令和7年12月5日 令和7年12月県議会での知事提案説明

公開日 2025年12月05日

令和7年12月5日 令和7年12月県議会での知事提案説明

1 県政運営の基本姿勢
2 人口減少対策
3 いきいきと仕事ができる高知
(1)地産外商の取り組み
(2)イノベーションの取り組み
4 いきいきと生活ができる高知
(1)日本一の健康長寿県づくり
(2)教育の充実
(3)文化芸術とスポーツの振興
5 安全・安心な高知
(1)南海トラフ地震対策
(2)インフラの充実
 議案

 本日、議員各位のご出席をいただき、令和7年12月県議会定例会が開かれますことに厚くお礼申し上げます。

 ただ今提案いたしました議案の説明に先立ち、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員各位及び県民の皆さんのご理解とご協力をお願いしたいと考えます。

1 県政運営の基本姿勢
 去る10月21日、衆参両院本会議において、自由民主党の高市早苗総裁が、女性としては初となる第104代の内閣総理大臣に選出されました。
 昨年来、国政においては、物価高対策や人口減少対策、南海トラフ地震への備え、政治資金制度の改革などの内政上の重要課題が山積しています。
 新政権におかれては各党と真摯に議論を重ね、高市総理が掲げる「決断と前進」の姿勢で、国政を着実に前に進めていただきたいと強く願っています。
 先月下旬には、国において新たな経済対策と、その裏付けとなる補正予算案が閣議決定されました。
 この中には、地域の実情に応じた物価高対策や、持続的・構造的賃上げに向けた生産性向上支援、防災・減災・国土強靱化の推進といった施策が盛り込まれ、予算額は昨年を大きく上回る規模となっています。
 こうした国の補正予算を最大限活用し、物価高騰による影響の緩和を図ると同時に、人口減少対策や経済の活性化、南海トラフ地震対策などの取り組みを、さらに加速させます。このうち速やかに対応すべきものについては、必要となる補正予算案を今議会に追加提案いたします。

(「共感と前進」の県政)
 県政の課題に正面から向き合い、解決していくためには、県民の皆さんの声に耳を傾け、施策の磨き上げを図っていくことが欠かせません。
 「濵田が参りました」では、私自身が直接、様々な取り組みの現場を視察させていただき、県民の皆さんと意見交換を行っています。
 10月には、香南市において地域の伝統文化の継承を図られている方々から、また先月には、芸西村でIターン、Uターンを経て新規就農された方々から、当事者目線に立った率直なご意見などを伺いました。
 加えて、今月2日には中土佐町を訪問し、地方で暮らしながら、ウェブデザインなどのデジタルスキルを活用した働き方を目指す若い女性の皆さんと意見交換をさせていただきました。
 今後も、こうした対話を通じて県政に対する「共感」をいただくと同時に、いただいたご意見を政策立案に生かし、着実に「前進」していくことを県政運営の基本姿勢とし、元気な高知の実現に向けて全力を尽くします。

 

