公開日 2025年09月17日
1 9月補正予算案 知事説明
2 高知城歴史博物館における山内家の宝物資料の保存管理等について
3 高知城歴史博物館の設置及び管理に関する条例改正議案について①
4 高知城歴史博物館の設置及び管理に関する条例改正議案について②
5 県立施設の管理における文書について
6 県外郭団体の自律性向上について
7 現在の政局において国に求めることについて
8 自民党総裁選で期待することについて
9 高知ユナイテッドSCについて
10 県立施設運営活性化懇談会について①
11 県立施設運営活性化懇談会について②
12 県立施設の運営に係る自律性向上に関する計画について①
13 県立施設の運営に係る自律性向上に関する計画について②
14 県立施設の利用料について
15 県民の文化の享受について
16 合区の問題点を議論する研究会について
17 県立施設における文化と収益の考え方について①
18 県立施設における文化と収益の考え方について②
19 県立施設の管理運営における自律性の考え方について
20 県民体育館について①
21 県民体育館について②
22 時間外勤務について
(司会)
ただ今から知事記者発表を始めます。冒頭、知事から9月補正予算の概要を説明いたします。
9月補正予算案 知事説明
(知事)
令和7年度の9月補正予算案がまとまりましたので、概要につきましてご説明させていただきます。
まず、この審議をいただくための県議会9月定例会は9月19日に招集をいたします。今回提出する議案は、令和7年度一般会計補正予算などの予算議案が4件、条例その他議案が12件、報告議案が23件、合計で39件を予定しております。まず、補正予算の内容について、概要をご説明します。
9月補正予算でありますが、規模としましては一般会計の歳出規模として10億円余ということでありまして、例年に比べても少額、小振りな規模の予算となっていると思っています。今年はご案内のように、国の政治情勢もありまして、9月の県議会に先立って経済対策が特別に行われるというようなこともないと、国の補正予算もまだ編成されないということでございますので、これは例年やっているものでありますが、一般的な公共事業の内、港湾・海岸、都市計画、砂防、この辺は分野別に見た時に、当初の計上額を上回る承認、内示が来ていますので、この部分は予算を増額計上しないと、事業が速やかに執行できないことになります。
従いまして、この部分は例年どおり約7億円としてありますが、計上するというのが、金額的に大きなものでありまして、それ以外は、高知龍馬空港のターミナルビル内装の整備、そして、青少年センターの空調設備の整備のための基本設計。こうした施設整備の緊急性に鑑みまして、この9月補正予算で計上をお願いする必要がある施設整備関連の予算が中心になっています。
その他、アーバンスポーツ振興に向けまして、企業版ふるさと納税の財源を充当しまして、BMXのイベント開催を支援する経費。そして、これは国の補助金の予算追加に関連します2件ですが、病床を適正化する、病床を削減する病院に対して経営支援をするようなもの。逆に中山間地域で診療所の事業承継をして、医療の体制整備に協力いただくような場合の設備整備への支援。これも国の補助金絡みのものです。
それから、最後はこれは県単独の施策ですが、県立施設の運営に対します外郭団体の自律性向上、そして、高付加価値のサービス展開を図っていくためのサポートをしていこうと、そのために有識者による懇談会を開催するための、これは事務経費になりますが、こういったものを、今回計上させていただいております。
全体的な計数でありますが、規模は先ほど申しましたように、現年分の歳出としては10億円程度、一般財源といたしましては、決算の剰余金の見通しが立ちましたので、その部分から一般財源部分を計上しまして、残りはハード整備の関係が多くございますが、国庫支出金と県債の充当で、この辺が主とした経費の7億円に対応すると、そのような中身になっています。
以上が予算の概要でありまして、今議会はそういう意味では予算の規模は非常に限定的でありますが、県立の文化施設の運営に関わるような議案、それから、働き方改革関連での議案が主な議論の対象になると思いますので、その点、簡単にご説明したいと思います。
公社等外郭団体のあり方の見直し。これは直接的には県立の文化施設等の運営に当たる外郭団体に関します、特に県の関与のあり方をこの際、見直していこうというものであります。なぜこの時期に、こういう改革が必要かと、急いでやらないといけないかに関して言いますと、今の経済情勢の中で、これは公共部門に限らず高知県として、あるいは日本経済全体として、今の人口減少を乗り切っていくことを考えましても、今までのコストカット型の経済のデフレ対応型の経済ではなく、もう久々にインフレが前提の経済になっておりますので、一般的に見まして消費者の方々に、多少値段は高くても、それだけの値打ちがあるという、付加価値が高いサービスを提供していく。そういう経済構造に転換していかないといけない。その真っ只中にあるというのが、今回の改革を考えなきゃいけないというところの背景としてございます。
民間の事業者の方々は、そういう意味では本県は年金生活者も多く、なかなか値上げができないという中を、高付加価値のサービスをどうやって編み出していくのか。そして、それをどう収益に結びつけて所得を、特に若い方の所得を上げていくのか。そういうことを今、官民一緒になって考えていくという状況であります。県立の文化施設でも、もちろん無料で提供している施設については、この範囲外だと思いますが、一定のご負担を利用者にいただいて、サービス提供の対価をいただいている、かつ一定の集客が現に行われている事業所におきましては、いわば県内の民間事業者と同じ目線で、どういう形でサービスの向上、高付加価値のサービスができるのか、そして収入を上げていけるかを、いわば一緒になって悩んで、そしてでき得れば、その際の県の経済全体の底上げに関して、指針になるような、一つの道標となるような取り組みを展開していく環境が必要ではないかと、そういうことが背景としてあるわけであります。
ところが、今の県立文化施設の県の関与との現状でいきますと、この公募によらずに直指定という形で文化施設の運営を任された財団の場合は、直指定をしている関係上、これは県の直営施設並の県の強い関与が行われ、職員給与はせいぜい県職員並までが上限だとかですね、あるいは、剰余金が出た場合は県に納付をして、自分の団体では使ってはいけない。こんな規制を掛けている現状であります。
結果、過去、公知の事実ですから言ってもいいと思いますが、牧野植物園の牧野財団では、職員の処遇もなかなか上げられないということで、大量の退職が発生したという問題も生じています。こうしたことを考えますと、財団運営の自由度、自主的な判断で自己決定ができていく体制への改革をしなければいけないというのが、元々の動機であります。 ただこういった形で自由度を上げることは、施設によっては大体数十億円規模の県費をかけて整備した県立施設を、いわば独占的に使える、そういう特権が生じるわけであります。であればこそ、今まではそういう特権が生じる以上は、縛りをかけて、一定水準以上の利益が残らないようにとやってきたわけです。そういったことと裏返しとしまして、自由度を高めるのであれば公募という形で、市場のテストを受けていただくことが必要であります。
