公開日 2025年06月10日
1 6月補正予算案 知事説明
2 とさでん交通への支援について
3 ネーミングライツの導入について①
4 ネーミングライツの導入について②
5 令和7年度6月補正予算について
6 スマートシュリンクについて①
7 高校授業料無償化について
8 公立高校の魅力化について
9 スマートシュリンクについて②
10 スマートシュリンクについて③
11 参院選の合区解消について①
12 参院選の合区解消について②
(司会)
ただ今から知事記者発表を始めます。冒頭、知事から6月補正予算概要を説明させていただきます。
6月補正予算案 知事説明
(知事)
それでは、令和7年度6月補正予算案がまとまりましたので、その概要をご説明させていただきます。
まず、これをご審議いただきます県議会の6月定例会でありますが、6月13日、来週金曜日に招集いたします。本日、招集の告示をいたします。そして、今回提出いたします議案は予算案件が1件、この一般会計の補正予算議案であります。条例その他議案が12件、報告議案が2件、合計で15件になっています。
補正予算の概要でございますが、1枚にまとめてあります。全体的な規模は一般会計の総額で18億円余、平成に入って少し大きめの規模ではあろうかと思います。債務負担行為は5億円余であります。
本件の中身は経済の活性化、教育の充実。教育の充実の方は、いわゆる国の三党合意によりまして、当初予算が修正されまして、高等学校の授業料無償化に関する制度改正が見込まれておりますので、その分を今回の補正で対応する中身であります。
まず、経済の活性化でありますが、大きなものは2点あります。
一つは、中小企業向けの制度融資についてでありまして、今年に入りまして、国が新たな中小企業向けの制度融資の枠組みを準備されました。特別保証制度としまして、金融機関と協調して融資することを前提にいたしまして、新たな保証料の支援を、国の予算で入れる準備をされたということであります。県では、今まで県独自で保証料助成をやっておりましたが、新しい国の制度ができるということで検討いたしまして、この制度を活用して、これに県の独自の支援を上乗せするという、新しい枠組みを作っていく。このことによりまして、今、影響が不透明なところがございますが、いわゆる米国の関税措置によって、資金繰りの支援が必要になることの対応も視野に入れまして、この新しい制度、今までよりも手厚い支援になりますので、この制度を今回入れることを補正予算でお願いするということであります。
もう1点は、先般、地元の市町村との、首長さん方との合意をいたしました、とさでん交通への支援の部分でございます。中央地域の電車、そして路線バスでございますが、特に路線バスを中心に、昨今の運転手さんの不足によりまして、大幅な減便を余儀なくされている事情がございまして、こうした人口減少への対応、いわゆる4Sプロジェクト、スマートシュリンクの事業の一環といたしまして、中央地域の公共交通機関のあり方に関しまして、改革していこうと検討作業を始めております。この主たる担い手でありますとさでん交通が昨今、特にコロナ禍によりまして、財務基盤の脆弱化によりまして、なかなか前向きの新しい投資を行ったり、いわゆる攻めの経営をやっていく資金上の余力が乏しいと。もう銀行からは借りられるクレジットラインぎりぎりの借金を既にしていて、新しいことをやろうとした時には、県あるいは市町村の補助金で支援するしかないというのが、現状でありまして、こういうことでは、今からの中央地域の公共交通の改革をしていこうという時に、体制として心もとないということもございまして、地元の関係の市町とも協調いたしまして、今回、約8億円の債務償還支援という形で、県が予算を計上するということで、今回、補正予算で提案させていただくということであります。
それから、教育の充実は先ほど申しましたように、いわゆる自公維三党の合意によりまして、高等学校の教育無償化が、政府提案の国の予算案の衆議院における修正におきまして、上乗せされるということがございました。授業料相当額の支援について、今まで、910万円以上の人は対象外という縛りが、公立・私立ともございましたけども、これを外していく対応が、国の予算措置がされましたので、それに対応した手当を県でもしていくと。
そして、非課税世帯の奨学給付金の単価も、この三党合意の中で引き上げることが決まりましたので、この対応を県の予算でもしていこうという内容であります。
