公開日 2025年10月29日
1 新政権発足について①
2 新政権の政策について②
3 新政権の政策について③
4 政治とカネの問題について
5 県立病院の収支改善について
6 新政権への期待について
7 被災前の事前復興について
8 新政権の労働時間規制の緩和について
9 県立施設の指定管理公募について①
10 県立施設の指定管理公募について②
11 県立施設の指定管理公募について③
12 県立施設の指定管理公募について④
13 消防広域化について①
14 消防広域化について②
15 新県民体育館について
(司会)
 ただ今から知事記者会を始めます。まず、幹事社質問をお願いします。
新政権発足について① 
(齊藤・朝日新聞社記者)
 新政権について伺います。新政権、新しく就任された高市総理大臣に望むことを改めて聞かせてください。
(知事)
 さる10月21日の衆参両院本会議におきまして、女性では初となります高市内閣総理大臣が就任されまして、連立政権が正式に発足したということでございます。私の立場で、この高市新総理として新政権に望むこと、大きく三つございます。
 第1には、当面の物価高対策を含む経済対策、あるいは経済政策でございます。特に物価高騰対策は参議院選挙後3カ月約、事実上議論が止まっている段階でございますので、早速、経済対策、補正予算の総理からの指示が出たと承知しておりますが、迅速に検討いただき、国会での補正予算の早期の成立も図っていただきまして、特に地方に対しての交付金の増額といった方針も示されておりますが、自由度の高い形で地方が活用できる、そうした交付金の制度を整えていただければありがたいと思っております。
 また、当面の物価高騰対策もさることながら、将来的に中長期を見据えた経済の成長戦略も打ち出されています。この点が従来、中長期で見た場合に、率直に言って課題が残る部分であったのではないかと思っておりますので、この部分についても、勢力的な検討を行われまして、中長期的に持続可能な経済成長が実現できる、そうした日本経済を目指していくという明確な方向性が出されることを期待しております。
 そうした中で、当面ガソリンの暫定税率の問題も早急に決定をし、対応していくという方針だと承知しておりますが、従前から申し上げておりますとおり、地方財政にも大きな影響が生じることが懸念されますので、代替財源、財源の確保につきまして、一時しのぎではなくて、恒久的な財源措置をしっかり講じていただくことが、時間は限られておりますが、必要不可欠だと思いますので、その点を改めてお願いしたいと思っております。
 大きな2点目は、石破政権が進めてこられました地方創生などの施策の継承・発展であります。人口減少対策、防災庁の新設といった地方にとっては極めて重要な政策を、石破政権が進めてこられておりますので、これについて、ぜひ継承と発展を図っていただきたいと考えます。今回の連立政権の政権合意におきましては、人口減少対策本部、これは仮称のようですが、これを政府において新設する、あるいは副首都構想の推進ということが合意をされております。
 また、防災庁設置の方針も堅持をすると総理も言っております。こうした形で、特に人口減少対策につきましては、新しい本部体制もつくって、また副首都構想という形で、国土政策と絡める形で人口減少対策を考えていこうという視点は、これは望ましい、あるべき方向だと思っておりますが、一面、この副首都という話だけに留まりますと、東京一極集中の是正にはなるかもしれないが、極端な話、東京と大阪、東京と大都市圏だけの機能のやり取りということになってしまっては、地方創生を考えました時に、効果は極めて限定的になると思いますので、全国的な、いわば地方も含めた、そうしたところでの、大都市機能の地方分散というところまで踏み込んでいただきたいと思いますし、こういった点から考えますと、本件の実情を熟知しておられます尾﨑正直衆議院議員、前知事が政権の要路、官房副長官を占めておられるということは、大変心強い思いでありまして、ぜひ、尾﨑副長官にも、このような観点からもご活躍をいただきたいと思っています。
 大きな3点目が、政治姿勢の問題、政治全般のあり方の問題であります。昨年来の少数与党体制で、ここのところ1年間ほどの国政は与野党が対立をする、各論で対立をする問題については、なかなか改革が進まないという意味での、停滞する政治が続いてきているのではないかと考えます。政治資金の問題がその最たるものだと思います。
