公開日 2024年11月11日
1 衆議院選挙の結果の受け止めと国政への期待について
2 衆議院選挙の県内投票率が戦後3番目の低さになったことについて
3 103万円の壁を巡る政策議論について①
4 103万円の壁を巡る政策議論について②
5 103万円の壁の撤廃による県財政への影響について
6 所得に対する壁全般について
7 アメリカ大統領選挙の結果について
8 103万円の壁の撤廃に関する知事の所見について①
9 103万円の壁の撤廃に関する知事の所見について②
10 日本の「伝統的酒造り」の無形文化遺産への登録勧告と土佐酒の振興について
11 103万円の壁の撤廃に際する地方財政への手当について
12 ガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」凍結解除について
(司会)
ただ今から、知事記者会見を始めさせていただきます。まず、幹事社質問をお願いします。
衆議院選挙の結果の受け止めと国政への期待について
(小林・毎日新聞社記者)
10月27日の投開票の衆院選挙について、お伺いします。
今回の選挙で全国的には自民・公明の与党が大幅に議席を減らし、野党が大きく議席を増やす結果となりました。改めて、このことについての知事の受け止めと、なぜ、この結果に至ったのかということについてのお考えを教えてください。
あわせて、与野党がこの結果、伯仲することで今後の国政が不安定化することを懸念する声もあります。この政治状況を前にして、知事としてどんな国政運営を期待されますか。お願いします。
(知事)
お話がありましたように、先月27日の衆議院議員総選挙におきましては、自公の連立与党が大幅に議席を減らしまして、過半数を割り込むということになりました。今回の選挙戦を見ますと、経済の問題なども議論はされましたけれども、実際に最大の争点となりましたのは、野党側の仕掛けもあってということだと思いますけれども、一連の政治資金の問題を巡る政治への信頼回復の部分が最も大きな争点となったということではないかと思います。 これがある意味大きな争点になったということ自身が、自民党の派閥のパーティー収入の問題ということでしたから、元々この問題が、本来ルールを作る側にある国会議員が自分たちはルールを守っていないのではないかという意味で、国民の皆さんに大変な不信感を与えたというところがあったところに加えて、これは大変根強かったというのがベースにあると思います。
その上に、最終盤では例の2,000万円の政党支部への、いわゆる公認以外の候補者にも自民党が資金提供されたというような報道もあって、与党は本当に心の底から反省しているのかどうか疑わしいのではないかというような思いが、国民の皆さんに強まったというような事情もあるのではないかと思います。
そうしたこともありまして、ある意味、選挙前の予想以上に与党が苦戦をされ、過半数割れになるという状況になったと受け止めております。
その上で、これが不安定な情勢にあるということについての受け止め、今後の国政運営の期待ということについてです。来週、首班指名が行われると思いますが、恐らく30年ぶりに少数与党という状況になる。野党も含めて、過半数を制する安定した勢力がないという状況になるということだと思いますので、これは言い換えますと、与党にすれば、いつ内閣不信任案が可決されるかも分からない。野党のサイドにしましても、野党が何か新しいものを作ろうとしても過半数は持っていないわけですから、何か新しいことをしたいという時に物事が決められないとい う体制になりかねない。現状維持で漂流をしていくというような政治政策展開になることが懸念される状況だと思います。
しかし、我々サイドから見ても、人口減少、国土強靱化あるいは経済の再生、様々な重要課題が山積している訳ですから、こういった政策課題への対応というところが停滞することのないように、各党・各会派がしっかりと協議をしていただいて、合意形成に最大限努力をすると、現実の政策課題の解決を前に動かしていくという努力を各党・各会派、全政党・全会派について求めたいと思います。
そうした流れの一つとして、早速、当面の補正予算、経済対策であったり、いわゆる103万円の壁の問題等々を巡って、自公の連立、与党と国民民主党が、政策ごとに連携するという枠組みを作っていくということで合意されたということですが、こうした枠組みなども活用いただいて、当面は経済対策を優先して調整を図られると思いますけれども、今回の選挙を通じて大きな課題となりました政治資金の問題、これは政治の信頼というのは、やっぱり全ての基本ということだと思いますので、議論になりました例えば政策活動費の問題であったり、旧文通費の公開・透明性向上の問題であったり、積み残しになっている政治資金規正法の第三者機関の問題であったり、こういった残された課題についても速やかに各党・各会派で議論をいただいて、解決の道筋を早く示していただくということが、強く望まれるのではないかと考えております。
