまして、クラウドファンディングの原資を県がふるさと納税を通じて集めると、そして、事務的な経費は差し引きさせていただいて、例えば今回は、私立学校・県立学校が国際交流のための海外訪問でまとまったお金がいる。あるいは部活の環境整備のためにまとまったお金がいる。これにクラウドファンディングの旗を立てていただいて、県民の皆さん以外も含めてですが、全国から寄付を募って、一定規模が集まれば、こうした額の目安の中で県が集まったお金を原資にして学校への支援の補助金を出すと、こういう枠組みを今回、今までNPO法人の公益事業などについては始めておりましたけれども、県立学校も含めて、学校でこういうクラウドファンディングをやりたいという時に、ふるさと納税の枠組みを使って支援していく制度を入れることにいたしました。
 組織改正、大きな2点目のご報告です。大きな部制の改正です。今回、部制の改正をいたしまして、私自身の問題意識として、特に人口減少対策、これを中山間地域の振興対策と一体的に、より強化して取り組む必要があるということ。
 そして、1期目を通じまして、より県の総合的な企画立案の機能、より斬新で柔軟な政策立案をサポートしてくれる体制を作りたい。そして、こういった人口減少、中山間地域対策など部局横断型の施策を県庁一丸となって対応していくための司令塔機能を強化したい。この思いを持っておりまして、今回そのために総合企画部を県庁の筆頭部として、今の総務部の秘書、広報などの機能、産業振興推進部のまち・ひと・しごと創生、これも人口減対策ということではありますが、の計画を総括していた機能、それから中山間振興・交通部の機能、これを統合して、新しく総合企画部をつくる。そして、特に人口減少、中山間地域対策、これだけで大きなボリュームがありますし、庁内調整にも力を揮っていただくポイントになる人が必要だということで、ここには部長級の理事を設置して、この分野を統轄していただこうという組織改正をしたいと、部制の改正になりますので、これは条例を提案させていただきます。
 あと、部制改正の関連としては、今、文化生活スポーツ部にありますスポーツ課を観光振興部に移管しまして、スポーツツーリズムにより力を入れた取り組みをしていこうということで、こちらも部制をさわるということになりますので、条例改正を提案させていただくことにしています。文化生活スポーツ部は、令和8年の国民文化祭の準備などの負担も重くなってまいりますので、こうした形で、スポーツを観光振興とより一体的に充実を図っていくということの強化とセットで、組織改正をしたいと考えています。
 その他、大きな3点目です。今回の予算の際に、特に共働き・共育てをキャッチフレーズといたしました県民運動、そして、ある意味では全国的なプロモーションを展開していきたいと、その時には当面、男性が育児休業を取得するのが当たり前の社会にしていく。これを象徴的な原動力となる取り組みとして前へ進めていきたい。このことによって、男が仕事、女が家庭といった性別の固定的な役割分担意識を解消していくことに力を尽くしていきたいという取り組みについてご紹介をさせていただければと思います。
 この解消の必要性は、大きく言って2つだと思っています。一つは出生率を上げていくためには、女性にだけ家事・育児の負担がかかっている、この現状は是正しないといけないということ。
 もう一つは、こうした固定的な役割分担意識が、都会にいる女性が高知に帰ってくるという時に、居心地の良さを感じてもらえない一因となっている可能性があるということ。ここを直していかないといけないのではないかという、このふたつの狙いがあります。
 取り組みの方向性としては、従来型の例えばセミナーをやったり、動画を流したりという啓発はやっていきますけれども、もっと要は地上戦的な取り組みとして、地に足が着いた県民の皆さんの生活に、あるいは県民の皆さんお一人お一人の周りに、高知も変わってきたなという実感を持っていただくためには、やはり男性の育児休業をもっと広げていくと、ここをやっていかないといけないのではないかと、若い男性自身はかなり意識調査などでも全国的に見て、育児・家事への協力の意識が強いというデータが出ているのですけれども、育児休業の取得促進ということで、より管理職の中高年の年齢層の方々にも意識していただく。あるいは職場の周りの方々も協力していただかなければいけませんから、そうした自分の身の回りでこういったことを動きを起こしていくということを通じて、これを原動力として、男性が育児休暇を取得するのが当たり前、こういう社会を高知県がいち早く全国に先駆けて実現することを目指した取り組みをぜひ、今年度以降、これは1年では終りませんので、息の長い取り組みになりますが、力を入れてやっていって、人口減少対策にも大きく寄与するものにしたいという思いでおります。
