公開日 2007年12月07日
更新日 2014年03月16日
知事の定例記者会見(平成15年2月県議会)
平成15年2月18日9時00分から(県庁二階第二応接室)
(項目)
・2月県議会への提出議案
・予算編成での満足度
・産業の育成
・財源不足への地方としての対応
・機構改革での出先機関の権限
・知事選でのマニフェスト(政策綱領)
・高知競馬の存廃問題
・機構改革と人物評価
・政策推進課の仕事
(2月県議会への提出議案)
(知事)
2月の定例の県議会を2月24日に招集をすることにいたしました。提出をいたします議案は、一般会計予算など合わせて77件でございます。
このうち、一般会計予算は、国体や全国障害者スポーツ大会が終了をしましたこと、また、建設事業など投資的な経費を縮減せざるを得なかったことなどから、4年連続マイナスの、対前年度比マイナスの予算になっておりますし、総額も5,096億円と、私が知事に就任をいたしました時代の予算とほぼ並ぶ、まあそれぐらいのベースまで下がっております。
これは、財政状況の厳しさということが背景にございますけれども、そのことは一定予測できることでございましたので、中期的に取り組む課題、「南海地震への備え」など4つの柱を掲げて、それへの重点的な対応をしていくといったことなど、限られた資源、財源を少しでもこれまで以上に有効に配分をしていこうということに心掛けてまいりました。
しかし、県税収入の落ち込みでございますとか、制度改正によります地方交付税の大幅な減少といったことがございましたため、4年連続のマイナス予算という形になりました。ただ、先程も申し述べました南海地震への備えなど、中期的に取り組むべき4つの課題に対しては、重点的な対応ができたというふうに思っております。
また、投資的な経費に関しましても、全体は縮減をせざるを得ませんでしたけれども、例えば、高知県から情報発信、提案をし、国の事業としても取り入れられました1.5車線的な道路整備に思い切った配分をいたしますなど、メリハリのついた予算づくりにも努力をしております。
一方、厳しい雇用への対応ということでは、4本の中期的な課題の一つとして、「産業の育成」ということを掲げまして、観光も含めて雇用の場の拡大に取り組んでいくということは言うまでもございませんが、それだけでなく、特に厳しい高校生の皆さん方の就職への対応ということで、新規高卒者50人を県庁で臨時的に雇用をするということにいたしました。
また、県庁が行っております日常的な業務を外部に委託をいたしますワークシェアリング的な手法も来年度も取り入れていきたいと思いますし、地域の雇用創出のための特別の交付金も使って、この雇用の問題にも出来る限り対応していきたいと思っております。このほか、教育改革でございますとか、市町村合併の支援、また、緊急間伐の推進や情報化への取り組みなど、政策的な課題にも積極的に取り組んでおります。
こうして、予算の配分ということに、重点化に十分心掛けます一方、タイムリミット制などの導入によって歳出の削減にも努めることによって、なんとか均衡のとれた予算ということを考えましたけれども、先程申し上げましたような地方交付税の大幅な減収というようなこともございまして、結果的には一般財源が48億円不足をするということになりました。このため、財政調整の基金を取り崩してこれに対応をすることにしております。
続いて、条例議案でございますけれども、森林環境税、いわゆる森林環境税を設置をいたしますための県の条例の改正案、またこの森林環境税の使い道を明確に透明化していくためにつくります基金設置のための条例といったことのほか、国体や全国障害者スポーツ大会が終わりました、それを記念いたしまして、スポーツの振興、併せて障害者の皆さんの社会参加などを図っていきますための基金を設置をしたいと思いまして、そのための条例議案など、合わせて35件の条例議案を提出をすることにしております。
また、その他の議案といたしましては、中小企業の基盤強化のために過去貸し付けたものの債権回収が不能になっているものがございますが、この債権放棄のためには、地方自治法上議会の議決が必要でございますので、そのご承認をいただく議決の案など、14件を提出をしております。以上が予算その他議案についてのご説明でございます。
もう一つあわせまして、組織改正についてもご説明を申し上げます。
