高速自動車国道の整備に関する緊急アピール

公開日 2007年12月06日

更新日 2014年03月16日

高速自動車国道の整備に関する緊急アピール

平成13年10月30日(火曜日)13時30分から14時15分 於:都道府県会館403会議室

高速道路の整備に関して、29道府県の知事が緊急アピールを発表しました。


 高速自動車国道の整備に関する緊急アピール

一 高速道路ネットワークは国の根幹的な施設であり、その整備は道路政策の根幹である。これをどの  ように整備するのか、物流のあり方など国土政策や道路政策を先行して議論し、それを踏まえ、事業の執行体制について議論するのが筋であると我々は考える。

二 にもかかわらず、現在、政府においては、特殊法人改革の名のもと道路関係公団の見直しを検討されているが、これに関連して、高速道路の建設中区間の全面凍結論が一人歩きするなど本末転倒の由々しき事態が生じている。

三 しかも地域社会や地域の経済活動の発展にとって、高速道路の整備が大きく関係しているにもかかわらず、全て政府の内部だけでの議論に終始し、地方公共団体が無視されていることは極めて遺憾であり、民主主義・地方自治のルールにより、地域住民代表の意見を聞くべきである。

四 高速道路ネットワークは国が責任をもって整備すべきものであり、地方も早期整備を期待している。国がこのような果たすべき責任を放棄して、地方の期待に応えてくれなければ、国と地方の協力体制に重大な影響が生じることを憂慮するものである。

  右、緊急にアピールする。

    平成十三年十月三十日


「高速自動車道国道の整備に関する緊急アピール」各県知事の発言要旨

【司会】
 (前略)
 アピールに至りました経緯を私の方から簡単に申し上げますと、ご案内のとおり政府におきましては特殊法人改革の一環として道路関係公団の見直しが検討されております。

 これに関連しまして高速道路の整備について議論が進められておりますが、地方を無視したままの方向性が形付けられようとしています。先だっての全国高速道路整備協議会の会議におきましても、このような状況に対しまして到底容認できるものではない、との意見が多数ございまして、今一度地方として強くアピールをしていこうという有志の知事様の呼びかけにより実施をされることとなった次第でございます。

 次第の進行につきまして申し上げておきますが、まず有志の知事を代表いたしまして高知県知事より挨拶ならびに緊急アピールをさせていただきまして、つづいてご出席をいただいております知事さんより、お手元に配布しているアピール書に署名をいただきます。

 さらに、そのアピールに加えましてそれぞれの想いをごく簡単に一言づつ述べていただきたいと思います。その後お集まりの報道関係の皆様方と意見交換を進めさせていただきます。
 (後略)
 

【高知県 橋本知事】 

 緊急アピールに至った経緯は只今、本県土木部長が申し上げた通りですが、冒頭私からも一言だけその想いを申し上げたいと思います。現在、小泉内閣で進めている聖域なき構造改革そのものに反対している都道府県知事は一人もいないと思います。

 むしろ、地方と国の関係等々もっともっと構造改革を進めてほしいと思う点はいっぱいあります。それと同時に構造改革を進められるからには、その中での国の責任、役割はなんなのかということをきちっと明示してほしいですし、また構造改革を進める中での、また進んだ後での国のあるべき姿、あり方、ビジョンは何か、是非ご示し頂きたい。

 そのことが欠けて、この改革が進んでいるのではないかと思います。例えば先月11日ですが、総理官邸の方で総理と各県知事との懇談の会合がありました。そこで総理は「民間でできることは民間にまかせる。地方でできることは地方にまかせる。それが私の基本的な考え方だ」とおっしゃいました。それは言葉の限りではその通りだと思います。

 が、民間でできることを民間にまかせる、地方でできることは地方にまかせるという時に、国はそれでは何の責任を負われるのか、国の役割は何なのかということをきちっと明示してほしいと、その時申し上げました。

 私どもは、このモータリゼーションの時代、国の基幹的なネットワークである高速道路は国が責任を持って整備されるべきものだと思います。それが、国の道路計画というものと特殊法人改革といった行政改革の問題があたかも同じレベルの議論であるかのような形で渾然と話が進み、高速道路の中止うんぬんということが言われる事は国の役割と責任ということを放棄されたおかしな論調ではないかと感じています。

 各県、ご同意をいただいた知事さん方も同じような想いだと思います。後で、参加された知事の方々には意見を述べて頂くとして、それでは緊急アピールを読み上げさせて頂きます。
 (アピール 朗読)              
 (アピール書 署名) 
 