2 人口減少対策
 人口減少対策のマスタープランとなる「高知県元気な未来創造戦略」については、来年度、大きく4つの方向性で施策を強化します。
 1つ目は、「高付加価値型経営への転換支援」です。若者の所得向上に向け、本年10月、官民協働による検討チームにおいて報告書を取りまとめました。今後は、報告書に盛り込んだ第一次から第三次産業までの16業種
58件の経営改革モデルの横展開を業種横断的に推進します。
 こうした取り組みにより、事業者の稼ぐ力を高めることで、従来のコストカット型経済から脱却し、高付加価値を創出する経済への構造転換につなげます。
 2つ目は、「多様な人材が活躍できる環境の実現」です。企業の生産性向上に向けた人材育成支援や就業環境の整備をはじめとする働き方改革、共働き・共育てなどの取り組みを強化します。
 県庁においても、10月に部局長を対象とした「働き方改革タスクフォース」を立ち上げ、私自身も参加して、既存事業の見直しや業務の効率化について検討を進めています。
 人口減少が先行して進んでいる本県だからこそ、長時間労働の是正をはじめとする働き方改革を、全国に先駆けて、スピード感を持って進め、少子化問題の克服につなげます。
 3つ目は、「『若者に選ばれる高知』を目指した移住・定住対策の強化」です。移住・定住対策については、来年度は特にUIターンにおける転職支援の強化や県内転職に向けた対応、地域への理解と愛着を育むキャリア教育などについて、さらに対策を強化します。
 大都市部での消耗型の生活ではなく、自然とゆとりを満喫しながらクリエイティブな仕事を行い、家庭と仕事を両立していく本県ならではのライフスタイルをPRし、移住・定住のさらなる増加につなげます。
 4つ目は、「ニーズに応じた出会いの機会の拡充とライフデザイン支援」です。自然な出会いを求める若者や、結婚の意思はあるものの行動を起こしていない方、UIターン者など、様々なニーズに応じた出会いの機会をさらに拡充します。加えて、ライフデザイン支援では、若者が自身の人生設計における結婚や子育ての意味について考える機会が得られるよう、各種の啓発事業に取り組みます。

(官民連携の推進)
 人口減少対策については、これまでも県が持つあらゆる政策手段を講じて取り組んできました。しかしながら、若年人口の減少に歯止めはかからず、足下の婚姻数、出生数は、いずれも前年同期を下回って推移しています。
 こうした状況を打開するには、今までよりさらに一歩も二歩も踏み込んで、官民が一体となった取り組みを深め、広げていく必要があります。
 そのため、先月、県に特別職として「参与(官民連携推進監)」を設置し、元県議会議員の大石宗氏に就任いただきました。
 人口減少問題の克服に向けては、従来型の県行政とは異なるアプローチが必要と考えます。具体的には、公平性や前例に過度にとらわれず、時代の変化に即応すること、縦割りで専門性を追求するよりも県民の目線に立って横断的・総合的な政策を展開すること、さらには正確性の重視よりも時間のコストを意識したスピード感のあるタイムリーな対応に軸足を移していくことなどが求められます。
 県行政と民間経営双方の実態や考え方を熟知している大石氏には、こうした観点を持ちながら、新しいスタイルの官民連携の取り組みを大いに推進していただきたいと期待しています。

(公社等外郭団体のあり方見直し)
 県民所得の向上を目指す民間事業者の取り組みと目線を同じくして、県立の文化施設等においても、より付加価値の高いサービスを提供する取り組みを進めています。
 具体的には、新設した「県立施設運営活性化懇談会」を今月下旬に開催し、有識者の方からご意見をいただきながら、運営にあたる各団体が民間の創意工夫を生かした新たな事業を展開するための計画の策定・実行を支援します。
 引き続き、各団体のご意見を真摯にお聞きしながら、県立の文化施設等が県民や利用者の皆さんに、より良質で満足度の高いサービスを提供するよう促していきます。

(消防広域化)
 消防広域化の基本計画の策定に向けては、県内すべての市町村長と消防長などで構成する検討会を立ち上げ、議論を重ねています。
 先月に開催した第2回検討会には、私自身も出席し、市町村の財政負担の全体像などを明らかにした上で基本計画の骨格をお示ししました。
 また、今年度末を目指していた法定協議会の設置について、議決に先立つ市町村議会への説明などの準備期間が不足しているとのご意見を踏まえ、今後の進め方と目標年次の設定についての見直し案もお示ししました。
 具体的には、まずは来年度、全市町村と県が任意の協議会を設置して実務的な検討作業を深め、同年度中に実施計画案を取りまとめた上で、令和9年度に法定協議会の設置を求めることとしています。
 その際には、第一に、令和15年度末までに全県共同で消防指令システムを再整備し、翌16年度からの運用開始を図ること、第二に、それまでの間に県内15消防本部を1本部に統合することを目指し、地域別・機能別に段階的な統合を図る選択肢も含めて検討・協議を進めること、第三に、消防指令システムの再整備や段階的な統合の実施主体として、令和10年4月を目途に広域連合を設置することを前提条件として、実施計画の検討を開始することを提案させていただきました。
 これらの点については、概ね各委員のご理解をいただいたと考えます。
 今後も引き続き丁寧に議論を重ね、今年度中に県において基本計画を策定した上で、各市町村・消防本部の意向をきめ細かく汲み取りながら、消防広域化を着実に推進します。

