令和6年3月22日 知事の記者会見

公開日 2024年03月26日

更新日 2024年03月27日

  面で不足が出そうかなど現状の見込みと不安がある場合の今後の対応について
3 特定利用港湾の指定受入れに関する県民への説明について
4「特定利用港湾」高知県版Q&Aに「存立危機事態」が説明されていないことについて
5 能登半島地震の現状から、知事が考える南海トラフ地震対策の見直し等について
6 能登半島地震被災地への知事自身の視察予定について
7 特定利用港湾の指定受入れについて
8「特定利用港湾」高知県版Q&Aの公開時期について①
9 特定利用港湾における自衛隊の訓練について
10 特定利用港湾の指定受入れに関係する他県の状況について
11 高知県が特定利用港湾の指定受入れの表明時期について
12「特定利用港湾」高知県版Q&Aの公開時期について②
13 JR四国との再構築協議会の開催について
14 県内の周産期医療体制にかかる高知県の役割について
15 JR西日本の「芸備線再構築協議会」に関する知事の注目点について
16 公務員の定年延長について
17 県の観光資源としての高知市の屋台について
18 令和6年4月1日付けの県人事異動のポイントについて
 

 資料(記者会見)[PDF:366KB]

(司会)
 ただ今から、知事記者会見を始めさせていただきます。冒頭、知事から特定利用港湾の指定の受け入れについて説明いたします。

(知事)
 それでは、まず私から、いわゆる特定利用港湾の指定の受け入れにつきまして、本日、国に対して高知県としての考え方を文書でお伝えしましたので、その点についてのご報告をさせていただきます。 
 資料を配布しておりますので、ご覧いただきながらお聞きいただければと思います。
 まず、この特定利用港湾の指定に関しては、高知港、須崎港、宿毛湾港における港湾施設の円滑な利用に関する確認事項(案)というタイトルにつきまして確認を依頼する、この旨の国からの文書を3月8日に受領しております。配布資料の1ページ目です。これは県議会の委員会審議でもご報告させていただいた通りです。
 これに対して県からは、確認事項(案)に記載をされました文言、この内の緊急性が高い場合、具体的にどのようなケースが想定されているのかという点、それから、これは県議会でもご議論がありましたが、いわゆる重要影響事態などについては、今回の枠組みの中に含まれ得るのか。こういった2点に関して質問をさせていただいたわけです。
 この点、国からは、文書で回答をいただきたいというお願いをしておりましたところ、昨日、3月21日に国から回答が返ってまいりました。それが2ページ目の配布資料におつけをしている中身です。この国からの回答と、3月19日に行いました関係3市への意向確認の結果を踏まえまして、指定の受け入れにつきまして、県としては、これは合意しようという判断をしまして、本日午前に国への文書回答を行いました。いわゆる鏡文のような文書ですが、配布資料の3ページ目が、県としての考えを本日、国に伝えた文書です。
 ここに至るまでの経緯ですけれども、改めまして、特に3月19日に県内の関係の3市と特定利用港湾に関する意見交換会を開催いたしました。この中で、県としては特定利用港湾の指定を受け入れることとしたいという意向・方針案をお示しして3市のご意見を伺ったところです。この会議の場におきまして、3市からは、港湾管理者であります高知県の意向を尊重するといった旨の表明をいただきました。 
 また、この会議におきましては、指定の受け入れ可否を判断するにあたりましての県の考え方を、県民の皆さんにお伝えしようという考え方で、高知県版のQ&A、これはまだ案の段階でしたが、これも作成して説明を行ったところです。
 この県版のQ&Aですけれども、これは意見交換会で3市から出た質問など、あるいは県議会におけるご議論なども踏まえ、若干の追加をしたものを最終版・確定版として、本日の配布資料の後ろの方に付けさせていただいています。4ページから10ページ目ということでして、これは後ほど、県のホームページでも公開しようと考えていますので、広く県民の方々にご覧いただきたいと思います。後ほど、新しい部分をご説明したいと思います。
 今後の進め方です。こうしたことで、国からのオファーに対します県としての考え方を、本日文書でお返ししたということですので、残る手続きとしては、国から1ページで示された案文、これに日付を入れまして、正式な確認事項の文書が作成される。これは今月末に国から当方に送付されてくるだろうと想定しております。これによりまして、3つの県内の港が、国と県との間で円滑な利用に関する枠組みを設けました、いわゆる、特定利用港湾として位置づけられることになります。
 その後ですが、お配りしている資料の1ページ目をもう一回ご覧いただきますと、確認事項の3というところがございます。「上記の着実な実施に向けて」と書いてあるところですが、これで関係者間で連絡調整体制を構築をする。そして、具体的な運用のための意見交換を行うといったことが書かれておりまして、この固定的なメンバーによります会議体を3番の条項に基づきまして設置して、早い段階で自衛隊などの利用に係ります情報を共有する。あるいは課題などについて意見交換を行う。こうした場を設けていくということが想定されているわけです。こうした場におきます意見交換の内容ですとか、今回の枠組みに基づきまして、港湾が具体的に利用される場合は、その予定などにつきましても、必要に応じて国と調整の上で、県としては可能な限り公表していきたいと考えています。
 また、県版のQ&Aも本日作成したものが、一応、確定版の位置づけですが、今後、必要が生じましたら、さらに改定も行いまして県民の皆さんへの説明に活用していきたいと考えています。
