公開日 2026年02月24日
令和8年2月24日 令和8年2月県議会での知事提案説明
1 県政運営の基本姿勢
2 人口減少対策
(1)元気な未来創造戦略の取り組み
(2)中山間地域再興ビジョンに基づく取り組み
(3)「4Sプロジェクト」の推進
3 いきいきと仕事ができる高知
(1)物価高への対応
(2)産業振興計画の推進
(3)地産外商の取り組み
(4)イノベーションの取り組み
4 いきいきと生活ができる高知
(1)日本一の健康長寿県づくり
(2)教育の充実
(3)文化芸術とスポーツの振興
(4)DX・GXの推進
5 安全・安心な高知
(1)南海トラフ地震対策
(2)災害に強いインフラ整備の加速化
6 その他
7 議案
本日、議員各位のご出席をいただき、令和8年2月県議会定例会が開かれますことに厚くお礼申し上げます。
ただ今提案いたしました議案の説明に先立ち、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員各位及び県民の皆さんのご理解とご協力をお願いしたいと考えます。
1 県政運営の基本姿勢
今月8日に行われた衆議院議員総選挙の結果、自由民主党が単独で定数の3分の2を超える316議席を獲得し、日本維新の会と合わせると352議席となりました。これにより、昨年秋に発足した連立政権は圧倒的な信任を受ける結果となりました。
これは、高市内閣が、連立政権の枠組みの変更も含め、一昨年秋以来の少数与党体制下における政治の停滞を打開し、まずは当面の物価高対策などに一定の成果を上げた点が評価されたのではないかと考えます。
加えて、「強い経済の実現」といった明確で分かりやすいメッセージを掲げ、総理自身の強いリーダーシップの下、国政を動かして結果を出すことへの国民の期待が示されたものと受け止めています。
高市内閣には、東京一極集中の是正を含む人口減少問題への対応や国土強靭化の加速など、先送りできない国政の課題に果敢に取り組み、着実に成果を上げることを望みます。
あわせて、選挙期間中に議論された消費税減税をはじめとする国民の負担軽減策については、説得力ある代替財源の提示など、財政の持続可能性の確保を図る具体策について、与野党間での真摯な検討が不可欠と考えます。
昨年は、連続テレビ小説「あんぱん」の放送や、大阪・関西万博における大屋根リングへの県産材の活用など、県経済の活性化の面で明るい話題が多くあった1年でした。
一方で、本県の推計人口は65万人を割り込んだほか、出生数の減少や若者の転出超過も依然として続いています。
こうした人口減少の克服に向けては、県民に高い所得と魅力的な仕事を提供できる「強い経済」と、昔ながらの固定観念にとらわれず、多様な価値観を受け入れる「寛容な社会」を実現し、若者や女性に選ばれる新しい経済社会を築かなければなりません。
あわせて、全国に先駆けて人口減少が進む本県においては、公共交通や医療、消防といった、地域の公共サービスを持続的に提供できる体制の確立に向けて、前例のない大胆な改革に挑戦することが欠かせません。
県としては、こうした取り組みの一環として、県立施設の自律性向上や男性の育児休業取得の促進、さらには常備消防の広域化などの改革を率先して進めてきました。
県民の皆さんには、長年のやり方を変えることについて、様々な不安や抵抗感もあろうかと思います。しかしながら、高知県に再び元気を取り戻し、明るい未来を切り開いていくため、避けては通れない道であると考えます。
やなせたかし先生は「アンパンマンのマーチ」の一節で、「みんなの夢をまもる」使命を帯びたアンパンマンに対して、「愛と勇気だけがともだちさ」と鼓舞しています。私は最近、この言葉の意味を何度も噛みしめています。
私自身の知事としての任期も、2期目の折り返しを過ぎました。新年度は、愛する高知県が人口減少の時代を生き残り、再び活力を取り戻すためのラストチャンスともいうべき正念場の年となります。県庁が改革の先頭に立って「生まれ変わる」勇気を発揮し、オール高知の体制で着実に成果を重ね、前に進んでいく年にしたいと考えます。
そのためにも、引き続き「共感と前進」の基本姿勢の下、県民の皆さんとの対話の機会を積極的に設け、県政に対する共感をいただきながら、様々な課題の解決に取り組みます。
その際には、時代の変化への即応、県民目線に立った横断的・総合的な政策の展開、さらには時間のコストを意識したスピード感のある対応など、従来の県行政の殻を破ったアプローチによって、これまでよりも一歩も二歩も踏み込んだ官民連携を追求します。
具体的には、昨年官民で取りまとめた経営改革モデルの業種横断的な展開を図るための総合補助金の創設や、若者の出会い促進や県外流出の抑制に向けた大手民間事業者との連携など、これまでにない手法で、これまでにない成果を挙げる取り組みに挑戦します。
2 人口減少対策
(1)元気な未来創造戦略の取り組み
本県の将来を左右する人口減少の克服に向け、「元気な未来創造戦略」に基づく取り組みを開始して約2年が経過しました。
出生数、転出超過数など統計データは依然として厳しい状況が続いていますが、そうした中にあっても一部に明るい兆しが見え始めています。
昨年の県内の出生数は速報値で過去最少の3,072人となりましたが、減少幅は縮小しており、県都である高知市の出生数は、4年ぶりに増加に転じました。
また、今月発表された住民基本台帳人口移動報告では、昨年の県外への転出超過数は2,917人と、前年の3,121人よりも改善しました。
その転出超過数の男女別の内訳を見ると、令和5年においては女性が男性の2.34倍に達していたところが、1.05倍まで縮小しており、今後の出生数の回復につながることが期待されます。
来年度は、こうした明るい兆しをより確かなものとし、さらには若年人口の減少の流れを反転させるため、大きく4つの方向性の下、国の重点支援交付金も活用し、特に官民連携の取り組みを質・量ともに大幅に拡充して対策を強化します。
(高付加価値型経済への転換)
