公開日 2007年12月07日
更新日 2014年03月16日
知事の定例記者会見
平成15年1月17日15時00分から(県庁二階第二応接室)
(項目)
・中土佐町の採石事業の許認可
・日高村の住民投票条例
・クイズミリオネアへの出演
・阪神・淡路大震災と南海地震
・中土佐町の採石場の跡地
・中土佐町の採石事業の許認可を決断した理由
・知事連携による候補者の推薦
・住民投票条例への見解
・地震対策の総合補助金化
・今後の開発事業への対応
・来年度予算
(中土佐町の採石事業の許認可)
(西村:KUTV記者)
まず幹事社の方から最初、何点かお伺いしますけれども。
まず中土佐町の採石場の問題ですけれども、高知地裁の方から判断が下ってもう1カ月半ぐらいになろうとしてるんで、そろそろ決断の時期かなと思うんですが、その決断を下されるということになるんでしょうか。
(知事)
中土佐町の採石事業に対して、これまで企業からの申請に対する処分を留保してきましたけれども、今日付けで留保を解除いたしまして、採石法に基づく認可、また森林法に基づく許可に向けて手続きを始めるように、担当の部局にも指示をいたしました。
具体的には、今日または月曜日、週明けに起案、案を起こしまして、私が決裁をしました後、企業に対してその旨の通知を郵送をもってするということになると思います。
この問題に関しましては、地域に非常に強い、また根強い反対の声もございましたし、この事業が始まることへの将来へのご不安の声もありましたので、拙速に判断をすることは将来に禍根を残すのではないかということを考えまして、申請からかなりの年月が経ち、また一定の手続きが進んだ後ではございましたけれども、処分の判断を留保してまいりました。
また、それと併せまして、地方分権一括法によって機関委任事務から自治事務に変わった、その中で、採石法の文言というものも、ただ文章だけ読めば非常に限られた解釈しかできない条文でございますけれども、地方分権という大きな流れ、背景の下に、その解釈の余地ももっと広がってきているのではないか。併せて、そういう機関委任事務から自治事務への移行ということを踏まえて、これらの法の改正も行われるべきではないかということを国に働きかけてまいりました。
と同時に、県民の皆さん方にも「一中土佐町だけの問題ではなくて、それぞれの地域の問題として開発事業と地域づくりをどう考えていくのか、調整をしていくのか、そんな視点からぜひご検討、お考えを願いたい」ということを投げかけました。
しかし、国の方では、なかなか解釈そのものも変わりませんし、そういう動きもございませんでした。また、地域でも、企業との間のズレというものを埋める新しい動きというものがなかなか出てまいりませんでした。
そうした中、企業から訴えが起こされて、昨年12月3日に高知地方裁判所で「企業から出された申請に対して県が何らかの処分をしないのは、行政の手続きを定めた法に照らして違法である」という判断をいただきました。
それから1ヶ月余りが経ちましたので、地域の皆様方とも若干のお話もしましたうえ、先ほど申し上げましたように留保を解いて、森林法の許可、また採石法の認可という手続きを始めることにいたしました。
しかし、今後とも町に、地域に混乱が残ってはいけませんし、また、住民の皆さん方と企業との間のズレとか軋轢というものが、いつまでも引きずられるようなことになってもいけませんので、企業に対しましては、平成12年10月23日付けで知事宛に出された文書の中にありますように、「事業を実施をする前に中土佐町との間で開発協定の協議をし、締結をする」ということを、できるだけ早くぜひ実行をしていただきたいということ、また、これからも企業としての説明責任を果たして、地域との、また住民との間の溝というものを埋めるよう努力をしていただくように働きかけていきたいと思っております。
この件に関しては、私からは以上でございます。
(西村:KUTV記者)
ちょっと追加になりますけれども、そうした国の動きとか地元での動きというものを一定期待をされたと思うんですけれども、そうした動きがなかったことについて知事としてはどういうふうに思っておられますか。
(知事)
地元ではですね、色んな思いとか、地域のご事情というものもありましょうから、なかなか動きが出て来なかったということはやむを得ないのかなと思いますが、国に対しては、今後ともですね、機関委任事務から自治事務に変わり、地方分権ということを背景に、法の持つ質、性質というものは大きく変わってきてると思いますので、自治事務に相応しい法解釈になるように、また、そうした法の改正が行われるように、ぜひ要請をしていきたいということを思っています。
と言いますのも、昨年12月3日の高知地方裁判所の判決でも、「知事がそういう地元の声とか環境というものに配慮をするという、その思いは分からないではないし、また採石法、森林法の規定も、そうした配慮を全て排除している、そういう配慮の余地がないというものでもない」という判決での理由説明をいただいておりますので、そうしたことも受けまして、ぜひこれからも、国に対しては、今申し上げたような働きかけをしていきたいと思っています。
