平成14年2月県議会定例記者会見

公開日 2007年12月06日

更新日 2014年03月16日

平成14年2月県議会定例記者会見

平成14年2月19日 9時00分から(県庁第二応接室)

 (知事)
 2月の定例議会を今月25日に召集をさせていただくことにいたしました。
 提出をいたします議案は、一般会計の予算など予算議案と条例議案あわせて、69件でございます。

 このうち予算案の総額は、5,418億円で3年連続のマイナスになっておりますし、今年度の当初に比べましても、400億円ほどのマイナスになっておりますが、いわゆるペイオフの対策といたしまして、預託の方式を利子補給の方式に切り替えるといったことに、見かけが下がったという面もございますので、実質的にはもう少し小さな額の減額というかマイナス予算ということになります。

 その予算の内容でございますが、今回の予算は第二次の財政構造改革の締めくくりの年にあたります。このため、利子割りの県民税やまた法人事業税の落ち込みという大変厳しい現状の中ではございましたけれども、さらに投資の削減等にあたることによりまして、財源の不足額を15億円まで縮減をすることができました。

 また個別の課題につきましても、既に一定の方向の見えたものは、予算の中に盛り込んでおりますし、またこれまでに議論が片づかなかったものにつきましては、14年度に引き続き見直しの方向で検討していきたいと思っております。

 あわせて、今回の予算づくりにあたりましては、昨年度試行をいたしましたタイムリミット制を本格的に導入をいたしましたし、また全ての新規事業に関して事業評価のシートの義務づけをいたしました。こうしたことによって、県民の皆さんへの予算づくりにおいての説明責任というのも、更に説明が十分になされるような形に変わってきているというふうに思います。

 また、あわせて説明責任ということにも絡んでまいりますけれども、単に概算の要求の状況をお示しをするというだけではなくて、今回の予算づくりにあたりましては、3月の末になると思いますが、14年度の当初予算の見積書を全て公表をすることにいたしました。

 これによって、県の側がですね、14年度の予算の骨格はこうで重点項目はこうですよという、県側の都合での発表を県民の皆さんが聞かされるというだけではなくて、県民の目線で見て、こんな予算が隠れているけどこれは何だと、またこういうことをもう少し強調したらいいんじゃないかと、いうふうな議論が、まあ簡単にはなかなか見積書を見て出てこないかもしれませんけれども、そういう議論が出る可能性がですね、こういう透明性を増すことによって、出てくるのではないかということを期待をしております。

 県側から見た今回の予算ということでございますけれども、構造転換の特別枠を5つの分野で設けまして、それぞれの分野でさまざまな試みをすることによって、県の中にございます、いろんな古い構造を少しでも変えていこうということに努力をいたしました。

 また、14年度の予算では教育改革ですとか、情報化、さらには地方分権への対応、森林保全への対応、そして国体、よさこいピック高知への対応というふうなことに重点を置いて、予算を組んでまいりました。こうしたことが今回の予算の特徴として言えることではないかと思っております。

 あわせまして、条例につきましては、これも透明性を高めるということ、また県政改革ということに関わってまいりますが、情報公開条例の一部改正案など43件を出しております。この他に、モードアバンセへの事件に関連をいたしまして、県が損害賠償を申し立てる事案の議案も提出をすることにしております。
 私からは以上でごさいます。
 

(大塚:共同通信記者)
 雇用対策の方で28億あまり盛り込まれていますが、意外に低い、小さいのかなという気がしたんですが、雇用対策についての評価を聞かせてください。

(知事)
 額として、大きい小さいでは評価出来るものではないと思います。県の側としては、もっと多くの額を組みたいと思いました。しかし、緊急の雇用創出のための基金として公表されているものも、いろいろ使い方の面で縛りがかかっていて、使いにくいという面がございます。

 よく事例として、私が挙げておりますけれども、いわゆる公共事業の範囲の中で、それをさらに事業として伸ばすということには使えないということがありますし、一方で、4人のうち3人の方はハローワークに通っている、失業されている方というふうな枠もございます。

 このために、本県のように8齢級、9齢級という大きな木の間伐をしなければいけない県では、なかなか本職の方がおひとりで、あと3人の方がそうではない方という形では、森林の間伐など本県でぜひこの緊急雇用を使ってやりたい仕事がなかなか進まないという面がざいます。