 3月19日の会議以降、Q&Aの特に追加したところを簡単にご説明をしたいと思います。通しページの8ページ目をご覧いただきたいと思います。Q11、Q12、国との合意文書についての協議の状況、そして、最終判断に向かう手順の問題、これらにつきましては、基本は19日の3市との意見交換会で提示させていただいたものから、若干の時点修正をしたという程度で、大きな変更はございません。  
 あと2問を意見交換会、あるいは県議会での審議の状況を踏まえまして、13、14という9ページ、10ページのQ&Aを付け加えましたので、これを若干、ご説明させていただきたいと思います。
 Q13、9ページですが、今回、国が重要影響事態と認定した場合には、米軍の後方支援にあたる自衛隊の艦船が、今回の枠組みに基づいて利用できることになるけれども、これは県民に親しまれる平和な港としなければならない、とした県議会の決議に反するのではないかというようなご議論があろうかと思います。そうした主旨のご署名などもいただいているところでして、この点について、前段ふたつで書いてありますことは、こういったいわゆる重要影響事態の認定がされますと、いわゆる武力攻撃事態まではいかないけれども、我が国の安全にとって重要な影響がある事態であるので、自衛隊が米軍などの後方支援、あるいは捜索救助にあたることはできると、そういうような事態・ケースです。
 こういった形で枠組みを設けること自身について、この制度はもともとは、いわゆる周辺事態というようなことで始まったのだと思いますけれども、結果として米軍の戦争に日本が巻き込まれることになるのではないかと言った不安点、疑問点などから是非について国会で大きな議論があった、これは事実だと思います。しかし、そのための法律改正は既に10年前、20年前、こういったオーダーで既に成立をしておりまして、現行法としてはこういう制度が施行されているということです。
 県議会の議決がございましたけれども、自衛隊が現に成立して施行されている法律に基づいて、我が国の平和・安全を確保するために任務を遂行する。このことが駄目だというような趣旨の決議ではないであろうということを書いてございます。
 そして、仮に今回、指定に同意しなかった場合でも、このような緊迫した状況下で自衛隊の艦船から利用の申請がありますと、港湾管理者としての県は港湾法の規定に基づいて可否を判断するということになります。その際は前段にも書いてあります、いわゆる差別的な取り扱いの禁止というような規定も、港湾法上にございますので、自衛隊が法律に基づいて任務を遂行しようとしているものに対して、それが米軍の後方支援を行おうとしているものだから駄目だと、そういった理由で港湾の利用を拒むということは、港湾法の体系上からできないのであろうと思います。
 従いまして、今回この特定利用港湾の指定に同意しないという判断をしたからと言って、こうした場面が現実に、仮に将来生じた場合に、自衛隊艦船の寄港を拒否できるわけではないという、そうした法的な構造になっていることをお示ししたものです。
 それから、10ページQ14です。国のQ&A、3月5日に公表されております。これから日も浅い中で、なぜ受け入れ可否の判断を急ぐのかということも、多く疑問点としていただきました。本県は昨年の10月に国から申し出がございました。早い時点から年度末である本年3月末までには合意形成をしたいということは、国から要請されてまいりました。県では、そのためには国からの情報開示が必要不可欠と考えまして、今回提示されたQ&Aのような文書を早く作成して公表してもらいたいということで、これは県から強くお願いしてきたという経緯がございます。
 そうした中で、3月5日になりましたけれども、国のQ&A、ひと言で言いまして非常に分かりやすい、また網羅的な論点を示した説明の文書が公表されたと考えております。県としてはこれを踏まえまして、国の意向をできるだけ尊重して速やかに判断しようというスタンスに立ったわけです。
 併せまして、下の丸二つに書いてありますように、国の今後の進め方の考え方としては、今回、本県以外にも全国で10の道県でこの種の港湾、あるいは空港に関しての特定利用港湾・空港の協議が行われていると承知しております。この10の道県、できるだけ全部一括して年度末に合意の文書を交わしたいというのが、国の意向でして、その上で、新年度に入りましたら令和6年度の予算の執行が始まりますので、年度末に合意して、合意がされた道県を対象に早速、令和6年度の予算から施設整備の中での配慮といいますか、安全保障上の理由によります重要性の加味というところも動かしていきたいというのが国の考え方だと伺っているわけです。
 本県は、そういう状況を踏まえますと、南海トラフの対策ということもありまして、例えば高知港、浦戸湾の三重防護の事業のような港湾の整備、1日も早く完成したいという思いで、日々取り組んでいるところですので、令和6年度の整備予算の執行に間に合うような形で、令和6年度から早速このスキームに載せていただくことが、1 日も早い事業の完成ということについては、大変望ましいことになるであろうという考え方から、国が示しましたスケジュールも踏まえて、速やかに対応を行うということで、本日、県としての判断をして、国に対してお返しをしたということです。
 私からの報告は以上です。

(司会)
 それでは、幹事社質問をよろしくお願いいたします。

知事が考える特定利用港湾指定を受け入れるメリットと「軍事利用化」を懸念する声への考えについて 
(今橋・テレビ高知記者)
 特定利用港湾についての件で、一つ質問です。きょう付けで国に合意する内容で回答したということですけれども、改めて知事の考える指定のメリットと軍事利用化を懸念する声についてどのようにお考えになっているのか教えてください。