 このための施策として、特に男性育休の取得のための具体的な支援策として、企業が男性育休を承認した時に、代わりの要員を雇い入れなければいけない。配置しなければいけない。その場合の経費を支援するということ。そして、建設業などでは、こうした男性育休が進んでいった事業者について、入札の参加資格で加点することを今年度中にも検討していくということ。
 そして、企業でいわゆる出張型の企業版両親学級、育休は男性が取ったのだけれど、ただ休んでいるだけで、育児に協力しないのでは意味がないというご指摘も、昨日の会議でもいただいたところでして、こういった両親、親になっていくということで、父親も一緒になって育児に参加していくことが必要なんだということのための、具体的にどうすればいいかという両親学級、こういったものを開催するための支援。
 そして、ワークライフバランスなどを中心とした先進的な取り組みをしていただいてる企業を激励していくための予算、さらには人口減少対策総合交付金を使って市町村レベルで、共働き・共育ての支援をしていただくということ、こういったことを進めたいと思いますし、家事・育児への参画の促進策として、家事代行などの、企業がそういう支援サービスを導入する際の財政的な支援を入れていきたいと思いますし、各種の情報発信、啓発も力を入れていきたいということです。
 そして、さらに今年度以降、当初予算に計上したものの次をにらんでということでの取り組みを、今考えている点もご紹介したいと思います。
 今回の当初予算では、特に若者の意見、当事者である若い女性の意見を中心にヒアリング調査、アンケート調査などをして、しっかりと何を訴えれば若者が高知に帰ってきてくれる、高知に魅力を感じてくれるかというところのしっかり心を掴むというところを、まず、しっかりやりたいと思います。そして、いろいろなデータの分析であったり、あるいは先行県でどんな取り組みが成功しているか、効果があるかといった情報収集、こういったこともしっかりやって、有識者の意見も聞きながら、誰にどういうプロモーションをかけていくのが若い女性を高知県内に増やしていくというところに対して、有効なのかと、ここはじっくりまず検討したい。年度前半ぐらいはかけて、調査・分析をしたいと思います。
 その上で、今ちょうどこれまで高知家プロモーションをやったような、プロモーションの戦略もつくりまして、高知家プロモーションに、要は匹敵するような形でのプロモーションを県内外にかけていきたいと、これは年度後半以降と思っておりますけれども、こういうことを展開していきたいと考えています。
 もう一つは、オール高知の連携体制の構築ということでして、経済会あるいは市町村の方々と一緒になりまして、特にトップから共働き・共育てを推進していくという共同宣言、これも年度内の然るべき時に行いたいと思っております。例えば県の行う入札などで優遇をするということは、もう年度内から具体的に検討したいと思いますが、来年度以降をさらに視野に入れますと、今回新たに設けました人口減少対策交付金といった県の補助制度でも、特に男性育休の取得が進んだ市町村には、より手厚くお配りするといったようなことも検討することも含めて、とにかく県庁のいろいろな政策手段を総動員して、人口減少対策として、そのバックボーンとなるような性別の固定的な役割分担意識の解消、そういうところの努力をしていきたいという思いでおります。これが大きな3点目です。
 最後の4点目です。全国植樹祭の本県の招致について、ご報告いたします。天皇・皇后両陛下のご臨席を賜る四大行幸啓といわれます、国民文化祭もそうですが、いわゆる国体、スポーツ大会と海づくり大会と並ぶ四大行幸啓ということでして、本県ですと50年ほど前に、当時の土佐山田町の甫喜ヶ峰の森林公園で植樹をされています。前回から40年以上たちまして、ということになります中で、かつ今ちょうど本県が、森林率日本一の本県として、再造林の推進プランを策定して、取り組みを強化をしようとしているというところのタイミングでもあり、また県内の関係団体から、こうした前回から40年以上、47都道府県ですから、順番に回ってくるとしても、そろそろまた次の順番ということでございますので、ご要望もいただいたことも踏まえまして、実施の主体となります国の関係団体に対しまして、令和10年度に高知県で植樹祭の開催をしたいという招致の申し出をさせていただいたとこでして、これをご報告を今回させていただきたいと思います。
 長時間になりましたが、以上でございます。よろしくお願いします。

