知事の定例記者会見(融資問題に関連して、身の処し方、処分、改革の取り組み)

公開日 2007年12月06日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見(融資問題に関連して、身の処し方、処分、改革の取り組み)

平成13年6月21日

(記者)
 検察の結果をどう受け止めているか。
(知事)
 最初の起訴と同じでございますけれども、追加融資の分が今回起訴処分になったということを重く受け止めて、今後の県行政のあり方に今回の出来事の反省というものを活かしていかなければいけないと思っております。と同時に、当時班長であった職員が長く拘留をされておりましたけれども、起訴猶予と言うことで一旦釈放されるということを、私としては大変ほっとした気持ちで受けとめております。
(記者)
 刑事処分の決定を受けて、自らの身の処し方は。
(知事)
 私も今回の一連の事件の経過の中で、本当に思い悩みました。幾つかの選択肢のある中で、どうするのが高知の県民の皆さんのためになるかということを思い悩みました。県政フォーラムのような形でお話をしてご意見を聞いたり、また、書面でいただいたコメントを読ませていただいたり、メールやお手紙という形でいただく声を見せていただいたりいたしました。
  厳しいご批判も数多くありましたし、また、励ましの声も数多くございました。議会でも申し上げたとおり、ここで投げ出すのは楽な選択であろうけれども、それでは責任を全うすることにならないのではないかと。ここで踏ん張って自ら取り組んできた県政改革を続けることが責任ではないかというご意見もございました。
  そうした県民の皆さんのご意見や、県議会でのご議論を踏まえまして、私は大変自分自身苦しいまた厳しい選択ではございますけれども、引き続き知事の座に止まって県政改革をほんとに力強いものにしていく、また、失われた県民の皆さんの信用回復に全力をあげていきたいと思います。
  併せて、自分自身への処分ということで、今後、現在の私の任期が終わるまで、30ヵ月近くになると思いますが、10分の2ヶ月の減給処分を課したいと思っております。
(記者)
 10分の2、その根拠は
(知事)
 10分の2カ月というのは、地方公務員法でも最も職員としては重いものでございますし、また、期限としても自らの任期いっぱいということで、地方公務員法の私は特別職として対象ではございませんけれども、法も想定をした最大の処分に当たるのではないかというふうに思いました。
(記者)
 前回の時は3カ月の無給だから390万円になる。今回20%だと5.8ヶ月分、約2倍になるが前回とのバランスを考えたか。
(知事)
 バランスということは考えておりません。特に前回は、自分自身の任期切れが迫っておりましたので、その間に、その時の自分の思いとして最大限の処分を課すことができないかと思って判断をいたしました。
 今回は今回で、このことの重みというものを受け止めて自ら判断をいたしました。
(記者)
 今任期途中で、改革の成果について議会の評価をあおぎたい考えはあるか。
(知事)
 公式に申し上げるべきかどうかは疑問がございますが、自分は議会でも将来への責任ということを申し上げましたように、今回の出来事を受けて県政改革を進めていくという大きな責任を担っていると思います。
  つまり、過去に起きたことの責任を処分という形でとるというだけでなくて、将来自分がやっていくべき責任を果たしていけるかどうか、また、果たしているかどうかを見ていただきたいという意味も込めて、任期いっぱいということを申し上げましたので、その中でまた、議会がそうした改革の進め方を評価をしていただくという場面もあり得るかということは思っております。
(記者)
 評価というのは具体的に今回の処分のことか、
(知事)
 先程もいいましたように、公式にそういうことを申し上げるべきではないだろうと私は思いますので、私の思いとして今回の処分は、過去に起きたことの処分をしてそれですべてが終わりというものではないと、将来に向けてこのことを反省材料にどう県庁を立ち直らせていくか、また、県民の皆さんにそれをみて実感をしていただくかということにあろうかと思います。そういう県民の皆さんからの評価というものは、その代表である県議会のご評価ということにつながるのではないかという意味で申し上げましたので、それ以上踏み込んだものではございません。
(記者)
 具体的な改革の指針はいつ頃まとめるか。
(知事)
 指針というよりも、それぞれ個別に取り組んでおりますし、また、25日の開会日の提案理由の中でも一定まとめてお話をしようと思っておりますけれども、一つは、県政フォーラムなどでも今回の事件の最大の反省点として、情報が公開がされていなかった、県議会、県民の皆さんへの説明責任が果たされてなかったということを申し上げておりますので、より一層県民に開かれた県政、情報公開の徹底ということが大きなポイントだろうと思います。
