令和6年1月1日 知事の記者発表(年頭所感)

公開日 2024年01月01日

更新日 2024年02月29日

(司会)
 
ただ今から、知事記者発表を始めさせていただきます。冒頭、知事から令和6年の年頭にあたり、所感を申し上 げます。

(知事)
 
新年あけましておめでとうございます。本年が皆さんにとりまして、良い年になりますよう心からお祈りを申  し上げます。
 昨年12月、県民の皆さんのご支持をいただきまして、知事として2期目のスタートを切りました。選挙期間中  に県民の皆さんから大きな力をいただきましたので、この力を原動力とし、気持ちを新たに県勢浮揚に向けて今年  も尽力する考えです。
 2期目も引き続き「共感と前進」を県政運営の基本姿勢としたいと思います。県民の皆さんとの対話を通じて県  政に対する共感をいただき、そして課題の解決に向けて前進し、成果を上げる。そして、こうした成果が県民の皆  さんのさらなる共感を得て、取り組みが一層前に進んでいく。こういった形で「共感と前進」の好循環を起こして いくことで、県政を進化させたいと思います。
 どういう方法で進化させていくかということに関しては、かねて申し上げております新たな時代の潮流、デジタル化、グリーン化、グローバル化、こういった時代の流れを先取りして、県内の産業、そして生活、行政、各分野 にわたって県の施策をバージョンアップしたいと思いますし、県の経済社会も進化させたいと思っております。
 そして現在、県政におきまして最重要の課題は人口減少への対応だと思っています。令和4年の出生数は、全都 道府県の中でも最少という厳しい結果となりました。これに象徴されますように、特に若者人口の減少が深刻化し ているのが本県の特色です。その状況からは、何としても脱却したいという思いでして、本県の場合、とりわけ女 性の若年人口の流出が激しいということですので、ここをまず食い止めて増加に転じさせたい。その上で、持続可 能な人口構造へ転換していかなければいけないと考えています。
 具体的な目標として、4、5年後までに若年人口の減少傾向に歯止めをかける。そして概ね10年後には、今の水 準ぐらいまで回復をさせる、反転させることを目指して、この点は不退転の決意で臨みたいと考えています。地域 に若い人が増えてくる。これが実感できるようになりますと、県民の皆さんの希望となると思います。そして、地 域の未来予想図がしっかり描いていけると思います。そのためにも若い方々を県内で増やす、地域で増やしてい く。このことを一番の目標にしたいと思いますし、このためには、かねて申しております目指すべき高知の3つの 高知県像、「いきいきと仕事ができる高知」「いきいきと生活ができる高知」そして、前提条件としての「安全安 心な高知」。この3つの姿を実現していくことが、人口減少を克服するためのポイントであると思います。
 こうした考え方に立ちまして、まち・ひと・しごと創生総合戦略の次期戦略を年度内にまとめてまいりますけれ ども、その際には、第1に若年人口の増加、第2に婚姻数の増加、第3に出生率の向上、この3つの観点から、あ らゆる施策を抜本強化して、人口減少対策を講じたいと思っています。
 この中でも、やはり1丁目1番地は若年人口の増加、特に女性の若者の増加だと思っています。そのためには、 若者にとって魅力のある仕事を創出していく。そのために、デジタル化を一層進めて、事業者の方々の稼ぐ力を強 めていく。高い給料が払える仕事を増やしていく。そして、IT・コンテンツ企業など、女性に人気のあります事 務系企業の誘致をさらに強力に進めていく。こんな取り組みを展開してまいります。
 そして、高知の雰囲気自身も変えていきたいということがあります。若い女性に高知を選んでもらえるように、 都会に出ていった若い女性たちに高知に帰ってもらえるように、高知の中で、地域でまだ残っている固定的な性別 役割分担の意識。典型的には、男は仕事、女は家庭といったような固定的な役割分担意識を打破していかなければ いけない、解消していかなければいけないと思っています。そのための運動のエンジンになる、原動力になるの が、私は男性も育休を取得する、そのことが当たり前の高知県にしていくことが、原動力にしていけるのではない かと思っています。私自身が先頭に立ちまして「共働き・共育て」の高知県、これを県民運動として推進して社会 全体の意識改革に全力で挑戦したいと思います。そして、都会に出ている若い女性たちに対して、「高知県も変わ ったよ、変わりつつあるよ」というメッセージを送って、「ぜひ高知に帰っていらっしゃい」というラブコールを 送りたいと思っております。