(司会)
 それでは、各社からの質疑に移ります。多くの皆さまからの質問にお答えしたいと思っております。簡潔な質問へのご協力をお願いいたします。それでは、お願いいたします。

 令和6年度当初予算案の編成方針について
(井上・高知新聞社記者)
 まず、当初予算全体の規模感のことでお伺いします。前年度を下回ってはいるものの、コロナ関連を除けば若干上回る。この規模感は知事ご自身、積極的に編成したような、そういうイメージをお持ちなのかということと、また今回の予算全体をとおして、端的に表すようなキャッチフレーズというか、イメージを示していただけますか。

(知事)
 積極的な予算だと思います。テクニカルには、いろいろ令和5年度の単年度限りの要因があったり、あるいは起債の償還が少しピークを超えて減ってきたというような、テクニカルな要因もあってということですから、トータルに考えた場合に、コロナ対策の予備的に計上してあった分が落ちたということで、ほぼ同規模ということです。中身的には特に人口減少対策。そして、デジタル、グリーン、グローバルという新しい時代の先取りというところについて、積極的に打って出ようということを講じた予算だと思っておりまして、積極的な予算編成をしたと思っています。
 その中で、端的にということで言いますと、今回、新しい人口減少対策の戦略の名前にも使っておりますけれども、「元気な未来創造予算」というようなことではないかなと思っています。人口減少対策が一番象徴ですけれども、高知の元気な未来、元気で豊かであったかい高知をつくっていくということを考えた場合には、デジタル化、グリーン化、グローバル化、新しい時代の先取りということもぜひとも必要だと思っております。こういったことも含めて高知の未来を元気にしていく。そして、次の世代に引き継いでいくために、今何が必要かということを考えて、積極的な予算編成をしたということを自負しております。

 人口減少対策総合交付金の活用に向けた市町村支援について①
(井上・高知新聞社記者)
 人口減少対策総合交付金ですけれども、交付金ということで使い勝手がいい反面、市町村の意欲であったり、力量であったりを問われると思います。いわゆる市町村のモチベーションあげて、よりサポートしていく、どういった形でそれを支えていくのかということと、また、市町村に対するメッセージのようなものがあれば、併せてお聞かせください。

(知事)
 特に連携加算型という具体的な事業を提案いただいて、県としてもコミットしていこうというものに関しましては、一種の数値目標も掲げていただいて、県としても一緒になってやっていくと、そのための計画作りのサポートも含めて、これは市町村からあまり煩雑な手続きを求めることにしないで欲しいというご意見も、市町村長からいただいていますから、その点には配慮をしながら、しかし、ベクトルの方向性を合わせて、心を一つにやっていくということを担保する意味での計画作りはお願いをさせていただいて、そこは積極的に県、本庁、そして地域本部、地域産業振興監などの力も借りて、サポートしていきたいと思っております。
 そして、市町村に対しては、県内の市町村34市町村の人口の半分を占めます高知市から、人口1,000人に満たない町村まで、さまざまではありますけれども、それぞれに今、特に人口減少という大きな危機を迎えているという意識は、共有していただけるのではないかと思います。その危機意識を共有して、これはいわばラストチャンスだという思いで、県と一緒になって新しい施策にチャレンジをしていくということを一緒にお願いしたいという思いです。

 人口減少対策におけるインパクトのある施策について
(井上・高知新聞社記者)
 人口減少対策、これも全般に対してお伺いします。捉え方によっては全体を網羅して総花的なようにも映りますし、先日のまち・ひと・しごとの推進委員会でも「施策にメリハリを」という意見であったり、ある意味タブーを恐れないような思い切った施策をというようなお話もあったりしました。例えばですけれども、産後ケアや不妊治療など、ダイレクトにインパクトを残せるような施策を打っても良かったのではないかとも思いますが、その辺り何かお考えがあればお聞かせください。

(知事)
 人口減少と一言でいいますけれども、ある意味、クールに言えば、最後は県政全般であったり、県民の仕事・生活のトータルな、県での暮らしの価値が問われたりしているというところ ではないかと思います。その意味で、これを丁寧に手当てをしていこうとすれば、総花的といわれるような形で、いろいろな分野に目配りをしないといけないというのは、これは、いささか致し方ないところがあると思います。
 そうした中で、「よりインパクトがあるものを」ということは、私はそのご趣旨はよく分かりますし、その点は、そういう意味では今回、共働き・共育て、男性育休を原動力にして、県民の生活を身近なところから現実の姿として変えていく。私は県庁の中では、よく最近、地上戦をしっかりやろうと言っていますけれども、いろいろな啓発やPRといった空中戦は大事ではありますけれども、それは、かなり今までやってきたつもりではあるので、県民全体を、いわば巻き込んだ形での県民運動を実効性のある形でやるという意味で、当面、まずは、男性育休が当たり前の社会の実現をするというところに力を集中したいという思いで、今回の予算編成を行いました。

 人口減少対策の抜本強化について
(竹村・NHK記者)
 今回、人口減少にかなり重きを置いた予算編成になっているかと思いますけれども、改めて、このような予算編成になった知事の思いといいますか、人口減少対策への思いをお聞かせいただけますでしょうか。