その他、いろいろ入っておりますが、主なものを3点挙げております。
一つは、内閣府が、例えば簡易ベッドなど、避難所におきます物品、必要な物資の分散備蓄を全国的に行っている。今、東京の立川と江東区の方で、確か持っているだけだったと思いますが、これを全国の各地域ブロックごとに分散備蓄していこうということで、高知県も手を挙げまして、四国ブロックは高知県にとなりました。場所は地元で準備してくださいという条件でございましたので、県で、新しく防災倉庫を設けていくための設計費などを、今回計上させていただくという中身であります。
それから、旧南中高の体育館であります。グラウンドについては、一部、この秋ぐらいから使用が始められるように準備して、進めておるところでございますが、体育館につきまして今後、近くにあります県民体育館の建て替えを考えていきますと、この建て替える時期に、今の県民体育館の代替的な機能を有する体育館も必要ではないかといったことも視野に入れまして、そういった機能も果たせるように旧南中高体育館、耐震性を備えて、しっかりと県民の皆さんに安心して使っていただける施設に再整備しようと、今回、設計費を計上させていただくという中身であります。
最後に、これは国の予算で、これ以外もございますが、医療関係で補正予算が措置されているものがございまして、特に患者が減少して、経営状況が非常に悪化しているといった、これは官民の病院、医療機関などに対しまして、いわゆる病床の廃止、今休止中のものを廃止するというものも含めまして、これにつきまして、かなり手厚い支援の措置が、全額国費でされるということでございまして、これは県の予算を通じて実施するとなっておりますので、その分で国から配分がありました100床分を計上するといった中身。その他、医療関係の国の予算措置に対応して、県を経由して手当するものについて、いくつか計上するというものが主な中身であります。
数字的なものをご覧いただきますと、次のページになりますが、全体で18億円余であります。主は国の補正予算などに対応するものが多くございますので、国庫支出金と一部、県債を使うものがハードものについてでございます。一般財源の不足分は、財政調整基金を取り崩しを1億7000万円ほど計上します。
歳出に関しましては、どちらかと言いますと、経常的な経費への対応分になりますので、一部先ほど申しましたような建設関係の予算、国の補助から単独への振替などもございまして、若干、投資的経費も含まれているといった中身になっているところであります。
そして、併せて、この6月議会に、県議会の方へ、委員会でご報告させていただいた上で詰めようというのが、ネーミングライツの導入を、県立の施設について行っていこうということ。この方針について、今回決定をいたしまして、ご報告するということであります。
ネーミングライツにつきましては、全国的に他の都道府県、都市でも導入が進みまして、県内でも昨年から高知市におきまして取り組みが始まるということがございました。そうした流れもございまして、県でもこうした歳入確保、民間の事業者への、一種の広告料を頂く形です。県の歳入を確保しようというのは、例えば、県の広報誌への広告の掲載ということで進めてまいっていたわけでありますが、今回、このネーミングライツについても、まずは大所から試しにという意味も含めて、進めていこうということです。春野の陸上競技場、県民文化ホール、そして、のいち動物公園、この3つの施設につきまして、年度内の導入を目指して、民間の方に呼びかけていこうということでございます。
メリットとして企業側は広告の効果がある。県は歳入の確保ができて、事業の充実などにも充てられる余地ができるということであります。こうしたことを通じまして、県の施設管理などの財政負担の軽減ということに繋げることもできるであろうということでございます。いずれも相手がある話でありますので、スケジュールとしては年内に入札、年度内に導入を念頭に、今後、進めてまいりたいと思っています。私からは、以上であります。
(司会)
各社からの質疑に移ります。質問のある方は、挙手して社名とお名前を発言していただいてから質問をお願いいたします。
とさでん交通への支援について
(井上・高知新聞社記者)
補正予算案の、とさでん交通への支援のことについてお伺いいたします。今回、債務の償還への支援ということで、約8億円を支援しますが、やはりこれを確実にとさでん交通の収益改善につなげないと意味がないと思いますし、県民の理解も得られないと思います。