 今回、参議院選挙後3カ月を経まして、新しい体制もできました。これ以上の政治空白は許されないということだと思いますので、山積しております重要課題につきまして、与野党間で真摯に議論を重ねていただきまして、今回、高市新総理は「決断と前進の内閣」だと言われていますが、まさしく「前進」を結果として実現していくような、国政が具体的に前に進むような体制で、あるいは決断の下に内閣の運営を進めていただくと、政権の運営を進めていただくことを強くお願いしたいと考えています。以上です。
新政権の政策について② 
(齊藤・朝日新聞社記者)
 2点目ですが、先ほどの二つ目の望むことでおっしゃった人口減少対策について、連立政権の合意書の中でも、人口減少対策と絡めて外国人政策ですとか、地方の医療・介護サービスの制度設計、大学の数や適正化などが触れられていましたけれど、どのように受け止められておられるでしょうか。
(知事)
 先ほど申しましたように、連立政権合意では新しく人口減少対策本部を立ち上げて、いわば国土政策的な観点も含めて取り組もうということは、大いに期待できる方向だと思っています。ただ、先ほど申し上げましたように、副首都構想も多極分散型の国土の形成を目指すという意味では、大きなきっかけ、突破口になり得ると思いますが、大都市間だけでの機能の移動に終わってしまっては、全国的な地方創生にまで至らないという懸念もありますので、そういったことにならないように、オールジャパン・全国という視点で見た時に大都市機能が分散をしていくと。地方部が残されることがない形で進めていただくことが、大事ではないかと思っています。
 個々に論点としてお話がありました、大学の数や規模の適正化に関しましても、今からますます少子化が進むという中で、やはり地方部に若者の定着強化を図っていくという観点から、地方部で大学の定員がしっかりと確保されることが大事だと思いますので、そういう観点で、大学数や規模の適正化という問題にあたっていただきたいという思いを持っておりますし、外国人政策につきましても、いわば、秩序ある受け入れを図るためのルールづくりという方向性は、私としても賛成でありますが、特に高知県のような地方部を考えますと、現実の即戦力として、外国人材に活躍いただくということがありませんと、人口減少の克服は大変難しいと思っておりますので、外国人の受け入れについて数値目標を設定するという議論もあるようでございますが、この水準次第によっては、高知県のような地方部の地方創生を進めるについて、支障を生じかねないという心配もございますので、そういったことにならないような形で、丁寧な議論をいただければと思います。
 さらに、社会保障の関係で申しますと、医療・介護提供体制の適正規模を追求していく、人口減少下での適正規模を追求していく。このこと自身は重要な論点だと思いますが、本県のように中山間地域を多く抱える地方部におきましても、必要な医療・介護の提供体制が維持・確保されるということが、これも肝要だと思っておりますので、こういう点もお忘れなくということで申し上げたいと思っております。以上です。
新政権の政策について③
(齊藤・朝日新聞社記者)
 最後にもう1点、やはり連立合意の中で議員定数の削減について言及されていますが、地方に対する影響も考えられます。どのように考えておられるでしょうか。
(知事)
 お話がありましたように、連立政権合意におきまして、特に日本維新の会のこだわりということで、衆議院の定数削減につきまして、1割を目標に削減をするために臨時国会に議員立法を提出し、成立を目指すという方針が、連立政権合意書で明記されました。
 仮にこの削減が比例代表で行われる場合、どちらかと言いますと、今こちらが想定されていると報道もされておりますが、その場合は、いわゆる少数意見の反映がされにくくなることが懸念されます。仮に小選挙区での定数削減もということになりました場合は、現状、この衆議院の選挙区の定数配分は、いわゆるアダムス方式と言われる方式で、人口の関連比例よりは地方に厚い配分になっていますから、ここが減ってくることになると、地方の声が届きにくくなる懸念が生じるのではないかと心配しております。
 いずれにいたしましても、議員定数を大幅に削減ということにつきましては、趣旨としては政治家が自らの身を切る改革を断行するんだという趣旨だろうとは思いますが、こうした形での大幅削減をするとなりますと、少数派の党派、地域ということで言いますと、人口集積の少ない本県のような地方部の地域、こういったところの意見が、結果的に国政に反映されにくくなることが懸念されるというのが最大の問題ではないかと考えています。