組織のことにつきましては、組織改革検討委員会のご提言をいただきましたし、それを受けまして、県庁の中に若手中堅の検討グループをつくって議論もしてまいりました。
こうしたご提言や議論を踏まえて検討を進めてまいりましたが、今年度、国体、全国障害者スポーツ大会という大きな行事も終わりましたことから、来年度、今年の4月から思い切って組織の改正をすることにいたしました。
そこに込めました思いは、先程から申し上げておりますように、財政状況は大変厳しくなってまいりますし、今後もますます財政状況が厳しくなることが予測をされます。こうしたなかで、予算の配分に一層の努力をするということは当然でございますけれども、予算だけで仕事をしていくというのではなくて、人の力、知恵の力で仕事がしていける、そういう県庁でありたいという思いを込めております。
具体的には、例えば政策の立案調整の機能を庁内全体、そして部局ごとに強化をしていくというようなこと。また、市町村合併ということも背景にして地域の支援の機能を強化をしていくというようなこと。また、生活廃水の処理ですとか、海岸の事業ですとか、これまで同様の事業を各部局にまたがって行っていた分野がございますが、こういう分野を一元化することによりまして縦割り行政からの転換を図るといったこと。
また、これまで75ございました課室を109の課室に増やすことによりまして、これからの時代の流れに対応する、先取りできる、また県民の皆さんのニーズにスピードをもって対応できる、そういう組織にしていきたいと思っております。
あわせて、課室を増やした意味といたしましては、これまでの課室数ですと、なかなか管理職の立場に、リーダーの立場になるのにかなりの年齢になってしまいます。もっとやっぱり若いうちから組織をきりもりをする、マネージメントをしていく、指導力を身につけられる、そういう組織にしていきたいという思いも込めております。以上で、議会に提出をいたします議案のご説明、並びに組織改正についてのご説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
(予算編成での満足度)
(西村:KUTV記者)
財政的になかなか厳しいなかでの予算編成、そのなかで4つの柱を立てて、という形なんですけども、知事ご自身、そういった厳しいなかでの予算編成での満足度っていうのはどうなんですか。
(知事)
知事や県庁が満足しても県政としては十分な成果は出ませんので、満足度ということではやはり県民の皆さんがどう受け止められるかということだと思います。
そのために私達が成すことは、分かりやすくこの予算の意味、またその背景をご説明をすることではないかと思いますので、自分自身の満足度というのは差し控えさせてもらいたいと思います。
というのは、なかなか「満足度」という言葉で申し上げるには大変厳しい内容です。それは経済的な面でも、また福祉などの面でも、地域の方々また県内の企業にもいろいろな影響を与える予算であろうと思いますので、なかなか「満足度」という積極的な表現では言いにくいなというのが正直な思いです。
(西村:KUTV記者)
質問の仕方がちょっとまずかったと思いますけど…。
(知事)
いえいえ、とんでもないです。質問の趣旨はよく分かるんです。分かるんですが、「満足度」と言ってしまうと、そのご質問の趣旨とやっぱり違ったとらえ方を県民の皆さんがされるんではないかなということを思ったんです。
予算の県庁内での編成の仕組みとか編成の手続きとして、うまく議論ができて、予算編成の庁内でのあり方としての満足度はどうかというご質問だろうと思うので、その点はまあ、相当、各部局もですね、それぞれこの厳しい予算ということ、財政状況ということを理解をして取り組んでくれましたし、財政課をはじめですね、庁内の調整ということも、かなり前向きに進んだというふうに思います。
しかし、出来上がった予算そのものの満足度ということになってしまいますと、先程言いましたようになかなか「満足度」という前向きな言葉で量るのが、自分の心としても苦しいなという思いです。
(西村:KUTV記者)
いろいろな課題があるなかで、すべてに手を伸ばすというのはなかなか難しいと思うんですけども、どのあたりまで手が伸ばせたかということなんですが。
(知事)
