令和6年2月2日 知事の記者会見

公開日 2024年02月06日

1 高知県の去年1年間の出生数3,380人(過去最少)への知事の受け止めと今後の少子化対策について
2 能登半島地震の発生から一ヶ月を経過しての復旧状況等への受け止め、南海トラフ地震対策の見直しや強化、加えて、能登半島地震の被災者受け入れの進捗状況について
3 談合防止対策委員会の最終報告についての受け止めと、そこで指摘された県の発注者責任について
4 談合処分対象業者の中に県職員OBが再就職している業者があることについて
5 南海トラフ地震対策としての能登半島地震の実態調査の具体的な内容①と本県の液状化対策について
6 南海トラフ地震対策としての能登半島地震の実態調査の内容について②
7 大地震発生の際の広域避難協力体制の構築への県の関わりについて
8 2025年度前期連続テレビ小説「あんぱん」への期待感について
9 高知県の去年1年間の出生数における基礎自治体ごとの出生数の特徴について
10 少子化対策に向けた座談会における若者をターゲットとした取り組みについて
11 上水道の管理が厚生労働省から国土交通省に移管されることについてのメリット等受け止めについて
12 住宅耐震化の補助制度強化と高齢者が生活する老朽化住宅への支援策について
13 高知県から他県への転出超過の現状について①
14 高知県から他県への転出超過の現状について②
15 ミクロネシア訪問に関する知事の感想について
16 尾﨑正直衆議院議員(前高知県知事)の国土交通大臣政務官就任への受け止め

 (司会)
 ただ今から、知事記者会見を始めさせていただきます。それでは、幹事社質問をよろしくお願いします。

 高知県の去年1年間の出生数3,380人(過去最少)への知事の受け止めと今後の少子化対策について
(林・高知放送記者)
 出生数についてお伺いします。県が1月19日に発表した推計人口によりますと、去年、2023年の1年間に県内で生まれた赤ちゃんが3,380人、外国人も含めると3,392人という数字が出ました。これは、一昨年、2022年の1年間の3,721人を下回り過去最少を更新する結果となりました。このことに対する知事の認識をお聞かせください。
 また、この結果を受けて、改めて少子化対策にどのように取り組んでいくのかお伺いします。

(知事)
 令和5年の出生数が3,380人ということで前年よりも300人以上、下回ったということです。令和4年も、大きく減少して47都道府県の中で最少となるという大変厳しい数字でした。改めて速報値でありますが令和5年もこうした数値が出たということです。
 一つは、令和4年のこの激減が単年度の一時的な異常値ということではなくて、やはり継続的に少子化が加速度的に本県でも進んでいると受け止めなければいけないのでないかと考えます。その意味でも大きな危機感を持って受け止めているところです。
 そしてその要因としては、これは令和4年の場合の要因と同じような分析になりますけれども、若年人口、特に女性の若年人口が県外に流出しているということ。これが一番メインだと思っています。これに加えて、非婚化・晩婚化の進行などもあって、婚姻件数が減少している。そして、1カップル当たりの出生率の低下、こういったことも生じている。これがいわば、掛け算をした結果として、出生数、赤ちゃんの生まれる数が激減してきているということではないかと分析しています。
 こうした課題の解決に向けまして、新たに本県の人口減少対策、ないしはある意味、県政全般のマスタープランともなる「高知県元気な未来創造戦略」を策定することにしております。 この中で、特に若年人口の増加、これに加えて婚姻数の増加、出生率の向上、この3つの観点から、あらゆる施策を抜本的に強化していくということ。その中で、特に若者、女性の声をしっかりとお聞きして、少子化を含めた人口減少の問題に正面から対策を講じていきたいと思っております。
 若年人口の増加を図っていく中では、やはり産業振興などによって若者にとって魅力のある仕事を創っていく。所得を上げていくということはもちろんです。移住や外国人の活躍の環境整備もあろうかと思います。婚姻数の増加は出会いの機会を中山間地域などでも増やしていくということ。出生率の向上に向けましては、男性育休も含めた育休取得の促進を図っていくというようなこと。また、実効性のある対策を市町村と一緒になって講じていくために、新しい総合交付金の制度もつくりまして、これに取り組んでいく。こんな取り組みが必要だと思っております。全ての基礎として、私としては、高知県が全国に先駆けて、男性も育児休暇を取るのが当たり前の社会を実現をしていく。このことが、若い女性を高知に呼び戻す、呼び込むことの中で非常に大事なことではないかと思っています。こういう観点からの、いわば共働き、共育てといいますか、の県民運動を全力で展開して、このトレンド、特に若者の人口がここ40年余りずっと減少してきておりますので、これを早く食い止めて反転増加に持っていくことに全力を上げたいと思っています。