その辺り、改めて、とさでん交通には、今回の支援を通じてどのように収益改善をしてもらいたいのか。また、その経緯をどのように県としてフォローしていくか、その辺りを教えてください。
(知事)
お話がございました、とさでん交通への支援ということであります。ただ今申し上げましたような経営状況で、普通の民間企業であれば、増資を検討する局面だと思いますが、財源の問題や市町村との協調の話もございますので、今回も実質的にそれに近いような効果を狙って、国の重点支援交付金を留保しておりました部分の約8億円を活用して財務基盤の強化をしていこうということであります。
その中身を固めるのに、本来なら2月当初予算に計上できれば一番ですが、とさでん交通や地元市町と調整する期間が必要でしたので、今回、補正予算でお願いすることになったということであります。イメージとしては、先般の会議でも経営改善のシナリオという形で、計上されておりましたけれども、この8億円、そして、市町から別途支援のさらに4億円を使ってしまうということではなくて、一種の投資と考えておりますので、典型的には、特に今、収益事業での稼ぎが少なくなったが故に、これを原資として公共交通部門の支援をするということが、結果的にできなくなっているということがありますので、収益部門、稼ぎ頭であります、例えば、貸し切りバスとか高速バスとかといったものについて、新しい車両も導入して、そして、例えば、運転手さんの確保についても、そうした貸切バス手当のような手当も設けるといったことも含めて、処遇改善もして、収益事業の方でしっかり稼いでいただく。
それによって、もともと赤字体質である公共交通方面への財政的な支援というのを、会社の中でも、もう一度、そういうパターンを回復してもらうということが、一番の眼目ということだと思っています。
一定のシナリオは書いていただいているわけでありますが、想定通りに進むかについては、関係市町とも一緒になって、しっかりチェックしていかなければいけないと思います。人的な面での交流ということもあって、役員としては県のOB、高知市からも、職員の派遣はされていると思いますので、事業の実施状況については、絶えずチェックできる体制は、基本的にはできていると思います。それはそれとして、この間、開催しました県と関係市町での集まりは、ワーキンググループもできておりますので、そういった場を使って、とさでん交通の方から、経営改善の取り組みの状況報告は定期的に求めて、また、先ほど申しましたように、公共交通部門について、今から10年間の間に、地元の市町からの財政的な支援をお願いすることも合意しておりますから、その中身の検証、確認の作業も必要だと思います。そういったものを併せて、PDCAといいますか、今申し上げましたような場において、関係市町と一緒になって実施していくことで、対応したいと考えております。
ネーミングライツの導入について①
(谷川・高知新聞社記者)
ネーミングライツの件でちょっとお伺いしたいんですが、先ほど、県の方でも収入を確保できて、財政負担の軽減になるというようなメリットがあるとおっしゃってましたが、例えば、春野競技場でいうと、今年J3に上がったユナイテッドのホームといったことにもなると思いますけども、そういったところも含めた、さらなるメリットといいますか、知事の導入する部分への具体的な期待の部分を、もう少し教えてほしいんですけども。
(知事)
今、お話あったユナイテッドの件は、どちらかというと勢いも借りて、このネーミングライツをうまく回していきたい思いもあってということがあります。もともと、一部の方には、こうした県や市町村の公共施設に、民間企業の名前、冠をかぶせることについて、必ずしも歓迎ばかりではない意見もあろうかとは思うのですが、全国的にも広がってきていますし、高知県内でも、高知市の取り組みも始まったということで、大分、皆さん県内でもなじみが出てきたと思います。もう一つは、今お話ありましたユナイテッドがJリーグ参入ということがあり、県外に向けても、この春野の名前が露出される機会が増えてきている。その機に乗じて、こうしたネーミングライツの取り組みをしていくことで、企業サイドにとっては広告効果も、全国に波及し得るという意味で大きなものを期待して、願わくば、高い価格で応札してもらえる可能性もあるのではないかという部分もあろうかと思います。そういった期待も含めて、今回このタイミングでチャレンジしてみようと判断したところであります。
ネーミングライツの導入について②
(谷川・高知新聞社記者)