 それから、そのこととは別ですけれども、労働局がもっておられますいろんなデータがございます。こういう生のデータを見せていただければですね、その中でどういう方がどんな資格を持ち、どんな経験を持って失業していらっしゃるかということが分かりますし、それに合わせて研修を組んでいく、またそういう方に合わせた求人の数を増やしていく、それによってミスマッチをなくしていくということができますけれども、こうしたデータが一切公表をされておりません。

 同じ守秘義務を持っております地方公務員である、私たち県の職員にも公表されないという状況でございますので、これでは本当の意味での雇用対策は組めないのではないかということを強く感じております。

 これは、各県の知事もですね、同じように知事同士で話をしますと、問題点として感じていることでございますので、ぜひ知事会などを通じても、こういうことを国に対して要望というか、おかしいのではないかという指摘をしていきたいと思います。

 今、申し上げたようなこともございますので、本当の意味でやらなければいけない対策が、今の国の縛りの中では、私は組めない状況にあるのではないかということを思います。そういう国のいろんな規制、枠の中で私は精一杯努力をした数字ではないかというふうに思っております。
 

(中平:高知新聞記者)
 財政構造改革第二次の最終年度の予算になったわけですけど、収支均衡の予算、プラマイゼロということだと思うんですけれども、それを目指す予算だったわけですが、最終的に財源不足が15億、着手前からの見込みから言えば、10分の1程度までは縮減はできたわけですが、この15億という数字、最終年度での財源不足というのをどういうふうに捉えられていますか。

(知事)
 実体的には、あまり大きく問題を残す額ではないというふうに受け止めております。
 

(中平:高知新聞記者)
 実体的というのは。

(知事)
 それぞれ、年度年度で予算は計画として組むわけですけれども、それを使い終わったときに、決算としてどうなっていくかというようなことが、実体的に過去の実例がございます。そういうことから言えば、大きな問題を後々に残す財源不足額ではないのではないか、という意味でございます。 
 

(中平:高知新聞記者)
 剰余金でカバーできるという意味ですか。

(知事)
 まあ最初からそういうことを言ったのでは、元も子もありませんので、これまでの実体的な流れから言えば、大きな問題点を残す額ではないのではないかと。

 ただ、当然財政構造改革という計画からすればですね、その財源不足をゼロにしようと思って、努力をしてきたわけですから、それは達成できなかったというご指摘はあるかもしれません。

 しかし、実体的に予算を組むという面で、県民の皆さんのサービスを十分補償をしながら、予算を組んでいけるだけの体質には十分なれたのではないかというふうに受け止めております。
 

(中平:高知新聞記者)
 私はむしろ見込みから言うと、ずいぶんよくここまでやったという意味でお聞きしたんですけれども。

(知事)
 そう言っていただくと、とても嬉しいです。
 

(中平:高知新聞記者)
 ただですね、シーリングによる歳出カットは、ここ数年相当厳しいシーリングカットをやってきたわけですけれども、一定の限界に近いのかなと。県単なんかもピーク時からいうと800億円後半だったのが400億円半ばまで半減していますので、シーリングによる歳出カットというのは、しんどくなったのかな、限界にきたのかなと思うんですけれども、これから公債費も償還もさらに膨らんでいくわけですから、まだまだ厳しい状況にあると。

 そういう中で、次へのステップと言いますか、さらなる財政構造改革ということで言うと、今やっているタイムリミット制の徹底とか、いろいろあろうかと思うんですが、現時点での知事のお考えがあればお聞かせいただきたいと。

(知事)
 今ご指摘がありましたように、これ以上一律のシーリングだけでですね、予算を切りつめていくということは、県民サービスという面でも、また県の職員の志気という面でも、様々な問題が出てきている。ある意味では、限度にきているということを実感をしております。

 ですから、シーリングということは一方で必要ではございます。それがゼロか何%かということは別にして。一方では必要ではございますけれども、そうでない仕組みを導入していかなければいけないということを思います。
 そのための道具というか手だてとしては、今お話にございました、タイムリミット制ということが一つ挙げられるだろうと思います。

 先ほど私からの一方的なお話の中では、昨年度試行として取り入れたものを、今回本格的に導入したということを申し上げましたが、本格的に導入という意味はですね、全てのものについて、そういうシートを作っていったということであって、それを全部財政なり何なり、担当者の間で議論が煮詰められたということでは本当はございません。