1つ目の柱は、「高付加価値型経済への転換」です。
人口減少の克服に向けては、旧来のコストカット型の経済から高付加価値型の経済へと舵を切ることで、県民、とりわけ若者の所得向上を図り、県内に魅力ある仕事を創出することが不可欠です。
これにより、若者の県内定着を通じた社会増に加え、結婚や出産を希望する方々の背中を押すことで自然増の効果ももたらすものと考えます。
このため、昨年取りまとめた16業種58件の経営改革モデルの横展開を含め、高付加価値型の経営を目指す県内事業者を業種横断的かつ強力に後押しするために、質・量ともに大幅に拡充した新たな総合補助金を創設します。
新設する総合補助金は、既存の類似する補助金を整理統合した上で、予算額は統合前から倍増となる15億円を確保します。
また、補助事業者は、第一次産業から第三次産業まで、小規模なサービス事業者や医療・社会福祉法人、公益法人なども含め、県内の中堅・中小企業を幅広く対象とします。
さらに、補助対象とする経費についても、設備投資から販路開拓、人材育成など、ハード・ソフト両面の様々な取り組みを幅広くかつ柔軟に対象とし、事業者側のニーズに応じてオーダーメイド型で支援する仕組みとします。
加えて、若者の県内定着を図る上では、県内に、一定の知名度があって、大都市部と遜色のない魅力的な企業が数多く存在することが必要です。
このため、国が推進する「100億宣言」の取り組みと連携し、県内において、売上高100億円に向けて挑戦する企業の取り組みを後押しします。
具体的には、売上高100億円超を目指す県内企業の登録制度を設け、登録企業については、経営者同士の交流と切磋琢磨を促すと同時に、新たな総合補助金の補助上限額を引き上げて重点的に支援します。
県庁においても、県下最大規模の事業所の一つとして、民間事業者の皆さんと同じ目線に立ち、共に知恵を出し、汗をかいていく観点から、県立施設におけるサービスの高付加価値化に挑戦します。
公社など、各施設の運営団体においては、本年度末を目途に「自律性向上計画」を策定する準備を進めています。多数の集客が見込める新たな企画展示のほか、民間事業者との提携による旅行商品やオリジナルグッズの開発など、創意工夫を凝らした取り組みを検討されているとお聞きしています。
県としては、民間事業者向けの補助制度の門戸を公社にも開くほか、広報体制の強化のために管理代行料を増額するなど、意欲ある団体の取り組みを後押ししていきます。
(多様な人材が活躍できる環境の実現)
人口減少克服に向けた取り組みの2つ目の柱は、「多様な人材が活躍できる環境の実現」です。
人口減少、特に少子化問題の克服に向けては、仕事と子育ての両立が可能となるよう、男性中心の長時間労働を前提とした生活スタイルを改め、柔軟な働き方の下で多様な人材が活躍できる社会へと変えていく必要があります。
来年度は、共働き・共育て社会の実現に向け、県内事業者における男性の育休取得を強く後押しします。特設サイトにおける各企業の育休取得状況の自主的な公表や好事例の発信など、キャンペーンを引き続き展開することに加え、国の重点支援交付金を活用した新たな支援金を創設します。
具体的には、「こうち男性育休推進企業」として登録された従業員数300人以下の事業者に対して、男性の育休取得推進に向けた取り組み状況に応じて支援金を給付することとします。その際、業務の属人化解消や効率化などの課題に対応した取り組み等を総合的に行う場合には支援金を1事業者当たり最大300万円まで増額します。
また、県庁においても、管理職をはじめとする全職員の時間外勤務縮減に向けた意識改革を促す一種の社会実験として、自治体としては全国初となる「時間外勤務手当の割増率の時限的な引き上げ」を行います。
割増率を125パーセントから150パーセントに引き上げる一方、時間外勤務の時間数は150分の125、すなわち6分の5以下に縮減することを目標に、業務の効率化に努めます。
加えて、同じく全国初の取り組みとして、育児や介護等の事情がある方でも短時間の勤務を選択しながら正職員として勤務することが可能となる「短時間勤務職員」の制度を導入しました。
本制度については、様々な職種で合計110名の応募があり、試験の結果10名の方が合格され、多様な人材が活躍できる県庁の実現に資するものと考えます。
(「若者に選ばれる高知」を目指した移住・定住対策の強化)
人口減少克服に向けた取り組みの3つ目の柱は、「『若者に選ばれる高知』を目指した移住・定住対策の強化」です。
近年、転職を理由とする若者の県外転出が増加しており、その要因の1つとして、県内企業の情報が、転職希望者へ十分に届いていないことが考えられます。
このため、新たに大手求人サイトなどを活用した県内企業の情報発信を手厚く支援するほか、県内企業の採用活動を支援する補助金を創設し、県内はもとより、県外からの転職や新卒就職も含めた企業の人材確保を支援します。
あわせて、転職を検討する県内の若者に対して、高知県UIターンサポートセンターの相談体制を強化し、転職に伴う県外転出の抑制を図ります。
さらに、将来、より多くの学生に高知に残り、また、戻っていただくことを目指し、地域への理解と愛着を育むキャリア教育を推進します。
具体的には、県内の国公立大学と連携して、中高生を対象とした大学体験ツアーを実施するほか、私立学校におけるキャリア教育の取り組みを、運営費補助金の加算などを通じて後押しします。
(若者のニーズに応じた出会いの機会の拡充とライフデザイン支援)
人口減少克服に向けた取り組みの4つ目の柱は、若者の「ニーズに応じた出会いの機会の拡充とライフデザイン支援」です。
来年度は、結婚の意思はあるものの行動を起こしていない方々の出会いに向けた活動を後押しするため、新たに民間のマッチングアプリ運営事業者と連携し、1,000人程度の利用を想定したアプリ利用料の助成制度を設けます。さらに、100人規模の参加者を一堂に集め、専用のアプリを活用して若者が効率的に出会うことができるイベントを実施します。
