令和8年6月25日 令和8年6月県議会での知事提案説明

公開日 2026年06月25日

令和8年6月25日 令和8年6月県議会での知事提案説明

1 県政運営の基本姿勢
2 人口減少対策
(1)元気な未来創造戦略の取り組み
(2)4Sプロジェクトの推進
(3)中山間地域再興ビジョンに基づく取り組み
(4)国への政策提言
3 いきいきと仕事ができる高知
(1)産業振興計画の推進
(2)地産外商の取り組み
(3)イノベーションの取り組み
(4)四国地域広域リージョン連携
4 いきいきと生活ができる高知
(1)日本一の健康長寿県づくり
(2)教育の充実
(3)文化芸術とスポーツの振興
5 安全・安心な高知
(1)南海トラフ地震対策
(2)インフラの充実
6 その他
7 議案

 本日、議員各位のご出席をいただき、令和8年6月県議会定例会が開かれますことに厚くお礼申し上げます。
 ただ今提案いたしました議案の説明に先立ち、当面する県政の主要な課題についてご説明を申し上げ、議員各位及び県民の皆さんのご理解とご協力をお願いしたいと考えます。

1 県政運営の基本姿勢

 現下の県経済は、堅調な個人消費を背景に緩やかな持ち直しの動きが続いています。
 特に観光分野では、「あんぱん」の放送終了や物価高による影響が懸念されましたが、先のゴールデンウィークには多くの観光客が県内各地を訪れるなど、好調を維持しています。
 加えて、4月には、本県出身のジョン万次郎を主人公とするNHK大河ドラマ「ジョン万」が令和10年に放送されることが発表されました。連続テレビ小説「らんまん」や「あんぱん」の熱が冷めやらぬ中、本県出身の偉人が立て続けに取り上げられることを大変うれしく思います。
 今後は、この追い風を最大限生かすため、「ジョン万次郎のふるさと高知」を前面に出したプロモーションや受け入れ環境の整備を進めます。
 一方で、本年2月末以降の中東情勢緊迫に伴う原油価格の高騰や資材不足の影響が、県内でも建設・輸送・医療などあらゆる分野に及んでいます。
 物資の安定供給や価格の安定化という責務を国がしっかりと果たす一方、県としては、県内事業者の実情を的確に把握し、情報を国に伝えるとともに、必要な対策を訴えていくことが求められます。
 このため、まずは国に対して、資材価格の高騰や石油関連製品の供給の目詰まりによる影響を受けている厳しい実態を訴え、事業者に対する財政支援を含め、速やかに対策を講じるよう、緊急提言を行ってきました。
 あわせて、県内事業者の緊急の資金需要にいち早く対応するため、本県独自の新たな融資制度を創設し、先月から運用を開始しました。
 こうした中、今月5日、国において、エネルギー価格高騰対策のための補正予算が成立しました。
 県においても、国の補正予算に呼応して速やかに対策を講じるため、今議会に、家庭用のLPガス代や特別高圧電力の電気代に対する支援など、緊急の物価高対策を講じるための予算案を提出しています。
 また、本県を含む地方部においては、公的需要が総生産に占める割合が高く、地域経済の円滑な運営を期するためには、官公需において適切に価格転嫁を受け入れることが特に重要です。
 国においては、本年4月に「官公需における価格転嫁・取引適正化加速化プラン」を公表し、地方公共団体において取り組みを加速すべき措置を示すなど、適切な価格転嫁受け入れの実現に力を注いでいます。
 県では、これまで、円滑な価格転嫁の実現に向けて、公共工事における物価スライド制度を適切に運用するほか、昨年には、会計管理局に県発注業務全般に関する相談窓口を設置しました。
 今後は、相談窓口のさらなる周知とともに、委託業務など公共工事以外の契約書における標準書式の見直しや、価格転嫁を着実に進めるための運用基準の整備に速やかに取り組みます。
 あわせて、市町村に対しても、先進事例の紹介や説明会の開催などにより、円滑な価格転嫁の受け入れを促します。
 このほか、県政の最重要課題である人口減少問題については、最新の国勢調査の速報値などを見ても、本県は総人口の減少はもとより、若者の転出超過や出生数の減少も依然として続いています。
 こうした傾向に歯止めをかけるため、「高付加価値型経済への転換」を通じて、若者を中心とした県民の所得向上を実現するとともに、「多様な人材が活躍できる環境の実現」に向けた働き方改革の取り組みを一層強化します。

(「共感と前進」の県政)

 県政運営にあたっては、引き続き「共感と前進」を基本姿勢に、県民の皆さんとの対話の機会を積極的に設け、県政に対する共感をいただきながら、様々な課題の解決に取り組みます。
 「濵田が参りました」では、私自身が直接、様々な実践の現場を視察し、県民の皆さんと意見交換を行っています。
 昨日は、本年度第1弾として、ものづくり分野において独自の技術で国内トップシェアを誇る県内企業を訪問し、現場を拝見するとともに、働き方改革や女性活躍の取り組みなどについてご意見を伺いました。こうした訪問を通じて、県民の皆さん、特に若い方々の就職先として、魅力ある県内企業が多数存在することのPRにも一役買いたいと思います。
 今後も、市町村や企業への訪問、県民の皆さんとの対話を通じてその声に真摯に耳を傾け、県政に反映してまいります。