このことによりまして、今の指定しております施設以上に、県民の立場から見ても素晴らしい運営ができるところは他にないということを、客観的に証明する形で運営を図っていく形に改めたいということであります。
この点について、文化施設が儲け主義で給料を上げるために基本方針を転換するのかというような、誤解と私どもは思ってますが、ご意見も生じたわけであります。ですが、ここに書いてありますように、県からの指定管理業務の基本部分につきましては、例えば、今後、給料の水準が民間全般として上がってくれば、公務員の給料にも人事委員会勧告を通じて反映されます。そうしたいわば、標準的な基本になる部分の引き上げの措置は、今までと同様に、管理代行料という形で県で手当をしていく考えであります。今回、それをさらに上回って、特別に処遇改善をしたいとかマージナルな部分として、特に業績が良ければ、その分ボーナスを増額したいという、民間では当たり前になっていることをできるようにしたいと、そういう趣旨であります。
また、県からの指定管理業務の基本部分を変更しようというものではありません。現状、こういった県の文化施設の場合は、例えば700円、800円の入場料を頂いてます。ただ、それで運営費の内、まかなえているのは2割から3割程度でありまして、この下支えは県の一般財源、県民の税金で支えていただいている。それによって、手頃な値段で良質な文化に県民の皆さんが触れることができる環境をつくっているわけであります。私どもは2割、3割という使用料、入場料収入の比準、比率はもうちょっと上げていくべきであろうとは思っていますが、それを逆転させて、使用料、入場料を受益者負担で過半数を賄うようにしようとか、大転換をしようとか、そういう大それたことを考えているわけでは全くありません。 基本部分は、従前のように県が管理代行料、最終的にはその財源は県民の税負担になりますが、それで下支えていく。そこは変わらない。ただ、マージナルな部分で自主事業を、プラスアルファの事業をもっと自由にやっていただいて、そこから上がってくる収益の部分は、各団体が自由に使える。その中で特に処遇改善の必要度が高い法人はそれに回せばいいし、もっと文化の自主事業をやりたいところはやっていただければいい。そういう制度改正をしたいということであります。
こういう関係の効果が上がりますのは、ある程度以上の集客が行われて、現実に収入が上がっているところでないと、やる実際的な意味がないと思いますので、5万人以上で線引きをして、このような団体を対象とし、今までいろいろな県の関与でがんじがらめだった運営を改めて、自律性の向上をしていただく。それをサポートするための懇談会を県でもつくって、今年度後半に自律性向上の計画を各団体に作成していただくということを、具体的にサポートしていこうということであります。
これがありませんと、今まで県の関与の中で県職員の延長の発想でしか運営をしなかった部分、側面が多いと思いますので、高い付加価値を、新しいサービスを考えようと言っても、なかなか自分たちだけでアイデアと言っても難しいと思います。この懇談会の中で、民間の有識者の方々、あるいは企業経営者の方々にもお知恵を借りて、具体的に、どんなアイデアで新しい事業を展開していけばいいかのヒントをいただくような体制を取りたいと思っております。
そうした中で、議論になっておりました専門性・継続性を担保することができるのかと。公募になって他の団体に交代していった場合、これが問題ではないかということがございました。こうした必要性に応じるという観点から、雇用の確保に関しましては、公募要領で条件付けを行うといった、これは一例でありますが、そうした方法で対応を考えて、これによって必要な専門性や継続性を担保しようと考えております。今回の議案の関係で申しますと、高知城歴史博物館に関しましては、展示の大きな部分を占めております山内家の宝物資料、これにつきましては城博を整備するはるか前、平成の一桁の時代に山内家の方とも申し合わせがありまして、この管理のための財団をつくってやっていくという了解事項が、県との間にあります。このことが、今回この一連の改革についての意見交換をしていく中で、財団関係者から強いご意見もあったということを踏まえまして、今回の9月定例会に公募はしていくにしても、公募の範囲はこういった宝物資料の保存管理部分は除いて、施設管理の一般的な企画運営や広報部門に限定して公募をかけていくという方向で、今回条例の改正をお願いしようということで、関連議案を提案させていただくことにいたした次第であります。
働き方改革の取り組みです。これも一昨日、別途記者発表をさせていただきましたので、簡単にとどめますが、やはり少子化対策、あるいはさっき申し上げましたような価値創造型の新しい経済社会に対応していくためには、長時間労働、男性中心の長時間労働の構造を社会全体として、日本全体として改革していかないといけない。それが、人口減少問題への処方箋にもなっていくということでございます。そういう環境にありますので、人口減少が全国に先行している高知でこそ、この対策を先導していく。最先端の対策にチャレンジしていくということで、ワークライフバランス社と協定締結をして、同社のノウハウも伝授いただきながら、働き方改革を強力にやっていこうと。その中で、今回条例で2議案を関連でお願いいたします。
一つは、短時間勤務職員制度の創設。これは、同じ趣旨の制度は鳥取県で既に入れられておりますが、今回、一般行政職員も含めて幅広い範囲でこうした制度を入れ、採用枠まで新設してやっていこうというのは、全国で本県が初めての取り組みになります。こういったものを入れていく。これによって、例えば、育児や介護で一旦就業を諦めた女性も応募いただいて、短時間勤務で、基本的に、いわゆる正規職員と同じような待遇で働いていただけるという採用枠を設定いたしまして、そうした働き方も制度化するといったことが1点であります。
もう一つは、一種の社会実験といたしまして、令和8年度限定、来年度に限定して集中的にやってみたいと考えておりますのが、時間外勤務を縮減していくために、手当の単価をむしろ上げていくということでありまして、今、割増の単価が平常の時間帯の125%ということになっています。これを150%まで上げて、時間外手当の、いわば使用者側からするとコストを上げていくということであります。
ただ、これは職員の側の手取りを増やすのが目的ではありませんで、あくまで時間外勤務を減らして長時間労働を是正していくための手段だと思っておりますので、ここはむしろ、特に管理職の職員ですね、時間外勤務の命令をするということは、コストが今までより上がるんだと。だから、今までよりは時間外の勤務を、例えば、3時間事前命令をしていたのを2時間に縮減していく努力をしていかないといけないんだというようなことを、しっかり考えて、そのためにはどうすれば仕事のやり方、あるいは仕事の取捨選択を管理職として、どういう形で判断をし、指示していけばいいかを考えていただく。そういうきっかけに多くなっていくことを期待してやってみようということでございます。