また、若者が自身の人生における結婚や子育ての意味について考える機会を提供することで、将来への不安を解消し、希望する人生を歩むことができるよう、新たな啓発事業に取り組みます。
(外国人材の受け入れと多文化共生)
昨年10月末時点における県内の外国人労働者数は、前年比で11.8パーセント増の5,916人と過去最高を更新しました。
生産年齢人口の減少が進み、あらゆる産業分野で担い手不足が深刻化する中、外国人材の受け入れは、事業者における事業の維持、発展のための有効な対策の一つとなっています。
そのため、昨年に人材交流に関する覚書を締結したインド北東部のナガランド州をはじめ、新たな送り出しが期待できる地域において、本県のPRを強化します。
さらに、技能実習生等を受け入れる事業者や技能実習生等の入国後講習施設を整備する事業者への補助を行うなど、受入体制の強化を図ります。
また、来年4月から育成就労制度が開始され転籍の要件が緩和されることにより、賃金水準の高い大都市圏へ外国人材が流出することが懸念されます。
こうしたことから、本県を含む地方部にあっては、外国人材の流出を防ぐためにも、日本語学習などのコミュニケーション支援や生活支援などの施策を総合的に推進していくことが求められます。
本年度末には「高知家・多文化共生推進プラン」を策定し、市町村や事業者の皆さんと共に、高知県に住む全ての方々が国籍に関わらず互いに尊重し合い、活躍できる社会の実現を目指します。
(2)中山間地域再興ビジョンに基づく取り組み
少子高齢化が先行して進む中山間地域の活力を取り戻すため、「中山間地域再興ビジョン」に基づいて、少子化対策と一体となった中山間対策を推進しています。
本年度は、祭りや農作業などの集落活動と都市部の若者をつなぐ「いこうち!」の取り組みや、地域みらい留学などを活用した県立高校への入学者の確保などにより、一定の成果を上げることができました。
その一方で、中山間地域の若年人口の減少は続いています。
このため、来年度は、「いこうち!」の参加団体を拡大して関係人口創出の取り組みを加速させるほか、UIターン希望者への転職支援や地域おこし協力隊の隊員確保に向けた情報発信の拡充など、施策の強化を図ります。
また、農業とその他の仕事を組み合わせた新規就農者への支援の拡充、長期滞在向けの分散型ホテル整備への支援、企業立地補助金の宿泊業への拡大など、中山間地域における魅力ある仕事の創出に向けて施策を拡充します。
人口減少対策総合交付金については、市町村が地域の実情に合わせて実施する取り組みを総合的に支援しています。このうち中山間地域の県立高校の生徒の居住機能を備えた交流センターの整備事業については、通常の交付限度額とは別枠で交付金を配分しています。
このため、4年間の計画期間の折り返しとなる来年度は、交付金の総額を13億円に増額するほか、事業の成果検証や改善に向け、専門家によるフォローアップの対象市町村を拡大するなど、取り組みの実効性を高めます。
加えて、市町村の人口減少対策のバージョンアップの具体化に向け、県と専門家のチームによる伴走支援や専門アドバイザーの派遣を行うなど、県と市町村が一体となって、着実な成果につなげます。
また、交付金の配分を通じて4Sプロジェクトの議論の場への積極的な参画を促す仕組みを導入し、公共サービスの持続可能な提供体制の整備を後押しします。
(3)「4Sプロジェクト」の推進
このように若者の人口減少に歯止めをかけるべく一連の取り組みを進めていますが、高齢化が既に進行した本県の人口構成を踏まえれば、当面、県の総人口の減少が続くこと自体は避けられません。
こうした状況にうまく適応し、公共交通や医療、消防といった公共サービスについて持続可能な提供体制を再構築することを目指し、「Smart Shrink for Sustainable Society」、すなわち、賢く縮む「4Sプロジェクト」の取り組みを、引き続き推進します。
このプロジェクトでは、複数の事業体が「集合」して規模の利益を追求し、中山間地域などで真に必要なサービスはむしろ「伸長」、充実させていく。その一方で、無駄や重複する部分は省き、あるいは簡素な手法に替える形で「縮小」させ、かつ、その際には前例の踏襲ではなく、全国初の取り組みを含めて、新しいやり方の「創造」を目指します。
(消防広域化)
このうち消防の広域化については、県内全ての市町村長や消防長で構成する検討会において、いわゆる県一消防体制を目指す基本計画案の審議を進め、先月、了承をいただきました。その後、パブリックコメントの手続を経て、今月20日、県において基本計画を決定しました。
来年度は、この基本計画に従い、地方自治法に基づく協議会の設置に先立って県内市町村長等による任意の実務協議会を設置し、実施計画案を作成することとしています。
これに向けて、先月から、書面及びヒアリングにより今後の進め方等に関する市町村長の意向調査を行いました。
その結果、現時点では、「消防本部の統合に向けた議会議決と統合の実行は、それぞれ全県の市町村が足並みをそろえて一斉に行うことが望ましい」というご意見が多数を占めました。
また、段階的な統合については、本部機能全体の統合に先行して人材確保等の事業を共同で行うことへの関心を示す意見が目立ちました。
5月に開催する予定の第1回実務協議会においては、こうした市町村長のご意見なども踏まえ、今後の消防広域化の進め方や、実施計画案の骨子に関して県からの提案をお示ししたいと考えます。
あわせて、職員の勤務条件や車両装備等の整備水準の均一化などに関する論点を整理した上で、市町村の財政負担の変化に関する最新の試算なども提示したいと考えています。
これらを踏まえて、協議会の全体会や、県内6つの地域ブロックごとの部会において市町村長間の協議を進めます。また、4つの専門部会などで分野別の実務的な議論を深め、年内を目途に実施計画案の要綱並びに広域連合及び法定協議会の規約案を取りまとめたいと考えます。