 そして、特に中山間地域においては、若年人口の減少が先行して進んでおります。より重点的な人口減少対策の 取り組みが必須だと思っています。年度内に作成いたします中山間地域の再興ビジョンを作成いたします。その4 本の柱の第1に、やはり若者を増やすを掲げ、第2に暮らしを支える。第3に活力を生む。第4に仕事を生み出 す。こうした柱の下にビジョンを策定してまいります。特に中山間地域の基幹産業であります第1次産業、あるい は建設業におきまして、若者、特に女性が就業しやすい、魅力のある仕事を創出していくといった形で、新しい中 山間対策を少子化対策と一体の形で取り組んでいきたいと考えています。
 そして、こうした施策を実効性あるものにするために、市町村との連携によりまして、同じベクトルを向いた上 で施策を打っていくことが大事だと思います。そのために、例えば定住や移住の促進、子育て支援といった一連の 人口減少対策を、市町村のそれぞれの実情に応じて進めていただける。そのための財政的なバックアップの対策と して、人口減少対策総合交付金を新年度から導入したいと思っております。今総額で数億円規模を想定しておりま すが、予算編成過程の中で具体的な設計を確定し、市町村と一緒になって、強力に人口減少対策を進めてまいりた いと考えています。
 次に、目指すべく3つの高知県像のうち、まず「いきいきと仕事ができる高知」の実現に向けての取り組みを説 明します。魅力のある仕事、そして稼げる仕事がなければ、若者を地域に呼び込むことはできません。また、地域 に、高知に残って欲しいと言っても、その希望は叶わないと思っています。このために、象徴的な目標として、い わゆる一人当たりの県民所得、これが今、全国41位ぐらいにありますが、これを概ね10年先には全国の中位、20位 台にまで引き上げる。このことを目標に徹底的に県経済の底上げを図っていきたいと思います。各県とも一生懸命 ですから、これも容易な目標ではありませんけれども、何とか、今までの産業振興計画の取り組みの体験を生かし て、この目標を達成したいと思います。
 具体的な取り組みは、まずはやはり今まで取り組んでまいりました地産外商、これのさらなる強化だと思ってい ます。第1歩になりますのが関西圏との経済連携の本格化です。今年は7月に大阪市の梅田に新しいアンテナショ ップも開設します。これを拠点として、大阪・関西万博の開催を前に経済活力が高まっている大阪、関西の活力を 本格的に高知県の経済に取り込んでまいりたい。それによりまして、県民の皆さんに早期に成果を実感していただ くことを目標に取り組んでまいりたいと思います。
 次期の産業振興計画におきましては、これに加えまして、地産外商の強化策として、海外への県産品の輸出。例 えば食品でしたり、防災の技術でしたり、こういったものをさらに伸ばしていくこと。そして、インバウンド観光 の拡大。これに取り組んでいきたいと思っています。併せまして、今回の新しい産業振興計画の柱になりますの は、キーワードはイノベーションだと思っています。デジタル化、グリーン化の取り組みなどによりまして、付加 価値の高い新しい商品の開発、新しい産業の創出を図っていく。このことがより稼げる産業、そして、若者に魅力 のある仕事に直結すると思っております。
 さらに、足下の経済状況を見ますと、まだまだ物価高騰対策が必要です。ただ、いわば一過性の負担軽減、負担 緩和策だけではなくて、今後の中長期的な効果を持つような、そして持続的な県経済の成長につなげられるような 構造転換対策も必要だと思っています。例えば省エネの設備を入れていくことで、先々の電気代、燃料代を安くし ていく。そして事業の足腰を強くしていくようなこと。そして、新しい分野に進出していくことで、将来的な新し い収益源を開発していくこと。こういった取り組みをしっかりと併せて応援していくということに、引き続き意を 払いたいと思っています。