その関連なんですが、今回3施設での導入ということになると思うんですけども、それ以外の県有施設でいうと、例えば、黒潮町の土佐西南大規模公園なんかもあると思うんですが、他の施設への今後の導入の可能性というところも、これから検討されていくのでしょうか。
(知事)
可能性は、全然否定しません。ただ、いろいろな施設がいっぺんにするといっても、なかなか、最初のいろいろな丁寧な周知、手続きが必要だと思います。まず、大きなところで、成果が期待できるところから始めて、その教訓や経験も踏まえながら、同じような形で、企業が手を挙げていただいて、広告料的な形で収入が得られて、施設の運営にもプラスになっていく構図は、他の施設でも妥当しうるモデルだと思います。まずは、この3施設でスタートして、いけそうだということになれば、順次対象を拡大していくことは、検討したいと思っております。
令和7年度6月補正予算について
(竹村・NHK記者)
2点質問させてください。まず、1点目が今回の補正予算なんですが、全体として知事としては、どのような補正予算にまとまったというお考えかっていうのをお伺いしたいのと、それと、あと今回も当初予算に続いて4S、スマートシュリンクに関連する予算がいくつか組み込まれていると思いますが、その辺りへの知事の思いをお聞かせください。
(知事)
今回は、特に6月段階の補正予算でありますので、通常であれば、2月議会に提案する当初予算を、年間を通して必要な政策予算を見積って、財政の見通しと合わせてご説明して承認いただくのが、基本線だと思います。そうはいいましても、一つは国でも、先ほど申しました三党合意の話ですが、少数与党体制になったということで、我々2月に出す予算案は、通常は年末の国の予算をベースに県での検討作業をして、事業を組み立てて提案させていただいておりますので、その後、国会の審議の中の修正で加わった部分は必ずしもフォローができていない部分もあったと。
しかし、事の性格上、予算計上を早く動かさないといけない。とさでん交通もそうでありますし、上の、国の特別保証制度もそうでありますが、比較的年末の国の予算の時点では、まだ固まっていなかった中身が、国の方で予算修正も含めて、固まったことに早く対応したい。とさでん交通も、県なり事業者の側、関係市町の側での詰めの作業に時間を要したもの、早く動かしたいものにつきまして、いわば、当初予算が通った、執行が始まったばかりでありますが、年度内に緊急に追加して執行する必要がある予算。これを絞り込んで、今回、補正でお願いしたというのが全体の考え方とご理解いただきたいと思います。
スマートシュリンクについて①
(竹村・NHK記者)
スマートシュリンクについてはいかがでしょうか。やはり、思いを持って予算に計上されているっていうような形でしょうか。
(知事)
4Sの事業について、特に県のコミットメントが必要なものは財源配分、あるいは、組織の体制の中でも重点的に配慮していくことを、申し上げた通りでありまして、今回、具体的に出てきているのは、その一環として位置づけた、とさでん交通です。地域交通のものが出てきた、いわゆる、路面電車のあり方の見直しも含めて、具体的な検討作業は始まっていますけれども、これをしっかりと担保するためにも、担い手であるとさでん交通が、前向きのことが事実上考えられない体制では、手足をもがれた中で戦えという話になりますから、それは避けたいと。とさでん交通が前向きに、この際、経営も改善していくスタンスに立ちながら、公共交通改革に取り組んでいただける条件整備が、ぜひとも必要だろう、できるだけ早くということで、今回、計上させていただいたということであります。
高校授業料無償化について
(竹村・NHK記者)
もう1点、高校の授業料無償化への支援についてなんですが、国の予算ということですが、これは、多くの方に関係する予算だと思いますけども、これによって、県内の教育にどのような影響を与えることを知事として期待されますでしょうか。
(知事)
今回の予算の部分は、三党合意でも先行して今年度に実施しようとした、910万円以上の年収のある、比較的所得の高い方、今まで外れていた方を、公立、私立問わず対象にするという部分でありますから、その意味では、今回計上した部分自身は、それほど大きなインパクトがあるかというと、今後予定されているものに比べれば限定的だと思います。今後予定される、来年度からいよいよやろうとされている話が、まさしく、実質的に私学の無償化を限度額も上げて、相当、やりようによっては、想定される効果としては、公立から私立に生徒がシフトしていくことが、現実に想定されるような改正が、来年度から動き出すと。その中身の制度設計は、この夏から年末にかけて、三党中心にされることだと思いますから、その部分の対応もにらみながら、できることはやっておかなければいけないと思います。