(知事)
 指定のメリットを煎じ詰めればどういうことかということですが、本日お配りしております高知県版のQ&Aですと、5ページの下の方にあります問の5ですね、これにまとめてある中身です。改めまして簡単に申しますと、大きく言って2点だと思います。
 1点目は、公共事業の採択などの判断にあたりまして、自衛隊などのニーズがあるという安全保障上の観点からの重要性が、その採択の際に加味されることになります。ということは、例えば具体的には浦戸湾の三重防護事業、こういった防波堤の整備といった港湾のインフラ整備の加速化が、この指定を受けることで期待されるであろうと。そのことのメリットは非常に大きいのではないかということが1点目です。
 2点目は、指定されますと、想定としては自衛隊の艦船が平素から年数回程度と言われていますが、訓練を行うことも想定されます。こうした平素からの訓練などで、県内の港湾の特性に自衛隊の艦船が習熟しておくことができる。そうしますと、いざ大規模災害が起きるというようなこと。あるいは有事におきます国民保護事案で、住民の皆さんの避難のために港湾を使わないといけないといった場合を想定しますと、こうした場合の対応が自衛隊が常日頃、港湾に慣れていただいているということで、大変スムーズに、迅速にいくのではないか。この大きな2点がメリットだと考えています。
 併せて、軍事利用化についての不安・ご懸念という点に関しましては、今回、国のQ&Aにも出ていますけれども、港湾の指定によって、新たに港湾の中に自衛隊の基地や駐屯地を設置するというようなことは考えていないということ。また、いわゆる実弾の訓練のようなものも港湾で行うことは想定されていない。さらに、この枠組に米軍の参加はないと。こういったことは国において確認されていることをお答えしたいと思います。
 もう1点は、今回の議論の前提になりますけれども、港湾法の規定上は、いわゆる不平等な扱いの禁止という考え方があります。例えば武器や弾薬を輸送しているとか、米軍の後方支援に行くための利用であるとか、そういったことの理由だけをもって、港湾の利用をお断りするということは、私はできないと考えています。
 もしお断りをするとしたら、例えば港湾のスペックが予定されてる自衛隊の艦船に合わない。自衛隊の艦船が大き過ぎて港湾に入りきらないとか、既に他の船舶の利用の予約が入っていて、どうしても動かせないという事情があると。そういった時には合理的な理由としてお断りできるのだろうと思います。 それは今回の指定を仮にお断りするとしても、自衛隊の側で使いたいと言ってくることは、自由ですから、そうした時に、米軍の後方支援に使うから駄目だというお断りはできないのだろうと、そういうことなども考えますと、今回の指定そのもので、軍事利用が進むというような関係にはないと考えていいのではないかということを、県民の皆さんにも申し上げたいと思います。

南海地震の際、外部からの支援がゼロに近い場合、自力で構築できる態勢と可能な活動、また、どのような場面で不足が出そうかなど現状の見込みと不安がある場合の今後の対応について
(飯田・読売新聞社記者) 
 特定利用港湾から一度少し離れますが、南海トラフ地震対策についてお伺いします。直近、全国で比較的大きな地震が相次いでいまして、県民も不安に感じる場面が多いかと思うのですが、能登半島地震で見直してきたこともありますけれども、南海トラフ地震が起きた時に、外部の支援がどれだけ得られるかというのは未知数の部分があるかと思います。現状、県内でどのぐらいの対策を取ることができて、どのような不安があって、その不安に感じているところに、これからどうアプローチしていくのかということをお聞かせください。

(知事)
 南海トラフ地震を想定した場合の外部からの、県外からの支援ということであろうかと思います。まず、南海トラフ地震の被害想定に関してです。これは東日本大震災の直後に行われた被害想定で、甚大な人的被害、住家被害、避難者数も多数発生、こういった想定がされています。数字で申しますと、県内で死者が最大のケースですが4万2,000人、負傷者が3万6,000人、避難者が42万3,000人、こんな非常に想像し難いような大規模の被害が想定されているということです。
 これだけの被害を想定しますと、県内で自力でどれだけの態勢が構築できるかということに関して言いましても、例えば警察・消防・自衛隊、県内に配置されていますこの3機関の職員を単純に合算しましても、4,000人弱といったところです。例えば負傷者3万6,000人といわれるような規模からすると、桁が一つ少ないわけでして、できる対応はかなり限定的にならざるを得ないだろうと。
 実際、過去の東日本大震災であったり、その前の阪神淡路大震災などを見ましても、県内だけの態勢で見ましては、例えば発災直後の救助の捜索や消火活動、こういったものは大変多いニーズに対して、ごく一部しか、現実には対応ができないのではないかと思いますし、当面は行政のみならず、県民の皆さんの自助、共助の部分の対応も期待されますけれども、それでは、物資の輸送だとか生活の支援、こういった活動場面におきましても、やはり人員不足、物資不足などによって支障が出ることは、想定せざるを得ないのではないかと考えています。
 そうしたことですので、南海トラフ級の地震の対策としては、県外からの支援は不可欠でして、いかに早く、かつ多くの支援を受けられる体制、受援体制を整えておくかが非常に対応のキーになる、重要なポイントだと考えています。この点、国も大きな構図は既に想定されています。
 国の南海トラフ地震におきます応急対策活動に関する計画におきましては、警察・消防・自衛隊合わせて、全国で14万7,000人を被災地に派遣するという想定をしており、その内、四国には約3割、4万4,000人ほどの計算になりますけれども、応援派遣が想定されるといった、大きな構図は書いてはいただいている。
 より具体的に消防などについては、いわゆる緊急消防援助隊などについては、より詳細な運用計画なども作られているということでして、県の受援計画としては、国の計画に合わせて県で進出してもらう拠点をどこにするか、 宿営場所をどこにするか、あるいは補給はどこで行うか。こういったことなどを定めました受援計画を策定しております。また、派遣が円滑に行われますように、各種の訓練も毎年行っているところです。
 今後の対応ですけれども、まずはやはり災害の想定される被害の規模、これを自助・共助の努力の部分を含めて、できるだけ圧縮していく。防災・減災のいわゆる減災の努力をしていくことだと思っています。例えば、想定死者数最大4万2,000人という規模についても、これまで5次にわたって南海トラフ地震対策の行動計画を積み重ねてきておりまして、これによって、今想定される規模は4万2,000人の死者から8,800人の死者ぐらいまで、約8割を圧縮するという見通しが立ってきておりますから、こういった形で想定される被害を圧縮することが、まず第一だと思います。
 そして、今回能登半島地震もありました。国ではこの能登半島地震なども踏まえて、計画の検証を行うことになってまいりますので、この状況の情報も収集し、県としても、応急救助機関以外の様々な形での応援の受け入れも含めまして、受援計画の見直しを図っていく。それによって、受け入れに万全を期していく必要があると考えています。