衆議院選挙の県内投票率が戦後3番目の低さになったことについて
(川内・高知放送記者)
衆院選の県内投票率は51.97%と、前回2021年よりも5.37ポイント下回り、戦後3番目に低い厳しい結果となりました。これについて知事の受け止めをお願いします。
(知事)
選挙の投票率、いろいろな要因があって決まってくるものだと思いますけれども、やはり一般論として申し上げますと、できるだけ多くの方に政治参加をしていただきたいということですので、投票率の低下ということは、県内においてということではございますが、一般論として、非常に残念な結果であったといえるのではないかと思います。
改めて選挙の投票率が決まってくる要因としましては、一般的には立候補者の構図がどうかというところによる部分が大きいと思います。
一つには、そうした中で争点、具体的にどういう点を巡って議論が行われ争われたかと、今回は、先ほどもお話がありましたように、全国的な構図としてはやはり不記載の問題などの政治資金の問題、政治の信頼回復というのが問われたことだと思いますが、県内の小選挙区に関して言いますと、いわゆる不記載の問題に少なくとも直接関わったような国会議員がおられなかったということだと思いますので、この争点がリアルに県民の皆さんに感じられるという場面があまり多くなかったという点が、一つは投票率があまり高くならなかった要因ではないかと思います。
もう一つは、これはあくまで一般論ですけれども、選挙の相手方との関係が非常に勢力が拮抗して接戦が予想されているような場合は、一般的には関心が盛り上がって、投票率も上がる傾向にあると思いますが、今回の県内の小選挙区に関して言いますと、事前の各種の報道では、かなり与党優勢ということが一般的に言われたこともあり、自分の1票で勝負がどう変わるか分からないという思いで、皆さんが勇んで投票に行くというような状況には、必ずしもならなかったというところが、投票率の低下というところの一因になったのではないかと考えます。
ただ、方向性としては、国会議員も一部の奉仕者ではなくて、全体の奉仕者だということからしますと、できるだけ多くの方に投票に参加いただいて、国会に送っていただくことが望ましいことだと思いますし、そうした意味も含めまして、県民の皆さんには国政の問題あるいは地域の問題にご関心を高めていただいて、こうした選挙の機会には、まず人もこぞって投票という形で参加いただくことを期待したいと思います。
(司会)
それでは、各社からの質疑に移ります。社名とお名前を発言をしていただいてから、質問をお願いいたします。
103万円の壁を巡る政策議論について①
(井上・高知新聞社記者)
先ほど、選挙の結果を受けたお話の中に、知事にも発言がありました103万円の壁、いわゆる年収の壁についてお伺いします。
この選挙の結果も踏まえた上で、自民党や国民民主党などが、年収の壁の見直しについての議論に入る方向性が示されています。この103万円の壁の見直しは、手取りを増やす政策、もしくは、労働者不足の対策にもつながることが期待される一方で、国民民主党が主張するような、いわゆる103万円のところを178万円まで引き上げれば、国と地方を合わせて年7兆6,000億円の税収減というような課題・見通しも出されています。
こういったことも踏まえて、知事ご自身の政策への効果、また、その政策に対する課題というところのお考えをお伺いします。
(知事)
一言で言いますと、おっしゃったように地方財政の影響も非常に甚大なものとなることも想定されますので、そうした問題も含めて慎重に国政の場で検討いただきたい問題だということです。
まず、意義としてはお話がありましたように、一つは特に若い方々の手取りを増やしていくことは、少子化対策という点を考えましても、意義のある効果が期待できる面はあると思います。国民民主党の玉木代表も言われていますけれども、賃金・物価が上がっていく中で、103万円という課税最低限が据え置きになっているというのが、実質増税の効果がある部分をニュートラルに戻していくというのは、一理ある考え方だと思います。
ただ、そうした一種の自然増収的なもの、これは少なくとも国の財政においては岸田内閣の時に、全てかき集めて防衛費の拡充の財源に当てていくということは既に決まっていて、それでも足りないから増税が必要ではないかという議論が、まだ未解決のままというような状況だと思いますので、そういう意味で減税をしていくことについての財源というのが、本当に大丈夫なのかなというところが大きな問題があると思います。