  その際には、現在条例上非開示とされている情報というものの項目を見直して、少しでも開示をいていくような形、また、その運用ができるような形に条例を改正をしていくということも一つございます。それは具体的に作業に入っております。
  また、結果としてでできた事業なり、補助金なりを公開をしていくということはもとよりでございますが、それができるまでの過程を公開をしていくということも是非実現をしていきたいと思っております。
  例えば、今回問題になりました高度化の融資の事業であれば、その事業に対して口を利いてこられるというとちょっと表現が悪いかも知れませんけれども、いろんなお話を持ってこられた方は、どんな方が、どんな形で融資の話を持ってこられたのかということも公開をしていきたいと思いますし、また、別の視点でいえば、土木の箇所付けというのも今そのプロセスが全面的に示されているわけではございません。すべての事業について一遍にできるかどうかというのは課題でございますけれども、少なくともどこかの課の事業に関しては、国に対して概算要求をしていく時に、道路であれば、どの路線を、また箇所を概算要求したかということをお示しをし、それに対してまたさまざまな地域から、また議会から、団体からいろんなお声があろうと思いますので、そういう働きかけをして、結果的にどういう形で箇所付けがなされたかということを全面的に公開をしていきたいと思っております。
  併せて、これも県政フォーラムなどの場で申し上げましたけれども、情報公開ということへの関心がこれだけ高まっておりますので、その情報公開の進み具合というものを評価していただく、見ていただく、それによってそれをまたフィードバックしていただくことによって、より部局毎のバラツキのない、レベルのあった情報公開にしていく、また、県民の皆さんにとって分かりやすい表現の情報公開にしていく、そういうことを進める組織というものも是非考えてみたいと思っております。
  次に、県庁の中での情報の共有だとか、意志決定のあり方というものも今回の事件で問われている課題であろうと思います。特に、職員の中でいろんな事業を進めるときに不安や疑問を持っても、それが職場内の話の中で一つの方向に上手くまとまってしまって、そのまとまった話だけが起案として、案文として書かれていくというふうなことが、マイナスの情報といいましょうか、不安や疑問というものを同じ価値の情報として共有していくことを妨げてきたのではないかというふうに思いますので、職員が不安や疑問を感じた点をきちんと書き込んでいくような書類の書き方に変えていきたいと思いますし、同じように職員が不安や疑問を感じ、なお職場内ではなかなか口に出しにくいというような時に、相談をしていける体制というものも是非考えていきたいと思います。と同時に、どの事業のどういうものというのはなかなか限定できませんけれども、公益性の判断ということも今回の事件で改めて問われた課題だと思っておりますので、この公益性の判断の客観性を高めていくために、県民の目線も取り入れた組織づくりというものができないかと、このことも県政フォーラムなどで申し上げましたけれども、そうしたことも取り組んで行きたいと思います。
  また、そもそも融資に関わっておきたことでございますので、高度化事業の融資をはじめ、融資の手続きというものも大幅に見直していきたいと思っております。このことは、調査特別委員会、百条委員会からも詳しくご指摘をいただいておりますが、それぞれのご指摘に合わせて外部の委員による審査でございますとか、さまざまな対応をしていきたいと思っております。
  また、この点に関しては、県が単独で企業に対して直接貸し付けるというようなやり方は、一切廃止をしていきたいということを思いますし、細かいことでございますけれども、工事の事前着工ということも今回問題点として問われたことでございますので、事前着工も原則として廃止していく等々、今回の問題から得た反省点というものを活かしていきたいと思っておりま す。
  融資に関しても少し手戻りな話しになりますが、情報開示をしていくことは最大のリスク回避になろうかと思いますので、先程言ったことの繰り返しになりますが、融資の事業が一定動き出した段階では、そこでどういう方々が、どういう話しを持ってこられたかということをすべて情報開示をしていくことによって、特定の団体、また個人などの関与が排除できるのではないか、そういうシステムを作っていきたいと思っております。
  また、特定の団体ということでいえば、今回の事件の背景には、本県の同和対策が引きずってきたゆがみというか、積年の弊害がその背景にあったということを思いますので、すでに同和対策本部を廃止をし、また、同和対策課も廃止をして人権課に位置づけましたけれども、併せましてこの議会に同和対策審議会の廃止の条例も提出をいたしますし、その他一般対策への移行を前に、ほとんどの事業を廃止または見直しという方向で作業を進めております。もう今検討課題として残されているものもわずかになってきているということを思います。