2 人口減少対策

 次に、県政の最重要かつ喫緊の課題である人口減少対策について、ご説明申し上げます。

(1)元気な未来創造戦略の取り組み

 先月発表された令和7年国勢調査の速報値では、県内全ての市町村で5年前よりも人口が減少し、県全体の減少率は過去最大の7パーセントに上りました。
 また、本年4月時点の総人口は、前年比で約1万人減少し、県の推計で64万人を割り込むという厳しい結果となっています。
 高齢化率が全国2位の36.6パーセントと、全国に先駆けて高齢化が進んでいる本県の年齢別の人口構成に鑑みると、いわゆる自然減を中心とした総人口の減少が当面続くことは避けられません。
 そうした中にあっても、一部には明るい兆しが見え始めています。例えば、昨年の出生数は過去最少の3,079人となりましたが、前年と比べた減少幅はここ数年よりも縮小しており、県都である高知市の出生数は4年ぶりに増加に転じました。また、県外への転出超過数は前年の3,169人から113人改善しました。
 こうした明るい兆しをより確かなものとし、「元気な未来創造戦略」に基づき若年人口の減少を早期に食い止めるため、若者の所得向上や働き方改革の推進など一連の取り組みをさらに強化します。
 これによって、若者の定着を促すことによる社会減の縮小、そして結婚や出産の希望を後押しすることによる自然減の縮小につなげます。

(高付加価値型経済への転換)

 特に「高付加価値型経済への転換」については、旧来のコストカット型経済から脱却し「稼げる企業」の育成を図ることにより、県民、とりわけ若者の所得向上と、県内における魅力ある仕事の創出につなげることが重要です。
 そのため、本年度は新たに15億円の予算を計上し、生産能力の向上や販路拡大、働き方改革などを通じた高付加価値型経営を目指す事業者を業種横断的かつオーダーメイド型で支援する総合補助金を創設しました。
 この補助金については、先月20日までの公募期間に当初予算計上額を大きく上回る申請が寄せられたことから、今議会に予算の増額を提案しています。
 申請の中には、例えば、機械設備の導入による製造工程の完全自動化や建設現場でのDX活用など、生産性向上を目指す意欲あふれる事業計画が多数含まれており、大変心強く感じています。
 また、新製品の開発や海外展開などにより売上高100億円を目指す県版の「100億企業」の登録制度を本年創設しました。登録企業について総合補助金の補助上限額を引き上げて重点的に支援することとしたところ、先月末時点の登録は31社に上っています。
 今後は、こうした高い目標を志す意欲的な経営者が互いに学び合い、交流を深める場を提供し、共に成長していく機運を醸成します。このような一連の取り組みを通じて、地域産業を牽引する企業の育成を図ります。
 さらに、「隗より始めよ」の考えの下、県立施設の運営団体においても、経営の自律性を高めることで高付加価値のサービスを提供し、その収益を原資として県民サービスの向上や経営改善につなげる取り組みを進めています。
 その一環として、ふるさと納税型クラウドファンディングの仕組みを活用した補助制度を設けることとし、今議会に関連する補正予算案を提出しています。
 例えば、かつて日本一の繁殖実績を誇ったマレーグマの「聖地復活」を目指すのいち動物公園のプロジェクトや、集客施設におけるAIを活用した多言語音声ガイド導入の取り組みなど、各団体の新たな挑戦を後押しします。
 また、集客施設の指定管理者の公募にあたっては、官民連携を促進する観点から、企画・宣伝事業などに知見や実績のある企業等の参画を条件とした上で、付加価値の高い提案を評価する仕組みを取り入れたいと考えています。
 来月開催する「県立施設運営活性化懇談会」において、有識者のご意見をお伺いした上で、関係する指針の改正を進め、本年度に行う次期指定管理者の公募から適用します。

(多様な人材が活躍できる環境の実現)

 次に、「多様な人材が活躍できる環境の実現」については、男性中心の長時間労働を前提とした生活スタイルから柔軟な働き方に転換することを通じて、仕事と家庭の両立を支援していくことが不可欠です。
 このため、本年度、県内事業者における男性育休の取得促進に向けた取り組みを後押しする奨励金を創設し、4月20日から募集を開始しました。これまでに、商工業はもとより、建設業や医療・福祉、一次産業など幅広い分野の事業者から申請をいただいています。
 この奨励金や所得向上を実現するための総合補助金は、男性育休の取得状況を公表する「こうち男性育休推進企業」への登録を交付要件としています。そうした働きかけにより、登録企業数は、昨年度末の884社から、先月末時点で1,641社へ大幅に増加しています。
 このような中、県内最大規模の事業所である県庁自身が、若者や女性に選ばれる職場環境の実現に率先して取り組んでいます。
 昨年度、株式会社ワーク・ライフバランスと協定を締結し、働き方改革に取り組んだ結果、県庁知事部局の一人当たりの時間外勤務時間数は、前年度と比べて7.1パーセントの減少となりました。
 本年度は、一人当たりの時間外勤務時間数を令和6年度との比較で16.7パーセント削減する目標を掲げて取り組んでおり、先月末までの2か月の実績では26.8パーセント減と、現時点では目標を超えて推移しています。
 今後、災害や新たな政策課題への対応など業務量が増加する要因も想定されますが、デジタル技術を活用した業務の効率化や、成果を上げた好事例の横展開など、目標達成に向けた取り組みをさらに進めます。
 加えて、オンライン申請の普及や業務フローの見直しなどを通じて、県民の皆さんの利便性向上と併せて、職員が限られた勤務時間の中でも高い付加価値を生み出す仕事に注力できる職場環境づくりを進めます。