 能登半島地震の発生から一ヶ月を経過しての復旧状況等への受け止め、南海トラフ地震対策の見直しや強化、加えて、能登半島地震の被災者受け入れの進捗状況について
(今林・朝日新聞社記者)
 能登半島地震のことで質問をさせていただきます。能登半島地震の発生から1カ月が経ちました。避難、復興状況などに対する知事のご見解をお聞かせください。また、初動対応の難しさ等も指摘されています。これらを含め、県の進める南海トラフ地震対策で見直しや強化する点などがありましたら、具体的に教えてください。さらに、能登半島地震の被災者の受け入れについて進捗状況を教えてください。

(知事)
 まず、能登半島地震を受けましての避難、そして復旧状況などについての見解ということでした。避難につきましては、石川県におきましては、発災後1週間までの間に、3万人を超える方が避難所で過ごされたと伺っております。ただ、断水や停電などといった厳しい環境があり、体調悪化による災害関連死のリスクも上昇してきたという状況があるとお聞きしております。
 このために、孤立集落から救助された方、あるいは要配慮者の方々を中心として、生活環境の確保のために、いわゆる1.5次避難所、これはとりあえず金沢市内などに移って、次の2次避難所ですね、県内も含めたホテルなどの宿泊施設などの2次避難所に移っていただくような手当を講じていると承知しております。今回の事案を見ますと、大規模災害におきましては、ライフラインの復旧に非常に時間を要することが、避難所におけます避難生活にも大きな影響を及ぼすということを再認識しました。この点が本県にとっても大きな教訓のひとつではないかと考えます。
 本県の場合、南海トラフ地震が発生した場合の想定といたしまして、1週間後に、避難所の避難者数、約21万6,000人が生じるという想定をしておりますが、既に総数レベルでは、これを上回る避難所の収容能力は確保ができています。
 ただ、市町村ごとに見ますと過不足がある。避難所が不足している市町村、典型的には高知市ですが、県全体として足りているとしましても、市町村をまたいで広域の避難を促していくところの計画づくりが、今必要な段階だと考えています。この計画づくり、そして、訓練を行うことによります実効性の確保に努力をしている段階です。
 ただ、今回の能登半島の事案を見ましても、ある意味当然ですが、避難所といえども断水、停電が起こりまして、広域避難自身が高知県の場合でもできなくなるというたことも想定をしなければいけないことだと思います。従いまして、必ずしも避難所として機能できない場合を想定した対応。例えばより広域で避難エリアを設定していくことでしたり、場合によっては避難所に発電とか、給水するための設備を備えておく必要があるのではないかといった議論・検討を今後していく必要があるのではないかと考えています。
 それから、復旧の状況などについてです。今回の地震におきましては、道路の法面の崩壊などといった大規模な道路被害が至るところで発生しているということで、国で直轄権限代行で復旧を行うという手当も取られるようです。それにしても数年は復旧にはかかるということでして、こうした状況は、地域全体の復興にも大きな影響を及ぼすであろうと考えます。
 一方で、発災から1カ月が経ったということでして、道路啓開がある程度進んできたこともあり、道路が通行可能となった地域については、通信、電気といったライフラインも、順次、復旧してきていることは喜ばしいことだと思います。ただ、こうした中で、ライフラインの中でも上水道を見ますと、懸命な復旧作業は行われているものの、断水が続いている地域が相当程度あると。そして、復旧に数カ月必要な施設もあるというところが、本県として注目している点です。
 本県も状況としては、南海トラフ地震発生時は石川県と同じような状況になり得ると考えております。ここ数年は特に担当の部に指示をして、応急対策としての給水車の準備ですとか、給水タンクの整備を急ぐようにということで、これを市町村で計画づくり、そして、設備の整備などを急いでいただくように、また支援も県としても行ってきているところです。これは一定程度進んできてはおりますけれども、やはり抜本的に考えますと水道の、特に基幹管路の耐震化をしていくというところが、本県も含めてになりますが、全国的に遅れていることが大きな課題だと考えます。今後、方法論については、なお研究はしていかないといけないと思いますが、ちょうど上水道も、国の所管も厚労省から国交省に移っていくというような状況変化もありますので、これをある意味、できればチャンスにしていって、水道の耐震化という、いわゆる予防対策の面、これも重点的に取り組んでいかなければいけないと思います。