(知事)
 人口減少はかねて、いわば全国的に静かなる有事とも言われてきた訳ですけれども、特に私自身、危機感を大きくしたのは、令和4年の県内の赤ちゃんの出生数です。3,721人という数字でありますけれども、これが4,000人の大台に何とか維持してきたところを一気に割り込んだと、コロナの一時的な要因もあったとは思いますけれども、というところと、これが人口で本県よりもかなり少ない鳥取県も下回って全国最少になってしまったと。ここが大きな分かれ道といいますか、危機感を強くするポイントになりました。
 ですから、高知の未来というのを考えた場合に、ごく単純な話ですけれども、こんな傾向が10年、20年続いていくのであれば、高知県の人口は、そこだけ見れば、単純な推計になりますけども、長いこのトレンドがずっと続いていけば、人口最少県の道をたどっていると県民の皆さまもお感じになられても、これは当然な姿です。他にも社会増減の要因がいろいろとありますけれども、とにかく県民の皆さんが、高知県の先行きに対して希望を持って、夢を持って、日々の生活を送っていただけるための努力を、今までよりギアを大きく上げて展開しなければいけないという思いが、令和4年のデータに接した時に、大きく生じたということです。
 これは今年の年明けの速報値でも全国の動向は、まだ集計できておりませんけれども、県内の出生数がまたさらに1割近く減って3,380人、3000人台の前半までいっていると。前回の会見で市町村別の分析などのお話もありましたけれども、特に人口約3,000人規模を下回るような町村では、本当に1桁の赤ちゃんしか年間生まれていないという状況であったり、特に詳細な分析は今進行中でありますけれども、その中で比較的好調といいますか、赤ちゃんの出生数の減が少ない、あるいは増えているのは、例えば土佐市だったり、香南市だったり、高知市のベットタウン的なところであったりで若い方がやはり増えている。あるいは減ってないというところが、赤ちゃんの出生数にやはりダイレクトに影響してるのではないかというような傾向も見て取れると思います。そういうことをトータルで見ました時に、とにかく若者の人口、特に女性の人口を増やしていくと、ここをいろいろな施策の最重点の目的といいますか、横に据えて、県庁のあらゆる施策を動員するという覚悟で展開しなければいけないという思いで今回の予算も編成したところです。

 目指す高知県像について
(竹村・NHK記者)
 こうした施策を通して、改めてどのような高知県を目指したいか伺えますか。

(知事)
 一言でいいますと、「元気で豊かな高知県」ということを私、1期目就任の時にポイントとして意識したところでありますけれども、1期目の4年間を通じまして、それにあえて「あったかな高知県」も実現をしたい。高知型の地域共生社会であったり、高知県民の人なつこっさ、そういうところを生かして、困った時にお互い支え合うようなあったかい高知県にしたいという思いを、いわば付け足す形で申し上げてまいりました。その部分は全く変わりませんけれども、そのために今何をしたらいいのかという観点の中で、特に若い女性に選んでいただける高知にしなければいけないという思いの中で、今回いろいろな施策を展開しようということで、その準備をさせていただいたと考えています。

 人口減少対策総合交付金の活用に向けた市町村支援について②
(羽賀・朝日新聞社記者)
 人口減少の交付金の件で2点、まず、市町村の自主性に任せる交付金にしたのはなぜかということと、4年間で40億円という数字になりますけれども、ばらまきになりかねない部分もあるかと思いますが、そうならないためにどのようにしていくのか教えてください。

(知事)
 人口減少の問題はもう10年以上、国全体としても大きな課題として意識をされ、対策をいろいろと取ってきたところだとは思っています。ただ、必ずしも成果という点がどうかと言われると、特に赤ちゃんの出生数で見た場合には、十分な成果が上がってないのではないか。むしろ大変厳しい数字が出ているのではないかということを考えますと、今までどおりのことをやっていたのでは駄目なのではないかというのがベースとしてあります。そうした場合に、市町村ごとに施策を必要とするポイントであったり、課題はさまざまであったりしますから、市町村ごとに地域の実情に応じて、市町村でお金さえあればこんなことをやりたいということがたくさんあるのではないかという思いがあります。私自身、今回きっかけになりましたのは、コロナ対策の国の交付金、今の物価高騰に対しての国の交付金、これ、非常にいろいろご配慮もいただいて、人口当たりでいうと、たくさんいただいてるということもありますけれども、非常に使い勝手はいい形で、県としてこれをやりたいといえば、いわゆる自己負担も伴わないで、もうやりたいことがやれると。これは政策運営責任者として、大変ありがたい制度でありました。何せ財布の規模が違いますから、国のような大きな規模ではできませんけれども、市町村との間でも、そういった形で市町村がやりたいことをサポートするという新しい枠組みをぜひ入れたいという思いが一つございました。
 そうした中で、単なるばらまきにならないためにという点で言いますと、これも市町村からは若干ご不満もいただいていますけれども、やはり新規拡充の施策を考えていただいて、使っていただくことに最低限していただきたいと。そうでないと今までの施策の財源に充てるだけであれば、住民の皆さんからしたら、何もサービスは変わらない。市町村の財政がゆとりができるだけになりますから、それでは、県もこの10億円の財源を出すために自らスクラップアンドビルドをやって施策の重点化を図ってるわけですので、県としてもやるせないということになりますから、そこは、中身は特に基本配分型の方は、ご判断をお任せしますけども、新規拡充で住民の皆さんにサービスアップになる効果が直接的に、具体的に出てくるものを考えてくださいということをお願いし、その点は、お金を渡したきりということではなく、そうした観点からの対話は、市町村とは続けていきたいと思っております。