市町村及び県の議会に対しては、この間、協議会での議論の状況を節目節目で報告した上で、来年度末を目途に、広域連合及び法定協議会の設置の議案を上程し、議決をいただくことを目指して取り組むこととします。その上で、遅くとも令和9年度前半までの間には、全団体の議会の議決を得る必要があると考えています。
人口減少に打ち勝ち、将来にわたって県全体の消防力を確保していくためには、長期的な広い視野を持って広域化を進める必要があります。
今後も、県が調整役となって、今まで以上に市町村や消防本部の思いを汲み取りながら、丁寧に議論を進めます。
(公共交通の維持確保)
本県の公共交通は、人口減少に伴う利用者の減少や運転士不足などの課題に直面しており、地域の実情に即した効率的で持続可能な仕組みを整えていく必要があります。
こうした状況を踏まえ、中央地域では、その担い手であるとさでん交通の経営安定化に向けた支援を行うことに加え、路線バスや路面電車のあり方について、県と沿線市町、事業者で議論を深めてきました。
このうち路線バスについては、高知市が中心となって検討の上、本年度中に概ね5年後の中期的な姿をお示しいただくことになっています。
また、路面電車については、県が中心となって基礎調査を進め、本年秋頃を目途に、路線バスとあわせた中長期的な取り組みの方向性を取りまとめることとしています。
基本的な方向性としては、路面電車と路線バスの役割分担を明確化し、相互に補完し合う運行体制を目指します。
具体的には、路面電車を中央地域の幹線の軸として、路線バスは幹線機能の補完や支線交通を担うものとしてそれぞれ位置付けることで、効率的な交通ネットワークを構築していきます。
その中で、並走区間の見直しや需要に応じた運行により運転士の余力を生み出し、路線の拡充を図るなど、利用者の利便性を高めていきます。
また、中央地域以外の地域においても、本年度、県内6つの地域ブロックごとに中央地域と同様に、県、市町村、交通事業者からなるワーキンググループを新たに設置しました。
各ブロックでは、主に市町村営交通に関して、複数の市町村で共同運行する仕組みや、交通空白の解消に向けた公共ライドシェアの拡充などを念頭に、検討を進めています。
加えて、市町村営交通の運行主体となる路線バス事業者や地域のタクシー事業者の経営安定化を図り、住民の生活の足をさらに確保して、交通空白の解消を目指します。
こうした各地域の公共交通のあり方の見直しについては、来年度改定する県の地域公共交通計画にその方向性を盛り込み、着実に実行に移します。
これら一連の取り組みを通じて地域のニーズに応じたきめ細かなサービスの確保に努め、将来にわたり持続可能な公共交通ネットワークの構築を目指します。
(県立高等学校の振興と再編)
過疎化や少子化が進む中山間地域において、高等学校は生徒の教育機会を確保する重要な拠点であると同時に、地域の活性化の観点からも、その存在意義は大きいものと考えます。
このため、本年度から開始した県立高等学校振興再編計画では、高校の総定数や学級数が縮減する中でも、中山間地域の小規模校については、存置の基準となる生徒数などの最低規模を都市部の学校よりも大幅に緩和しています。その上で、学校が地元市町村と一体となって生徒数の確保に取り組むこととしています。
具体的には、現在、該当する中山間地域の13校のうち12校が、それぞれ地元市町村などとの協議の場として「地域コンソーシアム」を設置しています。そのうち10校が、令和10年4月の入学者数などの努力目標の達成を目指してアクションプランを策定し、特色ある探究活動や部活動を展開しています。
例えば、窪川高校では「野球部復活」を掲げ、町をはじめとする地元関係者の協力の下、指導者招聘や練習施設の整備などに取り組んでいます。
また、室戸高校と中村高校西土佐分校では、県外からより多くの入学生徒を受け入れるため、市が学生寮の機能を備えた居住施設を新たに整備する計画が進められています。
来年度も、各地域コンソーシアムにおける議論をさらに加速し、地元市町村と一体となった魅力化の取り組みを推進します。
(周産期医療体制の確保)
周産期医療体制については、昨年度策定した「ロードマップ」に沿って、当面、中央・安芸・幡多の3圏域の分娩体制を確保しながら、中央圏域における中長期的な施設の集約化や役割分担のあり方について検討しています。
来年度は、あき総合病院において院内助産システムの運用を開始するほか、中央圏域におけるローリスク大規模分娩取扱施設の必要性や整備の方向性などについて議論を取りまとめたいと考えています。
(国民健康保険の保険料水準の統一)
国民健康保険については、人口減少と高齢化が進む中、制度の持続可能性と加入者間における負担の公平性を確保するため、令和12年度に保険料水準を統一することを目指しています。
統一に向けては、県と市町村が一体となり医療費の適正化や事務の広域化、標準化などを進めており、来年度は県と市町村でこれまでの取り組み状況の中間確認を行い、今後の進め方を改めて協議します。
3 いきいきと仕事ができる高知
次に、目指すべき3つの高知県像のうち、まず「いきいきと仕事ができる高知」に向けた取り組みについてご説明申し上げます。
(1)物価高への対応
足下の県経済は、雇用者所得の増加や企業業績の改善の動きも見られる一方で、長引く物価高と人件費の上昇による事業者への影響が拡大しています。
このため、国の重点支援交付金も活用して、様々な分野の事業者に対して物価高の影響緩和のための支援を行うと同時に、新設する総合補助金などにより、高付加価値型経営を目指す構造転換の取り組みを強力に後押しします。
また、持続的な賃上げによる賃金と物価の好循環を実現するため、来年度は、国の重点支援交付金を活用した臨時的な対応として、これまでよりも踏み込んで、中小企業の賃上げを直接的に支援します。
具体的には、県や国の補助事業を活用して生産性の向上などに取り組み、持続的な賃上げを目指す事業者に対し、賃上げ原資に相当する経費の一部として、従業員1人当たり10万円を支給します。