 併せて、ライフラインの復旧のためには、道路の啓開とか、道路の復旧ができたところから、現実問題として復旧が進んでいるということがございます。やはりこれも抜本策としては、道路を自然災害に強くしていくということ。幹線系、そして地方道路の地域の道路も含めまして、高規格の道路の整備であったり、道路の防災工事の進捗を図るということで、自然災害に強い道路を造っていくことを計画的に。具体的には、例えば国土強靭化の計画の中でも、いわば別枠を確保して加速していくというような措置が必要ではないかと考えておりまして、これももう少し練りまして、新年度に入りましたら、様々な政策提言の中で、国に対して対応を訴えてまいりたいと思っております。
 初動対応も踏まえた南海トラフ地震対策への見直しについてです。今回の能登半島地震での大きな特徴は道路の寸断での孤立地域の発生ということに今、我々としては一番注目をしております。このことが初動時の情報の把握であったり、輸送に支障をもたらしたということだと思っております。これと同じ状況が、本県でも南海トラフ地震が発生した際には、起こり得るということを考えないといけないと思います。
 そのために、今まず必要を感じていますのは、道路啓開とか物資輸送に関わります計画などは、本県は既に整備をしておりますけれども、これが現実にちゃんと動いていくということ。 これを担保していくことが一番急務ではないかと。具体的には、道路の啓開の計画などが実効性を持つように、その作業を実際に行うことになる重機だとか燃料は確保できているのかということの検証。出来ていないとすれば、手当をしていくということ。そして、物資の拠点として、民間の物流施設も活用することが必要ではないか。さらには、毛布・水・食料などの備蓄についても、こうした孤立が生じるということを考えますと、集中型の備蓄ではなくて、市町村あるいは地域におけます分散備蓄ということをより促進すべきではないか。こういった点は、まず見直さなければいけない応急対策上の課題だと思っています。
 さらに、より抜本的には予防対策をしっかりしていくことだと思います。今回、当初予算の中でも、まず対応したいと考えておりますのは、住宅の耐震化につきまして、補助金の単価の上限ですね。最近の公共工事の価格高騰などの影響もありまして、実際、足りていないというようなお声もお聞きしております。この点も、単価も引き上げて、耐震化の予算の充実をしていくということでしたり、火災対策としての感震ブレーカーの設置の促進に改めて取り組むというような点。こういった点は、すぐにでも取り組むべき予防対策ということで、当初予算でも何らかの手当をしたいということで、今最終的な検討を急いでいます。
 さらに、現時点でいろいろな報道などを通じて考えている点は、ただ今、申し上げたとおりですが、今現在では、まだやはり災害の救援活動の方が主ですので、現地に入っていろいろ調査、検証を、南海トラフ地震対策への教訓ですね、それを得るための実態の調査をするというのは、まだもう少し時間がかかるのではないかと思います。私としては、新年度に入りましたら、速やかにこうした南海トラフ地震対策の強化という観点からの、今回の能登半島地震の検証のための調査を行えるような予算も確保して、専門家の力を借りて実態調査をベースにして、必要なものは年度内の補正予算で手当を始めるというような形で、順次、南海トラフ地震対策の強化を、能登半島地震の教訓を踏まえて進めてまいりたいと考えております。
 最後に、被災者の受け入れについてですが、県営住宅、あるいは市町村営の公営住宅の供給の準備ができておりますのは62戸、県営住宅が2戸、市町村営住宅、14市町村で60戸ということで、こちらはオープンにしておりまして、必要があれば受け入れができる態勢をとっておりますけれども、現在までのところ、被災者、あるいは関係する県民の方々からの、入居に関する問い合わせはいただいていないというのが現状です。