 令和6年度当初予算における教育関連の予算について
(羽賀・朝日新聞社記者)
 子育て支援に充実をさせたというのは分かるのですけれども、一方で教育の予算が大幅に減額されたのが、ちょっと釈然としないのですけれど、この辺りは知事はどのように考えていらっしゃいますか。

(知事)
 この大幅に減額というのは、かなりテクニカルなものだと思っています。教育の予算は、基本的には、学校の先生の人件費が相当な部分を占めています。この部分は確かに児童生徒が減ってくることで、減少傾向ではありますけれども、今回、教育部門の予算が減っているうち60億円ぐらいは県立高校、中学校の高台移転、この事業が山場を越えて、その分の事業費が落ちると、これが60億円ぐらい(※正確には約40億)あったと記憶していますから、その分が大きい訳でして、むしろ、教育の方は力入れていきたいと思っております。一時的な臨時経費の増減という要因だと思っております。

 能登半島地震の発生を受けての南海トラフ地震対策の強化について
(古谷・読売新聞社記者)
 能登半島地震を踏まえた対策の強化の部分をお伺いしたいと思います。現地の調査を外部委託した上で、専門アドバイザーに意見を聞くという形を示していただいていますけれども、具体的な今後のタイムスケジュール、あるいは耐震強化への反映をさせていく進め方など、具体的にもう少しお伺いできますか。

(知事)
 来週、また南海トラフ地震対策の本部会議を開催して、スケジュール的なものも含めて確認したいと思っています。実態調査等に関しては、年度が改まりましたら、すぐに着手して、年度前半のうちには一通り基礎的な調査なり、教訓の抽出というのはしていきたい。そして、年度なかばから後半にかけて、その教訓に基づいて具体的にどういう改善を図っていくのか、措置を講じていくのかという具体策の検討や調整を進めていきたいと思っています。
 そうした中で、予算的な手当てが必要なものについては、6月、9月、12月と県議会は定例会がありますので、そうした中での補正予算の提案ということも含めて、対応を速やかにしていくという考え方でしていきたいと思います。中期的な経過との関係で言えば、国の計画との関係で、どう対応するのかというところは今課題は残りますが、一応、今の時点では、第6期の南海トラフ地震の行動計画は令和6年度までということで予定しておりますから、その計画の改定の中で、課題としてさらに積み残したものがあれば、次の期の行動計画への反映ということも視野に入れて、時系列で整理し、順次対応していくということになろうかと思っています。

 能登半島地震の被災地調査と専門家からの県へのアドバイスについて
(古谷・読売新聞社記者)
 改めて、この調査のポイントとしてお考えになってる部分と、現在いらっしゃるアドバイザーの方に意見を求めるということで、改めて、先日おっしゃっていた委員会を設けるとか、そういうことではないということなのでしょうか。

(知事)
 これについては、改めて会議体をつくってということまでは、今の時点では考えておりません。個々の専門分野の先生にお願いして、個々にアドバイスをいただくということで、当面足りるのではないかと思っております。
 そして、全体を通じましては、やはり今回人口減少が進む過疎地域でしたり、中山間地域でしたり、沿岸部が大きな被災地となっているというところ、この点は高知県と大いに環境について類似しているということだと思いますので、そうした中で今、報道等で報じられている、そして、今回の予算の中でも緊急に対応することとした部分以外の部分で、どういった課題として隠れている部分があるのか。前回、ご指摘があった液状化もそうだと思います。液状化などについて簡単に申しますと、今まで大まかなメッシュ状のハザードマップ的なものまでは作っていて、避難路として、そういうところにかからないところを選定しましょうというところまでいけてますけれども、それをさらに目の細かなメッシュ状のハザードマップにして、地盤改良といった予防対策ですか、そうしたところまでという域までは現状いっていないということですから、そういった先々の方向性も意識をして、どういったタイムスケジュールで、どういった形で進めていくのかということは、例えばこういった問題についても整理をしていくということが課題だと思っております。