 3つの将来像の第2が「いきいきと生活ができる高知」の実現です。誰もが住み慣れた地域で暮らし続けるた め、そして若者を県外から呼び込むためには、医療や福祉、教育といった生活基盤の確保が不可欠です。その際に は、デジタル技術を最大限に活用していくことによりまして、県民の皆さんの希望に応えられるような生活環境の 整備に取り組んでまいります。
 若者を県内に呼び込むということを考えますと、まずはお子さんの教育が関心事だと思います。学力向上、不登 校対策をはじめとした教育の充実を図ってまいりますし、こどもまんなか社会の実現に向けまして、一つは国の施 策にも呼応して、子育て家庭の経済的な負担の軽減を図っていくということ。そして、男性育休の促進などのよう に、職場で子育てを支えていくということ。第3に、地域におきまして、住民参加型の子育て支援を行っていくこ とによって、地域全体で子育て家庭を支えていく。こうした形で、子育て支援策を強化していくことで、「子育て をするなら高知でしませんか」というメッセージを、若者たちに送っていきたいと思います。
 そして、保健・医療、福祉・介護の分野については、第1に、かねて取り組んでおります健康寿命の延伸対策。 特に高知県は男性の壮年期の死亡率、働き盛り男性の死亡率が高いという弱点があります。ここを早く克服した い。これを重点に取り組みます。そして、医療・介護・福祉サービスの提供体制の確保、こうした基盤整備に関し て申しますと、特に中山間地域におきまして、オンライン診療などによります体制の強化。あったかふれあいセン ターの活用といった事業の展開を進めてまいりたいと思っています。
 そして、保健・医療、福祉・介護分野におきましては、最近の8050問題、ヤングケアラーの問題のように、分野 横断的な取組体制が不可欠になっております。こうした体制を、地域で困った時は、共に支え合うという高知型地 域共生社会の実現を図ることで取り組んでいきたいと考えています。
 最後に、第3の高知県像「安全・安心な高知」の実現に向けてです。高知県は過去、しばしば台風災害、豪雨災 害に見舞われてまいりました。南海トラフ地震も発生の切迫が伝えられているところです。こうした高知県におき ましては、安全安心に暮らせる環境を整えること、これが全ての大前提になると考えます。これまで以上にスピー ド感を持ちまして、道路や河川、港湾といったインフラ整備を進めていかなければいけません。そのために、例え ば高規格道路網であります四国8の字ネットワークの整備、そして、浦戸湾の三重防護とった津波対策、こうした プロジェクトに代表されます社会資本整備を市町村、関係団体の皆さんとも連携して、国に対してプロジェクトの 推進について強く働きかけていきたいと思っています。
 南海トラフ地震対策につきましては、想定死者数ゼロを目指しての取り組みをさらに続けていきたいと思いま す。津波対策として早期避難意識率のさらなる向上、あるいは要配慮者の方々の個別避難計画の策定の加速といっ た取り組みを進めてまいります。そして、災害の応急対策に関して言いますと、いろいろな計画を、受援計画等も 含めて整備してまいっておりますけれども、この計画の実効性を上げていくための訓練の実施。ここからの教訓を 取り込んだPDCAサイクルの展開といったものが必要だと思っています。
 加えまして、発災後の早期の復旧・復興に向けた取り組みとして、沿岸市町村におけます、事前復興まちづくり 計画の策定の加速を図っていきたいと考えています。
 最後にひと言申し上げたいと思います。今後の4年間も、私自身が先頭に立って、こうした様々な取り組みを、 県民の皆さんとともに、心を一つにして進めていきたいと思います。そのことによって、元気で豊かな、そして、 温かい高知県を実現していく。そして、それを次世代に引き継いでいけるように、全力を尽くしていきたいと思い ます。そのためにも、まずは県政の最重要課題であります人口減少の克服に向けて道筋を付けていかなければいけ ない。そのための新しい第1歩を踏み出す年を今年としたいと思っています。この難題にあらゆる政策手段を動員 して立ち向かって、高知の未来を切り開いていきたい。その先頭に立つ覚悟です。
 今後も、県民の皆さんからのご指導、ご鞭撻を心よりお願い申し上げますし、県や市町村と一緒になって、元気 で豊かなあったかい高知づくりに一緒に取り組んでいただきたいとお願いしたいと思います。
 