こうした取り組みにより、物価高に強い経済への構造転換を進めます。
(2)産業振興計画の推進
第5期の産業振興計画全体を貫く目標である1人当たりの県民所得の向上については、直近では全国との差が逆に拡大傾向にあり、さらなる対策の強化が必要です。
このため、来年度に向けた産業振興計画のバージョンアップにおいては、「高付加価値型経済への転換」と「人への投資の推進」の両輪の取り組みによって県経済の活性化を図ります。
具体的には、国の重点支援交付金も活用し、新たな総合補助金の創設などにより、持続可能な経営への構造転換を目指します。
また、現在国は、地域未来戦略の柱として、地域に関連産業を集積し、企業、大学、研究機関などが連携を図りながら地域の強みを活かした新産業、新事業の創出を目指す「戦略産業クラスター形成」を推進しています。
本県でもこれに呼応し、高知県の強みである第一次産業を核とした「食」を中心に据え、観光や製品開発、機能性に着目した研究開発など、関連する産業の面的な集積を目指す「フードテッククラスター」の形成を促進します。
(3)地産外商の取り組み
(関西圏との経済連携の強化)
関西圏との経済連携では、当面の大きなターゲットであった大阪・関西万博が閉幕し、4年間を期間とする第2期戦略も折り返し地点となることから、戦略のバージョンアップを図ります。
豊かな自然や文化、温かい県民性といった本県ならではの「SUPER LOCAL」な魅力で、「潤い」や「癒やし」を関西に提供し、関西からは経済活力を呼び込むという相互補完の関係を一段と強化します。
具体的には、関西と高知の間で市町村、企業間の新たな連携の構築に努めるほか、関西在住の本県ゆかりの方々とのつながりを強化します。
加えて、令和12年度を予定する「大阪IR」の開業に向け、県産の木材や食材といった県産品の販路拡大を目指した取引先の開拓にも取り組み、本県経済のさらなる浮揚につなげます。
また、大阪・関西万博では、シンボルとなった「大屋根リング」への県産材の活用などにより、日本一の森林県である本県の魅力を強くアピールすることができました。こうした実績をレガシーとして生かし、高知龍馬空港やJR高知駅など、県民や観光客の皆さんの目に触れやすい施設において、「大屋根リング」などに使用された木材を、魅力的な形で再利用します。
(輸出拡大の取り組み)
人口減少に伴う国内市場の縮小が避けられない中、将来にわたって県経済を発展させていくためには、活力ある海外市場への進出が不可欠です。
このため、基幹品目のユズ、土佐酒、水産物をはじめとする食品分野や、防災関連製品に代表されるものづくり分野など、本県の強みを生かせる輸出品目の発掘や、意欲的な事業者への支援などに取り組んできました。
来年度、食品分野では、基幹品目、特に土佐酒を中心として、現地に取引ルートを持つ商社との連携事業に、新たに成果報酬の仕組みを盛り込むことで、さらなる輸出拡大を図ります。
また、防災関連製品をはじめとするものづくり分野では、現在タイとベトナムに設置しているサポートデスクを新たにフィリピンとインドネシアにも拡大します。こうした支援体制の強化を図ることで、県内企業の海外展開をより一層後押しします。
(観光振興の取り組み)
本年度は、「あんぱん」の放送と地域博覧会「ものべすと」の開催に加え、大阪・関西万博での大規模イベントや、100隻を超えるクルーズ船の寄港など、本県の観光にとって明るい話題の多い年でした。その結果、昨年の県外観光客入込数は、過去2番目となる457万人となりました。
来年度は、10月に開幕する「よさこい高知文化祭2026」と、現在開催中の「どっぷり高知旅キャンペーン」をしっかりと連動させることで、さらなる観光振興と地域の活性化を図ります。
文化祭の開催に合わせ、誘客の核となる夜間イベントとして、よさこい鳴子踊りの披露や高知城の開館時間の延長などを行うほか、日曜市やおきゃくなど、本県ならではの文化を積極的に発信することで、誘客を拡大します。
また、令和5年5月に就航した台湾からの定期チャーター便は、9割を超える高い搭乗率で順調に運航を続けており、本年10月までの運航期間の延長も決定しました。
今後は路線の維持、定着に向け、インバウンドに加えてアウトバウンドの促進についても取り組みを強化するほか、新たに、韓国からの航路の誘致にも取り組みます。
高知龍馬空港の国際線新ターミナルビルの整備事業については、昨年末、当初想定していなかった地下埋設物が発見され追加工事が必要となりました。
これにより、本年秋を予定していた一部供用開始が来年1月末まで遅れる見通しとなりましたが、全面供用の開始時期については、当初の計画どおり来年春を目指し、施工業者にもご協力いただきながら、急ぎ工事を進めます。
(4)イノベーションの取り組み
本県が目指す高付加価値型経済への転換を実現するためには、最新のデジタル技術を導入して新製品の開発や生産性の向上を図るなど、産業の各局面におけるイノベーションを進めることが不可欠です。
(各産業分野でのデジタル化推進)
産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、大都市部からの遠隔地という、本県が抱える地理的な障壁の克服や情報処理速度の飛躍的な向上を通じて、事業者の「稼ぐ力」を高めると同時に、若者にとって魅力的な職場づくりを後押しします。
農業分野では、IoPクラウド「SAWACHI」の利用農家数が先月末時点で1,750戸を超え、農業現場におけるデータ活用が進んでいます。来年度は、各生産者の環境データと目標値を自動的に比較する機能を追加し、生産性の向上に取り組みます。
林業分野では、森林クラウド「Clowood」を活用し、地形などのデジタルデータを基に林業適地を選定して効率的に再造林を促進することで、県内の再造林率は66パーセントまで高まってきました。