条例は臨時特例条例として出しますので、手当を講じなければ令和8年度限りということでありますが、やってみた上で効果を検証して、今後どうするのかは、時間を置いて考えていくのが基本であろうと思います。こういった条例案も今回の議会では提案させていただく予定といたしております。
私からは、以上であります。
(司会)
では、各社からの質疑に移ります。質問のある方は挙手をして社名とお名前を発言してから質問をお願いします。
高知城歴史博物館における山内家の宝物資料の保存管理等について
(井上・高知新聞社記者)
指定管理の公募への切り替えの関係の、高知城歴史博物館の設置管理条例改正案についてお伺いします。
先ほど、濵田知事からも説明がありましたが、今回、山内家の宝物資料を扱う記念財団との申し合わせ、位置づけというところが関係者から強い意見があり、こういう対応になったということですけれども、これはそもそも大前提の話であると思うんですけれども、これまではこういった議論、認識というのはされていなかったんでしょうか。
あまりにも公募への切り替えが迫るタイミングで、こういった話が急に出ると、どうしても対応が後手後手にうつりますし、現場にも動揺が広がると思いますが、その辺りはどうでしょうか。
(知事)
前段については、当然そういういきさつがあって、山内家から寄贈を受けたり、寄託を受けたりして、その分、県の財政負担でしっかりと調査研究であったり、普及をやっていこうと。そういう関係にあったことは、当然、関係者みな了解して、それを前提にやってきたと思います。
ただ、この指定管理の扱いでいうと、いささかラフだったということじゃないかと思います。これは、条例をご覧いただくと分かりますが、公募するのが原則。公募しなければいけない。しかし、知事が認めれば公募をしないことができるという書き方になった上で、公募といいますか、指定管理の仕事としては、もう館の運営業務全般を、指定管理の業務にするという構造になっていたということであります。
今回、こうした見直しを行うことを契機に、先方の関係者とよくよく膝詰めで議論をしていく中で、そもそも今まで非常にアバウト過ぎた制度と言いますか、今の条例がですね、なっているのではないかと。公募をやるにしても、こういった取り決めがあったことを考えれば、公募の範囲として、宝物資料の学芸業務とか整理とか調査研究、そこに当たる部分は、元々今回、この際、作った山内財団がやっていくということを前提に考えていたわけですから、そこは、公募から外すという枠組みでやるのが、より適切ではないかと。これはいろいろ議論した過程の中で、より適切な形に、この際、整理をしていくべきであろうと。
一つの手は、ここにありますように、専門性・継続性の担保のために、今いる職員の雇用を公募の条件として求めていく解決方法も一つはあると思いますが、事この山内財団に関して申しますと、過去のそうした経緯を考えると、こうした執行側としての知事の判断、裁量でやっていくより以前に、県全体の判断として、公募にかける基本ルールは条例に書いてあるわけであります。その部分に立ち返って、もう1回精査、整理をし直すと。そして、議会にもお諮りをして、承認をいただいて、法人としての、県としての方針より高いレベルの方針にした上で、改革に臨むことが筋ではないかと判断したということであります。
職員の方々の混乱等々に関しては、もちろん、そういう懸念がないわけではないですが、ただ今申し上げましたような趣旨を、しっかりと説明していくということではないかと思っています。
高知城歴史博物館の設置及び管理に関する条例改正議案について①
(井上・高知新聞社記者)
関連しまして、ただ、今回の条例改正案の中身を見ても、いわゆる公募から、県営業務と指定管理業務を切り分けて、いわゆる宝物を扱うようなものは直営にすると。一方で指定管理には企画・広報・運営を任すと、これが公募部分になると思うんですけれども、ただ、この博物館そのものが、やはり山内家宝物を使った企画であったり、山内家宝物などを中心とした広報などが大きな意義、役目だと思うんですが、なかなかこの業務の切り離し、線引きというのが難しいんじゃないかと思うんですが、その辺りはどうでしょうか。
(知事)
実務上そういう部分もあると思います。ただ、施設の整備の中で最も分かりやすいのは物理的な建物ですね。建物の清掃だったり、警備だったり、料金徴収だったり、こういうのは明らかに施設の管理ですから、これは指定管理の方に明らかによることですし、一旦方針を決めた後の広報宣伝とか、こういったものも、これは切り分けてやるというのは比較的簡単ではないかと思っています。
あり得るとしますと、宝物の調査研究と、それを前提としてどういう企画展示をやっていくかという方針決定ですね。そこは全体として指定管理者が担うはずの経営方針と、学芸業務との認識のすり合わせ作業が必要になると思います。そこが業務として重なってくる部分かと思いますが、これはあらゆる組織で分担してやっていく中で、両方の所掌に関係をしてきたところを、しっかり話し合いをしてやっていくというところでカバーしていける、いくべきものだと思いますし、現実に類似の例としては、私も当時関わりましたが、島根県の県立美術館は学芸部門は県直営、宣伝広告事業はサントリー美術館という民間の美術館に、指定管理で出すというようなことをやっている事例も既にありますから、そういった事例も勉強させていただきながら、スムーズな運営を図っていくということではないかと思っています。
高知城歴史博物館の設置及び管理に関する条例改正議案について②
(井上・高知新聞社記者)
なおそこの確認なんですけれども、いわゆる学芸部門が企画とかを練り上げるという話もあると思いますし、一方、新たに指定管理で公募にかけた時、公募ではどういったところ、専門性・継続性はいわゆる直営になるというふうな考えだと思うんですけれども、指定管理の公募はどこで競うというか、どこがポイントになってくるんでしょうか。
(知事)
先ほど申しました建物としての物理的な管理は、効率性がポイントだと思いますし、より大きいのは全体の経営の企画、経営方針ですね、作っていくということだと思います。それは現実に、どういう企画展をやっていくかとか、常設展示をやっていくかということは、最終的には学芸部門との対話で決まっていくことだと思いますが、経営の立場から、あるいは県民、利用者のニーズを踏まえると、こういう観点からの企画が必要ではないか。展示の改善がいるんじゃないかということを提案し、議論していくのは指定管理者の仕事になるのではないかと思っています。そういったものを踏まえて、やり取りをしながら、例えば、でもそういった意向も踏まえて企画展示の原案を具体的に考えていただいたり、あるいは、方針を踏まえて、より具体的な最後を詰めていただいたりというのは学芸部門になろうかと思いますから、そこは協働していくということを想定しております。