(人口減少対策総合交付金)

 人口減少対策総合交付金については、昨年度から全ての市町村で地域の実情に応じた取り組みが本格的に進んでいます。
 こうした中、本年度からは、高知市における事業者の福利厚生制度の充実に対する助成や、四万十市における県外からの県立高校への入学者向けの住宅整備といった新たな事業がスタートしました。
 また、市町村事業の実効性の向上に向けてフォローアップ体制を強化するため、現在7市町村において、専門家と県職員がチームとなって事業実施上の課題や問題点の洗い出しを進めています。
 今後は、これらの市町村における施策の磨き上げや新たな事業の企画提案に向けた伴走支援を行うことに加え、こうした事例について、情報交換会の開催などを通じて他の市町村への横展開を図ります。

(2)4Sプロジェクトの推進

 人口減少が全国に先駆けて進行する本県においては、当面避けることができない総人口の減少に適応しながら、必要な公共サービスを維持・確保し、持続可能な地域社会の実現を図ることが不可欠です。そのため、全庁を挙げて、賢く縮む「4Sプロジェクト」(Smart Shrink for Sustainable Society)の取り組みを進めています。

(消防の広域化)

 このうち消防の広域化については、本年2月に県において決定した基本計画に基づき、実施計画案の策定に向けて、県内全ての市町村長などで構成する実務協議会を4月に設置しました。
 先月12日には第1回協議会を開催し、市町村長の意向調査結果を踏まえた消防本部統合の進め方や、広域連合及び法定協議会の規約の骨子について、県からの提案をお示ししました。
 また、テーマ別の4つの専門部会と併せて、新たに設置した県内6つの地域ブロックごとの方面別部会も先月末までに開催し、市町村長や消防本部の消防長などから様々なご意見をいただきました。
 一連の議論を通じて、広域化を進める必要性については基本的にご理解いただいていると受け止めていますが、一部の市町村長からは、職員の配置や処遇、財政負担などの実務的な課題について、問題提起やご意見がありました。
 このため、6月に再度行った市町村長の意向調査の結果も踏まえ、方面別部会やワーキンググループなどにおいて議論を深め、9月の第2回協議会において消防本部統合へ向けた具体的な対応案をお示ししたいと思います。
 今後も、消防本部統合や新たな共同事業の進め方について、市町村のご意見を丁寧に伺いながら、来年6月議会までを目途に全団体の議決を得て、来年の法定協議会の設置、令和10年の広域連合の設立を目指します。

(公共交通の維持確保)

 公共交通については、利用者の減少や運転士不足に直面する中、持続可能性を確保するため、県内7つの地域ブロックごとに、交通事業者や有識者、沿線市町村などの関係者と今後の対策について協議を行っています。
 中央地域では、とさでん交通が担う路線バスについて、潜在的な需要が見込まれる路線を拡充する一方、乗客が減少した南国市といの町の一部区間においては、コミュニティバスなどの代替手段に移行する方針を決定しました。
 また、先月開催した「路面電車あり方検討会」において、路線バスとの並走区間の見直しや、停留所のバリアフリー化をはじめとする利用環境の改善など、幹線の軸として求められる長期的なあり方について議論しました。
 その他の地域ブロックでは、市町村営交通の共同運行といった地域の実情に即した運行の効率化や、交通空白の解消に向けた公共ライドシェアの拡充など、住民ニーズに対応した移動手段の確保策を検討しています。
 本年4月に行った国への政策提言においては、こうした幹線や支線の見直しに伴う地域公共交通の維持確保の取り組みを後押ししていただけるよう、国庫補助制度の拡充などについて訴えてまいりました。
 将来にわたって持続可能な公共交通ネットワークを構築するため、引き続き、関係者と具体的な施策などについて議論し、本年度中に県の地域公共交通計画を改定します。

(周産期医療体制の確保)

 周産期医療体制については、令和6年度に策定したロードマップに基づき、本年度、ローリスク分娩施設の集約化や施設整備の必要性について協議を行い、その結論を第8期保健医療計画の中間見直しに反映します。
 また、先月、本県の取り組みが、産科医療機関の適切な役割分担や連携体制の強化を支援する国のモデル事業に採択されたことから、今議会に関連する補正予算案を提出しています。本事業を活用し、妊婦の電子カルテ情報をオンラインで共有できるシステムなど、県において必要な基盤整備を行うことで、健診施設と分娩施設の連携を一層強化します。

(高等学校の魅力化)

 昨年度から開始した県立高等学校振興再編計画では、学校のさらなる魅力化に取り組み、本年4月に地域みらい留学などを活用して県外から入学した生徒数は前年度からほぼ倍増し、101人となりました。
 一方で、本年4月の地元中学校からの進学率は、中山間地域等の小規模校全体で21.4パーセントとなり、令和10年度の目標である35.8パーセントの達成は厳しい状況です。
 そのため、地元高校の魅力や特色を、中学生や保護者に知ってもらうことを目的に、9月には中山間地域等の各学校が参画するシンポジウムを開催することとし、市町村やPTAの皆さんと共に準備を進めています。
 また、本年2月に、「高校教育改革に関するグランドデザイン」が国から示されました。この基本方針は、2040年にはAIやロボットにより事務職人材に余剰が発生する一方、エッセンシャルワーカーや理系人材が不足することを見据え、AIに代替されない高校生の能力や個性を伸ばそうとするものです。
 これを受け、本県においても、学校や大学、産業界の声もお聞きしながら、今後の産業構造の転換を見据え、地域社会の基盤となる人材育成のあり方について改革の方向を明らかにします。その上で、本年度中には現行の高等学校振興再編計画の改定と合わせて、高校教育改革に関する新たな実行計画を策定します。
 また、これに先立って、国においては、高校教育改革を先導するパイロットケースに対し先行的に財政支援を行う方針です。
 本県からは、「防災科学やデータサイエンス人材の育成」を目指す高知小津高校など、4校を拠点とする事業計画を申請しました。
 国の採択が得られれば、こうした先導的な取り組みを実践し、その教育課程や成果を他の高校にも展開します。

