知事の定例記者会見(念書、覚書の公表について)

公開日 2007年12月06日

更新日 2014年03月16日

知事の定例記者会見(念書、覚書の公表について)

平成13年5月31日

 闘犬センターの関係の念書がきっかけになりまして、県庁の中に念書や覚書というものがどれだけあるのか、それを提出をさせて、県民の皆さんに公開するというとりまとめの作業をしておりましたが、今日793通の念書と覚書を県民の皆さんに公開をすることにいたしました。

 といいましても、事業プロジェクトに関わって、地域の方々と覚書を結んだというようなのも数多くありますから、もちろんこれら793が全てうしろめたいとか、そういうものではございません。けれども中には、県民の皆さんの目から見て、首を傾げざるを得ないような、行政のあり方として問題点のご指摘を受けるようなものがあることも否定はできません。
 例えば、もうすでに明らかになっておりますけれども、闘犬センター等に関わる融資の依頼をめぐる念書でございますとか、また佐賀町の水産会社に対する融資に関わるものなどがそれに当たると思います。
 また、これら特定の企業や個人に関わるものとは別にいたしまして、改めて793通を見ますと、組合関係の念書覚書の数が多い、またプロジェクト関係での念書覚書が多いということに気づきます。組合関係は合わせて、県職労だけではなくて教育委員会だとか病院局、企業局合わせまして129通ございます。中には人事諮問制度など私も知事になって、気づいて取りやめたものもございますが、まだまだ県民の皆さんの目から見て、どうかいうものも残されているのではないかと思います。
 一方、プロジェクトがらみということで言いますと、例えばまだ出来上がっていない土佐山田の工業団地に関係をいたしましても、すでに10通の覚書が出ておりますし、三菱電気さんの工場の関係では第1棟目から数えますと、11通の覚書がございまして、いかにこういう大きなプロジェクトと念書覚書に密接な関係があるかということがわかります。
 公共事業の関係でも、やはり港・ダムにかかわっては、非常に多くの念書覚書が出ておりますし、そうしたことがまた地域との間をもってあげようというような形で、特定の個人が行政の中に入り込んできたひとつのきっかけになったのではないかというようなことを、この念書覚書のリストを見て、改めて感じました。

 今後でございますけれども、今回は念書・覚書、公印か私印かというふうな区別まではできておりませんが、いろんなものが混じっております。これからは、こういう念書・覚書を出すときには必ずきちんと決裁を取って、これは本庁、出先限りませんけれども、決裁を取り、公印を押して公文書として念書・覚書を出していくということを徹底をしていきたいと思います。
 また今回は、県庁の中だけでの念書・覚書を提出をしてもらうだけで、手一杯でございましたけれども、公社公団など外郭の団体にも当然こうしたものがあろうと思いますので、まだ具体的な手続きは詰めておりませんけれども、今後公社公団にも念書・覚書の類を公開をしてもらうように働きかけをしていきたいと思います。
 また実際に、この念書・覚書を見てみますと、ある意味ではこの程度かなと、もっといろんなものがあるのではないかと思いましたけれども、なかなかそういうものが出てこないという面もございました。これはひとつは見つけきれていないという面もあろうとは思います。非常に古くからのものがございますので、今の担当職員が全く意識しなくて、見つけきれていないというものもあろうかと思います。

 一方で民間の方に、県庁外の方にお渡しをして、こちらには残っていないというようなものも数多くあるのではないかと思います。例えば、先ほど申し上げました闘犬センターへの融資に関わる念書なども、結局県庁内には残っておりませんで、相手方からお出しをいただいたと、また水産会社への融資に関わるものでも、県外の個人の方からその念書を出していただいたという事例がございます。
 このように、まだまだ民間、県庁外の方が持っておられる念書・覚書というのが、残されているのではないかということを思いますから、これを機会に民間の皆さんの中で、このようなもがあるということがあれば、是非県の方にご提出をしていただきたいと、県政情報課が窓口でございますが、出先の機関どこでも受け付けてまとめることにしておりますので、是非そういうことをお願いをしておきたいと思います。