県内でいいましても、公立高校、県立高校の魅力化だと思います。授業料の負担という意味では、今、やはり公立が授業料が安くて、いい教育も受けられるということで、公立高校を選んでいただいた生徒さんが、そこの経済負担の面で、もう遜色がなくなるとしたら「それでは、私立へ行ってみようか」ということになると、県内でも、特に高知市中心とした県の中央部の私立学校への進学の志向が、より高まっていく形のインパクトが想定されると。
逆にいうと、郡部の特に小規模校ですね。今、生徒数の減少で大変苦しんでおりますが、それが、ますます苦しい状況になり得ることだと思いますから、県立高校それぞれが置かれた状況を踏まえて、生徒さんにとって魅力のある学校にしていくと。いろいろな施設の整備もそうだと思いますし、元々高等学校の再編計画、振興計画の中で、特に郡部の小規模校の1クラス未満のような状態になっているところは、全国から生徒を呼べるような、特色ある取り組みを、地元と市町村と一緒になって検討して、進めていこうと呼びかけた矢先でありましたので、その大きな流れを、より加速する対応が必要だと思っております。
そのためには、国の財政的な支援ですね。公立の高等学校に対する支援も、より踏み込んで考えていただく必要があるだろうと。全国的にそういう意見も多く上がっておりますので、これは今回の国への政策提言の中でも、私自身、文科省にもお願いに上がりましたし、そういった国への提言というところも合わせて、公立高等学校の魅力化というところを、今まで以上に力を入れていく必要があると思っております。
公立高校の魅力化について
(栗原・時事通信社記者)
今の公立高校の魅力化についてですが、授業料が私立学校と、遜色が、ほとんど同じような条件になったという中で、公立高校の魅力化を国に踏み込んでもらいたいということでは、どのような措置を国に求めたいか、具体的なものはあるんでしょうか。
(知事)
例えば、よく言われますのが、特に産業系の学科、高校で施設の老朽化が進んでいるという部分、設備も含めてだと思いますが、進んでいるのではないかという指摘はかねてされているところでして、いろいろな教材、学校に備え付ける教材も含めてでありますし、施設の老朽化をリニューアルしていくところの、財政的な支援のてこ入れですね。これが一つ、具体的な検討テーマになると思います。
その他で、具体的にお願い、提言させていただいたのは、例えば、高知県も海洋高校を持っておりますが、海洋高校、水産系の学校は遠洋航海も行う実習船を持っていて、これは相当な経費がかかっているのですが、これが、地方交付税の算定の中では、あまり財源手当てが追い付いてないという状況もありましたので、そういった既に、相当の経費がかかっている部分について、財政的な支援を強化していただいて、そういったとこでお金も浮いてきますから、そういったものも活用して、先ほど申し上げましたような魅力化ですね高校の魅力化。
これは決まったわけではありませんが、議論の一つとしては、例えば、今、高知県がアニメ産業に力を入れていくとすれば、中山間の全国から生徒を集める時に、アニメ学科を作ってはどうかという提案も、アニメの産学官の会議では出たりしておりますし、他県で見ましても、例えば、愛媛県の長浜高校は、水族館のスタッフになりたい生徒さんが全国から集まってきて、非常に活況を呈している例も聞いておりますから、そういった取り組みを、地元の市町村と一緒になってやっていくことへの支援も必要だと思いますし、物理的にいえば、そうなったら寮も必要になるんじゃないかと、そういった時の財政支援も国も考えてもらえないかといったことも含めて提言させていただいております。
スマートシュリンクについて②
(中田・高知民報記者)
スマートシュリンクについてです。先日、昨日でしたか、高新さんが大川の村長さんの話を書いていましたけども、要は、縮むと言われた時に、周辺部は自らが切り捨てられるというような思いみたいなものが、当然、やっぱり縮むというたら、うちがのうなるみたいな話になってくると思いますので、いのの電車も同じような話やと思うんですよね。いのの町長さんすごく電車が、いのは、もう電車が大事ですってことを、非常にこの間も言われていましたけど、やはり、このスマートシュリンクの中で、電車がカットされるんじゃないかというような不安を持たれていると思います。スマートシュリンクの、知事はそういうことを意図しているわけではないとは思いますが、やっぱりそこがちょっと合致してないというか、そこいかがでしょうか。