県立施設の管理における文書について
(井上・高知新聞社記者)
最後に、今回、山内家宝物資料の扱い等、こういう財団との申し合わせがあったということですけども、他にも今回の、いわゆる指定管理の見直しの中では、牧野植物園であったり、坂本龍馬記念館というのもありますが、いわゆる牧野博士の資料、坂本家の資料、こういったものと、今の運営団体との間での申し合わせであったり、協定、そういったものはないんでしょうか。
(知事)
正直、今そこまで事実関係の調査は及んでおりませんが、これらの団体は、まだ次の指定管理の期限が来るまで数年間ありますので、それには間に合うように、今回一定の整理の一つのパターンができましたので、参考にしながら、過去の経緯がどうか。そして、そうした専門性・継続性の担保は、こうした雇用の面での公募段階での配慮ということの他に、今回のような公募の業務のところを切り分けるといったような、具体的な手法としては、いろいろな選択肢があるということは、ある意味明らかになったわけでありますから、そういった事実は前提にして、それぞれ各団体ごとに、施設ごとに事情は異なっているということだと思いますから、それは改めて精査をした上で、一方で、前回のご指摘で逆もありましたように、あまりにここの縛りが、配慮するというところが、いわばハンディをつけるところが厚すぎると公募をやる意味があるのかという、そういう逆のご懸念もあるでしょうから、そうしたところの兼ね合いで、どの範囲が必要、かつ十分なハンディを付ける手立てなのかということもよく考えて、その次の指定の更新のタイミングでスケジュール設定をして、精査の上で方針を決めたいと思っています。
県外郭団体の自律性向上について
(中川・NHK記者)
外郭団体のあり方見直しについてお伺いさせていただきます。
ご説明の中で度々、自律性向上団体だったりとか、自律性向上支援といったように、自律性向上という言葉が出てくるかと思います。少しちょっと抽象的ですので、もうちょっと具体的に分かりやすく、どういった姿を目指しているのか。どういったイメージを持っていらっしゃるのか、改めてお伺いできますでしょうか。
(知事)
指定管理者制度ができて20年になりますが、この制度の趣旨は、県の直営でやってしまうと、どうしても公務員の頭になってしまいますから、施設の管理について限界があると。だから、県以外の団体ですね、株式会社でもオーケーなので、民間の団体にこの管理を代行してもらって、その代わり民間の創意工夫でより柔軟な形で、多彩なサービスを展開していこうと。こういう趣旨で設けられた制度です。
その趣旨からしますと、現在、本県の直指定の団体は、直指定する代わりに、県立の施設を県が直営でやる場合と同じような制約を課する形になっています。これはさっき申し上げたように、県の施設で、いわば必要以上に儲けを上げることになってはいけないという考え方であります。その結果、職員の給与はせいぜい県職員並が上限だということで、個々の給与のあり方も縛りをしたり、そして、効率的な運営をしたり、頑張って稼いだりして剰余金が出ても、それは全部県に召し上げだというやり方をしておりますから、実質、県の出先機関みたいな運営になっています。
それは、指定管理者制度の本来の趣旨からして、そもそもどうなんだろうかという問題意識は、私は以前から持っておりましたので、今回、こうした状況の中で、各施設でより創意工夫を生かして、実際、条例ではかなり料金の設定とかサービスのやり方、許容範囲は幅広く取るような状態になっておりますので、それを生かして、民間の会社であれば、あるいは施設であれば、こういったサービスをして、こういった料金を頂くというような、新しいサービスをして収入を新たに上げていくといった取り組み。
そしてそこから、その狙いがうまく当たって収入が増えれば、その収入については、さっき申し上げたように、場合によってはボーナスをあげるとか、それ以外の処遇改善に使う。あるいは、元々が公益財団法人という団体であれば、公益事業である文化事業を無料でやるとか。そういうことを拡大する。そういった形で、各団体が団体の目的に沿って、自分たちの頭でどう稼ぐかを考えて、使い道も自分たちでどうしたらいいか、どうしたいかに沿って考えていくという形でやっていくことが、直指定で今のやり方でいくと、結局は県の当局の顔色ばっかりを見るような運営になりかねないというのが、私は懸念だと思います。
それよりは、県民、利用者の顔を向いて、そういう方々が何を求めているかに思いを致して、新しいサービスを提供していただく。そして、ちょっと高いけど、追加の負担はあるけど、それだけの値打ちがあると利用者に思っていただく形で、この県の施設をもっとより良い形で生かしていくということを、私としては期待をしたいと思っています。
現在の政局において国に求めることについて
(栗原・時事通信社記者)
予算とは直接は関係ないんですけれども、補正予算の規模が10億円に、小振りだというところに知事も若干触れられましたけれども、国の臨時国会の話です。未だに臨時国会の日程も、特に決まっているような状況ではありませんが、この時点で国に求められるようなことはありますでしょうか。
(知事)
現実問題としては今ご存知のような国政の状況でありますので、早く与党の比較第一党でもあります自民党で、新体制を構築していただくいというのが、現実の問題としては先決なのかなとは思います。ただ、今の感じで言いますと、恐らく臨時国会の召集も、報道によりますと10月の後半になるということになりますと、参議院選挙からも3カ月ですね。この間、もちろん外交を中心に、いろいろな国政の活動はしっかりされてきてるとは思いますが、例えば、物価高騰対策を含む経済対策であったり、地方として求めています地方創生施策であったり、あるいは防災体制の強化であったり、さらには野党との関係でいえば、暫定税率の扱いであったり、こういった積み残しのある政治資金の問題も含めて、懸案となって、今、方向が必ずしも十分に定まっていない課題が山積しておりますから、そこを早く捌いていっていただきたい。具体的に前に進むようにしていただきたいというのが、私の希望でありますし、物価高騰の関係は特に大変、国民の皆さん全般からも早い対策をというお声が強いところだと思いますから、その点は速やかに成案を得て、かつ今回、今の状況ですと与野党の合意、一定の合意がないと現実に通らないということですから、そうしたプロセスをしっかりと踏んで、早く現実を動かしていく。前進をしていくという形での体制の構築なり、具体的な対策の進捗を期待したいと思っています。
自民党総裁選で期待することについて
(栗原・時事通信社記者)
これに関連して、自民党総裁選が実施されることになりますけど、知事が注目されることや、新総裁に期待することはありますでしょうか。
(知事)
今回は、参議院選挙の結果も踏まえて石破総裁が退陣されることを受けての総裁選だと思います。いずれ、国政の、自民党の党首を決める選挙ですから、あまり私がこの場で、この立場で立ち入ったことを申し上げるのは差し控えたいと思います。ただ、いずれにしましても、今までの総裁選挙と背景となる事情が変わっているのが衆参とも、いわゆる少数与党という状況の中で、これをどういう形で実際に政策決定して、実行できる体制にしていけるのかが、恐らく政策の中身もさることながら、体制をどう構築していくのかが大きな論点ではないかと思います。
