令和7年11月28日 知事の記者発表

公開日 2025年12月02日

1 12月補正予算案 知事説明
2 フレックスタイム制の導入について①
3 フレックスタイム制の導入について②
4 重点支援地方交付金について
5 国の経済対策に関連する財源の確保について
6 緊急防災・減災事業債の延長について
7 プロ野球のキャンプ地としての定着とさらなる発展について
8 対中関係悪化による県内の影響について
9 濵田知事2期目前半の総括と今後について
10 参与(官民連携推進監)について①
11 参与(官民連携推進監)について②
12 県民体育館の整備について
13 フレックスタイム制の導入について③

記者発表資料(R7.11.28)[PDF:684KB]

(司会)
 ただ今から知事発表を始めます。初めに知事から12月補正予算の概要について説明いたします。

12月補正予算案 知事説明 
(知事)
 令和7年度の12月補正予算案がまとまりましたので、概要につきましてご説明をさせていただきます。まず、前提といたしまして、県議会の提出予定議案の状況です。県議会の12月定例会を12月5日、来週金曜日に招集をいたします。今回提案いたします議案は令和7年度の一般会計補正予算など予算議案が12件、そして条例その他議案が18件、報告議案が1件、合わせて31件を予定をいたしております。
 予算の概要につきましてご説明をいたしたいと思います。
 今回の補正予算は、全体といたしまして一般会計の総額で、26億円ほどでございまして、これの他に債務負担行為、来年度以降、歳出が現年化されるものが49億円余りになっています。全体といたしまして、今まで行ってまいりました政策決定を遂行していくために、必要な予算をお願いするものが多くございまして、新規に大型の事業、あるいは新規性の高い事業をやるものはあまり入っておりません。
具体的な政策関連の予算として三つだけ紹介いたしますと、一つは春野総合運動公園に屋内運動場を整備してまいりました。これを来年2月から利用ができますように、具体的にはプロ野球のキャンプですね。屋内でブルペンに利用するといったような用途を想定しておりまして、これを動かすのに具体的に必要になってくる所要経費を措置するものであります。
 それから、②の方もこれも今までの施策の継続のための予算を、来年度分の契約をするために、債務負担行為を出させていただくということでありまして、いわゆるクルーズ船の受け入れ、高知港や、最近では宿毛湾港にも入っていただくようになっていまして、そういった経費でございます。
 それから3点目、これも従前から手当をしてきておりますものの、来年度以降の契約をするための債務負担行為でございまして、消防防災ヘリコプター、今、高知県では国からの運航委託も含めて2機を持っておりますが、この運航をするために、運航業務を民間の事業所に委託をするという中身であります。
 その他、今回の補正予算で手当をするものにつきましては、一番金額的に大きいのは、先般ございました人事委員会勧告に基づきます県職員給与の改定などに要するものでございます。人件費関係いろいろ過不足をトータルしまして、給与改定予算を含めまして、今回20億円余りの補正増をお願いをいたします。その他、テレビ広報番組の制作の追加分、あるいは、これは国の制度に係るわけですが、医療費の公費負担に関連いたしまして、精神通院医療、あるいは指定難病などにつきまして、既に計上しております予算を上回って、年度を通じますと所要額が見込まれるということがございますので、不足見込み分を今回、手当をさせていただくという中身であります。
 冒頭申しましたように、そういった意味では、新しい政策判断をして、新しい取り組みを進めるようなものは、あまり入っておりませんが、継続的に行っている事業、特に来年度以降ですね、行うために、その準備のための契約を行う基礎といいますか、根拠になります債務負担行為の設定をお願いをするといったような中身が多うございます。なお12月議会全体を通じましては、今日、国の補正予算が閣議決定をされるという見込みで、国の経済対策が講じられるという運びになっています。県の方でもいろいろ情報収集をしておりますし、各報道機関でも報道されております。昨年を大きく上回るような物価高騰対策を初めとする国の経済対策の補正予算が手当をされると。また、今週は政府主催の全国知事会議がございまして、私も出席してまいりましたけども、高市総理も出席をされまして、この冬の補正予算関連の経済対策部分について、各地方自治体でもできる限り、年内に執行がスタートできるように、協力をよろしくお願いしたいとお話がございました。
 従いまして、今中身は精査しておりますけども、特に例年、経済対策の中で最近補正予算の中で行われております国土強靭化関連の公共投資の追加、これも相当規模になろうと思いますが、これを初めといたしまして、いわゆる重点支援交付金といいますか、物価高騰対策を初めとする、地方が行います経済対策を民間事業者などに支援をするための交付金、これも報道ですと全体で2兆円ほど。特に食料品関係の生活支援が、これは基本的には特別枠として、市町村の方に上乗せがされるような情報が入っていますが、いずれにいたしましても、規模がまだ明示をされておりませんが、国全体の予算計上額なども考えますと、今までの経済対策で手当されてまいりました重点支援交付金の規模に加えまして、かなり上積みがされる。イメージとしては例えば、2倍とか、市町村によっては3倍とか、そんなくらいの、あくまでイメージでありますが、規模感の重点支援交付金の交付も、見通しが出てきているのではないかというふうに思っておりますので、これにつきましては、先ほど申しました公共投資ですとか、既に過去行ってまいりました電気料金とかLPガスの支援のように、やり方が概ね確立しているもので、規模感を国の予算で確認をして、お金をお配りする仕組みは今までのやり方を踏襲するということで、できそうだというものについては、国からの要請も踏まえまして、できるだけ年内に予算措置をして、執行の準備に直ちにかかりたいというふうに思っています。 そういう意味で、これについては今、検討中でありますけども、方向性としては、12月の県議会の会期中にも追加提案をさせていただいて補正をお願いするという方向で、今鋭意準備をしているところでございます。実際、そういう意味では、この追加でお出しする部分の方が、予算の規模としてははるかに大きくなりそうだというふうな想定を持っています。
 それはそれとして、今回当初提案する分の計数を次にご覧いただきたいと思います。全体の規模は、先ほど申し上げましたように歳入・歳出、26億円ほどでございまして、歳入の方は、地方交付税の夏に交付決定がありました普通交付税の留保分が中心となります。それにつきまして、一応国庫支出金を入れて26億という中身であります。これは給与の改定が中心になりますから、こういったことになるというふうに考えています。その他、繰越金なども使うということであります。
 歳出の方は、やはり給与費、人件費が中心になりまして、先ほどご説明した扶助費は医療費の公費負担の分の制度的なものの不足分などで、大半を占めているという中身になります。
 私からは以上であります。よろしくお願いします。