  これらを通じて、同和対策というものを従来いわれた団体対策ではなくて、本当の意味の人権対策に切り替えていくという、そういう意味での改革、手直しということも進めていきたいと思っております。
  以上、いくつかのポイントという形で申し上げましたけれども、全体として今申し上げたようなものを機能させて行くためには、情報公開にしろ何にしろ県の職員がそうした意識を持って取り組んでいく体制にならなくてはいけません。つまり、何かこういう事件が起きたから対応策として県民向けにこんな組織を作りましたということだけでは機能していかないだろうということを思います。ほんとに職員一人ひとりが自らのこととして考え、受け止めて、そしてそこから何らかのことに気づいて、県庁を一緒に変えていこうという気持ちになってもらわない限り、今申し上げたようなさまざまな手だて、体制づくりも生きてこないのではないかということを思いますので、本当の意味で改革を目指していくような職員が育つ、そういう人事ということを目指していきたい。そのために人事の組織とかあり方というものを一度抜本的に見直していきたいということを思います。
  これは何も今の人事課、そこにいる職員に足らない点があるという意味ではございませんけれども、長年続いてきた組織とその手法というものの中に、現在の県庁の体質、考え方というものを作ってきた遠い原因もあったのではないかなと、それを職員の目から見ても何か変わってきたなと感じてもらうためにも、人事課の今の職員には大変恐縮ですけれども、人事のあり方、組織の見直しというのは必要な視点ではないかということを思っております。
  そうしたことが、改革へ向けての取り組みということになると思います。
(記者)
 出納長の処分は。
(知事)
 出納長は、まだ職員の処分とその軽重などの関係で連動するところがございますので、私の場合には行政職であると同時に政治家としての自分の判断ということで済みますけれども、事務方でございます出納長は、今申し上げましたように、他の職員の処分との関わりということで今少し検討中でございます。
(記者)
 職員の処分については。
(知事)
 これから委員会も開いていかなければいけませんし、委員会でもご議論が予想されると思いますので、そうした手続きをきちんと踏まえた上でないと規模そのものもまったく明確にならないだろうと思います。
(記者)
 三役の処分は予定どおり25日の開会日に出すのか。
(知事)
 三役といいましても副知事はああしたご決意を出しておられますので、私と出納長の条例案ということになります。
  副知事ももちろん、これまでの一連の経過を踏まえて辞意の決意を固められたということでございますので、そこでのご自分の責任ということを、職員の処分とは位置づけとしては違いますけれども、お考えだろうと思います。
(記者)
 年度途中の人事異動、組織変更があり得るか。
(知事)
 組織の変更については軽々に申し上げられません。が、人事ということで言えば、何らかの人事異動はその必要性が生じるだろうと思います。
(記者)
 職員との対話の中で、知事の声が伝わらないとの意見があったが、今後どういう対応をしていくのか。
(知事)
 ここ数日、私の気持ちとして落ち込みましたけれども、どこまで自分自身が知事として努力すべきか、努力できるかというようなことも非常に悩みます。
 やはり、部局長さんや課室長さんにそうした自分の思いというものを受け止めてもらって自分の考えを伝えていっていただくということがないと、すべてを私が受け止めて、私の言葉で言うことはこの数千人という組織の中では難しいのではないかということも思います。けれどの一方で、できる限りそういうこともしていきたいなということを思って、とても落ち込んで悩みましたし、今も悩んでおります。
(記者)
 続投の意思を最終的に固められたのはいつか。
(知事)
 最終的に固めたのがいつかは分かりません。
 今、こうして口に出してしまうということは最終的といえば最終的かも知れません。常に私は気持ちとしてはいろんな意味で揺れ動きました。
(記者)  進退は県民の意思に委ねたいといわれていたが、続投の声が多かった中でそういう判断があったということか。
(知事)
 また理屈の話しをして恐縮ですが、もちろん統計学的に意味があるというわけではありません。けれども寄せていただいたメールとかお手紙とか電話とかさまざまなものを合わせますと、だいたい激励・励まし、引き続き辛くてもやれという方が70%近くであったと思います。また、その逆のご批判の声が20%台であったというふうに思います。
  それは何ら数字的に意味のあるものではございませんけれども、そのことよりも、それぞれの批判なり激励なりの言葉というもの、そこに書かれた思いとか言葉というものを見て、自分はこうした道をつまり続投という道を選択させてもらうことが多くの県民の皆さんの思いに応えることではないかと自分なりに判断をいたしました。 
 
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