 今度はですね、このタイムリミット制について、もちろんタイムリミットに上がるものももちろんでごさいますし、それからそれ以外でも財政の担当者と各部局の中で、これは予算として今後検討しなければいけない課題ですねということで、共通認識になっております事業がいくつかございますので、そういうものを取り上げ、当然公共事業も含めてという、私の思いとしては、主旨でございますけれども、タイムリミットを徹底をさせていって、それによって大きな削減項目を作りだしていくということが必要ではないかと思います。そのためのタイムスケジュールといたしましては、このところサマーレビューは止めているわけでございます。

 一方、今年は国体がありますので、この国体の準備との絡みがあって、今知事の思いとして申し述べて、確実にそれが事務的に実行できるかどうかというのは、十分議論していかなければいけないことなんですが、私の思いとしましては、サマーレビューなり何なりに当たる時期までにですね、今申し上げたタイムリミットに当たるもの、公共事業も含めたタイムリミットの候補、そしてその他課題のあるものをずうっと上げていって、徹底して議論をして削減項目をつくっていく。

 で、一方でここからが難しくなるんですけれども、それをどういうふうに一律ではなくて重点配分をしていくか。これまでも、特別枠、重点項目のつくり方でいろんな議論があって、なかなかいい着地点がまだ見えていませんけれども、そういうことも合わせて、企画振興部なども含めてですね、少し全庁的な議論を同時並行でしていくことによって、予算のつくり方を15年度当初に向けては、今申し上げたような形で大きく変えていければなというふうに思います。
 

(中平:高知新聞記者)
 質問にはならないんですけれども、そういうある意味、知事査定の前倒しと言いますか、要求を締め切った後の査定じゃなくてですね、前段での洗い直しというのが必要だと思いますし、それからそれをどう重点配分していくかというお話だったんですが、やっぱり一律のシーリングを各種削減して、特別構造枠で復活(取り戻す)というやり方は、結局部局間のシェアの見直しには、なかなか結果として繋がらないという意味では、今言われた、言い方は適当ではないかもしれませんが、知事査定の前倒しみたいなものが必要ではないかというふうに思いました。

(知事)
 私もそういう思いで申し上げました。知事査定は知事査定でいろいろ意味がございますので、その価値を否定するものではないですけれども、やはり、ここまで財政的にも厳しくなってきている、またそれによって、県民サービスにも現実的にいろんな痛みを伴わなくてはいけないという時期にですね、もう少し思い切った部局間の予算の揺り戻しというか配分の見直しということが必要だろうと思いますので、今申し上げたようなことを、ぜひ来年度はやって、15年度予算に向けた大きな取り組みにしていきたいと思っております。
 

(鈴木:NHK記者)
 今回の予算の中で、森林の間伐とかの予算をかなり重点的につけており、国の流れもあると思うんですが、知事として予算の中で、どんなふうに森林の関係の予算を位置づけて考えていらっしゃるかということと、香川県が吉野川の上流の森林の間伐に、補助を出そうということを予算案の中で出されていますが、それに対してどういうふうにみられていて、香川県とどう連携をしていくかをあわせてお聞きします。

(知事)
 森林の維持・管理、その一つの大きなテーマになります間伐に関しては、今回の予算編成に当たって出来る限り、その間伐の事業を増やしていくという方向で検討をしたいということを言い、また検討をしてもらうように指示をしておりました。まだ本音では、もっと数多くの面積が出来るような予算を組みたかったというふうに思います。

 けれども、先ほど申し上げたような緊急の雇用創出の基金の使いにくさ、使いにくさというとあれですけれども、その要綱上の縛りですとか、さまざまなことがありまして、まずまず最低限とは言いませんけれども、向こう残された間伐を一定の期間の中で済ますということで言えばですね、年間これだけはこなさなければいけないねというものが、ようやくそのラインまで補正も含めて、対応できるというのが現状だろうということを思います。もう少し思い切ったことが、何か知恵が出せないかなということは思い続けております。

 あわせて、香川県が、嶺北の水源地の森林の保全に、あのような形で予算を組んでいただくというのは大変素晴らしいことでございます。
 今後ですね、本県で進めております、水源かん養税の使い方だとか水源かん養税を、他の県でも協力をしていただくという視点からも、大きな一歩ではないかと思っております。香川県ではまだですね、ご自分達の水源である嶺北地域ならともかく、室戸や四万十の山林にですね、香川県の人がというのが、どういう関係があるのかというご議論が強いという話を香川県の方からもお聞きをしたことがございます。