(日高村の住民投票条例)
(西村:KUTV記者)
次にですね、先日15日に日高村の村議会の方で住民投票条例が可決をされましたけれども、その可決された内容、まあ3カ月以内に実施をするという内容ですが、その条例について知事はどのように受けとめてらっしゃいますか。
(知事)
条例そのものは村議会でのご議論・ご審議で決定をされたものでございますので、私が知事という立場であれこれ申し上げるべきものではないと思います。
一方、県といたしましては、これまでの議会でのご説明、そして県民の皆さんへのご説明のとおり、新しく予定地としております地域を対象に、エコサイクルセンターの建設を目指して、計画通りの手続きは進めていきたいと思っております。
が、一方で、村として、また村議会としてこういうご決定をいただいたわけで、今後、県としては、そのことには直接、何かを申し述べるということではございませんけれども、何らかそれらの動きの中で、県に対してご要請があれば、当然、お答えをしていきたいと思います。
と同時に、今の時点で、私の立場では住民投票条例に対して、それをどう評価をするかとか、村議会の動きをどう見るかというようなことについてのご質問であれば、それにお答えをするのは差し控えさせていただきたい。
つまり、今、村長さんもいろいろお悩みのことだと思いますし、地域の住民の方々もそれぞれの村の自治の中でお考えのことだと思いますので、その動向を見守らせていただくということしかないと思います。
(クイズミリオネアへの出演)
(西村:KUTV記者)
幹事社の方から、最後にですが、13日に収録があったと思いますけれども、クイズ(ミリオネア)のお話ですが、高知の夜の街の活性化につながるような結果になったんでしょうか。
(知事)
結果は30日の放送を見てのお楽しみということですが、10問を過ぎればですね、後は、自分で降りない限り、最後までいくか、一定の金額を確保するかというどちらかになりますので、最後まではいかなかったような顔に見えるだろうということからご判断をいただきたいと思います。
で、一定、夜の街に出るという資金は確保できましたので、ぜひ実行したいと思いますが、昨日も庁議、調整会議のメンバーとの新年の打合会をいたしましたが、ある部長さんから「庁議でぜひ各部局に配分をして欲しい」という話がありましたが、公職選挙法がありますから、配分してしまっては、それはまたオンブズマンの方々にご指摘を受けることになろうと思いますから、使い方は慎重にしたいと思いますが、ぜひ夜の街にも出ていって、少しでも景気づけになればというふうに思います。
(阪神・淡路大震災と南海地震)
(宇野:NHK記者)
今日1月17日は阪神大震災から8年目ということになるわけですけれども、まずその、もう8年かという部分のお気持ちとですね、それとその、高知県では南海地震ということが言われているわけで、この阪神大震災の教訓をどういうふうに高知県として生かしていきたいというふうにお考えでしょうか。
(知事)
8年前を振り返りますと、私も早朝、公邸で、家で寝ていてですね、ベッドの上でものすごい揺れで目が覚めて、早速テレビをつけました。
で、その後、「あちこちで火災が起きてる」とか、「阪神高速が崩れた」とか、いろんな状況を見て「これは、えらいことだ」と思いましたけれども、実際にあの時もですね、「兵庫県に対して果たして何ができるか?」といってすぐなかなか頭に思い浮かびませんでしたし、「実際に被災を受けた地元の知事という立場になった時に、どういう行動がとれるかな?」ということを、後で、ちょっとこうヒヤッとする思いがいたしました。それがあの時の正直な思いでございます。
で、阪神・淡路大震災の教訓をどう生かすかということで言えば、やはり、阪神・淡路大震災では発生から15分以内にですね、住宅の倒壊の下敷きなどになって亡くなった方が8割から9割近くいらっしゃったということから、この、家屋の対策、住宅の耐震の診断からそれに対する手当というようなこと、県だけで独自に全てをやりきれるというような問題ではございませんけれども、方向性としては、このことは非常に重要なポイントだということを思っております。
それから、阪神淡路とは関わりはなくなりますけれども、本県の場合には津波に対する備えというのが非常に重要になりますので、これまでも第1次、第2次のシミュレーションを組んで、それを地域の方々にもお示しをしてきましたけれども、やっぱり、津波というのは起きた後すぐ逃げるということが大切でございますので、そのことをきちんとお知らせをし、避難路の確保と避難場所の確保ということが今後大きな課題になろうと思います。
その際には、特別措置法もできまして、今後、地域指定もなされるわけですけれども、従来の、やはり公共事業としてはなかなかかからないような避難路とか避難場所づくりというものを総合補助金化をしたようなメニューができないかなと。そういうこともこれから国に対して働きかけていきたいなということを思っております。
併せて、この家屋に対する対策と津波に対する対策と併せて、これからやっぱり防災教育、学校での子供達への教育ということが大変重要になるのではないかと。