課題というのはですね、先程申し上げましたその4つの柱ということであれば、「南海地震への備え」はですね、まだ本格的にいえば来年度が初年度の取り組み。これまでも積み上げがございますけれども、大きな柱として打ち出すのは初めてでございますので、その意味ではまだとっかかりということだと思います。
今度、組織改正で、危機管理の担当の理事もつくり、また、従来の消防防災の体制もですね、より強化をしてまいりますので、全庁的につくりました横断的な組織とあわせて、この南海地震への対応というのは、早いうちに県民の皆さんにも、これから何年間でこういうことをしていきますという基本的な方向性だとか、計画が打ち出せたらな、ということを思います。その意味では、まだその「手が届く」ということで言えば、手を伸ばし始めたという段階ではないかと思います。
それから、その雇用のことにもかかわってまいります「産業の育成」ということでは、観光の面でそれだけの効果がどれだけ生み出せるかというのはこれからの努力次第でございますけれども、少なくとも組織的に、また財政的にはですね、かなりの、従来にないものを割いておりますし、その他の産業政策全般でも、かなり踏み込んだ事業を組んでいるというふうに思いますので、まあ手を伸ばすということで言えば、手が届くように早くなりたいなという思いでございます。
(産業の育成)
(松浦:朝日新聞社記者)
今、知事がおっしゃったように、産業育成の分野についてはかなり、手厚くとは言えませんけれども、重点分野のなかでも額としても事業数としても多くのものが割かれたように思うんですけれども、そのことについての知事の思いというのをもう一度語っていただけないでしょうか。
(知事)
産業育成はですね、もちろん、従来つくりました団地をいかに使いやすくしていくか、まあそれによって企業に来ていただくか、というような、財政に伴った事業展開ということも、財政の裏付けを持った事業展開ということもございます。
けれども、それだけではなくて、後段、組織のことで言いました「人と知恵の力」というものがですね、ずいぶん大きくかかわってくるだろうと思います。
昨日地鎮祭のありました富士通のことにしろ、今いろいろ取り組んでおりますその他の企業誘致のことにしろ、やはり、人の力、知恵の力、努力、汗によってもたらされるものが数多くございますので、今後自分自身も含めてですね、そういう「人の力」にももっともっと努力していきたいというふうに思います。
(松浦:朝日新聞社記者)
今回、誘致だけではなくて、地元のですね、中小企業に対する支援というのもずいぶん額など増えてるんですけれども、その点についてはどうでしょう。
(知事)
まああの、いろんな形の支援がございますので、それぞれに意味合いが違いますけれども、例えば、もう今年度からやっております融資を受けられてるその利率に対する一定のご支援という、借り換えの資金のご支援というものは、予想を上回って、枠として構えましたものをはるかに超える現状でございます。
今の段階で100億を超えてるかどうかちょっと正式におさえておりませんが、それぐらいの額になっておりまして。経済全体としては決して健全とは言えないと思います。けれども、やはりそれだけ県内の企業がお困りで、そういう意味では、県の政策として、ある意味では企業の、中小企業の皆さん方の思いとぴったり合ったのではないかなということを思います。
そうしたマイナス面を少しでもなくしていくという支援もですし、プラスの面もですし、少しでも企業の皆さん方が、本当に今困って、また感じておられるところのご支援ができるような体制にしていきたいということから言えばですね、予算をただ組んだというだけではなくて、もう繰り返しで恐縮ですが、そのことを多くの中小企業の方に、こういうものができましたということを知っていただいて、使っていただいて成果を出していくという、予算だけではなくて、人の力というのがこの産業育成という面では特に重要ではないかというふうに思っています。
(財源不足への地方としての対応)
(松井:高知新聞社記者)
財源不足が再び厳しい状況になってきて、その要因には国の制度改正というものがありますけれども、本県のように地方交付税に頼らざるを得ない財政状況の県はますます苦しくなることが予想されますが、そのあたりにどのようにこれから地方として取り組まれていくおつもりなんでしょうか?
