令和7年12月9日 知事の記者発表

公開日 2025年12月12日

1 12月補正予算案 追加提案 知事説明
2 国の総合経済対策について
3 県の12月補正予算案について
4 国の重点支援地方交付金を活用したお米券について
5 南海トラフ地震の震度・津波予測と避難環境整備について①
6 南海トラフ地震の震度・津波予測と避難環境整備について②
7 土佐の神楽のユネスコ無形文化遺産への登録申請について

記者発表資料(R7.12.9)[PDF:958KB]

(司会)
 ただ今から知事発表を始めます。初めに知事から12月補正予算の概要について説明いたします。

12月補正予算案 追加提案 知事説明
(知事)
 それでは、明日になりますけれども、開会中の県議会12月定例会に議案の追加提案を予定いたしております。内容的には、国の経済対策に対応した補正予算の追加といったものになっております。その説明を申し上げたいと思います。追加をして提案を行いますのは、令和7年度の一般会計補正予算など予算議案の4件であります。主な中身について資料によって説明をさせていただきます。
 一般会計の今回の追加の規模は右上にありますように、294億円余、債務負担行為も538億円余ということでありまして、既に提案をしたものが26億円ほどの規模の一般会計予算がございますので、合わせますと、今議会で審議をお願いする一般会計の補正予算の総額320億円余りの現年分の歳出ということになります。中身としましては、一つは、国の総合経済対策の中でも、防災・減災のインフラ整備、国土強靭化の関連の予算が計上されておりますので、これに対応した本県の関連予算の上積みというものに加え、この経済対策の中の物価高騰対策、生活者や事業者への支援。特に県の場合はどちらかといいますと事業者への支援、市町村の方が生活者への支援がウエイトが高いということだと思いますので、県の方はどちらかといえば、事業者支援ということがメインになってまいると思いますけども、そういったものを実施をしようというものであります。
 以下、それぞれ簡単に申しますと、国土強靭化の推進、公共事業の追加関係が257億円余ということであります。今回初めて制定をされました国土強靭化実施中期計画、これに基づきます対策を活用いたしまして、道路、河川、港湾等々ですね、防災・減災に資するインフラ整備を加速をしようという中身であります。
 それから2点目、大きく言いまして物価高騰対策ということでございます。生活者支援といたしましてLPガスの料金の引き下げ、これについては、都市ガスは国の方で直接執行されますけども、LPガス関係は国の方でそういう政策ツールといいますか、支援をしていくルートが難しいということのようでありまして、過去からここ数年、この経済対策のたびに県で、このLPガスの事業者を通じて支援をしております。同じようなパターンで、今回も支援をしようとするものであります。
そして、低所得のひとり親世帯の支援分の地方の独自の上積み分、これにつきましては県として町村分が、いわゆる児童扶養手当の支給の事業主体になっておりますので、そうした方々の分に関しまして、2万円の上積みということを今回行うものであります。それから学校給食、これは数としては市町村立の学校がメインになりますので、これは市町村の対応になりますけれども、県につきましても、県立の中学校で学校給食費の支払いが行われているようなところ、値上げがあった部分を支援をするというやり方で、ここ数年対応してまいっておりますので、これも同じような対応をしようということであります。
 それから事業者支援、これも過去数年確立をした形の特別高圧の受電事業者、いわゆる事業所の大きなところでございますが、これについても、これも県の方で分担をして支援をするというパターンが確立しておりますので、それに基づきまして支援をするもの。
 そして農業、畜産、水産こういった一次産業関係の燃料価格、あるいは飼料価格の高騰影響の緩和対策、これも過去、一定の考え方で継続して行ってまいっております。今回も同様な考え方で措置をしようというもの。それから医療・福祉分野におきます賃上げ物価高騰対応等の支援、これはやや今までとパターンが変わりまして、今までは、国の重点支援交付金というのを県に対して、あるいは市町村に対して包括的にお渡しいただいて、各県、市町村の判断でという形で、直近の例でありますと医療関係、福祉関係、金一封的な一事業者当たり数万円程度の支援というような形で行われてまいりましたが、今回は相当、医療・福祉分野、公定価格での報酬体系の中で、経営も非常にひっ迫しているということがありまして、今回は一つ医療分野に関して言いますと、病院、ベッド数20以上の医療機関、病院になりますが、これについては国が直接執行する。しかし19床以下の診療所、医療法人の診療所に対応するようなもの、あるいはベッドを持たないクリニックとかそういったところ。それから福祉・介護事業者については、これは県でということになりまして、それらについても、国の方で金額等について一定の基準を示されまして、財源は重点支援交付金ではない個別補助金という形で、より国の方の詳細な設計が示された上での支援措置というような形になっております。そうした国の方針に呼応して、医療の方は先ほど申しました診療所関係、福祉は介護関係全般、あるいは福祉の関係の事業所。こういったところに対して物価高騰の対策の支援を行うというものであります。
 その他については、今回高知ユナイテッドスポーツクラブに対します支援の企業版ふるさと納税が、かなりまとまった額をいただくところの支援といいますか、申し出がございましたので、この分を予算計上させていただいて県を経由して、このユナイテッドSCの方に資金を交付しようと、そのための予算計上をお願いするのが2,000万円といった中身になっております。
 全体の計数でありますが、この追加分というところをご覧いただきたいと思います。全体で295億円ほどということでありまして、歳入面では先ほど申しましたように、予算の大部分というか、ほとんどの部分が、公共投資関係ということになりますので、関連しての国庫支出金とか建設事業費でありますと県債の発行を目いっぱい行うというようなところが、歳入の方が中心になってまいります。
 歳出の方も、この公共事業関係が投資的経費ということになりますので、この部分が大半を占めておりまして、それ以外について、ソフト面の経費などが36億円といったような中身になっているということであります。
 以上が私からの説明でございます。よろしくお願いいたします。