【司会】
 なお、本日都合によりご欠席しております知事さんにつきましても、代理の副知事さん出納長さんがお見えになっています。その県の知事さん方には事前にご署名もいただいておりますし、現時点でご賛同をいただきながらもご署名をいただいていない知事さんにもご署名をいただくことになっていますので、一言申し添えておきます。
 つづきましてご出席の知事さん方に一言づつご発言をいただければと思います。
 

【鳥取県 片山知事】

 今日、趣旨に賛同されている知事さん方とこうして高速道路の問題に関して意見を述べさせて頂く機会ができたことを大変喜ばしく思います。というのも、小泉内閣のもとで現在、構造改革が行われようとしています。私は今、わが国で構造改革は必要だろうと思います。

 しかし、すべてが賛成かというとそうではありません。是々非々、是は是、非は非でありまして、非はどこかと言うと、どうも構造改革というものが国の予算編成のために、つじつま合わせをしているんだということが気になって仕方がありません。あたかも国債30兆円以下にするという、私は財政再建は必要だと思いますが、何か役所が決めたルールみたいなものにあまりにもこだわり過ぎて、全体を見失っているようなきらいがあると思います。

 それからもう1つは、現場と言いますか、地方と言いますか、中央政府でない地方の意見が、現場の声、現状があんまり頓着にされていない。何か少数のグループだけで、密室とは言いませんが、あまり人の意見を聞かないまま物事を進めようとしている。高速道路の問題はそれの最たるものであると思います。

 実は今日、まだ来られていませんが、澄田知事のところで、先般タウンミーティングがありました。そこに石原行革担当大臣が来られましたが、そこで石原大臣が「高速道路が必要だと言っているのは地方の首長と土建屋だけ」とおっしゃいましたが、その時、みんな失笑しました。

  わたし、その時思いましたのは、こういう失笑を買うような情報と判断だけで物事を進めておられるのではないか。こんなことでは絶対いけないと思います。本当によく聴いてもらいたいと思います。地方の方で首長と土建屋さんだけしか望んでいないのか、よーく小泉首相にも、石原さんにも、関係の方にも耳を傾けて頂きたい。そこから始めるべきだと思います。それに対して反論も聴かない。そんな形で構造改革を進めると、絶対失敗すると私は思います。

 また、高速道路の問題と道路公団の改革の話がごっちゃになってしまっている。高速道路の問題は、改革すべき点は改革をすれば良いと思います。これと絡め合わせて、地方の高速道路を全面凍結とか言うのは、話が違います。その辺の仕分けをきちっとやって頂きたい。

 あたかも、地方に高速道路をつくることが道路公団をメチャメチャにしてしまって、国家を危うくしていると言われているが、そんな事は決してないと思います。国鉄改革と違います。国鉄は労使関係が泥沼になって、財政も毎年毎年、国費を年々増やして投入しなければならない状況だった。

 道路公団の場合、労使紛争の話は聞いたことはありません。そういったことを抜きにして、味噌もくそも一緒にして国鉄改革の時に民営化したから道路公団も民営化すべきというのもおかしな話だと思います。                                          

【島根県 澄田知事】

 全国で一番高速道路網の整備が遅れている県の知事として発言させて頂きます。去る3月24日、山陰道が鳥取県境から本県の県庁所在地の松江市、宍道町まで、ようやく開通いたしました。全国の都道府県の県庁所在地がようやく高速道路のネットワークで結ばれました。おかげで、松江市の観光客が一挙に20%増えました。経済効果を今、試算させているところですが、600億円くらいの効果があるという試算が出ています。

 先般、松江でタウンミーティングが行われましたが、その時、出雲市長の質問に答えて石原行革担当大臣は「高速道路を要望しているのは首長と土建屋の社長だけ」という発言があったと聞きまして、誠に事実誤認も甚だしい。

 私が実際、回りましても至るところで、59の市町村、議会の方も含めて経済団体、農業団体婦人会等々から「ぜひとも高速道路を」という要望は強いものがあります。本県はまだ2割程度、山陰道が開通したばかりです。これから8割が着手されるという状況でして、ネットワークは完成してこそ意味があると思います。