(知事)
いろんな思いがありますので、一元的にこういうことで取り組みますとはなかなか答えにくいです。
というのが、一つはですね、まさにお話になったように、制度改正によっての地方交付税の減収というようなものが目立ってきました。この1年間でも、この年度途中で予測をして予算編成に取りかかった後、また違う動きがでてくるという現状でございますので、なかなか今後の予測がつきにくい、その対応を立てて国に要望するとか対策を立てるということでも、なかなか予想がつきにくいという面があります。
全般的にいえば、その「三位一体」といわれる地方交付税と補助金と税財源の見直しというものが今後どうなっていくかということをですね、一つは、情報を早く取って、そして、同じような思いを持っている各県の知事さん方、いろんな会をつくってますけすけれども、そういう中でこの問題をきちんと議論をして、国に対してものを言ってくる。
もちろん全国知事会もそうですけれども、そういう知事でつくっているいろんな組織、連合を使ってですね、もっともっと国に対してもですし、国民の皆さんにも、地方としての思い、地域としての考え方ということを打ち出していくということが、一つは必要であろうと思います。それから、県としてももちろん、国に対して、こういうことはおかしいのではないか、こうあるべきではないかということを更に声を強くしていくことが必要だろうと思います。
一方、県の中では、そうはいってもやはり制度改正というものが今後進んでくるでしょうし、大変厳しい状況になってくることが予測されますので、その時に備えてですね、今回の予算でも一部頭出しというか、取りかかったものもございますが、いわゆる、幅広い意味での隠れ借金的に将来負担になっていくものの処理を、今のうちから一応計画を立てて進めていくとかですね、そういうマイナス面の処理が後で大きく負担にならないように段取りをつけていくということも一つ大切なことではないかと思います。
全く違った視点ではですね、従来からあちこちで申し上げておりますけれども、そういう制度改正というのが、今は、やややりやすいところからやっていくというつまみ食い的な形でございますので、義務教育の教員の人件費のことですとか、福祉関係のことでもそうなんですけれども、いささか、やり方に問題があるということは思います。けれども、本格的な三位一体の議論と、それに基づく制度改正が進めば、その分、県の手取りは少なくなっても、自由に仕事ができるというプラスの面もないではありません。
もちろん、マイナスになる面のフローの経済効果というものが、これまで公経済で支えられていた本県に与える影響というのは他県以上に厳しいものがありますので、そのことはきちんと踏まえた上で発言もし、考えていかなければいけませんけれども、一方で、その自由度が増すということのプラス面の意味もございますので、そういう自由度が増した時にどうしていけるかという、県庁の職員の意識、考え方というものを、きちんと今のうちからレベル合わせをしておくということも必要ではないかということも思っています。
(機構改革での出先機関の権限)
(岡村:高知新聞社記者)
かなり組織、機構改革がされるんですが、地方分権の対応で、去年ぐらいですか、出先の地方分権対応の見直しということもちょっとおっしゃってたような…。
地方分権対応の出先機関の権限を向こうにもっと持たすようなことも考えたいというようなことをですね、以前、おっしゃってたような気がするんですが、その辺は今回の機構改革では、何か?
(知事)
機構改革そのものの中に位置づけとして入っているかどうかということまでちょっと明確に申し上げられませんけれども、出先の公共事業関係の事務所でもですね、従来のやり方は、例えば土木であれば、道路・河川だというふうな偏りではなくて、地域担当的な仕事をしていくと。
その際に、同じような事業をしている耕地なり、林業なり、森林なり、そういう事業者とも十分連携を取ってという形を進めていこうと思っておりますし、その際には、今回組織改正で地域ブロックごとに1人張り付けてというか、配置をしてまいりますが、その職員も一緒に入ってですね、そういう予算の使い方などを議論をしていくという形にしていきたいと思っています。
つまり、従来と比べて金額的にどうかということは分からないんですけれども、出先で使っていける、出先の判断で使っていける予算というものが構えられておりますので、そういうものを、単に出先の事務所長さんが地域の方々からの要望に応えて配分をしていくというだけではなくて、県庁のチームとして、今その地域で、ブロックで優先順位のある課題は何かということを議論をして、それを実施をしていくというような形をとっていきたいというふうに思っております。
(知事選でのマニフェスト(政策綱領))
(井上:産経新聞社記者)
一点、ちょっと予算と離れますが、秋に向かってのマニフェストはもう考えられてますか?