(司会)
 各社からの質疑に入ります。質問のある方は挙手をして、社名とお名前を発言してから質問をお願いします。

フレックスタイム制の導入について①
(古谷・読売新聞社記者)
 昨日、事前連絡いただきましたフレックスタイム制の導入について、知事のお考え、どういうことを期待されるかを改めてお伺いしたいと思います。

(知事)
 フレックスタイム制に関しましては、国全体としても働き方改革という流れの中で、多様な働き方を許容していくと。それを通じて、結果的に公務の能率も向上をさせ、あるいは職員の方々の家庭の生活と仕事との両立についてもプラスに働けるという意味において、社会全体の流れを見ましても、推進すべき方向だと思っています。ざっくり言いますと、全体の働く勤務時間は同じでありましても、ご本人のいろいろな事情などを勘案をして、もちろん職場の仕事の事情も併せて可能だということが前提になりますが、特定の日にたくさん働いて、特定の日には休みを多く取るような形で、場合によってはいわゆる週休3日制、こういったことにも道を拓くことでございまして、制度そのものは国なり、他の都道府県でも導入が進んでいることではございますので、今全国的な流れとしても確立をしたものだということでございます。
 そうした制度を本県でも取り入れて、先ほど申しました柔軟な働き方の下で仕事の能率を上げていただく。そして、仕事と家庭の両立に利用をしていただく形で、導入をしていこうと判断をいたしました。

フレックスタイム制の導入について②
(古谷・読売新聞社記者)
 新年度から、とりあえず介護と育児の方で、次の年から全職員という話でしたが、改めてこの時期に、何かきっかけみたいなことはあるんでしょうか。

(知事)
 特にこの時期を狙い撃ちしたということでもありませんけども、全国的な国の、国家公務員の動向とか、全国的な他の都道府県の動向も含めて、そろそろという相場感を持っておりましたところ、特に来年度からは、9月議会でお願いしましたような、時間外勤務の社会実験、あるいは短時間の正職員の制度の導入といったところも始まるものですから、この時期に合わせて施行をしていくということで、ご提案をさせていただいた次第であります。