 それから、私はかつて知事になる前、国鉄に30年勤務しておりました。1872年、明治5年ですが、「汽笛一声新橋」の歌にありますように、明治政府は鉄道敷設に着手しました。それこそ坂の上の雲目指して、今の日本よりも貧しい国が歯を食いしばって明治、大正、昭和3代にわたって2万キロの鉄道ネットワークを完成させました。北海道も東北も山陰も四国も九州も敷設しました。

 それによって義務教育も普及し、文化も浸透し、経済も発展して日本の骨格が出来上がりました。戦後は、これに変わるものが高速道路で、高速道路の整備計画が出来上がって、これが今、着々と進行しています。しかも、これを前提にして本県においても、それぞれの地域の振興計画を立て、希望と夢を持って地域振興に取り組んでいます。

 それが、特殊法人の行革という名のもとに、こうしたネットワークづくりがストップする、あるいは凍結されるということは断じて許されることではありません。それならば、むしろキチンと地方自治体の意見を聞いて、十分議論を重ねて、国家財政が苦しいならば、ここはスローダウンしよう、ここは進めようといった取捨選択をしていくのが民主的なやり方だろうと思います。

 一旦、国が決めた、約束したことは断固やり抜く、それが政治としての要諦だろうと思います。それによって、国民の信頼も得られる、行政としてのあり方も追求されるべきではないかと思います。
 特殊法人の改革は改革でどんどんやって頂く。しかしながら、道路整備の計画は国家戦略、国家計画として、国土政策として是非やるべきだというのが私の考えです。                                                            

【岐阜県 梶原知事】

 全国38都道府県が結集した社会資本整備推進地方連合の座長もさせていただいている立場からお話させていただきます。

 38都道府県の規模は全国の道府県の8割以上、人口で全国の半分、有権者も半分、自動車の保有台数は約6割、こういう立場にありまして、その構成員の仲間方は道路整備はまだたま必要だ、そのための道路特定財源は守らなければならない、高速道路の整備も責任を持って果たしてもらいたい、という願望、要望をもっているわけであります。

 ところが昨今、我々の意見というのが大変反映しにくい状況にあるのではないか。時代に逆行して、民主主義、地方自治の空洞化が起こっているんではないかと我々は危惧しているわけで、連合としてはもはや陳情、要望ではなく、国と地方は対等ですから、地方の権利を主張しなければならない。

 更に、場合によっては国と対決する姿勢も必要ではないかという気運が盛り上がっています。まあ、対決することは何かどうかは別にして、この状況が続きますと欲求不満のエネルギーが爆発してしまうではないかとも思います。

 岐阜県の例で申し上げますと、長良川沿いに国道156号があります。行楽シーズン、土日になりますと、その道路は行楽の車で一杯になり、県民の生活に支障が出ています。消防車が通れない、救急車の通行に大変時間がかかってしまう。こういう風な問題があるということで、東海北陸道をつくって頂きました。

 しかし、2車線しかないもんですから、行楽シーズンには高速道路が駐車場のようになってしまって、国道への車が更に溢れてしまっている。こうした地元の生活にも支障を来す状況から、ぜひとも4車線をお願いしているところです。しかし、遅々として進まないのが現状であります。

 この東海北陸道が供用されたことで、過疎化が進んでいた地方で、若者が外に出なくていい環境になった、つまり人口が増えたという町村も報告されている。
 高速道路をつくっても何の役にも立たないという議論があるやに聞いていますが、とんでもないことであります。飛騨の観光も高速道路が延びたおかげで、対前年比で観光客が1割2割増えている、経済効果あるいは住民の生活を守る効果など大きな効果があります。

 地域の実情を十分に知らないで、内閣の一部の人間だけで事を論じるのは如何なものか。我々も人口の半分、有権者の半分、国土の9割の責任を頂いているわけですから、我々の意見が十分反映していくため、単なる陳情、要望に留まらず、権利を主張するという立場で連合としても頑張っていきたい想いです。
 

【静岡県 石川知事】

 先ほどここへ参りましたら、東名高速のある県の知事さんがいらっしゃったという話がありましたが、皆さん方も静岡県には東名高速がありながら、第2東名というとんでもない道路をつくっている、道路公団の先行きを危うくさせる道路であり、これをやめるというのは当然だ、という印象を持たれておられるかもしれません。

 実は、小泉内閣で高速国道有料道路事業の改革案がいろんな機会にマスメディアに出てまいりますが、その内容と論拠を見ると、第2東名は今、私が申し上げたような一般的な印象に悪乗りする形で、凍結、中止の議論が出されてきているように感じられます。