(知事)
私はその「マニフェスト」そのものが今ひとつよく飲み込めていないというか、どうかなという思いがありますので、全面的にそれに向けて、もしその出馬ということをいたします場合に、その準備をするということにはなっていません。
というのは、マニュフェストというものを作るというのはですね、明らかに現職優位というか、何か、役所を使ってああいうマニュフェストを作るというのは、いささかやっぱり選挙という行為とは少しそぐわない疑問点が自分なりに感じますので、もしマニュフェストということをみんながやっていくというのであれば、その基礎になる資料をですね、全面的にやはりそのために公開をして、使いやすい形で公開をしていくということがないとですね、県庁内で現職としてそういうものを仕入れた人だけが、なんか形よくマニュフェストが作れるということであってはならないという思いもございますので、いささかまだ、そのことには踏み込めないでいます。
(大塚:共同通信社記者)
マニュフェストの考え方自体には、特に異論はない?
(知事)
というところまでも、あまりよく考えていません。今申し上げたことは、やや異論を含めて申し上げておりますので、明らかに現職有利になるのではないかということ。政党としてですね、ああいうマニュフェストを出して、国政選挙を戦われるということは分かるんですけれども、首長という場合には政治だけではなくて行政の長という立場があります。その行政の立場としての有利性というものが、マニュフェストに象徴されてしまうことになってはいかんと。そこがそうではないかどうかが、よく分かりませんので、ということなんです。
自分のことを言うのはあれですけど、きちんとしたものではないですし、私感的な身びいき的なものといわれれば、それまでかもしれませんけれども、私の場合は、その前回公約として出したものが、どこまでどうできましたかと、何がどういう課題で残りましたかということは、ご説明をいたしました。
マニュフェストというような形で出す以前にですね、そういうことをまずそれぞれがきちんとやっていくことが必要ではないかと。人様のご批判をしているわけではないんですですけども、自分としてはですね、そういうことをきちんとしていくことの方が先ではないかなというふうに思います。
(高知競馬の存廃問題)
(松井:高知新聞社記者)
今回、中央病院だとか、高知競馬の負債の処理という、先程もおっしゃった負の部分が予算計上されましたけれども、まあ中央病院については一般会計で処理するというのはもう既存のルールというかレールの上だと思うんですが、競馬についてあらためて知事の思いを教えてほしいんですけど。
(知事)
競馬については、例えば、廃止を今の段階でお諮りをして、それが認められたとしてもですね、今ある累積の負債の部分は、一般会計で処理をしていかざるを得ませんよね。
ということからいいますと、先ほども言いましたように、将来、財政環境が非常に厳しくなるということも考えられます。また、経済状況がどうかということは、全く分かりませんけれども、デフレの状況がもしこれ以上続いていくといたしますと、負債の持つ意味というものが、その重さ、ウエイトは、デフレが進めばそれだけより比率的には大きくなってきますので、そういうことの処理というものを、一定、県民の皆さんのご理解をいただきながら、順次進めていくことが必要ではないかということを思いました。
(松井:高知新聞社記者)
(過去の)12月の議会だったと思うんですけれども、前の知事の答弁で、一般会計をギャンブルに注ぎ込むことはやってはならないというのが一定の縛りになっているというような内容の答弁があったと思うんですが、そのことについては?
(知事)
当時の知事さんが言われ、県議会でもそういうご議論になった点は、まさに今ある負債の部分…、負債はそれぞれ毎年毎年の積み重ねですので、その部分まで含めてということだと思います。
けれども、現実の問題として、今廃止をしたとしても、もうそれは一般会計で処理せざるを得ないだろうというふうに思いますので、他の何らかのいいアイデアがあればですね、それは考えなければいけませんけれども、少なくとも今の制度の状況の中では、今もし廃止という場合には、これを一般会計で処理をしていく以外にですね、処理の仕方はないと思いますので、その点は、議会での前の知事さんのご発言がどうであれ、処理の仕方は他に選択肢はないのではないかということを思います。
ただ、現状これだけの雇用があり、しかも一方で、雇用状況の厳しさの中で、多くの資源を、財源を割いて雇用、緊急の雇用対策ということをしております。その時に、施設の使用料などの分を一定、一般財源でカバーをすることで、この雇用を守るべきかどうかということは、先ほど申し上げたことよりもさらに、一歩枠を越えて議論の対象にはなるのではないかということを12月の議会では申し上げました。
けれども、なかなか踏み込んだ議論までは、いろんな事情から進み得ませんでしたので、一応、今、県として考えられる形、こうしたらどうだろうということを今議会に案としてご提案をしている、高知市さんにも全体としてはその考え方を尊重していただいている、というのが今の現状であろうと思います。
(岡村:高知新聞社記者)
競馬組合の問題で、まあいくつか問題はあるんですが、経営責任というか、その責任の所在ですよね、ここが一体どこにどうあってですね、その責任というものがね、誰がどうとるのかというところがですね、非常に何か曖昧なところがあって、まあそれは経営責任ですから県が責任があるんだという言い方は簡単にはできるんですが。じゃあ県の責任って何だっていうたら、結局その処理でですね、一般財源を処理するということになって、要は県民が負担していくという形になってしまうんですが。
こういうその、いわば今回一部事務組合なんですけども、こういう経営ですよね、法的な。こういうものについて、知事は何か今回、競馬組合の処理に当たってですね、何か、あり方じゃないですけど、いうものに考えを致したことはないんですか?
