高知工科大学卒業式知事挨拶(理事長挨拶)

公開日 2007年12月06日

更新日 2014年03月16日

高知工科大学卒業式知事挨拶(理事長挨拶)(平成13年3月21日)

 卒業生のみなさん、また、大学院修了生のみなさん、まことにおめでとうございます。本日、3月21日は気象庁の桜開花予報によると高知県が全国で一番早く桜の花が開くという予想の日です。そのたいへんめでたい日に第1回の卒業式が開催できますことをたいへん嬉しく思います。

 振り返ってみますと、この大学づくりは10年前、私が初めて高知県の知事になりましたときに、県民のみなさまがたにお約束した仕事の一つでしたし、末松先生はじめ多くのスタッフ先生方とこれまでの日本になかった新しい大学をこの高知から作っていきたい、そういう思いで設立した大学でございました。
 とはいいましても、第1期生のみなさんがたにとっては、伝統もない、先輩もいない、そうしたスタートでしたから、今、佐々木くんの謝辞のなかにもありましたように、確かに新しいものを切りひらいていこうという夢はあっても、正直いって不安もいっぱいではなかったかと思います。
 ただ、そうした中で、教員スタッフみなさんが力を合わせて、わずか4年間ですばらしい大学の基礎を作っていただきました。それだけに、青春の学舎として、この高知工科大学を選んでくださったみなさんに、心から感謝を申し上げたいと思います。

 そのみなさんがたの入学式の時に、僕は狭い範囲の専門分野だけでなく、広い視野のもてる、また学際的な考え方のできるようになってほしいと呼びかけました。また、みなさんがたが卒業される21世紀は、20世紀の大量生産、大量消費を支えてきた技術にかわって、自然に学び、自然と調和しながら人を助けることのできる技術が求められるようになるのではないか、ということを申し上げました。
 それから、4年の間に情報通信の分野をはじめ、技術革新はめざましいものがありますし、人型のロボットの実用化など、さまざまな発展をみています。
 が、大きな流れは4年前に申し上げたことと変わりはないと思います。それだけに、みなさんがたにはこれからも21世紀の新しい社会を、システムを作っていく、また、変えていける、そういった人材として巣立っていっていただきたいと思います。

 また、みなさんがたは学生生活のなかでさまざまなことを体験されました。そのなかには学会での発表など学術研究に直接に関係あることもありましたし、また、よさこい鳴子踊りやドリームネットデーへの参加など、地域との交流もありました。
 さらには電気自動車の製作とか、ロボットコンテストへの挑戦など、さまざまな面で活発な活動をしていただきました。
 また、第1期生が2年生の秋、平成10年の9月には未曾有の集中豪雨で高知県の中央域がたいへんな水害に見舞われるということがありました。そのときにも、ボランティアの募集をしましたら、前日の急な募集だったのにもかかわらず、当時の在校生のおよそ4分の1の方が手をあげてくださいました。そういう話を聞いて、とても嬉しく頼もしく思ったことを今もよく覚えています。
 が、こうした様々な活動が活発に取り組めたのも、新設大学ならではの教職員とみなさんがたの距離の近さ、また、地域のみなさんがたとの距離の近さ、風通しのよさというものが、その背景にあったのではないかと思います。
 これからも、このようなお互いの風通しの良さ、距離の近さというものを大切に、地域のなかでは存在感のある、また、全国でも世界でも存在感のある、みなさまがたからよく見えるようなそういう大学にしていくようにつとめていきたいと考えています。

 また、今、外の方々からよく見えるということを言いましたが、この大学の設立にあたって、大学の歌を谷村新司さんにお願いしたとき、谷村さんが「これからは何とか大学の校歌といって、みんなで斉唱をするという時代ではなくなるのではないか。そうではなくて、学生さんひとりひとりが自分たちの歌として口ずさんでいただけるような、そういう学生歌を作りたい」といって作曲してくださったのが、フライングフィッシュ、空飛ぶ魚というテーマのついた曲でした。
 高知という名前も工科大学という名前も出てこない、変な学生歌だなと思われた方もいるかもしれませんが、この歌のなかに嵐の海のなかを泳ぐ名もない小さな魚でさえ、風を頼りに空を飛ぶというフレーズがでてきます。まさにこのフレーズのように、高知工科大学も名もない小さな存在から、大空を飛んで多くの人々からその存在を見ていただけるような大学になったと思っています。
 これから、みなさんがたは就職、大学院、家事手伝い、独立とさまざまな道に進まれるわけですが、この大学で身につけられたフロンティア精神というものを大切に、お一人お一人がフライングフィッシュとして大空にはばたいていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、4年間、この新しい大学づくりに参加していただいたみなさんに改めて感謝を申し上げるとともに、みなさまがたの未来が輝かしいものになるよう、心からお祈りをして私の理事長としてお祝いのことばとかえさせていただきます。
 本日はおめでとうございます。ありがとうございました。

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