重点支援地方交付金について
(谷川・高知新聞社記者)
 臨時閣議で21兆円規模の総合経済対策になると思うんですけども、その中で、重点支援交付金がさらに上積みされてということの話ですけれども、県として、知事が考える中で結構ですので、この重点支援交付金を使って、どんな策を講じられようとお考えでしょうか。

(知事)
 先ほど申しましたように、全体の規模等々からすると、従前、例えば40億、50億とかいうオーダーで、1回の経済対策で配分がされておりまして、それをかなり上回るような規模の重点支援交付金が、配分されるのではないかと思っています。
 一つは国の方で、メニュー的に活用事例も示されますので、そういったものを参考にしていきたいと思いますが、これは従前からの本県としてのスタンスですが、当面の物価高騰の影響の緩和策ですね、とにかく収入が増えない中で、物価ばかり上がって大変だと。何とかしてほしいという部分に対しての、当面の影響緩和ということももちろんでありますが、できる限り、1回限りの赤字分を補填するということで、右から左に消えるような形ではなくて、先々、物価高騰に打ち勝てるような、そうした構造転換といいますか、ベースになる部分を物価高騰に強い、足腰の強い体制にしていくということですね。例えば、ご家庭の生活費として、今までもやっておりましたが、例えば、今までの例として、省エネ家電の購入を支援することを通じて、先々の電気代とかガス代が安くなるような、そういう効果をもたらすような施策も考えてまいりましたし、産業関係で言えば、デジタル化とか省力化投資とか、そうしたものを通じて、後々の経営の改善、収益の向上に資するような、そういった投資を支援をする形で、先々を睨んで効果が永続的に続くようなものを、特に重点的に支援をしたい思いで、手当を検討し対策を講じてきましたので、そういった基本的な考え方を引き続き持ちたいと思います。
 ただ一方で、相当規模も大きくなりますし、今まで、予算全体の財源の規模との制約でできなかったような影響緩和策も、考えていく必要もあろうかと思いますので、そうした意味では、例えば、中小企業の賃上げの支援ですね。こういったものも、これは、国からのメニューだとか規模にもよりますけども、より踏み込んだ形の支援ができないかとか、言い出すと個々に、特定の分野だけいうのも支障があるかもしれませんが、医療とか介護の分野も、国が相当思い切った構造改革と言うんですか、再編とか、ネットワーク化をするための支援を打ち出されるようにも、報道でも聞いておりますが、県内でも実情を見て、先々に向けていろいろな投資をしないといけない部分が、例えば、医療とか介護とかいう分野でもあるのではないかというようなこと。
 さらに申し上げますと、これもどこまでできるかはありますが、人口減少の対策ではありますが、4S事業を今やっています。特に重点的にやります消防とか学校の再編などについては、これを経営資源を重点投入しようということでやっておりますので、これはある意味、財源が国から交付されることはチャンスだと思います。今、県が考えている施策、あるいはやろうとしていた施策にどこまで使えるかは精査が必要ですが、できるだけ、そういったものを、可能なものがあれば前倒しをして、今回の経済対策の財源も使ってやっていくということを、実際問題としましては、今回がこの時期になりますので、執行を来年度ですね、交付金を繰り越して、来年度執行させてもらえるような枠組みが、恐らく従前と同じような形で可能になるんじゃないかと期待をしておりますので、だとすれば、来年度の当初予算とも一体的に検討をして、ただ今申し上げましたような形で、当面の物価高騰対策、経済対策、影響緩和対策に加えて、先々の経済構造の転換に持続的な、永続的な効果を持つような、そうした将来に向けての投資、こういったところにも目を十分配って、効果的な対策を講じることができればと考えております。

国の経済対策に関連する財源の確保について
(尾花・時事通信社記者)
 政府が総合対策を閣議決定し、物価高対策やガソリン税の暫定税率廃止などをすることとして、知事は代替財源なくしてあり得ないと述べられてきましたが、経済対策全体についてどのように受け止められますかということと、地方に対する代替財源のあり方について、税制改革などに思うところはございますでしょうか。