(3)中山間地域再興ビジョンに基づく取り組み

 昨年度の本県への移住者数は2,450人と、前年度を約200人上回り、過去最多を更新しました。
 これは、これまでのデジタルマーケティングを活用した情報発信のほか、高知県UIターンサポートセンターや市町村の窓口における丁寧な相談対応の効果が現れたものと受け止めています。
 一方、昨年度の本県への転入者は、前年度から103人減の8,291人にとどまっています。中でも、30代から50代の減少が大きく、働き盛り世代の転職や転勤による転入者の減少が要因ではないかと推測しています。
 このため、本年度、転職サイトへの求人広告掲載や採用ホームページの充実といった県内企業の採用活動を支援する補助金を創設したところ、現時点で約120社が活用を計画しています。
 加えて、来月からは転職支援サービスを提供する大手企業と連携し、本県の魅力や県内企業の採用情報を全国に向けて発信する特設サイトを公開するなど、官民連携の取り組みを強化します。
 これらの取り組みにより、県外からの転入者の増加を図ることに加え、転職をきっかけとした県外への転出の抑制にも努めます。
 また、中山間地域のイベントなどへの参加を通じて関係人口の拡大を図る「いこうち!」事業のプログラムでは、本年度から、よさこい祭りの手伝いなど地域団体の活動にも対象を広げました。その効果もあり、本年4月から5月末までのプログラムへの参加者数は46人と、前年度を上回るペースで推移しています。
 本年3月末には国の「ふるさと住民登録制度」のモデル事業の対象自治体として、本県と室戸市、越知町、日高村の3市町村が選定されました。今後、国が開発するアプリも活用し、「いこうち!」のプログラムへの参加者をはじめ、本県と関わりを持つ方々との関係をより深めるための情報発信をさらに強化します。

(4)国への政策提言

 人口減少問題の克服には地方だけの努力では限界があります。国においても、昨年11月に設置した「人口戦略本部」が司令塔となり、特に地方部の人口減少対策に真摯に取り組んでいただくことを期待しています。
 本年は特に、将来的にAIの普及等により大都市部の労働力に余剰が見込まれるとの国の試算を踏まえ、国土政策として多極分散型国土の形成を目指す観点から必要な施策を講じるよう、国に対して提案してまいりました。
 具体的には、少子化の更なる進行に伴う大学等の定員規模の適正化や統廃合といった議論に当たっては、大都市部の大学の定員について抑制を図る一方、地方大学ではむしろ定員を拡充することで若者を地方部に誘導する。あわせて、地方部ではリスキリングを含めて、例えば介護職などのエッセンシャルワーカーや産業技術に秀でた人材の育成を強化し、我が国全体として「強い経済」の実現を図ることの重要性を強く訴えてまいりました。
 本県でも、昨年度発足した「若者応援産学官フォーラム」において、今後の労働需給や産業界のニーズなどを踏まえ、県内の大学等における将来的な産業人材の育成と若者にとって魅力ある仕事づくりのあり方を一体的に検討します。
 さらに、このように地域の特性を生かしながら多極分散型国土の形成を進めるためには、地方公共団体が自らの判断で施策を展開できる財政基盤を確立することが不可欠です。
 そのため、国の「責任ある積極財政」の考え方に呼応して、地方が自然増収の一部を活用し、財政健全化のみに片寄らず、自らの判断で成長投資ができるよう、地方財政計画に新たな投資枠を創設することを提案しました。あわせて、現在、大都市圏の一部に集中している地方法人課税や固定資産税などの地方税源については、地域間格差の解消に十分な規模で偏在是正を実施することなどを求めました。
 そのほか、人口減少に伴う地域社会の縮小の連鎖を回避するための「スマートシュリンク(賢い縮小)」の視点を取り入れた施策を進めるためにも国の後押しが重要になります。
 持続可能な行政サービス提供体制の実現に向けて、市町村合併に限らず、行政分野や人口規模ごとに、共同化や国・県による事務代行といった手法で対応するためのメニューや手順などを示す「指針」の提示を訴えました。また、こうした手法の実現に向けて関係自治体間の円滑な合意形成を図ることができるよう、県に一定の主導権を付与するための法整備を求めてきました。
 あわせて、行政サービス提供体制の再構築には多くの場合、一定の時間を要することを踏まえ、国による安定的・恒久的な財政支援措置の必要性を訴えてまいりました。
 引き続き、全国知事会総務常任委員長という立場からも、積極的に粘り強く政策提言を行います。