特に地方財政ということに関して申しますと、先般、総務省からも発表がありましたが、地方の住民税だけで75万円の控除の引き上げをした場合には、約4兆円の減収が想定されると、これは高知県に置き換えますと県分で90億円ぐらい、そして市町村分の住民税も入れますと220億円ぐらいの規模と想定されます。地方税は、そもそもが全国で今40兆円規模ですから、その1割が減収になるというのは、これかなり大きな規模の減収が想定されるということですので、この財源手当ということをしっかり講じていくこと無しには、こういった規模の減税というのは、地方として、とても受けられないことではないかと思いますし、まだ一時的な景気対策・経済対策だということであれば、赤字国債を使って、一時的にファイナンスしておくというのはあり得ると思いますが、これを恒久的な減税としてやろうということであれば、財源も恒久的なものを準備いただくということでないと、地方の財政に結果、穴が開くということになってしまうのでないかと、ここは非常に私としても心配しておりますし、知事会としても与党の方々に訴えを始めているというところではないかと思います。
以上のようなことを考えますと、これから国政の場で議論がされることだと思いますけれども、現実の方向性としては、この年収の壁対策をどの程度の規模で、あるいはどのような方を対象にしていくかというところを、政策目的を明確にして、ある意味絞っていくというような議論が必要なのではないかと思いますし、絞ったとしてもかなりの規模の減収がやはり想定されるということであれば、先ほど申しましたように、これを恒久的な減税をしようということであれば、恒久的な財源を、特に地方財政に関しては、構えていただくということを前提に、国政の場で、各党で議論をいただくということを期待しているところです。
103万円の壁を巡る政策議論について②
(井上・高知新聞社記者)
ちょっと数字の確認をしたいのですけれども、先ほど知事のおっしゃった高知県に関していいますと、税収の減が90億円?
(知事)
いわゆる県の分がです。
(井上・高知新聞社記者)
県ですね、県内町村合わせて120億円
(知事)
それに県の分に市町村の分を合わせて220億円ほどということです。
(井上・高知新聞社記者)
県と市町村合わせて、220億円。
(知事)
だから、市町村は130億円ぐらいというような数字ですかね。
103万円の壁の撤廃による県財政への影響について
(羽賀・朝日新聞社記者)
今お話のありました、いわゆる103万円の壁の件ですけれども、これ基礎控除75万円上げると、おっしゃったとおり7万5,000円の税収減、1人当たり基本的にはなるわけですけれども、もう少しこの税収減になった場合の県の行政に対する影響への懸念だとか、思いについて伺っていいでしょうか。
(知事)
基本的には、今の制度の枠組みからすると、穴が開いたままの地方財政の体制が取られるということは無いとは思っておりますので、何らかの形で財源に必要な地方財政の運営に必要な財源は確保されて、必要な措置が取られると、そうじゃないと困るということだと思いますが、先ほど申し上げましたように、それが恒久的な減税が行われたにも関わらず、恒久的な財源の手当てもされないということになりますと、結果、赤字国債であったり、赤字地方債で穴埋めをしろということになりかねません。1年、2年はそれで何とかしのげるかもしれませんが、それが構造的なものとして積み上がっていくと、県あるいは県内の市町村の安定的な財政運営の見通しというのが立たなくなるということになるのではないかと懸念をしているところです。
所得に対する壁全般について
(羽賀・朝日新聞社記者)
その点についてもう1点、いわゆる103万円以外にも、例えば130万円の壁や収入に応じて様々な壁とされるものがあって、これが勤労者の労働意欲の削減というか、低下につながるという指摘もあります。
特に高知県の場合、人口減少で労働者不足が指摘される中で、こうした所得に伴う壁というものがどうあるべきなのか、知事の所感を伺ってよろしいでしょうか。
(知事)
これはなかなか難しい問題をはらんでいると思います。特に今お話のあった130万円の社会保険料の方の世界の話は、今の目の前の問題としては、今お話がありましたように比較的、短時間とか低い単価で働いておられる方々が、手取りに関して壁ができると、断絶が生じないように働いた分、働いた時間を増やした分、手取りの収入も増えていくと、そういう仕掛けにしていくということは望ましい方向だと思いますし、社会保険料についても、そういう観点からの国の補助制度もできているということだと思います。
ただ、特に社会保険の制度に関して問題が複雑なのは、いわゆる、先々のことを考えますと、年金生活に、やがては老後になったら入ってくるということを考えますと、今度は逆にできるだけ多くの方に、社会保険料を払っていただいて、厚生年金に加入していただいて、老後は高い年金、基礎年金だけでなく厚生年金も受け取っていただくようにしていくことが、大きな方向性としては目指すべき方向性だと思いますから、そこはただ当面はむしろ方向性としては逆で、課税最低限といいますか、収入の壁の基準を下げて、より多くの人に払っていただくべきではないかと、これはなかなか現実の政治課題としては難しいのですが、筋論としては、そういう議論も背景にあるというところがこの問題の難しさだと思います。その意味では、中長期の観点に立って、あるいは社会保障全体の在り方、経済の構造、こういったものを総合的に、腰を据えて議論することが必要な問題だと、特に社会保険料の問題については思っておりますので、そうした意味で、慎重な議論をお願いしたいと思っております。
