高知放送「おはようこうち」インタビュー

公開日 2007年12月07日

更新日 2014年03月16日

高知放送「おはようこうち」インタビュー(平成15年1月5日放送)

(司会A)
 おはようございます。平成15年今年最初の「おはようこうち」は、高知県の橋本大二郎知事をお迎えしていろいろと話を伺ってまいります。知事よろしくお願いします。

(知事)
 よろしくお願いします。

(司会B)
 昨年も高知県にとっていろんな事がありましたけれども、印象に残っている出来事っていうのはどういうことでしょうか?

(知事)
 後でお話にもでると思いますけれども、一番残っているのは、やはり国体と全国スポーツ障害者大会「よさこいピック高知」が開かれたということですね。それからわりと暮れのことしかよく覚えてないので、暮れ近い話でいえばですね、中央部の話ですけれども、県立の中央病院と高知市民病院が一緒になって新しい病院を建てます。

 これはPFIという民間に運営をしていただくという新しい手法で始めるわけですけれども、その起工式が去年の暮れ行われました。これは、県の中央県域だけの話のように聞こえますけれども、県全体の地域医療を支える核になる病院ですので、全国にも珍しい形ですし、是非全国的なモデルになる病院にしていきたいなと。

 まだ、病院が始まるのは17年の春のことですので、しばらく先のことですけれども、是非みなさんには楽しみにしていただきたいなと思います。もう一つ去年を振り返りますと、国が大変財政が厳しくなって地方交付税のこともそうですし、高速道路の見直しの話がありました。

 これは、その財政の問題だけじゃなくて、仕組みを変えるという大きな問題が背後にはありますけれども、高速道路の問題は地方にとっては大変重要な重い課題ですので、僕も含めて地方の6県の知事が高速道路の問題を考えるという委員会をつくって、国にもいろんな提言もし、文句も言ってきました。

 そういうことが、国のいろんな方向性にも影響を与えてきたと思うので、高速道路だけでなくこれから地方にとって厳しい時代になりますから、各県の気の合った知事さんと一緒になって取り組みを進めていかなくてはいけない。そういう最初のスタートの年に去年はなったのかなという気がいたします。

(司会A)
 どうしても厳しい話題が多い中で、やっぱり国体は明るい話題になったよね。

(司会B)
 そうですね。ほんとにたくさんの方が頑張りましたよね。

(知事)
 ええ、ほとんど誰に聞いてもよかったねと言っていただける大会だったと思います。ハードの面では、国体がありました為にごめん・なはり線という鉄道も東部の方で開通をしましたし、また高速道路が須崎まで延伸をしました。あともう少し細かいところでは、高知市内の五台山道路だとか土佐道路だとかいうこれまで懸案になっていた道路が全部開通をしましたし、西の方では中村・宿毛道路の一部も同様使えるようになった。

 いうようなことで、国体というような締め切りがないと、さっき言ったように国の財政も厳しい中で、のびのびになりがちな仕事がいっぺんに目鼻が付いたということも、国体の効果だったと思います。

 けれども、そのハードの面よりもむしろソフトの面というか、県民のみなさんが、最初はですね、あれだけ大きな大会を2つ、秋と夏の国体ということで3つの大会になりますよね。それをうまくやれるかなという気持ちがあったと思いますけれども、地域の盛り上がりで見事に成功できたということは、とても自信につながったと思います。

 また、8,800人の規模で、民泊つまり県外から来られた方を一般のご家庭に泊めるということをしました。このために高知県の選手が負けちゃっても、その民泊で来てくれた地域のチームを応援をするという応援団が各集落ごとに出てきて、とても大会そのものも盛り上がりましたし、そういうつながりが、帰られた後もいろんな物を送るとか、お手紙がくるとか、さまざまな形で続いてます。

 新聞やテレビのニュースにもその後の交流の話が出ていましたけれども、この交流ができた、そして県民のみなさんにも自信ができた、特に地域でお年寄りばっかりになって、なんとなく暗いというか重い話題ばっかりだった所に自分達もまだまだできるじゃないか、やればできるじゃないかという気持ちをもっていただいたことは、今後のとても大きな財産だと思いますね。

 ですから、できあがったスポーツ施設をまたうまく活用していくっていうことはもちろんですけれども、それだけでなくて、そういう自信とか地域の連帯というものを、今後どうつなげていくか、後ででてくる予算の話など南海地震への備えという風なことにもね、そういう地域のみなさんのボランティアをやったとか、連帯感ができたということを地震対策なんかにもつなげていけるんじゃないかなと、そういうことを今年は是非考えていきたいと思いますね。

(司会A)
 高知県の潜在的な明るさとか優しさとかの力がいいところで出たと?