そうした意味で、そうした点も含めた議論を自民党の中でしっかりとしていただいて、結果、先ほど申しましたように、早く野党各党も含めて、各党・各会派で実りのある形で協議が整えられるような形での折衝と言いますか、それができるような環境をつくって、現実に施策を現状維持だけでなく、新しい施策を立案、決定して、前に進んでいけるというところを、どういう形で作っていくのかというところの展望を語っていただき、また明らかにしていただくということが、一番、国民の皆さんが期待をしておられるところではないかなと思っております。
高知ユナイテッドSCについて
(栗原・時事通信社記者)
高知ユナイテッドの話です。高知ユナイテッドの監督が7月には休養し、ヘッドコーチも辞められました。県は少なからざる税金を、今年度の予算で出している以上、高知ユナイテッドに対して思われることなどありますでしょうか。
(知事)
今回、ヘッドコーチが辞任をされると。その理由が、いわゆるパワハラの疑惑があった中で、いろいろ調査を行って調整が行われているが、2カ月あまり経った中でなかなか事態が動く展望が見えないということで辞職をされたということは、大変残念でありますし、この今の状態というのは、今お話のあったように、本県としてはかなり有力な出資者の一員となっておりますから、その立場で見ても大変残念だし遺憾な状態だと思っています。
状況については報告を受けておりますが、あまり現時点で細かなところについて申し上げるのは差し控えますが、第三者によります特別調査委員会は、できるだけ早く結論を出してもらうということで、いわば簡便な形で組織をされて、お聞きしたところでは事実関係についての整理は、先月の半ばぐらいには大体ついていると伺っています。 それを踏まえた上で関係者の責任、どう対処していくかの調整に時間を要しているという報告を受けております。私としましては、先般の報道を受けまして、県民の立場に立ちましても、できるだけ早く決着を付けて、まだシーズン中なわけですから、当面どうしていくのかというところを、早く整理してもらいたいとお願いしております。お話がありましたように、今回の予算では県民からのクラウドファンディングを踏まえて、それと同額の県の財源を加えて出資を追加でしていこうということで、県民から2,000万円を超えるクラウドファンディングの寄附をいただいています。早くそれが気持ちよく執行できる状態にしていただきたいと。
今のような状況ではできないんじゃないかということも含めて、早く方向性を明らかにしてもらいたいと、担当課を通じて、法人には申し入れているところであります。
県立施設運営活性化懇談会について①
(谷川・高知新聞社記者)
有識者からなる懇談会の部分で、いくつか教えてほしいですけれども、一つ確認なんですけど、この一応想定しているメンバーは、先ほど知事おっしゃったように、民間の企業経営者という名前が出てきましたけど、他に例えば、文化行政にお詳しい有識者とか、そういった方々を入れられる、どういった方々を、まず、入れられる予定で。
(知事)
具体的には正直、今からというところでありますが、ある属性の方々ばっかりには、この類の組織ですから、しない、ならないと思います。いわゆる研究者などの学識者であったり、民間企業で経営の実務をされていて、特にこの集客施設のあり方について、一家言をお持ちであったり実体験をされておったりという方が想定されると思います。場合によってはもう少し視野を広くして、こういった施設だけに限らず、民間企業の経営とか経営改革とか、そういったもの全般に視野を広げて、的確なアドバイスをいただけそうな方を、これは、まだ人選も途上でありますので、そういった方々を探し探し広げていく側面もあるというところも含めて、今、検討中ということでご理解いただきたいと思います。
県立施設運営活性化懇談会について②
(谷川・高知新聞社記者)
外郭団体の見直しあり方の知事の思いの中で、民間がやっていることは当たり前にやっていこうよと、現状の指定管理業務は当然やりながらも、プラスアルファの事業をやっていきましょうということだと思うんですけれども、それを踏まえた上で、今回、懇談会を立ち上げるに至った、その背景と、それから狙いを改めて教えてほしいのと、それをいつ設立する予定で、具体的にどのように団体を支援していくのかというところを教えてください。
(知事)
懇談会に関しましては、先ほど申し上げましたように、わざわざ県と別の団体に指定管理をお願いするわけですから、県の職員の延長ないし、全く同じ発想でやるだけでは目的が達せられないと思います。
そうした意味で、民間の自由な発想、創意工夫、こういったものをできるだけ生かした新しいサービスを展開してもらいたいと。ただ、今まで御紙にも報道がありましたが、関係者のご意見をお聞きしていますと、なかなか今の時点で知恵がないと、思いつくことはやっているが限界があるというご意見もあり、特に県職員、OBの方々の感覚だとそういう部分はやむを得ないというんですか、無理があるかなというところもありますので、少し目線を変えて、広い視野でアドバイスをいただいて、サポートしていくということでないと、儲かったお金、上がったお金を使う方の自由の方は決めてしまえばいいんだと思いますが、そこをどう稼いでいくかが、民間の事業者さんも大変苦労されておるわけですから、そこの部分、要は公務員的には不得手な部分でありますから、そこを、特に民間の知恵がある方々のお力をお借りしたい。それも、これは言い出しっぺは県でありますから、県でこうした懇談会的な組織をつくって関係の団体との間のつなぎをして、この新しい事業展開というんですか、プラスアルファの事業展開というところのヒントを得ていただくところのサポートをしたい意図であります。
県立施設の運営に係る自律性向上に関する計画について①
(谷川・高知新聞社記者)
その中で、自律性向上計画の策定というところが出てきたと思うんです。各団体に策定してもらうということでよろしいでしょうか。
(知事)
自律性向上と言いながら団体策定を求めるというのも、やや矛盾が感じないわけではありませんが、今まであまりそういうマインドで物事を考えてこられてなかったということだと思いますので、そこは、やはり出だしのところは、少なくとも各団体に自分たちでやっていただくということでありますから、考えていただく、ただ、その際に具体的にどういうことをしたらいいかというところの知恵出しをお手伝いをしていくということではないかと思っています。
県立施設の運営に係る自律性向上に関する計画について②
(谷川・高知新聞社記者)
その計画で具体的に定めてもらうものというのは、例えば、収益を上げるために具体的にやることを書いていくと、そういったイメージでしょうか。
(知事)