 こうした議員定数を含めます選挙制度のあり方は、民主主義の基盤づくり、土俵づくりというべきものでありますから、これまでも各党各会派で時間をかけて議論をされてきた問題でもあると考えますので、国会の場で各党各会派で慎重に、今申し上げました懸念の点についても、参酌いただいて慎重に議論をしていただきたいと考えております。
(司会)
 各社からの質問に移ります。質問のある方は挙手の上、社名とお名前を発言をいただいてから質問をお願いします。
政治とカネの問題について
(井上・高知新聞社記者)
 先ほどの幹事社質問にも関連するんですが、今回、自民党と日本維新の会による新しい連立政権が発足しましたが、一方で公明党が長い連立という枠組みから離脱しました。その背景には、自民党が政治と金の問題への対応、これが不十分だということが理由に挙げています。実際、自民党派閥裏金事件に関連した国会議員を要職に登用したり、また、日本維新の会との連立合意書を見ると、企業・団体献金廃止をめぐっても、結論を先送りするような内容となっています。こうした政治と金の問題への対応について、知事の所感を伺います。
(知事)
 いわゆる政治と金の問題は、特にここ1、2年、いわゆる不記載の問題がありまして、これが昨年の衆議院議員選挙での少数与党への転落といった形で、与党を直撃したということ以来、今の国政にずっと影を落としている問題だと思います。やはり、政治資金の問題、政治とお金の問題というのは、政治に対する国民の信頼の基本をなす問題だと思っています。ただ、一方で各党各会派の政治活動の、いわば経済的な基盤という問題でもありますから、この点は各党各会派が、いわば虚心坦懐に真摯に話し合いをして、透明性の確保という問題も含めて、政治資金の制度のあり方の改革について、合意を得て実施をする。そのことで、いわば既成政党全体といいますか、既成の政治体制全般について信頼を回復するということが、私はここ1、2年、大きく求められている課題ではないかと思っています。
 そこがある意味、不徹底、不十分という印象を国民に与えてしまっていることが、先の参議院選挙でも既成政党でない、比較的新興の政党に国民の支持が流れたことの原因ではないか思っていますので、それぞれの中身については、もちろんございますが、私は基本的には政治資金の問題は、極力禁止とかいうことではなくて、透明性を高めていくことが目指すべき方向ではないかという自論は持っておりますが、それにしましても、与野党様々な意見がございます。そこを何とかすり合わせて、今回の不記載の問題の、一つの決着、制度改正という面でも再発防止策ということを、やはりこれは与野党を通じた問題として、図っていくことがぜひとも必要だと思っていますので、その点の努力は、恐らく通常国会以降になろうかと思いますが、その点はぜひ与野党を通じての課題として、しっかりと対応をしていただきたいという思いでおります。
県立病院の収支改善について
(井上・高知新聞社記者)
 もう1問、ちょっと話題は変わるんですけども、県立病院の経常収支の赤字についてお伺いいたします。2024年度の病院事業会計決算では、県立あき総合病院と幡多けんみん病院の合わせた経常収支が11億9300万円の赤字となりました。これは、前年度から9億円以上という大幅に拡大しているものであり、2病院体制となった2012年度以降、最大に赤字幅です。この要因とすれば、職員給与規模の増加であったり、医薬品など材料費の増加などが挙げられていますが、これは全国の自治体が経営する公立病院に共通する課題です。
 この先を見ても、なかなかこの支出の大幅減というのは、避けられないのではないかと考えられますが、どのように収支改善を図っていかれるでしょうか。
(知事)
 全国の公立病院、県立病院も含めて、ある意味、地域で採算が取りにくいけれども、地域医療にとって、ぜひ必要な機能を担っていく。その分、公的にも県なり市町村から負担金を繰入して、ルールに基づいて、負担金が入って上で経常黒字を目指していくというのが、あるべき姿だと思います。ここのところ、非常に厳しい経営状況になっておりますのは、一つはコロナ禍の中で空きベッドの補償で、かなり手厚い公的な支援が行われていたのがなくなったということ。これは減少面としては大きいと思いますし、これは私立の病院も含めた共通の課題、状況として近年の物価高、人件費、資材高という支出が増えていく一方で、収入の方は診療報酬体系という公定価格でございますので、これが物価の上昇に追いついてきていないという構造的な問題。
 さらには、これは県立病院では影響は限定的かもしれませんが、本県も全体として高齢化がピークに近づきつつあると、人口減少もあって、需要面がものによっては減少し始めている。これは特に中山間地域の、県内の市町村立の病院でそうした傾向が出始めているということだと思います。