3 いきいきと仕事ができる高知

 次に、目指すべき3つの高知県像のうち、まず「いきいきと仕事ができる高知」に向けた取り組みについてご説明申し上げます。

(1)産業振興計画の推進

(地域未来戦略)

 現在、国においては、「強い経済」の実現のため、地域ごとの特色を生かして産業の面的な集積を図る「地域未来戦略」の策定を進めており、来月公表される見込みです。
 本戦略は、国が地方経済産業局単位で地域ブロックごとに取りまとめる「戦略産業クラスター計画」と、都道府県が策定する「地域産業成長プラン」の2つの枠組みで整理されます。
 先月公表された四国地域の計画の素案には、本県がこれまで取り組んできた、デジタル技術の活用による一次産業の生産性向上や食品産業の高度化を目指す「フードテック」が四国のポテンシャルに位置付けられています。
 また、本県の企業が開発し、国内外で導入されている土木技術や地元食材を活用した防災缶詰などの「防災関連産業」の分野も盛り込まれています。
 今後、本県が策定する「地域産業成長プラン」は、産業振興計画をベースに、農業分野のIoPプロジェクトや防災関連産業などのクラスター形成のほか、食の魅力を生かした観光業の振興による地域の活性化を目指します。
 加えて、市町村ごとの主体的な取り組みをしっかりと支援しながら、地域の強みを生かした計画を取りまとめたいと考えています。
 これらの計画は、本年の夏頃に具体的な内容を公表した上で、市町村と協議しながら地場産業の振興を目指します。
 こうした取り組みの一環として、今月、園芸農業の分野でロボティクスやAIなどの最新技術の活用を先導するオランダ王国ウェストラント市を私自身が訪問し、この分野における多国間連携組織の発足に参画しました。
 これを契機として、世界各国との情報や技術、人材の交流を加速し、生産力の向上と環境負荷の低減を両立した、持続可能な農業をさらに推進します。

(2)地産外商の取り組み

(輸出拡大の取り組み)

 人口減少に伴う国内市場の縮小が避けられない中、県経済が持続的に発展していくためには、活力ある海外市場への進出が不可欠です。
 このため、圧入技術や船舶用クレーンなどの防災関連産業分野では、本県と同様に自然災害の多い台湾や東南アジアでの販路拡大に取り組んでいます。
 具体的には、先月までに台湾とタイで開催された国際見本市に出展し、本県で開発された製品や土木技術の売り込みを行いました。さらに9月にはインドネシアで防災に関するセミナーを開催するなど、引き続き、販路拡大の取り組みを進めます。
 また、現在タイとベトナムに設置しているサポートデスクを、防災分野に関心の高いフィリピンとインドネシアにも新たに開設し、県内企業の海外展開をより一層後押しします。

(観光振興の取り組み)

 観光分野では、昨年の県外観光客の総消費額が過去最高の1,381億円となり、県外からの観光入込客数も過去2番目となる457万人を記録しました。
 これは、これまでの官民一体となった観光振興の取り組みの成果が表れたものであると考えます。
 本年度は、3年目を迎える「どっぷり高知旅キャンペーン」において、「ドラマが生まれる場所 高知」をコンセプトに、県外からの誘客拡大に取り組んでいます。
 特に、本年10月に開幕する「よさこい高知文化祭2026」としっかりと連動させ、本県ならではの伝統芸能や食文化などを発信し、県内周遊の促進につなげます。
 さらに、NHK大河ドラマ「ジョン万」の放送開始に向けて、オール高知による万全の体制を整えます。
 先日、県内の観光・宿泊事業者や、旅行会社などで構成する準備委員会を開催し、大河ドラマを生かした観光振興の方向性に対して幅広いご意見をいただきました。
 いただいたご意見を踏まえ、県としては、「どっぷり高知旅キャンペーン」の考え方を組み入れた形で、県内全域で展開する博覧会を開催したいと考えます。
 この博覧会を通して、生誕の地である土佐清水市、出漁の地である土佐市などのゆかりの地や、捕鯨文化などを広く発信することにより、多くの方に本県の歴史や文化、自然といった魅力に触れていただきたいと思います。
 加えて、国際交流などの礎を築いたジョン万次郎の功績や諦めない精神を次代を担う子ども達にしっかりと伝えるほか、地産外商や移住促進などの加速化にもつなげます。
 来月には、県内全市町村のほか各界の代表者の参加を得て、博覧会を推進する協議会を発足させ、官民一体で具体的な取り組み内容の検討を進めます。
 また、来年のジョン万次郎生誕200周年に合わせて、市民交流イベントとして「日米草の根交流サミット2027高知大会」を開催します。今月には、官民協働の実行委員会を立ち上げ、準備を始めました。この大会を契機に、日米の草の根交流を一層促進します。
 インバウンド観光については、台湾からのチャーター便が就航4年目を迎え、現在も9割を超える搭乗率を維持しています。
 今後は、インバウンド観光の玄関口となる高知龍馬空港の国際線ターミナルビルの完成を見据え、台湾路線の定期便化につなげるため、現地の航空会社や旅行会社と連携し、個人旅行者向けのプロモーションを強化します。
 また、韓国をターゲットにチャーター便の誘致を進めるなど、新たな路線の誘致にも取り組みます。