(過疎地域の振興)
 先月開催された全国過疎地域連盟の総会において、私が会長に選任されました。高知県知事が会長職に就くのは初めてのことであり、光栄であるとともに、身の引き締まる思いです。
 就任後には早速、関係する国会議員や国の省庁に対して、過疎自治体の財政基盤の強化などについて要請活動を行いました。
 今後も、過疎地域が抱える産業振興をはじめ、交通、生活、福祉といった各分野の課題の解決に向けて、全国の自治体と一丸となって、国に対し強力に働きかけを行います。こうした取り組みにより、本県をはじめとする過疎地域の持続的発展を支援していきます。


3 いきいきと仕事ができる高知
 次に、目指すべき3つの高知県像のうち、まず「いきいきと仕事ができる高知」に向けた取り組みについてご説明申し上げます。

(1)地産外商の取り組み
(関西圏との経済連携の強化)
 関西圏との経済連携については、10月下旬に、「関西・高知経済連携強化アドバイザー会議」を開催し、万博後の取り組みのあり方についてご意見を伺いました。
 その中では、都会では得られない豊かさである「SUPER LOCAL」な本県の魅力をPRしていくことの重要性について、ご指摘をいただきました。また、令和12年に開業予定の「大阪IR」に向けて、インバウンドも視野に入れた高付加価値の商品づくりと営業を行っていくべきといったご意見もいただきました。
 こうしたご意見も踏まえ、引き続き、市町村とも連携し、関西の本県ゆかりの方々や事業者、自治体などとのつながりをさらに深め、広げることで、関係人口の創出や本県経済のさらなる浮揚につなげます。

(観光振興の取り組み)
 観光分野では、今年8月以降、連続テレビ小説「あんぱん」の効果が顕著に現れ始め、10月末までの3か月間の県内主要観光施設の利用者数は前年比で117.9パーセントとなるなど、大きな手応えを感じています。
 来年度のどっぷり高知旅キャンペーンは、「ドラマが生まれる場所 高知」を前面に打ち出した誘客に取り組みます。「らんまん」「あんぱん」を生み出した史実としてのドラマ、全国的に評価の高い食や地元の人々との交流から生まれるドラマなど、本県の魅力を全国に発信し、さらなる誘客につなげます。
 また、来年開催する「よさこい高知文化祭2026」に向けては、神楽など文化祭で披露する地域ならではの文化や、関連する観光施設、体験プログラムなどを盛り込んだ商品づくりを促進します。加えて、これらの商品を県外での高知県フェアや観光パンフレット、SNSなどで積極的に情報発信することで、誘客の拡大、県内各地への周遊につなげます。
 さらに、文化祭の開催期間中にお越しいただいた皆さんには、県内各地の伝統芸能などを体感いただくだけでなく、おきゃくなどの食文化やよさこい鳴子踊り、日曜市などの高知独自の文化も紹介していきたいと考えます。
 こうした取り組みを通じ、文化祭にお越しいただいた方々が文化祭の終了後も、本県に何度もお越しいただけるように取り組みます。