(知事)
 はい。そう思いますね。

(司会A)
 いかに高知県がこれから新しい時代に向って行くかになると思いますが、去年の12月には森林環境税について概要が公表されましたね。

(知事)
 そうですね。この森林環境税というのは、そもそも何かといいますと、その地方分権という流れの中で、地方でもいろんな税を昔に比べるとつくりやすくなったんですね。独自の税をつくれるようになった。

 だけど地方分権で地方が独自の税をつくりやすくなったから、あれにも税金かけましょう、これにも税金かけましょうだと、なんか地方分権で増税感、税が増える感じだけになると、地方分権て一体なんだったんだということになります。

 ですから、高知県ではその少なくなった財源を補うという意味の新しい税金ではなくて、なんか新しい税をつくることによって、その話題と若干の負担をいただくことで、みんなになんか関心をもってもらう、そういうきっかけにできる税がつくれないかなということを思いました。

 そこで出てきたのが森林環境税ですけれども、高知県は面積の84パーセントが森林、全国でも一番森林の比率が多い県ですけれども、ご承知のように、木材の加工もどんどん落ちて、手入れが行き届かなくなる、そうすると、森林が降った雨を根っこにためて、じわじわと川に流しこんで、下流の都市の方に飲み水を供給するとか、また炭酸ガスを吸って、酸素を供給する。そういう森林が果たしてきた役割がどんどん落ちてくるわけですよね。

 このことは、中山間地域に住んで、いつもこう森林と相対している、そういう方々だけではなくて、まさに飲み水を飲み、酸素を吸っている、都市の多くの人達にも関心をもってもらわなければいけない課題ですので、今度の森林環境税では、県民税にちょっと上乗せを、ちょっとというのは、一つのご家庭あたり年間500円くらいの負担をいただくということで、この2月の議会に提案したいと思ってるんですけれども、これがうまく条例として可決をされれば、認めていただければ、年間1億数千万くらいの財源になります。

 これも一般的に何にでもその財源不足に使うのではなくて、今申し上げたように、都市の方にも森林のことに関心をもってもらうきっかけづくりっていうことですので、是非今年は山の日という風な、海の日という日もありますので、山の日をつくって県の職員はもちろんですけれども、多くの県民の方に山に出ていってもらって、ボランティアをしたり、山の荒れ具合を見たり、また逆に良い山に行って、良い空気を吸って元気になっていただく、そういうことで森林の価値をもう1度みんなに気付いてもらって、県民あげての森づくりを始めるきっかけにできればなということを思っています。

(司会A)
 高知県の大切な財産の一つを改めて見直していただくということですね。

(知事)
 そうですね。これは、高知県だけじゃなくて日本全体の財産でもありますので、高知がきっかけになって、あと、愛媛、徳島、香川に声をかけて是非四国全体でこの動きを強めていきたいと思います。

(司会A)
 その他にも県政いくつかの重要な課題もありますよね。

(知事)
 そうですね。最初に言いました南海地震にどう備えるかというのも、つい去年の暮れ、国の方がですね、東南海の地震がいっぺんにきたら7,400人程の方が亡くなると。そうなると津波の影響を受ける高知県は大変大きな問題です。

 これに対して、どういう順番で地震対策を進めればいいかという計画づくりと、県庁あげての横の連絡組織をつくっていきたいとこう思っていますし、それをもとに、来年度の予算から南海地震への備えというのを大きな柱としてやっていきたいと思っています。その時に津波からどう逃げるかということと、地震に対する備え、これをどうするかが大きな課題ですね。