(知事)
 今回の経済対策についてでありますが、規模感がいろいろご検討をされていった中で、当初報道されておったようなものから比べると、かなり上積みがされた印象は受けておりまして、特に物価高騰対策、この参議院選挙後の3カ月、議論がかなり停滞をしていたところの穴埋めをしようという意図も、多分あってのことではないか思いますが、国として強い決意をもって経済の再生をしていくと。物価高騰対策は最優先でやっていくことを考えられた決意の表われではないかと思っております。
 一方で、やはり片方で心配をしなければいけないのは、財政規律の面だと思います。この点は、高市内閣も責任ある積極財政を掲げておられますので、しっかりと目配りをしていかれると思いますが、現実に、恐らくこれは国会の審議の中でも出て来ようかと思いますが、物価高騰をしてインフレの基調になっているところに財政出動をかなり強くした場合、却って、そのインフレが助長されてしまうのではないかというご懸念がありましたり、国債の発行などは抑えていくという説明はされておりますが、それでも、いわゆるプライマリーバランスの早期の回復ということからすれば、これはもう少し、後ろ倒しにならざるを得ないことだと思いますので、そういった課題。
 さらには、今お話のありましたガソリン、あるいは軽油の暫定税率の廃止については、廃止が先行して、これは経済対策の効果を早期に国民の皆さんにお届けをするという意味では、前向きに捉えるべきだと思いますが、一方で、特に地方も、約全国で5000億円の影響があるような減税策でありますから、これの恒久的な財源手当は不可欠だと思っております。
 この点は、来年度1年かけて検討をすることで、先送りをされたということでありますので、今までの国の歳出の不要分の活用とかいうことを考えた時に、1年、2年の時間的な差が、そんな大きな致命的なマイナスになるとは思いませんけれども、そうは言ってもズルズルと恒久財源の手当てなしに、結果的に赤字国債が積み上がっていくことになっていってはいけないんだろうと思いますし、軽油の方は赤字国債の問題ではなくて、まさしく地方の収入が減りますので、この点はちゃんと手当をしていただかないと、形式的にも少なくても来年度、地方財政対策の中で手当をしていただかないと、支障を生じかねないことになりますので、代替財源の議論のところは、しっかりとウォッチをさせていただいて、当面の穴埋め策、そして恒久的な代替財源の確立の対策、こういったものをしっかり講じていただけるように必要に応じて、我々も引き続き提言をしたり、要望したりということは、怠りなくやっていかなければいけないと思っています。

緊急防災・減災事業債の延長について
(尾花・時事通信社記者)
 もう一件、政府は緊急防災・減災事業債の延長を決定しましたが、この決定についての所感や県としての活用実績はございますか。

(知事)
 その点については、方向性として今年度末で期限切れになります、いわゆる緊防債の延長という大きな方針が、先日、公にされた。これは我々としても強く提言をしておった内容の一つでありますので、歓迎をしたいと思っています。今までの、例えば、津波避難タワーの整備のように国の補助金が入らない、地方単独で行うことが必要な事業を対象として、昨今では、特に、例えば、避難所となる体育館の空調設備の整備などにも活用を期待する団体たくさんございましたし、併せて、敢えて申し上げれば本県の場合、消防広域化を進めていく中で、共同して指令施設、システムなどを整備をする時に期待がされるような財源ということもございましたので、こういったものが期限切れで終わりではなくて、来年度以降も延長される方向で方針が示されたことはありがたいことだと思います。
 あと、具体的にどの程度の期間延長されるとか、どういった規模で、あるいは措置の中身がどうなるかとか、こういったところは、今後年末の予算編成過程で決めていくことだと思いますので、引き続き注視しますとともに、より充実した方向になることが望ましいと思いますので、そういったことは折りに触れ、申し上げていきたいと思っております。

プロ野球のキャンプ地としての定着とさらなる発展について
(中川・NHK記者)
 補正予算にも今回入っていますが、春野総合運動公園の屋内運動場についてお伺いします。春のキャンプでも利用して西武ライオンズからも屋内ブルペンの要望があったということですが、直近ですと、中日ドラゴンズの方が、秋のキャンプで訪れるという動きもございました。プロ野球のキャンプ地としての定着、もしくは、さらなる発展というのは、どのように期待してらっしゃいますでしょうか。