  一方、情報公開条例との関わりでございますけれども、今回は従来よりもより透明性の確保ということに心したつもりでございます。例えば企業の名前、個人の名前につきましても、従来は基本的には非開示ということでございましたけれども、今回はそうした守られるべき利益を超えて、明らかに公益上の理由があるという、情報公開条例に規定された考え方を引用をいたしまして、より広く公開をすることに努めました。企業名、個人名等でそれが具体化をされております。
 あわせまして、今後こうした幅広く解釈をしていった情報公開条例の考え方というものを、ひとつきちんとした基準として、情報公開条例をより透明性の高いものにするような、さらなる改正を是非次に向けて検討をしていきたいということを思っております。例えば、企業情報や個人名等、今申し上げたことが代表的なものではないかと思います。
 あわせまして、これまで情報公開条例の改正というのは、改正をしたらそこからその効果が及ぶのは、その改正後という、施行後ということで過去にはそ及しないということでございましたけれども、ここまで情報公開ということも厳しい目で見られる時代になってまいりましたので、改正後も改正した内容が過去にそ及するということも検討をして、あわせて改正作業に取り組んでいったらどうかということを考えております。

 今日こうして、発表をさせていただくのと同時に、この念書・覚書の一覧リストは、情報公開コーナーにお出しをいたしますし、今日は間に合いませんけれども、室戸土木から土佐清水土木まで、土木、福祉、保健所県内9つの出先機関、各ブロックに必ず一カ所はあるようになっております。今日発送をいたしまして、来週の月曜日から一般の県民の皆さん方にも、もしご希望であれば見ていただけるような形にいたします。あわせまして、ホームページの方にもこれではございませんけれども、これにあたる念書・覚書の整理表の一覧はホームページにもアップをして、広く県民の皆さんに見ていただこうと思っております。
 さらに今後は念書・覚書というものは、先ほど申し上げましたようにきちんと決裁を取った、公印を押したものになってまいりますが、一年間の内にどういうものがあったかというものは、まとめて公開をしていくというような仕組みをとっていきたいと思っております。
 一応、私からは以上でございます。