(司会)
 それでは、各社からの質疑に移ります。質問をされる方は挙手をして、社名とお名前を発言してから質問をお願いします。

 談合防止対策委員会の最終報告についての受け止めと、そこで指摘された県の発注者責任について
(山﨑・高知新聞社記者)
 地質調査業務の談合問題についてお伺いさせていただきます。昨日、談合防止対策検討委員会から最終報告書が提出されました。まず、最終報告書についての受け止めをお伺いしたいのと、その中で、県の発注者責任について、強く指摘がございました。過去には、現時点ではということですけれども、発注者側の運用に抜かりがあるという明確な認識はないという発言をされてはいましたけれども、その後、県の発注責任について、知事のお考えをお聞かせください。

(知事)
 今回の検討委員会の最終報告の受け止めということですが、今回の委員会では、田中委員長をはじめとした委員の皆さまには、非常にタイトなスケジュールの中で、1年余りにわたって精力的にご審議をいただきました。今回、その最終報告をまとめていただきまして、心より感謝を申し上げています。
 その中で、入札制度の見直し・ペナルティ強化などにつきまして、具体的なご意見として、これまでの県の取り組みの検証、さらには建設業界、県へのメッセージといった形で今後、談合防止対策を進めていく上で指針となるような方向性について貴重なご意見をいただき、お示しをいただいたと思っています。
 県の発注責任という点のご指摘も含めていただいた報告内容を真摯に受け止めまして、県民の皆さんの信頼回復が実現しますようにしっかりと取り組みたいというのが受け止めです。
 そして、県の発注者責任に関して申しますと、その具体的な処方箋として、入札方式についての、いわゆる総合評価方式導入、あるいは予定価格の事後公表の範囲の拡大といった方向性を委員会にはお示しいただいたと思います。その意味では、県としては制度的な建前としては、ある意味、受け身のところがあります。制度を設計して、実際に入札に参加していただくのは事業者の方々ですから、そうした意味で、県の発注者としての責任ということについての議論に入る前は、どちらかというと受け身という立場に立っての受け止めが、正直先行しておったということは事実です。今回、特に委員会の報告の中でも、やはりそうは言いましても、そうして運営をした中で、実際に例えば入札の予定価格を事前公表した場合には、いわば容易に最低制限価格が推察できるので、数社の事業者が同一価格で並んで、抽選で落札者が決まるというような事態も少なからずあるというような状況のご指摘も含めて、問題点のご指摘をいただいたということです。こうしたところに制度的に改善の手当をしていくのは、発注者である県しかないわけでして、そうした意味で、しかるべき制度の改正を検討し、実行に移していくという意味での発注者としての責任。その点は、具体的に問題点・論点をご指摘いただいたと思っています。これは最大限に尊重して、具体策を立案し、実行に移していくことが県としての責任であると受け止めているところです。

 談合処分対象業者の中に県職員OBが再就職している業者があることについて
(山﨑・高知新聞社記者)
 9月県議会の産業振興土木委員会の中で議論があったのですけれども、今回の処分対象の業者の中に、かなり県職員のOBがいらっしゃるのではないかという指摘がありまして、県からも実際、社員の中に県職員のOBがいるという報告がありました。
 処分の対象になった社に、県のOBがいることに対して、知事としてはどのように受け止めていますか。

(知事)
 事実の問題として、県を退職した方々が、そうした企業に再就職されているのは、事実として厳然としてあるということ。そして、それに関連して、県民の皆さんからは疑問というのですか、公平性ということについて、担保はされているのかというような疑念を抱かれ得る状況にあるということについては、これはしっかりと重く受け止めなければいけない問題だと思います。そうしたことで、業務の公平性が失われたり、それに対する県民の皆さんの信頼が損なわれたりすることがないようにしないといけないということだと思います。
 一方で、県の職員といえども退職後、あまりこれは適切な言葉かどうか分かりませんが、職業選択の自由は保証されるべきです。行政で培った経験を第二の職業人生でも生かしたいと。 そのこと自身は、いちがいに否定できないことだと思います。要は、そういった形で、県民の皆さんに対し業務の公平性を疑わせるような、そういった行動なり、結果にならないようにということを、しっかり担保していくことが必要だと考えています。そうした観点に立って、より入札制度の公平な運用であったり、今回のような制度自身の改善であったりといったことに努めてまいりたいと思っております。

 南海トラフ地震対策としての能登半島地震の実態調査の具体的な内容①と本県の液状化対策について
(古谷・読売新聞社記者)
 先ほど知事がおっしゃった新年度に実態調査をするという話ですけれども、おそらく現地の調査を基に、今のところどういうふうなイメージで考えてらっしゃるのかもう少し詳しくお伺いできればと思います。例えば委員会を設置して、現地調査して報告書を求めるとか、具体的に、もしあればお聞かせいただきたいのと、もう1点は、高知県の南海トラフ地震対策をとっている中で、能登半島地震の被災地で広く液状化が発生していることに関して、高知県では今まであまり議論になってなかったように思うのですけれど、液状化についての対策について、お考えがありましたら聞かせてください。