というのは、子供達が、教わったことを家に持ち帰って、お家でお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんにお話をしていくということが、地域にそういう意識を広げていくことにもなりますし、また、もし南海地震、それが東海、東南海と連動するかもしれませんけれども、それが起きるまでにまだ一定の期間があるということを考えれば、今からずっと防災教育を積み重ねていった方々が、一定若者として地域の自主防災などを支えていく力にもなって下さるのではないかという意味から、防災教育というものが非常に大切だろうと思っています。
一方、県庁の組織体制としましては、前回、議会でのご答弁でも申し上げましたけれども、庁内の組織を横断するような南海地震対応の組織というものを立ち上げていきたい、これは年度内に立ち上げていきたいと思いますし、併せて、4月からの組織改正の中で、まあ、名前とその役職等はどうなるかはまだ検討中でございますけれども、危機管理の対策の担当者をつくり、その下に今お話のあった地震対策・防災対策というもののスタッフも充実をしていきたいと。
併せて、予算に関しては、4本の柱の1つと位置づけて、まずはソフトの対策から入りますけれども、ハードの面でも、何年間かの計画で、どういうものから優先順位をもって進めていくかということを計画としてつくって、それを順次、予算の中でも実現をしていきたいというふうに思っております。
(中土佐町の採石場の跡地)
(松浦:朝日新聞社記者)
中土佐町の件なんですけれども、地元での話でですね、地元からはですね、事業終了後にその場所が産廃処理施設などになるのではないかというのが一つの不安であったわけですけれども、それについて何らかの対応と言いますか、もうちょっと具体的に言うと、終了後は県にその土地の所有権を移転するというような話というのは考えてらっしゃいますでしょうか。
(知事)
以前からですね、「産業廃棄物の処理施設になるのではないか」というご不安に対して、企業とお話をした時に、企業側からも「そういう考えは全くない」ということと同時に、「そういうご不安があるのであれば、事業が終了した時点で、土地を県にご提供をします」というお申し出がございました。
その後、申請からの留保期間が延びましたために、一定その話は横に置かれたままになっておりましたが、今回新たに留保を解除して許認可の手続きを進めるという判断をいたしましたので、当然企業に対しても、今申し上げたような、前に申し出があったような形で住民の不安を取り除くようにしていきたいというふうに思っておりますし、企業もその点のご理解をしていただけるものというふうに考えております。
(中土佐町の採石事業の許認可を決断した理由)
(松井:高知新聞社記者)
許認可をすることに決められるまでには葛藤がかなりあったと思うんですけれども、決断された理由についてもう少し詳しく教えてください。
(知事)
もともとですね、今の現行法を従来の役所の解釈、有権解釈で言えば、そのまま、申請に何か瑕疵がなければ粛々と進めなければいけない事例であったということを思っております。ですから、基本的には「許認可ということをせざるを得ない事案ではないか」という思いはずっと強くございました。
しかし、地域の中での強い反発、また中土佐という町が本県の中でもいろんな新しい試みという意味では一歩前に出て取り組みを進めておられる町だということ、そういう地域の住民の方々の思いを大切にしていきたいというようなことを勘案をしてですね、せっかくならば、もう少しやはり、企業との間での、住民の皆さん方からの発案による歩み寄りとか、話し合いというものが起きないかなあと。そのためにもう少し時間が欲しいなあということを思っておりました。
ですから、留保をしてまいりましたけれども、なかなかそういう動きができないという地域の事情もあったと思いますので、そうなりますと、今の時点でもう一度「許認可をしない」という判断をし、そうすれば必ず企業側から公害等調整委員会への申し出等があると思いますけれども、そういうことをずっと続けていくことも手続きとしてはあり得ないことではないと思います。
けれども、今のやはり、国のというか、行政の改革等から踏まえまして、それで絶対に押し切れるということにもなりません。で、もし、その判断が誤りだったということが何年後かに下った時に、また県民に一定のご迷惑をかけるということにもなりますので、その点は地域の方々ともお話をし、地域の方々も、「ここまで県としても頑張って企業側にその思いを伝えてくれたから、もう後は、地域で、また今後のことを考えていこう」というお声もいただきましたので、この時期が、判決を受けて1ヶ月あまりという時期が判断の時ではないかと思いました。
(岡村:高知新聞社記者)
念押しみたいになるんですが、知事は判断を留保されたんですけども、知事はできれば許可しないという判断をしたかったのか、あるいはですね、許可すべきか、しない方がいいのか、そういうのを悩んでいたのか、というところはどうなんですか?