(司会)
 それでは、年頭所感に関する各社からの質疑の移ります。質問される方は、挙手をして社名とお名前を発言をし ていただいてからお願いします。
 

 来年ならではの県政のキャッチフレーズについて
(井上・高知新聞社記者)
 
新しい第1歩を踏み出す年にしたいというお話もありましたが、来年ならではの、例えばキャッチフレーズや、  知事の思いがぎゅっと詰まったひと言がありましたら教えてください。

(知事)
  
キャッチフレーズには必ずしもなりませんが、3つほど考えていることは、1つは、市町村と一緒に取り組む  という中で、人口減少対策の総合交付金をいわばオーダーメイドで、市町村の皆さんとキャッチボールをしなが  ら、制度設計をして使い勝手のいいものにして、市町村とともに取り組む1年にしたいと思います。
 第2には、若い女性の流出が人口減少の、ここ数年、10年の最大の原因になっていると思いますから、若い女性  に「高知も変わったよ、変わりつつあるよ」というメッセージを送れるような、そんな県民運動を、特に男性の育   休取得を軸にこだわって進めていきたいと思います。
 3つ目は、アンテナショップが関西、大阪にいよいよ出来ますので、かねて就任以来、いわば1丁目1番地と考   えておりました関西戦略、これが目に見えて県民の皆さんに実感していただけるような成果を生んでいけるよう に、その新たな第1歩にしたいと思っています。

国立社会保障・人口問題研究所が発表した2050年までの「地域別将来推計人口」について
(栗原・時事通信社記者)

 昨年の暮れに国の機関が出した数値によると、日本全国でも東京以外の人口は減少し、高知県では高齢化率が 45%ぐらいになるということでした。この数字を改めてご覧になって、人口減少についての受け止め、ないし対策 への意気込みを伺います。

(知事)
 
昨年末に、社会保障・人口問題研究所から県別の将来推計人口の発表があったということです。ひと言でいう と、高知県は引き続きないしは、さらに厳しい状況が浮き彫りになったということではないかと思います。
 2045年時点ですね、これも5年前にも、5年前の国勢調査をベースに推計されていたわけですが、その2045年時 点の推計人口も1万人程度減少というデータになっておりまして、5年前に49万8,000人という推計だったのが、 48万8,000人に下方修正されているということですから、この5年間の国勢調査の期間を経て、さらに状況は厳し くなっているというのが率直な印象だと思います。
 これの対策については、ただ今申し上げたようなことをやっていくしかないと思っていまして、高知県の場合、 大変厳しいと思っていますのが、2045年時点の1万人ほどの減が、県人口全体の減と、いわゆる34歳以下の若年人 口の減が、大体同じような水準になっているということで、なんとしても若者の人口を増やしていくことを軸に、 人口減少対策を講じていくことが非常に大事だろうと思っています。
 今回の国立社会保障・人口問題研究所の推計を県内の市町村別にばらして見ると、より厳しい状況が浮き彫りに なっていくことだと思います。特に小規模な市町村の皆さんの危機感も非常に大きいと思いますので、県としても 特に人口規模の小さな市町村の皆さんと危機感を共有して、40年以上、若者の人口減少が続いてきているわけです が、向こう4、5年のうちに、これに歯止めをかける道筋を付けていくことに精一杯取り組んでいきたいとに思っ ています。

南海トラフ地震対策について
(古谷・読売新聞社記者)
 南海トラフ対策について、改めてお伺いいたします。4,300人という犠牲者数を絞り込むという話を、選挙でも おっしゃっていましたけれども、特に新年で力を入れたい部分、先ほど言われた意識の向上と8の字ネットワーク の整備などがありましたけれども、特にこれに力を入れていきたい。あるいは、新たにこういうことをと考えてい らっしゃることがあったらお願いします。