 ところが皆さんによく状況を理解していただきたいのは、第2東名の計画に至りました背景には、現第1東名が著しいオーバーフロー状態になっている。そのため、年間渋滞箇所は約3000箇所、事故発生件数は本県内だけで年間503回も発生している。渋滞状態が慢性化しており、四六時中、通行止め、インター閉鎖など常態化している。

 一方、そこの収益状態はどうかと言いますと、道路公団のデータによりますと平成4年から金利支出は一切ありません。ということは、既にその時点、平成3年で道路建設の借入金を償還を終えているはずである。その後、平成12年までの9年間で収支差益は1兆9900億円に上っている。そのような多大な収益が上がっている道路が、先ほど申し上げたような大変な渋滞が常態化しているような、非情に劣悪な道路になっている。

 私たちは、こういう風なことを前提に道路公団が第2東名をつくって、渋滞緩和を図るとともに、日本の一番根幹を成す交通網の整備を行うということでしたから、今の第1東名の諸々の状況について甘受してきたわけです。しかし、建設をやめるということになりますと、話はぜんぜん違います。

 高速道路の整備について、有料道路制度で整備することをスキームとするならば、あくまで原則は全国プール制とはいいながらも、ユーザーにその利益が還元される仕組みが一方で大前提になければなれません。税金ではありません。従って、今の第1東名の状況を放置したまま、いくということになるならば、我々地域としてはそれを無料化すべきだとか、声を上げていかざるを得なくなります。

 小泉内閣の構造改革は、何の点を構造改革しようとしているのか、その辺の哲学がはっきりしない。スローガン、総論については私はまったく異論はないわけですが、各論に至るといろいろ問題があると思います。と同時に、特に第2東名については、明らかにおかしな論理のすり替えがある。

 高速自動車国道を国家戦略としてつくるならば、有料道路制度の根幹にたちながらも、足りないところは税金を投入してやるという国家戦略を踏まえて、全体の今の有料道路の建設体系を見直すことこそ、構造改革の名にふさわしい改革だと思います。掲げているスローガンと内容が全くチグハグな改革については座視できない。

 加えて、本県はいよいよ東海大地震の発生が切迫していることが、最近頻繁にいろんなデータで示されています。そういう状況を踏まえた場合に第1東名の通過している本県内は国道1号、JR東海道本線、東海道新幹線4つが極めて狭い範囲に集結しています。

 そこがもし東海大地震が発生した場合に被害を受けるようならば、日本経済に多大な打撃をもたらすことは必至であります。それを回避する意味でも、第2東名の持つ意味は非常に大きいわけでして、危機対策、危機管理の面からも建設は急を要するものです。

 しかも、現状では、少なくとも本県内に限っていいますと、御殿場から用地買収は9割済んでおり、工事が4分の3の箇所で着手されています。事業費ベースでも約45%の着手率になっています。しかも県では、道路が建設されるという前提に、道路の利活用、ならびに地域振興のために合計3000億円を超える関連事業が着工されている。

 県の事業や市町村の事業、民間の土地区画整理事業などがどんどん進行中であります。凍結、中止等、第2東名が予定通り進行しないとなれば、これまでの投資、約2000億近い投資がまったく無駄になってしまう。

 ぜひ皆さん、こうした状況を踏まえて、総論でなく各論にも目を向けていただいて、今回の改革が真の改革となるようにご理解とご支援をいただきたいと思います。                                    
 

【福井県 栗田知事】

 現在行われている高速道路の凍結議論には、国土の均衡ある発展という視点が全く欠けており、いわゆる都会の論理が一人歩きしていると言わざるを得ません。福井県の場合、近畿自動車道敦賀線は舞鶴東から敦賀まで約70キロですが、一部は既に工事が進められています。

 これが完成しますと北陸自動車道と接続し、名神等とも合わせて環状道路ができるということでして、経済効果は大きいものがあります。地方での高速道路の重要性という認識が欠けていると言わざるを得ないと思います。

 高速道路の整備に関しては、これまで基本計画、整備計画、公団への施行命令等の流れで、ここ十数年、県民とともに汗を流して、それぞれの段階を経て進めてきたものです。この段階で、時計の張りを戻すように数十年前にさかのぼった状態にするということは、決して容認できるものではありません。正に国民、県民の不信を買うことになります。

 先ほど、他県の知事さんが言っておられましたが、高速道路の整備に関連しまして、それぞれの地域振興策が進んでおりますし、また高速道路にアクセスする県道、市町村道の整備も進められています。そのための協力を住民の方に求めているところであります。