(知事)
言葉のイメージとして、スマートとシュリンクという言葉を合わせて、あえて使っています。その中で、私どもとしてはスマートの方に力点があるわけであります。シュリンクは、直接の事業の活動は別にして、人口が縮んできている。また、今後も縮まざるを得ないと、ここはもう不可避だというのが前提ですから、シュリンクが不可避である以上は、その行政全体のサービスの在り方がスマートに賢く縮んでいく。賢く縮むというスマートな部分を追求していかないといけないんだというコンセプトの命名をしたつもりなわけでありますが、今、お話がありましたように、言葉は少し独り歩きする面もありますので、スマートというよりもシュリンクという言葉に反応して、大川村でも、そんな村長さんのお話があったとか、いろいろな公共交通にしても、高等学校の定員の削減にしても、シュリンクの部分に反応して、切り捨てになるのではないかというご懸念があるのは、私もいろいろ伺っていますし、しっかり受け止めて、我々の真意を説明しないといけないと思っています。
ですから、シュリンクは決して目的ではないので、全体として、あるいは前提となる人口がシュリンクしていく中で、スマートな対応をしないといけない。だから、高校の定員の削減でもシュリンクが目的だと、とにかく「えいやっ」で一律に削っていく、定員を削っていくってことになりかねないのですが、そうではなくて、都市部の学校と中山間地域の学校では、定員の削減の基準や考え方も変えていくと。守るべきは守るという中で、スマートな、全体としてスマートなシュリンクを追求するんだということは、全体を貫く思想として考えているつもりでありまして、その点は、いろいろな機会を捉えてご説明し、ご協力いただくように努力したいと思っております。
スマートシュリンクについて③
(中田・高知民報記者)
もう1件、関連して、一方で四国新幹線は非常に熱心にやられております。そこは県民的感覚でいうと、とてもシュリンクじゃなくて野放図の拡大みたいな、そういうふうに捉えている方も結構多くて、そんなの無理やろうというので、本気度が感じられないというか、そこが矛盾しているというか、整合性がないようにも思えますが、いかがですか。
(知事)
これは人口がシュリンクしていく中でも、経済をできる限りシュリンクさせない。1人当たりでは、むしろ拡大していくようにするのが命題だと思いますので、そのための有力なツールだと思っています。今からは人口もそうであります、交流人口・観光も含めて、増やしていく時に、四国だけがブロック単位で見て、新幹線がないのが事実でありますから、私、去年今年と福井に行ってきましたが、福井の街の発展は目を見張るばかりというところがありまして、やはり確実に新幹線が通ることでの交流人口の増とか、経済活性化のインパクトはあるわけです。
もちろん、地元の財政負担も一定、覚悟しなければいけませんが、基本は国なり、JRの投資事業としてやられる事業でありますから、一定の地方負担を覚悟しても、これはこれで負担軽減の要請提言はしていくとして、やはり、同じスタートライン、全国他のブロックと同じスタートラインに立って、地方創生・地域の活性化・経済の活性化を図っていく上で、ぜひとも必要だし、また南海トラフでの救援路、瀬戸内から太平洋側への救援路を考えた場合、高知道がメインになりますけども、これとて万全ということはないので、その代替可能手段として、四国山地をトンネルで貫く新幹線が、災害の時にも在来線の代替の機能も含めて、大いに力を発揮したのは九州新幹線でも、経験が得られていますので、こういうことを考えました時に、まさしく2037、リニアがいよいよ東京・大阪間通って、新幹線が周回遅れの議論になるわけです。そのタイミングまでに、日本全国の他の地域と同じ条件でスタートラインで競争できる条件を整えておくことは、ぜひとも大事な取り組みだと、四国4県が一致して取り組んでいることだと、私は理解しております。
参院選の合区解消について①
(井上・高知新聞社記者)