(知事)
今それに対してお答えをすることは、あまり、地域の方々にとっても、企業に対しても意味がないことだと思いますし、もう既に判断をした後でですね、それをしたくなかったとか、したかったとか言うのは、知事として言うべきことではないと思います。
(岡村:高知新聞社記者)
もう一つ、企業は企業としてですね、法律の手続に則ってですね、申請をして、開発をめざしたわけですけれども、企業に対してはですね、その企業の姿勢とかですね、知事は何か疑問をもっていたことはあるんですか?
(知事)
それはまあ、これまでも、社長さんがお見えになった時にも直接お話をしましたし、また中土佐町で、「推進をしたい」、また、「食い止めたい」、両方の立場の住民の方々と意見交換をしました時にも自分の意見として申し上げましたけれども、やはり、「説明責任」という言葉はですね、公共的な事業での行政に要求をされるだけではなくて、一定やはり、地域でいろんな開発事業などを行われる事業に対しても求められることではないかなということから言えば、もっともっと情報の公開をして説明責任を果たしていくということが、当該企業の問題点というだけではなくて、これからの地域でいろんな仕事をされる企業にとって必要なことなのではないかということは思い、また発言もしました。
(知事連携による候補者の推薦)
(釜本:時事通信社記者)
先日、日本記者クラブの方で、知事が連携して候補者の推薦といったお話をされたようなんですが、知事として、今後のその動きですとか、もしくはまあ、4月に統一地方選がありますけれども、連携以前に知事本人としてですね、個人の活動として推薦等、それも含めて、何かそういうことは考えていらっしゃるでしょうか?
(知事)
いや、それはもう、何重にもレベルの違いがあると思いますけれども、まず、個人でということは全く意味がないのでですね、本来自分が言ってる趣旨とも全く違いますので、そんなことは考えておりません。
それから、知事のグループで連携をしていくということも、あの場でもはっきり申し上げましたけれども、準備会で私が個人的な思いとして提案をしたというだけでございますので、それ以上のものではございません。
今後、4月以降、具体的な新しい形での立ち上げをしていくことになろうと思いますけれども、それに向けて、また打ち合わせをし、意見交換をする中で、各県の知事さんがそれにどう反応をされるか、賛成をされるかどうかということにかかってくるだろうと思います。
私個人としては、学生のインターンの方などの受け入れをしている中でもですね、行政だとか地域の政治に非常に関心を持ってる若い人も結構たくさんおられるということを感じ、だけど、今の既成の政党に入ったり、その応援を受けたりという形ではなく活動をしたい、ただ、何も後押しやクレジットなしで出ていけば、単なる物好きと見られるか、または本末転倒と見られてどうにもならないという方々の中に、やっぱり、私達が、個人ということじゃなくてグループで話をし、その考え方を聞けばですね、「これはもう指名をしてもいいんじゃないか」と思えるような方は必ず出てくるだろう。
そういう方を推薦するような活動をしていけたら、もっともっと地方の政治とか首長選挙というものが多くの方々の関心を持つようになるんではないかというふうに思います。
で、それは既成の政党に反対をするとか何とかいうことではなくですね、既成の政党の皆さん方が今集められる支持というのは、どの地域でも全体の50%とかそういうものであろうと思います。
だとすれば、やはりその、残る方々の中で、しかし全く無関心なわけではない、また、現在の政党支持率の中に入っていたとしても、「もっと新鮮な空気を嗅いでみたいなあ」と思う方々が多数おられる、そういう方々を対象にした競争相手をつくりだしていくことによって、現在の政党活動というものを、もっと地域に密着をした、また力のあるものにしていけるのではないかなと、大変おこがましいことですけれども、そういうきっかけづくりが必要ではないかと自分自身は思っておりますので、そういうことをこれからもそのチームの仲間には働きかけていきたいと思っております。
(住民投票条例への見解)
(岡村:高知新聞社記者)