(記者)
 非開示どういうものをしましたか。
(知事)
 非開示はハンコの印影とか、個人印ですね。名は出しているというものがございます。
(記者)
 相手方の名前も非開示にしていますか。
(知事)
 いや、相手側もですね、相手方も例えば町内会の会長さんだとか、一定 県と覚書を結ぶとき公的な関係にあると認められる方は、これまでは非開示にしておりましたけれども、そういうお名前もお出しすることにしております。
 今後は、やはり県とこういう覚書を結ばれるときに、その何とかの代表という形で出られるときには、名前が出ていくということはもうご承知のうえでやっていただくということに当然なっていくだろうと思いますが、その際も印影は非開示にしたという。
(記者)
 非開示という意味は。
(県政情報課長)
 本文の中に非開示のところがある部分は、一部非開示としております。
(記者)
 その理由は。
(課長)
 それは条例に基づいて、例えば個人の条例の中に規定されている個人の名前であるとか、そういったものは非開示となっております。
(知事)
 今日は金融機関名とかですね、個人名で非開示になっているものがございます。そういうものが本文に出てきたときに、その本文の部分が非開示になっておりますので、本文中に黒塗りが。
(記者)
 最初1200で、そこからこの793でしょ。あとの今回公開しなかった部分についての理由は。
(知事)
 それはですね、例えば県庁内で土木部が他の部局に技術協力をしていくというふうな協力の協定書だとかですね、それから財政課が予算を査定をしていくときに、これは予算として認めるけれども執行の際にこういうことに気をつけてくださいよとか、これは3年限りの予算ですよというようなことを結ぶ、ひとつは部局内での覚書にあたるもの、それから県庁と土地開発公社との間の土地の先行取得に関わってですね、先行取得をお願いをいたしますと、その際の期限はいつまでで利率や事務費をどういたしますと、いうようなのを一件一件先行取得の場合に覚書を書いておりますので、これも極めて定型的なものですので、除きました。
 それから市町村とか国とか他の自治体との間での覚書のようなもの、町有の民有林道の開設にあたっての市町村との覚書のような、コレも非常に定型的なもの、あともうひとつございましたね。
(総務部長)
 県が当事者でない。
(知事)
 県が当事者でなくて立会人のような形で、しかも県が立会人であって、なお債務・責務を負っていないというものは除きました。
 大きく分ければ以上の4項目です。部局内協議、土地公社との間の非常に定型的なものと認められるものを除きました。
(県政情報課長)
 特に除いたものの中には、民有林道の開設にあたっての市町村とのものが非常に多く、300件足らずぐらい。
(記者)
 多いものの順番、古いものは。
(県政情報課長)  古いものは、昭和27年代の職員組合との提携があります。
(知事)
 人事諮問制度が一番古い27年。すでに廃止をされたものですけれども。
(記者)
 先ほどの質問ですが、相手方が同じ企業にしても公開されている企業と黒塗りされている企業とがあるがこれはどういう基準ですか。
(県政情報課長)
 条例の中に、その企業の内部管理情報ですとか、一定事業の運営上支障がある業務については、開示することができるとなっておりまして、ただ今回それについては、明らかに通常のルールに沿って、知事が先ほど申しましたように、全てがやましいものとか、そういうことではございませんので、通常のルールの中で県に提出された資料の中では、当然守るべき情報もございますので、そういう基準を厳格に当てはめまして判断しております。
(記者)
 そうすると、いわゆる念書の内容を見て、これを公開することによって、企業に迷惑が及ぶおそれがあるということで黒塗りにしたということですか。
(県政情報課長)
 そうです。
(記者)
 それは県が判断をして、相手方の意向は関係ないですか。
(県政情報課長)
 当然条例に沿って判断をしております。
(記者)
 相手方の意向ということではなくて、県がすべき判断をして黒塗りにしたということですか。
(県政情報課長)
 内容とかを見て判断をしております。
(知事)
 県が一定判断をして、まず基準を決めました。そのあと基準によって、黒塗りになるものでもですね、相手方に出してよろしいかと、出したいがということは申し上げて、それは止めてほしいということでやめたものもございます。
(記者)
 やめたというのは。
(知事)
 ごめんなさい。黒塗りにしたと。基準通りにしたと。もし相手方の理解が得られれば。
(記者)  ということは、黒塗りにしているということは、基本的には一応相手方に聞いて。
(知事)
 いや、全部聞いたかどうかまではちょっと。
(県政情報課長)
 全部は聞いていません。
(記者)
 黒塗りにすべきところを、相手方に開示してもよろしいかと聞いて、それで相手方が黒塗りにせず、公開してもいいよというので出ているものもありますか。
(県政情報課長)
 条例の中にもそういうことを書いてありまして、非開示の情報であっても、相手方のそこの当事者の了解が得られれば公開できますというふうになっていますから、そういうこともやっております。
(記者)
 人事委員会とか地労委は別ですか。
(県政情報課長)
 別じゃございません。該当するものがないということです。
(記者)
 なかったのは人事委員会と地労委と。
(県政情報課長)
 監査委員と収用委員会、出納室です。
(記者)
 知事自身がご覧になって、こんなものがあったのかと驚いたようなものがありますか。
(知事)