(司会)
 各社からの質疑に入ります。質問のある方は挙手をして、社名とお名前を発言してから質問をお願いします。

国の総合経済対策について
(井上・高知新聞社記者)
 全体的なお話になるんですけれども、改めて、国の総合経済対策の評価、そして、今回の補正に当てた項目に、どこに意を払ったのかというのをお聞かせください。  

(知事)
 今回の国の総合経済対策は物価高騰が続きまして、特に国民の皆さんの生活の対策ということで、早期の対策が求められていたわけですが、残念ながら参議院選挙後、約3カ月、この政権の在り方についての議論が続く中で、経済対策への対応が、現実には先送りになってきたことが背景としてございます。結果的に、先週、そういう意味ではやや時間を要しましたが、新政権も発足して、国の経済対策が講じられたということであります。規模感は昨年を上回る、かなり意欲的な、政権は責任ある積極財政のスタンスを示されておりますが、相当規模の経済対策を策定されたことについては、先ほど申しましたように、やや時間がかかったところは残念でありますが、それを踏まえた上で、しっかりとした規模の対策を組んでいただいた。
 特に地方に対する、重点支援交付金は、2兆円規模という、かなり思い切った規模の措置をされた。そういった意味では、地方によります自主的な対応、各県、各市町村の実情を踏まえた支援措置ができるということに、意を払っていただいた対策が組まれたと思っております。
 一方で、やや心配なのは、いわゆる財政規律への懸念が指摘されております。一つには、今、物価上昇、インフレ基調にある中で、積極的に財政支出をしていくことで、インフレに拍車をかけることにならないかという懸念が指摘をされました。あるいは最近、長期金利がかなり上がってきて、18年振りに、もう2%台に近いところまで上がってきております。マーケットは率直に申し上げて与野党を通じて、減税要求も含めて財政出動に対する期待感が非常に強まっているところに関しまして、財政規律はしっかりしてもらわないといけないという意味も込めて、長期金利の上昇傾向が出ているという受け止めを私自身はしております。そういった意味では、政権には今回の経済対策は思い切った規模で、まず、経済の立て直し、強い経済の確立が第一で対策を打たれたことは評価をいたしますが、同時に財政規律をしっかり守っていく、確保していく点も怠りなく目配りをしていただきながら、対応を取っていただくことが大事ではないかなと考えております。 