 若者人口の増加や外国人材の受け入れ人材確保施策の狙いについて
(大山・高知新聞社記者)
 人材確保の施策についてお伺いします。新規事業で奨学金の返還支援、あと外国人材の定着奨励金というものが組まれてます。若い世代であったり、外国人であったりということでいうと、多分、他県との獲得競争なども出てきてると思うのですが、そこへの危機感を一つお伺いしたいとの、新しい制度を設けたことの狙いを教えてください。

(知事)
 やはり人口減少対策の一番のポイントは、若い力を地域に入れていくことだと思っています。そのための具体的な手だてとして、奨学金の返済支援であったり、外国人材の現地での日本語教育に要した費用を事後的に県内で一定期間就労していただければ、奨励金を支給するといったりした支援をということです。
 背景として、危機感を持ってる部分というのは、いずれも他県との競争になっている、なるという部分が大きゅうございます。奨学金の制度については、もう既に多くの県で、他県で制度化もされているという状況もありますので、少なくとも競争相手になるような潜在的な競争相手の地域と比べて、高知県が制度の上で見劣りするというところは、少なくとも避けたいというところが動機としてあったというのは確かですし、外国人材の件に関しましても、今から制度がおそらく改正をされて、よりご本人が地域的にも移動が、国内でもしやすくなるという方向性で制度改正がされるということだと思います。そうした中で、基本的な動機の大きな分が出稼ぎ的な要素があるとすると、より賃金が一般的に高い大都市部に流れやすいということになるであろうと、その点のハンディを少しでもカバーができるような手だてを、県がお手伝いできる範囲で考えなければいけないのではないかと、そういった思いがありまして、今回こうした形の制度化を考えたということです。

 一次産業における女性の担い手確保について
(大山・高知新聞社記者)
 もう1点、雇用というか、就労に関してなのですが、知事が産振計画の会議でもおっしゃってもいましたけれど、かなり女性の就労の場として、一次産業というものを重点的に挙げられて、今回の予算にも盛り込まれていると思います。先ほど一石二鳥というようなご発言のこともありましたが、改めて女性の雇用を一次産業に広げていこうというような予算を組まれた狙いというのを教えてください。

(知事)
 元々、一次産業も大きな最近の課題の一つが人材の確保、人手不足対策ということです。農業・林業・水産業、それぞれ新技術の開発などで省力化、生産性向上というような努力はしてきていただいていますけれども、足元で人手がたいへん足りないと、これはあらゆる業種がそうですけれども、特に一次産業では、そういったお話があった中で、今、現に外国人材にかなり依存をするという部分も出てきているという中ですから、そうした中で、デジタル化などで省力化を図っていく努力はやるにしても、高齢者、障害者の方々なども含めて、かつて1億総活躍という標語もありましたけれども、できるだけ幅広い方々に、幅広い人材を担い手として確保しないといけないという要請があると。
 そうしたところの一方で、特に若い女性の減少というのが、流出というのが、特に中山間地域で人口減少の大きな要因となり、また、危機をもたらす大きなポイントになっているということです。特に中山間地域の若い女性の流出防止策という点でも、一次産業におけます女性の担い手の確保というのは、こちらのサイドからも大きなメリットがあるということだと思います。そういう意味では、両方向からの要請に同時に応えられる施策が、一次産業におきます女性、若者の就労促進ということだと思っていますので、そうした観点からも、より力を入れて取り組みたいという思いで今回、対応をいたしました。

 令和6年度の組織改正について①
(中田・高知民報記者)
 機構改革の件ですけれども、総合企画部でしたか企画というのは10年程前までは企画部というのがあったと思いますけれども、それに戻ったような感じにも見えます。今、中山間の名を冠した部が消え、鳥獣対策課が室に格下げになりと、多分人員も減るのではないでしょうか。この鳥獣対策など、極めて重要な切迫した課題ですけれども、それに逆行してるようにも見えてしまうというか、知事の言うところによると、地上戦が弱まるのではないかとも見えますが、そこはいかがでしょうか。