 驚くということはないですが、一覧表だとなかなかわかりにくいと思いますので、私もちょっとまとめてみてみましたが、闘犬センターとうぶすな博物館の、すでに事実関係は一定明らかになっていると思いますが、これが商工労働部の48番、49番、53番、54番、50番とこういう流れで見ていただくと、この特定企業と県との関わりとかですね、大変私としては不適切であったと思われるような関係と流れというものが非常に見えてくる、改めてそういう気がいたしました。
 それから、これまで言われておりまして、議会などでもご指摘を受けながら、私自身もそういうものを見たことがございませんでしたけれども、先ほど申し上げました海洋局の水産会社の関係のもので、県外の個人の方へ融資に関しての依頼をしたというのもがございまして、これは海洋局の45番、48番にございます。41番から48番までが、その水産会社に関わるものですが45番、48番が、その特定の県外の個人の方に関わるものでございまして、こういうことをやっぱり県行政がしていくというのは、いかがなものかということを改めて思いました。
 それから全く別のというか、闘犬センターに関わることですが、文化環境部の一番にですね、桂浜公園特殊施設組というところに向けた念書がございます。
 これは「坂本龍馬記念館の開館に伴って、災害防止のための」というタイトルがついておりますが、内容は災害防止のことなどは一切出てきませんで、その記念館で物品を販売をしたり、飲食の販売をするときには地域に配慮をしろとかですね、もし何か損害を与えたときには、その施設組の代表者つまり闘犬センターの企業経営者と同一人物でございますが、その代表者と協議をしていくというような主旨のことを取り決めたもので、ひらたく言ってしまえば龍馬記念館で、いろんな物品販売などをしないように、させないようにという念書といったものがございます。
 それから同じく、文化環境部の3番、4番に、最近また問題になりました、お城の下の花月のですね、かつて城内二の丸かなんかにあったものを、下におろすというときの取り決めの文書がございます。それそのものは何の内容的に問題のあるものではごさいませんが、立会人として、これも闘犬センターの経営者の方が名前を出している、さらにその後の地域の町内会との確認書の中でも、その企業経営者が花月に融資をして云々というふうな文言が明確に出てきて、ここへの関わりということが見えるというようなものがございます。
(記者)
 知事自身は念書の効力をどういうふうに考えていますか。
(知事)
 これはもう、ひとつずつ個別に状況も違いますし、先ほど申し上げました公印・私印の区別もしてございませんので、一概には申し上げられません。端的に言えば効力のあるものも、効力のないものもあると思います。
 また、期限という意味からもすでに効力が明らかに失われていても、相手方はそうではないというふうに思われて、そこにずれのあるものもあると思います。
(記者)
 これによって県が何らかの債務を負う可能性があるというものはありますか。
(知事)
 これによってというのは、公表によってということよりも、念書自身によってということですか。
(記者)
 はい。
(知事)
 現実に縛られて行政運営をしているという事例はございます。
(記者)
 金銭的な債務を負う可能性があるというものは。
(知事)
 金銭的な債務を具体的に負ったというものは、それは例えばプロジェクトを進めるときに、地元との合意で移転の補償をしていくとかですかね、代替の土地を構えるとかという意味での、金銭的なものを負ったものはございますけれども、言われるように、何か不適切に金銭的な債務を負ったものが具体的にあるかと言われると、今のところはちょっと気づいておりません。
(記者)
 今後、念書を破棄される考えはありますか。
(知事)
 当然精査をしてですね、破棄すべものは破棄をしていくべきだというふうに思います。
(記者)
 情報公開のさらなる改正と先ほどおっしゃいましたけれども、今の条例のどの部分が不都合な問題と思いますか。
(知事)
 いや、不都合という意味ではございません。不都合という意味で申し上げているのはなくて、よりやっぱり透明性を高めていくべきではないかと、透明性をもちろん今の条文の中で解釈をして、透明性を精一杯拡大をしていくということはできます。できますが、それを単に解釈ではなくて、きちんと条文の取り決めとして透明性が一層進んだ条文にしていくことができるのではないかなということを思って、まだ具体的にもちろん詰めているわけではございませんけれども、県政情報課にそういう検討をしていってほしいということを指示というか話をしております。
(記者)
 具体的に言うと、個人名は個人が特定できる情報とか事業者の正当な利益を損なう情報なんかは非公開にすると、それに対して、公益性があれば公開できるという解釈になるわけですね。そこを指していると言うことですね。
(知事)
 まず気づいた点は、その点だということでございます。他にも今回はまさにさまざまな企業との関わりの中で、念書だとか情報公開ということが問題になりましたので、今ご指摘のあったような企業情報というものが、これまでのような一定狭い範囲の解釈でいいかと、もっと情報公開に向けた広い見方をしていくべきではないかというのが主な点でございますけれども、他にもそういう視点で洗い直しをしていくことによって、出てくる課題はあるもしれません。
(記者)  これは当然知事として知っておくべきことだったなというものはありましたか。
(知事)
 それはございますね。ございますというよりも、知事として知って置くべきというものは、すべてそもそも結ぶべきものではないというものも含まれますね。そもそもこういうような、念書や覚書というものを出して行政をすべきではないと思うものもございます。
 


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