こうした取り組みをさらに前進させるとともに、市町村と林業事業体が連携した森林の経営管理の集約化を支援し、森林の循環利用を一層推進します。
水産業分野では、本年度、産地市場のスマート化のモデルに位置付けている土佐清水地域で、計量から入札、データベースへの登録までの一連の作業をデジタル化する仕組みを、全国で初めて導入しました。来年度は、こうした取り組みを県内の他の地域へ横展開し、産地市場の業務改革を進めます。
商工業分野では、県がAI技術を活用したシステム開発を県内IT事業者に発注し、受注業者が業務で得たノウハウを他の事業者にも提供することで、業界全体の技術力や信用力を高め、将来的な地産外商につなげます。
土木分野では、県発注工事において、遠隔施工や3Dプリンタなどを活用したモデル工事を実証します。加えて、小規模事業者によるICTの日常業務への活用を支援し、デジタル技術の活用の促進と、魅力ある現場環境の創出を図ります。
(新たな産業の創出)
産学官が連携し、本県経済の柱となり得る新しい産業の創出にも引き続き取り組みます。
アニメ産業の集積を目指すアニメプロジェクトでは、これまでの取り組みの結果、アニメ関連企業からの県内への進出に関する問い合わせが増えてきています。
こうした動きも見据えながら、コンテンツ産業を基幹産業として育成しようとする国の政策にも呼応し、人材育成と企業誘致をさらに推進することで、クリエイターや関連企業の集積につなげます。
グリーン化関連産業では、本年度から生産を開始した竹繊維を主原料とする複合材料「バンブープラス」などによる竹資源の利用拡大に向け、原料となる竹材を搬出するための作業道の整備を支援します。
今後も、こうしたグリーン化関連産業の育成や、本県の強みである豊かな自然を生かした森林吸収源対策などの取り組みを進め、オール高知体制での脱炭素化の実現と、「経済と環境の好循環」の創出を目指します。
(スペースポート構想)
昨年10月、一般社団法人「スペースポート高知」の方々から、ロケット発射拠点を本県に整備し、宇宙産業の振興を目指す「スペースポート構想」について政策提言をいただきました。
本県の元気な未来に期待が膨らむ、夢のあるプロジェクトであると感じる一方、その実現には、事業としての採算性や適地の確保、多額の資金の調達方法など、乗り越えるべき課題も数多くあります。
このため、来年度は、専門機関の協力を得て実現可能性の調査を行うことに加え、産学官による研究会を立ち上げ、どういった条件が整えば実現ができるのか、という観点から検討を行います。
4 いきいきと生活ができる高知
次に、「いきいきと生活ができる高知」に向けた取り組みについてご説明申し上げます。
(1)日本一の健康長寿県づくり
第5期の日本一の健康長寿県構想では、「県民の誰もが住み慣れた地域で、健やかで心豊かに安心して暮らし続けることのできる高知県」の実現を目指して、4つの柱に基づく取り組みを強化します。
1つ目の柱は、「健康寿命の延伸」に向けた取り組みです。
令和元年度から令和4年度にかけて、本県の健康寿命の全国順位が低下しており、壮年期の死亡率の高さがその一因となっています。
特に、循環器病が死因の上位を占めていることから、来年度は、重症化リスクのある未受診者・治療中断者を医療につなぎ、重症化を予防するため、新たに循環器病重症化予防プログラムによる取り組みを開始します。
また、月経随伴症状や更年期症状といった女性特有の健康課題について、症状のある方を早期かつ適切に医療へつなぐ方策を講じ、女性がいきいきと仕事や生活をできる環境を整えます。
2つ目の柱は、「医療・福祉・介護サービス提供体制の確立」に向けた取り組みです。
人口減少や高齢化、物価高などにより、医療、福祉、介護サービス事業者の経営環境が厳しさを増す中、将来にわたって持続可能なサービス提供体制を確保していくための対応が急がれます。
このため、先の12月補正予算に引き続き、国の重点支援交付金や「医療・介護等支援パッケージ」を活用し、賃上げや物価高への対応、生産性向上などを強力に支援します。
特に、運営が厳しい状況となっている訪問介護事業所については、遠隔地の利用者に係る介護報酬への県独自の上乗せ補助を拡充するほか、音声入力ソフトの導入などを通じた業務の効率化を支援します。
医療分野では、人口減少がさらに進む2040年以降を見据え、新たな地域医療構想の策定作業を開始します。
今後の医療ニーズの減少に対応していくためには、各医療機関の役割分担を明確化し、診療科の再編や集約化を進めるなど、限られた医療資源を最適配置することが不可欠です。
その際には、地域における救急医療確保に対するニーズが引き続き極めて大きいものと見込まれます。このため、地域医療構想の策定に先立って、国の重点支援交付金を活用して救急医療体制の強化を図ることとし、これまで救急搬送の受け入れに実績を上げている医療機関を対象に、高額医療機器などの導入を支援します。
さらに、在宅医療や介護サービスなどとの連携体制も含め、持続可能な医療提供体制の実現に向けて関係機関と協議を進めます。
本県の東部地域は、医療病床や介護施設が少なく、訪問看護や訪問歯科診療の充実、在宅医療人材の育成・確保などを通じて在宅サービスの提供が促進されることが望まれます。
このため、安芸市のご協力の下、同市内に令和9年度の開設を目指して「東部地域多機能支援施設」を整備し、訪問看護支援センターや看護師養成所などの機能を集約して、地域の各事業所を支援する拠点とします。
3つ目の柱である「こどもまんなか社会の実現」に向けては、不妊治療の受診に係る交通費の助成制度の創設や、産後ケア事業の普及拡大などに取り組み、安心して妊娠、出産、子育てができる環境づくりを着実に進めます。
加えて、子育てしやすい環境づくりを目的として、季節や天候に左右されない、屋内の子どもの遊び場整備を促進します。
4つ目の柱である「高知型地域共生社会の推進」では、防災分野とも連携を深め、実効性のある災害ケースマネジメントにつながるよう、平時から災害時も見据えた包括的な支援体制づくりに取り組みます。