(司会)
 それでは、各社からの質疑に移ります。質問をされる方は、社名とお名前を発言していただいてから質問をお願いいたします。

特定利用港湾の指定受入れに関する県民への説明について
(井上・高知新聞社記者)
 まず、特定利用港湾について、何点かお伺いします。県版のQ&Aも改定というか、完成版ができましたけれども、その中でもやはり3市との説明会の時にも、意見交換会の時にも、やはり県民の不安の声に対して、不安払拭のために丁寧な説明をもっとして欲しいという意見がありました。それに対して、Q&Aという形でホームページで公開はされますが、やはり、それの周知期間であったり、そもそも国がQ&Aを出したのは3月ということで、それで十分な説明、不安払拭になっているという認識でしょうか。

(知事)
 この点については、でき得ればもう少し時間があって、じっくりと説明ができる機会があれば、それはベストだったとは思います。ただ、国も来年度の予算執行というところも睨んで、年度末までに一区切りを付けたいということでして、それはそれとして、予算の執行ということを考えますと、私どもも十分理解ができますので、ここで一つの区切りを付けさせていただきたいということです。
 ただ、お話がありましたように、私どもとしては、県版のQ&Aも含めて、今までのご議論、ご不安として提示いただいた点について、説明ができるための素材、材料は揃えて提示させていただいた。そして、ホームページでもご覧いただけるようにさせていただくつもりでありますけれども、まだまだご不安を訴えられる声というのがあり得るのだと思います。
 それはやはり、今回の港湾利用という問題というよりは、もともと根っこにあります米軍の支援をするというようなことが、戦争に巻き込まれるのではないかといった、例えば重要影響事態、有事法制であったり安保法制、そのことについての不安感といいますか、疑問点といったものが、やはり根強く不安をお持ちの方の中では残っているということではないかと思います。
 そういう意味では、県限りでできる部分というのは、ある程度限界があるかもしれませんけれども、しかし、県民の皆さんにとって直接、港湾の管理をするという点で説明にあたるべきは県ですから、県としてできる説明はいろいろな機会を通じてやっていきたいと思っています。具体的には、先ほど申しましたような協議の場が設定されるということであれば、その場の協議状況はきっちり説明していくとか、Q&Aもこれで終わりということではなくて、皆さんのご不安の新たな論点などが出てきましたら、その点の追加はさらに考えていくといったことで、より丁寧なご説明を考えていきたいと思っています。

「特定利用港湾」高知県版Q&Aに「存立危機事態」が説明されていないことについて
(井上・高知新聞社記者)
 その関連ですけれども、まさにQの13にあたる、知事ご自身も先ほどおっしゃいました重要影響事態というところもありましたが、ただ、今回の3月21日に内閣官房や政府から回答があった中には、重要影響事態だけではなくて、もう一歩、危機度というか切迫度の高い存立危機事態、集団的自衛権の行使にもなり得る、存立危機事態にも触れています。しかしQ13には、その文言は出てきていないというのが、なぜなのかなと。ここも丁寧に説明を足すべきではないのかと思いますが、その辺りはどうでしょう。

(知事)
 国の安全保障に関する法体系という意味では、さらにそういうご疑問が出てくるということであれば、その点、一義的には国の所管範囲だとは思いますけれども、国に確認しながら、説明をしていくということは考えたいと思います。今回、特に重要影響事態を絞って申し上げましたのは、私自身、県議会でもご質問を受けて、特にやはりご不安をお持ちの方は、米軍との関係というのを不安に思われているということではないかというのが、県議会などの議論をつうじての私の印象でして、この点を特に絞って、米軍への後方支援のための艦船が港湾を使うことになるということについての問いを、今回Q13として設けさせていただいたということです。
 他にもお話がありましたように、存立危機事態というのは、集団的自衛権の行使の枠組みというのも、ある意味、類似の論点としてあるわけですが、基本的な構造は、その文言を、ある意味、置き換えていただくということで、存立危機事態ということであれば、集団的自衛権の行使が行われると。そのための艦船もやはり利用されるということになるのがどうかということに関して、これもやはり、法律は既に成立して現行法として施行されているわけですから、現行法に基づいて、自衛隊が任務を遂行するということに関して、これを止めるとすれば、合理的理由が要るだろう。逆にいうとキャパ不足だとか、他に既に利用で埋まっているというようなことがないのに、存立危機事態だから、あるいは集団的自衛権の行使だから駄目だという話は、我々行政機関ですから、既に法律の根拠にある行動を自衛隊がとろうとしているのに、それだから駄目だと、ストップをかけなきゃいけないということには、行政としてはなかなかならないだろうと。
 そういう意味では、この論旨としては同じようなお答えをするようになるのだろうという意味で、応用も利くという気持ちもありまして、代表例として具体的に県議会でもご質問があった重要影響事態をお示ししましたけれども、なお、これはいろいろ場面で、そういうお声が出るようであれば補足して、他の事態についても説明するということは考えたいと思っています。