 こういった状況が複合的に影響して、昨今の大変厳しい経営状況になっているのではないかと思います。当面は私立の病院も含めて、医療全体の公定価格である診療報酬体系を年末にしっかりと改定していただくということと、総理自身も言われていますように、当面の対策として補正予算の対応も含めて、物価高の緊急対応、国の財政措置を講じていただく措置も必要ではないかと思っておりますが、より根本的には、今後まとめていきます新しい地域医療構想に基づきまして、これも市町村立の病院も含めて県内の公立病院、それぞれ、いわば税金を投入してでも守らなければいけない機能は何かということを改めて、はっきりと明確化した上で経営効率化の努力もしていくし、必要な役割分担といったことも考えていく対応が必要になるのではないかと思っています。
新政権への期待について
(古谷・読売新聞社記者)
 新首相への期待というところでお伺いしたいんです。知事から先ほど防災庁の件がお話ありましたが、就任の会見でも、防災庁に関してはかなり前向きなご発言もあったと思うんです。これまで、知事として、分室の設置とかいろいろ要望もされてらっしゃったと思うんですが、今後への期待感、あるいは要望、働きかけをどのようにされるかということをお伺いしたいと思います。
(知事)
 今回、政権も変わったということもありますので、改めて状況をよく注視した上で、必要な働きかけはしてまいります。基本は、古谷記者からお話がありましたように、石破内閣が進めてきた防災庁の新設という取り組みは、新内閣でも引き継いでいく、創設準備の閣僚も指名されているということでありますから、今までの議論を踏まえた上で、防災庁の設置に向けて、いろいろな取り組みが進んでいくと思っています。
 そうした中で、先般は、これにも関連いたしますが、いわゆるプッシュ型の物資支援の備蓄倉庫、これを内閣府、国として分散備蓄するという倉庫を、四国では本県で整備するということで、協定の締結も行ってまいりました。今、一番目の目標、提言としては、事前復興の機能を本県が全国に先駆けてチャレンジしているということでありますから、この担当の部署をぜひ県内に設置いただけないかという点。それから、研究開発機能、資源研究機能、さらには地方支分部局の県内誘致を提言しております。引き続き提言活動もしっかりと行いまして、必要であれば必要な追加的な働きかけもやって、できる限りの成果につなげていきたいという思いでございます。特に防災庁の設置で、避難所環境の整備というのが、実際課題としては大きなポイントではないかと思います。こうした点について、先般、南海トラフ地震関係の10県の共同の提言活動も行ってまいりました。当面の課題としては、補正予算の中で避難環境の整備の、昨年、臨時で1年限りで設けられた地方創生交付金の防災対策の分、これをぜひ恒久化してもらいたいという提言をしております。補正予算の計上ないし、今後引き続き制度化をしていただくことについて、当面はこの問題を中心に、ないしは、国土強靭化の新しい実施中期計画の初年度になる計画を作るタイミングに補正予算がなってまいりますので、今後の国土強靭化の5カ年の計画の、事業費レベルのベースになるところができるということでありますから、その辺りの予算確保を提言、先立ってしてまいりましたが、改めて、内閣の状況も注視いたしまして、この2点を中心に防災庁の創設、そして国土強靭化の断行につきまして、働きかけをしっかりとしてまいりたいと思っております。
被災前の事前復興について
(古谷・読売新聞社記者)
 新首相の就任の会見では、事前防災という言葉がありましたが、事前復興には直接触れてなかったと思うんです。先ほど、知事おっしゃったように、高知県が先進的に取り組んでらっしゃる事前復興に関して、国から、こういうふうな支援を、今、分室というような話もありましたが、求めたいということは何かありますでしょうか。
(知事)
 事前復興という切り口は、ある意味ユニークな提言をさせていただいていると自負しておりますし、他の地方団体は、どちらかと言いますと地方支分部局であったり、災害時の、いわば代替的機能を持つような拠点をという提言が主であります。そういう意味では、一種毛色の変わったユニークな提言ですねという反応はいただいていると思っておりますし、私自身は、これ一種の広い意味でのまちづくりの人口減少対策ですね、先々を見ました時の、南海トラフのような大地震が起きても、一旦避難はしても必ずふるさとに帰ってきて、町の再建をしていくという意思を、あらかじめ住民の皆さんで確認をしておくということの意味は、非常に大きいと思います。このことを防災庁という形でぜひバックアップしていただきたいという気持ちもございます。そこの当否ないし成否は別としても、ぜひとも県として力を入れて、行っていかなければいけない取り組みだと思っております。