参院選の合区解消について、お伺いいたします。先日の四国知事会議でも参院合区の解消を求める緊急提言を4県知事で採択されました。緊急提言といいますが、これも毎年提言してきている一方で、なかなか知事として、政府というか、国会の中では解決策が見いだせません。まず、そのどこに要因があると考えられているかということと、何かこう打開策というのは何かあるでしょうか。
(知事)
明確な打開策があれば、もうとうに提案させていただいていることでありますが、一つの到達点は、参議院でも改革協議会が行われ、私自身も意見を述べる機会をいただきましたが、今の合区の制度の不合理というんですか、投票率が顕著に低下して、決して望ましい形になっていないと。合区は解消の方向で検討が必要だというところは、おおむね全会派、方向性が一致しているのは一つの到達点だと思います。
ではどういう形でこれを改善していくのか。新しいものをつくっていくのかというところが、選挙制度に係る話でありますので、各党の勢力の象徴に直結することになりますから、そこでの利害の思惑があって、なかなか一致点が見出せないのだと思います。
比較的オーソドックスなのは、人口1人当たりの投票価値の平等はありますけども、従前のように、最低各県に1人割り振った上で、残りを人口の多いところに追加配分する形でやっていくことが私は一番分かりやすい、本命の方法だと思いますが、比較的少数の、比較的ですが、会派・政党からは、むしろ比例代表的なものなり、ブロック制的なものをやった方が代案としてはいいのではないかというご主張もあり、この辺がなかなか、先ほど申しました各党の象徴に直結し得るというところで、容易に妥協が成立しがたいのではないかと思います。
これはという打開案、なかなかすぐにはないんですが、王道とすれば先ほど申しましたように、先ほどこの間の四国の会議でも申し上げましたように、やはり根っこに帰って憲法論、地方自治の在り方、都道府県の位置付け、そういったものが、そもそも憲法に何もないというところに縁因があるのではないかと思いますから、都道府県の位置付けなり、地方自治の重要性について、憲法でもっとしっかり書き込んでもらう。それとセットで、この地方自治の府、地方の府としての参議院は衆議院と違って、投票価値の平等の要請は、より抑制気味でいいんだというところを、ここの議論をしっかり各党・会派でしていただいてというのが筋論といいますか、本当の望ましい地方自治の在り方も含めて、だと思いますが。
ただやはり現実に、さっき申し上げたような政治的な思惑・意図もあっての話だと思いますから、とにかく、いろいろな当面、法律で改正で対応するとか、オプションも議論されているわけでありますから、引き出しにいろいろなオプションを持っておいて、いろいろな政治状況が変わった時点で、的確なカードをぱっと出して、打開の道へ繋いで持っていくような知恵が、求められるのではないかなと思っています。
参院選の合区解消について②
(栗原・時事通信記者)
関連しまして、全国知事会でも合区の解消は、提言としてまとめてきてはいます。ただ、やはり感じるのが、合区対象県の思いと都道府県間でも本気度、熱意に差があるのじゃないかなと。該当県は強く訴えているが、なかなかそれが広がらない。国民全体にも広がらない。そのもどかしさは、知事自身も感じられる部分もあるでしょうか。
(知事)
そこは率直に言って、私自身も大阪府の副知事をやっておりました時は、知事の意を体して、合区は必ずしも悪くないとは言っておりました。そういう意味では立場が違って、今は攻守所を変えている面もあります。
先ほどの突破口の話もありますが、次の国勢調査によって、投票価値の平等がさらに追及されることになった場合、具体的に次は何県、何県、何県が合区の検討の俎上に上がるんではないかと。
そうなると、今の鳥取・島根、徳島・高知のような1対1の合区ではなく、大きい県と、例えば、福岡と佐賀というような合区も考えないといけないのではないか、下手すると飛び地でやるのか、ますます矛盾に満ちた合区を考えざるを得ない、どうするんだというところで、根本的な議論を、今の4県以外も含めて、他の県も明日は我が身ということで、比較的小さな県は、このリスクには晒されると思いますから、議論が別の要素から盛り上がってくる可能性はかなりあると思いますので、それもチャンスと捉えて、先ほど申しましたように、いろいろなオプションを引き出しに持ちながら、政治状況に応じて、対応を与野党とともにご相談して、何とか道を開く方法を後押しできるように動きたいと思っております。
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