県の12月補正予算案について
(井上・高知新聞社記者)
 今回の県の補正予算の中に意を払ったことをお聞かせください。 

(知事)
 そうした中で、国からも、先般全国知事会議で総理ご自身からこうした経済対策を講じるので、地方もできる限り年内早い時期に国民の皆さんに、この効果が行き届くように、迅速な対応をお願いしたいというご要請もございました。それを踏まえまして、早急に対応が必要なもの、また、ここ数カ年の経済対策の積み重ねの中でやり方、スキームがほぼ確立してきたもの、これは、もう直ちに着手ができると思っておりますので、そういったものを中心に。医療・福祉はそういった点では、必ずしも、ここ数年の経済対策のやり方と同じではありませんが、こちらは、むしろ国がかなり詳細に配分の基準も示して、これでやってくれ、お金は出すということで、お話があったわけであります。これも非常に関係の事業所の皆さんは苦労されていることもありますから、早急にやろうということで、早急にやるべきもの、できるものを、まずは第一弾として措置をするということであります。実際、全体で2兆円規模の重点支援交付金になりますと、本県にいくらという連絡は、正式にはまだ予算が通っていませんから来ておりませんが、全体的な配分の見通しの規模感としましては、県の場合は、今までの直近の対策分に対して240%程度という連絡が来ております。直近の対策は40億円程度の重点支援交付金ですので、単純に計算しますと、今回の対策で100億円前後の交付が本県の場合、最終的には見通されるだろうということで、かなりの規模感になります。そういったものを踏まえて、今回、とにかく、まず急ぐものを先行して議会にお願いをするわけでありますが、それ以外は、もう少し中身の検討をさせていただいて、特に経済の、私自身は、先々の構造転換を促すような、一度きりの影響緩和、赤字補填に留まらずに、経済の体質自身を強くできるような事業所の生産性向上であったり、生活者の将来の家計にもプラスが及ぶような効果の見込まれる事業、こういったものは、2月の県議会での補正予算なり、来年度の当初予算で、この交付金を活用させていただく対策を考えていきたいと思います。こちらの検討も県庁全体を上げて作業を急ぎたいと思っております。

国の重点支援地方交付金を活用したお米券について
(栗原・時事通信社記者)
 重点支援交付金の1例としてお米券というようなものがありましたが、あまり全国的には評価が高くないように見受けられます。これに対しての評価はいかがでしょうか。

(知事)
 お米券は、今回の重点支援交付金の中では4000億円、食料品支援という特別枠がつくられて、これは市町村に手当てをされて、市町村でどういうふうにお使いになるか判断されると。その中のメニューの例として、お米券も示されたということだと思います。そういう意味では、直接の当事者ではないので、あまり立ち入ったコメントをするのはいかがかと思いますが、昨年来の米価高騰を踏まえて、そういったメニューも国において示されたということだと思っております。実際、報道等でお聞きする範囲では、各市町村の中では、関心は非常に高いと思いますが、現実にやる、やらないという判断に関しては、報道されているところでは、お米券はかなり事務コストが掛かってしまって、生活者と言いますか、国民の皆さん、住民の皆さんに支援する金額は、お米券を使うと逆に目減りしてしまうんじゃないかという問題。あとは速やかに、より自由度が高い形で食料品全般に使えることを考えると、他の一般的な商品券であったり、現金であったり、そちらの方が、住民の方々の目線からすると、ありがたいのではないかというご意見があって、あまりお米券を直ちにやりましょうという反応は多くはないと言いますか、今のところあまり聞こえて来ないというのが、報道を通じて得た情報ではないかと思います。
 今回は、国も敢えて、重点支援交付金という地方が自由に使えるスキームの一例として、お米券もありますよと示されたのだと思います。それに沿って、各市町村で判断をされるであろうということで、国も考えられたスキームの範囲内で運用されようとしているということではないかなと思っています。

南海トラフ地震の震度・津波予測と避難環境整備について①
(古谷・読売新聞社記者)
 今回の補正予算には国土強靭化という部分がかなり盛り込まれていますけれども、10月末の新たな震度分布というか、津波浸水の出たものを受けて、今回踏まえたお考えをお答えいただきたいのと、それと、先日、提案理由の説明の中で、知事が特に南海トラフの中で、震災関連死の防止と、あと避難所環境の整備もおっしゃっていたと思うんですが、現段階で、何か新年度の具体的に考えてらっしゃるものがあればお願いできればと思います。この2点をよろしくお願いします。