(古谷・読売新聞社記者)
 県として、新年度に中山間地域でもというような話、今年度ありましたが、さらに、これから県として強化をされる部分って何かお考えありますか。
(知事)
 ここは、先ほど申しましたように、人口減少化での持続可能な、まちづくりということを考えました時に、特に中山間地域で、いわゆるレッドゾーンと言われるような土砂災害の特別警戒区域で、今建物が建っていても、そこがつぶれてしまったら再建ができないという地域がたくさんあるわけであります。そうなった時には、じゃ何処に、町の重心を置くような再建プランを持っておくのかと、あるいは持ってないとすると、これは被災後に非常に再建に時間かかるということになります。そうした人口減少の中での持続可能なまちづくりという観点からも大事な取り組みだと思っておりますので、いろいろな意味で、やはり財政的に大きな負担になる部分は、国へ働きかけて国を動かしていくことは不可欠だと思います。そういったもの以外のマンパワーといいますか、技術的な支援、そういったものは、県でもしっかり汗かいていくという覚悟で取り組みたいと思っております。
新政権の労働時間規制の緩和について
(井手上・高知放送記者)
 新政権発足に関連して伺います。高市総理は総裁に選出された後の挨拶で、馬車馬のように働いていただきます。私自身も、ワークライフバランスという言葉を捨てますと発言し波紋が広がりました。
 さらに、自民党は、7月の参議院選挙で労働時間を延ばす方向の「働きたい改革」の推進を掲げていて、高市総理は、上野厚生労働大臣に現行の労働時間規制の緩和を検討するように指示しています。
 高知県が現在推進する働き方改革とは逆行する動きですが、知事はどう見ていますでしょうか。また、政府が今後、働きたい改革に舵を大きく切った場合、高知県の働き方改革も影響を受けるんでしょうか。
(知事)
 前段の高市総理の総裁就任時のコメントに関しましては、私自身は、先般の会見でも申し上げましたが、総務大臣時代にお仕えしていて、非常にワークライフバランスは大事にされる方だという印象を持っておりました。ご趣旨としては、あのような言葉は使われましたが、新内閣、この3カ月、参議院選挙後停滞をしていた国政をしっかり動かしていくと、スタートダッシュを、まさしく馬車馬のようなスタートダッシュを切るんだという意気込みを表現されたものではないかと受け止めております。
 やはり人間、サスティナブルに持続可能に仕事をしていくには、適切な休暇、休憩も入れていかなければ、パフォーマンス確保をできないというのは、機械でない人間であれば普通のことだと思いますので、そこまで否定された発言だとは思いません。そういう意味では、ご自身のスタートダッシュにかける思いを表現されたということではないかと思います。
 一方で、労働時間規制のあり方について、いわゆる働き方、働きたい改革の観点からの見直しの指示が行われたというのも承知をしております。
 これに関しましては、今からの検討だと思いますが、指示を受けられた上野厚生労働大臣ご自身も、この問題についてはいろいろな意見を踏まえて、十分に審議会で議論を深めていくべき課題だとおっしゃっていると承知しております。
 日本全体としては、私自身は、まだまだ、この長時間労働是正の方が大きな課題ではないかと思っておりますが、そうした中で、ただ個々人の選択の問題として、もっと働きたいという人には選択の自由を認めていいのではないかというのが、自民党からの問題提起だと思います。それはそれで分からないではないので、検討されていくというのは、そういうことなんだろうと思いますが、一方で、少なからぬ方々は、やはり長時間労働というベースがある中で、ご本人が働きたいと言った時に、そこで家事とか、家庭に割く時間を誰が代わりに担うのかという問題が、たちまち起きるのではないかというようなことを、ワーク・ライフバランスの小室社長もおっしゃっておりまして、それは、確かにそうじゃないかなと思っております。一方向に大きく振れた議論ではなく、双方のいろいろな意見に配慮をいただいて、十分に議論を深めていただくことが、大事ではないかと思っております。
県立施設の指定管理公募について①
(谷川・高知新聞社記者)
 公募についてお伺いします。先週14日に、県立文化施設、公社等外郭団体に関する議論をめぐってということで、知事は所感をホームページに公開されました。県議会とか記者会見などで、話された内容から大きく変わらない文章だったと思うんですが、秘書課からは、知事が改めて丁寧に説明をしたいんだという思いがあったというふうに伺っています。