 そういう香川の都市住民の方々の思いを、一つクリアしていく手だてとしてですね、今回の予算を組まれたという面もあろうと思いますので、是非本県の側としては、折角のこうしたご厚意と言うと、ちょっと表現がおかしいですが、新しい試みが実質的な価値のあるものになるように、是非いい形で活かしていければということを思っております。

 現実には、90%補助で10%が自己負担で残るという制度でございますので、このまま10%の部分を香川からの予算で足してしまうことによって、本人負担なしでですね、間伐が進められるという制度にすることによって、少しでも今予定されているよりも、嶺北地域の水源地における森林の間伐面積を増やすように努力をしていきたい、そういう形でこの香川県の予算を有効に使えるようにしていきたいというふうに思っています。
 

(岡村:高知新聞記者)
 森林施策の面で、森林整備公社の県からの借入金、あるいは公庫からの借入金、市中銀行からの借入金が、累計で240億になりますけれども、公社の役割とか公社の設立したときの主旨とかから考えて、将来的にどういうふうに対処されるのか。つまり県は、実質的無利子貸付は、他の借入に対しても県は損失補償をしているんですけれども、将来県としてどのような見直しをしていくのか知事はどのようにお考えですか。

(知事)
 この公社の当初の目標なり、なんなりが変わってきたというのは、まさに当時の木材の価格とですね、現在の価格が、当時予想もできなほど下がったという経済的な現実が背景にあるわけでございますので、何も公社設立の目標や造林事業・育林事業の主旨そのものが、どこかでゆがめられたということではないと思います。

 また、これは本県だけではなくて、同じような事業をしていらっしゃる各県が共通して持っている悩みと言っていいことではないかと思います。それをどういう方向で解決をしていくかというのは、非常に悩ましい問題で、御社のこの間の特集の記事の末尾にもありましたように、やはり公益性ということも踏まえながらいかないと、採算性とかですね、県の負担ということだけに目をやっても、なかなか解決策が見つからないのではないかと非常に悩ましい点がございます。

 また、それぞれ契約をしてくださった方が、「まあ、もうこんな時代だからいいよ」とでも、言ってくださればいいですけれども、なかなかそういう虫のいいことも言い難い面がございますので、今はちょっと対症療法しか考えつきませんので、とりあえず来年度は経営の面からきちんと見ていただける方、また手入れの面からもきちんと見ていただける方に、この森林整備公社の経営の状況を見ていただいて、具体的なアドバイスをもらってですね、それを森林整備公社の経営に一つは活かしていければということを思っております。

 あわせて、先ほども言いましたように、これは高知県だけではなくて、同じ事業を持っております各県の共通の悩みだと思いますので、国はですね、とても国がかぶったらまた大変だということから、一線を当然画しておられるわけでございますけれども、国としても今後、私たち地方と共に考えていっていただかなくてはいけない課題ではないかと思いますので、国に対しても、具体的な要望ということではないですけれども、その問題を意識をしていただいて、どういう方向があるか、そういう協議も引き続き続けていきたい、というふうに思います。
 

(西村:KUTV記者)
 今回の予算の中に、エコサイクルセンターの予算が計上されています。文化厚生委員会でもかなり議論にもなりましたけれども、また今度の2月議会でも焦点の一つになるだろうと思いますが、県としては、どういう形で理解を県議会に求めていかれるのか改めてお伺いします。

(知事)
 私は今の時点で、過去のいろんないきさつに対しての県としての思いとかですね、反省点というのはあると思いますけれども、今の時点でエコサイクルに関しては、それほど大きな自分としては悩みを持っておりません。

 この意味は何かと言いますと、この間も申し上げましたように、焼却炉の施設を併設をしたのでは、採算的に成り立たないけれども、管理型の最終処分場というだけであれば、一定の採算性が保持できるということであればですね、最終処分場の必要性というのは、これは今も変わっておりませんし、また今後、10年15年別の土地で、すぐそういうような用地が提供をいただけるかというか、準備できるかというと、それはできないことから言えば、私は採算性と公益性との兼ね合いの中で、まだ、その公益性というものが、非常に強い事業ではないかということを思いますので、今回、今の上流地域の計画地での最終処分場を建設をしていく、そのための設計を進めていきたいということを議会にお話をしていきたいと思います。
 

(岡村:高知新聞記者)
 今度の予算で、もう何度も議会とかでお話になったと思うんですが(地方分権に関して、重点項目というか経済効率ですが、確認みたいになりますが)、地方分権、市町村合併が大きな予算として上がっていますが、市町村合併について、この時点の考えを。