収益を上げるためというと、またお叱りを受けるかもしれませんが、そういった新しい付加価値、高い付加価値のサービスとして、例えば、このような事業を、団体としてこういう形でやっていったらどうかとかいうところの、例えば、アイデアであったり、そうしたものとか、場合によっては、他の施設とか他県とかでもこういった取り組みがあって、これはヒントになるのではないかというようなことを参考に、具体的にこんなことをやってみようということを候補を上げていただくというようなイメージなのかなというふうに思っております。
県立施設の利用料について
(尾﨑・テレビ高知記者)
文化施設の利用料についてなんですけれども、知事、結構値上げの話を今日されていたと思うんですけど、それは値上げ前提の改革なのか、それとも選択肢の一つとして、収益を上げるために値上げの意向があるのかというところと合わせまして、値上げの必要性についてどうお考えかお願いします。
(知事)
これは、問題がいろいろ絡まると思います、一般論としてでは、今の、この物価高騰の状況でありますので、賃金も上げていかないといけないということでありますから、方向性としては、大なり小なりかかってきたコストを転嫁をしていく、そういう意味での値上げというのは、実質的な意味も含めての値上げというのは、これは、この県立の文化施設に限らず、およそあらゆるサービスが、もう避けて通れない状況になっていると思いますし、経済全般として賃上げをベースにして、それをスムーズに価格に転嫁ができるということを実現をしていくということがないと、今の日本経済はうまく回らないということは、ほぼ共通認識だと思いますから、そういった意味での価格の改定値上げというのは、考えていかざるを得ないということだと思います。
ただ、今の社会状況を別にした、今回の狙っている趣旨としましては、もちろん実質的には値上げということにはなりますけれども、サービスの値打ち自身が、中身自身がより質の高いものであったり、新しいものであったり、それは利用者の方々、県民の方々のニーズを、いわば創造力を働かせて読み取って、こんなサービスあればいいよねというところを、具体化をして、そして、その際には、値上げなり何らかの追加的な負担ということは伴うと思いますが、それでも、利用者の方々に、こういう新しいサービス、素晴らしいサービスが受けられるなら値打ちがあるよねと、思っていただくというのが、これが高付加価値型の経済を目指していくという姿だと思いますから、県立施設も限定的とはいえ、料金をいただいて対価としてサービスを提供しているわけですから、そういった形で利用者の方々に、いってみれば、ちょっと悔しいけど高いお金を払ってでも、これは欲しいからこれは購入をすると思ってもらえるようなサービスを生み出していくということを、期待をしたいというふうに思っております。
県民の文化の享受について
(井手上・高知放送記者)
先ほどの値上げに関してですけれども、博物館法という法律では、公立の博物館は入館料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない。ただし、博物館の維持、運営のためにやむを得ない事情がある場合は、必要な対価を徴収することができると第26条で定めています。
所得の差によって、貧富の差によって、文化の差が生まれてはいけないというところが理由になってのこの法律だというふうに認識していますけれども、この値上げなども含めて収益化を高めていくという提案ではありますが、文化を享受していくっていうところは、県としてどのように県民に担保していきますか。
(知事)
おっしゃったような博物館法に定められた趣旨の部分は、先ほど申しましたように、基本部分については管理代行の委託料というのをお支払いをして、一般的に物価が世間に伴って上がっていくような賃金上昇の部分は、公務員の賃金にも反映されますので、そうしたものは連動をして、この委託料も増額をするということで反映をしていくということであります。
ただ、一般的な物価上昇でいえば、これも最後はケースバイケースの判断でありますが、他の状況が変わらなければ、例えば、昨年お願いをした県立施設の使用料改定も、今まで例えば、3割は使用料でいただいていた、7割は県の財源から税金で負担をしていたという状況であれば、これが物価上昇に伴って、やはり7:3の比率で負担をしていただくとすれば、使用料も相応の値上げ改定は、これはお願いをせざるを得ないということでやっていましたから、そういった部分というのは、これはもう物価上昇に伴う調整ですからお許しをいただかないといけないというふうに思います。
今回はいわば、そうした規定演技の部分に留まらず一種の自由演技として、せっかくこれだけの施設を県の財源で数十億、あるいはそれ以上かけて整備をしているわけでありますから、そこで、いわば博物館が法律の制度として、ミニマムで想定しているような発見とか気づきを上回るような感動、喜び、癒し、そうしたものを与えられるサービスを、いろいろ模索をして考えていただけないかなと。そうしたところのプラスアルファの自由演技の部分の価値というのを、利用者の方々の胸に届いて、これならもっとお金を出しても値すると思っていただく。そういうことを目指していきたいというふうに思っていまして、そういう努力というのは、ある意味、高知県の経済、日本の経済全体を元気にしていく、強くしていく面で、今、社会全体として必要な要素ではないかと。そういうことにチャレンジをしていくというところが日本経済全体として、今はかつてに比べて弱くなっているんではないかという思いは私持っておりますから、そういった文脈の中で、文化というのもただでは私はできないと思っていますし、文化で稼ぐ収益主義になってしまうというのは問題だというのはおっしゃるとおりで、そこは特に県民の皆さんに適正な、手ごろな対価で良質な文化を楽しんでいただく、そこの環境づくりは県の仕事だと思っておりますが、いわば、そこは、少し超えるところで、自主的にせっかく今持っているポジションを使って付加的なサービスというものにも挑戦をしてもらいたいというのが、私の今の思いであります。
合区の問題点を議論する研究会について
(井上・高知新聞社記者)
今回の議案とは関係ないんですけれども、全国知事会の話です。新会長に就任した阿部知事が参院選の合区問題に関する研究会を、全国知事会として立ち上げるという意向を表明しました。合区対象県の高知県として、高知県の濵田知事として、この研究会にどのように関わっていきたいか。また、それがどのような議論を全国知事会として展開してほしいか、その辺りをお聞かせください。
(知事)
研究会、具体的にどういった形で運営をするかという話は、まだ、具体的なご相談は受けておりませんので、そこは今からでありますけれども、一つは、私は全国知事会という47県の知事が集まる会の要は総意として、この合区の問題しっかり問題意識をすり合わせて対応を取っていこうという体制を取っていただけるということは大変うれしいことだと思いますし、委員への参加とか、あるいはヒアリングへの出席等々、そういった形で研究会の運営上、必要だというお話がありましたら喜んで協力をしたいと思いますし、こちらから申し出てでも、いろいろな意見表明はさせていただきたいと思います。
