公開日 2007年12月07日
更新日 2014年03月16日
知事の定例記者会見
平成15年3月26日18時30分から(知事室)
「縫製業の協業組合「モード・アバンセ」に対する融資事件の判決について」
(宇野:NHK記者) 県の元幹部二人に有罪という判決がでたわけですが、まずこの判決を受けて今のお気持ちと高知県庁にとってどういう判決だったかをまず教えていただけますか?
(知事)
県の元幹部職員が仕事の遂行にあたって、任務に背くような行為があったと、また認識があったという認定のもと有罪判決をうけたということは、県としても当然重く受け止めなければいけません。けれども、この判決がこれからの県の行政、仕事にあたえる影響とか関わりという視点から判決文を読ませていただくと、県の仕事の公益性ですとか、また民間の企業との性格の違いということにかなり踏み込んだ深い理解と配慮を示された判決ではないかと受け止めています。
特に同和対策事業が我が国でまた高知県で果たしてきた役割、重みということへの相当の配慮をしていただいておりますし、また行政の行う貸付けについても民間の金融機関が行う貸付けとは性格が異なるということを明確に判決文の中に盛り込んでいただいておりますことは、これからの県の仕事を進めていくうえで、大いに参考になる判決文だと思っています。
ただ、もともと刑事的な事件での刑事責任と行政の責任というものは区別して考えなければいけない別のものですので、この判決がどうであれ、また今後のこの裁判で確定する判決がどのようなものになろうとも、行政の責任、つまりこの事業を進めるにあたって、同和対策事業の重みに流され、また特定の個人に、判決文の言葉を使わせていただければ、翻弄されて県としての主体性を欠いたという点、また議会へのひいては県民のみなさんへの説明を怠ったこの不透明さ、また説明責任の欠如という行政の責任は免れるものではありません。
この点に関しては、既に自分自身の減給処分また職員の処分というような形で県民の皆様方にも行政としての責任のとりかたというものは、お示しをしておりますし、また融資の実務の改善ですとか仕事を進めるうえで職員が疑問や不安に感じた時に、外部の方に相談できる制度を導入するなど、この事件をきっかけにした改善、改革に心がけてきました。
今後ともこの裁判が、今は一審の判決がでたわけですが、どういう形で動いていくにしろこの事件を反省材料とした県政の改革の手を緩めてはいけないという気持ちを今新たにしております。
また判決では、最後に同和対策事業というものを、今後一般対策になっていきますけれども、やはり差別をなくすという視点できちんと新しい形の同和対策の事業を県としても考えていってほしいということ、また議会への説明を含め議会との関係ということも考えていってほしいという附言を頂いております。こうしたことも当然これからの県政の中に活かしていかなければいけないと思っております。私からは以上でございます。
(宇野:NHK記者)
各社からの質疑、応答にはいりたいと思います。
(宇野:NHK記者)
今回の判決で県庁の職員の人達がこれから仕事をしていくうえで、例えば多少臆病になるというとか、影響というのはあると思いますか?
(知事)
先ほど触れたつもりですけれども、県の仕事のもっている公益性ですとかまた民間の企業とは性格が異なるという点をかなり踏み込んでご理解をいただき配慮をいただいた判決だというふうに思います。そのことは、県の職員も判決文を詳しく読めば十分理解できることだと思います。
また行政への貸付けについての判決というのは、多分全国でも初めての判決ではないかと思いますけれども、民間の金融機関が行う融資とはやはり性格を異にするということを明確にされて一定の基準を示されております。こういうことは今後の仕事を進めるうえで、大いに参考にしていかなければいけないと思っています。
(大塚:共同通信社記者)
10億円については無罪ということでしたが、2億円については全てではないということですが、目的として自己保身というのがあったと認定されましたが、そのことについてはいかがですか?
(知事)
私は法律家でもありませんし、裁判官でもありません。判決の事実認定についてコメントをする立場ではないと思います。
(釜本:時事通信社記者)
今回有罪となったことで、県庁としても当事者に対して被告人達に対する処分なり、今後の対応についてはどのように考えていますか?
(知事)
それは常識の問題ですけれども、一審判決ですから、それで県として最終的な判断をすることはできません。
(松浦:朝日新聞社記者)
有罪となられたお二人について今何か思いというのはありますか?