(知事)
 ほとんど毎月のように考えを述べているような気もいたしますが、今月も変わっておりません。
 僕は市町村合併と言うのは、国や県が無理矢理押し進めるべきものでもないし、また無理矢理押し進めて進むものでもないと思います。やはり、あくまでも地域の住民の方々が議論をして、自らの住む地域の将来を決定をしていかれるべきものだと思います。

 ただ、そう言って、住民の方々に投げているだけでは、当然お話も進んでいきません。また住民の方々が直接十分な情報を集めることもできませんので、そうした必要な情報をわかりやすい形でお示しをし、このまま15年20年たてば、どういうふうになっていきますよという、今のままでの市町村の将来の姿などをお示しをする中で議論をしていただく、そういう場づくりというものが必要だと思いますので、その場づくりには、県として精一杯努力もしていかなければいけないと思います。

 先ほど言いましたように、市町村の住民の方々に、無理矢理合併を押し進めるというものでもありませんが、一方でこれからの人口減・財政の厳しさということを考えましたときに、地域の住民の方々が10年20年たった時にですね、こんなことになるのであれば、あのとき合併をしておけば良かったねというふうな、またお話が出る、そういう状況をつくることもいけないと思いますので、そうならないような十分な議論の場を提供していくのが、私は県の責任だと思っています。

 あわせて、そういう中で協議会をつくって、次のステップへというふうな動きが出てくれば、全面的にご支援をしていきたいと思っておりますし、今まだ直接予算を組んでということではございませんが、中芸の広域連合の発足などさえも、一定の予算的な支援ということもしてまいりまして、そういう経過から考えれば、市町村合併への動きというものが具体的に出た時に、県としても様々な形での具体的な支援策というのは、当然検討していかなければいけないと思っています。

 そのことは、財政だけではなくて、やはり人的なことなども含めてですね、これからは考えなければいけないと思いますし、さらに県が持っているいろんな権限を、単に事務の作業だけ市町村に下ろしていくということではなくて、権限的に市町村とどう分け合って、そこに人的な配置をどうしていくかというような面から、この市町村合併、また県と市町村との関係を見直していくということも必要なことではないかと思っております。

 と申しますのは、国体が今年ございますので、14年の県の組織としては大きな揺り動かしをいたしませんけれども、15年に向けては、国体終了後で組織の改革ということも当然思い切ったものを踏み込まなければいけないと思います。そのときには、県の、県庁の組織の改革ということだけではなくて、そこまでいけるかどうかは分かりませんけれども、市町村との間の関係というのが非常に重要なテーマになってまいります。

 それは、権限の見直しもありますし、そういう中で地域地域の、例えば県の出先または県の本庁舎の中の仕事と市町村との関係をどうしていくか、という見直しもあるのではないかなと。市町村合併というのは、単に今の枠組みの中でご議論をいただいて、特別の交付金でどうのこうのしていくということだけではなくて、そういう県の中での全体的な市町村との役割分担の見直しということも伴うのではないかと、また伴わなければですね、もし合併ということがうまく進んでいきましたときにも、それが十分な効果を発揮しなくなるんではないかというようなことを感じております。
 

(岡村:高知新聞記者)
 おっしゃる県の権限で、地方分権に対する知事のお考えを。 

(知事)
 いや、具体的にどんなものをということではないんですけれども、本当に合併が進みですね、しかも一定の規模での基礎的自治体が出てきたときに、やっぱり県との関係も変わっていくべきではないかなと、権限とか役割分担という意味で。

 それは、今のままの人的な配置だと、ただ事務事業が増えて煩わしいねということに基礎的自治体の側から言われかねませんから、そういう時の人的な支援の関係だとか、いうことも含めてですね、これからは考えていかなければいけないんじゃないかというふうにも思うんです。
 

(岡村:高知新聞記者)
 一定、機構改革が進んでいるわけですか。

(知事)
 一定の、例えばこういう形でということを想定しての議論ということではありません。けれども、今申し上げたようなことも、これから機構改革を15年度に向けて、考えていくときの大きなテーマの一つだと思います。
 

(松井:高知新聞記者)
 財政構造改革の見直しの中で、重度心身障害児・者の医療費の問題がありますけれども、まだ改革の余地が他にありそうな中で、実際に経済的に困っている人の方に、障害者の生活にまで踏み込んだのは、少し乱暴ではないかという感がありますが、そのことに対してはどのように考えていますか。