また、地域の子どもを対象としたものづくり体験など、人と人とのつながりを創出する新たな地域活動を行う企業などの参画を求め、地域の支え合いの力や県民意識の醸成を図ります。
(2)教育の充実
教育の充実については、第3期教育大綱に基づき、確かな学力、健やかな体、豊かな心の育成を目指して取り組んでいます。
まず、学力向上については、近年、全国学力・学習状況調査において全国平均を下回る中学校の数学と英語について、取り組みの強化を図ります。
来年度は、この2教科について、県内5つの地域ブロックごとに教員のネットワークを構築し、授業改善のための意見交換など教員同士が連携した取り組みを進め、教員の指導力と生徒の学力の向上を目指します。
次に、不登校対策については、近年、不登校児童生徒の出現率が全国平均を下回るなど、これまでの取り組みの成果が一定程度出ています。一方で、出現率は依然として増加傾向にあり、多様な教育機会の確保に向けた取り組みが急務です。
このため、校内サポートルームの増設に加え、いわゆるメタバースを活用したオンラインによる学習支援を拡充するほか、来年度から高知市及びいの町に開校する「学びの多様化学校」に対して人的支援を行います。
また、こうした教育の充実を支えるためには、教員が本来の専門性を発揮し、子どもと向き合う時間を確保することが不可欠です。
このため、教員業務支援員などの活用、さらには自動採点システムの運用といった働き方改革の取り組みにより、教員の負担軽減を図ります。
県内の公立中学校における部活動についても、令和10年4月までに、休日は外部人材の活用や地域クラブ活動により指導する体制への移行を目指します。
県立高校の魅力化・特色化の取り組みでは、入学検査の時期を従来よりも早めた「こうちフロンティア募集」を新たに導入し、県外から75名が合格しました。来年度は広報体制を一段と強化し、生徒数確保に向けて地元市町村と協働しながら取り組みます。
加えて、中山間地域などに所在する小規模校や産業系専門高校、定時制高校のより一層の魅力化に向け、新たに通学費助成として、通学定期代の2分の1を支援します。
さらに、生徒の多様な学びのニーズに対応するため、新たに、まんが・アニメコースと、日本語指導を必要とする外国人生徒などに対応したコースを、高知丸の内高校に設置することとしました。令和10年度の開設に向けて、カリキュラム編成や講師の確保など具体的な準備を進めます。
(保護者の負担軽減策など)
来年度は、国が進める保護者の負担軽減策として、いわゆる高校無償化については所得制限を撤廃し支給上限額も引き上げるほか、「学校給食費の抜本的な負担軽減」に対応し、県事業として、公立小学校等の給食費への補助を開始します。
また、県立高校等に在籍する生徒が使用する学習用タブレット端末の更新については、国の重点支援交付金を活用し、全額公費で行います。
加えて、近年、物価高の影響により県立高校の食堂を運営する事業者の撤退が相次いでいることを踏まえ、人件費や食材費の高騰分などを補助することで、事業の継続を支援します。
(3)文化芸術とスポーツの振興
本年10月に開幕する「よさこい高知文化祭2026」に向けては、先月18日に、広報大使をお願いしている島崎和歌子さんらをお招きしてプレイベントを開催するなど、大会の認知度向上と気運醸成に取り組んでいます。
また、伝統芸能や伝統工芸、郷土料理といった、本県が全国に誇る地域の文化資源の魅力を生かした多彩なプログラムが実施できるよう、市町村や関係団体と連携し準備を進めています。
今後は、大会終了後も見据え、市町村による文化芸術活動などへの支援を行うことに加え、多くの皆さんに大会にご参加いただけるよう、広報を一層強化するなど、大会の成功に向け、官民一体で取り組みます。
スポーツの振興については、今月1日から埼玉西武ライオンズの春季キャンプが春野総合運動公園で実施され、新たに整備した屋内ブルペンについても、選手の皆さんに大変好評であると伺っております。
加えて、来月には、本県では14年ぶりとなるプロ野球オープン戦として、埼玉西武ライオンズと東京ヤクルトスワローズの試合が予定されています。
こうした取り組みは、スポーツの振興に加え、県外からの入込客数の増加による経済の活性化や観光振興に大きく寄与するものであり、今後も受入体制や誘致活動の強化を図ります。
(県民体育館の再整備)
新しい県民体育館の整備については、昨年12月に開催した検討会において、高知市との合意内容を踏まえた最新の整備案をお示しし、基本計画の取りまとめに向けた検討を進めています。
そうした中で、高知ぢばさんセンター大ホールとの機能集約化や地下駐車場の整備といった新たな論点が生じたほか、整備後の運営コストの見通しや民間活力の導入可能性調査を踏まえた整備・運営手法のあり方などについても、より精緻な検討が必要であると感じています。
このため、新年度に向けて検討会の体制を強化した上で、今年の夏頃までには基本計画を策定できるよう、しっかりと議論を進めます。
(4)DX・GXの推進
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、県民生活の利便性を飛躍的に高め、生活スタイルの一新をもたらします。
県内の主要なバス路線と路面電車で利用されている交通系ICカード「ですか」については、システムの更新期限が2年後に迫っています。
その後継として、JR西日本が開発し、全国で相互に利用することができる「ICOCA」の導入を、県、市町村が協調して支援します。これにより、県民はもとより、国内外からの来訪者も含めた利便性の向上を図ります。
加えて、キャッシュレス決済の普及促進を図るため、県内のデジタル地域通貨を発行する法人等が行う利用促進の取り組みを支援します。
GX(グリーントランスフォーメーション)の取り組みでは、ガソリンと軽油のいわゆる暫定税率の廃止によりCO2排出量の増加が懸念されることを踏まえ、国の重点支援交付金を活用して脱炭素化対策を強化します。