 弊社の取材で、知事の所感を読んだ文化施設の方々の反応として、この県有施設に具体的にどんな役割を求めているのかとか、具体的にどんな課題があるのかを考えているのかっていうのが、それが全く見えなかったとか、文化を創り上げていって、継承していくことに誇りを持って働く職員の思いを理解してくれてないんじゃないかとか、そういった反応が聞かれました。
 知事は、丁寧に説明をしたいということで、今回の所感を出されて、つまり、理解をしていただきたいというふうに考えるのが一般的だと思うんですが、そういった思いがありながらも、この所感が学芸員とか、研究員に対して受け入れられていないような状況をどう受け止められているか、まず教えてください。
(知事)
 御社の取材でそういう方がおられたというのは事実なんだろうと思います。ただ、今回の改革は文化施設を狙い撃ちにしたということでは決してありません。県の施設の中で料金をいただいて運用している施設、あるいは地産外商公社のような形も含めて、事業収入がかなりの程度入ってくる公社等外郭団体について、経営の自律性を高めていただく。そして、県民のニーズを踏まえて、パフォーマンスを上げていただくという観点から、横ぐしを刺す改革として行ったものであります。
 その趣旨、考え方ないし、この過程でいただいたいろいろな疑問点、ご意見については、できる限り網羅をしてお答えしたつもりであります。
 ただ、もう御紙の報道を見ましても、ここから先は、個々の施設についてどう考えているんだというところが見えないという話でありますので、正直、知事としていろいろな行政分野を担当する中で、個々の分野まで全て担当職員と同じレベルの詳しさまで知って、同じレベルで対等で議論させていただくというのは、これはなかなか不可能な話だと思います。そういった意味では、これ以上、個々の施設について十分な説明がないと言われましても、ここの部分は、また別の形で補っていくということでないと、この議論の延長線として、全てご要望にお応えするのは、なかなか厳しいという感想を率直に言って持っております。
県立施設の指定管理公募について②
(谷川・高知新聞社記者)
 知事が直接行かずとも、所管課に、現場の施設の方に近い所管課に、それを知事が指示するとかいうこともできると思うんですけど、その辺はいかがですか。
(知事)
 その点はもちろん、今回の教訓、一つの反省点として、できる限り現場の方々といろいろなルートを通じて意思疎通をしていくことが、より望ましいことは確かだと思います。私自身、特に今期は若い方々といろいろな対話の機会を持つこともやっておりますので、そうした過程の中で、県立の施設に働く方々との対話の場面も、遠からず持てればという気持ちを持っておりますし、お話のあった関係部、担当課においても、いろいろな形で現場の方々のご意見、気持ちをしっかり受け止めて、より望ましい形で県民のニーズに答える形の施設運営に向かっていけるような施設づくりに、努力をしていかなければいけないと思っております。
県立施設の指定管理公募について③
(谷川・高知新聞社記者)
 先ほどおっしゃった対話を大事にしていくということだと思うんですけども、県内外の大学教員とかが立ち上げた既にネットワークがあって、文化政策ラウンドテーブル高知というのがあるんですが、これはいわゆる多様な立場のメンバーの方が、この県の文化政策について一緒に考えようという場所ですが、そこのメンバーに行政の方々も入って、いろいろな文化行政について考えていくっていうお考えはありますでしょうか。
(知事)
 既に、1回目の会合は先般行われたと聞いておりまして、ご案内がありましたので担当課も出席をさせていただいたと報告受けております。大きな方向性として、一緒になって県の施設、特に文化施設だと思いますが、より良い方向を考えていくという趣旨で行われる会合であれば、呼びかけていただいているのにお断りする理由もないと思いますので、その点は、そうした場も含めて意見交換ができればと思っております。
県立施設の指定管理公募について④
(谷川・高知新聞社記者)
 もう1点です。知事の政治姿勢が「共感と前進」です。高市早苗政権では、「決断と前進」というようなことですけど、そういう姿勢なら、まだちょっと引っかからないこともあるかもしれませんが、知事は共感というのを大切に考えられていると思います。今回、その所感の話になりますが、所感というのは、今回、字数に関係なくご自身の考えとか思いを100%の形で表現されたと思うんです。