(知事)
 本県は温暖な気候でありますので、冬の時季も、かつては2月に行われます春季キャンプで大変多くのプロ野球の球団がキャンプを張って、その間、非常に県民の皆さんにも、いろいろな意味で楽しみを与えていただき、観光面などからしましても、県外からの観光客も含めて、たくさんの方がキャンプの見学をしたいとお越しいただいたという点で、大変ありがたい状況だったと思います。
 それが、残念ながら、その後、数十年の時を経まして、海外のキャンプとか国内でも沖縄のような、より温暖なところを志向されることがあり、そうした形で県外にキャンプ地が移転されますと、県内で練習試合などを行うのも難しくなることもありまして、春季のキャンプの方が減ってきている。西武のいわゆるB軍のキャンプが継続的に行われているぐらいになってきているということでありまして、この点、我々としては、かつてのキャンプ地といえば高知と言われたようなところに、できるだけ復活して戻っていくような形で、スポーツツーリズムの一つの象徴的な取り組みとして、誘致の取り組みもさせていただいておりますし、いろいろな形の働きかけもさせていただいております。
 そうした、いわば地道な関係者の取り組みが奏功して、中日ドラゴンズが秋のキャンプに新たに名乗りを上げていただいたと。秋季のキャンプの方は阪神、そして、オリックスも来ていただいておりますので、ちょっと時期が動いた感じはありますが、特に秋季キャンプに本県への集積の方向が見え出したのは、大変嬉しい、ありがたい傾向だと思いますし、今回は、特に春季のキャンプを継続的に行っていただいている西武ライオンズとの関係で、これを受けてというのが大きな動機となった面もありますが、今後に関しましては、さらに、プロ野球キャンプ地、これはプロ野球に限らず、ある意味では、いろいろなプロスポーツの誘致というのは、冬から春の時季にかけて温暖な気候で練習がしやすいという意味で、高知県の大きな強みだと思いますから、そういう強みを生かしていく意味でも、プロ野球を初めとしますプロスポーツ、アマチュアスポーツも含めて、合宿の需要をますます取り込んでいきたいと、そのために必要な支援策については、いろいろな形で前向きに検討し、実現をしていきたい思いでおります。

対中関係悪化による県内の影響について
(井上・高知新聞社記者)
 今回の議案とはちょっと離れますが、まずは、日中関係のことでお伺いいたします。高市首相の台湾有事に関する国会答弁に対して、中国側が反発を強めている状況があります。その中で、中国政府による日本水産物の輸入手続き停止であったり、日本への渡航自粛要請といったものが、今、続いていますけれども、県内産業に対する影響や、今後どのようなことを知事として望まれるかお伺いいたします。

(知事)
 このこと自身は、外交に関わる話でありますので、国政の場において、もちろん言うべきことは言う形で対応していただきながら、現実のいろいろな経済的なお付き合いができる限りスムーズに進んでいくように、国においてしっかりと外交のルートを通じて必要な働きかけもして、いわばマイナス面ができるだけ出てこないような形で対応を計っていただければ、ありがたいと前提としては思います。
 その上で現状、今お話があった中で直ちに思い浮かべますのは、特に水産物の中国からいえば輸入ですね、本県からいえば輸出に関しまして、本県の場合は、食料品の海外輸出の重点品目として、従来からユズと土佐酒と合わせて冷凍マグロなどを水産加工品ということを、いわば3本柱で取り組んでまいっておりますが、水産加工品の、かつては有力な消費地でありました中国が原発の処理水の問題を契機として、日本産の水産物の輸入禁止手当を先日まで取ってこられて、このことが本県にとりましては、水産加工品の有力な輸出先の門戸が閉ざされたという意味で、大きな打撃があり、逆に、その分、他の市場の開拓の努力をして成果が上がりつつあることは、怪我の功名の面もありますが、やはり人口とか市場規模からしましても中国は大きなマーケットですので、この点が大きな影響があった中で、最近、中国もやっと解禁の方向に舵を切ってもらった、そこからあまり日もたたないうちに、今回の案件で、水産物の問題がまた取り沙汰されることになっておることは残念ですし、本県からの水産加工物の中国への輸出に関しまして、悪い影響ができるだけ出ないように、政府の関係者における努力を期待したいと思っております。
 その他、一般的にはインバウンドの観光客とか経済取引全般に関しまして、人の往来全般に関しまして影響が及びうることだと思いますが、直接的に残念ながら今のところ中国本土からのインバウンドの観光客が、本県の場合、これから開拓していく分野でありますから、今、来ておられる方々がどっと減ることの危惧は、大都市部ほどはないとは思いますけれども、ただ、いずれにしても先々を睨んだ時には大きなマーケットだと思っておりますので、冒頭申しましたように、国として、国同士の関係として言うべきことは言いながら、しかし、経済という実をお互い取っていくという、賢い対応を日中双方で模索をしていただきたいなと思っております。