(知事)
 県庁本庁が私は地上戦をやるとは思っておりませんから、そういう意味で鳥獣対策はむしろ現場、JAなども含めた現場であったり、県のむしろ出先機関であったりといいますか、地方機関、こういったところで、より頑張っていただく要因が大きいのではないかと思います。中山間ということに関して申しますと、確かに中山間振興という名前を付した部というのは、本県の中山間地域に力を入れていくと、この象徴的な組織ではあったとは思いますけれども、今回やはり人口減少の問題のクローズアップと合わせて考えますと、中山間対策と少子化対策も一体として、大きな人口減少対策のくくりで、もう全県的な問題としてやっていかなければいけないというところが今回の大きな動機です。
 その意味では、中山間の部という名前は消えるかもしれませんけれども、それはいわば総合企画部という全庁の司令塔機能を担うところで、いわば知事のお膝元直轄で一番、目が届くところでしっかりやってもらおうと。意図としてはそういうことですし、しっかりしたリーダーシップも必要ですから、人口減少、中山間対策を担務とする理事職も今回つくろうということで、その点は、実務的な支障は生じることは決してないようにカバーをしようと思っております。

 国からの特定利用港湾指定についての説明内容と、これに関連する令和6年度予算について
(中田・高知民報記者)
 別件ですけれど、特定利用港湾に関する説明が13日にあって、県もそこに参加していると思います。そこで新たな訓練の内容が一定、示されていると思いますが、それはどういうことか、ご存じの範囲で教えていただきたいということと、来年度の予算に特定利用港湾の指定に関する予算は含まれているのかということをお聞きします。

(知事)
 後段に関して、先に申しますと、この特定利用港湾の指定を前提とした施策や予算は今回の予算では、反映も何も指定をお受けするどうか否かの判断も、まだの段階ですから、今回の予算の中で、指定を前提とした手当てを何かしているということはございません。
 今回の国からの説明のポイントは、今回の取り組みが以前からもお話がありましたが、平時におけるもの、港湾法などの既存の制度にのっとって、円滑な利用について調整をするものであって、あくまで武力攻撃事態のような有事を対象としたものではないと、大前提としてこの点が1点目だと思います。
 2点目が、よりはっきりとご説明があった点は、この特定利用港湾に、新たに基地や駐屯地を設置するといった自衛隊の部隊配置を目的とするものではないということです。港湾は港湾として、運搬の、いわば手段として使うということにとどまるという話だと思っています。
 そして、3点目としては、有事、武力攻撃事態などが生じた場合においては、その時の状況に応じて、国において必要な港湾の施設を利用することになるということですから、今回平時において特定利用港湾と指定されるということと、有事に現実に使われるということは、制度的には少なくとも直接的な関係はないということだと思います。この制度論として言えば、有事の時はある意味、内閣総理大臣の主導権で強制的という言葉がいいかどうかあれですけれど、より強い権限で命令を行使するというような形で、「使うぞ」ということを国から意思表明をされるということですから、今回の話は、それとは違うということです。
 そういうのを併せまして、今回の枠組みはあくまで関係省庁と港湾管理者との間で設けられるということであって、県議会でもご質問がありましたが、米軍がこの枠組みに参加するものではないということは、改めて今回の説明の中で確認されたと思っております。

 令和6年度の組織改正について②
(井上・高知新聞社記者)
 組織改編の話で続けてですけれども、改めて総合企画部を立ち上げるに至った、その狙いというのはお伺いしましたけれども、逆にいうと、今までの部では難しかった課題意識は、どこにあったのでしょうか。

(知事)
 若干、愚痴みたいになるかもしれませんけれども、総合企画の中で、一つ特に私が1期目、4年間、県政を担当した中で、もう少し強化をしたいなと思った部分は、やはり斬新で柔軟な 発想というところです。これは、今までやってきている県の仕事の中身も違いますから、ある程度仕方がないところはあると思いますが、いろいろ新しい政策課題が出てきた時に、県庁の 各部局の幹部の職員とやり取りをする中で、「前例がこうなっています。」、「過去こういう対応をしてきました。」、「他県では、こういう取り組みをしています。」「この辺の情報収 集とか、それと整合させるためには、こういう解決をしたい。」ということの進言というのは、かなり痒いところに手が届くようにやってもらえてるという思いがありますけれども、逆に いいますと、前例ということの足かせが非常に強く感じている、囚われている部分もあるのではないかなというところは感じまして、前例でこういう新しいことをやりたいといった人にお  断りをしたので、公平の観点から、また新しい要請が出ても、これはお断りしなくてはいけませんという思考で案が上がってくることが、かなり多かったという感触が、皮膚感覚としてあ ります。
 もっと柔軟な発想で、斬新な発想で、時代が変わっているのだから、変わった時代の変化に合わせて、県民の皆さんのためになる県政をしていくという観点から、新しい発想をしてもらいたい。それはある意味、知事の仕事だと言われたらそれまでですけれども、そこを全部、知事に上げて指示を仰ぐということではなく、もっと体制を強化して、新しくこんなことをやりたいという意見、声が県庁の中から、要は自律的に上がってくるような、私もそれは責任者ですから、「これもうちょっと待て。」とか、「こういう手順を踏め。」ということは今までもありますし、今後ともあると思いますけれども、新しいことを考えるのは知事にお任せということではなく、もっと組織の中で、議論をしてもらって、進言もしてもらうという体制を強化したいというところが1点多くあったのは事実です。
プラス、人口減少は、やはり全庁横断的な司令塔機能強化しないといけないということがありましたから、今までの体制よりは、筆頭部という位置付けにすることも含めて強化をしたいと。これが今、お話もありましたかつての企画振興部、それの違いは筆頭部として置くということでもありますので、今のような思いも抱きながら、今回、組織改正をさせていただくということです。