 その明文化していることを踏まえた上で、ご自身が大切にしている共感というものが、その現場の施設の読み手に感じられていなかったのではないかと思うんですけども、その辺に関して知事どうお考えでしょうか。
(知事)
 私は、最終的には県民の皆さんの共感をいただいて結果を出す、課題解決に向けて前進する県政ということを掲げております。そういう意味では、県の、あるいは私の打ち出した施策について、まずは理解いただいて、納得いただいて、目指す先としては気持ちの上でも、まさしく共感ができるというレベルまで高まった形で、県政運営が全ての県民の皆さんに対してできるというのが理想像だとは思います。が、我が国は全体主義国家ではありませんから、いろいろなご意見もある中で、申し上げたようなグレードで理解、納得、共感とグレードをできるだけ上げていきたい。そして、できるだけ幅広い方々の共感をいただくところに持っていきたい思いは、常に持ちながら県政の運営には当たっているつもりです。
 いろいろな考え方、違う部分も正直あると思いますから、完全な共感までいけない部分はあり得るとは思いますが、それでも対話をして、できるだけそれに近づいて、混乱を招いたと言われても、一歩でも二歩でも近づいて、共感と前進の県政にアプローチしていく態度で、県政運営に当たりたいと思っております。
消防広域化について①
(中田・高知民報記者)
 消防です。今日も会があっていますが、知事が、まず市町村との温度差についてはこの間言及されておりましたが、3月の法定協議会の議決が迫ってくる中で、かなり温度差というあれを越えた、これでは説明ができないという、かなり明確な、単なるスケジュールじゃなくて、この今のあれではなかなか進んでないですよっていうのは、かなり明確に、今日なんかも出たと思うんですが、市町村側が言っているのは、要は3月の議会、議決の前に財政負担をかっちり出してくれないと説明ができませんと、議会に対して。
 県側は、それはもう法定協議会の中で、市町村同士で話しおうてくれということで、かみ合ってないというか、すれ違っているというか、そんな状況ではないかというように思うんですが、このままやっぱりいかれますか。
(知事)
 この点は、今日も総務部会があったということで、ある程度報告を受けております。一つは、スケジュールに関しては先ほどもお話ありましたように、今、提示をしております年度末の市町村議会、県議会での議決はなかなか厳しいのではないかという話。これはこれで真摯に受け止めないといけないと思っておりますし、ある意味、ここまでの議論で、進めようとしている改革の中身、財政的な影響というのが、ある程度はイメージがつかめてきたが故に、この進め方についても、いろいろなご意見が出てきている段階ではないかと思います。
 そういう意味では、そうしたものも踏まえて、来月には2回目の親会の検討会もありますので、このスケジュール、進め方について、今回までにいただいた市町村長さんや消防長さんのご意見を踏まえて、今の時点でどういう進め方がベストと考えるかという点は、県としての考え方をまとめて、提示をさせていただいて、それに基づいて議論を進めさせていただければと思います。
 ただ一定、財政負担の中身を、基本計画で全部決めないと前に進めないというのは、そう言われてしまうと、本当に前に進めないということだと思います。基本計画は大枠でありますから、全く、プラスかマイナスか、どのくらいの桁の財政負担のプラスかマイナスかが分からないという中では、次の段階の検討に入れないというのは、私は分かりますので、そのレベルならいいんですけど、今の基本計画の段階で、かなり精度の高い、ぴったりした財政試算がないと法定の協議会という次の議論のテーブルにさえ乗れないという話は、私は、あまり合理的ではないのではないかと思います。
 その点については、基本計画の段階で、次のステップについての判断をしていただけるのに足るだけの材料は、ほぼ出していると思います。それを改めてまとめさせていただいて、そういう考え方は示させていただいて、最終的には市町村消防ですから、議決をしていただくのも市町村でありますので、そこにいくところの材料提供が県の仕事だと思っておりますから、県が行うべき材料提供をしっかりとやっていくということで、来月の検討会で、できる限りの情報、考え方をお示ししたいと思っております。
消防広域化について②
(中田・高知民報記者)