濵田知事2期目前半の総括と今後について
(井上・高知新聞社記者)
 続きまして、また、ちょっと話題が変わるんですが、濵田知事が2期目を迎えまして、次の12月7日で、2期目の折り返しを迎えると思います。この2期目前半の2年間をどのように総括し、また次の残り後半2年間、どのように県政運営に当たっていくかというところをお伺いいたします。

(知事)
 来月上旬には、お話がありましたように私の2期目の折り返しの時期になると思います。年度で申しますと令和6年度、7年度がメインになると思いますので、そうした意味で、今までの前半のこの2期目を振り返ってみました時に、個別の経済の活性化とか地域の活性化に向けた取り組みという点でいいますと、例えば、昨年度のオリンピック、パラリンピックにおきます県出身選手のご活躍とか、今年に入りましての万博とか、万博も「あんぱん」の放送につきましても、どちらも尻上がりといいますか最後の方になって、後半になって盛り上がりを見せて、今特に、県内の観光の方は8月以降宿泊者数、それから、いろいろな施設の入込数も絶好調という、2割近い対前年比増のぺースでいっているようでありますから、さらにいえば、万博をターゲットにした関西との経済連携、これは昨年は、アンテナショップの「とさとさ」のオープンにもこぎつけたことも含めまして、個別のそういった地域の活性化とか経済の活性化に向けた取り組みが、ある程度は、県民の皆さんに実感をしていただけるような形で展開をしてきていることは、評価すべき収穫であったと思います。
 ただ一方で、県政全般の最重要課題として位置づけました人口減少対策の取り組み、この成果に関して申しますと、これはコロナ禍からの回復後の景気回復による大都市部の雇用吸収力が非常に高まっていることの反映ではありますが、当初掲げました34歳以下の若年人口の減少に早期に歯止めをかける、これを増に早く転じていくこと。あるいは赤ちゃんの出生数、これも早く回復をさせたいという目標を掲げてまいりましたが、人口減少に関するデータ的なものとしては、総じて大変厳しい数字しか得られてないところが大きな課題だと思っています。
 これについては、若者の所得向上とか共働き・共育てを軸にして、新しい県参与という職も新たに置いて、官民連携を1歩も2歩も踏み込んで強化をしていくことで、年度後半、巻き返しを図りたいと思っておりますが、この点で、数字を出していけるかどうかが、最も大きなポイントだと思いますし、関連して人口減少対策の、一種の適応策として4Sプロジェクト、スマートシュリンクという考え方も打ち出した中で、消防の広域化を中心としていろいろな取り組みを進めております。消防の広域化に関しては先般、関係の皆さま、市町村長さん、消防本部の皆さんのご意見も踏まえて今後の取り組みの進め方とか、目標年次を見直しまして、よりきめ細かい各市町村、消防本部の意向を尊重した形で、ある意味、段階的に統合に向けて着実に進んでいく絵姿を、もう少し時間をかけて、しっかり計画づくりをしようということで、やや軌道修正をさせていただこうという意味もありますが、そういった取り組みも含めて、人口減少対策をさらに後半に向けて強化をしていかなければいけないと思っております。
 あと、防災に関しましては、今年、私の2期目の前半に関しまして、昨年は初めて南海トラフの臨時情報が出されたり、また、県内で震度6弱ですね、大きな地震が発生をしたということもございました。
 また、国の方の南海トラフ地震の被害想定も、より厳しい方向で見直しが図られたということがございますので、防災と減災対策を進めてきた中で、さらに、またハードルが上がってきている、ゴールポストがちょっと先へまた動かされているような環境ではないかなという思いがございますが、国の方も防災庁の設置ですとか、災害関連死の抑制といった新しい課題へも取り組んでいく中でもありますので、そうした国の動きにも呼応して、しっかりと南海トラフ地震対策の強化を、この防災対策の強化に終わりはないという意気込みで、さらに進めていくのが後半の課題だと思っております。