(知事)
それはいくらでもあります。競馬に関しては、地方競馬だけの問題ではなくて、これは全国中央競馬会も含めた、馬の生産と競馬事業というものをどう考えていくかという枠組みの見直しが必要だと思います。
急速に時代環境と経済環境が変化をした中で、一つには経営の甘さということも当然あったと思いますし、また、今申し上げたような時代環境の変化ということもあって、あっという間に転がり落ちるように負債が増えたという現状があります。
こうしたことに対して、一定、やはり中央競馬会を含めた全国の競馬事業のあり方の見直しが遅れているということも一因ではあろうと思います。このことは、各同様の思いを持つ県とも一緒になって、国にも要望をし、また議員連盟なども作っていただきましたけれども、まだまだそれに対するいろんな法律の改正などの形に見えた対応が出てきておりません。
それからご趣旨にありましたその「責任」ということはですね、それではだれかが責任を取って辞めるなり何かすればいいんですかって、そういう問題でもないと思います。やっぱり、責任だ責任だと言って誰かの責任を明確にすればそれでこと足りるものではなくて、こういうような形をくり返さないことをきちんと考えていくべきだろうというふうに思うんです。
それは、一つは、まだ自分の個人的な思いですけれども、しかもそういうものがきちっとやっていけるかどうかは分かりませんけれども、株の投資だとか何だとかするときに、何%下がったらもうそれ以上やらないという仕組みがありますね。そういうように、こういう収益を伴う事業の場合に、こういう事態になったらもう最初から廃止なり何なりを考えるということをきちっと前提として、県民にもお諮りをして始めていくとかですね、いうようなことが、もうこれだけ財政環境も厳しい時代には必要であろうと。
ただ、やはりもう右肩上がりで、いろんな意味での財政収入も多くありですね、それで何らかの状況が生じても補てんができるという時代に始まったもの、まあ競馬だけではないんですけれども、始まった事業も数多くありますので、そういう時代的な流れの中で始まったものが、時代環境の変化になかなかすぐ対応しきれなかった、その何年かの間にできあがったいろんな人の関係だとか、さまざまな仕組みによって、簡単には解決できなかったということが今日につながっていると思いますので、そこら辺を、責任を持って、また英断をもってやめていくとか、方向転換をしていく、ということが、組織として必要だろうというふうに思います。
ですから、組織の改正での政策調整だとか立案だとかいうこともですね、こういうことを、もちろんこの問題でいえば財政課もいっしょになってですけれども、「もう議論をしても危ないね、これはもう即刻、早くこういう問題点を外に出して、何らかの対応策をしましょう」というような形に県庁の仕事の仕方が変わっていかなきゃいけないんだろうと思います。
(機構改革と人物評価)
(岡村:高知新聞社記者)
それとあの、組織ではですね、まあいろいろ機構を改革するんですが、要はその張り付く人材というか人が組織を動かしていくわけで、いわゆる人物評価が最も組織にとっては大事なんですが。そういう何か、こういう機構改革とともにですね、今回その人物評価といいましょうか、そういうものを根本から見直すとかですね、今回特に何か考えを持っているということはないですか。
(知事)
いや、根本から見直すというのは例えば何を言っておられるのかが…。かなり根本から見直してきているつもりですが。ええ。
その評価の仕方でも、例えば、下の者が上の者を評価をしていく、まあそのクロスチェックをしていくことを取り入れるとかですね、それから、人事考課のいろんな基準も、まだまだ様々な議論がいろんな立場の人からありますけれども、相当、昔のものとは違った形になっていますし、ウエイトの置き方も違ったものになっています。
ただ、人事考課というものは、何か抜本的に改革したからそれで来年から何かが変わるというものではありませんし、評価の仕方というのは積み重ねがあって初めて客観性が出てくるものですので、まだ人事考課を取り入れて数年という段階ですから、それを様々な形で手直しもしながら、その効果というものをきちんと測定をしていくことが今は必要な段階だろうというふうに思います。
(政策推進課の仕事)
(巻田:NHK記者)
政策担当の理事を置いて、その下に政策推進課というのを置くわけですけれども、知事の頭の中にですね、こういった政策を考えてほしいっていうイメージみたいなものがもしありましたら。
(知事)
こうした政策を考えてほしいというのの「こうした」っていうのが何なんだかあれなんで、ちょっと答えにくい…。
(巻田:NHK記者)
あの、イメージが掴みづらいんで…。
(知事)
イメージが掴みづらい?