(3)イノベーションの取り組み

 産学官が連携し、将来的に本県の柱となり得る新しい産業の創出にも引き続き取り組みます。
 アニメ産業の集積を目指すアニメプロジェクトでは、4月に開催された「高知アニクリ祭2026」に、大手出版社やアニメ制作会社の役員、業界を牽引するアニメクリエイターを含む2万7千人を超える来場がありました。
 今後は、アニメ制作の基礎的な技術を身につけるための連続講座を新たに開催するなど、人材育成の取り組みを強化し、人材を求めて地方に進出する企業の誘致、クリエイターや関連企業の集積につなげていきます。
 また、スジアオノリの陸上養殖を核として進めている「しまんと海藻エコイノベーション共創拠点」のプロジェクトでは、国の支援プログラムの実施期間を終え、先日、関係者から実施報告をいただきました。
 この取り組みにおいては、スジアオノリの陸上養殖技術の実用化に併せ、新たに開発した商品の20万個以上の販売につながるなどの具体的な成果が得られました。
 今後も、地元四万十市や高知大学、種苗生産者、漁協、食品加工業者などをはじめとして、本県を含む産学官が連携して本プロジェクトを推進します。
 このほか、「スペースポート構想」の取り組みでは、本年4月に「第1回高知県におけるスペースポート実現可能性研究会」を開催し、産業界、高等教育機関、有識者、行政機関で検討を開始しました。
 この会合では、国の宇宙政策や一般社団法人「スペースポート高知」からの政策提言についての説明を受け、県が行う実現可能性の調査について意見を交換しました。
 いただいたご意見を参考に、来月から、本県でのロケットの打ち上げを想定した場合の需要の見込みや経済波及効果などに関する調査を開始します。
 あわせて、スペースポート実現に向けた条件整備についても検討を進めます。

(4)四国地域広域リージョン連携

 昨年度、自治体や経済団体など都道府県域を超えた多様な主体が連携して実施する施策を、国が地域未来交付金などで後押しする「広域リージョン連携」の仕組みが創設されました。
 この流れを受け、今月5日の四国知事会議において、四国4県知事と経済団体代表者で「四国地域広域リージョン連携宣言」を行いました。
 この宣言は、四国の豊かな自然や食、独自の文化や歴史といった魅力的な資源を活用しながら、観光振興や産業振興などの取り組みを広域的な観点で深化・加速させようとするものです。
 秋頃には「連携ビジョン」を策定し、「四国はひとつ」を合い言葉に、関係者が一体となって、圏域全体の持続的な成長につながるような具体的な施策を練り上げてまいります。

4 いきいきと生活ができる高知

 次に、「いきいきと生活ができる高知」に向けた取り組みについてご説明申し上げます。

(1)日本一の健康長寿県づくり

 第5期の日本一の健康長寿県構想では、「県民の誰もが住み慣れた地域で、健やかで心豊かに安心して暮らし続けることのできる高知県」の実現を目指して、4つの柱に基づく取り組みを進めています。
 このうち、第1の柱「健康寿命の延伸」では、新たに女性の健康づくりに取り組みます。
 月経随伴症状や更年期症状といった女性特有の健康課題は、生産性の低下や離職のリスクにもつながり、企業や社会経済にも影響を及ぼす重要な課題です。特に本県は、生産年齢人口の女性の有業率が73.6%と高いものの、女性の健康課題に配慮した取り組みが行われている県内企業は少ない状況です。
 このため、仕事や生活に大きく影響している症状のある方が、早期かつ適切な医療につながる環境づくりに取り組みます。
 具体的には、来月開催する「高知家健康会議」において、保健医療団体や経済団体の方々などに女性特有の健康課題への理解を深めていただき、官民連携で女性がいきいきと仕事や生活ができる環境づくりをスタートさせます。
 第2の柱「医療・福祉・介護サービス提供体制の確立」では、在宅生活を支える訪問介護事業所が、中山間地域にサテライト事業所を設置する場合の支援制度を新たに設けるなど、効率的なサービス提供体制の確立に向けた取り組みを後押しします。
 あわせて、国に対しては、将来にわたって持続可能な介護サービス提供体制の確保に向けて、中山間地域の小規模事業者の経営実態を精緻に把握し、介護報酬に適切に反映するよう政策提言を行いました。
 第3の柱「こどもまんなか社会の実現」では、放課後子ども教室や児童館といった子どもたちが安全に安心して過ごせる居場所を維持、充実していくため、本年4月に庁内のプロジェクトチームを立ち上げました。
 まずは、市町村や学校関係者の皆さんから、子どもの居場所に対する地域のニーズや運営上の課題などについてお聞きし、好事例の横展開に向けて事例の把握にも取り組んでいます。
 今後は、有識者会議を開催し、多方面からのご意見をお聞きしながら、市町村と連携した取り組みや、新たな担い手の確保など先を見据えた対策のあり方について検討を進めます。