(知事)
 想定死者数を減らしていくところでは、大きく2つのポイントがあって、早期避難意識率の向上。この点は最 近、危機管理部でもSNSを使ったり、動画を使ったり、新しい一種のデジタルマーケティング的なことも含めて 対策を取ってもらって、数字が77%に上がってきました。この点は、これを維持して、さらに上げていくところの 努力だと思います。より地上戦の部分で着実に今年は進めていきたいと思っていますのが、要配慮者の方々、高齢 者の方々、障害者の方々も含めてですね、要配慮者の方々の個別避難計画を、今、特に高知市も専門職の参画とい った体制も取っていただいて軌道に乗りつつあると思いますので、この個別避難計画の策定率を今年はぐっと上げ ていくことに力を尽くしたいと思っております。

関西戦略について
(古谷・読売新聞社記者)
 関西戦略についてです。以前からおっしゃっているような高知県産木材の活用や販路拡大について、大阪にアン テナショップが夏にオープンしますけれど、関西戦略の中で考えていらっしゃることをもう少しお伺いできればと 思います。

(知事)
 これは具体的には、また今後詰めなきゃいけないのですけれども、特に夏に新しいアンテナショップが、大阪駅 のすぐ前の再開発の商業ビルの中にオープンできるということです。手前味噌ですが、相当一等地の場所も確保で きました。大阪駅からほぼ直結というようなところに確保できたと。すぐ前には、いわゆるイベントスペース的 な、公共スペース的な部分が再開発ビルの中にあるということでして、そこでは、しばしばいろいろなイベントの 企画も行われそうだということですので、ぜひそういった地の利を生かして、特に関西・大阪は高知県ゆかりの方 が非常に多いというのが、関東・東京圏に比べても大きな特色、強みだと思います。
 結構、高齢化されている方も多いですけれども、我々のどちらかと言いますと父親、母親世代が仕事を求めて関 西へ出られたという方で、関西・大阪に定住されたという方々がかなり多いと思います。そういう世代からする と、今や2世、3世の時代になっているのかもしれませんが、何とかそういう方をできるだけ多く巻き込んで、大 阪・関西ならではの高知のプロモーションというのを仕掛けていきたいと思っています。分かりやすい形として は、イベントの形ということになるのかもしれませんけれども、それをぜひ大阪事務所、あるいは産業振興推進部 などとも議論をして、打ち出していければいいなと思っています。

関西・大阪万博における県産木材の売り込みについて
(古谷・読売新聞社記者)
 昨年おっしゃっていた県産木材の販路拡大、あるいは県産木材を大阪・関西万博の会場のリングに使用してもら いたいという話もあったかと思いますけれど、その点についてはどういうお考えですか。

(知事)
 大阪では、アジア太平洋トレードセンターだと思いますけれども、湾岸部に県産木材のショールームをつくりま して営業活動も強化しています。より分かりやすい耳目を引くものとしては、いろいろ賛否両論のようですが、今 回の大阪・関西万博の会場のリングという大屋根ですね。あれもぜひ高知産木材も使っていただこうということ で、ただあれは、いわゆる集成材を使っていくということになって、丸太ではなくなったので、集成材の工場への 運送の経費なども支援しまして、県産木材もしっかり使われているはずですので、そういったところのPRをさせ ていただいて、あるいは万博の会場の中に、各県の木を植えた森のようなものを創っていくような話も聞いており ますから、そういったところと関連付けてPRもしながら、なにせ大阪城の築城の時などに、かなり高知の木材 が、白髪山辺りから搬出して貢献したという故事もありますので、そういった故事来歴の披露も含めて、高知県産 木材のPRというのをこの機会に進めていきたいと思っています。

令和6年に特に人口減少対策に力を入れることについて
(今林・朝日新聞社記者)
 いわゆる人口減少というのは、知事が1期目になられた時から、もう大きな問題になっていたと思います。いわ ゆる、その人口をいかに増やすかというのは、他の県でもかなり問題となっていて取り組んでいる自治体があった と思うのですが、なぜこの問題を1期目からおやりになろうとされなかったのか。あるいは逆にこの2期目から、 そういったことに力を入れようと思われた動機を少しお聞きしたいのですが。