(知事)
 いわゆる実態調査に関しては、具体的にはこれからということですけれども、今、予算の編成の最終作業をしている段階でのイメージ、想定としては、ひとつは能登半島地震の教訓を読み解く作業が必要になりますので、大学の研究者の方々など、専門家の方々の助言をいただけるような体制をつくりたいと考えております。
 もう1点は、能登半島地震の実態調査に関して申しますと、我々自身のマンパワーの限界ということもありますので、専門機関に委託するような形で、今回の能登半島地震の教訓として、南海トラフ地震対策をどう強化していくのかというテーマの下に、可能な限りでありますが、現地の調査ですね、これも現地での受け入れの態勢等もあろうと思いますので、どの程度いけるかという点は、今後詰める必要があると思いますけれども、そうしたものも含めて、現地での調査・ヒアリングなども含めて、南海トラフ地震対策の強化という観点から、今回の能登半島地震からどういう教訓を導けるか、これは応急対策、予防対策、さらに言えば復旧・復興対策まで、幅広く論点を設定して調査いただいて報告をいただくと。
 それに対して、冒頭申しました専門家の方々のご所見も加えて、南海トラフ地震対策のこの点をこういう形で改善し強化していくべきだというご助言をいただいて、成案を得たものから補正予算も含めて実施に移していくイメージで考えています。
 液状化に関しては、正直、私自身もあまり具体的な被害想定の点について、今はちょっと知識を持ち合わせていないというか、資料も手元にございませんので、今回の能登半島地震で現実に起きました液状化の実態の把握というところも踏まえて、改めて過去の南海トラフ地震関係で想定される知見ということも改めて確認をした上で、今回この一連の検証作業の中で、取り組みの一つとして検討していきたいと考えています。

 南海トラフ地震対策としての能登半島地震の実態調査の内容について②
(古谷・読売新聞社記者)
 先ほどの最初の部分ですけれど、これは外部委託の部分もあるけれども、何か専門家の委員会を設置する等のイメージでしょうか。

(知事)
 委員会の設置という形で一堂に会する形の会議ができるかどうかは、私ども今の時点ではまだ自信がありません。いずれにしても複数の相当数の専門家を委員委嘱をする形で、アドバイスを、少なくとも個別には各ご専門分野ごとにはいただけるような体制を取りたいと思います。

 大地震発生の際の広域避難協力体制の構築への県の関わりについて
(竹村・NHK記者)
 2点質問をさせてください。1点目が地震の関係なのですけれども、先ほど会見の中で、広域避難のことを発言されたかと思うのですけれど、県内では広域避難、先日、高知市と仁淀川町で協定が結ばれたという実績がありますけれども、逆に言うと、それ以外ではあまり自治体間での連携がとれていないのが実態かと思います。その辺り県として何か先頭を切って対策を進めていくようなお考えはありますか。

(知事)
 これも現実、水面下も含めていろいろな調整・努力は進行途上です。やはり、仁淀川町等と個々に、高知市で協定を結んでいただいて受け入れの態勢を取っていただく、これはこれで望ましいことと思いますけれども、やはり、被災者、かなりの人数が生じた時に、スムーズに広域避難をするということで考えますと、出来れば、まず高知市に隣接した地域、例えば香美市であったり、いの町であったりそういったところで、今県で把握している収容者数で一定計算上ゆとりのあるところ、できれば県立施設を避難所として想定している所、こういった所が、より県の意思でかなりコーディネートができることだと思います。そういうところを想定して関係をします、例えば香美市でありましたり、いの町でありましたり、そういったところとの調整、話し合いは始めているところです。
 また、そうした中で、やはり避難所の運営をどういう形でやっていくか、筋としては高知市民を受け入れるのであれば、高知市役所でしっかり人員も出していただくことが筋だと思いますが、発災直後からそういった体制がとれるのかという問題であったり、周辺の避難所との関係なども考えますと、地元になりますいの町だったり、香美市だったり、こちらの市町村のご協力も現実問題としては必要であろうし、少なくてもご理解を得てやっていかなければいけないであろうということなどに関して調整している中で、なお課題が残っているということです。
 そうした努力を進めていきまして、地元の市町村のご理解もいただいた上で、高知市と地元市町村、そして県とで合意を得るというベースで広域避難の体制というのをつくっていきたいと考えております。

 2025年度前期連続テレビ小説「あんぱん」への期待感について
(竹村・NHK記者)
 それともう1点、NHKの朝ドラの「あんぱん」について伺います。昨日、観光博覧会の準備に向けた会合が開かれました。こうした動きも県内で出てきている中で、改めて県として、知事しての期待感、そして、今後県として取り組んでいきたいことを伺います。

