公開日 2007年12月06日
更新日 2014年03月16日
平成13年2月県議会提案理由説明の一部(県の融資に関連して)(平成13年3月26日)
まず、県議会の調査特別委員会でご審議をいただいております問題に関しましてでございますが、委員会の真相究明に向けました真摯なお取り組みに対しまして、心から敬意を表したいと思います。
この問題では、今月初めに、融資先の協業組合の理事長など4人が詐欺の疑いで逮捕されました。県といたしましても、被害の上申書を提出した直後でございましたが、今後の捜査を通じまして、事件の全容が明らかになりますことを心から願っております。
また、今回の事件に関連をいたしまして、県の現職をはじめとする幹部職員が、背任の疑いで告発を受けましたことを重く受け止めております。と同時に、こうした事態を招きましたことに対しまして、県民の皆様に改めて深くお詫びを申し上げます。
が、こうした一連の出来事を県政全体の中で捉え直してみますと、今、県政は、大きな転換点にさしかかっているという実感を感じております。
振り返ってみますと、10年前、私が高知県知事に選出をされましたとき、県民の皆様が私に負託をされたことは、幅広い意味での県政の改革、県政の流れを変えて欲しいという切実な思いでございました。こうした県民の皆様の思いを受けて、私が最初に取り組みましたことは、県の職員団体との関係を改めることでございました。
その中で、県民の皆様の負託を受けていない職員団体が、知事の人事権に口を差しはさむことを許してきた人事諮問制度を廃止をいたしましたのをはじめ、役所特有のぬるま湯の中の悪平等主義の温床となっておりました、わたりと呼ばれる制度など、給与の体系も抜本的に見直しを行いました。併せまして、人事評価制度を取り入れることによりまして、県民の皆様のために知恵を出し汗をかく職員が前向きに評価をされる仕組みになるように取り組んでまいりました。
また、就任以来訴え続けてまいりました意識改革も、訴えだけに、言葉だけに終わるのではなく、組織全体として取り組んでいけますよう、行政経営品質向上システムや事業評価システムの導入にも取り組んでまいりました。
さらに、官官接待の廃止や食糧費や旅費の透明化など、情報公開の取り組みでも全国に先駆けた新しい試みに挑戦をし続けてまいりました。
しかしその一方で、手を着けなければいけないと思いながら、手を着けられないままにきた課題がいくつかございます。その一つが、本来あるべき人権対策からはずれて、団体対策になっていたのではないかとご指摘を受けました同和対策事業でございますし、また、今回別件のやみ融資事件として取り上げられました特定の個人と県行政との間の、一般では到底理解しがたい癒着の構造でございました。
特に後段の特定の個人と県行政との関係につきましては、私自身知事に就任しました当初から強い疑念を持ち続けておりましたが、昨年の県の体育協会の人事に絡みますまで、正直を申し上げまして孤軍奮闘の感を拭いきれませんでした。
こうした関係を清算できないままにきたことが、今回やみ融資というご指摘を受けた一連の出来事の遠因であり、また、きっかけであったと受け止めております。
また、今回の問題に関しましては、県の融資制度の在り方や職員の相互の連携の取り方、さらには情報公開の徹底など様々な課題がございますが、このうち県の融資制度につきましては、県議会の調査特別委員会のご意見も頂きながら、今後、抜本的な見直しに取りかかってまいりたいと思います。
と同時に、今回の問題では、県議会、ひいては県民の皆様方に説明がなされていなかったということが最大の反省点でございますので、今後、情報公開を徹底いたしますとともに県民の皆様方に隠し事のない県行政に向けてさらに前進をしていきたいと思います。
その一環といたしまして、今回別件の融資の件で問題になりました念書や覚書をすべて提出または申告をさせました上、県民の皆様方にその内容を明らかにしていきたいと思っております。もちろん念書、また覚書といいましても、全てが不透明なものばかりではなく、事業を円滑に進めるために必要なものも数多くあったと思いますが、県民の皆様方の目のとどかないところで、特定の個人や団体と県政との間で何かが進んでいく、そのような疑念を払拭をすることによりまして、県政の流れは大きく切り替えることができるのではないかと思っています。
また、そのことによって、今後、この県庁を背負っていく若い職員が仕事のしやすい環境をつくっていきたいと思っております。
併せて、県民の皆様方に、どうしてこのようなことが起きたのか、また、なぜそれが防げなかったのかということをご説明をすることが、私の責務だと思っております。このため、これらの問題に関わりました職員から事情聴取をいたしましたので、今日申し述べました思いも含めまして、改めて何らかの形で県民の皆様方にご説明をし、また、ご意見を伺う場を作っていきたいと考えております。
また、県民の皆様方からは、それでは一体誰に、またどこにこの問題の責任があったのかというご質問があろうかと思います。私自身も、管理監督の責任を免れるものではございません。が、一連の事件は、結果的に見まして、県民の皆様方のご理解を得られるものではございませんでしたので、その判断に関わった職員は、一人ひとりがそれぞれの結果についての責任を感じてもらわなければなりません。また、私の身の処し方のうち、これまで起きた出来事に対する身の処し方、つまり結果の責任、過去の責任ということにつきましては、今後の展開の中で県民の皆様方の受け止め方、判断にゆだねていきたいと思います。
が、私には、こうした過去への責任と同時に、高知県、また、高知の県民の皆様方の未来をお預かりをする未来への責任がございます。この点に関しましてはこれからも引き続き全力で取り組んでいきたいと思います。