だって、政策っていうのはこうやって毎年毎年出しているので、それは具体的なものですよね。そういうものをきちんと、例えば、4本の柱を考えるというようなこともそうですし、それはイメージとして明確だと思うんですね。そういうことをしていくのが政策立案ですので。知事が何を考えているかイメージが分からないというのは、それは、そういう質問なら何だけども、政策立案が何をするかというのは…。
そこが何をするかということはいろんな議論がありました。今、企画調整課が持っています部局内の調整だとか、それから、まあいろいろありますね、四国知事会的なものだとか、いろんなそういうような調整機能を持たせてという話があったんですが、そういうふうに日常的な何か事務を持つんじゃなくて、一定、フリーな立場で企画をし、政策立案をしていくと、そういうチームにしてほしいと。なるべくそういう日常のルーティンワークがあるような、例えば、重要要望のとりまとめをしていくとかいうことからは解放したチームであってほしいということは話をしております。
そこがやるのとはまた直接には違うと思いますけれども、例えば、さっきどこまで手が届いたかという話でいえば、資源循環型社会の先進地というのはですね、まだそれぞれの部局でのまた受け止め方が相当ばらつきがあるので、単にその、環境対策とかですね、いろんなものが出てくるんです。
もう少し、自分自身のそれこそ考え方がしっかりこうだといって明確に1なり2なり3なりとその分野でいえませんので、まだ試行錯誤的にならざるを得ないですけれども、例えば公共事業もですね、資源循環ということをもっときちっと外向けに説明できる、数値化できるような目標が立てられないのかなということを庁議でも言い、例えば土木の企画課からは「知事のいう思いは分かるんだけれども、どういうような数値の目標がいいか」という投げかけがあって、グリーン購入を例えば使っていくとかですね、いろんな議論をしました。まだ、全然、煮詰まっていませんけれども。
その資源循環型ということで、公共事業を資源循環型のものに変えていくと。そのために、例えば、「我が部局は向こう何年間で20%はそういう形に変える」とかいうようなものを打ち出していけるような基準が僕は欲しいなというふうに思います。
そういうものを例えば作ってもらうというのも一つの仕事だと思いますし、それから、県民の皆さんから見て、「こういう事業が本当に必要なんだろうか」と、前々から言われてますけど、いろいろそういう県民の目線から見た今の県庁の仕事の見直しということもあります。
これも、僕と直接一緒にしていく政策の推進の担当理事のチームだけの仕事ということではありませんけれども、各部局での企画立案調整をしていく人たちにはですね、是非やはり、何をやっぱりやめていくかと、それと、先ほどアウトソーシングということを言いましたけれども、何をもって思い切って外に出していけるかというようなことも、もっと踏み込んだ、これまでの自分たちの仕事とかしがらみに、まあしがらみと言っちゃあいけませんけども、しきたりにとらわれない、そういう思い切ったアウトソーシングや仕事の見直しなども提案をして欲しいと思っています。