(知事)
 はい。私はいわゆる、重度心身障害児・者の医療費の問題だけではなくてですね、全ての問題が他に無駄があるからこちらは、ということで片づけてはいけないと思うんです。

 それぞれの事業の、本来のあるべき姿がどうかということを議論をしていかないと、例えば道路の予算で、こういう無駄があるから教育にとか、何か別に福祉の方でこんなことをしているから、これを河川というようなことは、少し県民の皆さんの目から見たときの感覚的な感情的なご意見としては十分よくわかります。けれども、それはやっぱり予算をつくるとき事業を考えるときには、県の職員が考える立場としては、乱暴になってしまうんじゃないかと思うんです。

 重度心身障害児・者の問題についても、やはり今出てきている問題の根本は何かと言えば、お若いうちに、また生まれながらに障害を背負った方のそのための医療を大幅に見直す云々という議論ではありません。そうではなくて、65歳以上になって、障害を得られた方をどう対応していけばいいかという高齢化時代の中で出てきた新しい事象、新しい社会構造の変化に、どう対応していくかということだと思うんです。

 それから言えば、他に無駄がある何のということの議論よりも、そもそも重度心身障害児・者の医療費の無料化、医療を援助するという制度が、何のために出来てきたかというその制度の本来の主旨から、制度本来の主旨では、どこまでをきちんと対応をしていくのかということとですね、それから65歳以上の方で、なお何らかの支援をする場合に、同じ制度でそのままの制度に乗せてやっていくのか、また別途そこは何らかの手を差し伸べるということを考えるのかということを、私は分けて議論していくべきではないかなということを思います。

 で、そういうことで考えますと、今ある制度のままでそのまま高齢者の対応も全て含めて考えていく、その予算の伸びの額ということを考えましたときに、果たしてそれが全体的に合理的な予算の配分かどうかということも、自分自身は思いますので、そこはやはり事業本来の形でまず見直してみて、そこで何かが問題が起きれば、それに対するまた別途の手だてを考えていくべきではないかなと、単に他に削るところがあるから云々というのは、少し予算のつくり方としては乱暴になりはしないかなということを思います。
 ただ、そういうことを当該障害者の団体の方々が思われて、口にされるお気持ちはよく分かりますので、それを否定するものではありません。
 

(中平:高知新聞記者)
 さっきの話と関連するんですが、他に削るところ、削れるところがあるなら、削って他に回すべきだと思いますけれども。そうしないと、シェアの揺り動かしにはならないし。

(知事)
 それはもちろんそうなんですけれども、今の重度心身児・者の問題で、他に削るところ云々というのは、少し乱暴な議論になりはしないかなというふうに思うんです。
 

(中平:高知新聞記者)
 いや、だから。

(知事)
 いや、他に削るところというのは、本当に無駄があるとはそれはもちろん。無駄な見直しは全部やっているわけです。だからそこまで言うと、言っておられる方の主観にまで踏み込むことになるので言わなかったんですけれども、言っておられる方の価値観からして、これは無駄だと思われる事業があるんではないかという意味で申し上げたんです。

 一般的に県民の目線から見て、無駄かどうかということとは別に、そういうことをおっしゃる方々は、こういう事業は無駄ではないかと思われてる事業があるのではないかと。
 

(中平:高知新聞記者)
 では無駄は全て削っているということであれば、どうしようもないわけですね。既に削っているのであれば。

(知事)
 いや、既に削っているとは私は言えないと思います。だから一般論としてね、無駄を削って他に回すことはいいと思います。しかし、他に回すときに、それが重度心身障害児者に回すべきものなのかどうかということは、また別途議論しなければいけないだろうというふうに思います。
 

(中平:高知新聞記者)
 それはそうでしょうね。ただ事業の選別というのは、徹底していくしかないわけですよね。

(知事)
 そうです。要は、あんまり具体例を出すとちょっとあれなので、何とも言い難いのですが、例えば高知新港は無駄だというふうに思っていらっしゃる方が、あんな事業をやるんだったらば、福祉に回すべきではないかというご意見を持っていらっしゃる方が多数おられるだろうと思います。
 そういう無駄論と、事業そのものが本当に無駄かどうかという無駄論とは、また僕は違う議論だろうと。
 

(中平:高知新聞記者)
 それこそ行政が主体的に判断して、こちらの優先順位が高いということを示して、議論して決めていくべきことですよね。

(知事)
 そうです。そういうことを申し上げています。
だから一般的に無駄があるというふうに言われても、そこはきちんとその事業別のお話をしなければいけないんじゃないかということなんです。
 