(知事)
 1点は、一つの被害想定の前提にありますような、震度分布や浸水区域の見直しが、影響があるかということでありますが、率直に言って、直接的に、この秋に震度分布や浸水面積の見直しをしたところが、今回の国土強靭化の予算に直接、何か因果関係があって連動して、計上した、しないということまではないと思います。
 例えば、三重防護の事業のように、これはこれで別途事業費の増加が見込まれるという発表が、昨日ありましたけれども、事業そのものは、今回の浸水面積が若干減るということにはなりましたが、それとは関係なく、細部において、どの程度の規模をやる、見直しをするということはあるにしても、今回の予算で大きく考え方が変わることは、特にないと思っております。
 お話がありました避難所の環境整備や新しい課題、災害関連死の防止も関連なくはないですが、今回は主としてハード整備でありますので、災害関連死の問題、避難所環境の整備は、むしろ今後、特に当初予算で出てくるであろうソフト面の施策の経費の方が関連性が強いと思いますし、ひいては秋に予定されている防災庁の設置、こういったところの一連の中で、国も施策がより図られてくる部分だと思います。これはどちらかというと、2月議会におきます県の当初予算以降での対応がメインになってくると思っています。

南海トラフ地震の震度・津波予測と避難環境整備について②
(古谷・読売新聞社記者)
 これまで、繰り返しおっしゃっていることだと思うんですけれども、震災関連死の防止と避難所環境整備で、現段階で、今、何か考えてらっしゃること、あるいはこれはやっぱり急がないといけないと思ってらっしゃることがあれば、お願いします。

(知事)
 これまで私自身ちょっと、国の今回の補正予算でどういう対応になったかが、十分確認できておりませんが、国に対して提言をしてまいったのは、昨年の地方創生交付金の中に防災関係の臨時の特別枠ができて、これについて、まさしく避難所環境の整備、そういったものに使える制度がつくられました。ただ、これは1年限りの臨時でありましたので、これを恒久的な制度として、またより使い勝手がいいように、柔軟な制度に見直してほしい、改善してほしいという提言を南海トラフ関係の10県などでも、共同して行ってきております。具体的な対応がどういう方向でされようとしているのかは、まだ十分、情報の収集ができておりませんから、この点の情報収集をしっかりして、それを踏まえて、活用も含めて、県としてどう対応をするのかは、先ほど申しました当初予算以降の対応ということで考えてまいりたいと思っております。

土佐の神楽のユネスコ無形文化遺産への登録申請について
(中川・NHK記者)
 少し補正予算から話はそれますので大変恐縮ですが、全国で伝承されてきた神楽についてお伺いします。先月行われた文化庁の審議会の部会の中で、全国各地の神楽の合わせて40件を一括してユネスコの無形文化遺産に登録提案することを決めました。この中には高知県で伝承されてきた土佐の神楽も含まれています。これに対する知事の受け止めをお願いします。

(知事)
 土佐の神楽につきましては、県内の、特に中山間地域の各地で伝承されてきた伝統芸能であります。これが中山間地域で、特に先行して進んでおります高齢化、人口減少によって継承が難しくなってきている地域も少なからずあると。ここについて、何とか後世にしっかり伝承、継承されるようにと、県としても様々な措置を講じてきたところであります。
 そうした努力の一環として、今年、夏だったと思いますが、神楽が特に残っております関係県で、今お話ありましたユネスコの無形文化遺産登録を目指そうということで、関係の県の知事連合が設立をされて、高知県も副代表で入っております。全体的なまとめは宮崎県知事、あと岩手、島根、こういったところが共同代表という形でお世話いただいていると思いますが、私自身もその発足の会合は参加をさせていただいて、各県力を合わせてユネスコの無形文化遺産登録に向けて頑張りましょうということで、意識合わせをしたところであります。早速、今回の文化審議会で、ユネスコへの提案を行って、神楽は2028年の登録を目指す方向が出たということは、大変喜ばしいことだと思っています。
 本県の場合は、ちょうど来年、国民文化祭が行われます。この先の週末も私自身、先催県の、今年開催をされた長崎での国民文化祭の閉会式にまいりまして、いわゆる大会旗の引き継ぎも受けてまいりましたが、その閉会式の場でも来年の開催県として、津野山の古式神楽のデモンストレーションを行っていただいて、PRをしてまいったということもあります。特に来年の国民文化祭というタイミングは、まさしくこういった中山間地域の伝統芸能の再興を図ることも大きな狙いとして、誘致をさせていただいたわけでありますので、この機会にしっかりと継承の道筋を付けていくということで、さらに努力をしていきたいと思っています。

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