 令和5年度の県政における取り組み成果と令和6年度への抱負について
(井上・高知新聞社記者)
 ちょっと話が変わりますけれども、1年前の当初予算の発表時に、知事ご自身がすごく成果重視、成果指向、そして未来への弾みとなる1年だったと後々評価してもらえるような1年にしたいという決意を述べられました。実際、この1年を巡ってみて、成果をどのように県民に示すことができたのかという部分と、また、来年度はどのような1年にしたいかを伺います。

(知事)
 短期的には、県民の皆さんに、いわばコロナからの経済回復ということ、特に観光面を中心に、ある意味、インバウンドの活発化も含めて、身近に感じていただけるような成果は出せた年ではないかなと思います。
 ただ、一方で、中長期的に睨んだ時には、人口減少、大変厳しいデータが出てきているということですから、中長期的に睨んだところの取り組みを抜本強化しないといけない。こういう課題も残した年ではなかったかと、ちょうど選挙という洗礼を受けるという機会もありましたので、そういうことも含めて、問題意識の下で今回の予算編成にあたったということです。

 令和6年度当初予算案における特別職報酬の独自カットの取りやめについて
(井上・高知新聞社記者)
 最後に、またちょっと変わりますけれども、これまで知事を含め特別職の給料の独自カットというのを長い間、続けてきましたが、今回の当初予算案には、いわゆる議案が出てこないということで、カットを取り止めるということですが、その理由をお聞かせください。

(知事)
 直接的には、大体3年ごとに開催していると思いますが、こうした特別職の報酬が妥当かどうかというのは審議会を設けて、民間の各層の代表者の方々にご議論いただいて、それを基に判断していくという体制をつくっております。審議会の委員の皆さんから昨年の今ごろですけれども、いわゆる条例の本則に定めた、本来の知事、副知事、教育長等の特別職の報酬額、これは基本、現時点で妥当であると、ただ、今これは平成16年からと聞いておりますので、もう20年近く、政策的判断で県民と痛みを共にするというようなことから、カットをされてきているというのが、ある意味、常態化に近い環境にあって、このこと自身は決して好ましいものではないと。本則が然るべき水準かどうかを審議していただいておる訳ですから、そことは別のところで、現実にカットが行われているというところについては、ぜひ次の任期の区切りというところで、この点の判断はしていただいた方がいいのではないかということは、答申をいただいた時に、審議会の会長からもお話をいただいていたということが大きくあります。
 より背景の事情として見ますと、平成16年の時は、いわゆる地方財政計画の中で交付税が実質12%カットという中で、高知県に限らず、私、当時、島根県にいましたけれども、本当あらゆる予算をばっさばっさ切らないと生き延びれないというような中で、まさしく県民の皆さんと痛みを共にするという観点からカットが行われた。そういう年だったと思いますし、その後、経済状況もなかなか厳しいものが続いたというところがあると思います。ここのところの財政状況を見ましても、経済の面ではコロナ禍がありましたけれども、一応、回復に向けて軌道に乗りつつあるということ、そして、財政状況も、一定、中期的に安定した運営ができる基盤はつくれているということではないかと。そういったことも総合的に勘案しまして、一義的には特別職等報酬審議会のご意見、ないし県議会でも昨年こういう議論は委員会で行われたということを聞いておりますことを踏まえて、総合的に判断をした結果、今回は、今まで単年度、単年度10%カットいうことで提案してまいりましたけれども、この提案は行わないということに判断したということです。

 令和6年度の予算編成において知事選挙が与えた影響について
(井上・高知新聞社記者)
 発言の確認です。一つ前の質問で、選挙の洗礼も受けた上での今回の予算編成だというお話がありましたけれども、そこはやはり知事選で各地域を回って、県民であったり、各首長の方々にお会いして、いろいろ意見をお伺いしてきた中でのということですか。

(知事)
 それはおっしゃるとおりです。やっぱり一番、県民の皆さん、直接声をお聞きする、一番の大事な機会だということがありましたので、その記憶も新しい中で、いろいろな判断をしたということです。

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