能登半島地震の現状から、知事が考える南海トラフ地震対策の見直し等について
(林・高知放送記者)
 能登半島地震から2カ月半が経ちましたが、復旧の状況というのは進んでいないところもあると思います。その中、私も2月末から3月の初めにかけて、能登半島の取材をしてきました。
 やはりそこで実感したのは、能登半島のケースでいうと、県庁所在地の金沢市が機能していると。金沢市を拠点に被災地の方へ、支援物資や人的な、復旧に携わる人たちが送られているということがあります。その中で、高知県に南海トラフ地震が起きた場合は、県庁所在地である高知市も相当な被害が出るだろうと。それを頭に入れると、やはり能登半島地震の2カ月過ぎた現状は、高知県で南海トラフ地震が起きた場合は、もっともっと先の景色になるのではないかなということを実感・痛感しました。
 当然、県でも、高知市も相当なダメージを受けるという想定の下で、復旧・復興に向けたシュミレーションというのは作っているとは思うのですけれども、今回の能登半島の今の現状を見て、県としての南海トラフ地震発災後の復旧・復興のシュミレーションについて見直すとか、あるいは強化していかなければはならない点について、知事の中でお考えがあればお聞きしたいです。

(知事)
 これはなかなか難しい多元方程式だと思います、率直なところ。一つにはおっしゃるように今回の能登、石川県で起きたように、金沢市は比較的無事で、能登半島から一旦、1.5次避難の話も含めて、比較的健全に動ける金沢市のようなところを拠点に、復旧・復興を図っていくというパターンが、恐らく南海トラフ地震ではそうもいかないだろうと、これはおっしゃるとおりだと思います。高知市も相当の震度の地震が生じるであろうし、場合によっては、大きな津波で長期浸水ということも、高知市内はあり得るということだと思います。その点では、高知市が今回、金沢市が果たしたような復旧・復興拠点的な機能をどの程度、果たせるかというのは、かなり疑問符を付けて、これは相当、限定的なものにならざるを得ないのではないかという想定の下、いろいろなシュミレーションはしないといけないのではないかと思います。
 ただ、そうした中でも、例えば、三重防護の事業の進捗ということは、かなり進んできておりますので、向こう数年でかなりの進捗も期待できるところまで来ておりますから、これが進捗した場合に、ある程度、浸水区域の見直しなども、応急の避難に関しては大事をとって広めにということはあると思いますが、いろいろなハード整備に関して言えば、より確実性といいますか、限定的な範囲で現実的な対応ができるということで、そちらの配慮からの見直しの要因というのもあるかと思います。そういった要因も重ね合わせて、具体的にどこまで高知市に復旧・復興の拠点的な機能が期待できるのか。できないとしたら、それに替わるようなものをどこか高知市以外の所で設定ができ得るのかどうかといったような視点も含めて、これはまさしく、今回の能登半島地震の教訓を、新年度に入りましたら検証を、県としてもしたいと思いますし、国、関係機関でもいろいろな吟味がなされると思いますから、そういった情報は積極的に収集して、能登半島後というところで、高知県にこれをどう置き換えていくのかという、かなり複雑な作業になりますけれども、大きな道筋を書いていくという努力をしていきたいとは思っています。

能登半島地震被災地への知事自身の視察予定について
(林・高知放送記者)
 私が現地取材をしている時に、輪島の朝市での話なのですけれども、たまたま徳島県の後藤田知事が視察に訪れていて偶然遭遇したということがありました。被災地への自治体、知事やトップクラスの方が視察に訪れるのは、直近だと和歌山県の岸本知事、千葉県の熊谷知事が視察に訪れているという話も聞いています。今後、濵田知事ご自身が被災地へ視察する予定や考えはありますか。

(知事)
 現時点で具体的にいつごろというような予定立てているようなことはまだありません。ただ、新年度に入りましたら、専門機関などにも委託して、検証あるいは調査作業はしたいと思っておりますので、その過程の中で私自身が自分の目で見た方がいい、あるいは耳で確かめた方がいいと思われ得る場面がございましたら、それは検討したいと思っています。

特定利用港湾の指定受入れについて
(中田・高知民報記者)
 特定利用港湾ですけれども、資料の3ページの「確認しました」という回答は、これでオーケーしますよということを国に通知したということですか。

(知事)
 そうですね、我々の意思としてそういう決定をしましたと、あとは手続きは残りますけれども、はい、という意味です。

(中田・高知民報記者)
 今日を持って受け入れのオーケーをしたということですね。

(知事)
 県としての判断はしたと、国の手続きがまだあるでしょうから、最終、全部揃った日付はもう少し後になるということだと思いますけれども、2ページにあります、昨日お返しが来ましたので、これで確認ができたという判断をして、今日、県としても受け入れをしますという判断をしたということをお示したということです。

「特定利用港湾」高知県版Q&Aの公開時期について①
(中田・高知民報記者)
 3月19日の会では、了承する条件として、「しっかり説明してくださいね」というような趣旨のお話が3市から出されていたと思います。「県の意向は尊重しますけれども、しっかり説明してください」ということを3市とも言われていたと思うのです。高知県版Q&A、今から県民に公開するわけですよね。ちょっと順番が逆じゃないかというか、さきほど、それはベストではないとおっしゃいましたけれども、まだ3月も1週間あるわけでして、なぜ今日、受け入れを表明したのですか。

(知事)
 これはもう速やかにと、材料としては3市の意向の確認、それから国との合意文書を結ぶわけですので、その意味するところの確認いうところが、まだ今週初めのうちには、残っていたという認識でしたけれども、これがそれぞれ要素としてはクリアされたということですから、判断のために必要な要素、ファクターとしては、出尽くしたということですので、県としての判断をこの時点で行って、国に返すということでいいであろうという判断をしたということです。

