中国四国県議会正副議長会議知事挨拶(道路特定財源、地方交付税)

公開日 2007年12月06日

更新日 2014年03月16日

中国四国県議会正副議長会議知事挨拶(道路特定財源、地方交付税)

平成13年6月11日

 本日は、中四国県議会の正副議長会の開催、誠におめでとうございます。
 また、他県からお越しの議長さん副議長さん、ようこそ高知にお越しいただきました。心から歓迎を申し上げたいと思います。

 中国、四国の間には3つの橋が架かりました。また、四国の県庁所在地を結びますXハイウェイの高速道路も完備をいたしまして、お互いの時間距離も飛躍的に縮まったと思います。
 こうしたことによりまして、四国の島内はもちろんでございますけれども、中国地方さらに関西地域を含めまして交流が非常に拡大をしてきております。そのことを実感いたしますと共に、道路を中心といたします基盤整備の効果というものも、また改めて実感をしております。

 ところが、そうした中にもかかわりませず、最近道路特定財源の見直しといったような声が構造改革の大きなテーマとして取り上げられるようになりました。道路の特定財源は、もう始まりましてからかなりの年月が経っていますから、幅広い意味での見直しというのが当然必要なことだと思います。
 しかし、これを完全に一般財源化をして全く違う仕事の財源として使っていくということであれば、道路をつくるためにお支払いをお願いするといった、これまでの国民の皆さんとのお約束を違えるということになりますので、やはりそういう考え方であれば、まずこの税そのものを白紙に戻してから議論が進まなければいけないと思っています。

 一方で、これからの国の様々な政策課題ということを考えました時に、大都市部における渋滞の解消ということは利便性の面はもちろんでございますが、物流コスト、環境の問題等々とらえて当然必要な課題であろうと思います。
 一方、地方におきましては、高齢化がますます進みます中で、高齢者の住宅、お住まいになっているところと医療機関との時間距離のこと、また、今後国が掲げております市町村合併を進めていくためのネットワーク整備という面で道の果たす役割というのは、ますます重要になってくるのではないかと思います。
 そのような時に本当に道路特定財源を無くしてしまって、このような国のかかえる課題が解決できるのかどうか、大変大きな疑問を持っております。
 併せて、最近では、地方の人口の少ないところは高速道路も不必要であるというようなことが骨太の構造改革だというような表現の中で主張をされるようになってまいりました。
 こうした高速道路をはじめとする高規格幹線道路網というものは、地方分権を共通のスタートラインに立たせるためにも、すなわち私達がお互いの知恵とまた力で競い合っていく、その共通のスタートラインを整備をするという意味でも、国地方の行政が一緒になって進めていかなければいけない、私は最大の課題ではないかと思います。
 こうしたことを、あたかも大都市と地方との対立の構図のように置き換えてしまう、今の議論のあり方には大いに疑問を感じますし、また危惧も感じております。

 併せて、これと同じような理屈で地方交付税の削減ということが言われるようになりました。これについても、もちろん地方の側にとって考えてみなければいけない点はいくつかあろうかと思います。
 例えば、地域総合整備債によって様々なものが建てられる。その後年度の負担ということは、それぞれの自治体においての大きな課題になってきていると思います。今後このような地方債あり方、裏負担のあり方をどうしていくか、そういう意味での見直しというのは当然必要だと思います。
 一方で、地方交付税の内訳というものを見てみますと、その7割までは、教職員の定数または警察職員の定数、さらには国の様々な5カ年計画の地方割というような形で縛られたもの、国との紐のついたものでございまして、本当の意味で自由に使えるものは30%ぐらいしかございません。
 今後もし地方交付税が削減するということになれば、この30%分が削減されるということに当然なってまいります。そうすれば地域のきめ細かな道づくりもそうでございますし、福祉医療の積み増しも、教育も、様々これまで地域が努力をしてきたこと、次々とまた切りつめていかなくてはならないということになります。
 このようなことが、本当に国民の皆様方の前に情報として示された上での議論なのかどうか、ということを大いに疑問を感じますし、また怒りさえ感じます。

 情報公開ということで言えば、本県では予算の使い方また資産のあり方、さらには道路整備のあり方などについても出来る限り情報公開をし、そして説明責任を果たしてきたつもりでございますし、また、それに対してもし大都市部の方々からご義論があるのであれば、そのご義論にいつでも応じる体制をとってまいります。
 という面から考えて見ますと、情報公開は地方からむしろ進んできたことで、国はかなり遅れてそれにようやく踏み切ってきました。その間、国が費やしてきた無駄遣いというのは数多くのものがあろうというふうに思います。また、説明責任という点でも地方の方が遙かに進んでおります。国は後から追いかけてきております。
 そのような国が専門家といわれる方々だけを集めて、国民の議論というものをないがしろにして、地方交付税の削減等々を議論するというのは明らかにおかしいのではないか、こうしたことが本当の意味の改革かどうかということを、私は是非地方から大きな声を上げていただきたいということを思っております。

 今日、中四国の議長・副議長さんがお集まりになられて、そしてこれまで培ってこられた様々な地域での知識またノウハウというものを生かしてご議論されること、大変意義深いことであると思いますし、また、併せて今置かれた地方の環境の厳しさ、またそこにおける危険性ということを十分ご認識をいただいて、厳しい声を国に対して上げていただきたい、そのことをお願いをし、最後に、中四国正副議長会のますますのご発展を心からお祈りいたしまして、私のご挨拶とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

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