 またそこがすれ違いのことを、今も改めて感じましたが、細かい金額ということを、もちろん市町村側も言っているわけではないと思いますが、3交替か2交替かを、それは先送りしていると。でも組織統合するに当たって、やっぱり、3交替でいくべきじゃないですかというのも正論ですよね。そこなんかも、だからはっきりいうと、県側は先延ばしにしましょうと、多様性尊重で。市町村側は、かちっともう決めてくださいと。それやったらそれの金額を決めた上で出さないと、全く財政が変わってくるみたいなところで、肝心なところがはっきりしていないと。が故に、財政が大枠も出てこないみたいな、そんなところだと思うんですけど。
(知事)
 3交替制勤務の問題は、これをやるとすると相当大きな、年間10億円に近いような財政負担が生じる話になりますので、これは、まさしく財源の当てがないと、どの市町村もうんと、前に進む判断ができないということだと思います。
 ですから、今の基本段階案の整理におきましては、この点は、まず最初にやるべき処遇改善や体制整備のグループからは外して、次の段階の優先度グループに入れて、これについては、財源が出てくるかというところは、特に通信指令システムとか無線のシステムですね。この整備を共同でやることで、かなり事業費の圧縮が図れて、その分、財源が出てくるという整理ができるわけですから、そこの部分の財源の出具合を見て、どこまで3交替制勤務を進められるのかを考えましょうと。それは、実施計画の段階にならないと無理なんじゃないでしょうかという整理をさせていただいています。
 そこは、私は、なかなかどうしようもないところじゃないかと思います。数十億円の共同の施設の整備をやるということでありますから、今、概算で、他県とか今までの県内の市町村の施工実績を見て、数字を置いて試算しておりますが、それこそ、精度の高い数字での、この節減効果はどれぐらい出てくるかということを見極めて、それをまた、どの程度財源と考えられるかというのは、各市町村によっていろいろな受け止めもあると思いますから、そうした次の整備事業の中身の精緻化、具体化というところとセットでないと、望ましいとされる3交替制勤務を行っていけるお金が出るかどうかと、そこの判断ができないということだと思います。
ただ、検討を止めてしまったら、もう3交替制勤務も何もないわけですから、そこは次のステップに進んで検討の精度を深めて、その上で最終判断しましょうというのが、県としての考え方であります。そうした中身は今後のやり取りの中で、改めて説明させていただきたいと思っております。
新県民体育館について
(中田・高知民報記者)
 最後にします。話題変わります。体育館ですが、今議論されていますが、この間の、例えば、消防とかスマートシュリンクのシビアな話とは打って変わって、全然、財源の話は抜きで青天井みたいな話で、100億円とか200億円みたいな話でやっていまして、それで、ちょっとそこは非常に、これかまんがやろうかという。なんか、目途みたいなものが、財源の財政的な、なんぼの規模でみたいな、そういうのはないんでしょうか。
(知事)
 財政的な目途というのは、自ずと他県の先行整備例から見れば、ある程度のものは出ると思いますが、ただ諸物価・資材費の高騰、人件費の高騰ありますので、絶対値としてそこに収まるかは、また別問題だと思います。
 例えば、香川県の、この間完成した、オープンをしたアリーナ施設です。200億円と言われていますが、比較的に建設物価が安かった時代のものでありますので、それよりは当然小さいものを想定しますが、物価が上がっている部分との関係でプラスマイナスがどうかと。レベル感としてはそういう数字が一つあると思います。
 ただ、ここは実質的な財政負担というのは、どの程度、今の制度ですと集約化、今、武道館とか、場合によってはぢばさんセンターという機能の話も出ておりますが、どの程度集約化が図れるかによって、地方交付税措置があるような有利な地方税が使えるか使えないかということも決まって、そこが決まらないと決まってこない面もありますから、やはり計画を絞り込んで、どういう形での集約化の絵が描けるかが、全ての先決問題ではないかと思っております。青天井というお話ございましたが、我々の気持ちとしては、50年前の老朽化した体育館を建て替えることは、やはり50年、60年に1回の大事業でありますから、あとから、中途半端なものをつくってしまって、もう少し汎用性のある施設をつくっておいた方がよかったと後悔するのは、高知県としても、あるいは県都の高知市としても避けた方がいいだろうと思います。財政負担は、集約の姿を描くことで実質的にどの程度の負担になるかということも詰めながら、必要な機能を考えた時に、どれだけの規模で、基本計画をつくっていくかを詰めていきたいと思っておりまして、今そういうプロセスの途中にあるとご理解いただきたいと思います。