(知事)
 人口減少問題という看板を立てて、最優先、最大の課題といった意味では、2期目の大きなテーマということに なります。大きなきっかけは令和4年の出生数が全国47都道府県で最下位、鳥取県も下回ったということですか ら、これはもうごく単純に言えば、こんなトレンドが続いていたら全国で人口も最少の県になってしまうわけで す。そこは大いに危機感を刺激されたところは正直あります。
 もちろん、県人口の減少に手を打っていくというのは、1期目ないしは、それ以前の尾﨑県政でも大きなポイン トであったわけで、まち・ひと・しごと創生総合戦略、これは、国全体で東京一極集中を排除していこうというと ころで出てきた計画だったわけですが、それは高知県としても、当然ここ10年ほど取り組んできたわけですし、そ うした中で、特に若者に魅力ある仕事を創っていくことを中心に産業振興計画を展開して、精一杯取り組んできた。成果も、相応の成果は一応出してきたということは言えると思います。
 ただ、ここまで人口減少対策という切り口で大きくPRをする、あるいは県民に訴えかけていくというよりは、 どちらかというと産業振興、経済活性化、こういうところを前面に打ち出して対策を取ってきたというのが、同じ 物を違う面から見たという性格が強いのですけれど、先ほども申し上げました出生数全国最少というショッキング な数字を、いわば契機に、より人口減少というところに正面から光を当てて、対策を組み立て直そうとしたという のが真意です。

知事が考える高知の理想像について
(山﨑・高知新聞社記者)
 先ほどのお話の中で、人口減少対策の中で、高知の雰囲気を変えたいという話がございました。その中で、男性 の育休取得ですとか、固定的性別役割分担の解消という話もありましたけれども、具体的に知事の中で、高知の雰 囲気の理想像といいますか、女性が活躍することとか、当然含まれてくるのだと思いますけれども、改めまして、 その理想の雰囲気がどういったものか。そして、それをどのように発信していきたいのかという手法も含めてお伺 いできたらと思います。

(知事) 
 多分一番分かりやすいのは、かつ地上戦的に展開したいのは、男性育休取得は当たり前の県にしたいということ です。なかなか一次産業や自営の方々の世界では難しいところがあるかもしれませんけれども、いわゆる勤め人の 世界では、やはり男性も育休を取って、共に子育てをするのが当たり前なんだということが、一番分かりやすい 姿、アピールしやすい姿ではないかなと思っています。そこを軸に運動を展開していきたいと思っています。その ためには、「隗より始めよ」で、高知県庁は今7割を超えるぐらいまで男性職員の育休取得が進みましたけれど も、これを県内の市町村や県内の企業の方々、県内企業も技研さんみたいにすごく進んでいるところもありますけ れども、まだまだ裾野は今後広げていかないといけないと思いますので。そういうことが、特に県内の企業、いろ いろな職場で、あっちこっちで見えてくるということが、多分、今都会に出て行ってしまっている若い女性にも、「高知も変わりつつあるよ」というのが耳に入ってくるというのですか、伝わっていくためには、単にシンポジウ ムや啓発行事、動画の発信をするのも大事ですけれど、それだけではなくて、身の周りで、高知はある意味、狭い 社会ですから、間に1人、2人入ると知り合いみたいなところがありますので、そうした形で知り合いの知り合い ぐらいが、彼も、男性が育休を取って、一緒に子育てしてるんだというものが、身の回りで聞こえてくる、知れて くるということになる、というのをまず地上戦で広げていきたいと思います。
 その上で、これはある県議会議員からも言われているのですけれども、詳細は今からですが、高知家プロモーシ ョンのような形で、イメージ戦略的な発信を乗せていければ、高知も変わってきていると、特にやはり中山間地域 のようなところですと、私が察するに若い女性も帰りたいという気持ちが全くないわけではないけれど、やはり昔 ながらの雰囲気の中では、「結局、家事も育児も全部女にかかってくるのよね」という思いがあると、それだった ら都会でやりたい仕事をやって、男性も優しいところの方が居心地がいいと思ってしまう若い女性も、少なからず いるのではないかと思いますから、そこが存外そうでもないよという発信ができるような実態を早くつくって、そ れにプロモーション戦も加えて、広い意味での県民運動を展開していきたいなと思っています。
 

 

お問い合わせ

総合企画部 広報広聴課
TEL:088-823-9046
FAX:088-872-5494
Topへ