恐らく背景として、今回、阿部会長が打ち出されたのは、まもなく、次の国勢調査の結果も出てきます。そうしますと、参議院の選挙区の方の次なる定数是正をどうしていくかという問題が、これは現実の政治過程に遠からず上がらざるを得ないと。そうした時に、今までの形ではないような飛び地であったり、大と小の選挙区の合併であったりと、あるいは、合区をしても、定数の総定数は減らないのに合区をせざるを得ないケースが出るんじゃないかと。今までの4県の合区とはまた違うパターンの現象が生じてくるんではないかということが、いろいろ想定をされているという中にありますので、そこは今までよりも視野を広げて、あるいは政党関係者への働きかけというところも含めて、活動を強化していくための理論武装も含めて、作戦を練っていくところの知恵袋としても期待をされているんじゃないかというふうに思いますので、我々としては、そういう形で合区の解消という方向に向けての一種の、一つの核となる組織になり得る組織を考えていただけるということだと思いますので、全面的に協力をし、盛り立てて、この合区の解消、早期解消というところにつなげていければというふうに思っております。
県立施設における文化と収益の考え方について①
(加治屋・高知新聞社記者)
先ほどRKCの井手上さんもおっしゃっていたことに関連するんですけれども、博物館法であったりユネスコの規定であったりっていうことに関して、博物館というのは利益を求めない施設だというふうに謳っております。学芸員さんもそもそも文化施設は儲けを出すところではないという認識に立って、今回の公募に、知事の公募方針に対して反対を持っているところも大きいんですけれども、高付加価値を付けるとはいえ、儲けを出していくという知事の方針と、学芸員さんの考えに対極にあると思うんですけれども、そこの点についてどうお考えなのかを、もう一度教えていただけますでしょうか。
(知事)
これは儲けという言葉は、少し違った意味で使われているというところはあると思います。売り上げに対して原価があって、そこの差額がないと、例えば、賃金を上げていこうとか、ボーナスを増やしていこうというところのお金が出てこないわけですね。そういう意味の差額を出していくという努力はしないと、職員の処遇を上げていくとか、あるいは文化をまさしく広げていくために、無料で啓発をするような事業に充てていくというようなお金が出てこないということだと思います。その努力はしていかないといけないということだと思います。
そうした収入に対して必要な学芸員さんの人件費も含めたコストを積み上げていって、それでも純粋に出る利益というのはあり得ると思います。これはすごい当たった映画とか本とかなれば、いわゆる本当の儲けが出てくる。これは、もう株式会社でいえば、皆で山分けをする世界で、文化で求めているのは、そういう世界を本来求めているのではないということを私は言われているんだと思います。お金がある人が、資本家が、大金持ちが出資をして、何か当たる映画をつくって、すごい儲かって、出資に応じてそれを山分けすると。そういう姿は、博物館法が目指す文化の姿では、私はないと思いますので、そういうものを目指すつもりは私はないということでございます。
ただ、その文化をやるにも学芸員さんはお金がなくても生活しろというわけにはいきませんですよね。やっぱり生活のためのお金はいるわけだし、最低限施設を運営すればさまざまな必要経費があります、施設維持管理とか。そういったものはしっかり、収入は確保しないと持続可能でないわけですから、そういうものを確保をし、また追加的に必要な、運営のために必要なものは、財源の裏付けを取っていくという意味での収支の差額というものは追及をしていかないと、私は必要な文化を持続していくことができないと思っていますから、その努力はやっぱりしていかないといけない。
それを越えて、じゃんじゃん儲けてみんなで山分けしようと、そういうような儲けとか収益主義というのは、私は、それはもう実際の仕事ではないと思っていますから、実際の仕事として考えているのは、ただ今申し上げた持続可能な、かつ県民の皆さんの満足度を上げていくという範囲での必要な財源を確保していくと、そこの部分は、これはやらないと、しかし、物価も上がってきますから、立ち枯れてはいけないという、そういう面での努力をしていかないといけないという趣旨で申し上げております。
県立施設における文化と収益の考え方について②
(加治屋・高知新聞社記者)
もう1点だけ教えてください。学芸員さんに、ちょっと教えてもらったことがあって、僕の理想は宮崎県の総合博物館だというような学芸員さんがいらっしゃいました。というのは、常設展は無料で、企画展だけ料金を収入するというような運営をされていて、実際に取材をしてみたところ実際にそうで、県立の美術館でだったりというのも、常設展は無料というふうにおっしゃっていました。それは、なぜかというと、文化を広く宮城県の県民に享受してもらうための施策としてやっているというふうにおっしゃっていました。先ほど知事もおっしゃられた、儲けというか、高付加価値を出して還元していくというような考えも、もちろんあるとは思うんですけれども、そういった博物館法に準じた県立施設を無料にしていくというような考えは、やっぱりないでしょうか。
(知事)
これも一律で、なべてそうするというのは、率直なかなか難しいと思いますが、そういうことが必要な範囲がどこまでなのかというところの議論というのはあり得るんだと思います。無料無料とおっしゃいますが、それはやっぱり税金で支えているわけです。県とか市町村である施設である以上は、お金がどこかから湧いて出るわけじゃありませんから、それは県民皆さんで負担していただいている、企業も含めてです。そういう部分は、もちろん所得にかかわらず、文化の恵みというのを均てん化をするために、もちろん必要だと思いますが、それのために、ある意味限られた財源でありますから、福祉であったり教育であったり、あるいは公共投資であったり、いろいろ県民の皆さんの県、市町村の行政のご要望もあるわけです。
そうした中で、文化芸術にこれぐらいのお金を充当できる、できないという判断は最終的にはしていかざるを得ないことでありますから、タダといいながら、県民のご負担でということですから、そこが折り合いどころとして、どこまで県民の皆さんのコンセンサスとして許容いただけるかというところを、私どもは知事として、あるいは議会として判断を迫られているということではないかと思います。
県立施設の管理運営における自律性の考え方について
(中田・高知民報記者)
指定管理ですけれども、山内の方針転換といいますか、それを拝見すると、要はコア部分、資料の学芸部分の研究も含めて、博物館のコア部分は直営にすると、民間委託ですけれども直営にするということで、それはまっとうな方向だと僕も思いますけれども、そうすると、逆にそれが自律性向上団体なるものに値するのかというか、主要な部分は直営で、館の管理とか恒常的とは言いませんけど、ちょっと付帯的な部分を公募にするというので、最初の出発点の学芸員の処遇改善みたいな話が、成り立つのかなっていうのがちょっと疑問にも感じたのですがいかがですか。