(2)イノベーションの取り組み
 次に、様々な産業分野におけるイノベーションの取り組みについてです。
 グリーン化関連産業では、9月から、竹繊維を主原料とする複合材料「バンブープラス」を製造する香南市の工場が量産を開始しました。
 生産された素材は自動車関連のほか、建材や家具、家電など、幅広い用途に活用される可能性があり、雇用や経済効果はもちろん、里山の保全やCO2削減といった多面的な効果に、私自身、大いに期待を寄せています。
 今後も、本県から独自性と付加価値の高い製品や技術をより多く生み出せるよう、製品開発に対する補助制度や関係機関による技術支援を通じて、事業者の取り組みを後押しします。

(スペースポート構想)
 去る10月、一般社団法人「スペースポート高知」の方々から、ロケットや人工衛星の発射拠点となる「スペースポート」の開港と宇宙産業の振興に関する政策提言をいただきました。
 本県出身の二人の若者が高知の未来に思いを馳せ、このプロジェクトの実現に向け一歩を踏み出す決断をされたことは大変頼もしく、勇気付けられる思いでした。
 仮にこのプロジェクトが実現されれば、本県の元気な未来に期待が膨らむ、大きな可能性を有するものだと考えます。一方で、その実現には、事業としての採算性や適地の確保、多額の資金の調達方法など、乗り越えるべき壁も数多く存在します。
 このため、まずは、「スペースポート」計画の実現可能性に関し、県として調査、研究を行うための体制整備について、来年度当初予算の編成過程で結論を得るべく検討を進めます。

4 いきいきと生活ができる高知
 次に、「いきいきと生活ができる高知」に向けた取り組みについてご説明申し上げます。

(1)日本一の健康長寿県づくり
 近年の物価高騰や人件費の上昇を受け、多くの医療機関の経営は、大変厳しい状況にあります。国においては、来年度行われる診療報酬の改定にあたり、こうした厳しい現状を踏まえた上で、物価等の実情を適切に反映し、医療提供体制が持続可能な診療報酬体系を実現することが必要です。
 あわせて、同様に公定価格で運営されている介護や障害福祉サービスも含め、報酬改定を待つことなく、従事者の処遇改善や経営強化支援などの緊急的な財政支援策を講じることも欠かせません。
 先月には、こうした点について、全国知事会として緊急提言を行いました。その結果、先月閣議決定された国の補正予算案には、賃上げへの支援や物価高対策をはじめとする「医療・介護等支援パッケージ」が盛り込まれました。本県としても速やかな事業化を目指し、必要となる補正予算案を今議会に追加で提案いたします。

(重度心身障害児・者医療費助成制度の拡充)
 重度の身体障害や知的障害のある方を対象とした本県の重度心身障害児・者医療費助成制度については、昨年、精神障害のある当事者やそのご家族から、精神障害も対象に加えるようご要望をいただいていました。
 このため、助成制度の実施主体である市町村を中心に関係者会議を立ち上げ、この制度の対象に精神障害のある方を含める検討を重ねてきました。
 この助成制度の対象は、現在、身体障害や知的障害のある方で、障害の程度が重度の方を基本としています。
 こうした現行制度との均衡を踏まえ、先月の会議では、精神障害のある方の助成対象について、精神障害者福祉保健手帳の等級が1級の方を基本とする案をお示ししました。この案には、症状に波があるという精神疾患特有の事情に配慮し、2級あるいは3級の方についても、一定の条件の下で助成の対象とする独自の措置も盛り込んでいます。
 今後は、関係者会議でいただいたご意見を基に詳細な制度設計を進めます。あわせて、市町村においてシステム改修などの必要な準備を進めていただき、令和9年4月からすべての市町村で実施されることを目指します。
 