特定利用港湾における自衛隊の訓練について
(中田・高知民報記者)
 今までの県の説明は、県議会の前くらいまでは、「年数回の訓練ですよ」ということが、主たる話でして、議論の中で、いろいろなことが加わってきたわけです。3月19日の段階の3市の説明では、その域を出ていない説明でして、例えば重要事態であったり存立危機事態であるというような説明も、基本的になされていなくて、高知市は「軍事的な利用ではないと判断して了承します」という回答がその時にありました。しかし、今日の、この文書だと、当然集団的自衛権でもやりますよ、米軍支援もやりますということで、それは知事に言わすと平時ということかも分かりませんけれども、軍事行動なわけでして、それはそうとして、説明した上で了承しなければならないのではないでしょうか。

(知事)
 高知県としては、港湾管理者という立場で説明をしなくてはいけないということだと思います。ですから一番問題として、県としての立場は、港湾法に基づいて利用調整を、利用の可否の判断をしていくという立場ですから、そうした時には、差別的取り扱いの禁止という条項が、これはかかってくるわけで、県として気に入らないから断るということはできないわけです。そういうことについての説明は高知県として、しっかり今後尽くしていかないといけないと思います。今、お話があった、存立危機事態がどうとか、グレーゾン事態がどうという話は、これはその前提になる安全保障法制上の構造上の問題ということだと思います。これはご疑問を持たれたりご不安があっ たりする方に対して、県として、ここはどちらかというと、国に成り代わってということになると思いますが、説明をしていく。ご疑問がある方には真摯にお答えをしていく、この対応は今後ももちろんやっていきますけれども、これは、ある意味、県としての判断でどうこうという部分では、私はない部分だと思っています。県としては、港湾法に基づいて、港湾管理者として可否を判断する、それと、言わば、別次元の判断として今回の枠組みを受け入れるかどうかという問題があるという構造にあるということを、しっかりとご説明をしていくということは、今後もしっかりとしていきたいと思っています。

特定利用港湾の指定受入れに関係する他県の状況について
(今林・朝日新聞社記者)
 特定利用港湾のことで少しお聞きしたいのですが、今日、受け入れの表明をされたということなのですが、他の関係する道県があると思うのですが、一番最初に了解をされたのでしょうか。

(知事)
 すみません、確定的に情報を収集というとこまでいっておりませんけれども、事務レベルでどういう方向性、感触ないし方向性の中で検討しているかという情報収集はさせていただいています。一部の県については、前向きに近々決定をするというような県があったり、あるいは、ちょうど知事選挙をやっているので、それが終わってからでないと判断できないという県があったりというようなことは聞いております。イメージ的に否定的に捉えているというような情報は、今のところ聞いていないという程度です。

高知県が特定利用港湾の指定受入れの表明時期について
(今林・朝日新聞社記者)
 特にトップを切って了解する考えがあったのでしょうか。三重防護の部分についての利点という部分も、今強調していらっしゃいますけれど、その辺はいかがでしょうか。

(知事)
 別に功名争いで一番手を目指したということは全くございません。ただ年度内にということですし、いろいろな手続きもありますから、3月初めに、このQ&Aが出た段階で、要素としては、3市の意見というところと、あとは合意文書がかかってきていますので、ここの中身の確認、ここが2つの大きな残るポイントだと考えておりましたので、これについて、それぞれ確認ができたという時点で、速やかに判断するというのがベストではないかという判断をしたということです。

「特定利用港湾」高知県版Q&Aの公開時期について②
(今林・朝日新聞社記者)
 このQ&Aなのですけれど、丁寧に作ってらっしゃると思うのですが、このQ&Aは、県が受け入れを表明する前にお出しになるのと、受け入れを表明されてからお出しになるのとで、かなり意味が違うようにも思うのです。受け取り方についても、いわゆる県としては、「こういう考え方しているのですがどうですか」というQ&Aのですよね、いわゆる判断する前だと。判断する後だと、「私たちが判断したのは、こういう理由からです」という、理由付けの意味になってくると思うのです。判断の時期は迫っているとは思うのですけれど、受け入れの判断をする前に、県版のQ&Aをお出しになられるというお考えはなかったのでしょうか。

(知事)
 これは今回、各方面からご要請があるのも、きちんと県の判断を説明をしろということだと思いますので、判断の根拠としてどういう思考をたどって、あるいはどういう法的な根拠をもって判断したのかということを、まさに説明するための文書がQ&Aだと思っております。判断と同時、以降に説明するというのが、私は自然だと思います。「どうしましょうか」と言って、県民の皆さんにお諮りをするというよりは、「県としてこういう判断をした」、「その根拠はこういうことです。」「これをスタートにできるだけ、ご不安をお感じの方に、ご理解いただけるように努力をしていく」という類いの文書だと思っています。

 JR四国との再構築協議会の開催について
(鈴田・共同通信社記者)
 JR西日本の芸備線が3月26日に再構築協議会の初会合を開きます。改めてなのですけれども、JR四国のローカル線問題について、高知県としての考え方を確認させてください。
 JR四国の社長が、予土線などを念頭に将来の在り方について話し合うために、議論を始めたいと以前から言っています。まず、ひとつ目がJR四国から高知県に協議の場の設置について、具体的な打診がきているでしょうか。
 ふたつ目、このような議論に参加する意向はありますか。今まで廃線が前提であれば、応じられないとおっしゃっていますけれども、参加するためにはどういった条件があれば参加できるのか。存廃を前提としないような入り口の協議であれば応じる可能性があるのかなど、教えてください。