知事はその、住民投票条例といいましょうか、住民直接請求ですね、これについては、そのあり方というか、そのタイミングといいましょうか、日高に限らずですね、日高に限定せずにですね、住民投票条例について知事はどんなふうな見解をお持ちなんですか。
(知事)
日高とは全く無関係でいいんですね。
(岡村:高知新聞社記者)
全く無関係で、ええ。
(知事)
日高とは全く無関係な一般論として、私は住民投票というのは地方自治を進めていく上での一つの手法として、選択肢としてあっていいと思います。
ただ、何にも具体的な積み重ねとか議論がない中で、何か問題が出ました、さあ住民投票しましょう、ということにもならないと思いますし、住民投票ということがオールマイティーになったらですね、よく言われることですけれども、「じゃあ、固定資産税を下げましょう。住民税を下げましょう」と言って、みんな反対する人はいないだろうと思いますね。そうなったら地域のサービスそのものが成り立たなくなると。
まあ、成り立たなくなったところで住民の皆さん方もまた逆の意識をされるでしょうけれども。そういうような動きも呼びかねないという面もありますから、何でもオールマイティーでそれで決めればいいというものではないと思いますけれども、私は、それぞれいろんな問題に関して、もし住民投票条例というものができてやる時に、それをどういうように位置づけて判断材料としていくかということを明確にしていくのであれば、そういう合意ができた後でやっていくのであれば、いろんなことを進めていく上での自治の手段として、私は有効な選択肢の一つだというふうに思います。
(久武:高知新聞社記者)
思いつきみたいな質問になって恐縮なんですけれども、先ほどの地方選の知事の推薦の話で、まあ、考えられているのは今回の統一地方選が終わってのことになるんでしょうけども、仮に、自分の県の地方政治家、例えば県議等になってきた場合ですね、例えば、知事さんを含むその知事連合の方、あるいは市町村長の方が推薦をするという候補者が出てきた場合には、例えばこう、知事与党候補として出る候補者を知事自らが地域から出してくるという動きになってくると、なかなかその、自由な立候補、そういうことがやりにくくなるような思いが今ふとして…。思いつきなんですが。
(知事)
いや、僕ももう半分思いつきで言ってる話ですので、思いつきに対して思いつきで十分なんですけれども。
今のことに、僕のまた瞬間的な思いつきで言えばですね、それはもう当然、何人かのグループでやっていく時に、高知県の地方議員に対して高知県知事がその推薦の委員会に入ることはないでしょうね。あるべきでないでしょうね。というようなことだろうと思うんですけど。
まあ、そういうあまり生臭さのない形で、だけど今までと違うものというのを求めている…、まあ実際に立候補したいと思う人もいれば、選挙人もおられるんではないかなと。そういう者に、やや最大公約数的に薄く広く対応できる手法っていうのは、多分まだ残されてるんではないかなと。
ただ、今ご指摘のような問題点というのが、多分具体的に言えば出て来るでしょうから、そういうものをきちんと整理をし、そういうような臭いが無いようにしたうえで、後は、そういうことがあった時に地域の住民がそれをどう判断をされるかという…、もしやった場合にはですね、その実績から考えていけばいいことなんではないかと思うんです。
(地震対策の総合補助金化)
(石村:朝日新聞社記者)
先ほど、地震の関係の話の中で総合補助金化みたいなことを言われましたけれども、どういうイメージか、もうちょっと詳しく…。
(知事)
いや、もう文字通り「総合補助金」です。から、いろんな形で、従来の公共事業のメニューとしては乗っかっていかない、まあ、避難路を造るのであれば、道路の補助事業としては乗っかっていかない。
かといって、県の単独でいろいろやっていく事業費というのは限られていますので、この特別措置法の枠の中でも、そういう形じゃなくてもいいんですけれども、何らかの形でその避難路だとか避難場所の整備に充てられる「総合補助金」というものを国がメニューとしてつくってくれれば、それに対して、県も出し、市町村も出しという形で、従来の事業ではなかなかいろんな事業メニューに乗っからないものでも、それぞれの地域が整備をしやすくなるという、そういうベースがつくれるのではないかという趣旨でございます。
(石村:朝日新聞社記者)
個別ではなく、総合のという意味ですか?