(知事)
山口県の人権博物館ですか。
(中田・高知民報記者)
山内の城博は、今回、コア部分を直営にするじゃないですか。それが自律性向上団体というものと矛盾しませんかという、処遇改善が、直営の部分が処遇改善とかならないのですっていう。
(知事)
山内財団の話。公募にしますので、可能性としては山内財団がなる可能性、そうでない可能性あるんだと思いますが、そうなると山内財団が引き続き直営部分というか、公募部分も取られる可能性はあると思いますので、そうなりますと、そこに自律性向上の努力をお願いをするというのが県の立場になりますから、そうした場合には、具体的にどういう手段を取って、高付加価値サービスやっていくのかというところのご努力をお願いをしていくということになろうかと思います。
そういった意味では、山内財団が公募で選定をされた場合は出てくると思いますし、そうでなくて全くの民間の団体が取られることも可能性としてはあり得ると思いますが、その場合は、その民間団体が既に自分たちがノウハウあるからいいよと言われれば、今回の懇談会に参加いただくのかどうか、無理にいただかなくてもいいのかもしれませんが、そこはいずれ話し合いの問題だと思いますが。
(中田・高知民報記者)
山内財団には直営で資料管理とか学芸員さんの部分はお任せするわけですよね、県の責任において。
(知事)
直営の部門、直営か指定管理かといえば直営になるわけですね。
(中田・高知民報記者)
その部分を、例えば民間会社が取って収益上げますって言って、山内財団がその処遇改善をするんですか、その収益で。
(知事)
その部分っていうのはどういう、公募にかかる部分ということですか。
県民体育館について①
(中田・高知民報記者)
すみません。僕の聞き方が悪かったと思います。そこは矛盾しているのではないかというふうに思いましたので質問しましたけれども、あとでいいです。
ちょっと話変わりますけれども、県民体育館の話です。県民体育館は、今、今年度中に計画まとめる言うて、今、やっていますけれども、その時に、前回の会で「アスパル」の土地を、いうたらごっそり使うような案が既にもう出されていて、運動場をこれは使いますと、ここに体育館建てますみたいな話が、会の場にポンチ絵になって出てきて、そこに市教委の人が来て、要は困ると、不登校児の支援がそこを使っている土地なのだから、そんな土地もグランドもなくしてもらったら困りますみたいな、そんな話をされておりました。非常に、今、子どもたちが使っている、特に不登校で配慮が必要な子どもたちのその土地を、高知市側の了承も得ない段階で、もう早や会に、こんなのになります言うて出してやっているんです。非常に乱暴な印象を受けたんですが、そういうやり方は是としますか。
(知事)
元々ですね、県民体育館現有地で建て替えという方針を決めた際には、高知市にも下話はさせていただいて、そこのどの程度かは別にして、青年センターの運動場もある程度必要なら利用させていただくということの相談をさせていただけますかということは確認をし、それについては、ご相談には応じますというお返事もいただいた。それでは現有地でかなりの面積確保をできる可能性は担保できたということで、現有地という判断をしたわけであります。
今回、お話があったように検討会の中で、運動場をほぼ全体を借り受けするというのも、三つぐらいあるうちの一つの選択肢としてお示しをしたということだと思います。私が聞いておりますのは、あそこの利用者の、運動するためのスペースとしては必要なので、もし、そういう形で建物を建てるとすれば、例えば、屋上部分は人工芝か何かになるか分かりませんけれども、その屋上で運動ができるような環境をつくるとか、例えばそういうような形で利用者が運動ができるスペースを確保してもらうというようなことは、考えていただかないと厳しいですねといいますか、そういうことを考えていただけるのであれば、逆にご相談に応じる余地はないわけではないというような反応を、私は受けたと報告を受けております。いずれにしても、例えば、半分使わせていただいて、残り半分で足りるのならそれでよしとか、いろいろなそこはまだバリエーションがある話だと思いますので、具体的な対応は、今後、高知市とのご相談という問題だと思っております。
県民体育館について②
(中田・高知民報記者)
この間、市教委から明確に主張されたのは、土のグランドは半分は絶対必要ですということを言いました。半分は、体育館のさっき知事がおっしゃられたような屋上みたいなのも仕方ないけど、子どもにとっては土のグランドはどうしても必要だから、半分は残してくださいっていうことを、会の場で条件としますみたいな話をされておりましてけれども、それは、だから市教委の尊重、意向は当然尊重していくということでよろしいですか。
(知事)
地主は高知市さんですから、高知市さんが「うん」と言わない計画はできないと思っていますので、我々の方の事情として、その後の進展として武道館も集約化の方向で考えるべきではないかという論点も出てきていまして、その分の面積も事前に考えていたよりは、大きなものが必要かもしれないという可能性も、今、考えている段階であります。ここは今後の話し合いで、合意をさせていただいた範囲内で絵を描いていくことだと思っております。
時間外勤務について
(中田・高知民報記者)
最後になります。時間外の150%です。それもまっとうな方向かと思いますけれども、管理職の意識が問題というところに、ちょっと話が矮小化されているような印象を受けまして、本来は仕事の量に対して人員が足りていないということが本質的問題であって、管理職の心がけに矮小化されるのは違うのではないかという反応が、県庁内でかなり聞こえますけれどもいかがですか。
(知事)
もちろん、管理職だけではないと思いますし、最終的には仕事の分量と業務量だったり、範囲が時間外と関連しているのは確かでありますから、私は仕事そのものの取捨選択であったり、やり方の抜本的な改革、やり方を変えていくということは不可欠だと思います。その際に、管理職の果たすべき、期待すべき役割は、それは大変大きいとは思っていて、そのことはそうだと思いますが、当然、管理職だけの話ではありません。やはり、先ほど申しました事前命令も建前としては分かるものの、現実に緊急の仕事があった時には事後承認になったりということは、ままあると思いますが、それの結果、やや運用がルーズになっている部分もあるのではないかと思います。
管理職、監督の地位にあるものも、そうではありますけれども、一般の職員も含めて時間内に必要な仕事は終えて、時間外となったら、例外的にやむを得ない時に、必要な範囲でやっていくんだというところの意識の改革そのものは、管理職に限らず、一般の職員も含めてやっていかないといけない、県庁全体としてやっていかないといけない問題だと考えており、キーになるのは、もちろん管理職ですという意味で申し上げているところであります。
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