アメリカ大統領選挙の結果について
(竹村・NHK記者)
昨日行われたアメリカ大統領選挙について伺います。トランプさんが再び大統領になられるということで、ちょっと先行きがどうなるかというのは分からないのですけれども、経済だとか、あるいは安全保障だとかの面で日本にも、あるいは高知県にも何らかの影響があることが考えられますが、このトランプさんが大統領になられたことについて、知事の受け止めと、今後の行く末について何か思うところがあれば教えていただければと思います。
(知事)
基本的に外国の大統領の選挙ということですので、私も報道以上の情報を得ているわけではありませんが、それを前提にしますと、選挙の結果そのものに関して申しますと、当初の報道想定以上にトランプ候補の方が優勢な結果になったということではないかと思いますが、いろいろな報道を拝見している限りは、これはどちらかといいますと現政権、バイデン政権、民主党政権への、例えば物価高騰だとかの問題に関する不満感というか不平というのですか、不安、そういったものがかなり強くて、アンチ現政権という意味で変革願望、あるいは何とかブレイクスルーしてくれるのではないかという思いの中で、トランプ候補への支持につながったということではないかと思います。
一方で、日米関係というのは安全保障ですとか、外交、両面で考えても日米同盟はその基本になる部分だと思います。早速、総理もトランプ次期大統領と電話会談をされたと聞いておりますけれども、早く信頼関係を形成して、率直に協議・話し合いができる関係を構築していただくということが望ましいのだと思います。
いろいろ過去のトランプ大統領時代の在日米軍の負担の問題であったり、あるいは関税とか、経済政策でも基本日本に限らず、アメリカファーストということが中心に置かれるという流れでしたので、厳しい局面も想定されるとは思いますけれども、非常に大事な2カ国関係が日米関係だと思いますから、率直な意見交換が両国でできるような体制が早く構築されることを期待したいと思います。
103万円の壁の撤廃に関する知事の所見について①
(栗原・時事通信社記者)
103万円の壁について、ちょっと確認でお伺いしたいのですけれども、知事ご自身は103万円の壁自体の引き上げについては賛同されるのでしょうか。
(知事)
103万円の壁の方は、壁といいつつ130万円ほどの壁では私は無いと思っていまして、あるいは基礎控除の話ですよね。課税最低限の話ですので103万円を例えば超えて104万円になった方は、104万円から103万円引いて1万円分について所得税がかかりだすということですから、少しずつ税負担が上がっていくということですので、そこの連続性は比較的階段状になっていると思います。
それに比べると130万円の方は基礎控除の問題ではなくて、130万円のラインを超えるとベースになる部分も含めて、いきなり社会保険の年金とか健康保険の保険料を徴収されることになるわけで、ここはかなり壁といわれるような断絶があって、そこは先ほど申しました構造的な問題を含めて長年の課題ではあるので、岸田内閣の時に、そこを企業が補助するような制度をつくった場合は政府も限定、時限的にですけれど、補助するという制度を構えられたという問題ですから、こちらの方が、より構造的にいろいろなことを考えて設計をしなくてはならないという面で難しい問題ではないかという思いを持っているということです。
103万円の壁の撤廃に関する知事の所見について②
(栗原・時事通信社記者)
この103万円の方に関してですけれども、これ自体が、控除の引き上げ幅の話になってくると先ほどおっしゃっておられましたけれども、引き上げられること自体については、知事は幅があって恒久的な財源があるのであれば、そこは賛成するということになるのでしょうか
(知事)
半分そうで半分ちょっと留保がつきますけれども、ただ今申し上げましたように、特に若者の手取り増ということは、今、少子化対策を考えた場合に大事なテーマだと思いますし、物価が上がっているのだから、それにニュートラルに税制も手直ししてゆくべきだという点では理解ができますけれども、片方で、大きな財源の問題もありますから、そうした政策効果からいっても、基礎控除の単純な見直しでいくと、むしろ高所得者の方に効果が手厚くなるといった問題もあるので、どの程度の幅、またどういう人を対象にやるかというところは十分議論をいただいて、いわゆる費用対効果というものを、政策的な効果というものをよく考えて議論をいただくということは大事じゃないかなと思います。