(知事)
私の思いというよりも判決の中でも二次の貸付けについて任務に背いた意思が認められるという判断はされましたけれども、全て自己保身を目的だという利己的な犯罪だというふうに決めつけるのは皮相的だという趣旨の判決文を頂いておりますが、この事は有罪判決を受けたお二人にとっても非常に意味のある文言ではないかなと私は思います。
(岡村:高知新聞社記者)
山本さんと川村さんに対して知事はどういう思いですか?
(知事)
それはこの判決とどういう意味があるのでしょうか?
(岡村:高知新聞社記者)
それはこれだけ逮捕、拘留され起訴されて裁判をうけてこられましたよね。その中で判決では知事をトップとする行政と自分と職員を守るために判決ではその保身の部分が含まれたわけですよね。
(知事)
そこで言う知事というのは橋本知事を指しているのではなくて行政の組織図として知事をトップにすると言われているのであって、私個人を指しているものではありません。
(岡村:高知新聞社記者)
でもこれは知事の時に起きた事件ですよ。
(知事)
そうです。ですから、それがどういう意味をこの判決と絡めてもつのでしょうか、ということを申し上げているのですが。
(岡村:高知新聞社記者)
では、二人に対しては何も思いは・・・
(知事)
もちろん思いはございますけれども、それはお二人と直接会ったりお話をすることも、司法当局から禁じられているわけですから、そういうお話をするなかでその事は伝えたりまたそういうお気持ちを聞いたりするものだと思います。今の状況の中で申し上げることはなかなか、しかもマスコミの皆様方に申し上げることは難しいと思います。
(岡村:高知新聞社記者)
会いたいという気持ちはあるわけですか?
(知事)
申し上げられません。
(釜本:時事通信社記者)
今日の判決で裁判所は96年、97年両方の融資全般について議会の議決を得なかった点ですとか、担保十分でなかった点について違法とまでは認定しませんでしたが、客観的には背任にあたるとそういう風な表現で問題を指摘しましたけれども、県知事としてそういった行政に裁量を認めたという反面、ある程度の制限を加えたという認識もあると思うのですが、今後の県政に対してどう活かしていきますか?
(知事)
それも先ほどから繰り返し申し上げているとおりです。この判決は県の仕事の公益性ということをかなり踏み込んで認められたということ、また行政の貸付けについても民間の金融機関が行う貸付けとは性格が異なるということを明確にされた、しかも一定の基準もさまざまな文言でお示しになったということで、今後の県政に十分活かしていかなくてはいけない判決だと受け止めております。
議会への説明責任を怠ったことの問題はこの判決以前の問題として既に検討してお詫びしその責任も明確にしておりますし、また担保云々の問題は事実関係と事実認定に関わることですので、私が今コメントできるものではありません。
(大塚:共同通信社記者)
明日の午前中にですね、今日の判決をうけて臨時部局長会議の開催を要請されたということですが、差し支えなければどのようなお話をされるおつもりなのか伺いたいのですが?
(知事)
判決骨子は読みましたし、代理人の方から一定の判断というかポイントとして感じたことの説明を受けましたけれども、頂いた判決文を読んでおりませんので、その用紙にきちっと目を通してから部局でお話することは考えていきたいと思います。今の段階でこういう話をするということを決めているわけではありません。
(宇野:NHK記者)
それでは各社あと質問ございますか?
(松井:高知新聞社記者)
先ほどの確認ですけれども、多分知事ご自身は個人的な思いはたくさんおありであろうとは思うのですが、こういう場では一切表明しないということをお決めになっているということですか?
(知事)
いやいや、あの判決という法的な判断が下った日に情緒論の話をして何になるのだろうかという思いが私にはあります。やはりこの判決は行政が行った貸付けについての全国でも初めての判決だと思いますし、行政が仕事の中で行ったものが背任に問われるという事件の難しさ等ですね、今後の行政の中にそれがどう影響していくか、反映できるかという視点で、もっぱら考えるべきであって、私個人の情緒的な思いが社会的な意味をあまりもつと私は思わないので特段コメントはありませんということです。
(宇野:NHK記者)
あとよろしいですね。
(知事)
ありがとうございました。