 それから、今これだけ経済状況が厳しくなってきましたので、その中で、どうやって産業を強くしていくか、雇用の場を広げるかということが大きな課題です。将来を見据えて工科大学や高知大学などと連携をして研究をして、それを新しい産業につなげるということももちろん必要ですけれども、

これだけこう厳しくなってきますと、この数年をどうやってみんなで頑張るかということも必要で、その時にやっぱり観光、交流人口を増やす、去年の国体もその一つですけれども、ああいう国体なんかで培った力、その自信を生かしてですね、多くの方に県外から来ていただくようなことをやっていくということも是非やりたいと思っています。

 コンベンション協会が去年発足をしましたので、それを中心に3年間ぐらい集中的に投資をして、多くの方に県外から来ていただくようなそういう取り組みもしたいと思っています。

 それから、これは当たり前のことですが、子供さん、お年寄り、障害者、こういう弱い立場の方々が、住みやすい県に是非したいということを思います。お年寄りは、全国でも一、二番、その比率が高い県ですし、また子供さんの数も少なくなってきている。

 だからこそ大切にしないといけない時代です。予算的にはですね、シーリングつまり天井を設けて、各部局何%ずつ減らして下さいよということをしてるんですが、今申し上げた福祉の分野はそういうシーリングをかけずに、つまり従来の予算の枠の中で工夫をしていくということにしたいと思います。

 もうひとつ四本目の柱として掲げたのは、資源循環型の地域づくり、その最新地域を目指すということです。21世紀は環境の時代ということが言われますけど、この資源循環ということでも、エネルギーは環境にやさしいエネルギーにしていくとか、公共事業にもっと木材を使ったりとか、それから廃棄物をうまく活用した物づくりをしていくとか、

そういうことの、単にこれまでのようにモデル的な事業をいくつかやっていくというだけではなくて、それが全県下に広がっていくようなことを是非進めたいと思いますし、その為には、この4月から県庁の組織も大幅に改めたいと思ってますので、その中でですね、今申し上げたような資源循環への取り組み、

それから少し違いますけれども、農業の分野でいえば、その土地でとれたものを、その土地で使っていく、“地産地消”といいますけれども、そういうことも広い意味では、資源循環の一つだと思いますので、そんなことを、組織としてもきちんと打ち出していけるようになればなということを思うんです。

(司会A)
 いろんな条件面で厳しいことも多いんですが、だからこそ立ち向かっていかなくてはいけないわけで、確か去年知事が仕事始めの時に、カラ元気でもいいから元気でっておっしゃいましたけど、今年は明日が仕事始めなんですけれども・・・

(知事)
 そうですね。去年カラ元気ということを言って、それこそ先ほどから話題に出てきている国体ということ、またよさこいピック高知では、カラだけじゃないですけれども、みんな職員の人も県民のみなさんも元気を振り絞っていただいて、とてもいい結果が出たと思います。

 カラ元気は今年も続けてもっていかなくてはいけないと思いますが、カラ元気と合わせてやせ我慢というのもちょっとおかしいですから、先ほど、最初にも言いましたように、国も厳しくなって、国と地方の関係の見直しとかいろんなことがでてくると思います。

 その時に、負けないぞという負けず嫌いといいましょうか、そういう気持ちを大切にしていきたいと思いますし、またこれだけ厳しい時代ですから、これからの夢をどうやって県民の皆さんに見せていくかとかいうことがとても大切だと思っています。

 さっき4本柱ということを言いましたけれども、基本的にやっていかなきゃいけない事とともに、今この場ですぐ夢を語れっていっても、なかなかもう間もなく番組も終わる時間になってきましたので言いませんけれども、夢を是非語れる一年にしていきたいなという風に思っています。難しいかもしれませんけれども、頑張りたいなという風に思います。

(司会A)
 夢に向って高知県の先頭リーダーとして、また今年も頑張って下さい。

(知事)
 はい。頑張ります。

(司会A)
 さて、今日の「おはようこうち」は今年最初の放送ということで、高知県の橋本大二郎知事をお迎えしてお送りしてまいりました。今年一年がみなさんにとって素晴らしい一年となりますように。知事どうも今日はありがとうございました。

(知事)
 ありがとうございました。


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