(知事)
 来年の朝の連続テレビ小説「あんぱん」ということで、本県出身のやなせたかしさん夫妻がモデルのドラマが、「らんまん」に引き続き放映されるというのは、本県の観光にとっても非常にうれしい、望ましい追い風になると思います。
 ただ、牧野博士の場合、草花、植物をキーワードに県内全域での展開という形が想定しやすかったのに比べますと、おそらく、やなせたかしさんのご経歴からしまして、香美市とか南国市、現にお住まいになったところに、より集中的に観光客の皆さんからの脚光も当たるというようなことであろうと思います。そうした点も踏まえて、いわゆる観光博覧会は、県全体というよりは、市町村広域エリアでお考えいただくという線が妥当・自然なのではないかと思っております。
 県としては、いろいろ、もう既にご相談を受けておりまして、例えば香美市では「やなせたかし記念館」もオープン後、相当年数がたっておりますのでリニューアルを考えたいとか、混雑・渋滞対策についての協力を求めたいといったような具体的なご要請もいただいております。そうした地元の市町村の要請を踏まえる形で、県としても最大限の支援をし、観光客の方々のスムーズな受け入れということに万全を期してまいりたいと思っています。

 高知県の去年1年間の出生数における基礎自治体ごとの出生数の特徴について
(林・高知放送記者)
 先ほどの幹事社質問で出た出生数について改めてお伺いします。この3,330人又は3,392人というのは、市町村別ではどういう傾向かというのはありますか。例えば中山間地域の対策というのも、先ほど知事がおっしゃられましたけれど、逆に人口の多い高知市とか南国市とか、人口の多い自治体について出生数の傾向など、もし何かつかんでいるのであれば、その辺りの説明をお願いできませんか。

(知事)
 最新の数字について市町村別の傾向というのは、手持ちの資料がありませんので、また、ちょっとお時間をいただいて別の機会にということでお許しいただきたいと思います。市町村別で見ました場合には、特に当たり前ですけども、中山間地域の人口が比較的少ないですね。数千人規模の町村ですと、出生者数が1桁だとか、市になっても比較的規模の小さな市でしたら、小学校の1クラスできるかできないか、それから1クラスをはるかに下回るような人数しか赤ちゃんが生まれていないというような話はあちこちでお聞きしております。当然のことですが全体として人口規模の少ない中山間地域の、特に町村部の方がより状況としては深刻な状況ということは言えると思います。
 ただ、減少率なり、今後の見通しというような点で考えますと、都市部も少子化の進捗の傾向ということ自身は、何ら変わりないということだと思いますので、その意味で、中山間地域に限らず都市部についても少子化対策をしっかり実施していく必要があるという必要性については何ら変わらないことだと思っております。

 少子化対策に向けた座談会における若者をターゲットとした取り組みについて
(林・高知放送記者)
 少子化対策についてなのですけれども、知事は、これまでも各市町村に出向いて座談会もやってきたと思うのですけれども、この問題を特化して、例えば今度、市町村に出向く時に、子育て世代の人たちとか、若者とかをメインにした何か座談会など、何か取り組んでいくことについて、今知事の中でお考えはあるのでしょうか。

(知事)
 私自身は一種の仮説として、特に本県で近年若い女性の流出が進んでいることに関して申しますと、ある意味、本県、都市的位置か農村的位置かといえば、どっちかと言えば農村的、いわゆる地方のいわゆる伝統的な昔からの価値観がより強いところだとすると、あけすけにいえば男尊女卑と言うとちょっと刺激的かもしれませんが、そういう傾向が大都市部に比べると、なおより残っている地域なのではないか。だとすると、本県出身の若い女性も、特に、都会に出られた女性からすると、ある意味、高知へ帰った場合に家事も育児も女性が、いわば一方的に負担を強いられるというようなイメージがまだまだあるのではないかと。現実必ずしもそうでもないと思っていますけれども。
 だとすると、そういった高知県は、かつての農村的な地方としてのイメージの社会ではないと。男性も育休をどんどん取るのが普通のような、男女で共に働き、共に子育てをするという社会に地方の中でいち早くなっているのだという実態を現に早くつくって、これを都会におられる本県出身の女性、あるいは本県への移住に多少なりとも関心を持っていただいている女性に、強くPRプロモーションしていくことが大事だと思っています。
 ただ、独りよがりでもいけませんので、新年度の予算の中には、特に若い女性の当事者の方々に、かなりの数のヒアリング調査をしたり、アンケート調査か何かをしたりして、いわばマーケティングですね、どういうやり方をやるのが一番有効なのかという点からの分析を、より突っ込んだ分析を行った上で、あるいは他県などの先行的な、あるいは先進的な効果的な施策なども調査して実効性が上がる形で結果を出せるような形で施策を進めていきたいと。これ1年2年の話じゃないと思っています。中長期的にしっかり取り組んでいくための、そうしたマーケティング調査的なこともしっかり並行して行いながら、何とか結果を出していきたいと思っております。