(知事)
 いわゆる新しい法律に基づきます再構築協議会の枠組みということで前提としてお話しますと、JR四国側からこういった具体的な再構築協議会をいついつ開きたいというような具体的な打診は、まだきておりません。
 この点は、JR四国の西牧社長もかねてから、いきなりこの法律に基づく再構築協議会を開くということにはならないのではないかと、まずはデータを示すところから始めたいといった発言を、記者会見などでもされていると承知しておりますので、それはそのとおりだろうと思っています。
 私共も予土線ということで、関係します愛媛県はもちろんですが、四国4県の交通関係の担当の部長レベル、あるいは事務レベルで意見交換は重ねておりまして、こうした議論のテーブルについていくというところについて、どういう前提条件が必要なのかといったところを意見交換してきております。
 そうした中で、四国4県でほぼコンセンサスになってきている点を申し上げますと、JR四国は、予土線の赤字が言われますけれども、予土線に限らず、ほとんど全ての路線が赤字であると。瀬戸大橋線以外は多分どこも赤字だと、幹線といわれるようなところも赤字だということですので、鉄道ネットワークを維持するという全体の構図を考えますと、会社経営の全体像と言いますか、会社全体の経営を見据えた議論が必要なのではないかというところが、コンセンサスになりつつあると考えます。
 従いまして、路線ごとの収支の議論はありますけれども、単にその路線ごとの利用状況・収支のデータを並べるということではなくて、JR四国全体として、事業全体、これは鉄道外の例えばホテルや不動産といった収益事業も含めた、会社全体の経営状況に関するデータも提示いただいた上で議論が必要ではないかと、そうしたことでないとJR四国全体のネットワークの維持という議論に結び付かないのではないかという考えを持っております。
 従いまして、今後こうしたデータが示されましたら、四国4県で共有し、意見交換をしながら、四国の鉄道ネットワークをどう守っていくかという観点で、必要な対応を取っていきたいと考えておりますので、このところはまず前提になるのではないかと考えております。

県内の周産期医療体制にかかる高知県の役割について
(山﨑・高知新聞社記者)
 県内の周産期医療体制のことについてお伺いさせていただきます。県内の産婦人科医が激減しているということで、お産の扱う病院がなかなか体制が維持できなくなっているということがございました。まず、人口減少対策にも直接関わってくる重要な課題だと思いますけれども、知事として、この問題に対する県の役割、そして今後の方向性についてお考えがございましたら、お聞かせください。

(知事)
 県内の周産期医療体制は、特に医師会の担当の理事、坂本医師などから、早い時期から非常に危機感を持ったお話は私自身も伺っています。
 ひとつ、今少子化対策が迫られている中で、安心して、かつできるだけ利便性の高い形で出産をいただくということの体制整備に、県としても努力をしていかないといけない。特に広域的な医療体制の整備ということに関して言いますと、県の責任は大変大きいものがあると思っています。
 そうした中での問題状況ですけれども、出生者数が近年急激に減少しているということもありますし、それと、相互連関的にと言いますか、県内の産婦人科の医師数も減少してきているという中にありまして、いざという時の対応も含めた安全なお産が保障できるような医師・医療スタッフの配置もしながら、かつ、医療機関の採算もしっかり取ってというところを従前のままの体制で維持していくことが大変厳しくなっているというのは、客観情勢としてあるのではないかと思います。
 そうした意味で、この問題については、高知県の医師会自身も非常に危機感をお持ちいただいて、昨年の秋から検討委員会を開催していただいているということだと思っております。この点、我々としては、その状況も注視したいと思います。県としても医師会の検討状況というものもしっかりと踏まえまして、県としてもこの周産期医療の在り方に関しての検討会を来年度できるだけ早い時期に立ち上げて、あるべき対応策について検討を始め、また関係者のご意見もお聞きして、調整に入っていくということが必要ではないかと思っています。 
 大きな方向性としては、できるだけ妊婦の、あるいはご家族の気持ちを考えると、身近な地域で健診はもちろんですけれども、出産まで完結してできるというのが理想的な姿、目指すべき姿だとは思いますが、片方で出産数が激減している。また、支えていただく産婦人科医と、その他、医療スタッフの確保もままならないという状況ですから、現実そうした利便性の要因と医療スタッフもしっかり揃って、安心して出産ができる体制を確保する。このふたつがどう両立できるかということを考えていかないといけない状況ではないかと思います。利便性を捉えると近いところにあった方がいいわけですが、そうなると十分な産婦人科医を、ある意味24時間体制で組んでおくというのは、事実上不可能になりますから、そういったことを考えますと、今の大きな流れからいうと、ある程度の集約化の方向性は、不可避ではないかということは言えるのではないかと思います。
 ただ、先ほどの利便性との関係であったり、それで集約化を図っていくにしても、どういった形で、例えば出産予定日前から、分娩取扱い施設の近くの宿泊で宿泊できる体制が必要ではないか。また、そのための経済的な支援も必要ではないか。そんな議論までしっかりと併せて問題提起ができなければ、なかなかこの集約化というのは、県民の皆さんのご理解をいただける話にはなりにくいと思います。そういった幅広い論点も含めて、県で検討会をできるだけ早期に立ち上げて議論に入りたいと思っております。

JR西日本の「芸備線再構築協議会」に関する知事の注目点について
(栗原・時事通信社記者)
 JR西日本の芸備線の再構築協議会に関連して、ひとつお伺いしたいのですけれども、この再構築協議会については、今度開催されるものについては、知事としては、どのような点に注目しておられますでしょうか。

(知事)
 これについては、すみません、詳細、最新の状況をフォローできておりませんけれども、かねてより、岡山県あるいは広島県の知事から国が一定関与をしていくと、この問題に関しても、という意味で再構築の協議会というのは、1歩前進だという反応もあって、議論が始まりつつあるように受け止めておりましたけれども、なかなか入り口のところで難しい状況になっているのではないかなというようなことを、報道などをつうじて感触として受けているところです。
 今のところ、それ以上の情報がないわけですけれども、JR四国ということに関して言いますと、路線ごとの議論ということもさることながら、特にJR四国は全体がほぼほぼ赤字ですから、赤字のところを切って議論していけば、無くしていくのか、バス転換していくのかというところの議論がどんどん広がっていく一方ではないかということに、端的にはなってしまうのだと思います。
 そういう意味で、JR西日本などは基本的には、関西圏のように黒字の圏域があって、赤字の地方路線があって、トータルでは若干黒字が出ていてということで、そのトータルプラスマイナスゼロプラスアルファの世界の中で、どうローカル線を維持していくかというところとは、かなり問題状況が、構造が違っているということだと思います。その点では、一つの再構築協議会という新しい枠組みがどう動いていくかというところで注目はしておりますけれども、そのままJR西日本の議論をJR四国で応用ができるというほど単純ではないのではないかなという感じは持っております。