(中平:高知新聞記者)
 だから、そこで重度心身障害児・者の医療費にも、手をつけるということの説得力のある説明をしないと納得していただけないですよね。

(知事)
 もちろんそういうことですね。当然そういうことです。 
 

(鈴木:NHK記者)
 予算の話と関係ないんですが、プール金の問題でリストが公表されました。香川県でもあったんで、高知県でも調べたらということだったんですが、それに対する知事の率直な感想をお聞かせいただきたいのと、過去の名残という感もあるんですが、今後調査をどんな形で進めていこうとお考えですか。

(知事)
 僕は、過去の名残では済まされない問題だと思います。実質的な背景は過去の名残ですけれども、県の立場として、過去の名残では済まされない問題であろうと思います。

 平成8年の時点で、官官接待なんかを止めてですね、そういうプール金そのものの、かつて持っていたような意味がなくなって、ただそれを知っていた人が、それをそのときに精算をすると、またいろいろ言われて面倒くさいので、そのまま蒸し込んだというのか、気づかない振りをして、そのままにしていたというのが私は現実なのではないかなと。

 もしそうであれば、そうした考え方そのものを基本から改めていかない限りは、県の仕事の仕方というのは変わっていかないんじゃないかということを強く思いましたし、その意味で、私はあまりそういう言葉を使いませんでしたけれども、今回の出来事にはかなりのショックを受けました。

 既にそういう指示を、ちょっと下まで伝わったかどうかはわかりませんけれども、当時当然そういう預け金があるということを知っていた職員は相当数いたと思いますので、今月の末までに、当時知っていた人はどういう判断をして、どうしてそのことをきちっと、もし精算をするなら精算をしなかったのかということを、それぞれ紙に書いて出してほしいということを言っております。それぞれ名前入りで、自分はどういう思いで、どうしたかということを出して、それをやっぱり、県民の皆さんに公表するぐらいのことが必要ではないかと私は思っております。一つは。

 そこから、そこにどれだけの、後でその問題点を問うことがあるかどうかの、その軽重によって、その対応はまた考えてまいりますが、とりあえずどういう理由で、知っている人が多数いたと思いますので、そういう人がどうしてそれをそのままにしていいと思ったのかということを、明確にやっぱり県民に一人ひとりが説明をしていく、私ももちろん説明責任がありますが、そこに担当した職員もそういうことを説明をしていってもらう責任があると思います。
 

(岡村:高知新聞記者)
 知事、少々私はこういうことに食傷気味でへきえきしているんですが、いろんな構造改革の中でですね、心を鬼にして財政を削っている当局もある一方で黙って伏せ込まれてきたわけですが、果たして職員だけの責任だろうかという気もするんです。

 と言うのは、平成8年に高知新聞社が、知事に官官接待等についてのインタビューをしているわけですが、「裏金を調べる必要があると考えるのか」という記者の質問に対して、知事は「不要だと思う。既に裏金はないし直っているだろう。調査をすれば、個人が形式的にいずれかの犯罪に問われることもでてくる。調査にかかるエネルギーを費やしても県民のためにはならない」ということをおっしゃっているわけです。つまりこのときに、しかるべき調査をしていれば、出てきた可能性があるんじゃないですか。

(知事)
 それはおっしゃるとおりです。
 

(岡村:高知新聞記者)
 そういう点でいくと、職員に対して言わなかったことは大きな問題であり、しかるべき責任というものが問われるべきだと思いますが。知事ご自身は、当時の認識や考え方が不十分ではなかったか、という思いを私は強くしているんですが、当時の知事の判断として、まさに不適切な公金支出は改めようとやった時に、知事がこの姿勢だったから今回のことが伏せ込まれたというふうになったんではと思うんですが。

(知事)
 そりゃ、なったんでは、でなくて、なったんですね。これは、もう結果ですから。僕はそういう事はないと信じましたけれども、それは結果としてそういうことがあったんですから、その点は全面的に私の責任です。
 

(岡村:高知新聞記者)
 念書行政ということで、大きく県庁の歪んだ行政があったんですが、日高村の産廃に関して、既に平成7年の議会でも・・。要は平成5年の8月30日にも、県が日高村に行って、当時の山本副知事が知事の公印のある公文書「産廃施設の整備について要請」という、要請文を出しています。これは施設の設置について協力のお願いと、周辺の公共施設の一括整備の協力をお願いしますという内容の公文書です。これは覚えておられますか。