 上水道の管理が厚生労働省から国土交通省に移管されることについてのメリット等受け止めについて
(栗原・時事通信社記者)
 先ほど知事が上水道の耐震化について、厚労省から国交省に移管されたことがチャンスだとおっしゃいましたけども、どのような点がチャンスであり、メリットであるとお考えなのか、また、今後、どのような取り組みをされていきたいのか、お考えを伺います。

(知事)
 これはちょっと厚労省に失礼になるかもしれませんけれども、皮膚感覚のようなところで申しますと、実際これまでも特に上水道の震災対策という点に関しては、提言活動もいろいろ行ってまいりました。そうした中で今まで上水道は厚生労働省、下水道は国土交通省というように所管が分れていた中で、例えば給水車とか給水タンクなどの施設の整備を、国でもバックアップをして欲しいというような提言活動もしてまいっておるわけですが、そうした中での感触というか、皮膚感覚として国土交通省は、大きな公共事業の予算を持っていますので、特に施設設備系に関しては太っ腹とは申しませんけれども、財布も大きいわけですので、大きな下水道の予算の中で、かなり前向きにいろいろなことを考えていただけた。
 それに比べて厚生労働省の上水道の方は、率直に言ってちょっと物足りないですねというような物言い、やや刺激的な挑戦的な物言いもして、厚生労働省にも働きかけをしてきた、というのは実体験がここ数年あるものですから、そういった意味で、今回国土交通省に上水道の事業の移管もされて、下水道とより一体的に対応されるということはチャンスではないかと、そういう皮膚感覚として、そういう感覚を持っているということを申し上げたつもりです。

 住宅耐震化の補助制度強化と高齢者が生活する老朽化住宅への支援策について
(今林・朝日新聞社記者)
 幹事社質問で、建物の耐震化の支援について、少し強化をご検討していらっしゃるとお聞きしたのですけれど、これをもう少し具体的に教えてください。
 それともう1点、今回の能登半島地震でも、住宅に住んでいる方の高齢化と、建物の老朽化というのは非常にクローズアップされて、そういった方々のうち、亡くなられた方が非常に注目されています。高齢者の方々への住宅の耐震支援などについてお考えになっていらっしゃるようでしたら教えてください。

(知事)
 住宅の耐震化の強化に関してということですね。具体的には補助単価です。これは市町村が現実には事業主体となることをお願いして、そこに間接補助の形で県の支援も入れているわけですが、その際の上限の単価です。過去を見ますと大体今設定しております、ちょっと数字は今手元にありませんが、県が設定しております単価の範囲内で平均的に大体おさまっていた工事がここ数年の工事費の高騰もあって、資材の高騰もあって現実にその平均値が県の設定単価をもう上回ってきているというような状況もお聞きしております。少なくとも実勢単価の上昇に合わせて、県の補助単価の標準値も引き上げていくことは必要だし、すぐできる対策でもありますので、これはそういう方向で今やろうということで検討しています。
 特に高齢者が、端的に言うとやはりご自身たちだけであれば、何と言うのですか、かなりのお金をかけて、補助金は入るにしても一定の自己負担というのは伴うということだと思いますので、インセンティブが働きにくいということはあるのかなと思います。
 若い方、息子さん、あるいはお孫さんとご一緒ということであれば、やはり子のため孫のためでも、あるいはお金を出せる方が総体的に多いわけですから、比較的自己負担にも耐えやすいということだと思いますが、高齢の、特にお一人暮らし、年金暮らしということになると、自己負担もなかなか出すのはつらいというような状況はあるのではないかと、そういう想像い たします。
 これは、特に高齢者ということに着目してどういう支援ができるかというところは、ちょっと今後の課題だと思いますけれども、現実に高齢者のご家庭で、耐震の補強などができていないところで、被害がかなり出ているということは事実だと思いますので、なかなか、お金だけの問題ってことではないのかもしれませんけれども、これはまさしく今後の一つのテーマとして、どういう改善策があり得るのかということは勉強してみたいと思っています。

 高知県から他県への転出超過の現状について①
(井上・高知新聞社記者)
 まず、出生数のお話とちょっと近いお話になるかもしれませんが、今年1月末に2023年の人口移動報告が発表されまして、高知県のいわゆる県外移動の転出超過が1,835人ということで、1年前の1,398人と比べて400人以上大きく増えています。全国的には東京への転入超過が増えているということですが、この状況に対する知事の受け止めをお聞かせください。