公務員の定年延長について
(栗原・時事通信社記者)
 人事の関係なのですけれども、人事院の調査では、定年延長に伴って65歳以上も働きたいという国家公務員の割合が36%くらいあるということです。高知県でも定年延長の人事が入っていますけども、65歳以上も働きたいという人が増えて36%もあるということに関しては、どのように思っていらっしゃいますか。

(知事)
 一種の超長期の方向性としては、人生100年時代になっていますから、もう65歳だろうが70歳だろうが、元気で働きたいという意欲があって、そして、働いていただける方には働いていただくのが、今後の日本の人口減少社会の中での目指すべき方向性だと思います。
 公務員制度ということになりますと、地方公務員の場合は、国家公務員の制度に準拠して制度設計をしていくというのが大原則だと思います。今やっと65歳定年に向けて、段階的に移行を始めた段階ですから、すぐに70歳をにらんで伸ばしていくという段階にはまだないと思います。いずれにしましても、国もそうした形で問題意識はお持ちであり、いずれ、そうした方向での制度改正も勉強されていくということではないかと受け止めております。国の動向もしっかり情報収集して、県でも対応にタイミングを失することのないような、そういった体制を取りたいと思っております。

県の観光資源としての高知市の屋台について
(栗原・時事通信社記者)
 街の屋台についてなのですけれども、今年度で高知市にある屋台が違法占拠状態ということで、退去することになっております。高知県の観光という点からして、どう思われますか。

(知事)
 この点は、一義的には高知市において、都市計画と言いますか、まちづくり、いわゆる秩序のある、まちづくりという点とにぎわいという点の中で、やはり違法な状態はいけないと、それをいかにソフトランディングをして、望ましい状況に持っていくかということで、ご努力をされていることだと思います。
 なかなか折り合いどころが見つからなくて、ご苦労されているということだと思いますけれども、これは高知県の観光でもありますけれども、高知市内の観光のにぎわいというところでも、大きな市としてのご関心事ということだと思いますから、市の状況もお伺いしながら、市として対応をお考えになっていかれるということだと一義的には思いますので、状況もお伺いして、何か県としてサポートさせていただいたり、ご相談に応じたり、力になれることがあるということであれば、これは前向きに対応していきたいと思っています。

令和6年4月1日付けの県人事異動のポイントについて
(井上・高知新聞社記者)
 県の人事異動について、本日午前に発表がありました。来年度に向けて、人事異動で知事が強く意識された部分のポイントを改めてお伺いしたいことと、高知市との幹部級というか、大きな人事交流も含まれていたと思いますので、その点にも触れてお話を伺いたいと思います。

(知事)
 今日4月1日付の人事異動の発表をさせていただきました。ちょうど今回、今年度末で60歳の役職定年となる本庁の特に幹部の部長級の職員、大変多数いる年次にもなりましたので、大幅な入れ替えということになります。
 そうした中で、フレッシュさが期待される人事異動ということの中で、やはり活力を生んでいく新しさという部分と、業務の継続性を大事にしていくという部分、これの両立を図るということを意識して、人事配置に努めたところです。
 今回は、特に総合企画部の設置という形で、大きな組織機構の改革もしましたので、そうした中で、特に政策立案機能、斬新で柔軟な発想を持った新しい政策展開、そうしたものが県庁の中から自律的にボトムアップでアイデアが生まれてくるような、そうした体制をつくりたいという思いの中で、総合企画部を中心に政策立案機能、あるいは全庁的な政策調整機能の強化を図りたいということで、人員配置に適材適所で努めたという点です。
 もう1点、これは県議会でもかねてご注文がありました女性職員の登用ということに関して、部長級の庁議メンバーについて、今まで女性職員1人ということでしたが、これを3人、過去最多ということで登用を進めますとともに、女性管理職員の比率が19.7%、令和7年度に18%の目標でしたから、これは前倒しで達成という形で、これも積極的に進めて、多様性をベースに県政の活力といいますか、そして、県民の皆さんの多様なニーズにお応えできるような政策形成ができる体制を目指していきたいと考えております。
 あと、高知市との人事交流です。これは、かねてより桑名市長から「管理職での人事交流も復活を」というお話がありまして、私自身も桑名市長との意見交換の中で、やる以上は、かつて課長級程度の管理職の交換ということだったと思いますが、できるだけエース級の職員をお互いに交流して、県と市の間の風通しを良くして、交流した職員が後々の県市の交流なり、連携を主導していけるような、そういったエース級の人材の交換という形で、ぜひ行いましょうということで申し上げまして、今回まさしくそういった形での新体制が組めるということになったのではないかと思います。今まで以上に、高知市との間での連携体制を強化をしていきたいと思いますし、そのための基盤づくりができる人事異動にできたのではないかと思っております。

お問い合わせ

総合企画部 広報広聴課
TEL:088-823-9046
FAX:088-872-5494

PDFの閲覧にはAdobe社の無償のソフトウェア「Adobe Acrobat Reader」が必要です。下記のAdobe Acrobat Readerダウンロードページから入手してください。

Adobe Acrobat Readerダウンロード
Topへ