参与(官民連携推進監)について①
(中田・高知民報記者)
 今、人口の話で参与の話が出ましたので、大石参与のことですけれども、どれぐらいになりますかね、1週間、2週間ぐらい経ったでしょうか、勤務が始まってから、大石さんの。どんな感じの今お仕事ぶりというか、どういう活動されていますでしょうか。

(知事)
 正直、私ここ1週間高知におりませんでしたので、フィリピンの島へ50周年の式典、それから東京の知事会議などに出席しておりましたので、直接やり取りをしたり、報告を受けたりということは限定的になりましたけれども、早速、精力的に、特に官民連携の各分野に関わる分野についての現状、課題について、今県庁の担当部・課が考えていることについてはヒアリングをしてもらい、それを踏まえて大石さんとして、どういったことができるかを、早速考え始めていただき、また動き出すところは動き出していただいている状況だと思っております。
 個別の事案について、まだ、ここをこうしてというところを、この場でお話をする段階にはないかと思いますが、いろいろな打ち合わせをしていく中では、私自身が、以前認識をしていた以上に、大石さん、いろいろな県外の経済界の方も含めて、若手の方も含めていろいろなやり取りもあり、人脈もお持ちだと改めて気づかされた面もありますし、そういったところも生かしながら、企業版のふるさと納税の獲得といったようなところも含めて、ぜひ、手腕を発揮いただきたいなと思っておるところであります。

参与(官民連携推進監)について②
(中田・高知民報記者)
 任用に当たって政治的公平性の関係が、かなり意見が出たと思いますけれども、その点一つ、ちょっと指摘させていただきたいことがありますけれど、政治事務所用看板、県選管の証票を貼る看板がありますよね、政治家が出す。あれとか現状で、まだ出ているわけですけれども大石さんは。それはやっぱり許容されますか。

(知事)
 その点、まだ私自身、法令上どういう問題があるのかの詰めを、まだしっかりとはできていない状態ですが、一義的には、それがあるから駄目、任用してはいけないという話とか、任用されたら、ああいう政治活動用の看板も撤去しなきゃいかんという規制、決まりがあるわけではないと思っています。
 公選法なり、政治資金規正法といった法律のルールの中で、限られた規格、枚数を県内に設置をされていると思いますので、ご当人、政治活動自身を全く辞めてしまうことではないと聞いておりますし、それは前提として我々も受け入れて、しかし公務の執行との関係では、しっかりけじめを付けて、線引きをしていただくことで、任用を判断したわけでありますから、そうした範囲の中で、私としては、政治活動用の看板を直ちに撤去しなければいけないとか、させるべき具体的な事案が生じたようなことには、少なくとも今至っていないと思っています。

県民体育館の整備について
(中田・高知民報記者)
 分かりました。もう一つ別件です。12月1日に知事が市長のところへ、桑名さんのところへ行って、体育館の件でお話をするっていう投げ込みがあっていますけれども、当然、普通に考えたら、この間、市長からプールの件について申し入れがあって、ゼロ回答でいくわけじゃないろうから、プールはやりますという話をしに行くのではないかと推測されますが、それでいくと、規模が、やっぱりどんどんどんどん膨れ上がっていく話になっていますよね、体育館の。前回か、前々か、青天井じゃないかっていう話を、予算が、いたしましたけれども、やっぱり財政的規模みたいな話がないままに、どんどんどんどん大きくなっていっているように思うのですが、そこの財政的な、やっぱりボリューム感っていいますか、前回は200億円ぐらいじゃないかみたいな話をしていましたけれども、プールがない段階で。それ大きくなっているんじゃないですか。