具体的には、自家用車の利用の増加を抑制するために公共交通機関の利便性向上や利用促進を図るほか、省エネ性能の高い家電製品の購入支援や、県民や事業者への電気自動車等の導入支援などを行います。
5 安全・安心な高知
次に、「安全・安心な高知」に向けた取り組みについてご説明します。
(1)南海トラフ地震対策
南海トラフ地震対策については、国の新たな被害想定をベースとした、より精緻な高知県版の被害想定を来月末に公表することとしています。その中では、人的な被害や建物の被害などに加え、新たに災害関連死の想定結果を公表する予定です。
災害関連死の防止に向けては、国際的なスフィア基準に適合するよう、トイレ・キッチン・ベッド(いわゆるTKB)の対策や、避難所の居住スペースの確保など、避難環境のさらなる改善に取り組む必要があります。
避難所の居住スペースの確保については、昨年12月、県と高知市、香美市、高知工科大学などの6者で、広域避難に関する協定を締結しました。
また、被災地の多様なニーズに応じた支援を行うため、今月、災害ボランティア団体の活動を調整する災害中間支援組織を県と高知県社会福祉協議会が共同で設置するための協定を締結しました。
来年度からは、円滑な被災者支援が実施できるよう、企業やNPOなどとの連携強化を図るとともに、活動の中核となる人材育成にも取り組みます。
増加が見込まれる負傷者への対策についても、抜本的な強化が必要です。
国の新たな被害想定で見込まれる負傷者数は、旧想定の2.1倍にあたる9万9千人に上ります。県内の既存の医療資源による対応能力を考慮すれば、まずは防災・減災の取り組みにより、現実の負傷者数の発生を大幅に減らすことが重要です。
その上で、災害拠点病院をはじめとする県内の各病院が地震による停電、断水、倒壊に耐え、外部からの支援が到着するまでの間、自力で医療を継続することを目指す強靱化の取り組みなど、医療救護体制の強化に努めます。
こうした取り組みを含め、来年度は、第6期南海トラフ地震対策行動計画のバージョンアップの中で、新たな被害想定を踏まえて必要となる対策を盛り込み、被害の軽減に向けた取り組みをさらに強化します。
(2)災害に強いインフラ整備の加速化
地域の経済活動を下支えし、南海トラフ地震などの大規模災害に備えるためには、道路や堤防、港湾といったインフラ整備の加速が不可欠です。
四国8の字ネットワークは、地域経済の活性化や自然災害への備えを高めるために不可欠な高規格道路網であり、他県や関係市町村とも連携して、早期にミッシングリンクが解消されるよう、国に対し継続的に訴えてきました。
先月21日には、四万十市や安芸市とともに関係省庁を訪れ、早期開通に向けた整備促進と、必要となる予算の確保を求めて提言活動を行いました。
加えて、国道33号のバイパスとして整備される高知松山自動車道の「いの」から「越知」までの区間について、先月22日に都市計画審議会を開催し、都市計画決定に向けた手続きを進めています。
高規格道路の整備をより一層促進するためには、通常予算に加え、国土強靱化の予算、財源もしっかりと確保していくことが極めて重要です。
今後も、未事業化区間の早期事業化や事業中区間の早期開通、さらには暫定2車線区間の4車線化に向け、引き続き、関係市町村や他県とも連携し、国に対して積極的に政策提言を行います
6 その他
(知事公邸のあり方)
現在私が居住している知事公邸については、昭和38年の竣工から60年余りが経過し老朽化が進んでいるほか、時代の進展とともに、その果たすべき役割も変化してまいりました。
このため、来年度には有識者会議を立ち上げ、将来的な公邸のあり方に関してご議論をいただきたいと考えます。この会議における結論を踏まえ、広く県民の皆さんのご意見もお聞きした上で、令和9年の夏頃を目途に、県としての対応方針を決定したいと考えています。
7 議案
続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
まず、予算案は、令和8年度高知県一般会計予算など41件です。
今回の当初予算の編成にあたっては、本県の最重要課題である人口減少の克服に向け、これまでより一歩も二歩も踏み込んだ官民連携によるオール高知の体制で挑戦できる予算となるよう、国の重点支援交付金も活用して工夫を重ねました。
その結果、一般会計当初予算額は5,071億円と、前年度比で330億円、7.0パーセント上回る規模となりました。
また、国の経済対策分を含む実質的な投資的経費は、物価高を踏まえた価格転嫁などを反映し、前年度から3.7パーセントの増となる1,214億円を確保しました。
一方で、国の有利な財源の活用や事業のスクラップアンドビルドの徹底など歳入歳出両面での努力を重ねた結果、令和8年度当初予算編成後の財政調整的基金の残高は、前年度同期を上回る215億円を確保できる見込みです。
このように、今回の予算編成においても県勢浮揚と県財政の持続可能性の両立を図ることができたと考えていますが、本県の財政運営は、地方交付税制度などをはじめとする国の動向に大きく左右されます。
このため、引き続き国に対し、地方一般財源総額の充実や税源の偏在是正、減税に係る安定的な代替財源の確保といった政策提言を積極的に行うと同時に、歳入歳出両面の見直しを徹底し、安定的な財政運営に努めます。
このほか、条例議案は、高知空港国際線ターミナルビルの設置及び管理に関する条例議案など22件です。
その他の議案は、高知県が当事者である訴えの提起に関する議案など9件です。
報告議案は、令和7年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告の1件です。
以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わります。
何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。