(2)教育の充実
 子どもたちの確かな学力の定着のためには、家庭における学習習慣の確立が欠かせません。9月に実施した家庭学習の状況等に関するアンケート調査の結果では、家庭での学習時間の短さと、動画視聴やSNS・ゲームの時間の長さに相関関係が見られました。また、学習時間が短い子どもからは、「勉強の内容や仕方が分からない」という声もありました。
 こうした結果を踏まえ、子どものスマートフォンの利用に関するルールを各家庭で決めていただくなど、保護者への啓発を行います。あわせて、デジタル教材や学習データの活用を通じ、子どものつまずきや課題をきめ細かく把握し、子ども一人ひとりに応じた学力向上策に取り組みます。
 次に、本年度からスタートした県立高等学校振興再編計画では、学校のさらなる魅力化、特色化の推進を柱として取り組みを進めています。
 その一つとして、生徒の多様な学びのニーズに対応するため、日本語指導を必要とする外国人生徒などに対応したコースや、まんが・アニメに関するコースを、令和10年度に新設する方向で検討を開始しました。
 特に、まんが・アニメに関するコースは、本県のまんが文化の振興や高知県アニメプロジェクトの推進などの施策と密接に関係しており、県全体への波及効果を期待しています。
 今後、関係する市町村のご意見も伺いながら、新たなコース開設の対象となる高校の選定を進め、今年度中に決定します。


(3)文化芸術とスポーツの振興
 来年開催する「よさこい高知文化祭2026」に向けては、開幕1年前となる10月25日にカウントダウンボードの除幕式を行うなど、気運醸成を図るため、官民を挙げて広報活動に取り組んでいます。
 また、先月開催された長崎大会の閉会式では、多くの方々に、よさこい鳴子踊りや土佐の神楽を披露し、高知大会のPRを行ったほか、長崎県知事から大会旗の引き継ぎを受けました。大会旗に込められた多くの皆さんの想いをしっかりと受け継ぎ、高知大会の成功に向けて、引き続き官民一体となって準備を進めます。
 また、年明けには神楽やよさこい鳴子踊りなど本県の強みである「文化」を生かした夜間イベントを20日間余りにわたって開催し、冬期の賑わいにつなげます。
 スポーツ分野では、先月、本県出身の藤川球児監督が率いる阪神タイガースの優勝記念パレードを開催し、県内外から多くのファンの方が訪れ、大いに盛り上がりました。あわせて、藤川監督と50試合連続無失点の日本プロ野球記録を樹立した石井大智投手に高知県スポーツ顕彰を授与し、その功績を称えました。
 また、先月には、県内初となる中日ドラゴンズの秋季キャンプも開催され、阪神タイガースやオリックス・バファローズの秋季キャンプ受入れも相まって、県内がプロ野球による活気に満ちあふれました。
 年明けには、春野総合運動公園に、プロ仕様のブルペンを備えた新たな屋内運動場が完成し、埼玉西武ライオンズの春季キャンプが行われる2月から供用を開始する予定です。その管理に必要となる経費について、今議会に関連する補正予算案を提出しています。

(県民体育館の再整備)
 新しい県民体育館の整備については、先月、高知市の桑名市長から、隣接する高知市青年センター「アスパルこうち」のグラウンド使用にあたっての教育的な配慮や、プールの整備について申し入れをいただきました。
 また、その際には、現在そのあり方が議論されている、高知ぢばさんセンター大ホールの機能について、新しい県民体育館のメインアリーナへの集約化も視野に入れて議論されることが必要という点で、意見が一致しました。
 こうした経過を踏まえ、今月1日には県として、市長からいただいたご要望にしっかりと対応していくことを前提に、アスパルこうちのグラウンド敷地を全面使用させていただきたい旨を高知市に対し正式に要請いたしました。
 昨日開会した高知市議会において、桑名市長から、総合的な判断として、グラウンドの全面使用を認める旨が表明されました。
 県としましては、市長のご判断に感謝を申し上げるとともに、今月開催する検討会において、武道館やプールを含めた施設全体の配置を1つに絞った案を改めてお示しし、年度内に基本計画を取りまとめたいと考えています。
 「この場所にいいものができた」「子どもたちにいいものを残せた」と後世にも誇れる施設となるよう、引き続き検討を進めます。