 こういった状況の中で、凍結、廃止となれば国民、住民に対する約束を反古にすることになり、全国のこうした議論は到底容認できないところであります。                                                                    
 
 
 

−質疑応答− 

(記者)

 国家財政が厳しい中、今後の高速道路の整備について、整備計画を見直さずともペースダウンはやむを得ないというお考えでしょうか。
 

【高知県 橋本知事】

 各県それぞれの知事さんによって対応は異なろうかと思います。私はある程度ペースダウンは容認しても、やはりいつまでにできるかについて国、地方協議しながら、地域の住民へは明示していくべきだと考えます。

 勿論、財政の厳しさというものが前提としてありますが、片山知事がさきほど申しておりましたが、財政が厳しいことと国が目指す目標をごっちゃにしてはいけないのではないかと思います。

 ですから、財政が厳しい中で、特殊法人改革など行政改革があるなかで、財政改革も含め改革が行われることは当然だろうと思います。その中で、従来型のスキームの中での国幹道の整備なのか、また違う形の一般財源を投入する形の、あるいは地方も財源を投入するなど、様々な新しいスキームが考えられると思う。

 そういったことはいろいろと議論していく必要はあると思います。ただ、国の総理大臣が会長として決められた計画をそのまま反古にするということは、明らかに手順としても、政治としてもあり方としておかしいと申し上げているわけで、そのもの具体的な進め方について十分協議することで、いろいろな選択肢があろうかと思います。
 

【岐阜県 梶原知事】

 国家財政の関連として、道路特定財源の話をしていかなければならない。道路整備は、少なくとも国はほとんど道路利用者負担、揮発油税等でやっている。国家財政を悪化させる要因にはなっていない。そこのところをご理解いただかなければならない。

 一部、道路特定財源を他に転用するような話もあるが、ユーザーが道路を良くしたいということで納めていただいている。これを他に転用することは到底、容認できない。地方では収入が少ないため、特定財源の4倍、5倍の一般財源等起債を投入してやっと地域住民のニーズに応えている。

 だから、国が道路特定財源いらないと言うならば、当然ユーザーの立場から言えば、地方税にしてもらいたい。連合では、地方税にせずに他に転用するならば、ユーザーとともに減税運動をやって国と喧嘩しなければならないという話もある。
 

(記者)

 整備計画の残りの部分について直轄でやるという話もありますが。

【鳥取県 片山知事】

 それは私もわかりませんが、もし直轄でやるということは国費を投入することですよね。地方も直轄負担金としてつき合うことになるんでしょうけど、利用者からの料金でもって管理し整備するシステムを、あえて今やめて、国費を直接投入する仕組みにしようというのがいったいどういうことなのか、何の意味があるのかなという気がしますし、疑問です。

 今回の道路の議論について、どこかで論理のすり替え、まやかしがあると思う。道路特定財源の問題にしても、梶原知事がおっしゃいましたが、特定財源が国家財政を危うくさせているわけではないんです。
 逆でね、財務省では道路特定財源をこっちに持ってきて国債の圧縮に使いたい、そこから話が始まったんですね。論理のすり替えがあります。

 私は道路特定財源の問題は、本来、税というのは一般財源でとるべきなんですが、特定財源としてユーザーが払ったものを直接自分で使うところに使われたほうがいいだろうという世の中の仕組みがありますから、道路特定財源でいいと思います。

 その時に道路整備にいくら必要なのかを最初に議論すべきだと思うんです。全国の道路整備にどれだけかかるのか。その時に道路特定財源の5兆円が余っているならば、税率を下げればいいし。という議論を全くしないまま、道路特定財源があるから、こっちに持ってくるとか、予算編成しやすいような、邪とは言いませんが、そういうところから始まっているから話がこじれてしまっている。

 公団の話も何か変なんですよね。公団に毎年、一般財源をつぎ込んで国家財政を破綻させているわけではないですよね。3000億円つぎ込んでいるんでしょうけどね。普通にやっているわけですよ。有料道路制度でユーザーが負担して。
 どうして、そういうところをわさわざかき回して、国費投入で直轄という話になるのか、何か本末転倒な感じがしますけど。
 
 

【司会】

 今回、ご署名をいただきましたアピール書については、これからいただく分と合わせまして、高知県の事務局の方から、総理大臣および政府関係機関の方に送付をいたします。
本日はありがとうございました。


Topへ