(知事)
まあ、「総合補助金」というのは、「総合補助金」という言葉としてある言葉ですから。
(今後の開発事業への対応)
(松井:高知新聞社記者)
中土佐の事例で、今後の開発事業に対して、これを教訓にして、どんな態度で臨んでいかれるのかということについて…。
(知事)
一つはですね、この中土佐の一連の動きの中で「土地基本条例」ができて、地域がいろんな開発事業とどう調整をとっていくかということを事前に計画を立てる条例ができました。
で、そのためには市町村がですね、「自分達の土地はどうやって利用していくんだ」という方針を「土地利用計画」という形で立てていくことが必要なわけですけれども、実際には、なかなか問題が起きないとそういうことを意識されないと。せっかく条例ができてもなかなか土地利用計画をつくってという動きになっていないように思いますので、今回のことをきっかけに、少しやっぱり、県として、市町村にも働きかけをしていきたいと。
いざという時に、問題が起きて立ち上がるのではなくて、事前に土地の利用計画をつくって、開発事業が持ち上がった時に、うまく地域との調整が図れるような、条例の有効な利用というものを、ぜひ働きかけていきたいなということを思います。
もう一つは、先ほどの岡村さんからの「本当はどうしたかったのか」というご質問に、「今さら、本当はどうだとか、したくない、したいとかいうことを申し上げる立場じゃない」というお答えをいたしましたけれども、今後ということで言えば、地方裁判所の先ほどの判決理由の中の文言というようなこと、
それから、全然違う話ですけれども、国立(くにたち)のマンションの訴訟でああいうようなやっぱり判決が出るという司法判断の時代的な変化ということを考えた時に、地域の事情、また地域の声というものを考えて、その手続きが進んでしまわないうちに、一定、県としての判断を、最終判断ということよりも、やはり司法に「この法解釈をどう判断をされますか」ということを一旦投げかけるというのも選択肢としてはあるんではないかと思います。
(松井:高知新聞社記者)
県としての最終判断の前に…。
(知事)
今回の中土佐のことと絡められると、また蒸し返しのような話になってしまうのであれなんですけれども、例えば採石法の判断で、今ある三つの条件だけではなくて、その地域の声だとか、環境への配慮だとかいうことがですね、解釈の余地として無いわけではないという判決理由があるわけですね。
ということから言えば、相当強い反対があり、そこに一定のこれからの地域づくりへの思いと根拠があるというふうに県が判断をした場合に、それをもう不許可・不認可として、そして、司法としてそれをどう判断をされるかという司法の判断を…。
というのは、当然、不許可・不認可にすれば当該開発業者側から何らかのアクションが起きるでしょうから、公害等調整委員会そして裁判という形で、その調停の行政そして司法の判断を仰いでいくというのも、これを参考にした今後の県としてのやり方としてはあるんではないかなと。
従来であれば、もう、今までの行政の解釈、有権解釈の範囲で、申請が整っていればそのまま粛々と手続きを進めるということで事務は進んでいくわけですけれども、そうではないところで一旦判断をして投げかける、ということもあり得るのではないかなということです。
(松井:高知新聞社記者)
選択肢が広がったわけですか?
(知事)
と思います。ええ。
(来年度予算)
(岡村:高知新聞社記者)
相当不況でですね、暗い話ばかりなんですが。もう来年度の予算に絡んでくるんでしょうけど、何か産業といいましょうかですね、そういう面で、知事が来年度予算で力点を置きたいようなものは?
(知事)
ちょっとまだ私のところまで予算が上がってくる段階ではないので…。
(岡村:高知新聞社記者)
いやあの、分野的に知事が…、その例えば観光だとか。
(知事)
それはまあ、前から言ってますわねえ。言ってますし、金額的にも、つかみの金額で言えば、もう要求としては出て来ています。例えば、観光で数億というような、そういうレベルでのつかみの金額は出てますが、その数億がどうなるかということは、まだ分からないので。それから、どっからどこまでを観光と考えるか、交流人口と考えるかということもありますので。
ただ、そういう意味で言えば、広い意味での産業政策はもちろん中長期的にも必要ですし、従来から言ってるように、最も短期的に裾野広く効果が出てくるのは、交流人口をふやしていく、従来の広い意味での観光ということなので、そのことには力を入れて取り組んでいきたいというふうに思います。