(知事)
 いや、それは覚えておりません。もう何年も前のことをそんな覚えておりません。
 

(岡村:高知新聞記者)
 これは公文書ですから、問題はないと思います。ただ、同日付けの山本副知事の私印で確約書ということで、村に出されているわけですが、これは議会で当時の山本副知事が認めているわけですが、その中に地域振興対策費として、3億円を交付すると明記しています。この確約書を渡されたということへの知事の当時の思いは。

(知事)
 それは当時取材を受けましたから。
 

(岡村:高知新聞記者)
 取材を受けて知っていたんですか。出す前にですね。

(知事)
 そこまではちょっと覚えていません。ちょっとね。それはメモでもないかぎり、とても人間の記憶として無理です。
 

(岡村:高知新聞記者)
 当時、念書類のやりとりに疑問は持たれなかったんですか。

(知事)
 まあ念書類という、いわゆるいかがわしい念書とですね、それはいろんな事業を進めるための、市町村との間のお話というものは、少し別だろうというふうには思います。それほど、念書とか覚書というものに問題意識を持っていた時期ではございませんので、それほどのものは感じませんでした。
 

(岡村:高知新聞記者)
 副知事のレベルで、例えば3億円の地域振興に支援しますという具体的な金額を提示するという私文書というか、私印を出すことについてはいかがですか。

(知事)
 それは、全ての全体の状況を、全て振り返ってみないとわかりませんから、今の段階で、そのことだけを取り上げてどうのこうのというコメントはできませんね。
 

(木下:日本経済新聞記者)
 産業振興策について伺いたいんですが、抜本的な雇用対策がいると思うんですが、今回の予算の中でも5つの重点項目、重点課題のうちに産業振興についての文字もないわけですが、14年度予算どういう視点で産業振興について取り組んでいかれるのですか。

(知事)
 産業振興については、本県の最重要の課題でございますので、どういう視点かと言えば、雇用を作るために新しい産業、かつまた新しい企業の誘致をしていくということは基本的な課題でございますから、この間のカシオさんの第三工場の設置だとか、今後三菱さんにどう働きかけていくとか、富士通さんの問題だとかいうようなことをやっていくことも一つだと思います。

 あわせて、工科大学や高知大学等、大学研究機関の持ってるものと、それを産業とどう結びつけていくかということは、要はこれまでいわゆるプラットホーム的な整備と、財政的な支援はほとんど出尽くしたと言えるぐらい、出来てきていると思いますので、それを具体的にどう使っていくかということだと思います。つまり、予算組みとして、新たにこんなものをしました、こんなものをしました、だから産業政策ですといって、掲げる時期ではもうないんじゃないかなと。具体的に、それをどう新たな雇用なり、税収なりにつなげていくかということだと思います。

 例えば、県内の企業が大手の自動車メーカーと組んで、木製ハンドルやなんかを作っている事業、これをどう広げていくかということで、新たな作り方の技術開発への支援ということもやっておりますし、また木の部分だけではなくて、他の部分も含めた生産工程が県内でとれないかということをやっています。

 こういうものは、すぐ何百という人数の雇用に関わってくる事業でございますので、単に予算面での産業政策といって掲げるものでは、僕は産業政策はすでにないんじゃはないかなと。それを具体的に、どう事業なり、何なりに結びつけていくかというコーディネートと作り上げていく力にかかっているのではないかということを思います。
 

(木下:日本経済新聞記者)
 特にベンチャーに限って、初期の段階での資金調達の難しさがあると思うんですが、県としてベンチャーファンドを作るときに、プラットホームですかね、インフラの一部だと思うんですが、そういったものは考えていますか。

(知事)
 ベンチャーファンドだけでは、なかなかやはり高知という土地でですね。いや、ベンチャーファンドに当たるものも、県として当然融資やなんかでは、設けておりますけれども、しかしベンチャーファンドだけでは、なかなかできないよということが、昨日のシンポジウムやなんかでの議論だろうということを思います。

 やっぱり、あそこでIT関連の企業の方が言われたような問題点を、産官学としてどうクリア出来るかどうかということが、僕は県内に育った企業が本当に大きくなっていただけるかどうかのポイントだと思いますので、予算的に何を見ましたというだけでは、くどいようですけれども、解決しない問題の領域まで来ているんじゃないかと僕は思います。
 


Topへ