(2)教育の充実

 教育の充実については、第3期教育大綱に基づき、確かな学力、健やかな体、豊かな心の育成を目指して取り組んでいます。
 まず、学力向上については、特に近年、全国学力・学習状況調査において全国平均を下回っている中学校英語についての対策を強化します。
 具体的には、生徒一人ひとりの英語力に応じて、繰り返し英会話の練習ができるAIアプリを県内4中学校に導入し、会話練習だけでなくデータ化された会話記録を基にした授業にも取り組んでいます。これにより「前回よりうまく話せるようになってうれしい」といった声も上がっており、生徒の英語に対する学習意欲の高まりが見られます。
 今後は、こうした生徒の学習意欲の高まりを着実に成果に結びつけるため、県内各校への好事例の横展開を行うとともに、引き続き、教員の指導力や英語力の向上のための研修の充実も図っていきます。
 次に、不登校対策については、子どもたちの多様な教育機会を確保するため、本年度は、県が人的、財政的支援を行う「校内サポートルーム」を新たに11校に設置しました。
 さらに、この4月には、ゆとりあるカリキュラムで学ぶことのできる「学びの多様化学校」が高知市といの町に開設され、合わせて21名の児童生徒が新たな一歩を踏み出しました。
 県としても、これらの学校に心理や福祉の専門職などを配置しており、引き続き、児童生徒の学びや生活を支援します。
 また、教員が本来の専門性を発揮し、子どもと向き合う時間を確保するためには、学校運営の効率化や教員の業務の見直しなどにより働き方改革を進めることが重要です。
 このため、4月には、県内全ての学校長を対象として働き方改革に関する管理職の意識改革を図る研修を実施しました。加えて、来月からは専門家が直接学校を訪問し、ワークショップを通じて改革を先導するリーダーの養成に取り組みます。
 今後も、いわゆる給特法に基づく教員の処遇改善を進めると同時に、本年3月に策定した「業務量管理・健康確保措置実施計画」に沿って、時間外勤務の削減など、働き方改革の取り組みを推進します。

(3)文化芸術とスポーツの振興

(よさこい高知文化祭2026の開催)

 本年10月に開幕する「よさこい高知文化祭2026」まで残り約4か月となり、市町村や関係団体の皆さんと連携して準備を加速させています。
 大会期間中は、伝統芸能や伝統工芸、郷土料理といった、本県が全国に誇る地域の文化資源の魅力を生かした約250のプログラムを実施します。
 大会100日前となる来月には、大会のPRを行うカウントダウンキャラバンが県内各地の巡回を開始するほか、広報大使である島崎和歌子さんらをお招きしてプレイベントを開催します。
 加えて、公式ガイドブックの配布やテレビ、新聞、SNSを活用した情報発信などを行うことで、大会の機運を高め、目標である総参加者数100万人の達成を目指します。

(新県民体育館の整備)

 新県民体育館の整備に向けては、令和6年度に現有地建て替えの方針を確認した後、昨年6月には基本計画策定のための検討会を立ち上げ、議論を重ねました。先月にはパブリックコメントを実施し、今月15日に基本計画を決定したところです。
 新県民体育館は、県民の皆さん自身のスポーツ活動の場となる社会体育施設の機能に加えて、プロスポーツの試合やコンサート、大規模展示会など多目的に使用できるアリーナ機能も有する複合施設として整備します。
 整備にあたっては、県立武道館と高知ぢばさんセンター大ホールの機能を集約化することとします。これにより、全国規模の大会の開催が可能となるほか、展示会や見本市などのビジネス利用による稼働率の底上げや、年間を通して中心市街地と連動した人の流れや活気が生まれることが期待できます。
 建設費は、現時点で210億円程度を見込んでおり、財源には、公共施設等の集約化・複合化を行う場合に充当できる有利な地方債を活用し、令和10年度の着工、令和13年度半ばの供用開始を目指します。
 また、運営にあたっては、利用料金を現在の1.5倍から2倍にした場合でも独立採算は望めず、現在の3施設と概ね同水準の年間1億6千万円から1億9千万円程度の財政負担が必要となる見込みです。
 このため、整備運営手法については、高い収益性が期待される場合に適するとされるPFI方式等ではなく、従来型の公的資金の調達による整備手法を採用し、設計、施工、運営を分離して発注することとしました。
 こうした基本計画の内容について、先月実施したパブリックコメントでは合計114通、216件のご意見をいただきました。地域活性化への期待の声がある一方で、地下駐車場の整備やアスパルこうちのグラウンドの使用に対して、見直しを求めるご意見も多く寄せられました。 地下駐車場は、敷地内で必要な駐車台数を確保する観点から優先的に検討すべき選択肢と考えています。
 地下駐車場を整備する場合には、施設自体を津波に耐えられる構造とするだけでなく、垂直避難ができる階段の複数設置や避難訓練の徹底など、ハードとソフト両面から万全の安全対策を講じます。
 また、アスパルこうちのグラウンドを全面使用することの代替措置として、新しく整備する施設の屋上に人工芝を敷き、子どもたちが優先的に使用できるスペースを確保するなど、必要な教育的配慮を行います。
 今議会に提出した補正予算案には、基本計画を踏まえて、現在地の測量や建物の設計など、新県民体育館の整備に向けた関連経費を計上しています。
 その中では、設計時に運営の目線を適切に取り入れるために様々な分野のアドバイザーから助言をいただく経費も見込み、具体的な利用形態に関する想定を精査する中で、施設整備の仕様を固めてまいります。その上で、パブリックコメントなどを通じて寄せられた県民の皆さんの懸念や不安を払拭できるよう、基本設計完了時などの節目には、作業の進捗状況に関する情報を開示する機会を設け、丁寧な説明に努めます。
 新県民体育館が、本県のスポーツの殿堂として多くの方々に親しまれ、文化や教育の振興、さらには経済の活性化にも大きなインパクトをもたらす施設となるよう、鋭意、整備を進めます。