日本の「伝統的酒造り」の無形文化遺産への登録勧告と土佐酒の振興について
(栗原・時事通信社記者)
先日ですけれど、伝統的酒造りについて無形文化遺産に登録するよう勧告がありました。県は酒どころとして全国でも有名ですけれども、これについて知事の所感はありますでしょうか。また、今後はどのように高知の土佐酒を振興していきたいとお考えでしょうか。
(知事)
お話がありましたように、ユネスコの無形文化遺産として日本の伝統的な酒造りの技術が登録されていくという方向性が見えてきたということでございまして、一言でいえば大変喜ばしいことだと思います。今まで、国内の杜氏さんだったり、酒蔵の方々がご努力をされた結果が実ったということだと思いますし、日本の酒造りの文化が、土佐酒も含めて認められるということは大変意義深いと思います。
平成25年には、和食というのが同じように無形文化遺産に登録されて、海外も含めて和食の存在感が増して、日本の食文化の発信につながったという前例もありますから、海外での日本酒の認知度の向上、そして、商品の拡大、これが生産の拡大につながって、引いては国内の伝統的な酒造りが安定的に継承されていくことを期待したいと思います。特に土佐酒ということで言いますと、最近の食品の輸出、稼ぎ頭の3本柱の一つが土佐酒です。ユズ、土佐酒、水産物ということですので、今までの勢いを今回の無形文化遺産登録の方向性を追い風にして、さらに輸出拡大というところにつなげていければ、我々としても大変ありがたいという思いでおります。
103万円の壁の撤廃に際する地方財政への手当について
(中田・高知民報記者)
103万円の壁についてですが、財務省の7兆円の穴が開くという話は、制度設計によっては、かなり違う数字も出てくるのではないかと思いまして、いささか過大ではないかという気もしますが、いずれにしても、財源が必要になるというのは、その通りですけれども、その点で知事が地方財源として、恒久的なものを措置してもらわなくてはいけないということですが、例えば恒久的といえば、消費税よく念頭には上がるわけですれども、バーターで消費税分を取り込むというようなお考えですか。
(知事)
これは、国民民主党は同時に政策として5%への臨時引き下げということを言われていますので、多分、国民民主党との協議をした中で消費税を上げてこれでやるというのでは、多分、妥結しない議論になるのではないかと思います。ですから、テクニカルにいえば、地方財政にとっての恒久減税ということですから、国の財源を地方に移すというような形の財源ということは国、地方間では考え得ると思います。
それが一番現実的に、財務省との間では大変ですが国民の皆さんとの間では、摩擦のない方法だと思います。ただ7兆円という話がありましたように、住民税で4兆円、所得税でも4兆円弱というような数字が想定されておりますし、所得税の方も3分の1は地方交付税の原資となって跳ね返ってくるということですから、いずれ、なかなかそういう幅広く単純にやるということでは、財源との関係で解決がつかない状況に陥ってしまう可能性が高いと思いますので、先ほど申しましたように、引き上げの幅とか対象者とか政策目的に照らして絞っていくという議論を展開していくのが、現実的な方向ではないかという思いを持っています。
ガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」凍結解除について
(井上・高知新聞記者)
トリガー条項について改めてお伺いします。今回、また103万円の壁と同じくガソリン税を一部軽減するトリガー条項の凍結解除というのも、今後、自民党、国民民主党との間では議論になろうかと思います。知事は以前から、解除することによって地方財政に穴が開くことや、効果にタイムラグが生じる。そして、需要の混乱が起こり得るということを課題に上げて、現実的ではないというようなお考えを示してこられましたが、一方でガソリン価格は高止まりがずっと続いていて、なかなか県民の暮らしでは家計圧迫の要因にもなっています。改めて、この凍結解除に関するお考えをお聞かせください。
(知事)
ガソリン価格の高騰対策というのは筋としては、私としては、税制をいじるよりは今やっているような補助金で対策を講じる方が柔軟に対応ができますし、さまざまな観点から、より望ましいのではないかと思っております。 ただ、一方で今回議論の俎上には乗せられることだと思いますので、結局、今の現状でいえば、財政的なインパクトは補助金でやっても、税制でやっても同じではないかという話は、それはそれとしてあることだと思います。そういった観点からの議論が今回行われることはあり得るのだろうと思いますが、いずれ、やはり税制で動かすということになると、一時の経済的な対策という観点でやるには、あまりに大きな決断になるのではないかという思いがありますので、この点も結論から言えば、やはり慎重に検討いただきたいという思いは変わっておりません。