(知事)
 200億円というのは香川県が今回つくられたものが、規模とか時点も違いますので、なかなか一概にはいえない、両方向でのずれがあると思いますので、絶対値としてはあまり意味はないかもしれませんが、相場観として200億円は香川県の例として申し上げたことでありますので、そこに拘束をされることではないと思っていますが、今の段階では、新しい県民体育館にどういう機能が期待されて、そのためには、どの程度の規模感が必要か、まさしく基本計画をつくる段階でありますので、そうした中で、これまで、昨年の大きな方向性の議論を始めた時からの状況の変化の一つには、今ご指摘ありましたように、今こうした施設を整備をしていくためには国の財源措置との関係でいっても、あるいは時代の人口減少という流れを見ても、集約化をより意識しないといけないということが出てきたということだと思います。
 そういう意味で、今年度に入って、特に武道館との集約化を本格的に検討しましたし、まず、ぢばさんセンターの大ホールとの関係もどうするのかということも出てまいりました。それは方向性としては、今お話にありましたように、そういったものを集約をしてくるとなりますと、それなりの規模が、よりプラスアルファで必要になる可能性の方が高いことは確かだと思います。
 そうした意味で、用地の問題も含めてでありますが、財政的に大丈夫かというお話が問題意識として、論点として出てくるのは、私も理解をしております。ただ、それはまさしく集約化の結果、大きくなっていくということであれば、トータルで見れば別々に今あるものを、同じような形で同じように再整備をするよりは、それははるかに建設のコストとしても、ランニングのコストとしても軽減が図られることが前提にあって、国の方も、そういう場合には、より手厚い財源措置を考えましょうということでありますから、いわゆる、ネットの意味での財政負担という意味では、当然集約化をしないで、今あるものを同じような形で再整備をしていくよりは、ずっと望ましいマッチベターの姿ができることを前提に考えていくことだと思います。
 もちろん、そこは今の時点では、用地の範囲も含めて基本計画も含めて、ある意味アッパーとして、どれぐらいのものを考えていくかを、枠取りをしていく段階だと私は思っていますから、そうした段階において、先ほど申しました集約化、国からの財源措置、そうしたものをトータルをして、一方で50年、60年に1回という大きな整備でありますから、動き出して5年、10年で、あれもう少し大きなものを、しっかりしたものをつくっておけばよかったと後悔するようになってしまっては、これは禍根を残すのではないかという思いもありますから、今申し上げたような国の財源措置とか集約化の効果、そうしたものをトータルで見ていく中で判断をしていくことではないかと思っております。

フレックスタイム制の導入について③
(中田・高知民報記者)
 最後にします。また、全然別件ですけど、フレックスですけれども、フレックスタイムの労働の話ですけれども、全体の流れで確かにそういうふうになっているっていうのは、理解をしている面もありますけれども、やはり、県庁の現状を見た時に、結構大変じゃないかなっていう思いもあって、それが全職員になった時に、特に労働時間の管理みたいなことが管理職に非常に、どないなるねんみたいな話が聞こえてきます。
 今でも大変やのに、それが全然ばらんばらんになって、個別に把握するのが極めて大変やと、150%の時もですけど、管理職にっていうことで、管理職にかぶせられるみたいなことが管理職側にとっては懸念というか、不安があると思いますけれども、なんかご懸念はないでしょうか、そのフレックスについて。

(知事)
 物事、新しい制度ですから光の面だけではなく、影の面もあり得ることは意識をして、そういった問題点、課題も事前に洗い出しをして、そこを少なくとも上回るような、プラスの効果が出せるような努力をしないといけないことだと思います。
 おっしゃいますように、時間外勤務の管理もより厳格にはしていこうということと、時期としては同じことになっていきますので、管理職の方々に、今までよりもより大きな形で期待がされる、ないしはご負担かかる面はあろうかとは思いますが、そういう努力を、管理職に限らずですけど、一般の職員も、やはり新しいことをやっていく時代ですから、それは、しっかりと創造力を働かせて、その対応を取っていくということでないと、新しい時代の対応はやりにくいことだと思いますので、そこは、これも冗談ではありませんが、頭をある程度柔らかくして、フレックスにして、今までのやらなきゃいけないことを、当然、全部そのまま前提にしてさらにプラスプラスとなっていけば大変でありますから、スクラップすべきところは、今までのような作業の中でもまさしくスクラップをして、そこで余力をつくった中で、フレックスタイムの対応とか、時間外勤務の新しい対応、そういうところにその余力を割いていく形での対応が、県庁全体としてもできるように、私としても担当の部署を中心に指示をし、今まで、端的にいえば、やった方がいいレベルでやっておった管理職の皆さんの管理、監督のルーチン的な負担を、片方で減らせるところはないのかという観点からの検討もさせた上で、スムーズに新しい体制に移行ができるように意を払ってまいりたいと思います。

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