(知事)
 一つは大きな傾向としては、コロナ禍の5類移行で区切りがついて、コロナ禍の中で、大都市部よりもむしろ地方に向かっていた流れが、元に戻っているという力学が働いているというのが、再び東京への転入超過が増加に転じていることの大きな背景であろうとは思っています。
 ただ、一方で私自身注目していますのは、広島県知事もそう言われていたと聞いていますが、日本人だけで見るとかなりそういう傾向が顕著ですけれども、外国人も含めていくと、外国人の転入超過は、これも速報値ではありますけれども、これは前年と同程度の水準ということです。今後の人口減少対策を考える時は、日本人、日本国籍持っている方だけではなくて、外国人の方々の数字ということも含めて考えいくことが必要ではないかなと、適当ではないかなという点は要注意の点ではないかという感想を持っております。

 高知県から他県への転出超過の現状について②
(井上・高知新聞社記者)
 外国人の移動が日本人の移動と比べてあまり都市に向いていない背景、逆にいうと高知県としては、どういった取り組みをしていきたいというのは、今のところあるのでしょうか。

(知事)
 これは、都市に向いていないというよりは全体として転入超過と言いますか、外国との関係でいうと、外国から入って来ていただく方が、やはり都市に集中はしているのですけれど出稼ぎですから。だけれども高知県のような地方にも、例えば農業とか特に人手不足での需要はたくさんありますから一定数は入ってきてもらっているというのが実態だと思います。
 これはただ今後また、技能実習制度の見直しなども考えると、より流動的になって、こちらも、そういう意味では大都市部への集中が生じやすい方向に制度が変わっていくのではないかというような推測も一般的にされている中ですので、これは私どもとしては、むしろそういう狙いもあって、年初ベトナムとかインドにも行った訳です。送り出し側との関係も強化して、高知に関心があって高知で技能実習をしてみたいと、働いてみたいという若い方をぜひとも一定数は確保して、高知でもそういう外国の若い方の力を借りて、地域を元気にしていきたいという思いで対策を考えていきたいと思っています。

 ミクロネシア訪問に関する知事の感想について
(井上・高知新聞社記者)
 先ほどベトナム、インドのお話もありましたが、1月中旬にはミクロネシアも訪問されたと思います。ミクロネシア連邦を訪問してきての知事ご自身の感想をお聞かせください。

(知事)
 ミクロネシア連邦は明治時代に高知県出身の森小弁さんが当地に移民されて、当地でもいわゆる酋長のようなお仕事もされ、またご子孫が森ファミリーといってミクロネシア連邦は10万 人ぐらいの国家でありますけれども、政財界の要職を占めておられると。チューク州という州知事もご子孫でありますし、以前は、国の大統領もこの森ファミリーの中から出られたという こともありまして、現地の要人が高知にもしばしばおいでいただいているということの答礼の意味もあって、今回訪問させていただいて交流を深めさせていただいたところです。
 南太平洋、西太平洋になるのですかね、太平洋を挟むという意味ではかなり遠いところではありますが、隣人であって、例えばカツオの漁業試験の管理だとかいうところで、短期的には意見が対立するとこもあり得ますが、中長期で見ますと手をつないでいける、また、いくべきところだと思いますし、国全体としても日系人が2割とおっしゃっていましたけれども、日本とも関わりの深いところです。
 国全体の外交戦略としても太平洋の島しょ国とは、いろいろな意味でお付き合いを大事にして、これも自治体レベルでの交流のネットワークもつくっていくということに本県も大いに関わってきた、そういうネットワークの対象国ということでもありますので、これは現実に交流させていただいた中で、本当に親近感を持って歓迎していただいたということですし、日本といろいろな食文化も含めて大変近い、親しみを私自身感じましたし、今後いろいろな面での交流をさらに深めていきたいなという思いを強くしたところです。

 尾﨑正直衆議院議員(前高知県知事)の国土交通大臣政務官就任への受け止め
(井上・高知新聞社記者)
 前の高知県知事 尾﨑正直衆議院議員が、この度、国土交通兼内閣府兼復興政務官に就任されましたけれども、それに対する率直な感想があればお聞かせください。

(知事)
 今回、交代にあたった原因が原因なだけに、なかなかご当人も素直に喜んでいいのかどうかということはあるかもしれません。その点はちょっと置きますと、本県選出で、また前知事という、本県の実情を隅から隅まで分かっておられる尾﨑さんが、今回国土交通政務官という要職に就かれたということは、大変私としてもうれしいことだと思います。ご経験も生かしていただいて、特に本県のインフラ整備であったり、交通インフラの確保であったり、こういった国土交通行政に関わる課題、大変大きなものがございますので、本県の県勢浮揚という点に関しましても、ご経験を生かして大いにご活躍をいただけるのではないか、また、いろいろな提言活動などにもお力をいただけるのではないかと、大いに期待をいたしているところです。

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