5 安全・安心な高知
 次に、「安全・安心な高知」に向けた取り組みについてご説明します。


(1)南海トラフ地震対策
 本年10月29日、専門家で構成された検討委員会における議論をもとに、高知県版の「南海トラフ地震による最大クラスの震度分布・津波浸水予測」を公表しました。
 この「震度分布・津波浸水予測」は、平成24年に公表したものに、本年3月の国による新たな被害想定や県内の最新のデータなどを加味して、より精緻に算出し直したものです。
 新たな予測では、最大震度7に達する市町村が前回の26市町村から33市町村に増加した一方、津波浸水面積は、県全体で前回から約4パーセント減少する結果となりました。
 今後、今回公表した震度分布と津波浸水予測を用いて、人的被害や建物被害などの被害想定を算出し、今年度末に公表する予定です。
 その上で来年度には、この新たな被害想定に基づき、第6期南海トラフ地震対策行動計画をバージョンアップして、新たな課題となる災害関連死対策や避難環境の整備など、被害の軽減に向けた取り組みをさらに強化します。

(2)インフラの充実
 四国8の字ネットワークをはじめとする高規格道路の整備促進を図るためには、通常予算に加え、国土強靱化の予算・財源を確保することが、極めて重要です。
 このため、本年10月には、四国経済連合会と四国4県が共同で「四国8の字ネットワーク整備・利用促進を考える会」として、国に対し、ミッシングリンクの解消や暫定2車線区間の4車線化などを強く訴えました。
 今後も、事業実施中の区間の早期開通及び暫定2車線区間の4車線化や緊急的な安全対策の促進に向け、引き続き、関係市町村や他県とも連携し、国に対して積極的に政策提言を行っていきます。
 また、今般閣議決定された国の補正予算案には、道路をはじめ、「第1次国土強靱化実施中期計画」に基づく、多くのインフラ整備に係る事業が計上されています。これらの速やかな実施に向け、必要となる補正予算案を今議会に追加で提案いたします。

(ガソリン税及び軽油引取税の暫定税率廃止)
 先月28日、ガソリン税及び軽油引取税の暫定税率を廃止する法案が可決、成立しました。その一方で、廃止に伴い生じる、国・地方合わせて約1.5兆円とも言われる税収減を補う代替財源については、いまだ具体的な方策が明示されておりません。
 暫定税率廃止により、今後の地方財政運営やインフラ整備に支障を来すような事態が生じることは決してあってはならず、説得力のある恒久的な財源の確保が不可欠です。
 国においては、地方の声に真摯に耳を傾け、責任を持って、速やかに必要な措置が講じられなければなりません。私自身も引き続き、全国知事会とも連携し、国に強く働きかけていきます。

(和食ダムの竣工)
 和食ダムは、県東部を流れる和食川の治水、利水機能を高めるための抜本的な対策として、平成15年に事業着手しました。
 その後、工事中に確認された岩盤内の亀裂対策工事などにより事業期間が長期にわたりましたが、着手から20年余りの歳月を経た今年10月、多くの関係者の皆さんのご臨席の下、竣工式を執り行うことができました。
 このダムの完成は、浸水被害の軽減に加え、水道や農業用水を安定して供給する体制を整えたことにより、地域のさらなる発展に寄与するものと大いに期待しています。


6 議案
 続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
 まず予算案は、令和7年度高知県一般会計補正予算など12件です。
 このうち一般会計補正予算については、人事委員会の勧告に基づく給与改定に伴う人件費の増額など、総額26億円余りの歳入歳出予算の補正並びに総額49億円余りの債務負担行為の追加及び変更を含む補正予算案を提出しています。
 条例議案は、職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案など13件です。
 その他の議案は、令和8年度当せん金付証票の発売総額に関する議案など5件です。
 報告議案は、公平委員会の事務の受託の専決処分報告の1件です。
 なお、国の経済対策への対応に必要となる補正予算案については、追って提出させていただく予定です。

 以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わらせていただきます。
 何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

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