5 安全・安心な高知

(1)南海トラフ地震対策

 南海トラフ地震については、昭和の南海地震から本年12月で80年の節目を迎え、年々切迫度が高まっています。
 本年3月には、国の新たな被害想定をベースに、より精緻な高知県版の被害想定について13年ぶりに見直しを行いました。
 今回の最大クラスの被害想定では、これまで講じてきた津波避難タワーの整備や住民の早期避難意識の向上といった対策の成果により、想定死者数は前回の想定の半分程度に減少する見通しとなりました。
 一方、前回の想定以降、新たに蓄積された地質調査のデータを反映した結果、県内において最大震度7の揺れが想定される区域の面積が倍増しました。この結果、前回の想定に比べ、建物倒壊数については約3割、負傷者数については約2割の増加が見込まれるなど、対策の強化が求められる分野もあります。
 さらに災害関連死については、過去の地震を参考に新たに推計した結果、最大で約2千6百人となりました。この対策として避難所の環境整備を進める際には、新たに国際的なスフィア基準への対応が求められるなど、必要とされる整備水準は上がっております。
 防災対策に終わりはないと肝に銘じ、絶えず進化を続けなければなりません。
 そのため、本年9月を目途に第6期南海トラフ地震対策行動計画をバージョンアップし、「揺れ対策」「津波対策」「災害関連死対策」の3つに重点を置いて、死者数を限りなくゼロに近づけることを目指して取り組みます。

(国への政策提言)

 災害に強いインフラの整備や災害関連死の防止に向けた避難所環境の改善など、災害に対する「事前の備え」を加速する必要があります。
 令和8年度の国の当初予算における公共事業等の計上額は、最近の資材価格などの高騰を踏まえると、「国土強靱化実施中期計画」に基づく取り組みを加速するためには十分とは言えません。このため、必要な水準の予算が確保されるよう、4月以降、数次にわたって国への政策提言を行いました。
 また、本年中に設置される予定の防災庁の「復興に関する対応方針」の策定にあたっては、本県が先進的に取り組んでいる事前復興への支援に重点的に取り組むことを明示するよう国に強く求めてまいりました。
 引き続き、必要な働きかけを行い、国の力強い後押しを得ながら、災害に強い県土づくりを進め、安全・安心な高知の実現を図ります。

(2)インフラの充実

 地域の経済活動を下支えし、南海トラフ地震などの大規模災害に備えるためには、道路や堤防、港湾といったインフラ整備の加速が不可欠です。
 特に四国8の字ネットワークをはじめとする高規格道路は、地域経済の活性化や自然災害への備えを高めるために不可欠な社会基盤であり、これまでもミッシングリンクの解消が図られるよう、国に対して継続的に訴えてきました。
 本県では、昨年、「北川道路」の一部区間と、南国安芸道路の「高知龍馬空港~香南のいち」の区間が相次いで開通し、東部地域へのアクセス向上による観光振興や物流効率化など、様々な効果を実感しています。
 また、災害時に国道33号の代替道路として重要な役割を担う高知松山自動車道「いの~越知」の区間は、国土交通大臣の同意を得て、本年3月末に都市計画決定を行い、早期事業化に向けた取り組みが進んでいます。
 高規格道路の整備促進を図るためには、通常予算に加え、国土強靱化の予算・財源もしっかりと確保し、進めていくことが極めて重要です。
 今月には、全国高速道路建設協議会副会長の立場で、国に対し、ミッシングリンクの解消、暫定2車線の4車線化による強靱な高規格道路ネットワークの早期構築について、強く訴えてきました。
 また、浦戸湾の三重防護事業については、県都・高知市の地震による津波の被害を最小化することが県全体の早期復旧・復興につながるため、国と連携し、一日も早い完成を目指して整備を進めています。
 今後も、南海トラフ地震などに備え、インフラ整備の加速化を図るため、引き続き関係市町村や他県とも連携し、国に対して積極的に政策提言を行います。

6 その他

(知事公邸のあり方)

 本県の知事公邸については、竣工から60年余りが経過し、老朽化も進んでいますので、本年度、有識者会議を立ち上げ、その将来的なあり方についてご議論いただくこととしました。
 先日開催した第1回目の会議では、公邸建物の見学を行ったほか、議論の前提として、本県の知事公邸の整備の経緯や現状、さらには各都道府県における知事公邸の所有状況などをお示ししました。
 知事公邸のあり方に関しては、現在の公邸が有する迎賓・会議場機能及び知事の居住機能の要否についてどう考えるか。また、こうした機能を維持する場合において建て替えや大規模修繕により引き続き県の所有方式をとるか、民間マンションなどの借り上げ方式に移行するかなど、多くの論点があります。
 今後、こうした論点や様々な選択肢について、危機管理上の必要性や費用対効果の観点を含め幅広くご議論いただき、本年度中に提言をとりまとめていただきたいと考えております。

7 議案

 続きまして、今回提案いたしました議案についてご説明申し上げます。
 まず予算案は、令和8年度高知県一般会計補正予算の1件です。
 一般会計補正予算は、新県民体育館の整備に向けて必要となる経費や物価高騰対策に要する経費など、総額30億円余りの歳入歳出予算の補正並びに総額12億円余りの債務負担行為の追加を含む補正予算案です。
 条例議案は、職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案など6件です。
 その他の議案は、高知空港国際線ターミナルビルの指定管理者の指定に関する議案など3件です。
 報告議案は、令和7年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告など2件です。

 以上をもちまして、議案提出にあたっての私からの説明を終わります。
 何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。

お問い合わせ

総合企画部 広報広聴課
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FAX:088-872-5494
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